墓穴の指名者(遊戯王OCG)

登録日:2022/05/25 Wed 15:32:54
更新日:2025/05/06 Tue 19:44:56
所要時間:約 4 分で読めます




道連れはお前だ!
でも《屋敷わらし》はやめて差し上げろ


《墓穴の指名者》とは、『遊戯王OCG』に存在するカードの1枚。



【効果】

速攻魔法準制限カード
(1):相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを除外する。
次のターンの終了時まで、この効果で除外したモンスター及びそのモンスターと元々のカード名が同じモンスターの効果は無効化される。


【概要】

幅広い使い方のできる優秀な魔法カード。

相手の墓地のモンスターしか狙えないとはいえ、《D.D.クロウ》という先達が示したように、フリーチェーンで発動できる墓地除外効果というだけで幅広い使い方が存在する。
など

この時点でもそこそこのカードだが、このカードは更に除外したカードとその同名カードの効果を無効化できる。
というかこれこそが重要。

クリッター》のような墓地に送られた際の効果発動を無効化できるだけでなく、《ダイナレスラー・パンクラトプス》のような自身を墓地へ送って(あるいはリリースして)発動するモンスター効果も無力化できるのだ。
モンスターの効果発動時、それにチェーンする形で墓地に送られたモンスターを対象としてこのカードを発動することができるので、「後から発動した効果から先に処理していく」チェーンブロックの都合上《墓穴の指名者》が先に処理され、効果は不発となるわけである。

このため、2010年代後半から猛威を振るう「手札誘発」のメタとしても機能する。
特に《灰流うらら》や《増殖するG》はほとんどのデッキでフル投入され、その影響力も非常に強いため、このカードが手札にあるとないとでは自分の手を進める際の安全性が大きく変わる。

さらに効果範囲が除外したモンスターと同名モンスターなので、無効化したいモンスターが墓地以外にいても、墓地にいる同名モンスターを対象として除外できれば無効化できる。
普通に3積みされているキーカードはもちろん、墓地に同名モンスターを貯めることが多い【ワイト】や、墓地で特定のモンスター名に変化するカードの多い【サイバー・ドラゴン】や【軍貫】あたりを相手にする際にもよく機能するだろう。

そして2020年代のカードにしては珍しくターン1制限がない。初手で2枚引いても安心!

忘れがちだが通常モンスターも除去することができる。
蘇生を封じる他、墓地のバニラカードを参照して除外してくる《原石竜インペリアル・ドラゴン》対策にも使える豆知識…だがこのカードで《モリンフェン》とかを除外するのは負けた感じがするのはなんか否めないのも事実である

これだけの汎用性の高さを持ちながら、このカードのレアリティはなんとノーマルで、更に何度も再録されている。
しかし、便利過ぎてノーマルなのに品薄だったり、見つけてもレアリティのわりに高値で取引されている事も多い
現在はTACTICAL-TRY DECKにて3つのデッキの内2つに入っているのでかつてほどの入手難易度はないといえるが、もしストレージコーナーなどで見かけたら集めておいて損は無い。
ちなみに遊戯王マスターデュエルではOCGとは打って変わって最高レアリティのURとなっている。



ここまでこのカードの優秀性を語ってきたが、このカードには1点だけ大きな問題がある。
それは、先に利点として挙げた「手札誘発」を防いでしまえる点である。
「手札誘発」は1ターン目後攻プレイヤーの数少ない抵抗手段でもあるため、それを先攻プレイヤーが容易に防げることで、先攻有利を助長する要因にもなってしまっている。
KONAMIとしても「どちらかというと一方的な展開にしてしまう」事を危惧してか、同じく必要悪仲間の灰流うららよりも厳しい規制をする事が多い。
この面についてフォローできることがあるとすれば、このカードの無効化対象とその期間が「同名カードを次のターン終了時まで」であることだろう。
先攻プレイヤーがこのカードで「手札誘発」を無効化した場合、無効化後~後攻プレイヤーのターン終了まで同じ「手札誘発」を食らうことはないのだ。
まあ、無効化されてない別の「手札誘発」を食らうことのほうが多いんだけどね

