登録日:2024/02/06 Tue 00:45:00
更新日:2025/05/07 Wed 21:29:00
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*がいよう*
WizardryⅢ リルガミンの遺産(Legacy of Llylgamyn)は、1983年に米国のSir-Tech社からApple II用ソフトウェアとして発売された、3DダンジョンRPG。ウィザードリィシリーズ第3作。
後に、
FC、
PCE、
SFC、
GBC、
PSなど、様々な機種に移植されている。
#2の項にもあるように、#2は
#1をクリアした冒険者を引き継いで(以下、「転送」)プレイすることを前提としていた作品であった。
FCではキャラクターの転送にターボファイルを必要とするため、そのままの移植では市場性がないと判断され、
新規作成キャラクターでもプレイできるように、大幅なバランス調整や迷宮の再構成を行った上で発売されることとなった。
そのため、FCでは順番を入れ替えて、本作が『ウィザードリィ
Ⅱ リルガミンの遺産』として発売されることになり、
作品のナンバリングが#2と#3で逆になるというややこしいことになっている。
間違えないように、副題であるリルガミンの遺産や略称であるLoLなどと呼ばれることが多い。
『リルガミンサーガ』のようにPC版準拠のものがⅢで、NP(ニンテンドーパワー)版・GBC版などFC版準拠のものはⅡとなっている。
*あらすじ*
冒険者の活躍により、魔人ダバルプスの呪い穴からニルダの杖を奪還(『
ダイヤモンドの騎士』)してから百年、リルガミンの街は繁栄を謳歌していた。
しかし、世界各地で突如として原因不明の天変地異が続発するようになり、リルガミンの街を守護するはずのニルダ寺院さえも地震で倒壊するに至り、
リルガミンの人々もようやく只ならぬ事態が起こっている事を悟った。
世界が混乱する中、リルガミンの賢者たちは、偉大なる龍エル'ケブレスが守護する宝珠の力によって天変地異の原因を探る事ができることを突き止める。
リルガミンの街を治めるベイキ女王は、エル'ケブレスの洞窟から宝珠を持ち帰った者には多額の褒賞と星の称号を与えるという布告を出した。
この布告を受けて、世界各地から冒険者(=プレイヤー)たちが世界を救うため、あるいは一獲千金や名誉を夢見て集う。
その中には、かつて悪の魔術師ワードナや魔人ダバルプスを倒し、
世界を救った英雄の子孫の姿もあった。
*しすてむ*
基本的なゲームシステムは、前2作と同じ。ギルガメッシュの酒場や
冒険者の宿も健在。
呪文は前2作と同じだが、村正や手裏剣など一部アイテムが削除されている。
職業や善・悪・中立の性格(戒律)も従来通り。前2作では
パーティー編成や装備品ぐらいにしか影響を及ぼさなかった性格が今作では重要な意味をもつ。(後述)
前作と同様に、過去作からキャラクターを転送してくることも可能だが、本作のキャラクターは#1・#2のキャラクターの「子孫」であるという設定から、
そのままのレベルにはならず、ある程度祖先の能力を反映したキャラクターとして「転生」される。
*だんじょん*
本作の
ダンジョンは、山の中の洞窟であり、1Fからスタートしてエル'ケブレスが待つ6Fを目指し昇っていく。前2作が迷宮を下っていったのとは真逆の構成である。
最大の特徴は
キャラクターの性格によって侵入できないフロアが存在すること。
2Fと4Fに立ち入れるのは「善」と「中立」のキャラクターのみ、3Fと5Fは「中立」と「悪」のみで、善悪混成のパーティは1Fにしか入れない。
クリアのための必須アイテムを入手するためには、二つのパーティを同時進行で育てながら
ダンジョンを攻略することになる。
同時進行で二つのパーティを育てることを前提としているためか、全体的に戦闘で得られる
経験値が低く、レベルが上げにくくなっている。
また、オリジナル版(とそれに忠実な移植版)の場合は、上級職の専用アイテムも乏しいため、
効率的な探索には前2作ではスポットが当たる事の少なかった中立の基本職キャラクターの育成が重要になっている。
ただし、中立キャラには「プリーストスペルを使える職業に就けない(=回復呪文を使えない)」という重大な問題が存在するため、中立キャラのみでクリアすることは現実的ではない。
最低でも、僧侶は善悪の2キャラが必要になってくるだろう。
反面、シリーズの他作品に比べてモンスターの強さのインフレも少なく、ウィザードリィシリーズの中では、比較的のんびり遊ぶことができる一作となっている。
FC版(とそれをもとにした移植版)では、得られる
経験値の引き上げや、
三種の神器の復活などのバランス調整が行われている。
PCE版では、#1と#2のクリア勲章を持つキャラクターを転生させると、隠し
ダンジョンである7Fに侵入可能。非常に強力な龍族が待ち構えている。
GBC版では、クリア後のおまけとして、善のパーティが剣術、悪のパーティが魔法の修行者となり、性格ごとに受け持つフロアを探索して、
キーアイテムをやり取りしながら最終関門を突破するという内容のEX
ダンジョンが追加されている。
*きゃらくたー*
リルガミンの女王にして、#2に登場したマルグダ女王のひ孫。
ゲーム本編では、冒険者への依頼人としてエンディングに登場する。
洞窟の地上6階にいる、大地を守護する偉大なる龍。その正体はこの星の意志そのもの。
その能力は凄まじく、冒険者たちのあらゆる攻撃・呪文は通じず、味方にかける治療・支援呪文まで打ち消すという徹底ぶり。
あるアイテムを持っていれば戦闘を回避でき、最上階を自由に探索できるようになる。
ちなみに、今作最大の難関は、そのアイテムを手に入れる方法が全くのノーヒントであることである。
地上1階の砦を根城にする海賊たちの首領。実質的な地上1階のボス。
手下含めて実力は大した事はないが、弱い割に落とすアイテムの質は良く、彼を何度も倒してレベルと装備を整えるのが、序盤攻略の基本となる。
本作の「
先生」枠。
浅黒い肌の男で、迷宮内の各所に出没する。
ある時はタクシー運転手(一定金額を支払う事で、パーティを城へと送り届けてくれる)。またある時はヒントをくれる。
*しょうせつばん*
本作を題材にした小説として、『小説ウィザードリィⅡ 風よ。龍に届いているか』がある。作者はベニー松山。
宝島社の『ファミコン必勝本』に連載され、加筆・修正されて1994年9月に同社より単行本が出版された。イラストは高橋政輝。
その後、2002年10月に創土社より上下巻で復刊。創土社版の下巻には著者が『ウィザードリィ小説アンソロジー』に書き下ろした、本作と関連する短編『不死王』も再録されている。
本作を題材にした小説ではあるが、物語は洞窟探索の最終盤から始まり、
ゲーム本編では不明であった天変地異の原因や真の黒幕などが壮大なストーリーで描かれている。
追記・修正は宝珠を持ち帰った人にお願いします。
- ハイコルセアはアイテム目当てでなくても中盤まで絶対通る場所にいるから毎回倒される。4コマで「はよころせや」になっていたのも納得の悲しさ。 -- 名無しさん (2024-02-06 02:04:10)
最終更新:2025年05月07日 21:29