登録日:2020/07/29 Wed 00:00:02
更新日:2024/09/29 Sun 17:34:11
所要時間:約 9 分で読めます
画像出典:ウルトラマンZ第25話「遥かに輝く戦士たち」より
制作:円谷プロダクション、テレビ東京、電通 放送日:2020年12月19日
『ウルトラマンZ』とは2020年6月20日より放送されたウルトラシリーズの作品。
令和ウルトラマンとしては第2作目にあたる。
概要
本作は久々となる、「
防衛チームの主人公がM78星雲出身のウルトラマンと一体化して戦う」という
昭和シリーズでお約束だった構図となっている。
ウルトラシリーズの防衛チームは近年子供受けが悪く、
玩具が売れず赤字を出してしまうという販促上の大きな問題を抱えていた。
加えて撮影するうえでも基地セットや戦闘機のCGやミニチュア、装備品のプロップ、専用車両など予算を食う要素がたっぷりであり、
制作サイドとしても
「作劇要素としては衣装を統一しやすく主人公が怪獣にエンカウントする理由付けとしてとても便利な存在なのに、金銭事情で出しにくい」というジレンマを抱えていた。
この問題を解決するために、本作は防衛チーム「ストレイジ」の兵器を怪獣型
ロボットという設定にして、
撮影上の手間などを最小限抑えたうえで、さらにフィギュアとして販売できるようにしている。
セブンガーは田口監督の必死のプレゼンが通った
田口監督はインタビューにて初代『
ウルトラマン』をリスペクトしつつ現代的な作品を作るとコメントしており、本作では昭和シリーズ初出の怪獣が多く登場するほか、
主人公がウルトラマンと融合するシーンを始め、一部に『ウルトラマン』を彷彿とさせる演出がある。
特撮パートでは前作・前々作と異なり、
ウルトラマンゼットは第三者視点ではあまり喋らず、基本的に掛け声のみで、インナースペースのハルキ視点やウルトラマン同士の会話が発生する場面でのみ人間が分かる言葉で喋るという描写になっている。
日常パートでもインナースペースに入らないとゼットとハルキは意思疎通が図れず、ハルキ以外の地球人と会話することは出来ない。
一方、インナースペース内のゼットは等身大の姿で(言葉遣いがややおかしいが)人間のように話す設定で、大げさなジェスチャーなどによる感情表現をしないという試みがなされている。
また、本作では
クロスオーバー要素が多めで、全体的な流れは初見でも分かるが、過去作品を視聴していると登場人物のバックグラウンドまで理解できるようになっている。
例えば主役ウルトラマンのウルトラマンゼットは
ウルトラマンゼロの弟子を自称しているほか、
放送開始前から公式サイトで『
ウルトラマンジード』の主人公であった
朝倉リク/
ウルトラマンジードの登場が予告されていた。
ゼロは主にボイスドラマやYouTubeのチャンネル登録メッセージで登場、ジードは本作のサブトラマンボジションで何度か登場している。
簡単にまとめると、
のストーリーにリンクする要素がある。『ジード』関係の作品からは一部の映像が回想として使われている。
さあ、内容が気になった人はDVDレンタルやAmazonプライムビデオなどの動画配信サイトで見て予習しよう!
