キングシーサー

登録日:2021/03/06 Sat 14:59:34
更新日:2024/09/18 Wed 11:38:42
所要時間:約 6 分で読めます





キングシーサーとは、東宝特撮映画『ゴジラシリーズ』に登場する怪獣である。
初登場は1974年公開の『ゴジラ対メカゴジラ』。



概要

名前の通り沖縄の聖獣である「シーサー」がモチーフで、見た目もほぼ直立二足歩行したシーサーの姿をしている。
興奮すると耳が逆立つ性質がある。

この映画が公開される2年前に沖縄がアメリカから日本に返還されたばかりであり、また映画公開の翌年には沖縄国際海洋博覧会が開催予定であったりと、当時は沖縄に注目が集まっていた時期であった。
そこで本作は沖縄を舞台とすることが決定し、そこに縁のある怪獣を登場させようという話から生まれたのがこのキングシーサーである。


登場作品

  • 映画
ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)
ゴジラ FINAL WARS』(2004年)
  • テレビ番組
『ゴジラアイランド』(1997年~1998年)
  • 小説
GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』(2018年)


『ゴジラ対メカゴジラ』

通称:伝説怪獣
身長:50m
体重:30000t

デザイナー:井口昭彦
スーツアクター:久須美護

かつて琉球王国に存在していた安豆味(アズミ)王族の守護神で、本土からの侵略者から琉球を救ったという伝説がある。
なぜ琉球の守り神に思いっきり英語で「キング」と名付けられているのかは考えてはいけない。
「琉球に危機が訪れた時、眠りから覚める」と言い伝えられており、通常は沖縄県恩納村の名勝地である「万座毛」の岩壁の中で眠りについている。

物語においては、沖縄国際海洋博覧会の会場建設予定地の工事中に遺跡が発見され、そこには壁画とシーサーを象った置物が存在していた。
壁画には予言が記されており、それを読み解くと

大空に黒い山が現れる時、大いなる怪獣が現れ、この世を滅ぼさんとする。

しかし赤い月が沈み、西から日が昇る時、2頭の怪獣が現れ人々を救う。

とあった。

また、置物の方には「西から日が昇る時、この置物を安豆味城の石の祠の上に置け」と記されており、その言葉通りに安豆味城の祠に置くと蜃気楼によって「西から昇った」朝日の光が置物の目に当たり、その光は増幅されて光線となり万座毛の岩壁を撃ち崩し、眠るキングシーサーが姿を表した。

その後、安豆味王族の末裔である国頭那美(演:ベルベラ・リーン)による「美童(ミヤラビ)の祈り」という唄で目覚める。
覚醒したキングシーサーは迫るメカゴジラに戦いを挑むのだった。


劇中での活躍

キングシーサーは俊敏な動きや跳躍力を武器に、タックルや頭突きといった肉弾戦で主に戦う。
だが、最大の特徴は両目がプリズム化しており、右目で敵の光線を受けて吸収し、左目から10倍に増幅させて発射する能力。
これを使ってメカゴジラの「スペースビーム」を無力化し、格闘攻撃でダメージを与えていった。

……最初のうちは。

プリズムで跳ね返せるのは光線だけ。光線が通じないと学習したメカゴジラが主力武器をミサイルに切り替えた事で途端に劣勢となってしまう*1
以降はほぼフルボッコにされ、あまりいいところがない。
ゴジラが加勢して挟み撃ちを仕掛けようとしても、メカゴジラが首を回転させて両者を同時攻撃した事で失敗。
しまいにはメカゴジラがオールウェポンを開放し総火力を乱射しまくると、爆炎の中をゴジラと共にあたふたする始末。
しかも見ようによってはゴジラを盾にしているようにも見えてしまう

最終的にゴジラが自身の体を電磁石化させてメカゴジラを引き寄せ、羽交い締めにしたところにタックルを加えているが、勿体ぶった登場をした割に全体的に見てあんまり役に立っていない……

ちなみに先述した通り、目覚めさせるにあたって「美童の祈り」を唄うシーンがあるがこの唄、フルコーラスで3分近く唄っている。
この間メカゴジラは何をしているのかというと、ただ歩いているだけ。
マッハ5で飛んできて目覚める前にさっさと攻撃してしまえばいいのにただ歩いているだけである。
何をやってるんだブラックホール第3惑星人……

戦いを終えたキングシーサーは、再び琉球に危機が訪れるその時まで万座毛で眠りにつくのだった。


『ゴジラ FINAL WARS』

身長:100m
体重:50000t
得意技:タックルブレイク、フライング・シーサーアタック

デザイナー:西川伸司
スーツアクター:中川素州

昭和版に比べて細身でより人間に近い体型*2になった。
今回もまた俊敏さを活かした肉弾戦が売りとなっている。……が、今回は相手がゴジラなのでプリズム眼を使う機会が訪れなかった。

今作ではX星人の操る敵怪獣として登場。沖縄に出現してコンビナート地帯を破壊した。
宇宙人に操られる守り神って……。シーサーに攻撃された沖縄の人々は相当恐ろしい思いをしたことであろう*3

あらかた破壊活動を行った後で一旦は他の怪獣共々X星人の宇宙船に回収されるが、その後ゴジラが覚醒した事でその進撃を止めるべく、ラドンアンギラスと共に富士裾野に召喚された。