【弱点】

便利なカードであるが、やはりというか弱点は存在する。

手札誘発キラーの《墓穴の指名者》だが、「墓地から除外」する都合上、墓地いじりを防ぐ彼女は大の天敵。
一応、《墓穴の指名者》にチェーンした《屋敷わらし》を2枚目の《墓穴の指名者》で指定すれば1枚目も無効化されずに済むが、2枚《墓穴の指名者》を打たざるを得ない時点で状況は良くないだろう。


  • 除外デッキ
「墓地から除外して効果を無効化する」性格上、手札から除外ゾーンに捨てる状況下では指名者は腐りやすい。
墓地に送らないといけないタイプは《マクロコスモス》のように墓地送りを禁止すれば封じられるが、
単純に「捨てる」だけで効果を使えるタイプに対してはこれで邪魔をすることができない。
こうなると相手の手札誘発も通り放題。それどころか《墓穴の指名者》は完全に捨て札となってしまう。
除外デッキでなくとも《ディメンション・アトラクター》は天敵。一応《ディメンション・アトラクター》にチェーンして《墓穴の指名者》を打てば効果は防げる物の、逆に言うと《ディメンション・アトラクター》に打たなければ次のターンの終了まで《墓穴の指名者》が使えなくなる為打たざるを得ない。
ちなみに《ディメンション・アトラクター》が発動してる状態で《墓穴の指名者》を使用し墓地から《ディメンション・アトラクター》を除外しても、除外効果は消えないので注意しよう。


  • 除外メタ
逆に除外をメタるカードに対しても弱い。
モンスターの《霊滅術師 カイクウ》や《カオスハンター》、魔法、罠の「ネクロバレー」や《王宮の鉄壁》の前には死に札となる。


  • 墓地で適用できる対象耐性
「対象をとる効果を無効にするカード」「対象にならないカード」は基本的にはフィールドでのみ有効だが、実はフィールド外へも効果が適用できるカードが存在する。
壊星壊獣ジズキエル》や《メンタルスフィア・デーモン》は「フィールドの」と明記がないため、「墓地のカードを対象にとる」《墓穴の指名者》を無効化できる。
マイナーもいいところだった《メタルシルバー・アーマー》が注目されたりした。
使うにしても使われるにしても、知らないと損するので覚えておこう。


同じ指名者同士だが、向こうはデッキを参照する都合上魔法、罠も無効化できる。
その為向こうから《墓穴の指名者》は無効化できるが、その逆は不可能。
弱点として《抹殺の指名者》使用者のデッキに《墓穴の指名者》が入ってなければ防ぐことは出来ないが、まぁ大体入ってる(もしくはサイドデッキから持ってこられる)ので余り意味のない仮定である。



  • 自分のカードの効果も無効化してしまう。
前述したが、これが地味に痛い。相手の《灰流うらら》を防いだら自分の《灰流うらら》も無効化される。
要するに相手は当面《灰流うらら》を考えなくていい事になってしまうのだ
たとえば自分が《灰流うらら》を指名した後に相手が《増殖するG》を発動した場合、自分は《増殖するG》を止められる《灰流うらら》を握っていたとしても無効になっているので使えないのである。
それ以外にもミラーマッチや汎用カードを使う際には注意が必要である。
効果が「次のターンまで」と微妙に長いため、両ターン使う可能性がある《灰流うらら》のようなカードでなくても引っかかってしまう。1ターンの攻防に意識が向きすぎてうっかり忘れる事故多数。
逆に、両ターン使う可能性のあるカードに対しては一方的に2ターン無効化し続けられるメリットになることもある。
ちなみに上記の《抹殺の使命者》も同様に自分のカードも無効化してしまうが、こちらは「発動したターンの間」のみ効果が適用されるため、混同しないよう注意。
ただしチェーンをうまく使えば「相手の手札誘発だけを封じ自分の手札誘発だけを通す」というインチキじみた使い方も可能。チェーン合戦になった場合は狙ってみるのも手だろう。


  • 魔法、罠カードには使えない。
逆に使えると便利過ぎるが。
D.D.クロウ》が墓地の全カードに使える為地味に忘れがちだが、《墓穴の指名者》はモンスターしか除外できない。
相手の強力魔法や罠を防ごうとしてもどうしようもならないので注意しよう。

