18禁アダルトゲーム

登録日:2011/07/25 Mon 18:15:33
更新日:2025/10/03 Fri 22:12:58
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18禁アダルトゲームとは、その文字通りAdult(大人)しか買ってはいけないゲームのことを指す。




【概要】

「大人しか買えない(プレイできない)」という時点で概ね察しは付くだろうが、これに分類されるゲームはエロ…つまり強い性的描写が含まれていることが要因で、18歳未満の購入が禁止されているものがほとんど。
映画等では凄惨なゴア描写などで18禁に指定されるものも多いが、日本で「18禁ゲーム」とすれば大抵性的描写が強いものを指す。
その理由は、未成年厳禁の締め出しで最も歴史が長く、かつ目立つためである。*1

パソコンにインストールしてプレイする、所謂「PCゲームソフト」が主流で、「PCゲーム」と聞くとこちらを連想する人も多い。
実際、ショップの「PCゲームコーナー」に置かれているゲームの大半がこれであり、その影響で入口に「18歳未満立ち入り禁止」の暖簾が掛けられているところがほとんどな他、
将棋チェス・戦略シミュレーションゲーム等、性的描写のないPCゲームソフトは、これらとは別のコーナーに分けて置かれていることも珍しくない。
一方で普通のゲーム機でプレイできるものは珍しいが、メーカーによっては他のゲーム機用の移植版を販売していることもある。
また、性的描写を削った代わりに追加キャラ・シナリオを加えたマイナーチェンジ版が、普通のゲーム機にて一般向けソフトとして販売されることも。

そういった事情から、「エロゲ」「エロゲー」「ERG(erg)」という俗称・通称で呼ばれることもままある。
「美少女ゲーム」「ギャルゲ」「恋愛アドベンチャー」などとぼかして言われる事もあるが、こちらの場合は非アダルトゲームも含まれる。

同じく年齢規制のある、CEROでいう「Z指定」のタイトルは暴力(ゴア表現)・反社会行動等の描写が原因である場合が多く、エロが要因でない事がほとんど。
余談だがアメリカのESRBには、DとZの間に17禁とでも言うべき「Mature(マチュア):思慮や分別が出来る人対象」という指定があり、残酷描写等でCERO-Z相当のゲームはこちらに固まっているケースが多い。
もっとも、ほとんど日本市場に入らないゲームばっかりだが。

一方で、日本のアダルトゲームの中にはアメリカなどの海外ショップで売られていることもある。
しかしそちらの大体は、ESRBで一番規制がきつい「Adult Only(アダルトオンリー)」に区分されており、販売する上でMature以下やCERO-Zとは比べ物にならない凄まじい制約がかかる。
例として、
  • 「大手販売店や通販サイトで扱わない」
  • 「任天堂・ソニー・MSからの認可を一切認めない」
  • 「動画配信の禁止や厳罰な規制」
などが挙げられる。*2

最近は課金等の金融トラブルを避けるため、責任能力の無い未成年を締め出すタイプ(ネットゲー・ブラウザゲー)もあるが、本項目には該当しない。
ただ、成人向けにそういった性的描写も扱ったものや、エロゲーを原作としたブラウザゲーも多くリリースされている。

また、この2020年代ではダウンロード販売も主流である。
DLsite.com、FANZA、Steamといったエロゲーを買えるサイトでは消費者の半数以上が外国人であり、Steamは海外のサービスなため無修正のゲームも買える。
個人的に楽しむための閲覧や購入、単純所持では違法にならないのでご安心を。
日本でヒットした同人エロゲーが海外デベロッパーを通して翻訳され、Steamで無修正版が売られるケースも多々ある。*3

  • エロゲー声優

「オラの母ちゃんとひまわりが偽名でエロゲーやエロアニメに出てる!」

一般ゲームでは当たり前に存在するオープニングテーマエンディングテーマはもちろん、キャラクターの声もつかないというのが、18禁ゲームの黎明期辺りでは当たり前だった。
声優が声をあてたゲームが出始めた頃は、メーカー問わず適当にソフトを何本か取ったら必ずどれかにこの人の名前があるという声優も数多くいた。
他にも、声こそついているがパッケージにもゲームのエンディング映像でもキャスト表記がない、所謂ノンクレジットで声優が演じていたというソフトも少なくなかった。

現在では18禁ゲームを中心に活動する声優も多くなったが、やはり「18禁」という単語のイメージからか、顔出しで活動する人はかなり少ない。
名義に関しても、どんなジャンルでも同じ名義で活動する人もいれば、ジャンルによって複数の名義を使い分けるなんて人もいる。
他、特に大手メーカーのゲームでは、ゲームの宣伝も兼ねて出演声優によるラジオ番組を配信しているものあるが、こちらも公開録音などは基本的に行われない。

