カードゲームうさぎ

登録日:2024/07/17 Wed 18:00:00
更新日:2025/04/20 Sun 11:35:06
所要時間:約 35分で読めます


このデッキが好きだからですよ!!

好きなデッキで勝つのが楽しいんじゃないですか!!


カードゲームうさぎは、Twitter(X)で連載されているカードゲーム漫画。作者はワタル。


カードゲームを題材にした漫画ではあるが、ダイナミックにモンスターを召喚したり、不思議な力で世界を救ったりするホビー漫画ではない。
公開当初はカードゲームに関するあるあるネタを元にした4コマ漫画だったが*1、長期連載となった「うさぎとうさぎの奮闘記」以降は、TCGプレイヤーの努力や友情、葛藤を元にした群像劇となっている。
特に「デッキ選択、調整へのこだわり」については何度も登場する大きなテーマとなっており、オリジナルデッキにこだわるもの、一つのデッキを研究し尽くすもの、環境トップメタデッキを適切に運用することを信条とするものなど、それぞれの本気が見て取れる。
登場人物は全て動物(と約一名神話上の生き物)をモチーフに作られており、作中に登場するゲームもACG( Animal Card Game)という架空のものになっている。
……うん、架空のものだったんだ(後述)。

ストーリー

うさぎとうさぎの奮闘記

中学からの復帰勢であるうさクズが、イベントで知り合った同じデッキタイプの使い手であるうさカスと協力し、カードショップZOOの平日大会で優勝するまでの物語。
現在互いにリンクしているストーリーの中では最も新しい時代を舞台にしており、最終的には全ての物語はこの話に収束している。
全編通して、作者のpixivにまとめられている。

鷲崎伝

「うさぎとうさぎの奮闘記」で登場した鷲崎剣士の若い頃を主軸に、CARD SHOP虎穴のメンバーの挑戦と別れを描く。
オリジナルデッキを回すことの楽しさや思いが全面に出た作風。また、未来でZooの王者となる獅子山ライ太もこの頃から登場している。
全編通して、作者のpixivにまとめられている。

エピソード・ライ太

「鷲崎伝」以降、獅子山ライ太がZooで頭角をあらわすまでの物語……のはずだったのだが、作者が挑戦的かつ意欲的に話を展開していった結果、一昔前のZooにおける群像劇の様相を呈してきており、月によっては主人公のライ太が全く出て来ないこともあったりする。
2024年7月現在、平日毎日連載中(作者都合による休載有り)。
作者pixivには途中までしかまとめられていないので、続きは(無料で追うなら)Twitter上にある追っかけアカウントを利用するのが良い。

またPixiv fanboxでも連載しており、こちらでは一回分早く「先読み」できる他、週一で限定漫画も公開されている。

うさぎとヒヨコの奮闘記

上京したての庭鳥ピヨ助が、口下手なソロプレイヤーの宇佐と出会い、ACGの奥深さを知っていく物語。
実在のカードショップ「ドラゴンスター」の公式HP上でコラム連載されているという異色の作品。
この作品のみ、他のシリーズからは登場人物が切り離されており、Zooを始めとした他店舗も登場しない。
メタゲームから推察する限り、時系列としては「うさぎとうさぎの奮闘記」の後に当たるようだ*2
現在休載中。

登場人物および所属チーム、店舗

Zoo

作中最も登場する店舗。都内最大規模のカードショップであり、多くのプレイヤーが鎬を削っている。半年に一度、店内でのランキング戦が行われるなど、店舗としても精力的。

  • うさクズ
(主なデッキ:純正型クロダイルコントロール、クロコレスクロコン)
「うさぎとうさぎの奮闘記」の主人公。うさぎの黒いほう。
中学生以来久しぶりにACGに復帰し、Zooにやってきた。初イベントは緊張から散々な結果に陥ったが、同じくクロコンを大会に持ち込んだうさカスと出会い意気投合。その他の仲間たちの力を借りつつ、うさカスと協力してクロコンの研究を続けていく。デッキ構築ではビルダー型。
本編終了後は盤外編においてうさカス(の皮をかぶった作者)にツッコミを入れている。
作者曰く陰キャオタクとの事で初対面の人とも会話はできるが仲良くなるのが苦手な模様。

  • うさカス
(主なデッキ:コンボ搭載型クロコン)
「うさぎとうさぎの奮闘記」のもう1人の主人公。うさぎのピンクのほう。上京後、Zooを拠点にACGを行っていたが*3、最初は仲間を作ることができず、ミケ郎と知り合うまではぼっちだった。
のちにZooにてうさカスと出会い、クロコン使い同士仲良くなっていく。デッキ構築ではチューナー型。
本編終了後は作者の代理として盤外編で奮闘中。
作者曰くこちらはイキリオタクとのことで、仲間内ではよく喋るが人見知りな傾向が見られる。

  • ミケ郎
(主なデッキ:エターナル・コブラ)
うさカスの友達の三毛猫。彼女持ち。
コミュ強でうさクズとうさカスの関係を取り持つなど、いいやつ。作中でうさクズに敗北した時も、自身の驕りを痛感した上で、うさクズに称賛の言葉を送っていた。

  • キリン先生
(主なデッキ:ジラフ・バベル)
コマから顔が完全に見切れているキリン*4
「エピソード・ライ太」の頃から《キリンの背比べ》を搭載したバベルデッキを使い続けている。
「うさぎとうさぎの奮闘記」の描写を見る限り、どうやらミケ郎やうさカスとも仲がいいらしい。
実は妻子ある身であり、大会に出るための苦悩と葛藤は盤外編にて語られている。

