朔夜しぐれ(遊戯王OCG)

登録日:2023/08/20 Sun 12:58:49
更新日:2025/03/03 Mon 20:33:42
所要時間:約 10 分で読めます





【概要】

朔夜(さよ)しぐれ》とはカードゲーム遊戯王OCG」に登場するモンスターである。
初収録パックは10期最後のレギュラーパック「ETERNITY CODE」で、手札誘発集団の妖怪少女シリーズの6枚目で風属性担当。
妖怪少女シリーズはこのカードの登場により神属性を除く全属性揃ったため、完結まで6年かかった同シリーズの最後のカード(と思われる)。
レアリティはこれまで通りスーパーレア(シークレット、20thシク仕様もあり)。

イラストは他の妖怪少女シリーズと比べても幼げなツインテールでローブのようなものを着た少女が、三日月を背景に立っている姿。
服装の雰囲気は《白魔導士ピケル》に若干似ている。
名前の元ネタは夜に降る時雨のことで冬の季語でもある「小夜時雨」と思われる。


【効果】

チューナー・効果モンスター
星3/風属性/アンデット族/攻 0/守1800
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手がモンスターを表側表示で特殊召喚した場合、このカードを手札から捨て、その表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの効果はターン終了時まで無効化され、このターン中に対象の表側表示モンスターがフィールドから離れた場合、そのコントローラーは対象のモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。

独自性のある効果の多い妖怪少女シリーズの中ではシンプル寄りな効果で、モンスター効果を無効にする効果を持つ。
相手のモンスターの特殊召喚をトリガーに手札から発動が可能で、発動タイミングはダメージステップ以外ならいつでも可能。
何気に妖怪少女シリーズの中では唯一の対象を取る効果であり、《灰流うらら》などと比べると対象を取る効果に耐性を持つカードには弱いが、チェーンの組み方で発動を阻止されない。

モンスター効果を無効にする効果の他にも、効果の対象としたモンスターがそのターン中にフィールドから離れた場合、その時のコントローラーに元々の攻撃力分のバーンダメージを与える効果もある。
これはどのような方法でフィールドから離れても良く、条件を満たしたらチェーンを組まずに該当プレイヤーにバーンダメージが入る。
また、対象としたモンスターの効果が無効化されてなくても適用される。
自分で効果で除去する、相手がL素材などにするでも条件を満たすため条件は緩いが、X素材にされる場合はフィールドを離れた扱いにならないので適用されない。
小型の素材専用モンスターの様なカードにはないよりはマシレベルのダメージしか入らないが、《混沌魔龍 カオス・ルーラー》の様なサイズが大きめのモンスターですら素材にしていくデッキでは馬鹿にできない程のダメージを期待できる。
破壊輪》とは相性が良く、効果を無効にしつつ除去しバーンダメージも倍プッシュすることができる。
とはいえ、本命はモンスター効果を止める運用なのでバーンデッキでもなければこの要素はオマケになりやすい。

モンスター効果の無効を主軸とした手札誘発では古参の大御所《エフェクト・ヴェーラー》と、《朔夜しぐれ》と同じ10期に登場した《無限泡影》が存在する。
「対象を取る相手のモンスター効果無効」という主軸となる効果が全く同じな上に同類のカードが2枚も存在しているため、他の妖怪少女以上にライバルとの採用枠争いは厳しい。


【エフェクト・ヴェーラーと無限泡影との比較】

《無限泡影》は罠カードのためセットして発動することが可能だが、ここでは基本的に手札から発動する場合での比較とする。

  • 発動できる相手
3枚とも対象を取る効果なため対象に取られないカードや、対象に取れてもサクリファイスエスケープなどで逃げられるカードに無力なのは一緒。
ただし、《朔夜しぐれ》のみ特殊召喚されていないモンスターに対して発動できないという明確な欠点がある。
そのため、【ふわんだりぃず】やアドバンス召喚軸の【真竜】のような召喚主体のデッキや、罠固めのメタビ寄りの様なデッキに対しては何もできないか、恐ろしく発動タイミングが限定されることになる。
この点については《朔夜しぐれ》が明確に劣っている点と言える。