ちなみに、顔出しで活動する民安ともえによると、18禁作品ということもあってか「枕営業はあるのか」という質問をよく受けるというが、「制作サイドにもユーザーと似たタイプの男性が多い影響か、自分の周りでそういった話は聞いたことがない」とのこと。

  • 商業と同人

種別として、ゲーム制作会社がリリースするいわゆる「商業ソフト」と、個人ないしはサークルがリリースする「同人ソフト」に分かれる。
前者は値段が高い分比較的きっちり作りこまれたものが多く、後者は作り手によってクオリティには差があるが総じて値段が安いという特徴がある。
ただし、商業ソフトにもいわゆるクソゲーと呼ばれるものは多く存在し、逆に同人ソフトも商業ソフト並のクオリティかそれ並の評価を受けることも数は少ないがある(ひまわり月姫など)。

また、同人ソフトには、規制や需要の少なさから商業ソフトでは取り扱えそうにないジャンルの作品が生み出されるという利点もある。
ニッチな性癖や趣味を持つ製作者・サークルが同好の士向けに作ったような作品も多々見られ、局地的に凄まじい人気を誇っているなんてケースもある。
商業ゲームの自主規制に巻き込まれないといったメリットも挙げられるだろう。*4
同人サークルと企業の境目があいまいになることもあり、TYPE-MOONAKABEiSOFT2は同人上がりの法人であるし、Nornなどはいまだに企業同人扱いであったりする。

  • 値段

値段という点においては大雑把に分けて、
  • フルプライス(税別8800円)
  • ミドルプライス(4000~6000円前後)
  • ロープライス(3000円前後かそれ未満)
となる。これは主に商業作品の話で、同人作品は基本的にこれよりも全般的に安くなる。
基本的には質・量ともに値段に比例するのだが、絶対的なものではない。
ロープライスでも満足して楽しめる神ゲーもあれば、フルプライスでもどうにも受け入れがたい商品失格レベルのクソゲーというのもある。
他にもフルプライスで質も相応だが量が圧倒的に不足しているパターンや、ファンディスクとして生粋のファンだけに向けているので価格がやや高いパターンなどもある。

  • 歴史

現代に見られるアニメ調のイラストを中心としたエロゲーは、実は脱衣麻雀などの実写系エロゲーから派生したものである。
最初期まで遡ると実在するAV女優などをモデルにした麻雀やカジノなどが多く、パソコンパラダイス、BugBugなどの雑誌も、初期の頃は風俗店やテレホンクラブの広告が大半を占めていた。
その後、90年代アニメブームとともに『美少女』という言葉が取り入れられ、実写系エロゲーは廃れて姿を消すことになる。
黎明期となったPC98(PC-9801、PC-9821)のフロッピーディスク時代からWindows95~98時代は、各社とも自由な発想でエロゲーを作っており、
  • RPG:『ドラゴンナイト』『ランス』
  • ADV:『DOR』『同級生』『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』『EVE burst error』
  • STG:『スチームハーツ』
  • 格闘:『ヴァリアブル・ジオ』
  • SLG:『WONPARAウォーズ』
  • 3DダンジョンRPG:『ワーズワース』『闘神都市』『妖女乱舞』
  • 麻雀:『麻雀幻想曲』『わくわく麻雀パニック!』
  • パズル:『CARAT』
  • カード:『バトルスキンパニック』*5
といった名作を残していった。これらの作品から18禁要素を取り除く、あるいはマイルドにして移植したものが、セガサターンPCエンジンで発売されている。

そんな業界を一変させたのが90年代末。『ビジュアルノベル(ADV)』の登場である。
ゲームらしい操作を片っ端から省き、絵とシナリオを見せるタイプのADVはエロゲーと親和性が高く、あっという間に大流行。
ADV制作用のツールとして登場した『吉利吉利』などが拍車をかけた。
後述の泣きゲー燃えゲーなど、エロ描写そっちのけでストーリーを重視した作品も多数登場し、それらの作品に関わったシナリオライター等が全年齢向け作品に活動の場を移して活躍することも珍しくなくなっている。
特にニトロプラスは燃えの方面に振り切った結果、大成功を収めてアニメ業界へと進出していった。
エロゲーではないが、この『吉利吉利』を利用して作られた『ひぐらしのなく頃に』は同人ゲームの爆発的な大流行を呼ぶことになる。

