グランナード

登録日:2024/04/06 Sat 19:05:28
更新日:2025/03/23 Sun 21:02:07
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オレの名はグランナード

おまえら勇者どもを皆殺しにするために造られた地底魔城の切り札さぁ


グランナードとは、『ダイの大冒険』のスピンオフ漫画『勇者アバンと獄炎の魔王』の登場人物。
名前の由来は花崗岩を意味するgraniteと思われる。

目次

■概要

(旧)魔王軍との決着をつけるべく地底魔城に攻め込んで来たアバン一行を迎え撃つため、魔王ハドラーが禁呪法で生み出した禁呪生命体。
後に生み出されるフレイザードのプロトタイプとも言える存在。
戦況に不安を覚えた魔王が急遽追加の戦力として創り出した魔物であるため、初登場は単行本9巻とかなり遅く、それまでは影も形もない。

本家『ダイ大』において「生後1年程度しか経っていない」という設定のため、六大団長の中でも唯一前日譚である本作に登場できないフレイザードの代理として登場したキャラで、顔つき・口調・性格とも瓜二つ。
かつ本家で勇者一行と面識がなかったという設定のため魔王軍幹部の中で唯一後方支援担当となっているブラスの代理でもあり、バルトスの守る地獄門にアバンしか辿り着けなかった理由付けとなるキャラ。
そして同じく禁呪法でバルトスを生み出した当時からのハドラーの心境の変化をより強調する存在でもある。


■戦闘能力

ハドラーが地底魔城の壁から削り取った花崗岩をベースに生み出した岩石生命体で、周辺一帯の花崗岩を操るという特殊能力を持つ。
単独ではゴーレムやストーンマンの亜種でしかないだろうが、全体が花崗岩で形成された地底魔城で戦う限りは圧倒的に有利という完全な拠点防衛用の戦力。
  • 自分の肉体を自在に変形・修復できる
  • 地面に潜り込み、自在に泳ぐ(高速で突き進む)
  • 地面から瞬時に岩壁を出現させ敵の攻撃を阻む
  • 四方の壁から複数の尖った岩を降り注がせる
  • 周辺の岩を合体・変形させ武器として操る
など多彩な戦法を展開でき、完成したアバンの剣技を以てしても苦戦は必至。
そしてフレイザードと同様(コア)の部分を破壊しない限り倒せず、上述の再生能力もあり生半可な攻撃では有効打にならない。


■作中の動向

ハドラーによって生み出された後、出撃の前に挨拶代わりとばかり地獄門を守っているバルトスに向かって殺気を飛ばす。
バルトスは咄嗟に剣の一本を投擲するも壁の中にいるグランナードには効かなかった。後にアバンとの戦闘で見せたブラッディースクライドっぽい技を撃たれなくて良かった
自分より先にハドラーに創られたバルトスを「兄貴」と呼び一応の敬意を示したものの、「勇者達は自分が倒すから兄貴の出番はねぇ」と挑発的な捨て台詞を残しアバン達の元へ向かう。

突如地中から強襲してきたグランナードに対し、レイラはアバンを無傷で地獄門に向かわせるため足止めを買って出る。言ったそばからバルトス兄貴の出番来ちゃった
地中を移動できるグランナードはその気になればレイラを放置してアバンを追跡しバルトスと挟み撃ちの形にもできたが、レイラの挑発に乗ったことで彼女との一騎打ちとなる。やはりアバン一行はレスバが強い
レイラをか弱い女僧侶と思い甘く見ていたグランナードだが、回復呪文のみならず攻撃呪文も強化できる聖なる杖の力、そして影女としてのナックルを使った猛攻に思わず面食らう。岩の化け物にケダモノ呼ばわりされる人間の女

だがスピードでは彼女に追いつけずとも、地形を操れるグランナードはすぐさま形勢を逆転する。
自分を巻き込む形で彼女に無数の岩石を浴びせ、かつ自分の受けるダメージは軽微かつ何度でも再生可能、それどころか自分が受けた岩石の刃をそのまま武装に転用できる。
レイラのナックルも砕けてしまい、勝ち誇ったグランナードは彼女のあがきを嘲笑する。

だが「かつての魔王はお前のように下劣ではなかった」という彼女の言葉を受け、怒りで我を失ってしまう。
そのまま接近戦でトドメを刺そうとするが、突きさされた聖なる杖が抜けなくなってしまい、その部分にさらに打撃を加えられたことで体内の核を砕かれ、肉体が崩壊してしまう。
己の敗北と死を悟りながらも呪詛の言葉を吐きながらレイラの足を掴むグランナードだが、無情にも顔面を踏みつけられ砕け散る最期を迎えた。