  • 獅子山ライ太
(主なデッキ:ブルードラゴン、レオ・ストームなどの環境デッキ)
全編通じて登場しているストイックライオン。いわゆる“ガチ勢”の体現者。
「エピソード・ライ太」の主人公……ということになってはいるが、ひと月丸々登場しないことも多い。
「鷲崎伝」の頃は虎穴にも出入りしており、その時点でZooのランキング3位の実力者だった。「うさぎとうさぎの奮闘記」の頃にはZoo内でも追随を許さない不動のトップの座についている。
ACGに対するバイタリティは作中でもトップクラスであり、丸一日フリプしていても全く疲れず、先輩プレイヤーの強みも貪欲に吸収していこうとする。
「~けど」が口癖。モチベーションの高さもあってかズケズケいって遠慮をあまりしないため、くま吉たちが対人関係でヒヤヒヤすることも。そのわりに一人では龍堂会にコンタクトを取れないなど、妙なところでシャイ。
元々は格下と判断した相手に手を抜くなど生意気な面があったが、虎穴での薫陶を受けてその辺りも改善。特にヒョウとの出会いの影響は大きく、彼を師とあおいでいる。
Tier.1デッキを握るのは無論勝つためもあるが、「強いデッキのポテンシャルを活かす」のが好きなため。逆に自分のプレイングが原因でデッキの力を出しきれないことが嫌だ、とも。
一方でデッキビルドの才能はないらしく、仲間内でブルードラゴンを使用したデッキ制作の意見交換を行なった際は、デッキ最低枚数を大きく上回り、趣旨を全く無視したデッキを提出する失態を見せている。そんなこんなで前提が崩れて全部間違えてるのに採用理由だけはバッチリとかいう奇妙な事態にもなった。
デッキチューナーとしてはピカイチであり、環境が形成されてくると本領を発揮する。
ACGを抜いたところでは結構な天然ボケかつ常識に欠ける所があり、都合が悪いとトボケたり前言撤回したり、意図的にボケたり空気が読めない発言もしたりわりとトンチンカンなことも言う。
ACG以外にもフットサルを趣味としており、ACGがなかったらフットサルをメインしてたと公言するほど好きらしく、こちらもめったに練習に来ない割には動けるとチームメンバーに言われるほどの腕前。
他にも海鮮ピザが好物で、居酒屋などでは毎回頼んでるほど。


  • 森野くま吉
(主なデッキ:ドルフィンコントロール等コントロール系デッキ全般)
ライ太、トラ夫の幼馴染みのクマ。カードゲーム以外にも読書とジム通いが趣味。
なんでもそつなくこなす性格と才能の持ち主。その要領の良さゆえか、人生は暇つぶしと本気で思うタイプだった。ACGもあくまでその暇つぶしのため、友人がやっていたからやっているスタンスであり本腰を据えてはいなかった*5
しかし、この時点でもかなりの実力を誇っており、龍堂会の面々にも一目置かれ、頭のキレを見込んでいたパン田には「本気になったくま吉と戦ってみたかった」と惜しまれたほど。
後に非常に練度の高い『アルカトラズ』と対戦したことで頭脳をフルに使う快感にハマり、ユキに素質を見出されたこと、CDCの蔵馬に気に入られたことで、コントロール使いとしての力量を高めていくこととなる。
冷静沈着に物事を運べるからか、不器用な幼馴染達や裏に回りたがる蔵馬の代弁を担当する割合が多くなった。
ドライな性格と思いきや、案外根っこは激情家のようで、トラ夫に啖呵を切られて内心ぐらぐらに燃えたぎっていたり、うさクズたちの友情を目にして涙を浮かべたりしている。
「うさぎとうさぎの奮闘記」の頃にはZoo屈指のコントロール使いとなっている。ついでに筋肉量もゴリゴリに増えている。
因みに初期から存在するキャラクターながらフルネームが判明したのが2024年と非常に遅かった。

  • 虎谷トラ夫
(主なデッキ:ラビットハンデス、ブルドラ、ペリカンビート)
ライ太、くま吉の幼馴染のトラ。強面ながらメイド喫茶や(性的な)ASMRに造詣が深いなど、意外と作中では珍しい萌え豚気質。
中々の人見知りで、初めは人当たりのいいアギトに対しても二人きりになるのを恐れていた。
ところどころピュアで、冗談を受け止めては「真に受けちゃった!」となるのがお決まり。そのせいかちょっと察しも悪め。
知り合って間もないアギトにすっかり懐いていて、アギト側からももはやオカンの域で面倒を見られている。
「エピソード・ライ太」時点ではなんでもこなせるくま吉に対してコンプレックスを抱いており、自分が先に始めたACGに置いても彼に置いて行かれることだけは避けたいと感じていた。
それも影響してか、元々の臆病な性格も手伝って自分の殻を破りきれないところがあったが、パン田やキバの影響を受け、大きく成長していくことになる。
元々ライ太の尋常じゃない量の練習を相手にし、プレイ歴も同じだけあるためZoo上位陣が不在なら勝ち上がれる実力を持つ。
「うさぎとうさぎの奮闘記」の頃には、裏目を恐れぬ胆力と勝負勘の良さを身につけており、師匠であるキバの影響が大きかったようだ。
メインキャラの中で数少ない下戸であり、酒の席でもジュースを飲んでいることが多く、更に健啖家なのか食事は大盛りやガッツリ系を好む傾向にある。うさカス時代でもまた太っているなどの描写がないが、色々心配になる食生活をしている

  • 鰐野アギト
(主なデッキ:ラン&ガン、スプリントビートダウン)
ライ太が所属しているフットサルチームのメンバーのワニ。しょっちゅう鼻先がコマから見切れている。
元々は会話の流れでライ太にくっついてZooに来ただけだったのだが、パン田の話術にかかってまんまとACGの沼にハマっていくことになる。
ACGを初めて数ヶ月で戦術のキモを理解しているなどくま吉やパン田を驚かせるゲームの才能があり、そこを野良に見込まれて弟子となる。
朗らかで他人を立てるのが上手く、泥酔中かつ初対面の野良に対して和やかに一対一で会話ができるなど*6、作中随一のコミュニケーション能力の持ち主。どこへ行っても一瞬で誰とでも友人になり、関係を構築する様は驚愕の目で見られがち。こんなコミュ力最強で盛り上がる楽しい人物なうえ、モチベが高くセンスもある初心者とあって、アギト君見守り育て隊ともいうべき勢いでZooの先輩たちから可愛がられている。ACGの姫鰐
こういったコミュ力を得た経緯はFANBOX限定漫画に語られている。
「うさぎとうさぎの奮闘記」の頃にもZooで活動しており、ランキング上位をライバルたちと奪い合っている模様。

  • ビー使い
東京出張でZooにやってきたモブプレイヤー。
昔からビーが好きで使い続けているが、ブルドラ環境における全除去蔓延の煽りをもろに食らってしまう。
一時はビーを置くことも考えたが、パン田との邂逅を経て……

龍堂会

Zooを拠点に7年間活動していたチームで、「うさぎとうさぎの奮闘記」の頃には解散している。正式名称「ガチンコ調整会」だがダサいとの理由で誰もその名前で呼ばない。
「エピソード・ライ太」の頃に全盛期を迎えており、毎月第二土曜に行われる定例会では「調整卓」「検討卓」「フリプ卓」に分かれてメタゲームを研究していた。また、ランカーもしくは野良のような特別参加の強豪を相手に行う「ボスラッシュ」という上位者3人連続勝ち抜き練習もまれに開催される。