墓地からカードが移動した瞬間エクシーズをするというテーマ。
《墓穴の指名者》はその処理の都合上、墓地から必ずカードを除外しなければならない。
その為手札にこれがあっても、相手がエクソシスターを展開していたら手札誘発を防ぐかそうでないかの苦渋の選択を迫られる事となる。
また見えて無くともこのカード発動時に《エクソシスター・バティス》を発動された場合、うららなどがなければエクシーズ確定となってしまう。
逆に《エクソシスター・マルファ》がいる場合に相手が《墓穴の指名者》を発動した場合彼女がエクシーズするのでその辺りも注意しよう。
ちなみに《抹殺の指名者》はデッキから直接除外するのでエクソシスターも怖くない。


  • 発動時に対象に逃げられたら無効化もできない
「墓地から除外してそのカードの効果を封じる」という都合上、逆に「墓地から除外出来なかった場合」は効果無効化も狙えない。
自分で帰ってこられるモンスターやフリーチェーンの蘇生カードがある場合は注意しよう。


  • 発動済みの効果の残存処理等、既に発動してしまった効果は無効化出来ない。
《ディメンション・アトラクター》の部分で少し触れたが、他にも《増殖するG》等の永続効果やプレイヤーに効果を与えるカードや、《氷剣竜ミラジェイド》のように後に効果が適用されるタイプは「発動」自体を封じなければ《墓穴の指名者》で除外しても効果が発動してしまう。
こいつらの効果を封じるのであれば発動にチェーンするということを意識したい。


  • フィールド以外の発動しない効果は封じることが出来ない
例えば効果外テキストや墓地、手札で発動するカード、魔法&罠ゾーンで発動・適用する魔法・罠カードとしての効果は防げない。
自らを永続魔法・罠カード扱いとしておける【スネークアイ】【センチュリオン】等を相手取る時に覚えておきたい。
逆にフィールドの永続効果は防げるため《フォッシル・ダイナ パキケファロ》なんかはうまく墓地に送ることができれば再び出されても効果は防げる。有効活用したいところ。
また「モンスターカード」しか除外出来ない都合上、罠モンスターカードの効果を封じるのは不可能。


こうしてみると意外と抜け道の多いカードであるため、ピンポイントで相手の急所にぶつけたいカードと言えよう。
相手の最も嫌なものを封じる「マストカウンター」は現代遊戯王においては非常に大切なものなので、そういう意味でもデュエリストを助けるカードと言えよう。



【イラスト】

さて気になるのがそのイラスト。
それは墓地から登場した手が老人を指差しているというもの。
彼はそのあと《墓穴の道連れ》にて墓に連れていかれる姿が書かれている。
しかし若い女性や青年をスルーしておっさんを選んでいるという事からこの手の性癖が疑われる事となった。
実際のところは周りに比べておっさんは明らかに老人の為、寿命を迎えてしまったということだろうか。
もしくは墓穴へ「道連れ」にしていることから、手の正体はその老人に殺害または苦しめられたとも取れる。が真相は神のみぞ知る。
非常に恐ろしい墓穴の手であるがこの後も墓地で元気?にしているらしく、《墓穴ホール》では《墓掘りグール》に指示をして穴を開けさせるというコミカルな姿が描かれている。なお道連れにしたおっさんの行方は知れない。
その事から考えるに「墓穴の指名者」とはこの手の事を言うのであろう。

2025年2月に発売された『QUARTER CENTURY ART COLLECTION』ではタクティカルトライデッキ連動として【イビルツイン】のキャラクター達が映ったイラスト違いが登場。
ライブツインの2人とサニー・ルーナがゲームのコラボ配信をしている、と言う状況でサニーが落とし穴に落ちてそれを見たライブツインの2人が笑っていると言う非常にコミカルなイラストとなっている。よく見るとサニーはショベルを装備しているので文字通り「『墓穴(ぼけつ)』を掘った」と言う事だろう。
若干シュールながらもシリアスな雰囲気だった元のイラストとは似ても似つかないが、一応サニーの片腕だけが穴から出る形で元のイラストの面影は残っている。
ちなみにライブツインの2人は笑っているが、サニーもとい《Evil★Twin's トラブル・サニー》が《墓穴の指名者》を喰らうのは【イビルツイン】にとっては笑い事では済まない事態である。*1
そしてこの仲良しイラストを出した1ヶ月後のザ・ヴァリュアブル・ブックEX5でちょっと仲がギスギスしているという設定をお出しするコナミであった。

