勇者アバンと獄炎の魔王

登録日:2011/05/31 Tue 20:13:31
更新日:2025/04/10 Thu 20:29:29
所要時間:約 10 分で読めます





…俺はおまえのあの光る剣に希望を見た! 
偶然であれ 未完であれ 
魔王をひるませた一撃であったことはたしかだ!! 

おれは…あの光を信じる!! 



かつて週刊少年ジャンプで連載されていた漫画「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」の外伝作品。

●目次

【概要】

正式な名前は『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王』。
『ダイ大』は本編の外伝的なエピソードが描かれたのはせいぜい旧アニメの劇場版くらいで、連載終了から約24年にして初めての本格的な外伝作品とも言える作品である。
原作は本編と同じく三条陸が担当し、作画は芝田優作。彩色はイラストレーターのOKADAが担当。

2020年のアニメ放映に合わせて企画が始動した。
2020年11月からVジャンプで掲載されており、2022年3月19日からはジャンプ+でも連載されている。
ちなみに本記事の登録日がおかしくなっているが、元々「勇者アバンのパーティー」として立っていた記事が『獄炎の魔王』連載開始に伴い記事名変更され、人物紹介に流用されたためである。

当初はVジャンプ連載ということもありそれほど注目されていなかったが、原作者である三条自身が手がけた丁寧なシナリオや、詳細に描かれていくアバン達の過去、本編ではチョイ役だった意外なキャラクターの再登場等で人気を集めていき、単行本第1巻が発売された際には全国各地で品切れが続出し、プレミア化する事態が発生するほどの人気を巻き起こした。

時系列はダイ大本編から10数年前、魔王ハドラーが世界を震撼させていた頃が舞台。
後に勇者の家庭教師となるアバンの、原作では断片的にしか描写されなかった在りし日の活躍を描く。

三条氏によると、当初は「新アニメ放送に合わせて2年間ぐらいの予定で」と依頼を受けて始まったが、筆がのって色々膨らんだ事とファンからの支持を得ることができ、第一部だけで3年間連載が続くことになったそうな。

2024年7月の第44話を以てハドラー打倒までを描く第一部勇者編が完結し、さらに戦後「勇者の家庭教師」となってからを描く第二部先生編を11月より開始。

本編を見ていた読者は本編で語られていなかったおそらく後付けも含まれる設定を納得できる形で提示してくる事に唸る一方で、
本作から『ダイ大』に入った読者はアバンとハドラーの結末を知らないため、そこからさらに本編を読んで冒頭で死ぬ前作主人公と堕ちるところまで堕ちた前作ラスボスに絶望してしまうとか。
そして、先生編でヒュンケルの描写が増えたことで復讐心を抱きながらも人間の優しさは失っていない少年が闇落ちして長い間苦しんだ末に主人公の敵として出てくる展開を見ることになる。
確かに本編の結末を知らない状態で読むとそうなるのも仕方ないっちゃ仕方ないが、ちゃんと盛り返すので頑張って読み進めてほしい


【人物紹介】

勇者アバンのパーティー

主人公であるダイが生まれる以前、地上の平和を脅かしていた魔王ハドラーと彼が率いた魔王軍を倒して平和を取り戻した者達である。

だが『勇者』というくくりが有名な一方で、意外にも彼ら自身の名前はあまり知られていなかったりする。
特にポップ達若い世代にはそれが顕著。
助っ人として参戦するも、当事者以外には知られていない者がさらに一人いる。そちらは後述。
ネタバレを含むので閲覧注意。
凍れる時間の秘法などの項目と合わせての閲覧を推奨するが、あちこちネタバレがあるので注意。

いけませんねえ…魔王さんとやら 
女性を誘う時はもう少し優しく声をかけなければダメですよ

元祖勇者。ハドラーとの決着時17歳(実年齢は16歳)。
武芸や呪文の他、学者の家系の出であることから様々な知識に長けるやたら万能の人。

12歳の時にお忍びで城を抜け出していたカール王国のフローラ王女と出会い、彼女を襲うモンスターを退治した。その功績と強さからフローラの要請を受けて騎士団に入るものの、伊達眼鏡をかけて自身の力を隠して昼行灯然としていた。現在にも通じるニコニコした風体で、当時の城仕えの女中にはモテていたっぽい。
そして数年後、ハドラーがカール城を襲った際に眼鏡を外しその本性を晒す。

なおハドラー打倒の旅に出る前、フローラからカールの守りという首飾りを託されている。
その交換として、後にアバンのしるしと呼ばれる貴石を一つ彼女に渡した。
ついでに「平和が戻った時に受け取りに来る」と約束として伊達眼鏡も預けている。
フローラからは好意を向けられており、それに気付いていないものの実は両想いだったり。