  • 龍堂辰雄
(主なデッキ:ブルドラ、セイウチワンキル、キメラサイクル他なんでも)
龍堂会の主催を務める青い龍。既婚者。
若い頃はそれほど強くなかったらしいが、先輩達から笑われつつも可愛がってもらい成長、全盛期の頃には9回連続ランク戦1位防衛というとてつもない記録を打ち立て、GPのトップ8にも輝いたことのある作中最強クラスの実力プレイヤー。
環境最良のデッキを使うことを心情としており、それに伴う努力も欠かさない。実際、キメラサイクルを使用するにあたっては月ノ輪に師事し、かつミニGPでの使用後も定期的に1人回しをしていた。
性格も礼節や恩義を忘れず、面倒見も良いため、人望も厚い。ヒョウとは出稽古を通じて義兄弟じみた親友関係になっている。
妻の出産が近づいており、それに伴って引退を決意。引退寸前に登場した《ブルードラゴン》を最後の相棒に選ぶ。この決定が作中の登場人物に波紋を呼ぶこととなる。
他の登場人物と比べるとデザインが凝っているため描くのがめんどくさいと作者がぶっちゃけていたりする。

  • 氷室雪之丞
(主なデッキ:冬眠コン、冬季監獄などコントロール系全般)
龍堂会のNo.2を務めるオネェのホッキョクグマ。CDC創始者のうちの一人でもある。多くの登場人物からはユキと呼ばれている。
普段はオネェ口調だが凄む時は男性口調になる。
オリジナルの冬眠コンをはじめとした各種コントロールデッキの情報をブログ【ユキの部屋】にまとめており、作中のコントロール使いがこぞって読んでいるなど作中屈指のコントロール使い。
信条としてはコントロールは勝つための手段であり、勝てなければTier.1デッキも使うなど柔軟性がある。
とはいえ、本当は自身の作り上げた冬眠コンを愛しており、蔵馬との再会、CDCへの復帰を経て、冬眠コンの環境適応デッキである冬季監獄を研究することに決めた。
カードゲームに全く関係ない趣味としてお菓子作りがあり、お店に出せるレベルの腕前。
上記のお菓子作りの他、香水などのオネエ趣味もあるが、喫煙家だったり筋トレを趣味にしているなど、意外な一面もある。

  • ワン馬キバ
(主なデッキ:ブルドラを始めとしたビートダウン)
龍堂会で名を馳せるビート使いのイヌ。名前の元ネタは某格闘漫画の主人公であり、初登場時はモロにセリフを引用していた。
ロジックもさる事ながら、その本質は対戦相手の所作や雰囲気を元にした勘を武器にする博打師であり、非常に華があるプレイヤーである。これはほとんど超能力の域であり、本人すら言語化できないため、作中トッププレイヤー達でも真似することが出来ない。昔から強気だった訳ではなく、過去編で店外遠征に対して弱気な発言をする描写がある。
龍堂会上位2人に負けず劣らず面倒見が良く、当初はただ積極的に参加できない客人でしかなかったトラ夫を親身になって気にかけ、弟子にし、彼の成長に大きく貢献することになる。
近隣の飲み屋を開拓してくのが趣味であり、fanboxではそんな彼を主人公にした盤外編が時折連載されている。

  • ゴリ山
(主なデッキ:にゃんにゃんコントロール、ブルドラ、キメラサイクル)
初心者ながら龍堂会の門を叩いた若手新人ゴリラ。
ガチ勢の修練場として名を馳せていた龍堂会に初心者ながら入りたいと言える図太い性格ではあり、ACGにかける情熱は本物である。趣味だからこそ1番になりたいタイプ。
同じ年代でランカーとなったライ太や、自分より後からACGを始めたアギトのことを意識しており、特にアギトのことはライバルとして見ている*7
本気がゆえにしばしばシリアスにもなる面々に囲まれているが、
良い意味で深刻にならないのでアギトとはまた違った面でカードゲーム向きの性格。龍堂会では先輩たちに厳しく扱かれているが、その場しのぎのプレイが多いため、時々怒られている。

龍堂を超えたいと考えていたが、現役時代には(年季や練度の関係で)無理だと判断し、それでもなにか龍堂を超えるプレイをしたいと考えた結果、かつて龍堂が握っていたキメラサイクルに目をつけ(歴史が長く、「勝てるデッキ」だと判断したのもある)、キメサイギルドに入門し、ランク戦時点ではキメラサイクルを握ることになる。

「うさぎとうさぎの奮闘記」の頃にはZooのトッププレイヤーの1人として活躍しているらしい。

メンバーでは無いが、野良は外部顧問という位置づけとなっている。

CARD SHOP 虎穴

「鷲崎伝」の頃まで営業していたカードショップ。店舗としては小さいものだが、マニアックなシングルカードの在庫が豊富な店。
店舗の小ささゆえに大規模イベントは開くことができず、常連はこの店でフリープレイをし腕を磨き合い、他店舗のイベントに遠征する「出稽古」を行なっていた。
常連のほぼ全員がオリジナルデッキへの並々ならぬこだわりを持つオリジナル集団である。結果として、ほぼ全員が環境デッキがあれば回すことができるほどACGに精通している。
店長の一身上の都合により、「鷲崎伝」終盤にて閉店。

  • 鷲崎剣士
(主なデッキ:イーグル・ビートダウン)
物腰丁寧で誰にでも敬語で話す、紳士的なワシ。「鷲崎伝」の主人公。
「好きなデッキで勝つのが楽しい」のが信条。独自のロジックと高いプレイングスキルででエースカード、「戦列の鷲」を徹底的に活躍させるいぶし銀の名プレイヤーで、作品を代表する項目冒頭のセリフはこの人のセリフ。
そんなカードゲーマーの鑑とも言える鷲崎だが、若かりし頃は生意気でマナーも悪く*8、「強いから」という理由で環境デッキを組んでは使い込まない内に自分の腕前を棚に上げ「弱い」とすぐ売り飛ばす等、おおよそ誉められたプレイヤーではなかった。
しかし、虎穴のメンバーの助けやライ太との出会い、そしてパン田からもらったパックから引き当てた「戦列の鷲」との出会いによりイーグル・ビートダウンを極める一端の虎穴勢へと成長していく。
カードが関わらないなら生意気ながらコミュニケーションに問題はなく、コミュ力は元々低くはない。世間体の危険度はギンのほうが上
虎穴閉店後は1人で出稽古をするため、イタチや鮫島の協力のもと他店で2年間腕を磨き、最後の虎穴勢の1人として、ライ太の待つZooの扉を叩くこととなる。敬語はこの期間にカバ六の言葉を思い出して身に染み込ませた。
その後はZooをホームグラウンドとして、ランカーとして活躍している。
もはや専用機になるまでイーグル・ビートダウンを使い込んでいるが、実は大会で使わないだけで研究用に環境デッキは一通り組んでいる上に回し方も熟知しており、大会にイーグル・ビートダウンを持ち込み忘れ、くま吉から借りたデッキで優勝したことがあるなど、流石の虎穴勢といった逸話もある。
ライ太達とは年齢が近いが鷲崎の方がやや年下らしい。


