ガンガディア(ダイの大冒険)

登録日:2023/10/04 Wed 23:06:21
更新日:2025/04/08 Tue 23:43:47
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まあ頭脳だけ優れていても勝てんな

やはり………『力』がなくては!

ガンガディアは『ダイの大冒険』のスピンオフ漫画『勇者アバンと獄炎の魔王』の登場人物。

目次

【概要】

魔王ハドラーが率いる(旧)魔王軍の幹部の一人。
魔王軍の参謀格で、眼鏡をかけ知的な雰囲気を纏ったトロル一族の男。
同族の中から数百年に一度産まれる希少種「デストロール」で、ハドラーから「粗暴なトロル一族の異端児」と評されている。

【人物】

読書とトレーニングを趣味としていることから分かる通り、厳格かつ非常にストイックな性格
愚かで粗暴で醜い体である『トロル』という種族そのものや、自分がトロル一族に属する所為で同列扱いされることに屈辱を覚え、そのコンプレックスをバネに必死にトレーニングや勉強を重ね現在の高い知性と鍛え抜かれた肉体を獲得した。
一般的なをトロルより一回り大きい巨体ではあるものの、太っていない筋肉質な体型なのは純粋な自己鍛錬の賜物である。

かなりの博識であり、当人も「(旧)魔王軍において最も魔法の知識がある」と豪語する。
知識あるものには敬意を表すことがあり、凍れる時間の秘法の解呪に難航し思わず書物に八つ当たりしてしまった時は「書物に罪はない」と反省する一面も。
知識だけでなくハドラーの側でアバン一行の動向を正確に推察するなど、ハドラーも一目置く慧眼を持っている。
一方で、トロル一族そのものを醜悪で惰弱な存在として忌み嫌っており、「自分は他のトロル種とは一線を画す」点に異常なまでにこだわる。

これで嫉妬深く頭の沸点が低いだけならば大した相手ではないが、自己研鑽意欲が旺盛なのが長所であり、敵に回すと厄介。
その向上心の強さは自分を上回る知性がある者は敵であろうと敬意を示すほど。
特に目をかけているのがマトリフ。本家ダイ大のハドラーがマトリフの能力を把握していなかったのも、ガンガディアが相手を引き受けていたためだと明らかになった。
かつては「デカブツ」「脳筋」といった 同族を揶揄する単語を自身に当てはめられると、普段の落ち着きや理性が嘘のように消え怒り狂い、侮辱した敵に突撃する短気な一面を抱えてしまっている短所があったが、
初戦時にやはり「デカブツ」と挑発してきたマトリフが体躯と膂力で圧倒的に勝る自分を見事にやり込める姿にその腕前を認め、
以降はマトリフと対峙した際に「前回の戦いを踏まえてデカブツのトロルは君とどう戦うと思うね?」「醜悪な大男ですまんね」などと自分から冗談っぽく話しており、初戦の不覚を踏まえ、自分の欠点と反省しつつマトリフへの敬意もあいまって冗談を言うまでになるほど改善していた。
マトリフとは四度戦うことになるが、二戦目は町の地理をも活かして退けて見せた姿に「……憧れる!」と悔しさ滲む表情でこぼし、
決戦前には「正直に告白しよう。私はあなたを尊敬している。」と面と向かって敬意を示すまでになった。

マトリフの方も作戦のためガンガディアを「デカブツ」と度々挑発するものの、再戦以降は「あれで側近レベルだってんだから気が遠くなる」「これだから頭のいい奴は面倒なんだよ」と内心で強敵と評している。
決戦前に向けられたガンガディアからの真っ直ぐな敬意も「……そこまで入れ込んでもらって光栄だぜ。できれば美女のほうが良かったけどな。」と冗談を交えつつ受け止め、彼の挑戦を受ける宣言をした。

