願いを叶えるひみつ道具

登録日:2024/10/10 Thu 14:32:08
更新日:2025/03/18 Tue 17:57:02
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ここでは、漫画『ドラえもん』に登場するひみつ道具のうち、願いごとを言うと、その願いを叶えてくれる性能を持つひみつ道具について一覧形式で紹介する。

●目次

【概要】

ドラえもんのうた』でも歌われている通り、ドラえもんはその不思議なポッケで様々な夢や願望を叶えるための適切な道具を出してくれる。
だが、その中にはなんと「願いをいうと、その願いを叶えてくれる」というズバリそのものな道具が存在する。
「な〜んだ。その道具さえあれば他の道具なんか全部いらないじゃん!」
…そう思うのも尤もだが、「世の中あまくないんだぞ。いいことずくめでおわるわけがない」とドラえもんが仰る通り、その道具の中には大変なデメリット危険性が内包されているものが存在する。
ここでは、そんなひみつ道具を危険性の指標と共に紹介していく。
なお、嘘を言うと本当のことになる「ウソ800」や欲しいもの書いた紙を入れるとそれが手に入る「サンタえんとつ」など、実質的に願いを叶えている道具は存在するが、ここで記述するのはあくまで「願いを言う(もしくは思う)と、それを物や事象問わずに叶えてくれる」と作中で説明・描写されているものに限る。



【危険度・小】

適切に扱えば危険性はほとんどないが、一部注意点が存在するもの。

●断ち物願かけ神社

ヨロシイ。コレナラ勝タセテヤルゾヨ。

てんとう虫コミックス第42巻などに収録されている『断ち物願かけ神社』で登場。
“神社”とはいうが、見た目はくずかご程の大きさのもので、神社の社風の形をしたものに丸い穴がある。
お札*1に断ち物を書き、穴に入れたうえで二拍手しなから願い事を言うと、その願いが叶うというもの。
紙に書かれた断ち物は一年以上強制的に断たれる。例えば「ケーキ」と書けば何をどうしてもケーキが食べられないようになり、「しずちゃん」と書けばしずちゃんと会話すらできなくなってしまう。
またある程度しっかりしてるのが、嫌いなものを断とうとしても効果はなく、あくまで好きなものを断つ必要がある。また、他人にお札を書かせて他人に断たせようとしても効果は現れない。*2
以上の内容をしっかり理解していれば、願いに間違いは起こらず危険度は少ないと言える。
ただし注意点としては、「願いを叶える対象となるのは、断ち物願かけ神社に紙を入れた人ではなく、紙を書いた人となる」という点。
例えば事前に願いを考えながらお札に書いて、それを他人が断ち物願かけ神社にいれると、紙を書いた人の断ち物が断たれながら願いが叶うということになる。
そうそう起きないようなことではありそうだが、作中ではのび太が様々な断ち物の候補を書いたお札を保留のまま放置していたことで、風に散らばったそれをのび太のママがくずかごと勘違いした断ち物願かけ神社に入れた結果…


●神さまロボット

ワシハ神サマジャ。
心ヤサシイソナタノ、三ツノ願イヲキイテアゲヨウ。

てんとう虫コミックス第28巻などに収録されている『神さまロボットに愛の手を!』で登場。
杖をついた老人の姿をした小柄なロボット。
なぜかゼンマイ式で動かし誰かが通りかかるとコロリと倒れ、拾った人に対して「腹…ヘッタ…」と囁きかける。そして親切にも食事を恵んでくれた相手に対し、上記のセリフをいいながら三つの願いを叶えてくれる。
人の心を試すためのロボットなため、願いを叶えてくれることを知りながら親切にしても上手くいかないため、自主的に願いを叶えるのはほぼ無理。
ただし、願いを叶える様子を目撃したことで下心満載で親切にするのはうまくいく模様。正式な効果を説明されなければセーフということだろうか。
ただし、願いを叶える前に神様の前で喧嘩した際に発した「お前なんかブタになれ!」程度の言葉でも願いと解釈されてしまうため、神様の前では言葉に気をつける必要がある。
逆に言えばそれさえ気をつければ安全と言えるだろう。


●神さまごっこ

今だ!「叶えてつかわす」と言うんだ!
かなえてつかわす。

てんとう虫コミックス第36巻などに収録されている『神さまごっこ』で登場。
頭につけると浮かぶ天使のわっかに、首から下げるお賽銭箱のセット。
使い方としては、

①:まず誰かが天使のわっかとお賽銭箱を身につけ神さま役になる。
②:次にそのお賽銭箱にお賽銭を入れ、願い事を言う。*3
③:その際に天使のわっかが光れば願いが叶う合図。神様役の人が「かなえてつかわす」と言うことで願いが叶う。

