回復術士のやり直し

登録日:2024/01/16 Tue 17:23:25
更新日:2025/04/10 Thu 23:26:25
所要時間:約 6 分で読めます



『回復術士のやり直し』とは、月夜涙氏が小説家になろうにて連載していた小説である。

概要

タイトルからして、槍の勇者のやり直しオマージュ的な作品であり、
また、ステータス開示能力、勇者という職業の扱いなど、様々な小説家になろう作品から参考、オマージュされている要素がある。
その点はいわゆる「なろう小説あるある」であるためあまり気にする要素ではないが、
本作ではそれに残酷描写異常性癖差別表現を加え、
主人公含む登場人物の大多数の倫理が行方不明状態という世紀末な世界観となっており、
他のメディアミックス化されたなろう作品とは異なる、極めて陰鬱な作品となっている。

故に、漫画版は公式サイトでこそ閲覧できるものの、血は出るわ四肢欠損するわ、R-18でない一般向けにもかかわらず性描写がされるわで、非常に閲覧注意なレベルに仕上がっている点に注意。

書籍版はしおこんぶ氏がイラストを担当し2017年6月から角川スニーカー文庫より刊行されている。
漫画版は2017年10月よりヤングエースUPにて羽賀ソウケン氏が作画で連載されている。

2021年1月にはTVアニメが放送された。


登場人物

  • ケヤル/ケヤルガ
CV:保住有哉
この作品の主人公。そして作中最大の被害者にして加害者、そして強姦魔でもある。
この世界では貴重で代えの効かない回復魔法を使う【癒】の勇者だが、後述の理由から勇者パーティーにおいて奴隷のような扱いを受ける。
勇者たちと魔王との最終決戦の場においてその本領を発揮し、魔王から得た秘宝によってタイムスリップを敢行。
自分が他の勇者たちと出会う前にタイムスリップすることに成功し、他の勇者たちに復讐するべく行動を開始する。
なお本来の名前は「ケヤル」だが、二周目の冒険において旅立つ際には「ケヤルガ」という偽名を名乗っている。
Web掲載版での名前は「ケアル」「ケアルガ」だったが、流石に許されなかった模様

+ 保有する能力
  • 回復(ヒール)
読んで字のごとく回復魔法…なのだが、この世界の回復魔法は四肢の欠損すらも元通りにするというタイムスリップに片足踏み込んだ能力である。
その際に対象の人生経験やら苦痛やらを引き込んでしまうため、使う際には苦痛が伴う非常にハイリスクな能力であり、
ケヤルも力に目覚めた当初は回復魔法の使用を拒絶するくらいであった。
しかし、他の勇者たちは何を血迷ったかケヤルを薬物漬けにして理性を奪い、首枷を付けてロクな装備も与えず冒険に連れまわすという暴挙を敢行。
それだけに飽き足らず、自信の歪んだ性癖を吐き散らすための肉人形として扱うことまでしてのけた。
バカだ。

  • 改良(ヒール)
回復の応用で、今まで他人から得てきた記憶や経験を頼りに自分を組みなおし、物語冒頭で魔王軍と互角以上の戦いを繰り広げた。
タイムスリップ後は回復魔法をそこまで使い込んでいない関係でそこまでの実力は身についていないものの、
自身のステータスをうまい具合に振りなおして格上との戦闘をこなしている。
また、相手の記憶をうまい具合に回復して組みなおすことで精神を破壊、自分の思うがままの肉人形にすることができる。
タイムスリップ前に自身が性のはけ口にされた関係で、タイムスリップ後は今度は自分が性のはけ口にしている。

  • 模倣(ヒール)
回復魔法で得た記憶から、相手のスキルを模倣することが出来る。
しかし遥か格上のオリジナルには叶わず、タイムスリップ後は改良との併せ技でなんとか格上との戦いに勝利した。
この応用として、相手のスキルや技術を盗む略奪(ヒール)も可能。