ちなみにクロコダインと顔を合わせる機会があり、封印状態のハドラーの救出という功績を上げたにもかかわらず「ザボエラの依頼でやっただけだ」と報酬を求めるどころか名前も名乗らず去っていく度量に感心していた。
一方、後にハドラーの参謀となるそのザボエラとも一度面識を持ったが、自分にできないことをやってのけた知力の高さを認めつつも、ガンガディアたち魔王軍や依頼をこなしたクロコダインすら見下す一方でボスであるハドラーには手柄と名前を伝えるよう念入りにアピールするあまりの品の無さから「…全く…憧れない!」と怒りで血管を浮き上がらせた状態で吐き捨てるほどに心底軽蔑した。
しかも隣にいたバルトスまで頷き同意していたし、特別編では後輩達「一字一句同感だぜえ」「ダニめ」「ブローム💢」と共感されていた。

参謀としてもなかなかに優秀。前述の通り知識が豊富なだけでなく洞察力も高いので
「手元にある情報を分析して、最善と思われる行動・戦術を選択」するセンスが非常に優れている。加えて、
  • マトリフに対して、自分が圧倒的に有利なフィジカルを全面に出して押し切る戦術を常に選択
  • マトリフやアバンにヨミカインに眠る叡智を活用されないよう遺跡ごと破壊
  • メドローアアバンストラッシュの完成を前提として、ハドラーに対し後方待機を提言
など、自分達の理念・性格に反する方針であっても自軍に利あり、と判断したらその案を躊躇なく選択できる冷静な部分もある。
後に魔導図書館ヨミカインの破壊については敵であるマトリフに「後悔している」と述べており、軍事的判断としてやむなく破壊したものの知を尊ぶ者としての芯は本物であることがうかがえる。

マトリフらが口にする「魔法使いはパーティの中で一番冷静でなければならない」を敵ながら見事に実践している人物である、ともいえよう。

しかし、こうした姿勢と聡明さ故に、旧魔王軍では有事にガンガディアに負担が集中してしまうという組織的な問題があった。
実際アバンパーティの活躍でキギロが敗退し、更にはアバンに敗れたハドラーが鍛えなおすべく引きこもりになってしまった際は、
同じ幹部であるバルトスブラスはそれぞれ門番や戦力増強という替えが聞かない重要な役割があり、大軍を指揮できる能力・経験をもつのはハドラー魔王軍ではガンガディアのみ。
そのため、神出鬼没なアバン一行の追跡に加えて各地の魔物の指揮などの決して楽ではない魔王軍の運営をガンガディアが一人で背負わざるを得なかった。
さすがにこの時期はガンガディアもオーバーワークに苛立ちながらバルトスに「孤独だよ」と愚痴を零していた。
「めっちゃ働いてるぞこのデカい人!」「尊敬する」「ブローム」

【戦闘能力】

見せてあげよう! 学習と工夫を重ねた

この私の呪文攻撃をっ!


キギロによればバルトスと並ぶ武闘派
精進の結果として引き締まった筋骨隆々の肉体を持ち、常人の背丈の倍程もある杖のような柄の長い特別仕様の巨大棍棒を武器とする。
ハドラーが怒りに任せて暴れた際に諫めるのはガンガディアの仕事で、それが務まる彼は旧魔王軍において魔王に次ぐ実力者と目されている*1
後世の怪力無双には及ばずとも、トロル一族の突然変異種に相応しく凄まじい剛力の持ち主。
自己鍛錬によって練り上げられたその練度たるや当時のアバンがまだまだ未熟とは言え、力を籠めた前腕の筋肉だけでも大地斬を受け止めてしまう程。
そして最大の特徴はトロル版魔法使い、人間でいえば魔法戦士というべきその戦闘スタイル。
マトリフは「呪文マニア」と皮肉ったが、ヒャダルコイオラメラゾーマなど多彩な呪文を習得して操り、技も非常に多芸で状況判断も適切。
  • 巨大棍棒を振り回すという大きな隙が生じる立ち回りを呪文でカバー
  • イオを棍棒で打ち上げて衝撃で拡散させて複数の標的を牽制する器用な小技
  • ルーラを肉弾戦に持ち込む為の接近手段に用いる
  • 正面の敵と鍔迫り合いを行いながら魔力と体力を溜めて、側面から襲い掛かって来た敵2人の攻撃に合わせて立て続けにカウンターを放つ
等、トロル一族としての己が持ち味を最大限活かす方向で魔法を活用している。
ガンガディア自身の粗暴な力に関してもどちらかと言えば『好きではないが公平に己の長所、武器の一つとして認めざるを得ない』としているような節が見えたりと、ただ策謀のみに拘るよりも恐ろしい客観的思考の持ち主である。

