驪駒早鬼

登録日:2020/05/31 Sun 10:30:41
更新日:2025/04/17 Thu 09:37:46
所要時間:約 6 分で読めます






この項目は『東方鬼形獣 〜 Wily Beast and Weakest Creature.』の終盤と核心に迫るネタバレを含みます。ご注意ください。














驪駒(くろこま)早鬼(さき)とは、東方Projectに登場するキャラクター。

二つ名:勁牙組組長
能力:比類無き脚力を持つ程度の能力
テーマ曲:聖徳太子のペガサス 〜Dark Pegasus
登場作品:東方鬼形獣(EXボス)
スペルカード:勁疾技「スリリングショット」
       勁疾技「ライトニングネイ」
       勁疾技「デンスクラウド」
       勁疾技「ビーストエピデミシティ」
       勁疾技「トライアングルチェイス」
       勁疾技「ブラックペガサス流星弾」
       勁疾技「マッスルエクスプロージョン」
       「フォロミーアンアフライド」
       「鬼形のホイポロイ」
       「鬼畜生の所業」


○概要


『東方鬼形獣 〜 Wily Beast and Weakest Creature.』にて初登場。種族は驪駒、というかの動物霊(ペガサス)。例えこっちが後発だとしても断じてウ○娘ではない。
たかが馬と侮るなかれ。なんと彼女、畜生界において最上位に位置する四大組織の一つ、勁牙組(けいがぐみ)組長である。肩書きに反して名前可愛すぎだろ。
ちなみに、同じく四大組織とされる鬼傑組(きけつぐみ)の組長は吉弔(きっちょう)≒龍の亜種で、剛欲(ごうよく)同盟の組長は十二国記第2次スーパーロボット大戦OGで強烈なインパクトを残した四凶の一角、饕餮(とうてつ)。要するに早鬼がそれらと肩を並べるほど強大な動物霊ということである。

今回主人公に憑依することになる動物霊の内、オオカミ霊は彼女の配下で、他には脚力や牙、強靭な肉体が特徴の動物霊が所属している。
早鬼自身は強者には敵であっても敬意を払い、部下の意思や手柄を尊重する良き上司であり*1、当人は自分の組織を「我ら最強最速軍団」「勁牙組は竹を割ったような奴ばかりだし、組織は超絶ホワイトさ」と語り、オオカミ霊も「勁牙組は強大な腕力、俊敏な脚力、無限の勇気を自慢とする動物霊の集団である。畜生界最強の組織だぞ」「元々、我々勁牙組は畜生界ナンバーワン」と自賛している。

しかし、鬼傑組のカワウソ霊からは「ただ暴力が好きなだけのそのまんま暴力団」、
剛欲同盟のオオワシ霊からも「生き方に何の誇りも持っていない暴力集団」と言われており、
更にはZUN氏も、早鬼は「筋肉馬鹿らしい」「性格は悪くなさそう」「畜生界では一番安心感がある」とコメントするなど、完全に脳筋キャラ認定されてしまっている模様。
あろうことかオオカミ霊まで「物理は強いんですけど、頭の方がちょっと…」と自分たち勁牙組がバカだと認めている。
実際、本編では袿姫が倒されたと知るや否や、勁牙組が畜生界を支配するのは時間の問題と考え、更に地上を視察して可能であれば支配しようと行動を開始するという短絡さを見せている。
状況を正確に把握できていない上に、下手をすれば八千慧の策と、異変を解決した主人公たちの頑張りを台無しにしかねない行為である*2*3*4

その後、再登場した東方獣王園でも八千慧や尤魔が裏で糸を引いていた黒幕に自力で辿り着く中、他の2人に教えてもらうまで黒幕の存在に気付けていなかったというポンコツぶりを披露している。についても他2人とは違いうろ覚えの関係という有り様。

彼女自身の性格は一言で言うと脳筋豪快な体育会系であり、裏工作などの卑怯な類を嫌い、正面からの激突、言わば正々堂々な行動を好む。
「袿姫を倒した時と同じ戦力じゃないと面白くない」という理由で配下のオオカミ霊に自機のサポートを命令するなど、勝ち負けより戦いその物を楽しんでいる節がある。
一方で、必要とあらばたとえ気に入らない敵対組織のボスの策だろうと利用されたふりをして隙を伺う強かさや、
どちらかが倒れるまで決着がつかない事を察知した際には戦おうとする相手を止めて一時休憩を申し出る柔軟性も兼ね備えており、畜生界最上位のヤクザの親玉をやっているだけあって単なる戦闘狂というわけでもない何処かカリスマ性や知性的な場面も珍しく見られる。
獣王園では地獄に迷い込んだ清蘭を保護する度量も見せている。

