登録日:2025/04/05 (Sat) 2025:14:28
更新日:2025/04/20 Sun 16:59:42
所要時間:約 16 分で読めます
目次
【概要】
本作は1972年(昭和47年)4月1日から1973年4月7日(昭和48年)までフジテレビ系で全54話が放送されたピープロ制作の特撮番組。
前枠となる「スペクトルマン」とはうって変わって戦国時代を舞台とした時代劇となる。時代考証もたまにウィンチェスターという未来の技術が出たりするが比較的しっかりしており、
戦乱を利用して日本を支配しようとする大魔王ゴースン、それを阻止せんと戦う獅子丸、沙織、小助の三人の物語となる。
主人公達はいずれも忍者の修行を受けており、ライオン丸も主人公の獅子丸が「忍法獅子変幻」によって変身する姿となるため、忍者ものの特撮時代劇といったところ。
西部劇のようなガンマンやポンチョをまとった怪人が出るなど、次回作にも繋がるマカロニウエスタン風な面も持つ。
ヒロイックなライオン丸、様々なドラマをうむゴースン怪人、ライオン丸の宿命のライバル、タイガージョーといった魅力的なキャラが多く、時代劇であることから出来る美しい殺陣も合わさって人気を博した。
同じく忍者ものの特撮時代劇である
変身忍者 嵐とは完全に放送時期がかぶっており、よく比較対象にあがる。
放送終了後にその人気からすぐにパラレルワールドであり、続編でもある
風雲ライオン丸が放送されたが、本作以上にハードでシリアス過ぎる路線が災いして短期で打ち切りになってしまった。
ちなみに
怪
傑ライオン丸と間違えられることが非常に多い。
ズバットと同じく怪じゃなくて
快
が正しいので覚えておこう。
【ストーリー】
舞台は
戦国時代。
戦国最高の忍者と称された果心居士に育てられた獅子丸、沙織、小助の三人だったが、ある日、髑髏の面をした忍者による襲撃を受ける。
それにより、魔王ゴースンが日本支配の野望の為に動き出した事を知った果心居士は自身の死を悟り、獅子丸達にゴースン打倒を命じる。
そして形見分けとして、獅子丸に金砂地の太刀、沙織に男に勝る力を得る小太刀を、小助には自身の魂を呼ぶ笛を与えた。
はたしてその夜にゴースン怪人オロチの襲撃によって果心居士は命を落とし、獅子丸達が住む小屋も焼き払われてしまった。
獅子丸達は果心居士の遺志を継いで三人で力を合わせて魔王ゴースンを倒す旅に出るのだった。
【登場人物】
演:潮哲也
主人公。子供の頃に母親を失って泣いていた所を果心居士に拾われて育てられた青年。三人の中ではリーダー格で司令塔の役割も果たす。
ストイックな性格でひたすらゴースン打倒のためにすべてを注ぐが、それに執着するあまり周りが見えなくなったり、考えが及ばずに猪突猛進してしまう事もしばしば。
また、ゴースン怪人と言えど恩を受けたり同情した場合は殺したくないと言うなど心優しい面も持つ。
完全無欠の主人公と思いきや、敵の罠にはまってやたら気を失う事にも定評がある。
金砂地の太刀を使って忍法獅子変化を行う事でライオン丸に変身することが出来る。
演者の潮氏は本作が初主演であり、次回作風雲ライオン丸でも弾獅子丸として主演を務めている。
氏の芸名となる潮の名前は本作出演の際にピープロの社長である「うしおそうじ」氏から譲られた経緯を持っている。
演:九条亜希子
ヒロイン。戦乱で両親を失った女性。同じく果心居士に拾われて育てられる。
彼女も忍術の心得があり、果心居士から受け取った小太刀の力でドクロ忍者も普通に倒せるほどに強い。
よく敵にさらわれる事にも定評があり、吊るされたり、縛られたりするシーンが多く、果ては挿入歌の中でもさらわれている。
超ミニの衣装で戦うのでやたら
パンチラ
して男視聴者の視線をくぎ付けにしていたが、物語の後半では衣装替えして白い短パンになってしまった。
チッ
小助の
母姉代わりとしてふるまうシーンが多い。
演者の九条氏は本作が縁となり獅子丸役の潮氏と結婚したのはファンの中では有名な話。しかし、同時に引退してしまったので本作が最後の出演作となってしまった。
