ワカメ

登録日:2025/03/01 Sat 00:37:16
更新日:2025/03/03 Mon 11:44:14
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ワカメとは、以下のものを指す。

1. 褐藻綱コンブ目チガイソ科に分類される海藻の一種。

2.『スーパーロボット大戦A』/『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATIONS』の登場人物、ヴィンデル・マウザーの俗称(ワカメヘアー、増えるワカメ)。

本項では1について解説する。

目次

概要

学名はUndaria pinnatifida。根のような付着器で岩に付着する。
サイズはかなり大きく、成長すると1〜2mになる。
色は水中では褐色であるが、湯通しすると鮮やかな緑色になる。 これは、ワカメの持っている赤い色素「フコキサンチン」が、熱によって橙色に変化し、緑の色素「クロロフィル」の色が現れるためである。

分布域は日本、韓国、中国、極東ロシアなどの東アジア沿岸部だが、日本では北海道東部や紀伊半島から九州の太平洋岸ではほとんど見られない。 

天敵はウニ。


繁殖

春になると成実葉(メカブ)から遊走子が放出され、岩の上などに着生して発芽し、オスとメスの区別のある配偶体になり、夏になり水温が高くなると夏眠状態になるが、秋に入り水温が下がると目覚めて配偶体が成熟し卵と精子が作られ、その卵と精子が受精すると芽胞体が発芽し、水温が下がるにつれて目に見えるぐらいの大きさの幼芽になり、冬の間に急速に成長しよく知られているワカメの姿になる。


利用

食用

元の分布域では広く食用にされる。 
ワカメは低カロリーであり、ミネラルや食物繊維に富み、その中でも特にアルギン酸は、食後の血糖値の上昇を緩やかにしたり、コレステロール値を下げたり、便通改善の効果が報告されている。
しかしヨウ素も含み、食べ過ぎると甲状腺機能低下症や甲状腺腫につながる場合があるため、注意が必要である。

日本では縄文時代の遺跡からワカメを含む海藻の遺存体が見つかっていて、この頃から食用にされていたようである。藤原京跡や平城京跡からもワカメと思われる文字が記された木簡が発見されており、万葉集にもワカメを詠んだ歌がいくつもある。また当時では海産の藻類一般を指す漢語の「海藻」をニギメとも読んでいた。

平安時代の法典「延喜式」にはニギメの貢納国として関東、北陸、東海、近畿、四国の16か国が指定されており、当時の政府高官から下級役人、寺社にも広く支給され、神事にも用いられることさえあった。

乾燥させればかなり日持ちするため、かつての飢饉の時には保存食として重宝されたこともあった。

採取には時間も手間もかかるため、養殖もされている。歴史上では1937年頃に中国東北部で大槻洋四郎によって予備的な実験が行われたことに始まり、その後、各地で試行錯誤が行われ、1957年に岩手県の小松藤蔵によって養殖が成功した。現在ではほとんどが養殖されたものである。


朝鮮半島では「ミヨッ」と呼ばれる。ワカメを日本以上に多食し、韓国では1人あたりの年間ワカメ平均消費量は日本の約3倍にもなる。

出産後の母親は体力回復のためにワカメを茹でたスープ(ミヨックク)を21日間飲み続ける習慣がある。それに因んで母親に感謝するという意味から、誕生日にこのスープを飲む風習もある。「ミヨックク食べた?」は誕生日の人にかける定番の挨拶。
誕生日以外のおめでたい日にもミヨッククを飲む習慣があり、ケーキや赤飯のような立ち位置にある。
ただしワカメは滑らかであることから「滑る」にかけて、ゲン担ぎとして受験生には厳禁とされている。向こうでも「滑る」は受験生NGワードだったんか…

また日本とは異なり天然と養殖のものでブランド差があり、天然物は高級食材として高値で取引され、採れる場所は価値の高い不動産として代々受け継がれる。

主なワカメ料理


具として定番中の定番。

こちらは鶏ガラなどを使ったスープ。
上述通り韓国では「ミヨックク」と呼ばれる。ワカメの他には牛肉、ゴマ油、ニンニクを入れ、たっぷりのワカメをトロトロになるまで煮込む。

  • サラダ
サラダにワカメを混ぜたもの。生ワカメ特有のコリコリシャキシャキした食感がたまらない。
組み合わせは色々あるが、昆布やひじきなどと一緒に食べるとヨウ素を過剰摂取してしまう恐れがある。

  • 酢の物
きゅうりやしゃこなどとの組み合わせに、ごまをまぶしたものが一般的。
酢と一緒に食べることで水溶性食物繊維の一種であるフコダインなどの栄養素が吸収されやすく効果もある。