ハドラー軍団との戦いに身を投じるが、どう考えても人類のジリ貧は必至であり、「今すぐ魔王をどうにかしなければならない」と判断。
「凍れる時の秘法」でハドラーを封印しようとするが、技量が足りず、ハドラーのみならず自分まで封印に巻き込まれることになった。しかし、魔王軍はトップを失ったことで急激に弱体化し、人類は勢力を立て直す時間的猶予を得ることができた。
「凍れる時の秘法」は未完成であったため、約1年でハドラー共々封印から解放される。
さらに約1年後、完成した必殺剣を携え、再び終結した仲間と共に地底魔城の最終決戦に挑み平和を勝ち取った。
この際にバルトスとのやり取りも交わされ、さらにその後ヒュンケルとの出会いを果たすこととなる。
平和になった後、とある出来事がきっかけで国を出奔する事を決め、次代の勇者達を育てる先生としてヒュンケルを伴って旅に出た。
フローラは後に「勇者なんてものは事が終われば姿を消してしまうんだから」とアバンへの嫌味混じりの忠告をレオナにしているが、実際はフローラの了承は得て出奔している。
まぁ、最初は黙って姿を消す気だったし、何なら了承したフローラもまさか15年も顔を出さないなんて思わなかっただろうし…

アバンの以後の顛末は個別項目を参照。

おまえだけを犠牲にして勝つなんてまっぴらごめんだっ!!!

職業は『戦士』。
アバンとは母国であるカール王国の騎士団時代からの親友だった。
14歳という若さで騎士団長に任命されるが、これは本人の実力以外に、既に年長の騎士が全滅していたことにも起因する。既に10年以上も続いていた戦いは、やはり凄惨だったことがうかがえる。
とは言え、その鷹揚な人柄による求心力はアバン以上。
後に仲間のレイラとの間にマァムを授かった。

『ダイの大冒険』本編開始時点では既に亡くなっている人物だが、説明されていなかった死期と死因について本作では…。
地底魔城での最終決戦参加時には18歳。ん?ということはロカは16歳くらいの時にレイラを妊娠さs
詳細は個別項目を参照。

私たちの…子供の事 まだ…ロカにも言ってなかったのに…

ロモス国の近くにあるネイル村の教会で、神父である父親の手伝いをしている僧侶。
優しく包容力に溢れる女性で、美人でスタイルも良い。あとハレンチな恰好。さすがマァムの母親。
それが魅力的であったのか、女に興味なんて無い(と意地を張る)ロカも彼女に惹かれ、彼女もまたその想いに応えた。
両親の恋愛に情熱的だったらしいところは娘にはまるで受け継がれなかった。

戦闘では回復やサポートを担当。
村の男どもをボコボコにするなど、腕っぷしも強くハンマースピアも軽々と扱う。マァムの怪力は父だけでなく母からの遺伝でもあったようだ。
しかも娘とは違いバギ系の魔法が使えるので僧侶戦士としては娘の上位互換にすら見える。

地底魔城での最終決戦時は18歳。ロカと同い年。
詳細は個別項目を参照。

オレにゃあ泣く家族もいねぇ 
なるべくアバンをくたばらせないようにしてやるよ 
女を泣かさねえのがオレの主義なんでな…!!

操る呪文の数は100を越えるともいわれる、世界最高と名高い魔法使い。
紆余曲折あってアバン一行に加わり、仲間の一人として戦い抜く。

なにぶん本編時点でも3桁手前の御老体なので、本作でも印象はほぼ変わらないが、トレードマークの帽子を脱ぐ場面がしばしばある。
一方で本作においては、若き日の知られざる過去や、この時代で出会っていた好敵手、そしてメドローア開発秘話と、見逃せないエピソードが目白押し。
詳細は個別項目を参照。

もしかして…ワシって有名?

「武術の神様」、もしくは「拳聖」とも渾名される高名な武闘家。
本編においてはマトリフと並ぶ師匠キャラだが、マトリフとは異なり本作でも師匠キャラ寄りの一歩引いた立ち位置である。
おちゃらけた風貌は変わらないが、髪がフサフサで腰も曲がっておらず、こっちは結構本編までの間で老け込んでいたようだ。

アバン一行との初対面時には、山小屋に一人で住み人を襲わないように魔物を調教し餌付けする奇特な好々爺として、魔王軍と交戦し傷ついた彼らを歓待した。
その後、凍れる時間の秘法の一件でロカとレイラを一時的にパーティから外したアバンによって、2人の穴を埋めるべくスカウトされる。
ハドラーと徒手格闘で互角に戦い、アバンに攻撃の手を届かせない奮戦を見せた。
だがマトリフと同様にアバンがハドラーと共に凍った時間中に閉じ込められる姿をただ見ていることしかできない無力を味わう事に。
地底魔城での最終決戦では理由は不明だが不参加となっている。

本編での彼については個別項目を参照。

カール王国

  • フローラ姫
弱冠14歳にして、病床に臥せる父王に代わって王国と騎士団を統率する王女。
凛とした美貌と豪胆さを両立したカリスマの持ち主であり、魔王侵攻時にはカール王国のみならず地上国家の精神的支柱になっていた。

11歳の頃、魔物から自分を救ったアバン少年の人柄と才覚に惚れ込み、彼をカール王国騎士団に勧誘。
入団後のアバンは人間不信故に己の才を隠して道化を演じ続けたが、フローラは温かく見守り続けた。
王女と一騎士団員という身分の差に加えてアバンの気性もあってか、アバンとフローラの想いは通じ合っていても
これといった進展がないまま月日が流れた。
そんな日々は魔王ハドラーの侵略によって急変した。