  • 黒井ヒョウ
(主なデッキ:ダーク・レオパルド)
虎穴勢最古参のクロヒョウ。
攻撃的なプレイスタイルと、それに寄せた構築で高い勝率を誇るプレイヤー。虎穴以外のショップでもかなり有名なプレイヤーらしく虎穴に初めて顔を出したライ太も彼には一目置いていた。
龍堂とは連絡先こそ交換しなかったが互いに認める親友同士。龍堂会の練習にもゲストとして呼ばれており、現状唯一のボスラッシュ突破者。
普段はクセの強い虎穴勢をまとめ上げる良識あるリーダー格。
オリジナルデッキに注ぐ熱量はクレイジーとさえ称されるレベル。パン田は未熟な剣士が影響され考えすぎることを危惧しサシでの会話を止めていたほどで、実際にオリジナルデッキを握って環境を戦い抜く為の覚悟を説いた際には、結果的にとはいえ剣士の足がしばらく遠のくこととなった。
虎穴閉店時、師匠であるカバ六との最後の一戦を経て目標を失いしばらくはACGから離れたものの、一念発起し地元に「虎穴」と名付けたカードショップを立ち上げた。

  • パン田
(主なデッキ:ネオ・バッファロー)
バッファローデッキ一筋のパンダ。作者が決めきれなかったため、名前はない。
数期前の環境トップだったバッファローを、ストーリー設定も含めて惚れ込んでおり、いまだにコンボを搭載して勝ち続けている。
虎穴のメンバーの中では鷲崎の事を「剣坊」と呼んで特に可愛がっていた。
虎穴閉店後はZooに通い、ライ太達のグループに身を寄せるも、ブルドラ環境において自身の愛するバッファローでは太刀打ちできないことを痛感。これ以上続けるとACGそのものが嫌いになってしまうと判断し、多くのプレイヤーに惜しまれつつも、ACGを引退することを決めた。
鷲崎伝の後日談でも引退することが語られていた。
剣士やライ太達のグループの成長に大きな影響を与えており、特にトラ夫やアギトはパン田に励まされたことや教わったことを軸にACGと向き合うようになった。物語から遠ざかったのちも度々IFの世界や回想に顔を出す人気キャラクターである。

  • 小粗豪
(主なデッキ:ゴリラコントロール)
コントロール使いのコアラ。
元々純粋なコントロール使いだったが、殴れるコントロールデッキであるゴリラコントロールを開発した。
虎穴閉店後は地元ショップでコントロール研究を行う傍ら、草の根大会を企画。その様子は盤外編にて語られる。

  • 八雲ギン
(主なデッキ:由紀子*9
変態キツネ。名前の由来は某STGの式神
デッキ構築からプレイ時の心構えまで無闇に性的な表現を用いる変態で、虎穴のメンバーと作者と作者の奥さんからはドン引きされている。言い回しがアレ過ぎるが性癖を除くとすごい良い人なのだが早く捕まってほしい。
剣士とは別の意味で、他の店で妙なことを口走りやしないかハラハラする男。
虎穴閉店後はコレクターとしての活動が主となり*10、由紀子関係のカードを他言語で揃え続けたらしい。

  • ドラ彦
(主なデッキ:赤猫バーン)
バーン使いのネコ。虎穴勢の中では唯一他のチームである「HIDARUMA」にも所属している。
他のHIDARUMAメンバーが野良の構築したバーンデッキを使い続ける中、虎穴勢らしくオリジナル構築でバーンと向き合う異色の存在でもある。これは本人が「野良に勝ちたい」と思っていることに起因する。
虎穴閉店後しばらくして、転勤により仙台に移住。移住先で自身のチーム「大炎上」を立ち上げ、GP東北のベスト8にメンバー2人を送り込むなど一大勢力となる。

  • 武藤カバ六
(主なデッキ:カオス・アニマル)
CARD SHOP虎穴の店長であるカバ。通称カバ店。名前の由来はおそらく某王様の相棒のおじいちゃん
若い頃はGPロンドンでベスト32まで到達した腕利きのプレイヤーであり、ヒョウの師匠。童貞。ヒョウが出会った頃は厳しい指導を行っていたようだが、今では優しい店長さん。
実父の体調悪化に伴い、実家に帰ることとなったため、やむなく虎穴を閉店。最後にヒョウからの挑戦を受けた。

このほか、ライ太もメンバーからは虎穴勢として扱われている。

ボルケーノ

元々は玩具屋だったショップで、Zooと比べると少々田舎の方にある様子。3つのチームが根城としており*11、その結果、混沌とした独自のメタゲームを構成している。かつて互いを意識し合うあまり、露骨な対人メタを張り合った結果、全チームが主流メタデッキに勝てなくなるという失敗をしており、現在は3チームの相互扶助の理念の下、互いに協力しあっている。

HIDARUMA

野良勇気が統括するバーンデッキチーム。野良のバーンプレイヤーとしての力量に憧れたプレイヤーの集団であり、野良が作成したデッキリストを元に作られたデッキをプレイし、互いに知見を深めている。大元は野良自身のバーン研究のために発足したチームであるため、基本的には野良謹製のデッキリストを遵守しているが、例外的にドラ彦のみ、オリジナルのバーンデッキを回している。チーム名が胸に書かれたパーカーを全員で着ているが、他者から見たらダサくて罰ゲームか何かだと思われるらしい。