【余談】

前述の通り、原作にも出た《墓穴の道連れ》の前日譚とも言えるのがこのカード。
ちなみにその《墓穴の道連れ》の効果は次の通り。
通常魔法
(1):お互いのプレイヤーは、それぞれ相手の手札を確認し、
その中からカードを1枚選んで捨てる。
その後、お互いのプレイヤーは、それぞれデッキから1枚ドローする。

ピーピングとハンデス、そしてドローを兼ね揃えた盛り合わせであるが、同じ効果を相手も使用できる。
こちらもこちらで強力であるが、互いの手札が顕になる上に自由にカードを捨てられてしまい、更に1ドローまで与えるため、メリットとリスクが大きいカードと言える。
相手がドローフェイズ以外でカードをドローした時に発動し、2枚ドローできる《便乗》を能動的に発動させたり、このカード以外の手札を捨てていいカードにしてから発動するなど、使いこなすには工夫が必要である。
【ジェネレイド】ならば、自分の手札を晒してしまう恐れがあるが、相手もドローする事を逆手に取って《王の舞台》を起動させてジェネレイドモンスターを自分のターンで呼び出したり、《轟の王 ハール》で相手にモンスターカードの墓地送りを強要させることができるため相性がいい。

なお原作ではイシズ・イシュタールが使用、ハンデス・ドローともに2枚でメリットもデメリットもOCG以上の効果だった。
使われた海馬瀬人は「手札をさらし者にする忌々しい魔法カード」「この屈辱は忘れんぞ」とやたら嫌悪感を示しページを跨いでブチキレており、
海馬のピーピング嫌いを示すシーンとして有名。

他のカードと被らない略称が無く、このカードの話題を出すには名前がちょっとだけ面倒である。
プレイには何の関係も無いが、「ミラフォ」、「蘇生」、「デスフェニ」と言った略称が使えない。
というのも「指名者」だけだと、同じく汎用速攻魔法の《抹殺の指名者》とごっちゃになる。他にも指名者は結構いるし…。
だからといって「墓穴」だと、ルビを付けにくいネット上では《墓穴ホール》とややこしい。採用率は雲泥の差とはいえ向こうも強力カードかつ手札誘発キラーなのにはかわりないし。
口に出していうのなら「はかあな」と言えばいいだろうか、それもまた《墓穴の道連れ》という原作にも出たカードがありそっちと勘違いされる可能性もある。
特別長いカード名ではないので、いっそのこと《墓穴の指名者》と書いてしまっても問題は無いだろう。


遊戯王マスターデュエル」では2022年8月のアップデートで発動時の演出が追加された。
内容はカードイラストのように緑色の左手が墓地を指さすのだが、
  1. フィールド中央に手のひらが自プレイヤー側になる形で左手が生えてきて
  2. 反時計回りで240度くらい手首だけを勢いよく捻り
  3. 相手の墓地を指さす
という、左手首を痛めそうな挙動をする。
後のアップデートで手のひらが相手プレイヤー側になる形で生えてくる様になったため手首を痛める心配はなくなった。
現場猫のヨシ!とたまにネタにされる

またイラストに描かれている老人がアイコンに、その老人を指している指及び墓がアイコンフレームとして実装された。
…が、一部女性モンスターのアイコンと組み合わせるとこれをさせてる様に見えると話題になったが、後のアップデートで「視認性確保のため」と言う名目でアイコンフレームから墓が消えた。



追記・修正をするのはお前だ!!!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 遊戯王OCG
  • 無効
  • 遊戯王
  • 速攻魔法
  • 汎用カード
  • 魔法カード
  • 墓地メタ
  • 準制限カード
  • レアコレ再録
  • 指名者
  • FLAMES OF DESTRUCTION
  • 除外
  • 手札誘発メタ
最終更新:2025年05月06日 19:44

*1 《Evil★Twin's トラブル・サニー》は自身をリリースしてリンク2のキスキルとリィラを蘇生してそれぞれの破壊効果とドロー効果を使い、自身を墓地から除外して自分のイビルツイン諸共相手のカードを墓地送り、と相手の妨害とアドバンテージ稼ぎを同時に行う最重要カードである。