地上国家の希望を挫く為にフローラを拐わかそうと魔王ハドラーが強襲した折、アバンは遂に道化の仮面を剥いで、
辛くもハドラーの撃退に成功。それが契機となり、彼は勇者として旅立った。
旅立った後のアバンはフローラに手紙を送って頻繁に近況を報告しているだけでなく、フローラもまたカール王家の秘宝である武具をアバンに贈呈しており、その相思相愛ぶりが窺える。

  • コバルト
先代カール騎士団長。アバンとロカにとっては元上官であり師匠でもあった。
魔王ハドラーが侵攻してきた5年間の戦いで、現役を退かざるを得ない後遺症を負ったのか今は現役を引退。
ロカに団長の座を譲ってカール騎士団流剣術の師範を務めている。
息子のホルキンスは後にカール王国を支える英傑として名を馳せ、旅を通して成長したロカも己を鍛え直す為に彼を頼ったことからしても、優れた剣士だったと思われる。

天才肌によって自力で道を切り開くアバンよりも、秘めた才能を引き出せない不器用さと誰とでも輪を取り持てる人間性を備えたロカにこそ、次期騎士団長に相応しいと強い期待を寄せていた。

  • ドリファン
ジニュアール一世の代から当家に仕える老執事。
幼くして両親と死別したアバンにとっては、このドリファンこそが育ての親でもある。

子供のような背丈の小柄な老人ながら、創作物によくある万能超人紳士でもある。
料理や掃除等の家事育児をはじめ、レイピアによる巧みな剣術による護身どころか、王家秘蔵の武具を修繕したり、ジニュアール家風に誂る等、何でもござれで一人でこなす。
本作における地底魔城での決戦にも参戦していたが、15年後の本編時には寿命を迎えたようである。


ギュータ

伝説の大賢者バルゴートがギルドメイン山脈北東部の頂上に建造した修練の地。
遥か地下は魔界に通じると目され、地下から怨念染みた暗黒闘気が滲み出て来る危険極りない逢魔窟が存在する。
これを封印すると共に修練に利用することを目的として、バルゴートはここを修練の地として選んだ。
バルゴートの志に魅かれた者や、物心ついた頃にはこの地に居た者が滞在する。
山頂部に居る修験者達はいずれも、一ヶ月寝ずに臨戦態勢を保つ等、厳しい修行を重ねた達人揃い。
ただし、滞在する者全てに修練を強いる酔狂な場所ではなく、修験者の家族が麓に設けた村落で暮らすことを許す等、寛容さもあったようである。

  • バルゴート
幻とも謳われる伝説の大賢者。
徒手空拳に剣術を含めた武器術、呪文、古代呪法等に精通し、修練の果てにありとあらゆる技術と知識を修め極め抜いた果てに、人間の限界を悟りこの世から隠遁してしまった。
それがバルゴートにまつわる逸話とされていた。
しかし実際には、彼は諦めずにまだ高みを求めていた。
高みを目指すそもそもの動機は、人類救済を成し得る勇者やその仲間となる英傑を求めていたからであり、隠遁後もギュータの地を拓いて弟子を募っていた。

まだ十代の若造だったまぞっほの悪癖も見抜いて度々説教をしたり。
ギュータの地でも破天荒な問題行為を繰り返すマトリフを決して見捨てなかったり。
バルゴートは厳しくも弟子達をしっかり観察し育てる師だったらしい。
負けん気の強さを自他共に認めるマトリフでさえ、そんなバルゴートを素直に敬愛しており、修行の一環とは言え師のバルゴートに何度も敗北しようとも、大して抵抗を覚えていなかった。

その広く深い見識故に自分の命日すらも明確に見切っており、頭角を現した二人の弟子、愛娘のカノンとマトリフに遺志を託すことを決意。
カノンにはギュータの長を継いで勇者を待つ責務を継承することを願い、奔放なマトリフには外の世界に旅立って勇者候補を探すことを望んだ。

ギュータの地でカノンと添い遂げたいと密かに願うマトリフとしては躊躇いや後悔もあったようだが、
「死期や旅立ちを願う遺志については他言無用」
というバルゴートの願いを律儀に守って旅立ちを決意させる程に、マトリフの恩師に対する敬慕の念は強かったようである。

  • カノン
アバンが訪れた際のギュータの長であり、大賢者バルゴートの娘。
マトリフが40代の頃には皺一つ無い妙齢の女性だったが、彼とは互いに想い慕う恋仲でもあった。

その関係もあってマトリフは本気で彼女を捻じ伏せることも出来なかったようだが、彼をして「殴って蹴ることも出来る俺」と言わしめ、自分と並びギュータ最強と認めた実力は本物。
攻撃から補助まであらゆる呪文を修めたとされ、下級呪文は容易くかき消し、人間を何十メートルも吹き飛ばす威力の振動を活かした拳打を軸とした格闘術を駆使する。
父から継承した武術と魔法を極め抜き、その実力はマトリフと同等以上とされる。
凍れる時間の秘法のような稀少な古代呪文についても、魔導書の表紙を目にしただけで識別しており、知識においてもバルゴートと同程度のものを修めていたようである。