お賽銭の量に特に決まりはないらしく、作中では10円や5円でも発動していた。
ドラえもん曰く「ごっこだからね、個人的なささやかなのぞみなら(叶う)」ということであり、「総理大臣になりたい」だの「百万円欲しい」だのは叶わない。ただし、静香は「アイドル歌手のトンちゃんに会ってサインもらって握手できますように」という願いも叶えているため、意外と範囲は広いかもしれない。
お腹を壊したトンちゃんが急いでトイレを借りに来るという、ロマンチックさのない出会い方ではあったが
後述するひみつ道具は「身の丈に合わない願いを叶えた結果、代償としてとんでもないことになる」という展開が多いが、神さまごっこは「そもそも身の丈に合わない願いは叶えられない」という性質から、比較的安全と言える。
ただしのび太はスネ夫の願いを叶えた結果「10点だったテストが0点になる*4」憂き目にあったり、のび太のママが「のび太がせめて人なみの成績をとってくれますように」と願ったため机から離れられなくなるなど、願いによっては多少とばっちりが来ることもあるようだ。

ちなみに、藤子・F・不二雄先生はこの道具と同じ名前の『神さまごっこ』というSF短編を発表している。こちらはうだつの上がらないサラリーマンの男が神から力を得て新たな世界を創造するという内容で、『ドラえもん』で言えば『地球製造法』や『のび太の創世日記』に近いか。


●ねがい七夕ロケット
藤子・F・不二雄大全集第16巻などに収録されている『ねがい七夕ロケット』で登場。
七夕の笹を模したロケットで、短冊に願いを書いて吊るし空に打ち上げることで願いを叶えることができる。
非常にシンプルで特に制約や代償などもないが、厄介なのが「うら七夕ロケット」の存在。
これはねがい七夕ロケットと同じ見た目をしていながら「短冊に書かれた願いをあべこべに叶える」という効果を持つシロモノ。実際作中でもドラえもんが2つを取り違えていた。いったい何のために作られた道具なんだろうね。
また、どちらにも共通して言えることだが他人に関する願いを勝手に叶えられるという点も問題。
とは言え、どちらも効果を把握した上で適切に使う分にはデメリットが見られないので本項目で扱っているひみつ道具の中では安全な部類だろう。


●チョージャワラシベ

ほしいからって、なんでもかんでもかんたんに手に入ると思うのは考えがあまいぞ

てんとう虫コミックス第13巻などに収録されている『神さまごっこ』で登場。
その名の通り、わらしべのような道具。
これを手に持って、欲しい物を言ってから辺りをうろついていると、行く先々で出会う人々と物々交換を繰り返す事になり、最後には欲しい物を手に入れられる。
少々面倒ではあるものの、さほど大きな苦労を要求されるわけではなく、本項目で扱っているひみつ道具の中ではかなり安全な部類と言える。
ただし同音異義語で勘違いされた結果、痛い目を見る事もあり、ワラシベを強奪したジャイアンが「モデルガンが欲しい」と願ったら「モデルルーム」と書かれた看板に「ガンッ」とぶつかる羽目になっている。


●ウルトラ恵方巻き
わさドラオリジナルの『ウルトラ恵方巻き』に登場。
普通の恵方巻きと同じく、その年の恵方を向き願いを思い浮かべながらしゃべらずに完食することで宝船に載った七福神が現れ、願いを叶えてくれる。
途中でしゃべってしまうと七福神と同じノリで鬼が現れ、しばらくの間豆を撒かれながら追い回される。
明確なデメリットこそあるものの、多少痛いくらいで済むので他に比べると危険度は低い。
また、デメリットではないが、この恵方巻きを完食することに注力しすぎて「ウルトラ恵方巻きを完食したい」などと強く思ってしまうとせっかくの努力が無に帰すことになるので注意。劇中ではのび太がこれをやらかしていた。



【危険度・中】

キチンと扱ってもデメリットが避けられない、危険な要素が示唆されているもの。

●うちでの小づち

この小づち、ちょっとややこしいんだ。

てんとう虫コミックス第8巻などに収録されている『うちでの小づち』で登場。
見た目はそのものズバリ童話「一寸法師」に出てくる打ち出の小槌そのもの。
願い事を言いながら、小槌を振るとその願いが叶う…というものだが、上記のドラえもんのセリフ通り”ちょっとややこしい”代物。
特徴を端的に言うと”願いは叶うが、その代償にそれ以上の損をする”道具と言える。
ドラえもんは「どら焼きでろ でろ」と願った結果、のび太を巻き添えにしていつの間にか引っ越しの手伝いをさせられ、そのお礼にどら焼きをご馳走という展開になったり、のび太が「こづかい欲しいぞ千円くらいでいい」と願った結果「友達に千円以上の価値がある切手アルバムを紛失され、賠償の千円を受け取る」という展開になった*5
そして「せの高さがほしいぞ。せめてのび太より高くなりたい」と願ったスネ夫の末路は…