前作『タイガ』では廃されていた、オープニングのラストでの
サブタイトルの影絵やエンディング後のミニコーナーも復活している。
メイン監督は『
X』『オーブ』でもメイン監督を務めた
田口清隆。
他、ミニチュアに定評のある辻本貴則、『ジード』のメイン監督だった
坂本浩一、USJのアトラクション『ゴジラVSエヴァンゲリオン』の監督を務めた中川和博、
特撮界の大ベテランであり『
シン・ゴジラ』や大河ドラマ『いだてん』にも参加した尾上克郎、『
R/B』のメイン監督だった武居正能、
『タイガ』の総集編でデビューを飾り本作で本格参戦となる越知靖、本作がデビューとなる内田直之が参加している。
シリーズ構成は田口監督と吹原幸太が共同で担当。
両氏はドラマ『ゆうべはお楽しみでしたね』に続くタッグとなる。
本作は
最終回から逆算したシリーズ構成が行われており、両氏はホワイトボードに本作でやりたいことを話数ごとに細かく書き込んで構成を行ったという。
なお吹原氏は役者でもあるため、本編でも怪研職員として2回カメオ出演した。
…残念な事に、吹原氏は番組制作発表前の2020年5月に脳幹出血で急逝。本作の脚本と出演が
遺作となったが、死没時点で全話の脚本が完成済みであり、その内の9話分を吹原氏が担当した事もオンライン発表会で明かされていた。
前作の「息子」であるタイガと変わって「弟子」という独特な立ち位置のウルトラマンというキャラクター性は、発表当時から話題を掻っ攫い、
放送開始してからは、良く練られたストーリー構成、過去作品やキャラクターへの多くのリスペクトやファンサービスなどがファン、新規両方に好評を博し、
2020年ネット流行語100に、なんとウルトラシリーズとしては初めての6位という高順位にランクインするという快挙を成し遂げた。
さらに、2021年には第51回星雲賞のメディア部門を獲得。
ウルトラシリーズのメディア部門受賞は『
ウルトラマンティガ』以来となる。
また、この作品がきっかけで他のウルトラ作品にハマる(俗称:沼にはまる)者も多く、新たなファン獲得にも成功している。
あらすじ
地球で巻き起こる怪獣災害に対応するため、地球防衛軍日本支部は対怪獣ロボット「特空機」を運用する防衛部隊「ストレイジ」を設立。
ナツカワ ハルキはそのストレイジ隊員である特空機パイロットであり、平和を守るために日夜戦い続けていた。
その頃、宇宙では悪魔のカケラ「デビルスプリンター」を悪用する何者かが宇宙を破滅と混乱に陥れていた。
デビルスプリンターの力を悪用する怪獣は地球へと降り立ち、ハルキは怪獣との交戦中に命を落としてしまう。
しかし怪獣を追いかけてきた宇宙警備隊の隊員、ウルトラマンゼットと一体化することで蘇生し、力を合わせて怪獣と戦って行くことになるのであった。
登場人物
地球防衛軍日本支部(Global Allied Forces Japan)のロボット防衛チーム。
ストレイジという名称は「対怪獣特殊空挺機甲隊」の英語表記「Special Tactical Operations Regimental Airborne and Ground Equipment」の略語となっている。
各国では航空戦力で怪獣と戦っているが、日本支部は「日本といえばロボット」ということでロボット部隊が組織されている。
ウルトラシリーズの防衛チームと言えばウルトラマンの前座というイメージが強いが、本作のストレイジは基本的に有能なチームであり、ウルトラマンの支援で大きく活躍することも多い。
23歳。本作品の主人公で、ストレイジの新人パイロット。
主に
セブンガーの操縦を担当している。空手を得意とする体育会系の熱血漢で、正義感が強く義理堅い性格。
返事は何でもかんでも「押忍!」で済ませ、事あるごとに「チェストーッ!」と気合いの掛け声を言うヘンな癖がある。
小難しい話は極めて苦手だが、咄嗟のひらめきと度胸で窮地を脱することが多い。
ゲネガーグとの戦いでウルトラマンゼットと一体化することになり、力を合わせて地球を守っている。
24歳。ハルキの先輩であり、ストレイジの
エースパイロット。
主に
ウインダムの操縦を担当している。
体育会系なハルキとは対照的に、実は地球防衛大学を首席で卒業したという才女。
おまけにリアルファイトもかなり強い。
割り切りのいい勝ち気な性格だが
年上男性が大好きな枯れ専。
ウルトラマンゼットに命を救われたことに加え、彼が
5000歳という超年上男性だったため、
「ゼット様」と呼んで憧れている。
◆オオタ ユカ【大田 結花】(演:黒木ひかり)
50m級のヒューマノイドタイプのエイリアン!?スッゲー!!