演:梅地徳彦
戦乱で両親を失った少年。同じく果心居士(ry
三人の中では一番年が若い故に親の記憶がなく、そこを弱点として付け入られたこともある。
子供ながら戦闘も可能で、ドクロ忍者と切り結ぶことができるほか、爆弾や吹き矢を使った戦い方も得意。
子供故に思ったことをはっきりと言ってしまう事があり、小助の一言から獅子丸が状況打開の手がかりを得ることもあるが、
最終回では小助の一言によって獅子丸は
ある決意
をすることになる。
果心居士から受け取った笛を吹く事で天馬ヒカリ丸を呼び出すことができる。この笛は小助以外に吹くことが出来ないらしいが、何回か例外もある。
演者の梅地氏は最年少ではあるものの子役であるので俳優としてのキャリアは三人の中では一番長く、潮氏らから演技についての相談を受けることもあったらしい。
演:徳大寺伸
戦国最高の忍者と称された老人。お師匠様。
かつてはインドのヒマラヤで修行してジャラモン教の教主、大聖人ゴーファ・ジャラモンから様々な術を身に着けた。
金砂地の太刀もこの際に受け取ったものとなる。
その後は日本に戻り、獅子丸、沙織、小助の三人の孤児を引き取って育てていたが、兄妹弟子のゴースンがその野望を露わにしたことを知ると自身の死も悟り、
獅子丸たちに形見分けをした後、ゴースン怪人オロチの襲撃で命を落とす。
死後、その魂は天馬ヒカリ丸となって小助の呼び出しに応じて現れる。また、幻として獅子丸達に様々な言葉を投げかける役としても登場する。
その存在を危険視され、ゴースンに真っ先に狙われたほか、得心居士といった弟子も登場する。
なんと
実在の人物
。
小助が笛を吹く事で現れる白い天馬。果心居士の魂とされる。
天馬らしく空を飛ぶことが出来る他、移動手段としてもよく利用される。
演じるムーン号は次回作でも弾獅子丸の愛馬シェーンとして登場。本作では白い羽をつけられるわ爆発の中を走り回らされるわ次回作では毒を飲んで死ぬ(?)演技をするわと、非常に芸達者な馬でもある。
演:成川哲夫
風来坊。金と命が大事という信条を持つ、陽気で豪快な性格。
罠にかかった獅子丸達を救う活躍をする。「次に会った時には謝礼金を忘れるなよ!」と言ったはいいが、そのままフェードアウトしてしまった。
第三話と第五話にか登場しないが当初は準レギュラーの予定だったらしい。
演者の成川氏は前番組のスペクトルマン(宇宙猿人ゴリ、宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン)の
主人公
を務めた事で有名。名前も変身前の蒲生譲二からもじったもの他ならない。
新番組になって子供の視聴者離れを防ぐために前枠の主人公を出演させたもの。
すぐにフェードアウトしたのも彼が目立ち過ぎると獅子丸達が霞んでしまうからというものらしい。あるいはライオン丸はすでに人気が出ており、スペクトルマンの力を借りずとも独り立ちが出来るようになったとも見るべきか。
ちなみに次回作、
風雲ライオン丸にも快傑ライオン丸が出演する形で前作の主人公が登場するという流れが出来ていたが、風雲ライオン丸が打ち切られてしまったのでその次の
タイガーセブンには前作主人公は出なかった。
演:戸野広浩司(27 - 40話)→福島資剛(42 - 54話)
旅の剣士。かつては領主の息子だったが、徹底的に相手を痛めつける剣を父から邪剣とみなされたためにこれを斬って出奔した。
それ以来、
正しい者が勝つのではない、強い者が勝つ
という信条を胸に日本一の剣士になることを夢見ている。
ゴースンに忠誠を誓い、銀砂地の太刀を授かったことからタイガージョーに変身する事が出来るようになり、
ライオン丸の前に立ちふさがるもライオン飛行斬りで片目を失う。
終盤ではゴースンを倒すための方法を知り、またライオン丸を助けた事から裏切者としてゴースンからも追われる身となる
そして、何度も剣を合わせたライオン丸との間には不思議な友情が築かれ、いつしか共闘するようになるが