  • 時間逆行(ヒール)
魔王の遺物を使って、世界そのものに回復魔法を敢行。
時間を巻き戻したらお前の記憶も失うじゃないかという至極真っ当なツッコミを受けるが、ケヤルは与えられた憎しみは失わないと反論。
事実、回復魔法を施された世界は4年前へ時間が巻き戻るも、ケヤルの憎しみの記憶は失われなかった。

  • 改悪(ヒール)
中途半端な回復を行い、新陳代謝を操って脊髄を損傷させるなどして相手を壊れた状態で完治させる

  • 翡翠眼
タイムスリップ後、勇者たちと合流する前に精霊の住む湖にたどり着き、精霊との契約することで手に入れた能力。
テレビゲームのアイコンのようなステータス開示能力より、相手の情報を見ることが出来る。

  • 薬物耐性
タイムスリップ前は、魔王との決戦直前という土壇場で目覚めたスキル。
これによって薬漬けにされた自身の精神を取り戻すことに成功した。
タイムスリップ後は湖周辺の毒キノコを無我夢中で頬張ることで強引に獲得した。

  • 【神装宝具】神甲ゲオルギウス*1
CV:石川英郎
【剣】の勇者ブレイドから奪った神装宝具(能力ではなく防具だが便宜上ここに記載)。精緻な紋章が刻まれた銀の手甲。宝石があしらわれ、前方にスリットが開いている。
自然界の魔力を取り込み体を覆い防御できる。さらに使用者の魔力を消費して負傷などを自動的に回復する機能と、本来相手に触れなければ使えない【改悪】を前方約1メートルまで飛ばせる機能がついている。「復讐を終えるまで死にたくない」という彼の願望が具現化したような能力。
また指輪に変形可能で、勇者であることを悟られぬ様、偽装目的に使用している。

  • フレア・アールグランデ・ジオラル/フレイア
CV:渋谷彩乃
本作のヒロインその1にして、ピンクの悪魔外道その1
【術】の勇者で、ジオラル王国第一王女であり、表向きは聖母のようなやさしさを振りまくが、
その本性は傲慢でとんでもないサディストであり、古今東西の悪役ヒロインが可愛く感じるレベル。それに加えて本来守るべきはずの民のことを堂々と下民と呼び見下すなど酷い選民思想の持ち主である。だがその本質は臆病者で、王女という立場と後衛職という関係上もあってか、精神面が鍛えられておらず、間近で叩きつけられる人間の憎悪や暴力に耐えられるだけのメンタルも持ち合わせていない。それはケヤルが受けた暴行に比べれば遥かに軽い暴行を受けただけで泣き喚き、そのプライドを簡単にかなぐり捨てて命乞いと詭弁(どれも浅はかな言い分で、ケヤルの「俺がフレアにされた事を全部やるまで終わらないからな」というセリフに対し、「私はあなたの為に薬を使ったんです。痛みで、心が壊れないようにする為に」と見え透いた嘘をつく有様である。ケヤルはそんなフレアの浅はかな命乞いに憤慨し、怒りのままに彼女の指をへし折ってしまった。)を行い、挙げ句の果てには自分の純粋を捧げてしまう程である。それらからも推察出来る通り、追い詰められると冷静さを失ってしまう形でなりふり構わない行動に出る傾向が強く、後述の通り思慮が浅いが為にその場凌ぎにしかならない安易な手段に出てしまう模様。いわゆる強大な力と権力がないとイキれない典型的な小物である。
総じて彼女の人間性を一言で言うなら、「弱い者いじめを好む躾のなってない身勝手な悪ガキがそのまま成長したような存在」と評せるだろう。
こんな女だが腐っても王女として育っただけあってか、部下の意見や願い事に耳を傾けたり、聞き入れたりするなど、上に立つ者としての度量は一応持っている。
剣聖のもげた腕を治療し苦痛に悶えるケヤルに成長性や将来性に目を付けず速攻で見限りを付け、薬漬けにして理性を奪うことを提案
タイムスリップ前の世界では、依存性のある薬を犬の餌容器に入れて食事と一緒に差し出す、性奉仕を強要するなどしていた。
ジオラル王国自体は一見綺麗だが、深刻なレベルの格差、人種差別、役人や軍人の横暴などが蔓延っており
タイムスリップ後のケヤルも「この王国はあなたのようだ」と一見褒め言葉とも取れる皮肉をとばしている。
タイムスリップ後の世界ではケヤルに拷問されレイプされた後、改良(ヒール)された結果、表向きの顔であった聖母のような性格に改良され、
ケヤルにとって従順で都合のいい肉人形「フレイヤ」となり、ケヤルガの最初の仲間となって復讐に付き従う。
フレイヤとなって以降は素直で明るい仲間思いな性格となっており、ケヤルガも碌でもない性格は環境による影響だったと推察している。
一応ケヤル以外には暴行は働いてない(と思われる)ので、酌量の余地ありと見なされたのだろう。