父バルゴートが死去した直後、マトリフはカノンに黙ってギュータから旅立った。
それはバルゴートの遺言をマトリフが遵守したからであるが、そうした事情を一切知らないカノンは、マトリフが身勝手に自分を捨てたのだと解釈した。
それでもなお、カノンはマトリフへの愛情を捨てられなかった。
「どうしようもない屑」と扱き下ろしながらも、ギュータ創立者である父と、卒業生である自分とマトリフ。
三人の巨大石像をわざわざ彫刻して門に飾り、彼の帰還を待ち続けた。

やがて何十年も経過し、カノンは父と同様に自分の寿命が迫っていると認識。
父や自分の跡を継ぐに足る継承者が居らず、危険な呪法等の情報をたっぷりと貯蔵する危険なギュータを放置出来ないと判断し、自分の死後に呪法によってギュータを亜空間に封じる決断を下した。
そんな折に、マトリフが帰還した。
今更どの面下げて、と最初はマトリフに対して溜めに溜めた憤懣をぶつけた。
だが、彼が連れてきたアバンがまさしくバルゴートの求めた勇者であったことを、アバンに課した試練を通して確認したため、彼らを受け入れた。

そうして10日間ほどアバン一行に修業をつけて面倒を見てやり、最中に襲撃してきた魔物をアバン一行と共に撃退。
弟子でもあるアバンが確かに成長した様子と、マトリフが父の遺言を遵守しただけで身勝手に自分を捨てた訳ではない真実を知ることが出来た。
カノンにとってこの世への未練が消えて満足を覚えた翌日、それがカノンの命日だった。

遅まきながらカノンとの復縁を願い花を贈ろうとしていたマトリフは、彼女の死を知った際、遥か年下の若者である仲間の前で泣き崩れた。

マトリフが無断で出奔して長年に渡り真相をカノンに一切伝えなかったが、そうしたのはただ恩師に報いる覚悟を決めたことだけが理由ではなく、恩師への負い目やカノンが自分より大分年下だったこと等、何かしらの遠慮もあったらしい。
恩師の遺言を無視してでもカノンの手を取って添い遂げる決断をしなかった一連の顛末は、マトリフにとって「大事な局面で逃げた」と生涯残る悔恨になった。

それ以降、「今まで窮地には逃げ出した自分だが、これからは何があろうが逃げない」とマトリフは決意し、アバン達と戦いに徹底的に付き合うと決意を固める切っ掛けとなった。
なお、後に本編にてポップが直面する最後の壁はまさにかつてマトリフが勇気を持てずに逃げ出してしまった事であり、
マトリフはそれがポップの人生最大の壁になるとした上で「それを乗り越えたらお前はオレの手の届かないところへ行っちまうんだろうな」と考えていた。
しかし別にポップは恋の悩みを相談しにきたわけではないのによくそこまで読み切りましたね、師匠……


ハドラー魔王軍

魔王軍を率いて世界を恐怖に陥れた魔王。本作のラスボス兼もう一人の主人公。
タイトルである『勇者アバンと獄炎の魔王』の獄炎の魔王は彼の事。
最も自信に溢れていた全盛期とも言える頃だけあり、物凄く生き生きと楽しそうにしている。

トロル一族でありながら高い知能を持つ異端児。
魔王軍の参謀的存在。
トロルという種族に強いコンプレックスを持っており、その払拭のため呪文を数多く学び体も鍛え上げ絞っている。
マトリフの因縁の相手であり何度も煮え湯を飲まされるものの、彼の頭脳明晰さには素直な憧れをこぼしている。

人面樹の突然変異体。
タキシードをまとった長身の貴族といった風体。
「覇気も野心も無い」と自称しているが、その実出世欲は強い。
木々の体は硬軟自在であり特殊な樹液により火にも耐性を持つ、通常の人面樹との戦い方がまるで通用しない難敵。
一方で強さゆえに自信過剰なきらいがあり自身の能力をベラベラ話してしまいがち。

ハドラーの邪気により破壊衝動に目覚めた「きめんどうし」。
本編におけるダイの育ての親だが、当時はまだ邪悪なモンスターであった。
戦力確保のためデルムリン島に単身出向しており、戦線とはあまり関わりがない。
本編では主な描写が最初期なのもあって、アバンの顔すら知らないなどよく考えると不自然な点が多く、極力辻褄を合わせようという意図があると思われる。

魔王軍最強の剣士。騎士道精神に満ちた「じごくのきし」。
ヒュンケルの育ての親で、本編でも本作にあたる時期の出来事が回想されている貴重な人物である。
最終決戦で初めてアバンと対峙したという当時の描写に合わせる都合上、それまでの出番は控えめ。
彼の腕はそれぞれ違う剣豪6人のものであり、腕ごとに得手とする技が全く異なる*1
それらを駆使した変幻自在の太刀が最大の武器だが、死者の剣技に甘えることなく修練を重ね己の剣を磨き上げている。
その強さは魔王への門を守る最後の番人として不足ないものであり、魔王との戦いを控えたアバンも全力の剣で相手することを決断したほど。

海底宮殿

魔物達の間でも名を馳せていたオトギリ姫の拠点。
北方のマルノーラ大陸とギルドメイン大陸の間にあたる海域、そこの海底に潜む超巨大な貝の内側に建造した
この宮殿で、オトギリ姫は無数の水棲魔物達を従えている。