しかし彼の頭脳をもってしても、凍れる時間の秘法の解呪方法は自力で特定できなかった*2
加えて、マトリフがぶっつけ本番で発動したメドローアを見ただけで仕組みを理解こそすれ鍛錬を重ねても習得することは出来なかった。
こればかりはマトリフが自他ともに認める「天才」ゆえなのだろう。
同時にたった5日間でメドローアを習得したポップの異常性までもが強調される事にもなった*3

さらには魔法力の問題かレベルか種族的限界かはわからないが、極大呪文の類は一切使えない様子。まあ、旧魔王軍で極大呪文が使える幹部が居たらパワーバランス崩壊なので当然と言えばだが。

総じて、個人の知と武に加えて参謀や指揮もこなせる優秀な人物であるものの、それでも魔術の才は同時代の天才や後の時代の人物に比べると及ばない部分があるようだ。

見たまえ! 己を捨てて獣と化した我が姿を!

ド・ラ・ゴ・ラ・ム!!!

ヨミカイン魔導図書館にてガンガディアが厳選した、彼にとっての最強呪文。
本作においては、マトリフですら実在を疑う伝説の古代呪文とされており、二つのオリジナル要素が加えられている。
まず、
  • 四肢の一部を竜へと変化させる「ドラ」
  • 頭部を竜化させてブレスが使用可能になる「ドゴラム」*4
  • 全身が竜化する「ドラゴラム」
の三段階に分かれる。
そして、術者の肉体の質によって竜化による強化の程度が変わる。

「つまるところ、自分の筋骨隆々な肉体を徹底的に強化して、筋力による破壊力とスピードで獣の如く何も考えずにゴリ押すのが最適である。呪文は火炎のブレスで存分に補えるし、戦士でも武術家でもないのだから肉体変化しても特に困らない。力こそパワー」
ガンガディア自身がこの結論に早々に行き着いており*5、この呪文こそが自分との相性が最も良いと理解していた。
ただし、知的で理性ある振る舞いを理想とする彼にとっては屈辱的な選択でもあるので、習得はしても使う気は起きずに、この呪文が記された魔導書を禁書とすら呼んでいた。*6
早々に習得したはずの超呪文をサババやウロドの戦いで使わないのはこのためだった。
しかし、凍れる時間の秘法によって調子を崩したハドラーの有様を目の当たりにしたガンガディアは、責任感と忠義心から、そしてなにより 今の自分の魔力ではマトリフに呪文勝負で太刀打ちできない と冷静に判断した*7結果、自分の拘りを捨ててこの魔法を解禁する覚悟を固めた。