  • 野良勇気
(主なデッキ:各種バーン)
作中最強レベルのバーン使いのネコ。通称「ボルケーノの火の玉小僧」
12年前、先輩から貸してもらったバーンデッキでACGを初めて虜になり、そこから一貫してバーンデッキのみを使い続けている。結果、メタゲームをバーンを通してしか見ていないのだが、途方もない練習と知識で、相性不利の相手ですら焼き殺してしまえる極めて高いプレイスキルの持ち主。本気を出せば同時に2人を並列で相手取る(オマケに勝ち越す)という常軌を逸したことも。
若く見えるが龍堂と同い年。一応さん付けで呼ばれる理由はfanboxにて語られている。
バーンしか握らないからこそプレイ速度も卓越して速く、意図してるわけではないが高速のプレイはそれだけで相手を威圧するほど。
またメイン使用しているデッキは全てプレミア価格がついている希少価値の高いカードでまとめ上げている。
一方で、待ち合わせがあるのに寝坊やパチンコで遅刻する、酔った勢いで他人に絡み飲みすぎて吐く、パチンコで負けて他人に借金する、他チームに無闇に恩着せがましいと、ACG以外の人間性は壊滅的。度々失態を演じてはチームメンバーから叱られ、当然のように罵倒され、周囲からも相応に呆れられている。人としてはゴミ糞とメンバーから言われているが、そのプレイスキルと人の良い面のおかげで慕われてはいる。
ACG開始後、すぐに頭角を表したアギトを気に入り*12、坊やと呼びつつ弟子にしている。
「勝利報告はいらないから負けたときだけ言え」と伝え、まだまだ初心者のアギトのプレミをあげつらってはバカにして笑うなど印象は最悪だが、なんのかんの先達として、いちチームの頭として押さえるところはしっかり押さえたり、アギトを持ってかれることに抗議する龍堂会の面々を逆に絆すなど、リーダーをやるだけはある一面も。
ボルケーノのチーム会議に呼び出した時も、弟子のかわいさから横に着席させるなど、純粋に可愛がっている様子。

この他にドラ彦が在籍していたが、東北転勤で離脱した。


キメラ・ギルド

月ノ輪権蔵がギルドマスターを務める、コンボデッキ「キメラサイクル」のチーム。その活動目的はキメラサイクルの研究と布教であり、そのためなら(いい意味でも悪い意味でも)努力を惜しまない。

  • 月ノ輪権蔵
(主なデッキ:キメラサイクル)
額に傷のあるツキノワグマ。ファンからは「キメサイおじさん」と呼ばれることも。
登場キャラクターの中でも特にACG歴の長いプレイヤーだが、この10年程度はキメサイ一筋。すぐにキメサイを布教したがり、キメサイを通してカードの話をしたがる一種の狂人。しばしば宗教勧誘じみた布教を行っているので、作者から早く捕まってくれと言われる始末。
とはいえそれさえ除けば根本的な性格や言動は紳士的であり、とかくクセの強いボルケーノ三頭の中ではまとめ役となる事も多い。
また、キメサイの腕前に関しては本物であり、チームメンバーすら分からないレベルのブラフや運用を行うことができ、関東では5本の指に入ると言われている。
龍堂には、互いの信念を飲み込んだ上で全幅の信頼をおいてキメサイ指導を行っている。龍堂の引退を前にした試合では、彼が大舞台での使用後もひとりでキメサイを回し続けたことを、プレイングを通して感じ取り、満足気だった。

上記のこともあり、龍堂は一時期このチームで修行していたことがあり、正式入団はしていないが、メンバーからは仲間だと思われている。

CDC

蔵馬忍を代表とするコントロールデッキチーム。正式名称はControl Daisuki Club(コントロール大好きクラブ)。
「コントロールデッキにおけるプレイングの研究と新構築の模索」を設立理念とし、入会したものは蔵馬からの知見を得てコントロールを極めたのち、脱退して地元で活躍するという活動を行っていた……というのは建前ならびに成り行きであり、真の設立理念は「大好きなコントロールデッキをコントロールが大好きな仲間と研究したい」というもの。蔵馬とその理念に共感したユキで創設した。
過去にはその理念を元にしてチームとして運営されていたが、ユキの離脱をきっかけにして、上記の活動に変化。だが真の設立理念と蔵馬のユキに対する友情を知ってからは、メンバーも腰掛け程度の参加ではなく、一つのチームとしてCDCに籍を置くようになっている。

  • 蔵馬忍
(主なデッキ:クラマシステム、アルカトラズなど、コントロール系デッキ全般)
神経質そうな風貌のキツネ。「三日天下」の異名を持つ。
慇懃無礼かつ他人を見下した性格をしておりそれを隠そうともしない、典型的な「頭のいいイヤなやつ」。人を平気でこきおろし、デリケートな心理を逆撫でする攻撃的な物言いはアギトでさえ苦手意識を持つレベル。
が、それらは自己肯定感の低さの裏返しであり、実際は心身ともに繊細な人物。口には出さないが「友達が欲しい」と思っているが、自信が無いので「人間関係は損得勘定」と言ってはばからない。
元は棋界出身者であったが、性格が災いして同年代との対戦をほとんど行えず、悶々とした日々を過ごしていた。ある日、たまたま物見遊山で足を運んだショップの雰囲気をみて心を動かされ、10日間の情報収集ののち実戦デビュー。3日後にはイベントで全勝し、それを聞いたユキにより「三日天下」の異名を付けられ、共にCDCの代表となる。
ユキとはしばらく友情を育んだものの、チームのボスとしての重圧からとった行動と、設立理念に反している自分をごまかしたことにより袂を分かつこととなる。
この確執はしばらく続いたが、野良の手引きとくま吉の協力により関係は修復された。表には出さないが、この件で2人には相当感謝している。
凄まじくプレイ速度が速い上に墓地や山札の枚数、山札の残りに何があるかまで完全に記憶することが出来、その上で確実なプレイングをする脅威のプレイヤー。
蔵馬で狐という事で察した人もいるかもしれないが元ネタになったのは妖狐のこの人……だが、作者の想定と大分異なった人物になってしまったらしい。

この他にユキが作中で復帰、くま吉も入会している。

池袋サバンナ、バオバブ本店

虎穴勢が出稽古を行っていた店舗。虎穴閉店後は剣士が出稽古に行きつつ、一時的に拠点にしていた。

  • 内田イタチ
(主なデッキ:モモンガビート)
サバンナの常連のイタチ。
剣士が出稽古に来た際、虎穴勢に変わって彼にACGの特訓を行った。面倒見のいい兄貴分であり、実力も高い。
名前の由来は忍者のお兄ちゃん

  • 内田サスケ
イタチの弟。剣士をよくからかっている。腕前も同じくらいらしい。
名前の由来はサスケェ……

  • 鮫島城
(主なデッキ:モモンガビート)
バオバブ常連のサメ。
こちらも面倒見のいい親分肌で、剣士の出稽古時代をサポートした。
イタチとセットで登場することが多いので、おそらくサメになったのは霧隠れの怪人の影響。