  • オトギリ姫
亜麻色の豊かな長髪と、スリングショット水着のような衣装の纏う豊満な体。なまめかしい容貌の人魚姫である。
しかしそれは、魔力によって表面を取り繕っているに過ぎない。
その正体は、水棲魔物のマーマン族の中でも特異個体、輝く鱗と大柄な体格が特徴のクイーンマーマンである。
住処は北方のマルノーラ大陸とギルドメイン大陸の間にある海底宮殿。
この海域に潜む超巨大な貝の内側に建造したこの宮殿で、無数の水棲魔物達を従えている。

膂力に限れば怪力無双と謳われる獣王クロコダインと比肩し得る、超怪力の持ち主。*2
その並外れた膂力の所為で、彼女が同族の雄のマーマンを強く抱きしめると、相手は耐え切れずに胴体が千切れて絶命してしまう。
更に、彼女は怪力しか取柄の無い怪物ではない。
魔力で周囲の水を操り、ウォーターカッターに似た要領で攻防一体の帯とする、スプラッシュベール。
獲物を絡めっとって電撃を放ち、体の自由を奪う触手。
ヒャドのような冷気で相手の足元を凍結して身動きを封じる凍れる吐息。非常に多芸である。
故に彼女は同族を問わず魔物や魔族から畏怖され、「深海の大魔獣」という異名を得ていた。

そんな彼女の目下の悩みは、醜い魔物の容姿と常軌を逸した怪力が原因で、婿の成り手が居ないことだった。
悩みに悩んだ彼女は、まず手始めに、自己嫌悪の対象である容貌を魔力で覆い隠した。
そして選り好みを止めて、自分の怪力に耐えうる強者であれば種族は問わないことにして、宮殿近隣の寒村ウルスから適当な漁師を攫い始めた。

そんな折に、修行の為に村に滞在していたアバンに目を向けた。
容姿端麗なばかりか配下の巨大ガニラスを退治した彼なら、自分の婿に相応しいと考えてのことである。
この時のアバンは修行の為に敢えて自らを魔法で縛めていたので、大して抵抗されることもなく易々と誘拐せしめたが、これを契機にオトギリ姫はアバンの仲間達と対立。
アバンや漁師達を救出するべく海底宮殿に侵入したアバン一行との交戦へと突入した。

持前の怪力と技で一時はアバン一行を圧倒したが、アバンが魔法の縛めを解いたことで形勢は逆転。
修行が結実してスピードが激増したアバンには、持前の怪力も自慢の攻防一体スプラッシュベールも通用せず。
アバンの新技・海波斬によってスプラッシュベールごと両断されて、オトギリ姫は敗れた。

今わの際にアバンと会話を交わし、己の容貌の醜悪な点を気にせず美点を見つめ、ただ人間の弱さを軽んじる
彼女の心根のみを残念がる彼の真直ぐな精神をようやく理解した。
理想の男性であるアバンに出会えたことと己の未熟さを噛み締めながら、それでも死が待つのみであることを無念に思いつつ、アバンのことを「人類にとって希望を込めて口にするであろう名となる」と称えながら海の藻屑となった。


幽霊騎士団(ゴーストナイツ)


戦場の怨念から産まれた、ゴーストやガス生命体等の幽霊系魔物の変異種によって構成される、各地の戦場に出没しては略奪し尽して去るとされる神出鬼没の戦団。
通常こうした魔物は、魔王やそれ以上の強大な暗黒闘気を持つ者の影響を受けて活動する、自我が無い大雑把な動きをするものだが、幽霊騎士団のように自我や知性を持つまでに至るのは稀少な事例である。

出自故に戦に執心しながらも己の肉体を持たない自身について、「魔族や竜から常に愚弄されてきた」と怨嗟混じりに語っており、この種の魔物に共通するコンプレックスを抱えている。
なお、言語を話せるだけの知恵ある竜は冥竜王一体を除いて数百年を優に超える遥か昔に滅んでいるので、幽霊騎士団の活動歴もまた相当長期に及ぶらしい。

幽霊騎士団はその名の通り、彼らは幽霊船と化した大型帆船に空の鎧を大量に積載しており、団員各々がそれら鎧に憑依するのが戦闘スタイルである。
言ってしまえばシリーズお馴染みのさまようよろいの集団だが、長年に渡り鎧での戦闘法を磨いた彼らは、各々の鎧に対して「我が体」と呼ぶ程に愛着を抱き、得物とする武器の扱いに長ける。
加えて、元より急所が通常の生物と異なるかガス状の体なので、総じて物理耐性は高め。鎧から脱皮するように緊急離脱すれば、強力な魔法を喰らっても一度は免れる。そして、替えの鎧さえあれば戦線に復帰出来る。
まともに戦えば油断ならない集団であろう。

だが、鎧の運搬法もあってか活動内容は実質的に火事場泥棒に終始していたため、幽霊騎士団は実在すら疑われる存在でしかなかった。
そんな境遇に不満を抱いた彼らは、覇権を握らんとする魔王ハドラーが梃子摺っていると噂の
勇者アバンの首級を獲って名を上げようと画策した。


