ポン酢

登録日:2012/06/02 Sat 21:02:39
更新日:2025/03/12 Wed 14:39:02
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幸せってなんだっけ



ポン酢しょうゆのある暮らし



ポン酢とは、醤油をベースに柑橘類の果汁を加えて作られる調味料である。
一般にポン酢と呼ばれるが「ポン酢醤油」と呼ぶのが正式らしい(下記の由来もあるため、「ポンス醤油」とする意見も)。
むしろ「ポン酢」という場合は柑橘類の果汁に酢を加えた調味料なのだが、柑橘類の果汁に醤油を加えたポン酢醤油をポン酢と略すのがメジャーになりすぎて実質乗っ取られた状態と化している。

そのため「ミツカンの"ぽん酢"を買ってきて。絶対間違えないでね」と念を押されたので「味ぽん」ではなく「ぽん酢」を買ってきたら怒られた
なんてネタも存在している。
特定した商品の買い物を頼む際は相手にネットの商品画像を見せるようにしよう。


以下、本項目では「ポン酢」はポン酢醤油のことを指す。

ポン酢は主に日本食に用いられ、かける、もしくはつけた対象に味付けをするだけでなく、食べ味をサッパリとさせてくれる効果がある。
そのままでもいいが、大根おろし、もみじおろし、削り節、ごま油、すりごま、刻みネギ等と合わせることも。


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■ポン酢のポン



では教えてくれ、ポン酢の"ポン"とはなんのことだ


クイズや豆知識の定番だが諸説ある。
有力なのが出島のオランダ商館にてオランダ人達が飲んでいたと言う柑橘を使ったアルコール飲料、「ポンス(英語で言うパンチ)」から来たと言うのもの*1
日本人もこれを飲ませてもらったものの口に合わず、柑橘類の果汁を料理素材として使うと言う概念だけを引き継ぎ、柑橘果汁を「ポンス」と称するようになった。
やがて、果汁を使った調味料をポンスと呼ぶようになり、スに漢字の酢を当てて出来あがったのが、「ポン酢」と言う訳である。
この他、ポルトガル語で柑橘を表す言葉に「ポウ」と言う言葉があり、関連を指摘されている。

と、このようにして生まれた柑橘の調味料、ポン酢は、主に長崎を中心とした近辺で使われていたが、日本中に広めたのはミツカンの功績である。
当時のミツカンの社長が、博多で食べた「鶏の水炊き」についてきたポン酢に感動し、1967年に発売したのがきっかけである(それまで関東などでの鍋料理は鍋の汁に味付けしたものが主だった)。

ミツカン以外にも全国各地で色々なポン酢が生産されておりそのバリエーションは多種多様。
中でも有名なのが大阪府にある旭食品が発売する「旭ポンズ」で、歌手のやしきたかじんが愛用していることをラジオで発言してから一気に知名度を上げ、関西出身の著名人には今も愛好者が多いことで知られる。

近年はこうしたポン酢も全国区のスーパーで取り扱ってる例もあるので、気になったら探してみよう。


■使われる柑橘


前述通り、ポン酢のポンとは柑橘全般の事を意味するので、使う柑橘には実は制約は無い。色々試してみよう。
また『美味しんぼ』のように醤油側をアプローチするのも一興*2
例えばベースを白醤油、白だし、醤油を使わないベースにすることで優しい味になり食材の色を生かすことができる。

(だいだい)

鏡餅のてっぺんにも乗るあれ。
甘味、酸味ともに程よく値段も高くないので、全国的に最もよく使われる。

◆柚子

胸のすく香りの、小さくてちょっとゴツゴツしている黄色の柑橘。
少し酸味が強いが優しい味わい。

◆スダチ

鋭い酸味が特徴で、焼き魚に向く。
刺激が強いものが好きな人向き。福岡県で多く栽培される木酢(キズ)という柑橘も、スダチと同じように利用できる。

◆カボス

甘味があり、酸味も角が無く優しい味わいなので、刺激が強いものが苦手な人向き。

◆ライム

海外産の青い柑橘。スダチに似て刺激的。
ポン酢にルール無し。海外の柑橘も是非使おう。

◆レモン

やはり刺激的だが甘味も強く美味。
ポン酢に入るイメージが無かった方も是非やってみよう。


■食べる際にポン酢が使われる料理


ポン酢一本でも美味しいが、大根おろし、叩いた梅干し、ゴマ油、おろし生姜などお好みの食材を混ぜても良い。


今や全国的に、ポン酢=鍋料理、鍋料理=ポン酢の構図は普遍であろう。
しゃぶしゃぶや鶏鍋などもアッサリ食べられるが、真価を発揮するのはやはり魚…特に白身魚の鍋である。
鯛やフグのチリ鍋で使えば、素材の味を引き出してくれるぞ。