《朔夜しぐれ》のみの長所としては相手のフィールドとは書かれていないため自分フィールドのモンスターに対しても発動が可能だったりする。
そのため《超魔神イド》の様な害悪モンスターの送り付けを喰らった場合に、そのモンスターの効果を無効にして回避することができる。
効果無効と発動ターン中に対象としたモンスターがフィールドを離れたらバーンダメージを与える効果が同時適用されるため、通常モンスターにも発動が可能で状況によってはバーンカードとして利用することも可能。
この性質上、効果を受けないモンスターに対して使ってもそのターン中にフィールドから離れればバーンダメージを与えることができる。
上述の欠点と比べると利点となる状況が限定されるが、こちらは《朔夜しぐれ》にしかできない芸当となる。


  • 効果の発動のタイミング
3枚ともダメージステップは発動不可で、《エフェクト・ヴェーラー》と《無限泡影》はフリーチェーンだが、《朔夜しぐれ》は相手がモンスターを特殊召喚に成功した場合と発動トリガーを必要とする。
そのため既に出ているモンスターの効果を無効にしに行くと言った使い方はできない。
タイミングが任意の名称ターン1効果発動に合わせられないため、素材化→蘇生などでライフコストと引き換えに無効化をリセットされることも。
上述した特殊召喚されていないモンスターに無力な点も踏まえると、《朔夜しぐれ》は相手ターンの妨害としては使いにくくなっていると言えるだろう。
ただし、《エフェクト・ヴェーラー》のみメインフェイズにしか発動できない穴があり、その点については《朔夜しぐれ》は優っていると言える。
もっともこの点は《無限泡影》にも言えるのだが。

自分のターンで考えると《エフェクト・ヴェーラー》は全くの無力になる。
《無限泡影》はターン開始時かつ、自分フィールドにカードがない場合は相手の妨害系のモンスターを無力化してから動くことができる。
《朔夜しぐれ》は既に居るものに対しては何もできないが、フィールドにカードを出した後に特殊召喚されるモンスターに対して発動が可能。
特に近年では「お前のターンは俺のターン、俺のターンも俺のターン」と言わんばかりに、相手ターンに特殊召喚して妨害を仕掛けてくるデッキも少なくない、それらに対しては明確な対抗策となる。
一例としては【アーティファクト】【オルフェゴール】【ティアラメンツ】があるが、他にも多数存在する。
これらのカードが蔓延る環境では相手ターンでの使いやすさで劣る点を踏まえても《朔夜しぐれ》が優先される可能性がある。

尤もオルフェゴールに関しては初動の墓地肥やしモンスターが通常召喚になりがち&確実に止めたい《オルフェゴール・ガラテア》の効果のタイミングが任意であり回避されがちで相手ターンではむしろ相性が悪い。


  • 発動できる状況
上述では発動タイミングを取り扱ったが、こちらでは発動できる状況について取り扱う。
つまりフィールドの状況や他のカードの適用化で発動が影響されるかという点になる。

《無限泡影》は自分フィールドが何もない状況でないと手札から発動できないため、ほぼ後攻の場合の1,2ターン目専用に近い面がある。
増殖するG》などで相手ターンにドローしても、既に場にカードがある場合は妨害として機能しない。
そこまで多くはないが、相手に送り付けカードなどで自分フィールドにカードを置かれると相手が先攻の1ターン目にすら使えなくなると言った事態も起こる。
手札誘発として見た場合の話ではあるが、3枚の中では最も状況に左右されやすいと言える。
もっとも、普通の罠カード同様にセットして使うこともできるため、完全に腐ることはそうない。

エフェクト・ヴェーラー》はフィールドの状況に左右されないが、発動条件が「手札から墓地へ送る」であるため墓地へ送るモンスターが除外される状況では発動ができない。
《朔夜しぐれ》は「手札から捨てる」であるため《マクロコスモス》や《次元の裂け目》や《クシャトリラ・アライズハート》などがあっても発動できる。
その手のカードを自分が使う、または相手が使ってくる場合では状況にあまり左右されない《朔夜しぐれ》に軍配が上がる。


  • 1ターンに発動できる枚数
《朔夜しぐれ》のみ同名カードの効果を1ターンに1度しか使用できない制限がある。
つまり被った場合は同一ターン中に1枚は腐ることになる。


  • モンスター効果を無効にする効果以外の付加価値
エフェクト・ヴェーラー》はモンスター効果を無効にする効果以外はないため、他の活用法は光属性・魔法使い族のレベル1チューナーである点となる。
レベル1なので《リンクリボー》のL素材にもできる。
光属性なのでカオスのコストやビーステッドを特殊召喚する際に除外するモンスターとすることができるが、逆に言えば相手のビーステッドにも利用される。
魔法使い族であることは魔法使い族向けの各種サポートを受けられるだけでなく、相手の《魔法族の里》を突破出来たりもする。

