仮面ライダーギャレン(Battle Spirits)

登録日:2019/03/02 Sat 01:30:23
更新日:2025/03/28 Fri 02:33:35
所要時間:約 5 分で読めます





概要

バトルスピリッツコラボブースターの第8弾で仮面ライダー剣が参戦した。
アンデッドはジョーカーのみ、また劇場版のライダーたちも収録されないというラインナップながらも主要の4人はそれぞれ複数のカードが割り当てられ*1
4人で力を合わせて戦うデッキとしてまとまっている。

が、その中でも仮面ライダーギャレン劇中再現度が群を抜いて高く
ネタ的な意味でも力の入れどころを間違ったとしか思えない仕様となった。
おそらくバトスピの開発には剣のヲタクがいる。
以下がその効果である。

+ ...
仮面ライダーギャレン
スピリット
3(黄1)/黄/仮面・四道
<1>Lv1 2000 <2>Lv2 3000 <5>Lv3 10000
Lv1・Lv2・Lv3『このスピリットの召喚時』
自分の手札にある系統:「四道」を持つスピリットカード1枚をオープンして手元に置ける。
そうしたとき、自分はデッキから1枚ドローする。
Lv2・Lv3『お互いのアタックステップ』
カード名に「ブレイド」を含む自分のスピリットがバトルしている間、このスピリットは、相手のスピリットの効果を受けない。
Lv3『このスピリットのアタック時』
このターンの間、相手のスピリット1体をBP-10000する。
この効果でBP0になったスピリットを破壊する。
シンボル:黄
イラスト:安國一将
フレーバーテキスト:
橘朔也が強化服・ギャレンアーマーを装着して変身する。

バトスピのルールをある程度理解している人間ならこのテキストを読むだけで爆笑しているに違いない。
一つ一つその要素について以下で解説していく。

召喚コスト

まず召喚コストが「3!」である。

もっともブレイドやカリスも基本形態はコスト3である。
そもそもバトスピにおける3コストは、先攻1ターン目に召喚できるギリギリのコスト帯であるため*2、そう珍しい数字ではない。

しかしそれを差し置いても橘さんと「3」という数字を見たら睦月との特訓シーンを思い出す人が大半であろう。
ちなみにそんな睦月のコストは4。もしくは7。5か8ならもっと原作再現度が高かったのだが。

余談だが同パックには相手に数字クイズを出す仮面ライダーウォズ フューチャーリング クイズも収録されている。
ウォズ側のデッキの上のカードのコストを相手が予想し、外すと破壊効果を受けてしまうというもの。
クイズ自身もコスト3、前述のようにコスト3が基本となるのが多くのデッキであるため、
剣デッキを使っていてこの効果に出くわしたら、堂々と「3!」と叫ぶといいかもしれない。

イラスト

画像を掲載できないのが非常にもどかしいほどに迫力のあるイラスト。
バトスピwikiなり画像検索なりで是非見ていただきたい。
コラボブースターはコモンであっても全面イラストとなっており、
レアリティもRなため箔押しになっている点が更にそれを強調させる。

左からファイヤ、ドロップ、ジェミニの3枚のカードが背景に確認でき、
左腕を力強く握りしめるそのポーズは今まさに【バーニングディバイド】を放たんとしている。そして足元は波しぶき。
そう、第1クールクライマックス、ピーコックアンデッドとの決戦における、あの有名な

「ザヨゴォ―――――!!」

のシーンである。
ギャレンの名シーンといえばここか桐生レンゲル戦かキング戦のどれかが挙がるであろう。ネタ抜きにとにかくカッコイイ。

効果その1

Lv1・Lv2・Lv3『このスピリットの召喚時』
自分の手札にある系統:「四道」を持つスピリットカード1枚をオープンして手元に置ける。
そうしたとき、自分はデッキから1枚ドローする。