ドラゴンスター

実在するショップ。「うさぎとヒヨコの奮闘記」がドラゴンスターで連載されている関係で舞台となっている。

  • 庭鳥ピヨ助
(主なデッキ:エターナル・コブラ、複製シャーク)
上京したてのヒヨコ。
元々は地元のオタク友達と身内でカードゲームを楽しんでいたが、ドラゴンスターに足を運んだことで、宇佐や迅達にACGの真の面白さを教えてもらうことになる。
根が図太いためコミュニケーションで物怖じすることがなく、友達を求めていた宇佐ともすぐに仲良くなった。
現時点ではプレイングは自分がやりたいことだけをやるという形なのでシナジーを成しておらず、勝ち星をあげるには至っていない。

  • 宇佐
(主なデッキ:韋駄天脱兎)
ウサギの茶色いほう。
ACGの腕前はなかなかで、韋駄天脱兎で勝っている人くらいの認識は店内でされている。
が、本人は会話の内容を考え込んでしまうタイプの陰キャかつコミュ障で、友達を欲していたが、上手くいっていなかった
そんな中、ピヨ助と出会い、彼の練習相手になる代わりに友達となった*13

  • 知伊多迅
(主なデッキ:スプリント砲)
ドラスタ常連のチーター。
プレイ中は物静かかつ、威圧感のある様子だが、日常会話では砕けた物いいと仕草の好青年。
宇佐のことも手練の韋駄天脱兎プレイヤーとして認識していたが、会話を始めるタイミングをはかっていたらしい。
元々の性格の相性もあってか、ピヨ助とは速攻で友人同士となった。

ACGのデッキ

現実世界のTCG同様、ACGにもメタゲームが存在し、作中のほとんどのプレイヤーがメタゲームを意識したデッキ作りを行なっている。代表的なデッキをここに記述するが、作中名前のみ登場しているデッキについては名前のみ紹介する。なお、野良が使用しているバーンデッキは、こちらを参照されたし。

鷲崎伝以前からあるデッキ

  • キメラサイクル
前身のケルベロスコンボから数えると、十数年の歴史があるマルチコンボデッキ。なんと最新シリーズにまで使用者がいる。
通常だと5つものコンボが1つのデッキに搭載されており、尚且つそれらが互いにリンクしているという正気を疑う構築が最大の特徴。そのため、デッキレシピはほぼテンプレート化されており、使用カードやデッキリストが概ね普遍的なため、キメサイ使い、またはキメサイへの理解が深いプレイヤーしか理解できない暗号めいた符丁が多数存在する(オマケに方言のように地域による言い回しの違いが存在するらしい)。円環を成しているコンボは手札、盤面、対戦相手により次々に姿を変えるため、コンボデッキにもかかわらず試合の再現性は皆無。月ノ輪曰く、「これほど1人回しが楽しいデッキはない」「無限に味のするガム」。また、一流のキメサイ使いと一流のキメサイを知る相手プレイヤーによる試合になると、テンプレートから外れた構築がブラフになるというギャラリー置いてけぼりの試合が始まることも。
デッキの構造上、あらゆる相手に対抗策やブラフを構えられるが、初心者が使用しても力を十全に発揮するのは難しく、プレイ人口が増えないのが玉に瑕。「強いデッキなら使う」信条のライ太をして一応フリプなら回せるが、大会レベルに持ち込むには特殊すぎて扱いきれないと断言するあたりにその片鱗がみてとれる。また、セイウチワンキルのような高速即死コンボ、ハンドラのようなコンボパーツを的確に引っこ抜かれるデッキには相性が悪い。ついでに無闇に奥が深いので、一度ハマるとこのデッキ専門プレイヤーになりやすいらしい。一種の永続的狂気

  • ビー
女王蜂を筆頭に、蜂を大量に横並びするデッキ。アントとは異なり、一気に大量展開するようだ。
昔から愛好家が多いようだが、ブルドラ環境に伴う全除去の増加によって一時期数が激減していた。

  • エア・フォース
航空戦力をハンデスでバックアップするビートダウン。
採用動物を航空戦力に極振りしているため、地上の動物全てを全面制圧することで環境を暴れ回った。対空射撃などのメタカードもものともせずに王座に君臨し続けたが、キーカードの《王鷲》が禁止指定されたことで消滅。その暴れぶりが作中でブルドラ環境と比較されることがある。

これら以外にも以下のデッキの存在が確認されている。
  • ペリカンビート
  • アント
  • オクトパスコントロール
  • パワーバッファロー

鷲崎伝期

  • イーグル・ビートダウン
ビートダウンからコンボ要員まで対応できる汎用動物、《戦列の鷲》を主軸にしたビートダウンデッキ。剣士のオリジナルデッキでもある。
タイガービートを参考に*14虎穴勢の助けを受けて原型が作られた。その後は虎穴の閉店、剣士の孤独な出稽古とブルドラ環境の逆風を経て、現在に至るまで研ぎ澄まされ続けている。現在では週一で更新され、トップメタにも勝ち続けている。
カード名の元ネタは恐らくMtGの《戦隊の鷹/Squadron Hawk(MTG)》。

  • ネオ・バッファロー
数期前のトップメタデッキ、パワー・バッファローにコンボ要素を搭載したパン田の愛用デッキ。
バッファローは「それぞれの条件を満たすことで3つの効果を発揮する」性質を持ち、以下にしてその条件を満たすかが重要となる。おそらく活躍当時は「条件さえ満たせば3つも効果を使い分けられる」強力なカードだったが、ブルドラ登場以前から既に「各々別の条件をクリアしなければ効果が使えないテクニカルで渋いカード」となっていたと推測される。
すでにカードパワーは時代にはあっていないバッファローを、パン田の愛と情熱でここまで活かし続けている。実際、ブルドラのぶっ壊れっぷりに呆気にとられつつも、様々なデッキタイプが乱立していた環境前期では、それなりに戦えていたほど。
しかし、虎穴の閉店に伴うパン田自身の緩やかなモチベーション低下が根っこにあり、オリジナルデッキの使い手同士と愚痴や冗談を言いつつ切磋琢磨できる環境の有無は大きかった。ブルードラゴン環境後期の構築固定、純粋なカードパワーの壁にどうしようもなくぶち当たり、その姿を消すこととなった。

  • クロコダイルコントロール
うさカスとうさクズの愛用デッキとしての印象が強いが、名前自体はこの頃から登場している。《帝王クロコダイル》、またはそのリメイク版の《帝王クロコダイルⅡ世》をフィニッシャーに、除去と妨害を併用する時代を超えて愛されるコントロールデッキ。
純正型とコンボ搭載型が存在し、うさカスとうさクズの研究によって、あえてフィニッシャーをゾウに切り替えたクロコレスクロコンも存在する。
カード名の元ネタは恐らくMtGの《皇帝クロコダイル/Emperor Crocodile》だが、中身はまるで違うものである。