《無限泡影》は「手札から発動可能な罠カード」なのでモンスター効果のメタカードに強く、《墓穴の指名者》に弾かれない点は無視できない利点となる。
フィールドにカードがある場合は手札から発動できないのだが、罠カードなのでセットすることで普通のフリーチェーン通常罠同様の扱いが可能。
フィールドから発動した場合は同じ縦列にある魔法・罠カードの効果を無効にする追加効果もあり、魔法・罠の無効カードとしての運用も可能。
また《召喚獣メルカバー》《禁じられた一滴》の使用時に罠対策となることも利点。

《朔夜しぐれ》は何度か述べた通りバーンダメージを与える効果を持つためバーンカードとしての運用も可能。
自分のターンに出てきた妨害モンスターを無効化した上で、倒せればカモにしてワンキルラインを緩めることも可能。
《エフェクト・ヴェーラー》同様チューナーのため、S素材としての活用が可能。
こちらはレベル3のため《リンクリボー》にはなれないが、比較的扱いやすいレベル7のクシャトリラや《黒魔女ディアベルスター》などと組み合わせてレベル10シンクロを狙える。
こちらはアンデット族なので展開サポートに恵まれた種族であり、【アンデット族】ではその利点を活かしやすい。
風属性であるため《ガスタの神裔 ピリカ》で蘇生する事もでき、その場合風属性のレベル6シンクロ・ランク3エクシーズ・リンク2の使い分けが可能。


【総評】

単純に相手の行動妨害用のモンスター効果無効の手札誘発と見ると《エフェクト・ヴェーラー》《無限泡影》に劣りやすい。
実際、大抵の環境ではこの2枚と比べて採用率が低い傾向にある。
モンスター効果無効自体が汎用性の高い効果なのでなんとなく使ってもそれなりに仕事はするが、他2枚よりも優先して採用を検討する際は、採用デッキや環境などを考慮して差別化点は明確にしなければならない。
特に自分のターンに妨害するモンスターを特殊召喚してくるデッキに対しては強く出られるので、この要素が《朔夜しぐれ》にとって大きな武器となるだろう。

実際に噛み合った環境としては2022年10月~12月頃の環境が挙げられる。
環境における以下の要素により採用率が上がったと考えられる。
  • 相手ターンにモンスターを特殊召喚して妨害を仕掛けてくる【クシャトリラティアラメンツ】が環境トップ
  • 準トップクラスのデッキである【クシャトリラ】のエースカード《クシャトリラ・アライズハート》が墓地へ送るカードを除外してしまうため《エフェクト・ヴェーラー》が発動できない
  • レベル7主体の【クシャトリラ】にとってはレベル3なのが都合がよく《フルール・ド・バロネス》の素材に使える


【余談】

通常モンスターにも発動できるのは前述の通りだが「元々の攻撃力が0の通常モンスター」には発動できないという裁定が存在する。
なお「元々の攻撃力が0のデュアルモンスターが通常モンスター扱いで特殊召喚された時」には発動可能。この場合はデュアルモンスターの通常モンスターになるという効果が失われて効果モンスターとなる。

「RARITY COLLECTION-PREMIUM GOLD EDITION-」で他5枚の妖怪少女の再録及びそれらのイラスト違いの収録が行われたが、《朔夜しぐれ》が初収録となった「ETERNITY CODE」は約一か月前の発売だった。
そのため、流石に再録とはならなかったため残念ながら妖怪少女全員集合とはならず、全員集合及びイラスト違い版の収録は1年後の再録パック「PRISMATIC ART COLLECTION」までお預けとなった。
イラスト違い版のイラストは池の様な水に映った三日月を覗いているのだが、妖怪のせいか自身は水には映っていない。

イラストの初出は各地の公認大会で行われるランキングデュエルの上位入賞報酬のプレイマットだったため、一部の決闘者達はいきなり正体不明のモンスターが出てきて戸惑うことに。
勘のいい決闘者はこのイラストが妖怪少女シリーズの新規と予想できていたかもしれない。

再録自体は2023年8月時点では「PRISMATIC ART COLLECTION」の一回のみ。
シングル価格はレアリティがシークレット版以下ならそこまでは高くはない。


追記、修正は攻撃力4000以上のモンスターに《朔夜しぐれ》を発動してから、《破壊輪》などのバーンカードでワンキルした人にお願いします。

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