それらの好景気を受けてエロゲー市場はADVが9割を占め、ゲーム性を捨てて絵とシナリオに力が入るようになった結果、ボリュームが求められるようになった。
さらには後に『リリカルなのは』で大ブームを巻き起こす『とらいあんぐるハート』がフルボイスでリリースされると、各社もこれに追随した。

大量のHなイラスト、濃厚なシナリオ、フルボイス。

これらはADVにとって欠かせない三種の神器となり、質と量を維持するためにエロゲーの定価は税別8800円(後にフルプライスと呼ばれる)が主流となった。
しばし、エロゲー業界は『出せば売れて儲かる』と言われるほど潤い、2000年代の半ばまではバブル期を謳歌する。


……が、そんな時代は長く続かなかったのだ!


エロゲー衰退の原因はいくつかあり、まずは優秀なシナリオライターの他業界流出。これは致命的であった。
膨大で濃厚なシナリオを基準にしてしまった結果、「エロゲー1本のシナリオはライトノベル10巻ぶん」などと言われる事態に陥り、ライターは安い賃金で大量のテキストを書かされ続け、次々とエロゲー業界を去ってしまった。
残ったライターもシナリオの量をかさ増しするために美味しいお茶の入れ方を延々と書いたり、入社するなり勉強する暇もないままフルプライス(シナリオ約2MB)を書かされて逃げ出したりと惨憺たるものだった。
かつては「エロゲーはライターとして成功する登竜門」などとされていたが、それも小説家になろうの登場によって覆されてしまっている。
事実、2015年の『ようこそ実力至上主義の教室へ』を最後にエロゲー業界から一般向けへ転向して成功を収めた者はいなくなり、入れ替わるように『なろう系』が台頭している。

さらにはゲーム性を廃したADVの乱造も衰退した要因といえる。
ビジュアルノベルは業界に富をもたらしたが、あまりにもノベル系が売れてしまったため、他のジャンルに力を注ぐメーカーが減ってしまったのだ。
アクションゲームのプログラマーや、ドット絵を描く者、魔法やアイテムの構築とバランス調整が得意な者。
そういった生粋のゲーム職人はエロゲー業界にほとんど居場所がなくなり、ライターと同じくソシャゲなどの他業界へと去っていく。
それゆえ、後にメーカー側がADVだらけになってしまった状況を危惧して他ジャンルへ手を伸ばそうとしても、もはや肝心の技術的なスタッフが社内どころかエロゲー業界にいない事態に陥った。

また、発売延期どころか未完成品の販売も横行したのも原因の1つ。
ADVである以上、グラフィックとシナリオの片方でも欠ければ即座にクソゲー化するのだが、それらを用意することすら厳しいメーカーもあった。
事故の原因は色々とあるが、絵と文章を大量に注ぎ込まなければいけない、いわゆる『大艦巨砲主義』な制作現場が事態の悪化を招くケースが多い。
魔法少女アイ参』『Garden』『銃騎士cutie☆bullet』は特にひどく、それぞれこのアニヲタWikiに個別ページが作られていると書けば、どれほどのものだったのか想像できるだろう。

そして、最終的には時代がとどめを刺した
後に『氷河期世代』などと呼ばれる大不況、リーマン・ショックなども相次ぐ中で、エロゲー1本8800円は娯楽として高すぎたのだ。しかもクソゲーや未完成品の地雷まである始末。
メーカー側は求めやすい低価格のタイトルを出し、新技術としてLive2Dを導入するようになったが、市場規模は最盛期に比べると見る影もないほど縮小してしまっているのが現状である。
Steamがまだ一般ゲーマーには浸透する前で、PCゲームと言ったら「エロゲーか洋ゲー」の二択になっていた時期は特に酷かった。
一般向けPCゲーというニッチな環境であっても生き残っていた日本ファルコムですら、その悲惨な売り上げから流通業者との取引を失い、PSPへと鞍替えしたほど。
そんな中、エロゲーであれば棚には置いてくれるという状況だった故に、売るためのノベルに18禁シーンを無理矢理ぶち込んで生き延びようとしていた。

2020年代までに、大手を除くメーカーのほとんどが脱落。
しかし、エロゲーというジャンルが滅び去ったのかというと……なんと、逆に盛り返しているのである。
その要因はDLsite.comやSteamといったダウンロード販売によるエロゲー界隈のインディーズ化であった。
引き取った奴隷を自分好みに育てる『奴隷との生活 -TeachingFeeling-』、PRGツクール製の傑作『ヤリステメスブター』。
もはや商業では見られなくなったドット絵を駆使したエロゲーや、アクション、シューティング、パズルなどの多様化と自由性。
奇しくもヴィジュアルノベルの登場によって商業メーカーの多くはゲーム性を手放したが、そのゲーム性で楽しませることでインディーズは栄えた。

