セイザータリアス/弓道天馬

登録日:2025/03/17 Mon 04:24:43
更新日:2025/04/20 Sun 17:26:29
所要時間:約 17 分で読めます





俺は殴られたら殴り返す主義なんだ。

力を貸してくれるのね?

あぁ、やってやるぜ!


弓道(くどう) 天馬(てんま)とは、東宝製作の特撮ドラマ『超星神グランセイザー』の登場人物にして、同作の主人公。
本項目では彼が装着するセイザータリアス(英:SAZER TARIOUS)についても併せて記載する。


演:瀬川亮



【プロフィール】

生年月日:1983年12月14日
年齢:20歳
血液型:O型

※出典は朝日ソノラマ『超星神グランセイザーファンタスティックコレクション』と小学館『超星神グランセイザー超全集
より。

【概要】

バイク便ジェットエクスプレスに勤務するフリーターの青年。

国防省の御園木篤志から堀口一郎博士宛の荷物を届けるよう頼まれて向かった兜山遺跡にて伝通院 洸 / セイザーレムルズに誘拐され、謎の女・佐伯カリンから『グランセイザー』と呼ばれる戦士の素質があると告げられる。
事態が飲み込めない天馬はその場を立ち去ろうとするが、雨宮涼子 / セイザーヴェルソーに仲間になるよう迫られる。
怒りが頂点に達した天馬の手のひらにナックルライザーが発現、隼の戦士・セイザータリアスに覚醒した。

覚醒当初は自分の運命を受け入れられず、『自由に生きたい』と現実逃避していたが、カリンと風のトライブへの怒りから同じく炎のトライブの戦士である獅堂 未加 / セイザーミトラス・獅堂 剣 / セイザーリオンと共にチームを結成して、宇宙連合ウオフ・マナフとの戦いに身を投じることになる。

【人物像】

物語開始時点ではバイク便ライダーだが、将来の夢はオートバイレーサーになることで、バイクへの愛着は誰よりも強い。
愛車はホンダ・XR250モタードで勤務中にも配達に使用している他、第13話から外装のカラーリングをオレンジベースの炎のトライブ仕様に改造している。
勤務態度は真面目な様子で、第7話では連絡を受けてから事務所につくまでのタイム(『5分15秒ジャスト』)で自己記録を更新している。
第2話での描写から、アパートの一室で1人暮らしをしている模様。部屋は203号室でドアには『弓道』と手描きされた表札が貼り付けられていた。
家族構成は不明だが、最終回エンドロールでの直人と涼子の結婚式には袴姿で出席している。

「殴られたら殴り返す」主義で、第1話では自分に喧嘩を売った赤シャツと青シャツの男たち*1を返り討ちにしている。
正義感に熱く、どんな敵にも勇猛果敢に立ち向かう熱血漢で、みんなを守りたいという意志が強いため、考えも無しに突っ走ってしまうのが玉に瑕だが、人を動かす力は本物のようで、洸や誠など彼の表裏のない性格に影響された人物は多い。

一方で喧嘩っ早い性格なのが災いしてか、作中の関係者からは第一印象が悪く捉えられている節があり、
  • 未加からの認識:『赤シャツと青シャツの男たちと同じで社会に迷惑かけてる嫌な奴』(要約)
    • それに対する堀口博士の反応:『似た者同士じゃないか』
  • 涼子からの認識:『程度の低そうな奴』
  • カリンからの認識:『欠点を多く抱えた人間』*2
…このように第1話の時点で散々な言われようであった。

それ以降も曲者の直人をなんとかすると能天気な返答をした際に未加に『だから単細胞は困るのよねぇ…』と呆れられたり、*3愛と蘭と未加の喧嘩を仲裁した際にうっかりそれぞれの蔑称である『大ボケ』『スチャラカ』『鉄拳女』を口走ってしまったばかりに3人から『バカ天馬ー!』と大バッシングされたりと、公式で熱血バカ的扱いを受けていた。

とはいえ、アケロン大星獣との決戦を境に戦士としての自覚が芽生えて行き、第2部終盤に差し掛かる頃には『グランセイザー』を束ねる実質的なリーダーとして信頼を寄せられるようになった。
上記の通り「殴られたら殴り返す」主義を自負してはいるが、同時に『相手が倒れたら戦いはそれまで』という線引きをしており、ダイセイザー登場後からは戦い以外の解決方法がないか奔走するなど、要所要所でリーダーシップを発揮している。