  • 暗黒の騎士ドルディウス
幽霊騎士団の団長。
戦が由来である自分達の存在意義を戦いを通して確立する。その妄執に憑かれたスモーク系魔物の中でも
巨大な個体である。
人の5倍はある超巨大な鎧を愛用しており、対応する巨大な剣に盾の他にも鎧内部に鎖付き棘鋼鉄球を仕込んで、
他の団員よりズバ抜けたパワーでこれら複数の武装を操る。

作者が33年前に掲載したが折が悪く打ち切りとなった作品『DQI秘伝 竜王バリバリ隊』より
スターシステムで登場させた、リベンジとでもいったキャラクターでもある。

魔王を道連れにして共に封印された勇者には手出しが出来ない、との情報を斥候のフューレが仕入れてきた。しかし逆に言えば、長きにわたる封印が解けた直後であれば、勇者と言えど衰弱して絶不調であるに違いない。
楽に仕留められる筈の好機を窺い、とうとう訪れたその時を狙って、騎士団総出でアバンを襲撃した。

だが、これが完全に裏目に出た。
呪法の封印が想定外の福を勇者アバンにもたらし、アバンは不調どころか絶好調。
アバンが完成させた空裂斬を前にして騎士団員は成す術なく次々に消滅。駄目押しとして、相棒の大魔導士マトリフとアバンそれぞれの必殺奥義を喰らい、ドルディウスと騎士団は壊滅の憂き目に遭った。

しかし、自慢の鎧や巨大鋼鉄球ごとアバンストラッシュの錆になって尚、ドルディウスは消滅しなかった。
消滅の直前に落ち延びたわずかばかりの配下を吸収し、アバン達に破壊された鎧の残骸をかき集めて、どうにか戦える力と形を保つことに成功。
それでもダメージが深過ぎて消滅は免れないが、追い込まれたことでアバンに対する憎悪と妄執は一層強まり、魔炎気と同種の存在へと変異した。
残された時間で確実にアバンを仕留めるべく機を窺い、必殺剣の完成と幽霊騎士団相手に完勝した達成感と解放感に浸る彼が晒していた隙を突いた。
魔炎気と同様の体と化して呪文耐性も上がっているドルディウスは、不意を突かれたアバンから剣を奪い、足掻いて放つ呪文も易々と弾き、勢いのまま鎖で拘束した彼を泉に引き摺り込んだ。

あとはアバンの溺死を待つだけ、とドルディウスの勝利が目前となったその時、アバンは己の闘気を一転集中して放出させる新たな技「グランドクルス」を思いつき、土壇場でこれを成功させた。
本物の生命が持つ眩いエネルギーの奔流を浴びせられたドルディウスは、強い羨望と嫉妬を抱きつつ今度こそ消滅したのだった。


  • フューレ
つば広のとんがり帽子に軽装の鎧とマントを身に着け、フランベルジュのような毒塗り剣を帯剣する男。
その正体はヘルゴーストの変異種であり、ヘルゴーストが鎧に乗っかって手足を伸ばして鎧を操っている。

幽霊騎士団における役職は切り込み隊長。
だが、斥候と諜報、幽霊船と仲間達の鎧の管理等々、オーバーワークなまでに色々兼任しており、
作中ではアバンの動向調査とあわよくば暗殺、仕留め損ねた場合に備えた騎士団出撃の手配を任されていた。
大っぴらに行動出来ない魔物でありながら、アバンの生家を突き止めて張り込みを実行。
その後は広いバルジ島の中からマトリフの隠れ家を突き止める、高い情報収集・探査能力を発揮した。

長年切り込み隊長を務めたからか暗殺術にも長けており、マトリフに気取られず彼の背後を取る足運びもお手の物。
しかし、フューレを厄介な敵足らしめるのは纏うマントであろう。
これは「暗黒のマント」という伝説の防具であり、受け止めた魔法はほぼそっくり反射する効果がある。

マトリフの隠れ家を張り込んで機を待ち、遂にアバンの封印が解ける段になって、フューレは暗殺計画を実行に移した。
不意打ちと暗黒のマントによってマトリフを一時戦闘不能に追い込み、アバンの封印による硬化が解ける瞬間に必殺の突きを繰り出す。
不意を突いたとは言え精神的には臨戦態勢のままだったアバンをして「これはかわせない」と判断させる鋭い刺突ではあったが、アバンは敢えて喰らう覚悟でダメージを最小限に抑えつつカウンターを繰り出し、フューレに痛み分けの手傷を負わせた。
ヘルゴーストならではの物理耐性のお陰でまだまだフューレは継戦可能ではあったが、アバンが空裂斬の構えを取るの見るや、持前の洞察力と勘が危機を告げたため、素直に撤退することを選択した。

その直後に騎士団が出撃出来る準備を整えた上でドルディウスと合流したものの、勇者と対峙して予想を優に超える手強さを実感したフューレは、団長に勇者暗殺計画の中止を進言した。
しかし、幽霊騎士団の実力に絶対の自信を持つドルディウスはこれを一蹴。フューレも団員として止む無く参戦することに。