  • ワカメご飯
文字通りご飯にワカメを混ぜたもの。
学校給食の人気メニュー。

蕎麦やうどんの上にワカメをのせたもの。ワカメの磯の香りが出汁とよく合う。冷やしでもさっぱりしていてよく合う。
カップ麺やチェーン店でもおなじみ。

  • 乾燥ワカメ
乾燥させたものでそのまま食べれるようにパック分けされ市販されているものが多い。
注意点として乾燥わかめは、水で戻すと膨張するため、大量に食べてから水を飲むと胃の中で膨らみ腹痛を起こす恐れがあり、実例もある。

他の具材と混ぜることが多い。

  • 若竹煮
ワカメとたけのこの煮物。

  • しゃぶしゃぶ
生ワカメを湯や出汁にくぐらせてからポン酢などのタレでいただく。茶色いワカメが湯の中で鮮やかな緑に変わる様は食欲をそそる。

  • ワカメ蒸し
ワカメと魚などの食材を一緒に蒸す。蒸し煮、蒸し焼き、レンチンでも可。
ワカメと食材、お互いがお互いの香りや旨みを与えあうWin-Winの料理。

浄化作用

海水を浄化する作用を持っているようで、実際にワカメを植えて海をきれいにする試みもあるという。

肥料

肥料の代わりにもなると言われており、実際に成功例もある。


追記・修正はワカメをおいしく食べてからお願いします。

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と、ここまでなら色々な料理に使え栄養豊富な海藻に思える。
だが、これはあくまでも原産地域での話。

アメリカや欧州、オセアニアでは外来種としてさまざまな漁業被害を与え、海の雑草と呼ばれ忌み嫌われているのだ。

船のスクリューや漁業用の機械に絡まって停止させたり、養殖していたホタテなどの貝類を窒息死させたり、網に入って魚が獲れなくなどの深刻な被害を出している。

そもそもなぜ元々いなかった海外にワカメが?
その原因は船のバランスを保つために積むバラスト水のせい。

水を取り込む際にワカメの胞子が入り込み、現地でバラスト水を排出した結果胞子が拡散される。加えて現地の海の
  • 流れも穏やかで流される心配が少ない
  • 加えてウニのような天敵もいない*1
という条件が重なり、ワカメの高い繁殖力により爆発的に増加してしまった。

「食べれば良いんじゃないの?」と思うかもしれないが、元々ワカメを食べる文化がない外国人はワカメを消化できる酵素*2を持たず、食べると腹を下してしまうため食べようにも食べられない。何でも食べるイメージがある中国でも先述通り養殖の起源にはなっているが食べていなかったのである。

これによりワカメは世界の侵略的外来種ワースト100に選定され、諸悪の根源であるバラスト水にも2004年に船舶バラスト水規制管理条約が締結。*3徐々に締結国を増やしていき、2017年に発効されバラスト水の処理が義務付けられた。

現在では条約に基づきバラスト水を積む時にフィルターや紫外線レーザーを使用して極力ワカメの胞子や他の微生物が入り込まないように処理されている。

特にニュージーランドでは日本の年間消費量の何倍ものワカメが大量発生し、近年では駆除を諦め日本へそのワカメを輸出しようという動きも起きている。
到底食べ切れそうにないが……


余談

  • 「わけがわからない」という意味のジョーク「わけワカメ」がある。

  • 俗称としてウェーブのかかった黒髪や緑髪のキャラをワカメと呼ぶことは冒頭でも示したが、他にも間桐慎二奈落(犬夜叉)など文脈ごとに異なるキャラを指すことがあるので気を付けよう。

  • 「オカワカメ」と呼ばれる野菜がある。オカの名の通り海藻ではなく陸地に生える野菜であり、茹でると弾力のある歯ごたえや滑りがでることからワカメの名がついた。栄養価が高く、「雲南百薬」という別名をもつ。


・良い子のみんなはワカメ酒竿酒を検索してはいけないよ!このwikiにも項目何故かあるけども!


追記・修正は、ワカメ問題を解決してからお願いします。


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最終更新:2025年03月03日 11:44

*1 もっともいたとしてもワカメの繁殖力には勝てないため、ワカメの猛威を止められる程ではない

*2 日本人と北米人を対象にした検証結果では、生の海藻類を効率よく消化するための独特の酵素を出す腸内細菌が日本人のグループだけから発見されている。

*3 もちろんワカメだけが原因というわけではない。貝類やプランクトン類が運ばれることによる環境被害事例は複数あり、身近なところではホンビノス貝もバラスト水が原因で北米から東京湾大阪湾に定着したのではないかとされている。そして日本人の胃袋に収まっている。逞しいなコイツら…