22歳。ストレイジの化学分析担当。天才を自称するが、実際それに違わぬハイスペックを誇る。
演者さんは高校を二度留年したことで話題となった自他ともに認める残念な人なのだが。
喜怒哀楽の激しい感情豊かな明るい性格。
怪獣に興味を持ち、「より怪獣と直接関わりたい」という思いから対怪獣ロボットの開発に参加したことでストレイジに入隊した。
怪獣に関する生物学や歴史学に関する知識も
オタクレベルで深い。
作戦室には大型の冷蔵庫を用意しており、採取した怪獣の破片などを保管しているなど若干マッド気味。
タブレットや
パソコンを駆使して情報収集を行い、ナビゲーターとして実働部隊のサポートを行う。
「何に代えても命を守りたい」っていう
その心意気は俺は好きだよ。大好きだよ。
34歳。ストレイジの隊長。
明るくフレンドリーで隊員のことをよく理解しており、良いところを褒めつつ悪いところをしっかり注意する良き上司。
身体能力が非常に高く、空手の達人であるハルキに稽古をつけるほどの腕前である。
癖の強い隊員たちをまとめる優秀な人物だが、演者が演者なので時々
闇があふれる怪しい仕草を見せることがある。
つまり……どういう事か言わなくても分かるよね?
◆イナバ コジロー【稲葉 虎二郎】(演:橋爪淳)
自分の理想を簡単に捨てちゃ駄目だ。
そんなことだったら誰にもできる。
59歳。整備班の班長を務めている熟練のメカニック。
セブンガーを始めとするロボットの整備や改良の指揮を採る。
渋くて温かいオヤッサンと言った雰囲気の人物で、ストレイジ実働部隊のメンバーから「バコさん」の愛称で親しまれている。
一方で整備士にもかかわらず様々な事柄についての心得があるなど、その経歴は謎に包まれている。彼が何らかの特技を見せる度にそのことを聞かれると「昔、ちょっとな」と意味深な表情ではぐらかす。
演者の橋爪氏は下記の余談の項にもある通り、特撮ファンには馴染み深いかつての
MOGERAのパイロットだが、本作のオファーは田口監督がその時のファンである縁からであり、ある意味役そのものが
中の人ネタ。
◆整備班員
確認できるだけで11人の班員がいるが、主に出てくるのはワタヒキ サトシ(演:佐藤玲央)、イリヅキ ヒロシ(演:高岡大地)、シオセ セイジ(演:角田楓馬)の3名。
10話では整備班でもストレイジ隊員の端くれだといってプライドを見せ、技術屋として彼らなりに奮闘する熱い場面があった。
【地球防衛軍】
◆クリヤマ長官【栗山長官】(演:小倉久寛)
こんなだからウチはどんどん予算を削られるんだぞーっ!
64歳。地球防衛軍の長官で、ストレイジの創設者。
神経質な性格であり、不始末が多いストレイジの隊員らをガミガミと叱る場面が多い。
防衛軍とストレイジの調停役を務め、予算確保のために日々頭を悩ませている。ついでに胃が弱いらしい。
とはいえ
どっかのお茶目な補佐官のような面倒なタイプの上司ではなく、防衛チームの後方支援が仕事だから苦労しているというなんとも気の毒なお方。
26歳。地球防衛軍日本支部・怪獣研究センター生化学研究部に所属する青年。
ストレイジが倒した怪獣や
宇宙人の破片を回収して研究を行うのを職務としている。
しかし、ゲネガーグの肉片に潜んでいた
「寄生生物セレブロ」に取り憑かれてしまい、表向きは研究員の仕事をこなしつつ裏で怪獣を操るようになる。
ウルトラシリーズでも珍しい、主人公と同じ組織の別部署に所属しているメインヴィランとなる。
◆ユウキ マイ【結城 麻衣】(演:林麻耶)
第21話から登場。
地球防衛軍からストレイジに派遣された、日本支部・作戦部長を務める女性。チャームポイントは不思議なフレームの形をした眼鏡。
大勢の部下を率いていることからも分かる通り、大層な肩書きも納得のいく高い実力を持つエリート将校だが、
その瞳は常に狂気に満ちたコテコテのマニュアル人間で、ユカすら霞んで見えるほどのマッドサイエンティスト。
階級を絶対視する融通のきかない傲慢な性格をしており、上司に対しては従順だが、自分より立場が下となるストレイジの面々、延いては整備班メンバーのことを明らかに下に見ている。