意外と傷つきやすいタイプなのか、霊夢を勧誘して断られた際は「え? 断るなんて酷い……」とショックで涙目になっている。
ちなみにこの時、地味に口調がそれまでの中性的な口調から普通の女口調に変わっている。かわいい。
しかしすぐに気持ちを切り替えて再戦の約束を取り付けるなど、同時にあまり引きずらないタイプでもあるようだ。

余談だがギャグセンスは無いらしく、カワウソ霊によると「組織は超絶ホワイトさ。上司は漆黒の天馬(ブラックホース)だけどな」が持ちネタとの事。実際、背中には黒い翼がある。あれ?天馬ってギリシャ神話の幻獣では…?
好意的に見るなら敵対組織の構成員相手でもユーモアを忘れない気さくなボスと言えなくもない……?


○容姿


肩出しでミニスカなカウガールの格好をした。首まわりも露出しているが、スカーフを巻いているため鎖骨は見えない。
ちなみにそのポーズのおかげで体のラインがわかりやすく、何がとは言わないが結構いい。相方の八千慧がどう見ても絶壁なせいで余計に
背後に長い毛のようなものが見えるが、髪の毛なのか尻尾なのかは不明。
立ち絵ではポーズの関係なのか、右腕が無いように見える。
一方ドット絵では普通に反転している辺り、隻腕というわけではないらしい*5。獣王園でようやく両腕が確認された……が、今度はドット絵の後ろ姿ではショートカットに見えるのに、立ち絵では明らかに尻尾よりも高い位置から伸びている毛があるという新しい謎が増えてしまった。一応尻尾はあるらしいが。
後述の通り二次では身長が高めに描かれる事が多いが、種族が駒=小型の馬なので、実はパッと見の印象よりは小柄との事。
本人も身長の低さを気にしているらしく、少しでも大きく見せるために常に翼を広げているとか。二次創作だとシークレットシューズ着用ネタもしばしば。

なお、馬が乗馬する側の服装をしていることには作者からツッコミが入った。


○元ネタ


  • 甲斐の黒駒
古代甲斐国の伝承に登場する馬。驪駒は別表記。
複数の伝承が存在するが、早鬼のテーマ曲に「聖徳太子のペガサス」とあることから、『聖徳太子伝暦』に登場する個体のことだと思われる。ギャグマンガ日和にも出ているので知ってる人も多いのではなかろうか。


時は飛鳥時代。聖徳太子は諸国に推古天皇に馬を献上するようお触れを出した。
太子は全国から献上された数百頭の良馬の中から一頭の「4足が白い馬」を神馬であると見抜き、それが甲斐から献上された「甲斐の黒駒」と呼ばれる馬であった。
太子がこの馬に試乗すると、黒駒は天高く飛び上がった。太子と調使麿を連れて東国へ赴き、富士山を越えて信濃国まで至ると、3日を経て都へ帰還したという。これを聖徳太子は「飛ぶこと雷電の如し」と述べ絶賛している。
その一方で繊細な性格の持ち主だったようで、太子を驚かせてしまい、それを悔やみすぎて絶食したという。
聖徳太子が亡くなると、黒駒はそれを理解し嘆き悲しんだ。
太子の埋葬が終わると、黒駒は太子が生前使った鞍をつけて墓の前に立ち、一声いななくとその場で亡くなったという。
黒駒の遺体は中宮寺の南の墓に埋葬されたとされる。
…が、『聖徳太子伝暦』には「黒駒は聖徳太子より先に亡くなり、嘆き悲しんだ聖徳太子が黒駒を中宮寺の南の墓に埋葬した」という説もある。
どちらにせよ、聖徳太子と黒駒が強い絆で結ばれていたことは間違いないだろう。

ちなみに聖徳太子は能力のある者を取り立てる制度である冠位十二階でも知られており、彼女の実力主義的な側面は(かなり筋肉に汚染されてはいるが)飼い主の影響もあるのかもしれない。