インパクター・ロギアとは戦いを通じて宿命のライバルのような関係になっていき、何度も衝突したが最終的には互いを認めあうようになり、彼が地球を去る際には笑顔で見送った。(最後の決闘の後も『やっぱ強えわ、アイツ』と呟くなど、ロギアの実力を認めていたことが窺える。)
未加とは口を開けば喧嘩が絶えなかったが、お互いに悪い気はしなかったようで、26話にてビズル星人の異次元空間に2人して閉じ込められた際は脱出前に告白めいたことを口走ったものの続く27話で日和ってはぐらかしてしまい、有耶無耶に終わってしまった。
それでも未加への気持ちは変わらなかった様子で、彼女がロギアに誘拐された時は水晶板を洸から奪い取る凶行に走ってまで助け出そうとしたほど。*4

その他、犬が大の苦手で、第1話では愛犬を運ぶようマンションのマダムに依頼された際に規則にかこつけて断ろうとしていた。

第4部では3回死にかけており、1回目はボスキートのバーニングファルコンを生身で食らい、2回目はボスキートにバーニングファルコンを打ち返された際にマリウス星人ルカを庇って被弾。いずれもルカに生命エネルギーを分け与えられたことで命拾いしている。そして3回目は宇宙怪獣キャブレオンにフレイムトライバーごと撃墜されたが、アケロン人ルビーによってウオフ・マナフの母艦にテレポートされて事なきを得ている。

そこで対面を果たしたウオフ・マナフの最高権力者たる宇宙の意志に『俺を元の地球に戻してくれ』と懇願するもなかなか聞き入れてもらえず、更に仲間がベルゼウスに襲われる光景を目の当たりにして遂に激昂。

ふざけるな!宇宙の意思だかなんだか知らねぇが地球にだって意思はあるんだ!


もしお前らが地球をどうにかしやがったら、俺がお前を叩き潰してやるからな!

…とルビーの制止を振り切って啖呵を切り、蘭に祈るよう呼びかけたことで宇宙への交信は成功。
地球に帰還すると仲間たちとともにキャブレオンを倒し、自分達の手で4億年の戦いに引導を渡した。
戦いの後は以前と変わらずバイク便ライダーとして夢に向かって働いている。


【関連人物】

  • 田所マキ
演:豊川栄順

バイク便ジェットエクスプレスの電話番で、天馬の同僚。
伝説の格闘家でもある直人(タウロン)の大ファンで、天馬を通じてデートに漕ぎつけようとしたが肝心の直人は当時行方知れずだった為、仕方なく天馬を代役に指名してドライブデートに興じる。
しかしカリンが天馬を狙って放った光線に襲われて重傷を負い、洸(レムルズ)の勤める京南大学付属病院に搬送される。
RhマイナスのB型という日本人では希少な血液型*5の持ち主だった為手術は難航し、天馬が輸送用の血液を病院に運んだ事で手術は無事成功して一命を取り留めた。

なお、彼女以外のジェット便の従業員として、20年前に暴走族を卒業したという噂*6を持つ所長(演:伊東千啓)と事務員の女性スタッフ(演:坂口理香)が登場している。


  • 久我栞
演:竹本聡子

国防省科学分析本部研究員。
上司である科学分析本部部長・椿征二(演:山口粧太)が立案したアケロン人のクローン培養による生体兵器化に反対し、カリンの形見である黒い水晶を盗み出して研究所を抜け出した所を天馬に助け出された。
その後、グランセイザーが御園木とコンタクトを取っていることを知ると堀口研究所を抜け出してしまうが、天馬に『国防省が「きみをつれていく」って言っても、絶対に君を渡しはしない!』さらっとエンディングテーマのタイトルを交えながら諭された事で彼を信頼するようになる。
クローンアケロン大星獣が撃破された後は研究室に戻って宇宙人の研究を続けることを告げ、堀口研究所を後にした。
天馬を『弓道さん』と苗字でよぶ数少ない人物。


【セイザータリアス】


装着!


画像出典:超星神グランセイザー第28話『美しき逃亡者』より
© 2003 グランセイザープロジェクト/テレビ東京


セイザータリアス!