劇中での活躍

ラドン・アンギラスと共に三方向からゴジラに一斉に体当たりを仕掛けるが、ゴジラがアンギラスを踏み台にジャンプしたことで躱され、キングシーサーはラドンと正面衝突。
怒ったキングシーサーはゴジラに「タックルブレイク」を仕掛けるが、それも躱され背中を引っ掻かれる。
崖を利用して壁蹴りからの体当たりを仕掛けるも、ゴジラは物ともせずそのまま投げ飛ばしてキングシーサーはアンギラスの背中に落下。
結果、アンギラスはキングシーサーの重さに、キングシーサーはアンギラスの背中の棘に苦しむ羽目に。

その後アンギラスが「暴竜怪球烈弾」でゴジラに攻撃を仕掛けると、それを利用してサッカーボールのようにアンギラスを蹴飛ばしてゴジラにぶつけようとするが、
何故か大きくカーブを描いて明後日の方向に飛んでいってしまい、アンギラスは崖に激突して昏倒。既に倒れていたラドンの上に重なる形でダウン。

オウンゴールをやらかしてしまって後がなくなったキングシーサーは耳を逆立てて威嚇し「フライングシーサーアタック」を仕掛けるも、ゴジラはあっさりとそれを受け流し、キングシーサーもまた崖に激突。怪獣の3段重ねが完成してしまった。
……こんな感じで昭和版以上にいいところが全然なかった。

なお、本作の監督を務めた北村龍平氏のお気に入りの怪獣らしく、選出されたのはそれ故なんだとか。
また、3段重ねになった後は熱戦でとどめを刺される予定だったが、ボツになっている。
これは、本作が過去にゴジラと共闘した怪獣は殺さないか、明確にとどめを刺すシーンを描かないという演出になっているためと思われる*4


ゴジラアイランド

ゴジラアイランド内にある「悟りの森」に居を構える長老怪獣として登場。「怪獣神社」を経営している。
直接戦うシーンは少ないが、メカキングギドラとの戦いでは口から光線を吐いている。

基本的には神秘の力を使って他の怪獣達をサポートするのが中心となっており、劇中での主な活躍は
  • ガイガンへのリベンジに燃えるゴジラを修行させ、新技である「曲がる熱戦」を修得させる。
  • ゴジラに取り憑いたスペースゴジラの悪霊をお札で引き剥がす。
  • ネオヘドラ*5に対抗するべくラドンを炎の精霊と融合させてファイヤーラドンに進化させる。
……といったところ。
裏方ではあるものの、映画作品と違ってそこそこいいところを見せている。


GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ

アニゴジ3部作の前史に相当する小説作品。
ゴジラ対メカゴジラ』と同様、沖縄で万座毛にて眠っていた。
2029年にメガロが沖縄を襲撃した際に沖縄を守るべく目覚め、激戦の末にメガロと相打ちとなって倒れた。
このため、沖縄への被害は最小限で済んでいおり、沖縄の人々は深い感謝の意を語っていた。
なお、同作のメガロはアフリカ大陸を壊滅させ、インド・フィリピンなど、ゴジラ以外の怪獣の中でも屈指の暴れぶりを見せていた強豪怪獣である。


外部出演

Magic the Gathering

『イコリア:巨獣の棲処』でのコラボにおいて、メガロやバラゴンなど登場できなかった怪獣も少なくない中、キングシーサーは《古代の守護神、キングシーサー/King Caesar, Ancient Guardian》《伝説怪獣、キングシーサー/King Caesar, Awoken Titan》の2枚がカード化されている*6
やはり東宝怪獣では珍しい猫系のデザインが有利に働いたのかもしれない。他の怪獣は猫・ナイトメア・ビーストだのエレメンタル・恐竜・猫だの合わせる気がない奴ばかりだけど


バトルスピリッツ

コラボブースター【東宝怪獣大決戦】でファイナルウォーズ版が「キングシーサー[2004]」名義で参戦。
緑の剣獣で、効果の記述を持たない、いわゆるバニラ。その分コスト比のBPが高めなので、殴り要員としては優秀な部類。
後にあらゆる点で上位互換に相当するカードも出てはいるが、次点なりの性能はあるので十分採用圏内である。


余談


  • シン・ゴジラ』地上波初放送を記念したテレビ朝日の特番『ゴジラ総選挙』にて、MCを担当するウエンツ瑛士氏のお気に入りがキングシーサーと判明。
    氏は同番組でキングシーサーを1位と予想した……が、結果はあえなくランク外に終わってしまった。



追記・修正は万座毛の前で「美童の祈り」を歌いながらお願いします。

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最終更新:2024年09月18日 11:38

*1 「フィンガーミサイル」を向けられた時、あからさまに狼狽している。

*2 本作は激しいアクションシーンが売りであり、そのため特に二足歩行型の怪獣は全体的に人間に近いフォルムになっている。

*3 地元住民が「どうされたんじゃシーサー様?!」と狼狽えるシーンも撮影されていたが、本編では未使用。

*4 唯一マンダは轟天号に倒されているが、「ゴジラには殺されない」という点で言えば一貫している。

*5 X星人によって改造されたヘドラで、通常のものとは異なりキノコがベース(それもう「ヘドラ」じゃないじゃん……)になっており、胞子をばら撒いて怪獣にキノコを寄生させて弱体化させる能力を持つ。

*6 他の怪獣ではゴジラが3枚、スペースゴジラが2枚、それとモスラが繭と成虫、メカゴジラが機龍の改修前後で1枚ずつ。