モチーフは打ち出の小槌だが、効果はどちらかといえば猿の手に近いと言える。


●ねがい星

えっ。ぬすまれてよかったね。
あの星かんちがいばかりするんだもの。

てんとう虫コミックス第10巻などに収録されている『ねがい星』で登場。
顔がついている光る星の形をした道具で、願い事を言うとそれを叶えてくれる星。
これだけ聞くと単純に万能な道具に見えるが、上記で言う通りやたら勘違いする星。
「でっかいたいやきを出せ」という願いを聞いて「タイヤと木」を出したり、「香水を出せ」という願いを聞いて「洪水」を出したりと、安定して願いを叶えるのは難しい。
一応全部が全部間違える訳ではなく、「星よ、お願いだから出てきて」や「星よ、ぼくをかくしておくれ」くらいの簡単なお願いはしっかり叶えている。隠れることを願ったのび太はゴミバケツにぶち込まれたが
勘違いしないように具体的にお願いしたりすれば極力デメリットも避けられるかもしれないが、結局のところ全く安定しない上に、勘違いされた結果どんなデメリットがあるかも分からないことを考えると危険性は比較的高い。


●流れ星製造とんかち

これでなぐると目から星が出る。それに願いをかけるんだよ。

ドラえもん カラー作品集5巻などに収録されている『流れ星製造トンカチ』で登場。
ハンマーの形をした道具で、これで殴られると目から赤い星が出てくるため、それに願い事をすると願いが叶うというもの。
願い自体に特に不都合なデメリットが発生する描写はないが、とにかく「トンカチで頭をぶっ叩く」という発動条件が危ない。
作中では素材は明言されていないが、”とんかち”という言葉は”金槌”の別名であるため打撃部分は金属製の可能性が高く、それで頭をぶん殴るのは相当危険。
自分で自分を殴る分にはまだ良いかもしれないが、この道具はなんと「他人をぶん殴って出た星に自分が願えば自分の願いが叶う」という仕様。
つまり他人をぶん殴って願いを叶えるのが一番リスクが低い道具ということになってしまい、他の道具とは別ベクトルで危険な道具と言える代物。ただし、この方法で「宿題を終わらせたい」と願ったスネ夫は願いこそ叶ったが肝心のノートがのび太のものであったというオチだったため、流石に何かしらの制約はある模様。


●アラビンのランプ

はあい、ご主人さま。
けむりのロボットだよ。

てんとう虫コミックス第1巻などに収録されている『ランプのけむりオバケ』で登場。
ランプの型をした道具で、元ネタよろしく擦ることでけむりのロボットが現れて呼び出した者の願いや頼み事を引き受けてくれる。
だが、彼には魔法のような力など持ち合わせておらず、主人の願いを叶えるためには他者へ暴力や恐喝を働いて無理矢理叶えようとすることも辞さない。作中ではのび太の望む物をジャイアンやスネ夫から奪う・先生に宿題を無理矢理やらせる・「百万円が欲しい」という願いに応えるために道行く通行人に片っ端から襲いかかるなどの騒動を起こしていた。
おまけに知能も低く、ストーブの電源を入れるためだけのことをドラえもんにやらせようとする場面もあった。
ランプ上のボタンを押すことで取り消しが出来る分、危険度はやや低めか。