身長:190cm
体重:80キロ
ジャンプ力:20メートル(垂直跳び)/100メートル(幅跳び)
キック力:15トン
パンチ力:10トン
走力:3.0s/100m
スーツアクター:新上博巳


『敵を撃つ猛禽の星』
天馬がナックルライザーに手を当てる事で装着する隼モチーフの射手座の戦士。
武器のファルコンボウによる弓術を得意とする。
戦い方は荒っぽいが格闘技のセンスがよく、パワーとスピードのバランスも良くとれている。
戦闘においては敵の攻撃を避けて足技を多様するのが特徴。
戦士としてのポテンシャルを強く秘めており、洸/レムルズからはその潜在能力を高く評価されていた。
因みに未加 / ミトラスと並んで変身バンクが用意されている数少ない戦士でもある。早い段階で使われなくなったのはナイショ


装備

  • 聖緋弓(せいひきゅう)ファルコンボウ
タリアス専用の弓矢型の武器。
炎のエネルギーを纏った矢を放つことが出来る。
グランセイザー側の専用武器でなりきりアイテムが発売されたのはこのファルコンボウだけである。

  • 聖双剣(せいそうけん)ダブル・クレッセント
本来はセイザーリオンの武器である剣だが、第45話にて彼から片方借りて使用している。
巨大ボスキートに目掛けて飛び上がり、首元にダブル・クレッセントを突き刺した。


  • バーニングファルコン
ファルコンボウに炎のエネルギーを充填して炎の矢を放つ、タリアス最大の必殺技。
第3部ではビズル星人を皮切りに多くの異星人を葬っている。

  • クロスボウパンチ
厚さ20センチのコンクリートをぶち抜く威力を誇る炎の鉄拳。
第1話の覚醒直後にヴェルソーに叩き込み、壁をぶち破って吹き飛ばすほどの破壊力を発揮した。
この時のパンチが命中した直後の演出はいろんな意味で本作の象徴ともいえるため、ファンの間で語り草となっている。

  • グレネードキック
戦車の装甲をも破壊する炎のドロップキック
第24話でのロギア戦では変身解除まで追い込んだ。

  • ブラストチャージ
全身を炎で包んで突進し、敵に突撃するタリアス専用技。
使用中はホロスナイパーの弾丸もはじき返す防御力を発揮し、そのままロギアからガントローラーを奪還した。


【本編後の活躍】

『スーパーバトルメモリー』

放送終了後の翌年に発売された総集編ビデオ。
相変わらずバイク便で働いていたが、後述の事情から『ジャスティライザー』の頃には既に辞めている模様。


幻星神ジャスティライザー

『超星神シリーズ』の第2作目。
本人は登場しないが、第42話にて主人公・ライザーグレン/伊達翔太がかつて天馬が勤めていたバイク便ジェットエクスプレスでアルバイトする一幕が見られた。
続く第43話にて直人の口から名前が登場。
この時の直人による天馬評は『真っ直ぐで単純で、だが、燃えるような正義感に溢れた、熱い男だ。』というもので、その話を聞いた翔太は『自分と似ている』という感想を述べた。
そして直人の特訓を受けた翔太は消失していたインローダーを取り戻してグレンに再覚醒。再生ドクターゾラに戦いを挑む。
その光景を目の当たりにした直人は、ゾラと戦うグレンの姿にかつて天馬が変身していた隼の戦士面影を見るのだった…



画像出典:幻星神ジャスティライザー第43話『最高のヒーロー』より
© 2004 ジャスティライザープロジェクト/テレビ東京



公式ムック『超星神シリーズコンプリーション』に掲載されたコラムにて、このエピソードの裏話が明かされている。
元々第43話の脚本段階では天馬の客演が検討されていたが、瀬川氏のスケジュールの都合から見送られ直人に割り当てられた。
この2話で翔太がバイク便でアルバイトする展開は本来、翔太が天馬を違和感なく『先輩』と呼べるようにするための舞台設定だったという。
シナリオの第2稿までは天馬の登場編の予定で執筆されており、ザコールと生身で戦う天馬の姿にタリアスのイメージが重なる演出も用意されていた。
第3稿から完成作品の形に落ち着いたが、結果的に翔太の成長回として上手く昇華しており、ファンからも概ね評価されている。


『劇場版 超星艦隊セイザーX 戦え!星の戦士たち』

CV:白濱孝次

超星神シリーズ3作目『超星艦隊セイザーX』の劇場版。
終盤において、ボスキートと戦うジャスティライザーへの増援という形で登場。
開幕バーニングファルコンを披露し、グランセイザーとジャスティライザーにセイザーXも加えた18人で放った超星神アタックでボスキートを一掃し、炎のトライブ3人でガルーダに乗り込み他の超星神や幻星神とグレートライオと共に最後のボスキートであるマンモスボスキートを倒しボスキートを完全に討ち滅ぼした。
ただし、本作におけるグランセイザーは水晶板から現れた概念のような存在として描かれており、12人全員が変身も解かずに声も別人が演じていたため、天馬本人では無いと思われる。*7
巨大戦では苦戦するグレートライオを「危ない!!」とガルーダが率先して庇っていた辺りから、概念的な存在とはいえ天馬の性格は受け継がれていると思われる。