鬼形獣の時点では早鬼と神子の関係は不明だが、上記のことから「もし早鬼が久侘歌の水際作戦を突破し、主人公たちに勝利したとしても、地上で神子含めた豪族たちに出会って丸く収まったのでは?」と言われている。
…しかし、天空璋に続き、連続して元ネタに「聖徳太子の縁者」が含まれるキャラクターがEXボスになるなど誰が予想できただろうか。

そして獣王園ではマミゾウどころか霊夢にすらそのことについて言及されており、神子の馬だったことはほぼ確定している。

  • 黒駒勝蔵
幕末に甲斐を拠点とした任侠の大親分。
ちびまる子ちゃんで度々名前が登場することで知られる「清水の次郎長」と同時代の人物で、次郎長と抗争を繰り広げたとされるが、最後は戊辰戦争に官軍派として参戦し戦後諸事情で政府によって処刑された。
おそらく、鬼形獣にヤクザの要素が取り入れられた一因。

  • 黒駒土偶
山梨県御坂町上黒駒で出土した土偶の通称。
右手が欠損しており、右腕が見えないポーズはこの土偶を意識したのではないかと言われている。


○二次創作での扱い


脳筋の愛すべきバカ。見た目が文に似ていると言われる彼女だが、二次創作での扱いは「何でも力業で解決しようとする」「高身長で抜群のプロポーション*6」「飼い主のことが大好きなペット」とお空に近い。
好敵手にして胸的な意味でも凸凹コンビの相方にされる八千慧の「逆らう気力を失わさせる程度の能力」も、「バカ故に、そもそも『逆らわない』という発想が頭に無いから通じない」という扱いである。
完全に豪族たちの舎弟と化しており、組長としての威厳は基本消え失せている。まあ、死んだはずの飼い主と1000年以上経って再会できたペットの気持ちを考えれば仕方ないか。
同じく二次創作で神子の娘扱いされるこころにもよく懐いており、その背に乗せて文字通りのお馬さんごっこをしている事も。
元ネタ通り神子の不興を買うことを何よりも恐れており、いざそうなると1000年絶食しようとしたり、ヤクザらしく小指を切断しようとしたり、拳銃で自分の頭を撃ち抜こうとしたりとオーバーなリアクションを見せる。
意外なことに本人は狼じゃなくて馬なせいか、響子影狼あうんといった、狼キャラとの絡みは少ない。
また、八千慧との絡みも豊富。原作の会話では鬼傑組無関係のオオワシ霊ルートですら八千慧のことについて言及していたり、それ以外でも「吉弔になんとかしてもらう(カワウソ)」「吉弔みたいないけ好かない奴と違って好戦的で気持ちいい(全ルート)」など、やたら吉弔のことを引き合いに出すことや、敵対組織の組長同士という関係性もあってロミオとジュリエット的な感じで付き合う組長2人というシチュエーションが豊富。

○余談

憑依華でのドレミーの対神子の勝利台詞である「本当は排他的に幻想郷を支配したいのではないか?」という質問や、グリモワールオブウサミの中での正邪の神子に対しての露骨なまでの嫌悪感は早鬼登場の伏線だったのではないか、という説がある。
畜生界で人間霊を支配する早鬼を見た結果、飼い主である神子に対してドレミーは危惧を抱き、曲がりなりにも弱者救済を謳っていた正邪は「弱者を虐げる存在(の飼い主)」という認識をした、という考察である。
ただ、ドレミーはともかく、正邪は「どうやって畜生界に行き、早鬼の飼い主が神子であると知ったのか」という疑問が残る。単に「政治家≒権力者」という点に過剰反応しただけかもしれない。



追記・修正はオオカミ霊に憑依されてからお願いします。
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最終更新:2025年04月17日 09:37

*1 ただし仕事内容はブラック。ヤクザだしね。

*2 それが原因で袿姫が動物霊への攻撃を再開したらどうするんだ、という話。

*3 地理的に地獄を経由する必要がある以上、そちらの怒りを買う可能性がある。実際、久侘歌が早鬼が地上に攻め込めないよう水際作戦を展開していた。

*4 地上に攻め入っても紫や隠岐奈をはじめ、幻想郷の様々な勢力が黙っているはずがないので、混乱は必至だと思われる。

*5 東方では左右非対称のキャラはドット絵を反転しないようにしている場合が殆ど。

*6 なお、公式設定では早鬼は低身長とのこと。