また、同人ゲームの質も上がり、単純にHなCGを見たいだけならPixivかFANTIAで事足りる時代でもある。
商業エロゲー業界にとってはますます厳しい世情だが、生き残ったメーカーは素人では成し得ない『品質』を武器に顧客を維持していた。

この2020年代半ばでは、生き残ったメーカーがLive2Dなどを駆使して質の良いものを提供し、インディーズは自由な創作で足場を築いている。
プロはプロの、アマチュアはアマチュアの活動場所で顧客を得て、こうしてあなたが記事を読んでいる間にも新しいエロゲーが誕生しているのだ。

【ジャンル】

主なジャンルは「ADV(アドベンチャー)」と「それ以外」に分類される。

  • ADV
表示された文章を読み進めて、途中の選択肢でルート分岐を果たす。
世に溢れるエロゲの主流はこれで、コマンド入力式アドベンチャーゲームなども同じADVに分類される。
よほどシステム(UI)やシナリオやキャラデザが駄目な作品を除けば基本的に面倒な要素もなく、作りやすさと相まって安牌なジャンル。
開発費も他のジャンルに比べれば抑えめに出来るのが強みだが、作品によってはかなり開発費がかけられていることもある。

  • それ以外
上のADV以外のジャンル。所謂「遊べるエロゲー」と呼ばれる方。
多くはRPG・SLG・脱衣麻雀だが、稀にアクションゲームが出たりもする。
ADVと比べて高いプログラミング技術が必要だが、何よりもゲーム設計を考えたり難易度を考えたりとやることが多くなるので大変。
しかも一生懸命品質を向上させたところで、必ずしも面白いものが出来上がる訳ではないところも大変。
開発費用も比べものにならないぐらい高い。

その分18禁ゲームではコアなジャンルであり、ちゃんとした作品を出せばファンがしっかりついてくれるハイリスクハイリターンなジャンルと言える。
有名どころは、『Ranceシリーズ』のアリスソフト、『戦女神シリーズ』のエウシュリー
『巣作りドラゴン』のソフトハウスキャラ、『BALDRシリーズ』の戯画の4つはまず名前があがる。
RPGツクールの様な簡易RPG製作ツールの流布などの影響もあり、
今は商業作品よりも気楽に開発できる同人作品の方が見かける事が多かったりするジャンル。

基本的に2Dな画像なり映像なりで作られているが、ILLUSIONなどに代表される3Dエロゲーも存在しており、そのためのエディタを備えていることもある。

【エロゲーの種類】

エロゲーにも様々な種類があり、その大まかな系統を紹介する。
勿論複数の種類を併せ持つゲームも多々ある。

  • 恋愛ゲー
王道中の王道。ヒロインと交流を深め、愛を育んでHなことをするゲーム。令和では「いちゃラブ」とも言う。
アニヲタが日常的に使う「フラグ」「ルート」「好感度」「分岐」といったワードの元ネタがだいたいこれ。
大ヒットした『同級生』を筆頭に『Piaキャロットへようこそ!!』『みずいろ』『ToHeart』『とらいあんぐるハート』『処女はお姉さまに恋してる』など、名作を上げていけばきりがない。
シナリオの内容次第で後述する「泣きゲー」や「燃えゲー」「バカゲー」「抜きゲー」へと派生する。
ヒット作がコンシューマー移植されることも多く、OVAや地上波でアニメ化されることも珍しくなかった。

  • 抜きゲー
「やはり『エロ』ゲーなのだからエロくなくっちゃ!」…という考えで、エロを追求したゲーム。
純愛と凌辱の2パターンあるが、「実用性」を重視しているため、ストーリーや設定は簡素で、かなり強引だったりやたらご都合主義だったりするが、ツッコんだら大体負け。
丁寧なシナリオや緻密なキャラ描写が見たい人は別のジャンルをやりましょう。
とはいえ、台詞回しやシチュエーションなど、文章でユーザーをそそらせることも重要なので、読みやすい・理解しやすいといった最低限のクオリティーは求められるし、世界観や話の展開・シチュエーションがさっぱり伝わってこなかったり、登場人物の言動が意味不明で感情移入できない等の電波テキストだったりするとクソゲー扱いされる。