最後はゴースンをこの手で倒すという野心を捨てきれずに単身ゴースンに挑みかかるもゴースンの雷を受けて失明。
ゴースンの最後の側近ガンドドロによってなぶり殺しにされ、獅子丸達の眼前で眉間を打ち抜かれて戦死した。
次回作の風雲ライオン丸には彼にそっくりな「虎錠之助、錠之進、錠之介かもしれない人」が登場、ひょっとすると弟かもしれないが本当に設定があやふやなのでわからない。
演者は当初は戸野広氏だったが、本作の撮影中に事故死(後述)。42話からはその遺志を俳優仲間である福島氏が継いで最終話まで見事に演じきった。
現在ではおなじみとなった
追加戦士、および
ライバル枠。特にライバル役としては
日本特撮のパイオニア
とも呼べる存在。
登場して数話で一度出番を終えるが、人気ぶりからすぐに再登場を果たし、そのままキーマンとして最終話まで登場した。当時は主人公の獅子丸よりも人気があったともいわれている。
いわゆる戦闘員。文字通りドクロの顔をした忍者。人間だったりする事もある。
今川家に紛れて織田家をかく乱したりしている。使者に変装することもある。
ただの戦闘員と思いきや、獅子丸の足を斬って戦闘不能にしたり、三人一体で合体し、怪人ドクロンガとなった時は絶不調だったとはいえ、
ライオン飛行斬りを破ってライオン丸を退ける
など意外な活躍をすることもある。
ゴースン配下の怪人。掛け声はデボノバ。
量産型岡部政明
ゴースン魔人、ゴースンの使者などと呼ばれることも。
ハチ、ネズミ、ムササビ、パンダなど、
動物がモチーフになっている者が多い、
野盗に襲われる村人を救ったり、茶屋で団子を食ったり、指令を無視して昼寝したりと割とフリーな存在。
正々堂々の立ち合いを好み、徹底して卑怯な事を嫌うネズガンダ、
盲目の少女を治す為にライオン飛行斬りを破る特訓をするトビムサシといった、ただ登場してやられるだけの役といった枠を超越した濃いキャラ立ちをしている怪人も多い。
特に強い怪人はゴースン八人衆と呼ばれている
ゴースン怪人をまとめるためにゴースンによって作り出された
中間管理職
。直球過ぎる名前を持つ。
怪人に指令を出したり、獅子丸達を煽ったりするのだが、怪人からは舐められ、ゴースンからは失敗ばかりで最終的には「死ね!」とまで言われる中間管理職。
大した見せ場もなく、物語の中盤でゴースン怪人クマオロジのついでで倒される形で退場してしまった。
CV:小林清志
岩のような巨大な唇という形で登場する本作のボス。
ゴースン島からゴースン怪人やドクロ忍者に指令を与える形で登場する。
正体はかつて果心居士と共にヒマラヤで修行をした豪山という人間。100年かけて悪の妖術を極め、日本を支配する野望を持って帰ってきた。
分身魔王とは違い、巨大神変化の術で山のように巨大化し、ライオン丸やタイガージョーを最終回に至るまで一蹴し続けた間違いなく
作中最強
の存在。
物語の中盤から後半にかけてはゴースンの正体と倒すための方法を探すことが主な目的となっている。
【登場する戦士】
☆ライオン丸
ライオン丸、見参!
獅子丸が
「風よ光よ!」と印を結んで一喝することで金砂地の太刀の封印が解け、忍法獅子変化をする事で変身する姿。
気の焦りや心に迷いがある場合は刀の封印が解けずに変身できないこともあった。
黒マントを羽織った深紅のコスチュームで長い鬣を持つ白獅子という非常にヒロイックな外見。
鬣で風を起こして敵の攻撃を跳ね返したり、忍者であるので忍術も駆使して戦う。
大きく飛んだ後に斬り下ろす
「ライオン飛行斬り」が
必殺技。
怪人を倒した後は、垂直に立てた刀をシャーっとなでる事で爆死させる。爆死させないと後で復活される事もあるので重要な儀式なのだ。
「ライオン丸のバラードロック」という子門真人氏が歌うテーマ曲があるが、出だしから「
昨日お師匠様が死んだ♪
」というかっとんだ歌詞から始まる名曲となっている。
次回作では風雲ライオン丸を助けるべく、突如天馬ヒカリ丸と共に登場する。
☆タイガージョー
タイガージョー…推参!