【危険度・大】

重大な危険が作中で示唆・描写されているもの。

●のぞみ実現機

どんなのぞみも、自然な形でかなえてくれるんだ。

てんとう虫コミックス第42巻などに収録されている『やりすぎ!のぞみ実現機』で登場。
「L」(Low)と「H」(High)の目盛りにマイクやアンテナがついたトランシーバーのような道具。
他の願いを叶える道具と違う大きな特徴は、「願いの叶う強弱を調整できる」という点にある。
願いに強弱とは?と思うかもしれないが、例えば「家族で北海道のサッポロラーメンを食べたい」という願いに対して最初のび太が調整した強さでは「パパの転勤によって家族揃って北海道に引っ越し」になってしまい、のび太がもっと弱く調整したことで「北海道の親戚からサッポロラーメンが届く」レベルまで落ち着いた。
上記の例や作中でもドラえもんが危惧していた通り願いの調節が非常に難しく、それによりどんな事態が発生するかの予測が困難。特に作中でのび太が最後に願った「明日の学校のテストを受けないようにする」という願いに対してのぞみ実現機が出力したのは「マグニチュード9の地震が関東を襲い、学校どころかほとんどの建物が潰れ何百万人もの犠牲者が出る」というドラえもん史上有数の災害を引き起こすものだった*6
のび太がタイムテレビで結果をカンニングするという手段でそれが判明したため、調整し直したことで事なきを得たものの*7、一歩間違えれば大災害になっていたことを考えると非常に危険な道具といえる。
最低レベルのまま使い続けるか、作中ののび太のようにタイムテレビとの併用を前提とするならば危険度は中程度かもしれないが、特に最高レベルで単体での使用となると危険極まりない代物である。


●しあわせトランプ

ほしがってくれえ。
いやだよう。そんなおっかないもの。

てんとう虫コミックス第27巻などに収録されている『しあわせトランプの恐怖』で登場。
見た目はただのピッカピカの新品のトランプであり、これを持っていると持ち主ののぞみをなんでも叶えてくれる。ただし、願いを1つ叶えるごとにトランプが1枚ずつ減っていき、52枚が消えて最後のジョーカーが残った時、それまでのうめあわせで不運がたばになってふりかかってくるというもの。
願いのかなえ方は基本的に自然な形だが、願いを言ったそばから次々とかなえるわけではなく、持ち主の願いがある程度固まったり、自然にかなえられそうな願いが出たタイミングで自動的にかなえる形であり、願いと言うよりは欲望をかなえる道具と言える。それ故に、持ち主に無断で願いをかなえて勝手に枚数を減らしてしまう厄介な性質を持っている。
唯一ジョーカーの恐怖から逃れる方法は、他人に譲渡するか奪われること。そうしない限り、捨てようが燃やそうが持ち主の元へ自動で帰ってくるという、もはや呪いの類に近い。のび太が使っているのを見たドラえもんは顔が軽く作画崩壊を起こすレベルで慌てるブツである。
そもそもこの話の題名が『しあわせトランプの恐怖である時点で色々ヤバい。
…というか、スチーブンソンの『瓶の悪魔』のひみつ道具バージョンとしても過言ではなく、そこまでえげつないシステムが組み込まれているのである。ただ、あちらは最初に買った金額より低く設定して他人に売りつけなきゃならない辺り、他人に押し付けるだけで恐怖から解放されるだけマシな部類かもしれない…のか?
作中ではひったくり犯がしあわせトランプ入りの金庫をひったくっていったことで譲渡した判定になりのび太は事なきを得た。その後のひったくり犯の末路*8を「52枚分の子どもの欲望を叶えた割にはマシな不幸」と評す声もあるが、あれはまだ不幸の始まりにすぎないという可能性もあり…。
余談だが、願いを一瞬で叶えるスピード性に関しては随一のため、その能力を見込まれた結果、最強議論スレでドラえもんの武器として選ばれやすい。






項目を追記・修正したいんだ。なんとかしてよ。
さあ、この望みがどんな形でかなうか。気がかりだなあ。
タイムテレビをかりるね。

アニヲタWikiの全ての項目が荒らしに荒らされ…その結果サイト自体が丸々初期化され…正常に追記・修正し直すために必要な時間は何年も…』

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最終更新:2025年03月18日 17:57

*1 専用のものが必要なのか、普通の紙でもいいのかは不明。作中ではドラえもんがわざわざ出していたので、前者の可能性が高いか

*2 ただし、断たれる事自体の効能は存在するため、全く意味もないのに他人に断ち物をさせることはできてしまう。作中ではそのせいでのび太のパパは…

*3 お賽銭をいれる人と願いを言う人は別でも良く、なんなら”神様”自身がセルフサービスでお賽銭を入れても良い

*4 ただしこれは先生の採点ミスを正確に直したことが原因であるため、正しい結果に戻ったというべきか

*5 わさドラ版ではジャイアンもこの道具を使用しており、神成さんの家に飛び込んだボールが戻ってくるように願ったが、ボールは戻ってきたものの、神成さんと先生に叱られそうになって逃げる結果となった。

*6 アニメ版では地震から別の災害に変更されているが、危険なことには変わりない

*7 テスト当日に遅刻してしまい、結果的に受けずには済んだが先生から大目玉を食らった

*8 原作では犬に噛まれてドブに落ち、車にはねられた挙句交番の前に着地しそのまま逮捕された。アニメ版ではバナナの皮で滑ってドブに落ち、犬に追われ、逃げてきた場所が交番だった