担当声優は長らく不明だったが、『超星神シリーズコンプリーション』P129のアクションチーム座談会にて、スーツアクターの白濱氏が声を充てていた事が本人の証言により判明した。


【余談】

  • 天馬が射手座生まれかつ射手座の戦士になったのは、企画協力として参加していた株式会社ガンジスの代表(当時)・大月俊倫氏*8が射手座だったことや、『聖闘士星矢』のサジタリアスのファンだったことに由来する。*9

  • 東宝映像事業部の廣田吾郎氏によれば、「70年代のテイスト」を得るための一環として、天馬のキャラクターイメージには『ハリスの旋風』の石田国松と『あしたのジョー』の矢吹丈を参考にしているとのこと。

演者について

天馬を演じた瀬川氏は本作が映像作品デビュー作。
それまでは高校卒業後に入団した劇団『サードステージ』にて舞台俳優として地道に演劇を学んでいた。
そんな中下北沢の舞台で客演という形で顔を出していたところ、『面白い役者がいる』という噂を聞きつけた村石宏實監督らが舞台を訪れ、後日東宝から天馬役のオーディションの誘いの連絡を受ける。
この時他の11名はすでに配役が決まっていたが、天馬役はなかなかイメージに合う役者が見つからず選考が難航していたのである。
そのタイミングで呼ばれた瀬川氏は劇団の先輩からの後押しもあってオーディションに参加し、見事役を勝ち取った。

村石監督は天馬役が瀬川氏になった決め手として、『天馬の成長を軸に撮るうえで未完成なキャラが欲しかった』と述べている。
瀬川氏自身も初の映像作品ということもあり、『映像の芝居のテクニックを全く知らなかった。』と述べるほど相当苦労した旨を後年のインタビューにて述懐している。

瀬川氏はその後、NHKの連続テレビ小説『ファイト』でメインキャラを務め、以降もドラマで20年以上に渡って精力的に活動していた。
私生活でも2012年に結婚し2児の父となり、村石監督の訃報(2022年逝去)を受けて『グランセイザー』のDVDを子供たちと一緒に見ていると語るなど、作品については今でも大切にしているそうである。

そして2024年末に所属していた事務所を退所して役者の道から距離を置いたことを翌2025年1月に自身のX(旧Twitter)のアカウントにて公表。
ただし芸能界を引退したわけではなく、『新たなチャレンジをする為に事務所を退所した』と後日改めてXにて報告している。
なお、特撮出演は本作の天馬役のみとなっている。

スーツアクターの新上氏は最終回にて天馬の配達先の依頼人役でカメオ出演している。

『劇場版セイザーX』にて声を演じた白濱氏は『グランセイザー』本編ではリオンやガンシーサーなどのスーツアクターのほか、天馬のバイク走行シーンの吹き替えや第1話で天馬に喧嘩を売った青シャツの男役*10を演じている。


※インタビュー出典
ホビージャパン『超星神シリーズコンプリーション』
講談社『ゴジラ&東宝特撮 OFFICIAL MOOK』 vol.8《超星神グランセイザー》



ジェット便でーす!追記・修正お届けにあがりましたー!


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最終更新:2025年04月20日 17:26
添付ファイル

*1 一方通行の道路をピックアップトラックで逆走していたため、天馬の言い分は至極全うなものであった。

*2 曰く『こういった人間ほど特殊能力を兼ね備えている』らしいが…

*3 自覚はなかったのか、天馬自身は直人に対する感想だと思っていた。

*4 洸が水晶板を偽物とすり替えていた事で最悪の事態は免れた。

*5 割合として0.5%しかいないといわれている。

*6 『テレビマガジン特別編集』内の百科事典より。

*7 そのためか、翔太もセイザータウロンを見ても無反応だった。

*8 キングレコードの元代表取締役社長で、『新世紀エヴァンゲリオン』のプロデューサーとしても知られる。なお、ガンジスは2018年に解散している。

*9 朝日ソノラマ『宇宙船』Vol.113(2004年7月号)より。

*10 最終回でも同じ役柄でカメオ出演しており、天馬と顔見知りである事を示唆する演出がなされている。