虎錠之介が変身した姿。銀沙地の太刀を持つことで変身する悪一文字の鎧を着る虎の剣士。
「ゴースンタイガー!」と叫んで手を交差して爪を伸ばし、空中で回転しながら変身する。
異様にカッコいい口笛のテーマ曲を持つ。
初戦はライオン丸に右目を奪われるものの、再戦時にはタイガー霞返しでライオン飛行斬りを完全に破り
その後も引き分けると、正真正銘のライバルキャラとして人気を博した。
飛行する相手の速度が落ちる瞬間を狙う魔剣隼斬りも使う。
ゴースンを倒す事ができる象牙を入手してからはそれを槍に加工し、戦闘でも使うようになる。
次回作では彼にそっくりなタイガージョーJr.が登場。着ぐるみも続投している。
☆ゴースン
豪山が巨大神変化で巨大化した姿。物語序盤に出てくるゴースンの唇は通信装置でもなんでもなく、
本当にゴースンの唇
だったという衝撃の事実と共に無双状態になる。
必殺技はゴースンサンダー、ゴースンファイヤーだが、最終回に至るまで一撃でライオン丸達を戦闘不能にする文字通りの必殺技。
ライオン飛行斬りや爆弾でもかすり傷一つつけられない手の付けられない状態となるが、巨大神変化した時こそ、ある弱点が露わになる。
+
|
弱点とその結末 |
ゴースン(豪山)の兄、桃雲斎からゴースンの弱点は巨大神変化をした際の胸の紋様…と教えられた獅子丸。
そして、錠之介はその紋様を突こうとして力尽きた桃雲斎操る巨大蝙蝠から象牙を拾い上げ、これならばゴースンを突ける…と確信を持つ。
獅子丸は突くための武器を知らぬまま、錠之介は突く場所を知らぬままそれぞれゴースンに挑むがゴースンサンダーであえなく返り討ちにされる。
二人は共闘するうちに力を合わせればゴースンを倒せると確信する。そしてファンでも気づかないレベルでこっそりと象牙の槍が失われる。
京の都を襲うゴースンに最後の戦いに挑む二人だが、ゴースンをこの手で倒す野望を捨てきれない錠之介は獅子丸を出し抜いてタイガージョーとなってゴースンに挑むも返り討ちにされ、ゴースン最後の使者のガンドドロによって眉間を打ち抜かれて戦死。
象牙の槍も錠之介も失い、完全にゴースンを倒す手段を失った獅子丸。それでもとゴースンに挑むが結果は同じだった。
同じくゴースンに傷つけられた沙織と小助に助けだされるも、そこで小助の一言によって衝撃を受ける。
「おいら死ぬことなんてへっちゃらだ!」
「小助、おまえ今なんて言った?」
「死んだってへっちゃらだって言ったのさ。ゴースンを倒して死ねるんならね」
獅子丸は一人滝に当たりながらある覚悟を決める。
沙織と小助に後事を託してライオン丸は最後の戦いに出る。
ゴースンサンダーを金砂地の太刀ではじき返し、目がくらんだゴースンの口に飛び込んで心臓までたどり着くライオン丸
金砂地の太刀で急所を貫くライオン丸
次の瞬間、ゴースンは断末魔と共に爆散。ライオン丸もまたゴースンと運命を共にするのだった
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【戸野広浩司氏の事故死】
本作を撮影中に虎錠之介(タイガージョー)を演じる戸野広浩司氏が不慮の事故死を遂げるという悲劇が起こる。
滋賀県彦根市でのロケの最中、次の日がオフだからと戸野広浩司氏はスタッフと共に宿泊先の国民宿舎で宴会を開く。
当時は獅子丸役の潮氏共々多忙で互いに顔を合わせてじっくり会話することも出来なかったため、ここで最初で最後となる宴会を開いた。
次の日に撮影があるからと、潮氏は途中で切り上げたが、戸野広氏はそのまま飲み続けて泥酔状態となり、水を求めて洗面所を探したが、
消灯時間が過ぎていたことから見つけられず、たまたま電気がついていた浴場に迷い込み、そこで誤って転倒してガラス扉に衝突、
ガラス片でわき腹を切った挙句に湯船に落ちた。発見された時にはすでに出血多量の状態で、病院に搬送されて死亡が確認されたという。