+ 保有する神装宝具
  • 【神装宝具】神杖ヴァナルガンド
タイムスリップ前の世界でフレアが所持・使用していた神装宝具。世界樹の枝を削り出して作られた杖。タイムスリップ後では【槍】の勇者が使っていた神装宝具をケヤルガが奪い、フレイアに与えている。
一般的な魔術用の杖が得意属性と不得意属性を持つのに対し、ヴァナルガンドは全ての属性の魔法の威力・精度を向上させられる。魔力収集力や演算能力も高く、更に膨大な魔力を溜め込む能力を持ち、自らの限界を超えた魔術を発動したり、他者の魔力を溜め込ませることで自分では扱えない魔術も使用可能になる。

  • ブレイド
CV:ふじたまみ
【剣】の勇者。本作の外道その2
とある大貴族の娘で男装の麗人であり、金髪碧眼が特徴のレズビアン。
フレアとは魔王との決戦を目前、ズタボロになった肉人形を背景に、ピロートークに花を咲かせる関係だった。尚ブレイド自身はフレアを病的なまでに愛しており、ケヤルガによると匂いだけでその存在を認識できるほどだという*2
非常に自己中心的かつサディストな性格でナルシストな男装の麗人ではあるが、それは過去に何かあったらしく、男を死ぬほど憎んでいるという裏返しでもあるとのこと。上述の通りレズビアンだが、女性を大事に扱うフェミニストという意味ではなく、己の性欲を満たす為の対象として認識しているだけに過ぎず、タイムスリップ前も後も女性への性的暴行の常習犯であった。その本性は美麗な外面に反して、ケダモノのような色欲魔という、人面獣心を体現したような悪女。その為、犯した女性を勢い余って殺害しても素知らぬ顔で居続けている。
更にコミカライズ版では大人の玩具を使用して、相手が死ぬまで犯し尽くすシリアルキラーというブレイドのクズぶりが強調されている。ハッキリ言って言ってる事とやってる事が矛盾しまくっているムチャクチャな女である。
当然の如く、犠牲となった娘達の遺族からの恨みも買っており、書籍版とコミカライズ版、アニメ版ではそのうちの1人ミルラ(CV:ブリドカットセーラ恵美)*3の父親(CV:山本格)が登場し、ブレイドに直接敵討ちをしようとした程。尚、本人の口ぶりからこれまでも暗殺者やスパイを差し向けられてきた模様。つくづく大迷惑な女である。
そんな性格故に、自分に不都合な事が起きると感情を律しきれずに、烈火の如く怒り狂ったり、口汚い暴言を平気でぶつけるどころか、街の中にもかかわらず破壊力の高い斬撃波を放ったり等、麗人とはかけ離れた凶暴な本性を隠しているまさに勇者の皮を被った怪物である。コミカライズ版では、その醜悪な性格がより分かり易く描かれ、美形な顔が台無しになる程のジェットコースター級の顔面崩壊を披露する*4
その癖して、自分が窮地に追い込まれてしまうと、プライドをかなぐり捨てて命乞いと詭弁、果ては土下座も辞さない等、情けない腰抜けな一面もある。そのあたりはフレアの同類と呼べる。またコミカライズ版では命乞いが通じないと悟ると、「お前に慈悲の心は無いのか!!」どの口が言う、「地獄に落ちろクソ野郎!!」お前が言うな等と口汚く罵るシーンが追加されている。
そんな勇者らしからぬ極めて傲慢且つ他人の迷惑を考えない醜悪な言動や、器の小さい性格等が大きく災いしてか、彼女の本性を知る者からは蛇蝎の如く嫌われており、「気持ちの悪いクソレズ」、「か弱い人達を弄んで生きてきた正真正銘のクズ」、「死んで当然のクズ」等と散々な評価をされているが、自分に甘いために自らの非を認めたり改める意思を見せる事は不可能であり、むしろ自分では無い誰かのせいにしようとしたがる他責思考いわゆる謝ったら死ぬ病持ちでもある。
