日白残無

登録日:2024/06/09 Sun 11:40:42
更新日:2025/05/03 Sat 23:29:58
所要時間:約 6 分で読めます




日白(にっぱく)残無(ざんむ)とは、『東方Project』に登場するキャラクター。


二つ名:寂滅為楽の王
能力:虚無を操る程度の能力*1
テーマ曲:逸脱者達の無礙光 〜 Kingdam of Nothingness.
登場作品:東方獣王園
スペルカード:「純霊弾」
       「無心純霊弾」(ストーリーモード)
       「亡羊のキングダム」(ストーリーモード)


○概要

『東方獣王園 〜 Unfinished Dream of All Living Ghost.』にて初登場。種族は人鬼…元人間のである。一人称は「儂」で「~じゃ」と老人のような口調であることが多い。

かつては戦国時代に生まれた人間の僧侶だったのだが、世の無情さとしぶとさを悟り、殺生を禁じる戒律に対して殺した数を自慢する戦国の世に矛盾を感じていた。
「霊体ならば、それは殺生ではなく救済だ」と考えた彼女は、人間や動物の霊を吸収するようになる。その際に妖獣の霊も吸収したようで、その結果鬼となってしまった。
鬼となった残無は地獄に堕ちる前に自ら地獄に逝くことを選び、持ち前の不思議な力と話術、聡明さから地獄の鬼たちからの信頼を獲得。高圧的な鬼とは対照的に、対話で地獄を支配する鬼として地獄に君臨するようになる。

実は『地霊殿』で初登場した旧地獄を切り捨て、新地獄を立ち上げることを提案した人物でもある。そのため旧地獄で残無の名を知らぬ者はいないという。
特にお燐はかつて彼女と何か関わりがあったようだが、詳細不明。さとりを怨霊の管理者として指名したのが残無だったとか、そんな感じだろうか?
そして新地獄は残無の話術によって悪人の監獄として機能していくことになった。

それから時は流れて現代。千亦によって地上=幻想郷の所有権が無に帰すという事態が発生。この機に乗じて畜生界の動物霊達が地上への進出と支配を計画していると知った地獄の鬼達は、その行動を武力で抑え込むことを計画する。
だが、地上が再び戦国時代のようになることを嫌った残無は、この件は自分が引き受けるから少し待って欲しいと願い出た。

残無はまず、畜生界最上位の四大組織のトップである八千慧早鬼尤魔を裏からそそのかし、あえて同時に地上に進出させた*2
更に、三人にはそれぞれ孫美天、三頭慧ノ子、天火人ちやりという新しい部下をスパイとして潜り込ませ、それらの部下を倒した者が地獄に転移されるという罠も仕掛けた。
そして、三つ巴による分割統治をさせて、最終的に幻想郷の全てを自分が支配して管理下に置くという計画を裏から展開したのである。エボルトとか言っちゃダメ。

ここで活きるのが彼女が持つ「虚無を操る程度の能力」で、これは実際は「他人が虚無感を感じている時にその者を操る」というもの。
そもそも頭があまり良くない早鬼や、何でも吸収するが故に吸収したものの影響を受けるデメリットを持つ尤魔はともかく、
同じくインテリの八千慧ですら思いっきりこの能力の影響を受けてしまい「キーッ!」だの「(めっちゃフレンドリーに)八千慧だよー?」だの言い出すようになってしまった。素が出ただけという疑惑もあるが。どちらにせよつくづくネタに困らない組長である。*3

最終的には利用していた者達に自分を「異変の首謀者」として記憶に残すため、自分が霊夢に退治されれば残無の計画は達成される手筈だった。
だが、萃香*4が霊夢に助言していたため、霊夢は残無の真の狙いを、持ち前の勘の鋭さによって見抜いてしまう。
霊夢が自分の掌の上に乗らなかったことで残無の計画は頓挫。今回の事態は異変ではなく自然現象、そして「異変が起きる前に解決された」として処理されることになった。
これを受けて残無は霊夢を気に入り何を血迷ったのか「人間だった頃の自分に似ている」と評価。幻想郷は自分が管理しなくても問題無いことを知り、幻想郷の管理を彼女に託すことにしたのであった。