人気俳優の突然の死に現場が騒然になったのは言うまでもなく、番組では戸野広氏の急逝を伝えるテロップが流れ、
39話では戸野広氏演じる虎錠之介は出るものの、アフレコ前の事故だったため、声優の池田勝氏が吹き替えを行い、
40話では終始タイガージョーの姿のままの出演。そして41話から正式に福島資剛氏に交代となった。
福島氏も演技次第では数話で退場させられる可能性があった事を後年インタビューで語っていたが、結果として最終話まで登場し続け、見事に後任の務めを果たした。
後任の福島氏は戸野広氏と背格好は似ているものの、達観した雰囲気を持っており、ギラギラとした戸野広氏とは若干雰囲気が異なるため、
その後のタイガージョーの性格や扱いにも変化が表れており、急速に獅子丸達との仲を深める共闘路線に繋がっている。
その為、戸野広氏の事故が無ければライオン丸とタイガージョーの共闘路線は実現しなかったかもしれないと妄想するファンもいる。
現在では戸野広氏が命を落とした国民宿舎も彼の名前を冠した戸野広浩司記念劇場も閉業、解体され現存していない。
【その他の展開】
他のピープロ作品と同じく、一峰大二氏によってコミカライズされている。単行本は2巻と少ないが、全54話を上手くまとめており、
特徴的な変身シーン、怪人にとどめを刺した時の刀なで爆散プロットもしっかり再現されており、漫画だからこそできる大胆な表現もある。
ちなみに視聴しながら描いたわけではなく、設定資料から描き起こしたものであるため、TV版とは怪人の名前や格好が違ったりするが、
中にはTV版で採用されなかった意匠が使われていたり、TV版よりもしっくりくるストーリーアレンジも含まれる良作。
特筆すべきは最終決戦の展開であり、TV版における問題点を解決しつつ、より燃えるアレンジとなっている。
+
|
漫画版における最終決戦の流れ |
ゴースンを倒す事ができる象牙の槍を手にゴースンに挑むも返り討ちに遭うタイガージョー
なぜ、象牙の槍は奴に刺さらなかったのかと嘆くも、近くにいた獅子丸が口を開く
「それは突き所が悪かったからだ」
「ゴースンの急所は心の臓ではなく悪の印の所だ」
「なぜお前はその事を俺に……」
「平和を乱す者はたとえ誰であろうとも一時も早く倒してほしいからだ……」
タイガージョーを手当てしようとする獅子丸だが、その手を払いのけられる
「獅子丸、正義を愛するその心がお前の弱点だ、毒には毒を、ゴースンはこの俺が…必ず」
そして、こっそり象牙の槍をなくすこともなく京の都に現れたゴースンにタイガージョーが飛び掛かり、象牙の槍で胸の印を突く。
「わしを倒すつもりになったのだろうが、わしをそんなことでは倒せんぞ」
象牙の槍はゴースンを貫けずに砕かれてしまい、タイガージョーは反撃のゴースンサンダーを受けて致命傷を負う
「お、俺はもうだめだ、俺の仇をこれで」
「わかった。この銀砂地の太刀をお前だと思って戦おう」
ライオン丸は力尽きたタイガージョーから銀砂地の太刀を受け取り決意をする。
「タイガージョーの決死の攻撃もだめだった相手だ。残る攻撃方法は一つしかない…一つしか…!」
ライオン丸はライオン飛行斬りで立ち向かうも傷をつけられずゴースンサンダーを受けて瀕死に陥る。
勝ち誇るゴースンの口にライオン丸が飛び込む
「ゴースンよ死ね。見ろっわたし最後の秘術を…」
「小助、沙織!!さらばだっ」
ライオン丸はゴースンの体内で金砂地の太刀と銀砂地の太刀を交差させゴースンもろとも爆散
ドクロ忍者たちもゴースンの死と共に消滅し世の中に平和が訪れた。
…と、漫画版ではライオン丸とタイガージョーがゴースンの弱点についてしっかりと情報を共有しており、タイガージョーも弱点の場所については盗み聞きしていたはずだが忘れていたらしい
その上で象牙の槍でゴースンの弱点を突くという、TV版ではおざなりになっていた部分をしっかりと踏まえていることから、ライオン丸最後の特攻にもより説得力が生まれる形となった。象牙の槍が糞の役にも立たないのは予想外として
|