対象を周囲の空間ごと消滅させるD4レイの危険性をシミュレーション上のデータだけで全く問題視していないどころか、
次元崩壊で消失していく街の被害やパイロットの安否に目もくれずにそれを阻止したウルトラマンの圧倒的な力に惹かれるなど、
一軍人でありながらパイロットの生命を軽視しているという道徳観が欠如した面が目立つ危険人物。
登場ウルトラマン
宇宙警備隊の若き戦士。珍しく本編で年齢についての言及があり、5000歳であることを明かしている。
ウルトラマンゼロの下に押しかけて弟子入りを志願したが、ゼロからは弟子と認められておらず、その実力も「三分の一人前」と評されている。
ゼロに同行してゲネガーグを追跡していたが、ゼロが
ブルトンの四次元空間に飲み込まれたため、単身でゲネガーグを追って地球へ降り立ち、セブンガーを操縦していたハルキと出会うことになる。
単体での戦闘能力はそこまで高くないようで、基本的に先輩ウルトラマンの力を秘めたウルトラメダル三枚を用いてウルトラフュージョンを行い、
タイプチェンジを駆使して戦っている。
どこかドジでそそっかしい人柄をしている他、地球の言葉に慣れていないことに端を発する迷言やユニークな言葉選びが非常に多く、
決め台詞の「ご唱和ください、我の名を!」も言葉遣いの誤用が発端である。
ウルトラセブンの息子にして「
ウルティメイトフォースゼロ」のリーダー。年齢は5900歳。
本作から(厳密には上半期の『ウルクロ』から)
ウルトラマンレオから授けられた青い
マント「ウルトラゼロマント」を身に着けている。
ゲネガーグを追跡していたが、ゲネガーグの吐き出したブルトンの四次元空間に飲み込まれ、閉じ込められてしまう。
この際、咄嗟の判断でゲネガーグから取り返したウルトラゼットライザーと3枚のメダルをゼットに託した。
なお、これだけの事が起こったにもかかわらず、ゼロがやられたと思った視聴者は(ウルトラマンを初めて観た人も含めて)殆ど誰もいなかったらしい。
ご存知『
ウルトラマンジード』の主人公。普段は「サイドスペース」と呼ばれる異次元宇宙にある、並行世界の地球を守っている。
一応光の国出身だが極めて特殊な生い立ちで、年齢の話はややこしいためここでは割愛する。
悪に堕ちたウルトラ戦士の息子でありながら、闇に染まることなく自らの運命を変えた若きウルトラマン。
不慮の事故でジードライザーが使えなくなったものの、ゼットライザーと新たな形態「ギャラクシーライジング」を得て『Z』世界の地球にやってきた。
放映前の事前情報でゼットがジードを「兄弟子」として扱っていると発表されていたが、実は
ゼットが一方的に兄弟子扱いしているだけだった。
ジード本編での掛け合いを見ればわかる通り、ジードがゼロに稽古を付けてもらった描写は無く、そもそもジードとゼロは兄弟のように対等な立場で接しているので、
ゼットがハルキに「俺の兄弟子」とジードを紹介した際には困惑した様子で否定していた。
ゼット。私がお前に何故「ゼット」と名付けたか分かるか?
かつて
異次元人 ヤプールと激戦を繰り広げた
超獣退治の専門家。
第19話にてサプライズ客演しただけでなく、なんと
ゼットの名付け親である事が明かされた。
対怪獣ロボット
対怪獣特殊空挺機甲、通称「特空機」と呼ばれる対怪獣用兵器。
基地から飛行して移動するときはブースターを使用し、瓦礫の撤去作業は有線接続で行われるが、戦闘時は内蔵バッテリーのみで動く。
バッテリー使用時の稼働時間にはそれぞれ制限があり、行動可能な時間内に効率よく立ち回って怪獣を倒すことが求められる。
基本的に優秀であり、ウルトラマンゼットのアシストで活躍することが多い。
登場する機体は基本的に過去のウルトラシリーズに登場したロボット怪獣だが、本作ではあくまで「ストレイジが設計・開発した巨大ロボット兵器」という扱いであり、元怪獣の設定はオミットされている(別宇宙のウインダムやセブンガーとは他人の空似)。
詳しくはストレイジの項目を参照。
用語
◆デビルスプリンター
ウルトラマンベリアルの細胞の破片。ベリアルの目の形に似た、オレンジ色の破片である。
次元を超えて宇宙のあちこちに散らばり、怪獣を限界以上に凶暴化させる原因になっている。