  • セイウチワンキル
3種類のコンボパーツによる、最速2ターン目に決まる即死コンボデッキ。デッキパーツはコンボパーツとそのサーチやドローが大半を占めている。鷲崎伝以降もミニGPのトップに使用者がいる、ブルードラゴン環境にも対抗馬として存在するなど、かなり強力なコンボデッキであることが見て取れる。

  • エンドレス・フラミンゴ
無限ミンゴの名前でも登場するループコンボ。フラミンゴワルツの流れを汲むデッキであり、「鷲崎伝」時点ではTier.1のデッキだが、「エピソード・ライ太」の頃には少し古いデッキとなっているらしい。

  • 墓地モグラ
墓地に落としたモグラを釣り上げるいわゆるリアニメイトデッキ。後に発展したデッキデス墓地モグラが登場し、こちらは相手のデッキを削る特殊勝利を狙うルートもある模様。
ブルドラ環境初期にはまだ活躍の余地があったようだが、対コンボ型のハンドラや害ドラには分が悪かったようだ。

  • ダーク・レオパルド
ヒョウで統一した動物たちを手札破壊や除去でバックアップするいわゆる部族ビート。
特定部族の瞬間強化が入っているため、テンポに緩急がつきやすいようだ。

  • 由紀子
虎穴のサグラダファミリアとも称される、ギン専用機にして性欲のはけ口
虎穴時点では3種のコンボを搭載したコンボビートだったが、ブルドラ期にはコンボプランを減らしたVer.18.0が開発されている。
なお、3種のコンボはケルベロス・コンボと似ているが、こちらは環境コンボデッキを並列3つ投入したデッキのため、互いのコンボのリンク率は低いようだ。

これら以外にも以下のデッキがこの頃から登場している。
  • カオス・アニマル
  • 海蛇コントロール(改)
  • ゴリラビート
  • ゴリラコントロール*15

エピソード・ライ太期 ブルドラ登場前

  • にゃんにゃんコントロール
《母にゃんこ》から展開される子猫を主軸にしたコントロール。環境トップメタのデッキだったが、置物破壊しつつ除去耐性をもつブルードラゴンにより姿を消すこととなった。

  • 冬眠コントロール
戦闘を制限する《冬眠》と、その影響を受けない《冬将軍》をフィニッシャーにしたコントロールデッキ。ユキのオリジナルデッキだが、ブログで紹介しているため全国に使用者がいる。ほとんどのパーツが複数枚積みであり、リストが短い。経験者であればパッと見ただけで方針が分かりやすく、難易度が高くなりやすいコントロールでも使いやすいのがファンの多い一端である。
にゃんコン同様ブルードラゴンの影響で一時期冬の時代を迎えたが、蔵馬によってアルカトラズとのハイブリッドデッキである「冬季監獄」に生まれ変わった。

  • ラン&ガン
エンド時に手札に戻るデメリットを持つ代わりに高い打点を誇る《スプリントチーター》を軸に、火力でバックアップするデッキ。
ビートというよりバーン寄りの動きをするため、アギトは野良の知見を得ることとなった。

  • キュア・カウ
ライフゲインを攻撃力に変換する乳牛を主軸にしたデッキ。MtGで言うところの「ソウルシスターズ」のようなデッキだろうか。
使用者は登場していないが、ライ太によって解説されている。

  • ジラフ・バベル
《キリンの背比べ》による特殊勝利を狙うデッキ枚数250枚超えのタワーデッキ。キリン先生が愛してやまないデッキでもある。デッキ全体が《キリンの背比べ》のサーチとドローソース、除去、妨害、手札破壊で溢れかえっており、その上でもデッキの採用枠が通常デッキより多いので、使い手の使用感やこだわりを採用しやすいのが特徴。

  • ラビットハンデス
全体的に軽量のカードで構成されたビートダウンデッキ。
高速のビートによりコントロールに有利、ハンデスを使い回せるというギミックによりコンボとも戦えるらしい。
作中登場時点で最新に近いデッキらしく、ライ太たちもプレイングの最適解をすぐには決めかねる程度には難解な様子。

  • モモンガビート
変則的な航空戦力《ジェットモモンガ》をハンデスや妨害などの各種コントロール要素でバックアップするビートコントロール。
使い手の力量によっては器用貧乏で終わるようだが、鮫島やイタチレベルのプレイヤーなら十全に機能を発揮出来るようだ。
長期にわたってTier.1の座を維持していたが、チンパンビートに食い破られる形でメタゲームを去った。

  • 蔵馬システム
蔵馬がACGに興味を持って10日で完成させたデッキ。将棋の戦法を意識したデッキ名となっている。
その正体はフィニッシャーを一枚も搭載していない完全コントロールデッキであり、徹底した除去と妨害で相手を縛った後、デッキ枚数を僅かに多くした自己デッキによるライブラリーアウトで勝つという極端極まりないデッキ。
しかし、「将棋と異なり対局時計がない」「ゲーム制限時間がある」「対戦相手が自身の勝ちの目のなさに気づかない可能性がある」というゲーム性の違いを蔵馬がまだ理解していなかったため、うまく勝ち星を挙げられずにお蔵入りとなった。

これら以外にも以下のデッキがこの頃から登場している……と同時に、のちの《ブルードラゴン》および、それによって歪んだメタゲームによって多くのデッキが絶滅への道を余儀なくされた。
  • ラクダビート
  • ライノビート
  • チンパンビート
  • オオシャコガイコントロール
  • 飛魚コントロール
  • 穴熊要塞
  • リベンジタートル

エピソード・ライ太期 ブルドラ登場後(青嵐環境)

  • ブルードラゴンビート
攻守共に十分なスペック、選ばれない能力による除去耐性、航空能力、場に出た時の汎用除去能力を備えた上に、異常に低コストというオーパーツじみたスペックの《ブルードラゴン》を主軸にしたビートダウンデッキの総称で、青嵐の軍勢発売から《ブルードラゴン》禁止指定を受けるまで環境のトップを走り続けた。弱点である全除去さえ警戒していれば、軽量の《ブルードラゴン》を連打するだけでミラーマッチ以外あっさり勝てるという、まさにオーバーパワーな1枚。
環境初期は専用の軽量サーチ《竜笛》と併せての8枚体制を主軸にライフゲイン型からループコンボ型*16まで、あらゆるパターンのデッキが研究されていたが、《竜笛》が禁止され、代わりに《航空支援》を採用してから、以下の三つに大別されるようになる。
1.多量のピーピングハンデスで相手の脅威を素早く排除する「ハンドラ」
2.各種妨害で堅牢な守りを伴う「害ドラ」
3.多数の全体除去と専用回収カード《竜の再誕》によって他のブルドラに有利に立ち回る「純ドラ」
このデッキ……というより《ブルードラゴン》の登場により、置物型のコントロールデッキは壊滅。《ブルードラゴン》非採用のビートダウンはパワー負け。対《ブルードラゴン》用に各種デッキがこぞって全除去を採用したため、横並び戦略のデッキは煽りを食らって消滅と言う有様。あるものは「最高の環境」、あるものは「最悪の環境」と称した。
作者曰く、複数の元ネタやイメージソースから作られたカードらしい。