2006年に深夜番組として放送された本作のリメイク。主演は東宝の『
幻星神ジャスティライザー』にてデモンナイト/神野司郎を好演し、後に『
仮面ライダー鎧武』にて
シド/仮面ライダーシグルドを演じることになる波岡一喜。
現代劇で、
獅子丸がネオ歌舞伎町で働く売れないダメホスト
でインキン持ちという衝撃的な設定。
錠之介や沙織と小助、ゴースンといった登場人物もヤクザやらキャバ嬢やら女子高生やらとアレンジされている。
子供向け作品ではあるがひたすらシリアスだった本作と比較すると、大人向けでギャグも下ネタも盛沢山…と、
滅茶苦茶真逆
なので、オリジナルのファンからはもちろんオリジナルを視聴したことがない層からも否定的な、黒歴史扱いする人が多い。
とはいえ一作品としては面白い、深夜特撮枠としてはむしろ有りという意見もあり、現代風にリメイクされたぬいぐるみ感の無いライオン丸の意匠や、なんだかんだでしっかり本作を含むピープロ作品のオマージュをしている所は評価されている。
主題歌を歌う串田アキラ氏に
ホントにホントになあの歌
も歌わせたり、タイガージョーJr.とおもいきや
なんか違うジュニアといったネタ方面に振り切った
怪作
とみるべきか。
リメイクにあたって潮哲也氏にもインタビューが行われている
が聞くなよ。
【余談】
- 当時の野球選手のジョン・シピン(大洋ホエールズ→読売ジャイアンツ)は長い髪と風貌からライオン丸という愛称を持っている。
- スタントはほとんど使われず、大半が俳優の生身のアクションだったため、潮哲也氏は7話で
足を骨折したものの撮影は中断せず
にそのまま続投。上半身だけのアップやら吹き替えで乗り切っている。「仮面ライダー」や「木枯し紋次郎」でも同様に主役が事故で大ケガを負う事があったが、こちらは放送を一時中断ないし、一時フェードアウトという形で凌いでいた所を見ると相当に過酷な現場だったといえる。
- 第一話では獅子丸達の住む小屋が燃える中でほぼカットなしでのアクションが繰り広げられるが、これは
燃やしてもいい小屋を本当に燃やした一回きりのガチンコアクション
である。
- プロット版ではライオン丸はピンクの衣装でちょっと冴えないカラーリングだったが、これではテレビ映えしないだろという事で現在の形に落ち着いた。
- 戸野広氏の事故死の直後に「
快傑ライオン丸怪人合同慰霊祭
」が開かれている。
ラオウじゃあるまいし。戸野広氏の冥福も合わせて祈られており、僧侶役はゴースンのスーツアクターでもある遠矢孝信氏が務めた。なお、最後の方で空気を読まずに快傑ライオン丸にカチコミをかけられたので怪人達はあんまり慰霊されなかった模様。
- タイガージョーのテーマは
金がない
というわりとリアルな理由で口笛が上手い人が呼ばれ、ギターと口笛だけのシンプルな構成となったが、孤高の剣士というタイガージョーの背景にしっかりフィットしており作中屈指の名曲となった。アイデアの勝利と言える。
追記修正…。ゴースンを倒すために私は追記修正しよう!
お師匠様ーーーっ!!
- 戦国時代が舞台のはずなのに『ライオン』だの『タイガー』だの『ゴースンサンダー&ファイヤー』だのと………英語の名前や言葉が普通に使われているのは何故?怪人の中にはインディアンやパンダがモチーフの奴もいるし -- 名無しさん (2025-04-06 17:56:44)
- 赤影とか変身忍者嵐とか、時代劇特撮ヒーローではそういうのが日常茶飯事だからな…漫画なら忍たま乱太郎なんかもそうだし。そういうのは「エセ時代劇の世界だから」と割り切って見るしかないんだろうね -- 名無しさん (2025-04-06 18:11:16)
- 最近こういうのが足りない -- 名無しさん (2025-04-07 20:25:12)
- ゴースン怪人の武器が多様なのがいいよね -- 名無しさん (2025-04-07 20:45:04)
最終更新:2025年04月20日 16:59