カブラギはデビルスプリンターの破片と怪獣の体組織の一部を使用して怪獣メダルを生成している。
これで得られるものはベリアルの「強さ」の断片のようで、ベリアルの「肉体」や「能力」の断片を得ることは難しい模様。
このため、カブラギがデビルスプリンターのみを使ってベリアルメダルの生成を試みたときは、一度メダルの形にはなったもののすぐに砕け散ってしまった。
◆
ベリアル因子
ウルトラマンベリアルの遺伝子を含んだ因子。前作『ウルトラマンタイガ』初出の用語。
これを使うことでベリアルの「肉体」や「能力」を複製することができるらしく、前作では
チブル星人マブゼが
スカルゴモラや
ニセウルトラマンベリアルを生み出していた。
ベリアルの遺伝子を元に生み出されたウルトラマンジードも当然ながらこの因子を持っており、『ウルトラマンジード』1話では血液検査でリクがベリアルの息子であることを確認する描写がある。
カブラギはリクを拉致して体からベリアル因子を採取し、デビルスプリンターと組み合わせることで完全なベリアルメダルの生成に成功した。
◆
ウルトラゼットライザー
もはやお約束と言っても良い、敵味方で共通化されている
変身アイテム。
デビルスプリンターによる混乱を収束させるため、
ウルトラマンヒカリを中心に
光の国の宇宙科学技術局で開発された。
ウルトラアクセスカードを差し込むことによって起動し、ウルトラメダルに宿った力をウルトラマンに付与することができる。変身後に特定の3枚のメダルを読み込ませる事で特別な
必殺技も放てる。
また、ブレードを展開した状態で手持ち武器として扱う事も可能。
『ウルトラマンジード』に登場したジードライザーの技術を発展させたものであろうとゼロは推察しているが、あちらはライザーが正式名称なのに対してこちらはゼットライザーが正式名称である。
ゼットの名前が入っている理由は、開発時にウルトラマンゼットが被験者となって開発されたことによるもの。
ウルトラマンヒカリが「複数のウルトラマンの力を合成するのでなるべく空っぽな人物が欲しい」と言っていたところ、ウルトラマンゼロが空っぽなウルトラマンの該当者(要は何も尖ったところがないポンコツ)としてゼットを推薦した。
名前の割にゼット要素が薄いデザインなのは恐らくこのためで、アイテムの大枠が仕上がっていた所にゼット要素を足したからだと思われる。
なお、例によってウルトラマンジードは自力で変身できないため、ゼットライザーの力で無理矢理
プリミティブの力を引き出し、更にその上からウルトラメダル3枚の力を加えている。
ハルキとリクが所有するものはそれぞれゼロとヒカリから託された正規品、カブラギが所有するものは光の国からの盗品。
ジャグラーが所有するのはハルキのゼットライザーを蛇心剣の力で複製した闇の違法コピーのダークゼットライザー。
構え方が人それぞれ大きく異なっており、ハルキは左手に持って上向きに構えるが、リクはジードライザーの動きを踏襲、ジャグラーはバンクまでほぼ完璧にダークリングの演出を踏襲、カブラギは後ろを向いたまま左手に持って上向きに構えている。
◆ウルトラアクセスカード
ゼットライザーを起動させる認証カード。下段には人間態の顔と名前、上段には宇宙人態の顔と名前が描かれている。
アイテムのセキュリティ向上かと思いきや、例によってカードを複製されて悪用されている。
光の国の安全な技術開発とその悪用は相変わらずいたちごっこが続いている。
◆ウルトラメダル
ウルトラマンの力を抽出してメダル型に生成したもの。光の国で製造された。
光の国のウルトラマンのみならず、異次元宇宙出身のウルトラマンの力もメダルになっている。
ウルトラゼットライザーに3枚1セットのメダルをセットして、ゼットライザーで読み込むことでメダル由来のウルトラマンの力を使用者に与えることができる。
読み込んだメダルのセットに応じて使用者の姿と能力が変わり、各形態で固有の技を行使できるようになる。
◆怪獣メダル
ウルトラメダルの技術を悪用して怪獣の力をメダルにしたもの。
メダルの力を怪獣に与えることでその怪獣を強化できるほか、ゼットライザーで3枚読み込むことで合体怪獣に変身することができる。