戦闘能力に関しては剣技自体はクレハに遠く及ばないが、神剣ラグナロクの加護による身体能力と反射神経の向上によって相手を圧倒するという理不尽な強さを持つ。ケヤルの見立てによると、クレハとブレイドが戦った場合、ブレイドの方が勝つとのこと。しかしそれ以上に誘拐や暴行、果ては殺人といったあらゆる犯罪行為に対する躊躇や自制心の無い、その問題だらけな悪意と上述の凶暴性こそが彼女の最大の武器と言えよう
なんでこんな頭のイカれたアバズレに勇者と言う名の特権階級にして強大な力を与えたんだろう……
タイムスリップ前は、王国から無料で支給される高額で貴重な回復薬でことが足りるからとケヤルに対しても容赦ない暴行を加えていた。
なお、その薬には腕がもげても治るほどの力は無い替えがきかない人材を無能呼ばわりするのはなろう小説ではよくあること
魔王との決戦ではイヴの攻撃を喰らい負傷し、ケヤルに回復するよう口汚く要求するも本性を表したケヤルに「クズは死んでろ」と吐き捨てられた挙句に見捨てられる。ロクな抵抗が出来ないまま魔王の眷族によって嬲り殺しにされて戦死した。遺体は上半身と下半身が分断されていた。
タイムスリップ後は、ノルン姫の護衛として再登場。その日の夜に、ケヤルガによるハニートラップという原始的な罠に引っかかり、毒で弱りつつある身体に食欲と性欲を極限まで肥大化させられた男達からレイプさながら物理的に食われるという自業自得を絵に描いたような末路を迎えた。普通ならば百合好きな人からは憤慨モノの末路ではあるが、所業が所業なので、そう言った声をかなり軽減しているのは見事である。
ブレイドの死により、神剣ラグナロクは元の『赤い宝玉』に戻り、ケヤルガの手に渡ったことで「神甲ゲオルギウス」へと姿を変えた。
余談であるが、3人の勇者の内フレアとブレットには歪んだ性格に至った背景などが存在するのに対し、ブレイドの方は男嫌いでサディストな性格に至った理由などが一切明かされていない。さらにケヤルがブレイドに復讐する前に、彼女の記憶を読み取っていたが、同情や憐れむ素ぶりもなかった上に、コミカライズ版では復讐を実行する際に「二周目の世界でも吐き気を催すようなクズでよかったよ」という発言から、ブレイドには悲惨な過去などは無く、歪んだ性癖は持って産まれたものだったと言うことが考えられる(あくまで推測の域を出ないが)。
そのため、作中における彼女の振る舞いは同情の余地が全く無い純粋悪、若しくは絶対悪として描写されている。ある意味3勇者の中でも異質さを感じさせる。
そして初期に退場した為、微妙に地味で印象に残らないという声もしばしば。
また、彼女は腐っても貴族の一員であるため、ファミリーネームが存在しているはずだが、現時点でも全く明らかになっていないという憂き目に遭っている。

+ 保有する神装宝具
  • 【神装宝具】神剣ラグナロク
ブレイドが所持・使用している両手剣の神装宝具。彼女の派手好きで自惚れた性格が反映してか、子どもの憧れをそのまま詰め込んだような豪華な装飾に宝石があしらわれた剣の形をしている*5
使用し続けても傷むことなく切れ味を保ち続け、斬撃を放つことを可能とする。さらに持ち主の身体能力を向上させ、不浄を癒す能力を持つ。毒なども打ち消せる模様。これら強力な効果もあって、ブレイドはラグナロクの性能に頼り切っていた模様。ただしそれらの性能はラグナロクを握っていないと発揮されないという弱点がある。