ちなみに、このテのゲームといえばSM・鬼畜・凌辱系が主流であったが、2000年代からは純愛系も目立ち始めるようになった。
基本的に凝ったテキストではなくキャラクターでユーザーを楽しませる(意味深)モノが多いためか、純愛抜きゲーはキャラゲー扱いされることもままある。
純愛なら『アトリエかぐや』や『プリンセスラバー!』、『ゆずソフト』あたりを、凌辱系なら『魔法少女アイ』(3を除く)や『戦乙女ヴァルキリーシリーズ』あたりだろうか。
1つの作品で両方体験したいという欲張りな人は、アリスソフトの『超昂シリーズ』に手を出しとけばとりあえず問題ない。
Delta作品もオススメ。

なお凌辱ゲーに「製作者は女に恨みでもあるのか?」と「警察に駆け込めよ」は禁句。そういうのが好きな人のためのジャンルだもの。
また、このジャンルの中には「儀式(要は輪姦レイプや凌辱、調教)に使うため、島を一つ所有できるレベルの財力とどんな事件も隠蔽出来る権力がある一族」的な存在が出てくるが、平たく言ってしまえば、これらは凌辱や調教などの非合法な行為をキャラに躊躇いなくさせるためのお決まりの舞台装置なので、ツッコんだりするのは野暮。
輪姦モノでは、主人公の彼女からスワッピング提案されたり、主人公が何故かそれにノリノリだったりするが、これらの展開にもツッコむだけ野暮である。
モブキャラ(街のおっさん、不良やDQN等)が、ある意味大活躍するジャンルである。
女の子が可哀想? だからそういう人は(ry
つか、地味にこの手の陵辱ゲー系のメイン製作陣は(ある種振っ切れた)女性が多かったりもするのだが…………。

ロープライスものの多くは大体これなので、しょっぱいボリュームのものも多い。
いかに小規模な中で濃厚な抜きどころを用意するかが問われる。

また、人によって抜けるポイントは異なるため、グロゲーなどを抜きゲーとして使っている人もいるだろう。
触手やゴブリン、オークが竿役だったり、ヒロインがモンスター娘だったりすると、だいたい抜きゲーかグロゲー。

  • 動画ゲー
Hシーンを動画で見せる技法はPC98時代から存在しており、黎明期には差分の繰り返し表示やGIFを使用していた。
やがてCD-ROMやDVDなどで使える容量が増えると、ゲーム中に動画を再生させることも可能になる。
Sisters 夏の最後の日』や『GREEN~秋空のスクリーン~』といった本格的なアニメ動画の作品もあったが、制作ハードルの高さから流行まで少し待つことに。
やがて、2Dを擬似的にアニメーションさせるソフトが開発されると活性化。
今でも大手メーカーの1つである『LiliTH』は早期から動画を取り入れて成功した例。
SQUEEZ』『みるくふぁくとりー』は動画の質を極めた『炎の孕ませ』シリーズでファンを獲得している。
抜きゲーではないが『まいてつ』はLvie2Dを日常イベントでも効果的に使用しており、アニメのような雰囲気でプレイできる作品の先駆けとなった。

「エロゲーだからってエロだけじゃダメ!感動できるようなストーリーを重視しようぜ!」という人向けシナリオゲー。
90年代後期から2000年代のエロゲーバブルを象徴する存在であり、大手メーカーのアニメ業界進出や、ヴィジュアルノベルが栄えるきっかけになったジャンルでもある。
文字通り涙腺崩壊物が多いが、当然ながら「誰しもが必ず泣ける」というものではないので注意。
多くの作品でエロが薄く、よく「エロいらなくね?」と言われるジャンルであり、実際エロ無しの全年齢対象版がよく発売される。
というかエロを多くすると通常シーンのCG数がしょっぱくなりやすいので、そういう意味でも「エロいらなくね?」ってなったりする。

そういった作品を中心としたゲームブランドとしてはkeyが有名。
Kanon』『AIR』『CLANNAD』『智代アフター』『リトルバスターズ!』『クドわふたー』などは、どれも涙腺を破壊してくれる。
他には『ONE』『パルフェ』『この青空に約束を―』『加奈〜いもうと〜』『家族計画』『こなたよりかなたまで』『車輪の国、向日葵の少女』『そして明日の世界より――』『うたわれるもの』辺りが有力。

言うまでもないが、ストーリーやキャラ描写に相応の質があって初めて泣きゲーと呼ばれる。
そのため、泣きゲーを作ろうとしてシナリオに多くの矛盾・消化不良があったり、変に尖って嫌われるヒロインが生まれてしまったりなど、凡作程度の作品になってしまった場合は、自然と別ジャンルになりがち(萌えゲーやらキャラゲーやら)。