戦いの結果は、フューレが恐れた通りに見るも無残で一方的な惨敗。
成す術なく次々と仲間がアバンに打倒されていく中で、せめて一矢報いようとマトリフに襲い掛かった。
魔法使いが相手なら、初戦と同じく完封勝ち出来ると判断してのことである。
しかし、マトリフは既に暗黒のマントの弱点を看破しており、マントに直接魔法を当てずに地面に着弾させて、発生させた余波の風でマントを除ける策を実践してみせた。
これにフューレは対応出来ず、あっさりと呪文を喰らってしまい、鎧は炎上。
燃え盛る鎧から脱出して難を逃れるも、今度はマトリフが繰り出した必殺の呪文・メドローアに巻き込まれ、完全消滅するのだった。


ベルクス

アバンが魔王ハドラーの討伐に成功した後に現れた、魔界由来と思しき武具を携える武装集団。
魔王ハドラーに引けを取らない邪気を放ち、獣王クロコダインとも対等に渡り合う達人揃い。
魔界随一の名匠として知られるロン・ベルクは「鍛冶師団体ベルク派のロン」という意味。

  • 魔剣のライゼ
ベルクスのリーダー格であるかのように振る舞う、豹の仮面を被った男。
おどけた調子でアバンの心根と力量を探るように接触を図り、アバンの新たな旅の切っ掛けを作った。
初登場時のシルエットがロン・ベルクに似ていたので多くの読者はまさかのロン・ベルクの登場とアバンとの対決を驚きと共に沸かせ、翌月全く違う顔のヤツが出てきたので多くの読者に「誰だお前!!」とさらに驚かれた。

  • 魔斧のグロイサン
犀の仮面を被り、獣王クロコダインの下に現れ一戦交えた男。
人間か獣人かは不明だが、筋肉が常人の三回り程にまで膨れ上がっており、その外見通りの怪力で人間並に巨大な両刃の魔斧を自在に操る。
数多の修羅場を潜り抜けたクロコダインをして「今まで戦った中でも最上級。交戦が長引けば負けていたかも知れない」と言わしめた実力者である。
クロコダインは全身に無数の傷を負って手製の斧は粉砕し、一方のグロイサンも魔斧の穂先が半壊。

  • 魔槍のフーガ
鳥の仮面を被り、鳥の意匠を誂えた十文字の魔槍を携える男。
表面的には慇懃だが気取り屋という評の方が正しい、慇懃な態度で相手を挑発する男。
ベルクス共通の価値観のようだが、愛用の得物を振るい強者を叩きのめすことに己の存在意義を見出している。
一番弟子のヒュンケルと共に旅を始めた頃のアバンに襲い掛かり、文字通りベルクスの一番槍を務めた。

カール騎士団や武術の聖地ギュータで鍛えたアバンが「知る限り最高の槍使い」と称賛する槍術も強力で、槍も細身の穂先でありながら人間ほどの大きさの岩をも両断する業物
だが、最も厄介なのは魔槍の固有能力で、何も無い空間に穂先を突き刺し、槍を空間に固定することが出来る。
この固有能力によって、空中に浮いた槍に捕まって滞空時間を延ばして緊急回避に利用したり、槍を軸として鉄棒競技や棒高跳びの選手さながらの体捌きと槍捌きで、攻撃のタイミングや間合いを巧みにずらし調整する。
変幻自在の変則槍術で、魔王を打倒したアバンをも翻弄して追い詰めた。

奥の手は、魔槍奥義・風陣火散。
空間に槍を固定したままフーガが槍ごと鉄棒競技の大車輪宜しく回転し続け、穂先に摩擦熱のようなエネルギーを存分に滞留させてから、それを一気に解放。不死鳥のような炎に包まれた魔槍とフーガが敵目掛けて突っ込む大技。





アバンの弟子

当時5〜6歳ほど。勇者編ではバルトスの養子として地底魔城で暮らしていた。
植物への水やり係など城内で小間使いを任されることもあるが、概ね不自由のない暮らしをしているのは本編の設定通り。
地底魔城の魔物達も、はいはいしていた赤ん坊の頃からヒュンケルに対して魔物なりに情をもって接してきたらしい。
ヒュンケルにとっては、父だけでなく地底魔城の魔物達は皆家族であり、魔王ハドラーは家族を守ってくれる存在だった。

魔王軍壊滅後は父の仇である勇者アバンに引き取られる。少しして、ヒュンケルが仇を取るべく取った行動はアバンが新たな進む道を定めるきっかけとなる。
そしてヒュンケルはアバン先生の最初の弟子として、『先生編』で彼とともに世界を廻ることとなる。


その他の登場人物

地上と思しき辺境にある密林の奥地に住む魔族の研究者。年齢は800歳ほど。
当時はハドラーの取引相手で、ハドラーは度々彼から魔物などを購入していた。
技術力に加えてハドラーに比肩する魔力の持ち主で、ハドラーは度々配下に勧誘しており「世界征服すれば、世界の1/4くらいはくれてやる」と高く買っていた。
ザボエラ自身も「自分は所詮隠居の身」と口先では謙遜しつつも当然ながら内心は満更ではなかったが、自分を最大限高く見せるために、敢えて取引相手という形をしばらく維持する気でいた。

この頃から既に出世欲と自己顕示欲は非常に強かった。
その持てる力を発揮すれば魔王ザボエラを名乗ってハドラー率いる魔王軍に対抗するのも不可能ではなかっただろうが、当人にはそんな野心や気概は欠片も無し。
あくまでも指揮統制等面倒事は打ち棄てつつ、他者の羨望や嫉妬を一身に浴びる地位のみを求めていた。
こうした性根と行動が災いして、実力は一目置かれつつもまるで敬意を払われていない。