  • ブレット
CV:稲田徹
【砲】の勇者。本作の外道その3
スキンヘッドに髭面、筋骨隆々の体を持つ大男であり、表向きは神父として活動している。
しかし、その実態はケヤルに歪んだ愛情と暴行を向ける同性愛者(ホモセクシャル)であり、また少年の遺体をコレクションするスナッフマニアでもあった。
ケヤルが受けた直接的な被害は3人の中でダントツでNo.1であり、ケヤルは100%ブレットに掘られている。
また諜報部としての裏の顔も持っており、タイムスリップ前で得た彼の知識もケヤルに様々な影響を(トラウマ的な意味でも)与えている。
タイムスリップ前は魔王との戦いの中でいつの間にか首が飛んでいたがフレアからは全く意識されていなかった。一方コミカライズ版では死亡する過程が明かされており、魔王の放った極太ビームに砲撃で相殺を試みたが、全く太刀打ちできずに頭部の一部と下半身を残して掻き消されていたことが判明した。
タイムスリップ後は一転、人間と魔族の間を取りもち戦争を煽るなど、諜報機関としての腕前を奮うことになる。
ぶっちゃけラスボス候補。一番因縁があるとは言え、ブレイドがアッサリ退場しただけに、「よりにもよってコイツかよ」という声も…

+ 保有する神装宝具
  • 【神装宝具】神砲タスラム
ブレットが所持・使用している神装宝具。武骨だが機能美に満ちた白銀の大筒。
魔力を弾丸として発射でき、その射程距離は400メートルを超え、全勇者の中で最長とされる。
実は拳銃であり、大筒としての姿はオプションパーツをかぶせたものに過ぎないが、ブレットはこの事実を切り札として、仲間達やプロームにすら隠し通している(ブレットの警戒心の高い性格を具体化したかのような宝具とも言える)。

  • セツナ
CV:石上静香
本作のヒロインその2であり、氷狼族の少女であり犬耳娘。
成長性は高いもののレベル上限が低く、同族からは虐められ、人間から掴まっては奴隷として売られていた。
しかし、ケヤルに買い取られた後は改良(ヒール)されたことでレベル上限が解放、
勇者に匹敵するまでの戦闘力を誇るようになったほか、ケヤルを妄信的に慕うようになる。戦闘技術が高いこともあってか、非戦闘時はフレイア、イヴ、エレンの体力作りのためにコーチを務めている。

  • クレハ・クライレット
CV:相川奈都姫
本作のヒロインその3であり、本作における数少ない善人
【剣聖】のクラスを持ち、単純な剣の腕ならば勇者であるブレイドを上回る。
ケヤルが最初に回復魔法(ヒール)した相手であり、苦痛に悶える彼を本気で心配していたが、タイムスリップ前はそれ以上の干渉することはなかった。
タイムスリップ後の世界においては、悪名を広げ奴隷を連れ歩くケヤルガを悪と断じて敵対。(なお、彼女の認識は決して間違っていない)
圧倒的な技量でケヤルガを圧倒するも紙一重で敗北し、ケヤルガに改良(ヒール)されて恋愛感情を植え付けられた。

  • ノルン・クラタリッサ・ジオラル / エレン
CV:津田美波
本作のヒロインであり、フレア(フレイア)の妹である第二王女。ジオラル王国の軍師でもある13歳。異名は「鬼畜軍師」*6