…とりあえず、後始末してもらった千亦は残無に謝罪するべきである。
ついでに、彼女の発言から魔理沙は死後地獄逝きであることが確定した。

『幻存神籤』では博麗神社に出向き、霊夢に「地上の所有権が入れ替わった影響で妖怪の存在が保てなくなる。放っておいたら妖怪の性質が変わったり消えたりするかもしれない(要約)」ことを伝え、彼女が御神籤を作るきっかけを作った。

「あー、むなしいのう 無情よのう」


○容姿

毛先がうねっている紫がかった黒の長髪と、黄色と赤の横縞模様の角が特徴。
角は他の鬼たちよりも小さく、正邪と同じくらいで、吸血鬼を除く鬼では唯一鎖を身に付けていない。
服装は首もとと袖口がゆったりとした感じの鶯色の上着の下に黄色の服を着ている。下もゆったりとした青色のズボンで、足元は素足に赤色の下駄を履いている。
角と服とズボンには赤い紐が取り付けられていて、日狭美と同じく中華のような印象を受ける。おそらくは、

映姫&小町→和
ヘカ&クラピ→洋
残無&日狭美→中

で分けたのだろう。

ちなみにによると萃香と同じ匂いがするらしい。酒臭いのか、それとも…?


○元ネタ

  • 日白(にちはく)残夢(ざんむ)/宝山、大風道人
「にっぱく」ではなく「にちはく」
室町~戦国時代に存在したとされる臨済宗の僧侶。生年は不明だが没年は天正4年3月29日(1576年4月27日)。
永禄年間(1558~1570)に東国地方を行脚し、常陸(現在の茨城県)の福泉寺と陸奥会津(現在の福島県)の実相寺の住持を勤めた。

奇行に富む人物として知られ、
  • 連日、食事をしないにもかかわらず飢える様子がない。
  • 檀家からあらたに服を受けるとこれまでの服についていた虫を移し、貧しい人を見ると自らに服を脱いで与えた。
  • 常に源平の軍談を物語っていた。
  • 知人(と思われる)の僧の名前が「無々(なしなし)」。
  • 享年139歳。
と、変な逸話には枚挙に暇がない。そもそも実在したかもちょっと怪しかったりするのだが。


○余談

ファンからの通称は「残無様」。理由は『獣王園』に登場したキャラの多くが彼女を様付けで呼んでいたため。

上記の通り戦国時代生まれのため、超高齢社会として名高い東方キャラとしては若い部類である。スカーレット姉妹が同世代と言えばわかりやすいだろう。
また、人外化した仏教徒という点では白蓮一輪の後輩とも言えるが、残無は仏教徒として悟りを拓いた後に人外化したという点で異なる。

元ネタの項を見てもらえばわかる通り、『鬼滅の刃』のラスボス・鬼舞辻無惨とは何の関係も無い。
ZUN氏は残無の名前を「惨無」とする案もあったが、無惨から遠ざけるために「残無」に決めたという。おかげで元ネタとほぼ変わらなくなってしまった。
しかし「名前の響きが似てる」「元人間の鬼」「部下が目隠れのやべーやつ」といった点から無惨を連想するプレイヤーが続出。ふたばちゃんねるの東方裏では「残無様の画像ください」と書き込むと「無惨様の画像ならあるけど」と返される事態にまでなった。
ただ、「ほぼ全てを掌の上で操れる残無」と「やることなすこと全てが墓穴を掘って自滅する無惨」では、黒幕としてもキャラクターとしても何もかもが真逆。比較されること自体を嫌うファンもいるのでネタとして用いる際は注意しよう。

二次創作では日狭美のデカさを際立たせるためか、かなり小さく描かれる傾向にある*5。奇しくも同じ地獄関係者かつ対戦型シューティングゲーム出身の映姫&小町と似たような構図となった。



追記・修正は自ら地獄に逝ってからお願いします。

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最終更新:2025年05月03日 23:29

*1 後述するが、虚無そのものを操る能力ではない。もしそうなら全キャラトップクラスのチート能力である。

*2 4つ目の組織は今回も不参加。穏健派なんだろうか?

*3 一応フォローを入れておくと、八千慧と尤魔は「自分が残無に利用されている」と気づいていた。…早鬼? 察して。

*4 忘れられがちだが、『萃夢想』以前は地底にいたため残無の存在を知っていた。

*5 実際にドット絵を見ると残無は日狭美よりも背が低い。