  • 萌えゲー
言わずと知れた萌え特化ゲーム。
ストーリーも最低限はあるが、基本は可愛さを重視したデザインのキャラやサービスシーン、あとギャグで攻める。
手っ取り早く空気が知りたいなら『ToHeart2』『SHUFFLE!』『つよきす』あたりが鉄板。
上述した『ゆずソフト』の作品も、「公式が病気」なカウントダウンムービーなども含めてパロディやテンポの良い会話劇などが多いので、こちらにも該当するだろう。
夜明け前より瑠璃色な』等で有名なAUGUSTの作品は基本的にこの系統…と言いたいところだが、どの作品も安定した品質を保っている一方、エロやストーリーにも力を入れた結果『穢翼のユースティア』などのシリアス寄りの作品をリリースしたりもしているので、「絶対にこのジャンル!」とは言い切れない。

ギャグがサムかったり萌えを変な方向で意識して純粋におかしなキャラになったりして評価が落ちるのはよくある事。
萌えゲーとは、シナリオなどを手抜きして良いという免罪符ではないのである。

「エロゲーだからってエロだけじゃダメ!燃えるストーリーが読みたい!」人向けのシナリオゲー。
よく挙がるのは『あやかしびと』『Fate/stay night』『斬魔大聖デモンベイン』『マブラヴ オルタネイティヴ』『Dies Irae -Acta est Fabula-』あたり。
エロはそれなりにあるが、泣きゲー同様に全年齢対象版であるコンシューマ機への移植も考慮されていたり。
エロはいらないとする愛好家も多いことから、エロは得てして薄く、一方でグロは結構多いので耐性がない人は気を付けること。もしくはエロが特殊な場合も。

「エロゲーだか(ry」人向けのシナリオゲー。
その名の通り鬱になるゲームのこと。プレイ後、なんともいえないモヤモヤした気分になりやすい。人を選ぶジャンル。
ヒロインが精神崩壊したり病んだり、萌えゲーかと思ったらヒロインが殺されたり、逆にヒロインに殺されたりするが、救いのない展開であること以外に共通した特徴はない。
主人公のパートナーであるヒロインが他の男(達)に奪われる寝取られモノも、基本的にこのジャンルに分類されると思われる。
さよならを教えて』『沙耶の唄』『殻ノ少女』『School Days』などが有名。
君が望む永遠』は何とも言い難いが…鬱ゲー扱いされてもおかしくはない。
展開だけで言えば、GUILTY作品も大概これに当たる。

  • グロゲー
リョナ、過度の暴力、臓物、欠損、拷問、えげつない殺害シーン、スカトロ(特にを扱う物)、嘔吐物、過激なSMや調教(傷跡や流血を伴うものなど)といった、常軌を逸した要素があるエロゲー。
上記の鬱ゲーとも重なるが、こちらは視覚面でダメージを与えて来るという特徴がある。
バイオレンスに特化した作品もあるため、数あるジャンルの中でも飛び抜けて人を選ぶジャンル。
一方で、シナリオや設定の緻密さが絶賛される作品が混じっていたりもするので、グロをこらえてプレイするプレイヤーもいる。

ブランド単位では、ブサイクことBlack Cycおよび今はなきたっちーの諸作品、ニトロプラスage(ruf)・CLOCK UPの一部作品にも含まれる。
単体作品では『Dark Blue』なども有名。中にはグロ緩和パッチが出ることもある。
ゴア・スクリーミング・ショウ』が有名で特徴も当てはまっているが、中身はある意味燃えゲーという特殊な作品。

この範疇でスカトロ系特化のものは「(フン)ゲー」「クソゲー(物理)」と呼ばれることもある。これに該当するのは現行ブランドでは聖少女率いるEmpress。

SMなんかと混同される事も多く、複数の要素を持つ作品も見られる。
もっとも、一般的な範疇(首輪を付ける、縄で縛る、お尻を叩くなど)のSMであればグロゲーには含まれない。

  • バカゲー
見ている内にキャラのテンションやツッコミがカオスになって、シリアスな笑いを誘うようなやつ。
タイトルの時点でブッ飛んでいる場合が多く、頭が悪そうなタイトルならたいていこのジャンル。
でも、バカゲーでも後半は泣きゲーになったりする事もあるので注意が必要。
遊撃警艦パトベセル〜こちら首都圏上空青空署〜』『姫騎士アンジェリカ ~あなたって、本当に最低の屑だわ!~』『へんし~ん!シリーズ』など。
ふぃぎゅ@メイト』『ジブリール』なんかは抜きゲーとして使えるが、一々理由がおかしかったりする。
ただし、はき違えて単に見ていて不快なだけのクソゲー(上記と異なり、物理的な意味ではない)と化す失敗例も少なくなく、意外と難しい。