フレアの妹だけであって冷酷・残忍・高慢の三拍子を揃えた悪童であり、命を軽視する発言をする、思い通りにいかないと腹いせで飼い犬の「ジョン」に暴行を加える等、姉やブレイドと引けを取らない気性の荒さを兼ね備えた傲慢不遜な性格。そして追い詰められると高慢な態度をかなぐり捨てて「ごめんなさい」を連呼して命乞いをするという、乱暴者のクセに強い者には弱い情け無さも同じ
徹底した合理主義者でもあり、軍師とし合理的に勝つための策を常に考えているが、自分すら駒として扱う非常極まりない采配は姉であるフレアですら戦慄していた。
そんな感じであるが姉のことが大好きであり、好きだからこそ嫌がらせしているという人格破綻者でもある。

姉を救いケヤルをあぶりだすために戦争を起こしたが、そのケアルに護衛を全滅させられた上に、拉致されて姉同様記憶を消されてしまい、彼の生き別れの妹(しかも実の兄に恋愛感情を持つ)の記憶を植え付けられてしまう。
そしてフレイアと姉妹であることを忘れてしまう。百合好きな人憤慨モノな展開だが、あまりのクソヤバっぷりに非難の声が一切上がらないのは流石である。
姉と違い特別なクラスを持たないが努力家であり、頭も良い。観察力も優れており、タイムスリップ前の世界では正気を失ったフリをしていたケヤルを一瞬でその本性を見抜くほど。
だが敵と戦うどころか自衛のための訓練も一切していないことが祟って、肝心の戦闘能力は皆無である。その為、目の前の敵対者との戦いでノルンが取れる選択肢は『手下の兵士や部下に戦わせる』のみで、それらも使えず絶体絶命の状況に陥ると、プライドをかなぐり捨てて命乞いをするしかなくなってしまう。それが原因で、力のみしか価値観を見出せなかった周りとフレアに「出来損ない」と見下される羽目になっていた(おそらくこの出来事が原因で、ノルンの精神の歪みを加速化させた模様)。
洗脳後はその頭脳を遺憾なく発揮し(戦闘ではオペレーターとして活躍している)、ジオラル王国に民主主義的な施政を施すことになる。

  • メイド
CV:松井暁波
ジオラル城に仕えているメイドで勇者として城に迎えられたケヤルの監視者。本名は不明。
メイドでありながらジオラル国の精鋭騎士にも匹敵する程の実力を持ち、何気にケヤルの初めての相手でもある。
普段はお淑やかさを感じさせる雰囲気を出しているが、その本性はジオラル王国の暗部の例に漏れず悪意ある人間性の持ち主。泣き言いう相手や無垢な少年が琴線に触れ、軽快に凌辱するなどかなり加虐的な性格。
就寝間際のケヤルに夜這いを仕掛けてケヤルが投獄されるまで何日も毎晩犯し続けた。
その理由は勇者の体液による自身のレベル上限の解放とケヤルを肉欲に溺れさせ懐柔させる為である(だがその隙に、ケヤルに経験値を奪われていたことには流石に気付くことが出来なかった)。
原作・コミカライズ版ではその後、フレアに復讐するために脱獄したケヤルに用済み若しくは報復と言わんばかりにもう一人のメイドと共に首を刎ねられ殺されてしまうという呆気ない最期を遂げ、その遺体はフレアの死を偽るために「改良」で偽装された。その最期はケヤルをレベル上げの道具として扱って来た彼女にとって、ケヤルの自己強化と復讐目的の為に掌の上で踊らされ、最後に道具として扱われると言う皮肉な結末であった。
アニメ版では原作やコミカライズ版に比べて互いに利用し合うような邪険な関係ではなく、むしろ良好で親しげな会話をしているシーンもある。それ故に復讐の対象にならなかったため、ケヤルに殺さることはなく生存し、フレアの偽装は側近の護衛の遺体が使われた。