ザムザは、父に手柄を横取りされていることや、保身の為の風除け扱いされる*3も含めて内心不満を抱いており、「この人は自分を高く見せること以外頭にない」と毒付いていた。
さらにそういった態度はハドラーの部下であるガンガディア達に対しても同様で、「ハドラーを救った恩人」と恩着せがましく上から目線で主張しまくった結果、ガンガディアからは「知性さえあればいいというものでもない」「全く憧れない…!」と酷評され、ガンガディアだけでなくバルトスからも滅茶苦茶に嫌われまくった。

ザボエラの息子。
この頃から、超魔生物の研究に取り組んでおり、魔物の合成などに成功。
しかし、ハドラー相手にザボエラはそれを自分の手柄として話すのだった…。
ハドラーから「ある領域においては父ザボエラを完全に越えている」と解説される才覚と頭脳の持ち主だと明らかにされた。
だが、業績のほとんどをザボエラの手柄にされてしまっているため大成はしなかった模様。

当時は在野で武者修行の最中にあったが、この時既に「獣王」の勇名は魔王軍にも知れ渡っていた。
鎧を着ておらず、顔つきもどことなく若々しい。
覇道の道を進むハドラーのことは尊敬しており、ザボエラからハドラー救出の依頼を受けやり遂げる。
依頼完了後は「自分は依頼を受けただけであり報酬も依頼人から受け取っている」と礼を受け取るどころか名前も名乗らず、ハドラーが封印されたことをきっかけに各地で腕に覚えのある魔物たちが動き出していることを忠告して去っていったが、その立ち振る舞いから獣王であると察したガンガディア達からは噂に違わぬ高潔な人柄を称賛されている。
ちなみにこの帰り際、お互いの名も知らないまま後に友となるヒュンケルと会話を交わしてもいる。

手傷を負ったハドラーに突如語りかけた謎の存在。
天地創造の後に地上から去ったとされる創造神に成り代わる新たな神を自称し、その名乗りに相応しい超常の力の片鱗を見せた。
その正体は、数千年を超える遥か太古より魔界を猛威を振るい「魔界の神」として君臨した存在であり、この時点では謎の男とともに「死の大地」に居を構えていた。
だが、ある時期から計画のために人間や他の魔界の住人に存在を悟られないよう活動していた故か、まだ343歳のハドラーはその存在を知らなかった*4
声のみとはいえ地上で初めて自身の存在を明し、アバン戦でのケガの治療や旧神についての議論をするなど当時からハドラーには注目していた様子。

魔界の神に仕える正体不明の男。
魔王軍の動向を監視している。
皆既日食の際には自身の体に「凍れる時間の秘法」をかける他、神の指示で秘法の解除法をガンガディアに伝えたりもした。

ふらりと魔界の神の前に現れた道化師風の仮面の男。
地上の争いには関心が薄いらしく、勇者の戦いを「ローカルな対決」と呼んでいた。
トランプ占いが特技だが、当たりすぎるために興が冷めると魔界の神にはやや不評。

アバンが「凍れる時間の秘法」を発動させてからしばらくして生まれた、ロカとレイラの娘。
地底魔城での決戦の時はレイラの実家であるネイル村に預けられていた。

15年後のハドラーの部下達。
本作では当然登場しないが、特別編にて超魔生物時代のハドラーと共に本作の内容を振り返っていくという形で登場。
ヒムシグマブロックデカい人ガンガディアの活躍ぶりに敬意を表すると共にザボエラの言動にブチギレ、
アルビナス若き日の自分の言動に恥ずかしがるハドラーの横で「そこがいい」と推していた。
フェンブレンは冒頭でちゃんと出てくるがその後出番なし。一応キギロとは気が合ったらしい様子も見られる

【余談】

企画会議の際は幻に終わった続編の「魔界編」を描く案も出ていたが、「新アニメからダイに触れることになる新しい読者へのネタバレにならないようにしたい」という三条の意見から、勇者アバンの若かりし頃を描くことになったという。
本作では、『ダイの大冒険』につながる描写の他にも、魔界につながっているらしい山なども登場しているが…?



ノン!ノン!ノン!!何言ってるんですかみなさん!!
何もしなければまさに何もはじまらないでしょう? 
…追記・修正しかできないなら方法はひとつ…!!
みなさん! 追記・修正しましょう!!


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最終更新:2025年04月10日 20:29

*1 アバンの見立てでは突き・払い・剛力・スピードをそれぞれ得意としている腕がある

*2 ロカやガンガディアですら特技:怪力に留まり、「獄炎の魔王」に登場したキャラクターのうちで特技:超怪力の持ち主はオトギリ姫と獣王クロコダインのみ。

*3 凍れる時間の秘法の解呪法を模索する際にも、ザボエラはザムザに仕事を押し付けた。ザボエラが解けずとも「自分が課した試練もこなせない息子が無能だから」で済むし、無事解呪出来たならば「その程度出来て当たり前」と何食わぬ顔で嘯ける。ハドラーや魔王軍に対して自分の体裁を保つ為である。

*4 ハドラーの魔力を探知できる道具すら遮断していた