  • BL/百合ゲー
同性愛を取り扱ったゲーム。
(特にイケメンの)男性同士の場合は「BLゲー」、女性同士の場合は「百合ゲー」とも呼ばれる。
所謂女性向けのBLではないゲイの出会いを描いた『Coming Out on Top』といった作品もある。
厳密にいえば、女装娘や男の娘と男性キャラクターの絡みがある作品も含むが、一般的な抜きゲーに男の娘がいるというパターンも珍しくない。

  • 特殊ゲーム
ほぼライアーソフト。
エロゲーの「メジャーな著作物ではない」「年齢制限があるため、表現規制が緩い」という点を最大限に活用した、実験的な内容のゲーム。
モノによっては全年齢の表業界に関する舞台裏の黒い話をネタにしてるのもある。
1990年代後半~2000年代に多く見られ、少なくなったものの2010年代に入ってからも散発的に見られる。
好き好き大好き!』『ジサツのための101の方法』『終ノ空』のような電波ゲー、『屠殺の園』『君と彼女と彼女の恋。』のようなメタゲーなど。
かつてのにっかつロマンポルノがそうであったように、エロゲーも性描写さえあれば、あとは何をやっても自由であるということを思い知らせてくれる作品群である。

【業界事情】

零細企業が多く、一作出しただけで消えるブランドも珍しくない。スタッフ(特に人気原画家)の移籍であっという間に勢力図が塗り変わるのはザラ。
また、流石に零細ブランドのスタッフまで一々確認する人は少ないため、クソゲーを出してしまった新ブランドは名前だけ変えて再出発(?)というのもちょくちょく見かける。

そんなエロゲーの最大の敵はいわずもだが、


である。
これはエロゲに限ったことではなく、PCソフトであるため半ば覚悟しなければならないのかもしれないが、エロゲーは割れが特に多い。

動画共有サイトにはよく『プレイ動画』がアップされる。
中身は『ゲームをプレイした動画』で、会社によっては認めていたりもするのだが、これがシナリオゲーや萌えゲーなどのADV(紙芝居ゲー)が中心のエロゲーをアップされると、メーカーからしたらたまったものではない。
シナリオ・キャラが中心のゲームでシナリオと絵を見て、それでもまだ買おう…という人がいないとは言わないが少ないであろう。
事実、訴訟を検討しているメーカーも存在する。
これについてもメーカー内で「プレイ動画が流れて購入が減るのはライターの力量不足もあるのでは?」など議論が交わされている。

最近では、不正ダウンロードを防ぐために、シリアルコードの入力や、正規ディスクによるデータの更新をする必要がある作品や、
近場に販売店が無かったりロットアップしたためにやむを得ず…という行為を無くすために、ダウンロード販売サイトで永遠に販売を続けられる作品*6が増えつつある。
言ってみれば、「ロットダウン」とでも呼ぶべきだろうか。
だが、動画サイトへのプレイ動画投稿、流出を防ぐのは難しい。

世のエロゲープレイヤーには是非ちゃんとお金を払ってプレイしてもらいたい。

  • ソフ倫
一般社団法人コンピュータソフトウェア倫理機構。
エロゲーのパッケージの背の部分に銀色のギラギラしたシールが貼ってあるアレ。
商業エロゲーの流通に関わり、モザイク修正などがちゃんと施されているのか等をチェックしている。
かつてはコマンドを入力すると無修正になるエロゲーとか、どう見てもセー◯ー◯ーンのキャラをパクった同人CG集の商業版みたいなものもあった。
世間的にも「うちの子がエロゲーを万引きしたやんけ、どないしてくれるんや!」という滅茶苦茶なクレームなどもあり、自衛組織として立ち上がったのがソフ倫である。

こう書くと聞こえは良いが、業界全域に影響を与えるルールを作る立場にあるため、おかしなローカルルールも存在している。
たとえば『女子高生』というワードの使用禁止。
つまりはエロゲーの登場人物が未成年者であることを回避するための決まりだが、『女子校生』や『JK』ならOKという抜け穴がある。つまりはただの言葉狩り。
また、モザイクの濃さや範囲もご時世によって変わるので、運が悪い時期に制作すると『触手は隅から隅まで全域にモザイクをかけなければいけない』などというルールという名の地雷を踏むことになる。