  • レナード
CV:内匠靖明 / 秋山絵理(女体化時)
ジオラル王国の近衛騎士隊長。容姿は小説版とアニメ版では、金髪と整った顔立ちを持つ。一方でコミカライズ版では、レナードの醜い本性を表すかの如く、チンピラや不良を彷彿させる悪人顔に改悪されている。
粗暴な性格ながら王国に対する忠誠心がありフレアに信用されている。
だがその本性は非常に自分勝手で残虐な性格。レナード自身はフレアに対して行き過ぎた支配欲と独占欲を抱いており、彼女を組み伏せて強姦する妄想を抱いていた。他にも人が苦しむ様を見て喜ぶ外道であること、罪の無い者を犯し尽くす卑劣さ、強い相手にはひたすら命乞いをする情け無さなど、人としての美点が見当たらないのは(当然だが)フレアやブレイドらと同類。なおコミカライズ版では敗走兵を拷問する際に安全を約束しておきながら「俺は優しいからな」と言っておきながらその兵の目を潰す、ケヤルガと対峙した際にアンナの死亡するまでの過程を嘲笑いながら話すなど、極めて加虐でサイコパスな人間性が加筆・強調されている
また騎士隊長のクセに頭が悪く、情報収集や対策が全く出来ておらず、さらに自分と他人の強さ比べも、相手の行動を読む事もなっておらず、とにかく人を見る目の無さが目立つマヌケぶりを発揮する。それは後述の通りケヤルにボコボコにされたにもかかわらず、リベンジをする際に「数人で囲めば勝てる」という浅はかとも、楽観的とも言える考えが最たるもの。はっきり言って騎士隊長向きではない戦術眼の持ち主である。そのため、ノルン姫にもその頭の悪さを問題視されていた模様。
ただし、バーコといった部下達から信頼を寄せられているため、ただの脳筋というわけではない模様…と言いたい所だが、前述の通りこんな残忍な男が人に優しくなんて到底考えられない為、恐らくその醜い本性を悟られぬように品行方正な騎士隊長であるかの様に振る舞っていたことが考えられる*7
戦闘力に関しては騎士隊長だけあって、当時のケヤルが恐れる程の強さを持っていた模様。
タイムスリップ後の世界ではフレアに素直に従わないケヤルに拷問を行ったことで彼の怒りを買い、フレアに復讐する際に襲撃に合いボコボコにされた挙句、影武者として容姿をケヤルそっくりに【改良】されたことで本来の存在を消され、『王女を殺して王国から逃亡した』という犯罪者扱いにされた上に、彼の血縁者は全員処刑されてしまい、晒し首にされてしまった*8
【癒】の能力を一向に使えないために別人であることが確認されるまでは王城内で諸々の罰を代わって受けることになり、それによってケヤルを酷く逆恨みし(ケヤルガから恨み言や報復宣言を言われたにもかかわらず「俺が何をしたと言うんだ!?」と宣う有様であり、半殺しにされる程の恨みを買っている自覚が無かったことが伺える)、その憎しみをジオラル王に買われ汚名返上のチャンスを手にする。
ケヤルをおびき寄せる為、ケヤルの故郷を襲い各地で兵士達に若い女性達を対象とした集団強姦を実行するだけでなく、村人の公開処刑も執行しようとする*9
自らの手でアンナをレイプして自殺に追い込んだ事と故郷を破壊したことでケヤルガの逆鱗に触れてしまい、部下諸共麻痺薬で気絶させられた後、小さな小屋に連れ攫われしまう。そこで復讐としてアンナの苦しみを理解させる為に*10レナードの外見を【改良】で、か弱い少女(ただし小さめのウィンナーは残ったまま)に性転換させて媚薬を投与され洗脳された自分の部下に犯させると宣言される。
自分を本気で惨たらしく殺そうとしている事を察すると涙を流しながら「何でもする、命だけは助けてくれ!」 (自分は頼まれても聞き入れなかったクセに)と醜い命乞いをするが、そんなことでケヤルガの怒りを清算できるはずがなく*11虚しく、そのまま部下たちにレイプされ続けられたことで弱っていき、家に火をつけられレナード本人とその部下共々焼死するというという、嘗ての自身の行動が自身に跳ね返ると言う因果応報かつ惨たらしい最後を迎えた(なお命乞いを一蹴された際、逆ギレ気味に「お前には血も涙もないのか」とおまいう的なことを言ったものの、ケヤルガから「お前のせいで空っぽだ」と(コミカライズ版ではただ単に「無いよ」)素っ気なく返されるだけであった)。
レナードが今際の際に遺した最期の一言は「やめてください!!イヤだぁ!!」という騎士隊長らしからぬ稚拙で惨めな命乞いだった…*12
ケヤルのレナードを自分そっくりに【改良】して身代わりにする計画までは良かったのだが、レナードのどうしようもない人間性を見抜かず、警戒せず、何者かの襲撃に見せかけて抹殺せず、個人的な恨みを晴らすべく生き地獄を味わせるという悦に浸りたいが為に生かしてしまったのは、レナードに復讐の機会を与える形で完全に裏目となってしまった。
結果的に、ケヤルは自身への逆恨みと言う名の復讐を望んだレナードによって、アンナを始めとする大勢の人間が犠牲になってしまう形で最悪な「失敗」を犯してしまう事になってしまった。同時にレナードのような「自制心や思慮の足りない小悪党」を下手に生かすと、どれほど危険なのかがよくわかる。
とは言えレナードもレナードで、アンナをレイプせず、そのままケヤルの動きを封じる人質として利用すれば良かったものを*13、自らの手で性欲を優先してそのチャンスを潰すという大ミスをやらかし、さらに人を見る目の無さと後先を考えない無謀ぶりが足を引っ張り、自分をボコボコにしたケヤルをいまだに弱い回復術士と認識していた事が仇となって破滅しただけでなく、自分の無謀な作戦のせいで部下を巻き添えにする形で死なせた「戦犯」となってしまったのは言わざるを得ない。そのためケヤルからは「何処までも鈍感で馬鹿な奴」と嘲笑され、ノルン姫にも「私のコマとしても働けないゴミ以下のゴミ」と罵られてしまった。
もしレナードに強さだけでなく『相手の立場になって物を考える』『目先の事だけでなく後先の事も含めて考える』などの合理的な思考能力がしっかり養っていれば、こんな悲惨な最期が起こらなかっただろう…。