バトスピではコスト3のスピリットが持っていることの多い召喚時1ドロー効果。
ただしギャレンの場合は条件が付いており、四道のカード1枚を公開しなければドローはできない。
オープンして手元へ置くことについてはアクセル(Battle Spirits)に詳しいのでそちらを参照していただきたい。
要するに情報を相手に開示することで、「手札にある恩恵」を受けられなくなる手札である。
単体だとただのデメリット条件ではあるのだが、ブレイド勢のカードの特徴として、
「手元のカードを参照する」効果が備わってる為、それを活かす構築が求められる。
そして【チェンジ】を主体とする【仮面】デッキでは手札に戻して何度でも発揮する機会を得られる。

フレーバーとしては手元に置かれたカードは即ちラウザーのトレイを開きラウズカードをスラッシュする挙動の再現だろう。
手元にカードを貯めていき、効果で参照するのが剣デッキの基本戦術となる。
「四道」はトランプのスートを意識してのことだろう。

ギャレンをデッキに採用する意義の80%はこの効果にある。第1話の剣崎の回想に出てきたような、頼もしい先輩の姿である。

効果その2

さてここからが「なぜカード単独で項目が作成されたか」の核心である。

Lv2・Lv3『お互いのアタックステップ』
カード名に「ブレイド」を含む自分のスピリットがバトルしている間、このスピリットは、相手のスピリットの効果を受けない。

この効果を読み上げるだけで笑いがこみ上げてしまっている人はバトスピというゲームをよく理解している人だ。
一応以下にこのTCGの前提を解説する。

バトスピはMTGと違い、スピリットが単体でバトルを行う遊戯王やデュエマ形式のルールである。
なのでアタックステップに入り、「ブレイド」がアタックしている間無敵、
つまりブレイドがアタックした後に自身も確実にアタックができる効果と読みかえることが可能。
しかしながら、ギャレンがアタックするとバトスピ特有のフラッシュタイミングが訪れ、ギャレンはあっさり除去されてしまうだろう。

耐性がスピリットの効果にしかない点も痛い。
フラッシュタイミングでの除去はスピリットの効果であるアクセルが主流になってきているとはいえマジックの採用率も依然として高く、
マジックによる除去を受けてしまえば「ブレイド」のバトル中でもあっさりと除去される。
つまり、この効果を掘り下げると「肝心の自身がアタックしている時には何も恩恵がないゴミ効果」であると言える。
アタック時のみ自身が無敵になるバケモノという前例と比較してみるとその欠点はすぐ浮き彫りになる。

もちろん、恩恵が何もないわけではなく「ブレイド」のアタック中に相手が、
仮面ライダービルドラビットタンクハザードフォーム」のような全体除去を撃っても確実に生き残るし、
後続処理を基本とする【バースト】を踏んでも生き残れるのは少なくないメリット。*3
しかし状況を選びすぎて、νジークに比べて取るに足らない効果であるという点については誰もが一致することだろう。
果たして、どういう意図でこんな効果をつけたのか?

では、この効果の流れを実際のバトル形式で見てみよう。

(BGM:BOARDのサイレン音)

自分のスピリットは「ブレイド」つまり仮面ライダーブレイドLv3と、この仮面ライダーギャレンLv2。
更にブレイドは醒剣ブレイラウザーを装備している。更に手札には仮面ライダーブレイド キングフォームが控えており、
ブレイドに煌臨して連続アタックが可能だ。
敵スピリットはアンデッドがジョーカーしか参戦していない*4ため、とりあえず悪役から仮面ライダーエボル ブラックホールフォームとしよう。
こちらのアタックステップ、ブレイドはアタック。ブレイド自身とブレイラウザーのアタック時効果でエボルをBP1000まで弱体化させるも、破壊には至らず。
ブロックされてエボルのコアシュートでLvが下がっても、ブレイラウザーと合体しているブレイドはBP勝負には勝てる。
だが念を入れてキングフォームに煌臨、エボルを完全に破壊する
……と思ったその時、相手の手札のエボルト(怪人態)の効果が発揮された。
その効果は、相手スピリット1体のコア3つをリザーブに送るもの。ブレイド、ギャレンどちらかが消滅させられ、
更にエボルの入れ替えに応じて仮面ライダーマッドローグもタダで召喚される。*5
このままではギャレンがエボルの効果で消滅、ブレイドのバトルは倒されても復活するマッドローグが引き受け、本命のエボルが生き残ってしまう。
だが、それならばこちらにブレイドが生き残っている。続けてブラックホールの効果を受けないキングフォームへ煌臨することで、
エボルとマッドローグを一掃して形勢逆転が可能だ。