ロリに関しては特に厳しく『本作の登場キャラは全て18歳以上です』という注意書きがなされる。
「うっせえ、俺たちはロリゲー作りてぇんだよ!」とソフ倫を通さずに販売し、萌えゲーアワードに入賞してしまった業の者もいる。

PC98時代からの老舗であり、『同級生』『下級生』と恋愛ADVをヒットさせてきたエルフ
2004年に発売された『下級生2』も多くのユーザーから期待を受けていたが、蓋を開けてみれば数々の問題点で大炎上。
特にパッケージにも書かれているメインヒロインには肉体関係を持つ彼氏がおり、主人公とヤッてる最中にも前カレの名前が出てくる展開になっていた。

一応フォローしておくが、『同級生』でも攻略対象のヒロインが主人公以外の男とラブホテルから出てくる等、人間的な生々しい描写があったため、当時はそういったものが許された時代だったといえる。
エロゲーブームの立役者であり、一世を風靡したLeafでも、初期の頃に制作した『雫』ではヒロインが他の男に無理やり犯される展開もあった。
Fate/stay night』に至っては人間以外の蟲に凌辱されている。
しかし、ここにきて『寝取られ』と『純愛』をまったく別のジャンルに分ける事態が発生したのである。

それが『ディスク叩き割り事件』であり、とある購入者が『下級生2』のCD-ROMを真っ二つに割った写真をネットに晒し、割ったディスクをエルフ開発室へ送りつけるという暴挙に及んだ。
これが2ちゃんねるで広まって大規模な祭りになり、エルフは多くのユーザーを失うことになる。

これ以降、購入層となるエロゲーユーザーの間では「人妻でもない限り絶対に処女じゃないと許さない」という過激な主張も飛び交うようになった。
いわゆる処女厨の台頭であり、「不買運動を起こすぞ」などといった脅迫文をメーカーに送りつける等、その活動は無法なゲリラそのものであった。

これにはメーカー各社も萎縮してしまい、『とらいあんぐるハート』は1作目で攻略ヒロインの寝取られ凌辱を扱うも、それ以降は完全な純愛のみに転向。
必要でない限り、登場する女性キャラクターは処女という設定に徹する方向性で、主人公以外の男性関係を臭わせない『純愛系』と呼ばれるジャンルが確立することになる。
ここから『ハーレム』『いちゃラブ』などが生まれることを考えると、進化の過程としては必要な事件だったのかもしれない。

しかし、一連の流れは処女厨に大きな影響力を持たせることになってしまい、根深い問題として後世にまで響くことになる。
実際、後にエロゲーではない『BanG Dream!』においても、とあるキャラに弟がいるかどうかで大規模な炎上騒ぎが発生している。

なお、事件の発生元となったエルフは後に『ボクの彼女はガテン系』という寝取られ界隈でも伝説的な大ヒット作を生み出し、後のNTRブームの火付け役となった。結局、そっち系が向いているメーカーだったのだろう。
ちなみに『同級生』『下級生』はリメイクやコンシューマーへの移植が積極的に行われたが、この事件以降、『下級生2』は一切表へ出ることはなかった。*7

【余談】

  • アダルトソフトを国内で最初に出したメーカーはコーエーである。

  • 実はファミコンにもエロゲがある。が、そのほとんどが出来映え以前にソフ倫すら裸足で逃げ出すほどの危険な内容。
    幼女監禁は可愛い方で、胴体切断とか最早マジ〇チ。
    また、アスキーやガイナックスなどのアニメやテレビゲームで有名なメーカー達もファミコンでエロゲを出していた。


  • 英語圏では「Wankware」というが、これを直訳すると「抜きゲー」となる。
    日本が「あらゆる事物が異常進化を遂げる国」であることを再認識させられる話である。



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最終更新:2025年10月03日 22:12

*1 性描写がある媒体で除外されているのは小説くらいしかなく、それでも販売側の自主規制による購買制限がされるケースは多い。

*2 ほとんどが性的描写で抵触し、一部暴力描写で引っかかった作品は「身体及び精神障害者への偏見や差別を助長する」「該当描写を抑えず販売しようとしたため、親会社から販売自体を禁止した」など、曰く付きな代物まである。

*3 日本国の法律としてはグレイゾーンだが、海外を利用した回避策は実写AVでも見られる。

*4 販売サイトの規約や各種法律は守る必要があるが。

*5 制作したのはアニメがヒットする前のガイナックス

*6 原理としてはバーチャルコンソールやゲームアーカイブスと同じ。

*7 一応、最初から企画されていたのかTVアニメとOVAが制作されている。