追記修正(ヒール)は、より良い記事となるための改良(ヒール)でお願いします。

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最終更新:2025年04月10日 23:26

*1 初登場の第三章では「神甲ゲオルギウス」と名乗っていたが、第五章では「神籠ゲオルギウス」と呼ばれている。

*2 当然それは彼女の一方通行的な片思いに過ぎず、当のフレアからはプロローグでの態度から「世界征服の為のコマの一つ」にしか思われていなかった模様

*3 書籍版及び漫画版では名前のみの登場のため、どんな容姿をしているのか一切不明だったが、アニメ版にてその容姿が明かされている

*4 怒りをあらわにした際には大口を開けたり、上手くいかないことが起こると獣のような雄叫びを上げて癇癪を起こすなど凄まじく豹変する

*5 これはブレイドが精神的に全く成長していないため、幼児趣味がそのまま変わらず残っているからではないかと推測されている

*6 小説版第3巻の作品紹介より

*7 恐らく名声や名前に傷がつくことを嫌がり演じていた可能性が高い

*8 コミカライズ版では彼の一族が処刑された説明がカットされた

*9 なお、ケヤルガの村を襲い、人質に取るという発想はノルン姫の入れ知恵だった模様

*10 ケヤルガ曰く「他人に酷いことができるのは、他人の痛みがわからないから」

*11 そもそもケヤルガからすればレナードは自身を酷い目に合わせた上に『逆恨みし、故郷と身内(育ての親)を八つ当たり同然で襲い、殺害した不倶戴天の仇敵』であり、そんな男の命乞いを聞き入れて貰う余地などあるはずがなかった

*12 尤も己の命惜しさからあれ程憎んでいた相手に、これまでの残忍な態度をかなぐり捨ててまで命乞いをし、部下達を見捨ててでも自分だけ助かろうとする等、騎士隊長としてのプライドや意気地の無さを最低なまでに見せつけた上に、王国への忠誠心もその程度の物であった事を窺わせる救えない最期でもあった。

*13 尚コミカライズ版では、ケヤルガとアンナの関係を知らなかった事を思わせるセリフを発言している。恐らくレナードは情報収集を怠ったことが予想できる。