【最終決戦】

来る決戦において、アバン一向を誘導して闘技場でマトリフとの一対一に持ち込んだガンガディアは、予定通りに火竜変化呪文(ドラゴラム)を発動。
奇しくも原作でアバンが使用した時と同じく"眼鏡をかけた竜"の姿になった。
ただでさえ強靭な肉体を竜化させたことによって防御力も上がり、強力なブレスを吐く竜化ガンガディアには、並大抵の魔法は有効打にならない。
通用し得る大呪文を発動するためにマトリフが距離をとって魔法力を溜めようとすれば、翼も活かした高速移動と肉弾戦で封殺する。
牽制に放つ火炎は竜のブレスで魔法力を伴わないので、氷系呪文によってメドローアを発動される心配は無く、マトリフはただ防御し逃げに徹するしかない。
相性で有利な戦闘スタイルで徹底的にメタを張り、マトリフを追い詰める猛威を振るった。
直前にアバンから盾を譲り受けていたマトリフは辛うじて竜化ガンガディアの猛攻をしのぐも、遂に限界が来て盾も破壊されてしまう。
勝利を確信したガンガディアは、盾が砕け、最早打つ手なしのマトリフの繰り出す苦し紛れのメラを弾き、トドメを刺さんとする。
しかしマトリフの真意はあえて弾かれることで残されたちっぽけな魔力の炎をガンガディアの意識から逸らし、その残り火めがけて同じように威力を搾ったヒャドを打ち込む事で、いわば「設置型メドローア」を発生させる事だった。
「メドローアを設置して時間差で撃てるようにする」という使い方次第でフェニックスウィングを完封しかねない凶悪な戦術に、これをポップが思いつかなくて本当によかったと原作を知る読者達は慄いた
マトリフの信じがたい精密な魔力コントロールと予想外のダメージに狼狽し距離を取るため飛翔するも、知将ガンガディアは今起きた事態を冷静に分析、理解していた………それこそがマトリフの狙いと気づいた時には、全てが手遅れだった事も。
ガンガディアは例え竜化しようと、その知性が曇る事はない。そして知恵あるからこそ、思いがけない事態には反射的に「分析」し「理解」しようと「考えて」しまう…つまり「何も考えずパワーでごり押しする」という完全無欠の戦略を自ら崩してしまったのだ。
ほんの僅か、作らされてしまった「思考する」という隙。その数瞬はマトリフにとってメドローアを練り、打ち込むには十分すぎる時間。ガンガディアは喉もとのブレスを生み出す器官を撃ち抜かれ、自らの炎に焼かれ爆散する…。
ここに人類最高の知性と魔王軍最高の知性の、知恵と力と魂をかけた総力戦は雌雄を決したのだった。

戦いが終わり、死を待つだけとなったガンガディアはマトリフにドラゴラムが記載されていた魔導書を託す。
敵にヨミカイン魔導図書館を利用させないためとはいえ、図書館を破壊した事を心底後悔していたためであった。
その後悔のまま死ぬはずだったガンガディアに、マトリフは自身が天才故にこれまでの人生で対等のライバルが現れた事がなかったと語り、
ガンガディアはマトリフの人生で初めて現れた、心躍らせてくれる好敵手だったと生涯唯一のライバルを讃える。
そのマトリフの称賛にガンガディアは感激し、「あなたに評価されると最高に嬉しい」と安らかに事切れるのであった。


迎え撃つ!
我が追記と……修正のすべてを賭けて!


この項目に……\(あこが)れる!/

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最終更新:2025年04月08日 23:43

*1 最強の騎士バルトスとの力関係は不明。

*2 マトリフは、解呪できそうな方法を自力でいくつか見つけていた

*3 後にマトリフが言った「(メドローア会得に)センスの無い奴は一生できねェ」が自身の自負ではなく、単なる事実だった事を裏付ける形になった。

*4 「ドラ」と「ドゴラム」は併用可能で竜人のようにもなれる

*5 パワーに任せて接近戦を押しつけて呪文を使わせないという戦法は、マトリフも認める「正解」の対処法であった

*6 ドラゴラムの魔導書自体はヨミカインでの入手…となるとマトリフやアバンと対面する前にすでに上述の結論を意識していた可能性も考えられる

*7 実際、マトリフは後に老いて衰えたであろう原作においても獄炎の魔王時代から遥かにパワーアップを果たしたはずのハドラーと呪文で互角に撃ち合えるレベルであるため、この判断は恐らく間違っていない