カブラギはデビルスプリンターと怪獣の肉片から生成、一方でジャグラーは蛇心剣の力で空間の狭間から怪獣の力を呼び出してメダルを生成している。
ジャグラーのほうがメインヴィランのセレブロよりも高度なことをしているが、セレブロが頭脳寄りなのに対し、
ジャグラーは自分の力を鍛えて様々な能力を会得しているので、順当な差だろう。
なお、怪獣メダルとゼットライザーを初めて使ったのはカブラギだったが、怪獣メダルを使った変身を初めて披露したのはカブラギではなくジャグラーだった。
怪獣自体の召喚機能はなく、メダルは基本的に変身目的で使われるため、本作では過去に登場した合体怪獣が何種類か登場する。
本作初登場の怪獣・宇宙人
本作では新規造形怪獣が多かったタイガとは対照的に過去作初出の怪獣とそれらの強化怪獣が多く、完全な新規はセレブロ、ゲネガーグ、
バロッサ星人、
デストルドスと数えるほどしかいない。
一方で最新技術を活用して、既存の怪獣を新たな解釈や演出で見せるという取り組みがなされている。
◆
寄生生物
セレブロ
ゲネガーグの体内に潜んでいた謎の小型宇宙生命体。今作のジャグジャグ枠。
本人いるのに。
何故かウルトラゼットライザーと自身のウルトラアクセスカードを所持しており、ハルキと同じくゼットライザーでインナースペースを作る事が可能。
劇中ではゲネガーグの死骸に潜んでおり、たまたまセレブロが潜む肉片を輸送していたカブラギに寄生し肉体を掌握。
インナースペース内に設置した謎の機械で怪獣メダルを製造して水面下で着々と戦力を整え続けている。
◆
凶悪宇宙鮫 ゲネガーグ
巨大な口で何でも飲み込んでしまう怪獣。飲み込んだものは自由に吐き出して相手を攻撃することができる。
光の国を襲撃してウルトラゼットライザーとウルトラメダルを奪い、追跡してきたゼロを吐き出したブルトンで退けた。
その後ゼットに追われて地球へ降り立ち、当初は優勢であったが、ハルキと一体化したゼットによって倒された。
◆合体怪獣 トライキング
カブラギが
「ゴルザ」 「メルバ」「超コッヴ」の怪獣メダルをセットし、ウルトラゼットライザーでスキャンすることで変身した姿。
ファイブキングの進化前とも言える合体怪獣。
両腕がファイヤーゴルザの物になっており、合成されていない
レイキュバスや
ガンQの能力は使えないものの、怪獣3体分のスペックでセブンガー・ウインダムを同時に相手取れる程の強さを誇る。
劇中ではこの状態から更にレイキュバスとガンQのメダルを読み込むことでファイブキングへとパワーアップした。
◆
海賊宇宙人
バロッサ星人
CV:外島孝一(初代)、
関智一(二代目)、橋本達也(三代目)
本作初のオリジナル宇宙人。
「宇宙海賊」としてその名が知られ、金色に輝く渦巻き模様付きの外骨格を身にまとっているヒューマノイドタイプの宇宙人。
種族総出で宇宙各地で海賊稼業を行い、破壊と略奪を繰り返して宇宙を荒している事で知られ、種族単位で宇宙警備隊からマークされている凶悪な種族。
悪い意味での海賊らしさがあり、卑怯な手段を用いてでも勝とうとするほか、武器や道具は拾ったり掠奪した物を使う傾向がある。
全体的に小悪党じみた性格で、個体差はあるがコミカルな面もある。
初代はウルトラメダルの存在を
「宇宙の秘宝」と呼び、地球にあるメダルを強奪するために
キングジョーに乗って地球に襲来。
メダル輸送任務を与えられたストレイジを付け狙った他、敗北し回収されたキングジョーを取り戻す為にストレイジの基地内に侵入を果たしストレイジの面々を苦しめた。
二代目は強力な魔剣ベリアロクを狙ってハルキ&ゼット、ジャグラーと三つ巴の争いを繰り広げた。
そして限りなきチャレンジ魂を持った
三代目も登場。兄である初代と弟だった二代目の仇討ちのため、ゼットとハルキを狙い地球に襲撃した。
◆
爆撃雷獣 グルジオライデン
10年前地球に休眠状態で落下した半機械怪獣。
グルジオ種の亜種であり、背中に巨大な大砲を持ち、鉄くずなどのスクラップゴミを食べてエネルギー補給する。
遺伝子操作された形跡があり生物兵器ではないかと推測されるが、実はこの怪獣の裏にはとある秘密が隠されている。
◆
寄生破滅獣 メツボロス
カブラギが生み出した