大根おろしショリショリ、ポン酢トットット…。ハム!ハフハフ!ハフ!
脂の乗った魚の脂分をさっぱりさせながら旨味を引き出してくれるのはやはりポン酢である。
醤油だけだとサッパリ感にかけるので、やはり柑橘を使いたいところである。

刺身

トロリと濃厚な刺身醤油もいいが、上品な白身魚の薄作りにはやはりポン酢である。
淡白な白身に酸味が加わると高貴な美味を堪能出来るぞ。
またカツオのタタキにはよく使われる。


特に夏場におすすめ。脂の乗った高級なカルビには、タレよりも絶対に大根おろし入りのポン酢が美味いと断言しよう。
ハウス食品が近年売り出したジュレタイプのものもおすすめ。

◆蒸し料理

あっさりした料理にはさっぱりしたポン酢がよく合う。食欲のない日や疲れた日にも箸が進む。
野菜、肉、魚のどの蒸し料理とも合うが、真価を発揮するのは「ちり蒸し(白身魚や貝を豆腐や野菜と一緒に昆布出汁と酒で蒸した料理)」だろう。
酒呑みが忘れてはいけないのがあん肝。

◆茹で料理

これまたあっさりしているのでさっぱりしたポン酢がよく合う。
これまた野菜、肉、魚と食材を選ばない。
白子、鶏皮、ガツ(豚の胃袋)など居酒屋メニューにもポン酢は大活躍。

餃子

酢醤油が一般的だが、手近に無い場合にはポン酢も使われる。柑橘の香りは酢には無い胸をすく要素があるので、コッテリとした餃子にはぴったりである。
また、ニンニクとの相性も良く芳香となる。
焼餃子のみならず水餃子にも。


最近関西で流行ってきた食べ方。ソースよりサッパリと食べられるのが魅力。
韓国の類似料理、チヂミとも相性良し。

◆生野菜

ノンオイルドレッシングの感覚で使われる。柑橘の酸味が野菜の青臭さを中和してくれるのが嬉しいところ。


■作る際にポン酢が使われる料理


めんつゆ、白だし同様一本で味が決まる調味料として調理過程で味付けに使われるレシピも増えている。
一方、「一本」に拘らず、

◇バター×ポン酢(バタポン)。
マヨネーズ×ポン酢(マヨポン)。
ガーリック×ポン酢(ガリポン)。
オイスターソース×ポン酢(オイポン)

といった別の調味料、特にコクのある調味料と組み合わせるアレンジも定番と化している。

◆炒め料理

定番の野菜炒めもポン酢を使うと一味違う味わいに。
バタポン、マヨポン、ガリポン、オイポンにすれば旨味もマシマシ。
ケチャップ×ポン酢で酢豚もお手軽に。
イカ、牡蠣など魚介類の炒め物にも使える。

◆和え物

もう一品副菜が欲しい時に便利。加熱(茹でる、焼く、レンチン)した具材にポン酢をかけて和えて完成。
マヨポンは和え物にも使える。

◆煮物

煮汁はポン酢を水で割るだけという手軽さ(レシピによっては香味野菜や砂糖を入れる)。
鶏の手羽やモモ、豚バラなどの肉(さっぱり煮と呼ばれることが多い)のイメージが強いが、根菜をはじめとした野菜、カレイやブリなどの魚もいける。

◆麺料理

和風スパゲティもポン酢で。特におろしスパゲティや冷製スパゲティにはよく合う。
釜玉うどんや冷やしうどんもポン酢があればサッパリいただける。
焼きうどんや焼きビーフンといった炒める麺料理にも。

◆サラダ

ポン酢×オリーブオイル、ポン酢×ゴマ油で簡単ドレッシングに。刺身も入れれば和風カルパッチョにもなる。
漫画『めんつゆひとり飯』によればマヨネーズ大さじ2×ポン酢小さじ1がガチ黄金比とのこと。

漬け物、漬け

野菜をポン酢に漬けて数十分で手軽な副菜に。大量消費や大根の皮の使い道にもなる。
マグロやサーモンの刺身を一晩漬けてヅケにしても。
肉や魚を漬けてから焼けば味がしっかり染みる。
和風マリネや南蛮漬けもポン酢を使えばお手軽。

◆酸辣湯

鶏ガラスープとポン酢を使えばお手軽にできる。もちろん中華スープとしても使える。




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最終更新:2025年03月12日 14:39

*1 またそちらのパンチはサンスクリット語やヒンディー語などで「5種類」を意味する「パンチ」が由来とされている

*2 ちなみに『美味しんぼ』では鍋料理と合わせる回であったこともあって、鍋料理の美味しいベトナム料理を参考に魚醤のニョクマムとベトナムの柑橘チャンを合わせたポン酢を作成していた。