  • アルカトラズ
元はジェイル系コントロールのうち、デッキ修復を採用したものの総称。作中で蔵馬が使用したものはソフトロック系置物を大量投入し、相手の思考を誘導する、《ブルードラゴン》登場により消滅したと思われた置物コントロール。
通常のコントロールカード以外に「相手に追加コストを強制するが、手札を1枚捨てると破壊されるソフトロック置物」「自軍生物がいないときにしか機能しないスリップダメージ置物」「墓地を山札に大量に戻すことがコストの妨害」が組み込まれており、それらがそれぞれ複数の役割を果たす。
追加コスト置物で《ブルードラゴン》を筆頭にした相手の戦力投入を後ろ倒しにしつつ、これみよがしにスリップダメージ置物を設置して動物非採用に偽装。相手が無用と判断した全除去をこちらの置物の破壊コストに当てさせた後、《ブルードラゴン》を出すことでフィニッシュを決める。後半は墓地回収妨害を駆使してデッキ内のキーカードの濃度を後半まで維持し続けることが出来る……が、当然その分プレイ時間が異様に膨らみ、時間切れが原因で負けないが勝ちきれない可能性を孕んだ非常にとがった代物。プレイ時間を極小に切り分け、戦場と思考を完全にコントロールする蔵馬のような思考力がなければ回せない高難易度デッキ。
本来ならば置物全破壊カードによって容易く破られる構築だが、《ブルードラゴン》の蔓延により置物コントロールが死滅したため、メタをはられることがないのがこのデッキの厄介なところである。さらにブルドラ相手からすれば細かな置物全てが緩やかに締め上げてくるため、持ち前の除去能力をどこに使用するかの選択に迫られ、プレイングを一層難しくさせている。
このデッキコンセプトと冬眠コントロールのコンセプトのハイブリッドにより、冬季監獄が生まれた。

これら以外にも以下のデッキがこの頃から登場している。
  • ライノシュート

奮闘記期

  • エターナル・コブラ
無限コンボデッキの1種。「うさぎとヒヨコの奮闘記」の頃に追加パーツが入ったことでTier.1.5まで強化されたようだ。

  • レオ・ストーム
各種ライオンを活かして《ライオンの嵐》を打ち込むビートコンボデッキ。「うさぎとうさぎの奮闘記」の頃はトップメタデッキだったが、「うさぎとヒヨコの奮闘記」の頃には少し古いデッキになっている。
実は本編には一切どんなデッキなのかの解説がなされていない。ではなぜデッキの概要が判明しているかと言うと……

  • 韋駄天脱兎
自軍動物に駿足を付与する《韋駄天》と《脱兎》を計8枚採用した高速ビートダウン。
サーチカードで各種デッキに対抗する攻撃時能力のある動物をサーチするシルバーバレット戦術も強み。

  • 動物砲
自軍動物を生贄にして攻撃力分のダメージを相手に与える置物である《動物砲》を主軸にしたデッキの総称。
《鉄檻》でロックをしたのち《ボスラット》から無限に湧き続けるトークンを撃ち込み続ける「ボスラット砲」、デメリット持ちの巨大動物《最高峰象》を撃ち込む「最高峰砲」などバリエーションがあるが、物語に登場したのは《スプリント・チーター》をビートと砲弾の両方で使用する「スプリント砲」である。

  • 複製シャーク
コンボ搭載型のビートデッキ。
ピーピングハンデスでの前方確認からシャークによるビートプランと複製によるコンボプランを選択できることが強み。

これら以外にも以下のデッキがこの頃から登場している。
  • ゾウさんビート
  • ドルフィンコントロール

余談

前述の通り、ACGは架空のカードゲームであり、現実世界には存在しない……はずが、クラウドファンディングにより実際に作られることとなった。
その結果集まった寄付は目標金額400万円でスタートしたにもかかわらず、なんと総額1億円オーバー。クラファンの環境に思いっきり風穴を空けることとなった。
前述のデッキのうち、「レオ・ストーム」はこの企画によって初めてデッキの内容が明らかになっている。
この勢いに乗って、第2段の作成決定、ブースターパック発売決定、オマケに全国グランプリ開催決定……これ、ホントに同人カードゲームだよね?

追記、編集は自身のこだわりデッキで環境に風穴を空けてからお願いします。

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最終更新:2025年04月20日 11:35

*1 この頃は登場していたカードゲームもマジックザギャザリングのものだった。

*2 ライ太が環境最強と選択したレオ・ストームが少し古い、エターナル・コブラに強化パーツが増えて返り咲いたなどの描写がある

*3 実は「エピソード・ライ太」前後にはZooにやって来ている

*4 pixivの旧アカウントに御尊顔が掲載されている

*5 実績等にも興味が無かったのか、友達が大会に参加していても参加せずにフリプに興じている事も多かった

*6 HIDARUMAメンバーですら、泥酔した野良には複数対応や会話の厳選などの正しいプレイ手順をふむ必要がある

*7 ただし、くま吉とトラ夫のライバル関係とは違い、アギトの人の良さに完全に絆されているので、ACG以外の関係も良好

*8 このため、虎穴が営業していた頃には出稽古に連れていってもらえなかった

*9 盤外編にて由来が語られているが、あまりの理由に周囲はドン引きしていた。

*10 ブルドラ発表時点ではVer.18.0の研究をしていたことがfanboxにて語られている。

*11 厳密にはHIDARUMAは都内全域に散らばって活動している為、根城にしているのはあくまで野良だけである。

*12 パン田とのやりとりも影響している。

*13 実際、練習相手となる条件として連絡先の交換を求めた

*14 くま吉が語った「元ネタはあるが原型をなくしてしまっている」はこのことと考えられる

*15 fanboxに詳細な説明がある

*16 Zooで噂になっていたが、製作者は本作品きっての変態ギツネである