「ギルバリスメダル」と
「ギャラクトロンMK2メダル」により
ホロボロスが強化
させられた姿。
ホロボロスに
ギャラクトロンMk2の顔を模した鉄仮面を被せ、手に
ギルバリスの鉤爪の籠手を装着させた様な姿となっている。
ある種のサイボーグ怪獣と化したようで元々高かった身体能力が更に向上。
ギルバリスの機械の爪を振るい、口からは荷電粒子砲を発射可能になり戦闘力が高められている。
しかしエリマキテレスドンの時とは異なりホロボロスとメダルの相性を一切考えずに生み出したためか
著しい拒絶反応が発生。
ホロボロス最大の特徴だった高い機動力とウルトラマン顔負けの格闘能力は失われ、絶えず拒絶反応で苦しみ悶え続け錯乱状態に陥るなどホロボロスの強みが丸ごと台無しになってしまっている。
◆
宇宙凶険怪獣 マザーケルビム
これまでウルトラシリーズに定期的に登場していた怪獣・ケルビムの
母体であり女王。
全長303mという超弩級のサイズを持つ大怪獣であり、マザーケルビムの登場に伴いケルビムという種の恐るべき生態も明らかになった。
何気に『ウルトラマンZ』の劇中では最大規模のサイズを持つ。
アイテム
- ウルトラゼットライザー
- ウルトラアクセスカード
- ウルトラメダル
- ウルトラゼットホルダー
- ゼロスラッガーランスアロー
- ベリアロク
主題歌
◆
オープニングテーマ「ご唱和ください 我の名を!」
作詞・作曲・歌:遠藤正明 / 編曲:宮崎京一(KEYTONE)、飯田涼太(KEYTONE)
ほらそこ、「この腰を護りたい」とか言わない!地球(ほし)だから!
◆
エンディングテーマ「Connect the Truth」(1話~13話)
作詞・作曲・編曲:尾澤拓実 / 歌:玉置成実
第15話では2番が挿入歌としても使用された。
◆エンディングテーマ2「Promise for the future」(14話~25話)
作詞:マイクスギヤマ / 作曲:渡辺徹 / 編曲:ats-、清水武仁&渡辺徹 / 歌:畠中祐
各エピソード及び登場怪獣・宇宙人
監督が田口清隆氏になったためか、本作では再び放送体制が変わった。
本編終了後のミニコーナーが復活しており、「ハルキのウルトラナビ」として歴代ウルトラヒーロー&今週の怪獣が紹介される。
また、ジード以来となるニコニコ動画でのデマンド配信が行われている一方で、
次回予告動画での監督コメントの配信は行われなくなった。
登場怪獣は劇中でも名称が表示されるが、漢字部分のルビはカタカナになっている。
「登場怪獣・宇宙人」の欄で赤文字になっている者はそのエピソードでのメインを務める怪獣ということを表している。
なお今作は割と実質前後編で話が進んだり、或いは2話以上に渡って話が連続するパターンが多い為、便宜上補足という形でまとめている。
総集編 |
サブタイトル |
使用エピソード |
構成 |
演出 |
特別編1 |
特空機シークレットファイル |
『ウルトラマンZ』1話~10話(放送済)、11話~12話(先出し)
『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』 『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』 『ウルトラゼロファイト』 ・「第一部 新たなる力」 ・「第二部 輝きのゼロ」 『ウルトラマンギンガS』 ・「孤高の戦士」 |
池田遼 |
中山剛平 |
特別編2 |
つなぐ師弟 |
『ウルトラマンZ』14話~19話
『ウルトラファイトビクトリー』 『劇場版ウルトラマンオーブ』 『ウルトラマンジード』 ・「サラリーマンゼロ」 ・「運命を超えて行け」 |
特別総集編 |
リ:ストレイジ |
『ウルトラマンZ』1話~25話 |
余談
- 第1話の初変身はシリーズ屈指の締まりのなさが大きな話題を呼び、問題のシーンを抜粋した動画はTwitterで約2万7千回RTされた。
- バコさんと長官の演者は昭和ウルトラシリーズのリアタイ視聴世代であるほか、両者とも特撮関係と縁のあるお方である。
- 龍臣プロこと濱田龍臣は『ジード』『R/B』『タイガ』『Z』と4シリーズ連続で朝倉リク/ウルトラマンジードとして出演することになった。