地底魔城を守る戦力としては従来の幹部達に見劣りしない能力を持ち、特に対レイラにおいては距離を詰めてのピンポイント攻撃に注意すれば完封も可能だっただろう。
戦闘内容を見ても明らかに精神面の弱さ・未熟さが敗因となっており、その点ではこの決戦において甘さを見せなかったガンガディアキギロ、バルトスらに劣っている。
しかし生まれたてで戦闘経験が皆無なことと、そもそもコイツが誕生した経緯を考慮すればそれも仕方のないところか。


■性格

追い詰められたハドラーの精神状態が反映されている影響か、人間という種族に対して強い敵意と嫌悪感を持っている。
オマージュ元だけあってフレイザードとは非常に共通点が多く、下記のような行動が一致している。
  • 「じっと番人をしているなど性に合わない」と言って積極的に前線に出る
  • レイラの片足を掴み宙吊りにする(フレイザードはレイラの娘マァムに)
  • 自分の能力に驕り、「これで負けたらバカだぜ」と勝ち誇る
  • 最期は目だけの状態のところを惨めに踏みつぶされる(フレイザードはミストバーンにだがグランナードは正義側のハズのレイラに)
だが、フレイザードが「手柄を立て自分の存在価値を証明するためには命をかける」という信念を持ちどこか悲壮感も漂わせていたのに対し、グランナードはひたすら粗暴で傲慢、卑劣な面が強調されている。
何せバルトス・レイラ・アバンと関わった全員から「下劣な奴」「あのハドラーがこんな魔物を生み出したのか」といったような反応で共通しており、敵味方関係なく擁護の余地がない有様である。

禁呪法によって創造されたモンスターは、創造主の精神の影響を強く受ける為、グランナードの振る舞いから当時のハドラーの心境が見て取れる。
バルトスが敵対する勇者に対しても正々堂々と名乗りを上げるなど誇り高い武人だったのに対し、グランナードは地中から奇襲を仕掛けた上に人間を痛めつけるのを愉しむ反応を見せている。
かと思えばレイラの挑発に簡単に乗ってしまう、彼女が予想以上の奮闘を見せた際には激しく動揺する、そして最後は怒りを滲ませつつ猛攻を仕掛けるも返り討ちに遭うなど精神的な脆さも目立つ。
これはアバンに追い詰められ凍れる時間の秘法で封印されていたことでハドラーの人間に対する憎悪と恐怖が限りなく増大し、かつそれまでの自信と誇りが失われたことを象徴していると見られる。
実際ハドラーはこの後アバンとの会話で「こんなはずはない、人間の癖に」と動揺を覚えていたことを告白している。

ハドラーが敗れた幹部たちを役立たず呼ばわりしこき下ろした際、アバンは彼らは誇り高い立派な戦いぶりを見せたと反論しながらも「お前が壁を削ってこしらえた岩の化け物だけはそうは見えなかった」と否定した。
ハドラーからしてみれば「今のお前は精神面において己の部下にすら劣る」と言われているも同然であり、事実この時のハドラーは密かに怒りと屈辱の感情をにじませている。

数少ない美点としては、アバン達との会話においてバルトスを「門番ならこの先に立派な奴が立ってるぜ」と本人のいない所でも素直に実力を認めていたことか。
精神的に追い詰められバルトスだけに最後の守りを任せられなかったとはいえ、心のどこかでバルトスを信じたいというハドラーの意思が反映されたのかもしれない。

グランナードの登場によって、これまで卑劣で凶悪な敵との印象ばかりが強かったキギロも「他の幹部と同様、妥協もなく命がけで戦った強敵」として相対的に株を上げアバンにも評価された。
なお生みの親であるハドラーはというとアバンとの戦闘中、かつて地上征服を目指し始めた頃の決意と闘争心を取り戻しているため、小物扱いのまま倒されたのはグランナード一人という結果になった。
まぁ蘇ったハドラーもここから再び長い暗黒期に突入するのだが


■余談

フレイザードの「女だろうと容赦しない」「触れただけで致命傷となりかねない体質」「暴力性のみならず冷静な判断力を備えている」点は「女だからとナメてかかりボコボコにされた挙げ句に敗北した」グランナードの教訓が活かされている可能性も考えられる。
(魔王ハドラーは途中で幹部の不甲斐なさに嫌気がさして見張り役であるあくまのめだまを始末したが、わざわざ追加の戦力として用意したグランナードの戦況を全く確認していないとも考えづらいため)


今実感できたぜ 不完全な項目を追記するために生まれたのが…

このオレなんだってことをなァ!


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最終更新:2025年03月23日 21:02