更に2020年の上半期には『ウルトラマンクロニクル ZERO&GEED』でもナビゲーター役を務めており、2020年は年間を通じてウルトラシリーズに登場することになった。
- 第1話でゴメスが暴れていたのはビックカメラ京王調布店周辺で、店舗外壁にあるビックカメラのロゴフォントもしっかりと映っている。
店舗が聖地となったため、京王調布店は店舗とウェブサイトに特設コーナーを設けてまで『ウルトラマンZ』の玩具販売に力を入れるに至った。- その京王調布店のウルトラマンZ特設コーナーで使用されたPOPデータは、なんと公式から直々に提供されたものである。当初は担当者がゴメス人形と店舗写真を合成していたが、田口監督が実際に店舗を見に行ったことがきっかけとなった。田口監督曰く「(勝手に店の周りで暴れて)怒られるかと思ったら全力で乗っかってきた」とのこと。
- 更に京王調布店では5話放送日から特設コーナーにゼッパンドンを並べたことをTwitterで報告したところ、青柳尊哉氏がエゴサーチで目ざとくツイートを見つけて、Twitter担当に対して魔人態のフィギュアも置いてほしいと要望していた。
話を伝え聞いた売場担当が早速魔人態のフィギュアも特設コーナーに並べると、フィギュアは予想以上に売れていたらしい。ジャグラー人気の高さがよく分かるエピソードである。
- 最終回放送後には特設コーナーで「どのロボットが好きですか?」という人気投票が実施された。候補としてセブンガー、ウインダム、キングジョーSC、ウルトロイドゼロと、ジャンボット、ジャンナイン、ギルバリスが挙げられていた。…が、売り場担当者が悪ノリで「バコさんカッコ良かったよね!」という名目で候補にMOGERAを追加していた。
- OPでは、冒頭から御大張りに叫ばれる「ゼェェェーッット!」、「退屈を持て余して蔓延る宇宙人」「刺激を求めて蘇る巨大怪獣」という歌詞、最後には昭和を髣髴とさせる赤バックの影絵が展開される。が、後半クールで使用された2番の歌詞は非常に不穏なものであり、鬱展開を予想する声も……。
- ストレイジの特空機はいずれも『ウルトラセブン』由来。一方、外来種や誰かが呼び出した・変身したものではない土着の怪獣は『ウルトラQ』『ウルトラマン』初出となっている。
- 敵を倒したゼットが飛び去っていくおなじみの場面では、斜めに2回切り返した軌跡が「Z」に見えるという小粋な演出がなされている。
…が、ほぼ真上に飛んでいくため、どちらかというと「N」に見える。
- 8月最終週と11月第1週は12月最終週は総集編の放送日にそれぞれ割り当てられている。これは諸般の事情による撮影休止の影響ではなく、東京オリンピック延期に伴う放送予定日の前倒しが原因だと思われる。
元々本作はオリンピック放送の余波による放送休止を考慮して早めに準備を行い、従来よりも2週早く放送を開始していた。しかし肝心のオリンピックの放送がなくなり、放送予定が前倒しになってしまったため、玩具展開などのスケジュールに影響が出てしまった。- 8月と11月の総集編では『Z』本編映像に過去作の映像を交えてそれぞれ「ロボット怪獣」「ウルトラ戦士の師弟関係」について語るものとなり、12月の総集編は本編全25話を元にウルトラマンゼットと戦った日々を振り返る総集編となった。
- 総集編のウェブ配信は円谷プロダクション公式YouTubeのみ。その他のオンデマンド配信サイトでは総集編前話末尾の予告がカットされたものを一旦配信し、後日予告付きの映像に差し替えるという対応がされた。
- 『ギンガ』以降恒例になっている劇場版は制作・公開されなかったが、本作のBlu-ray BOX収録のメイキングによると、当初から制作する予定はなかった事が明かされている。そのため、ゼットというキャラクターの劇場映画デビューはTSUBURAYA IMAGINATIONオリジナル映画『ウルトラマントリガー エピソードZ』までお預けとなった。
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最終更新:2024年09月29日 17:34