( 0w0)「ウェ…?」

|M0)

しかし、ギャレンは物陰から動かない。参戦することなく、じっと剣崎と敵が戦う様を見ているのみである。

エボルト「ギャレン(おまえ)が効果を受けないのは勝手だ。
けどそうなった場合、誰が代わりに消滅すると思う?」

「 剣 崎 だ 。 」

( 0w0)「ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!?」

|M0)

スピリットの効果を受けないギャレンに効果が届かず、エボルの効果はブレイドを選択。
ブレイドはコアを失い消滅、残されたブレイラウザーはマッドローグとバトル。哀れにも膝でへし折られた。だから人間は面白い。
ギャレンは続けてアタックできるものの、そうなると待っているのはブラックホールフォームの再召喚である。
合体していないギャレンでは手札のキングフォームも使えず、アタックステップは終了してしまった。
結果、エボルとマッドローグ、そして味方であるはずのギャレンが生き残っている。
頼れる先輩であるはずのギャレンの、まさかの敵を利する行動に、トラッシュで剣崎は叫ぶ。

( 0w0)「オンドゥルルラギッタンディスカー!」

|M0)


とまあ、要するにこの耐性効果の正体とは「建物の陰に隠れ、ブレイドとアンデッドの戦いをただ傍観する」為のチラ見効果、なんでこんなところを再現した?!
+ おまけ・アニメっぽくするとこんな感じ
「アタックステップ!仮面ライダーブレイドでアタック!」
「ブレイドのLv3・アタック時効果発動!エボルB H(ブラックホール)フォームのBP-4000!
さらにブレイラウザーの合体(ブレイヴ)アタック時効果!BP-5000!
これでBHフォームのBPは1000だ!」

(Lv3のブレイドはBP5000、合体して合計BP9000。
エボルのブロック時効果でLv1にされても、BPでは勝てる!
だが念には念だ…フラッシュタイミングでキングフォームに煌臨して、一気に決着をつける!)

「フラッシュタイミング!手札からエボルト(怪人態)C(チェンジ)効果発動!
相手スピリット/アルティメットのコア3個をリザーブへ置く!」

(何だと!?まずい、3個も取られたらブレイドもギャレンも消滅する!
しかもマッドローグが…!)

「そうだな…後続のギャレンから消えてもらおうか?
ブレイドのアタックは、このあと復活するマッドローグで防げばいいからなぁ…。」

(…甘いな!ブレイドが残れば勝機はある!
このままコスト13のキングフォームを煌臨すれば、BHフォームの手札効果でバウンスされることもない!)


( 0w0)「ウェ…?」

|M0)


「お~っと?ギャレンは『ブレイド』のバトル中、スピリットの効果を受けないんだったな~?」

「あ…あ?!」


ギャレン(おまえ)が効果を受けないのは勝手だ。
だがそうなったら、誰が代わりに消滅すると思う?」

「剣崎だ。」

( 0w0)「ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!?」

|M0)


「じゃあギャレンは選べないな。いや~残念残念。
そういう訳で…ブレイドから全てのコアを奪い、消滅させる!」


( 0w0)「アンダドゥーレハ、アカマジャナカッタンデェ…ウェ!(消滅)」

|M0)


「そしてC(チェンジ)発動!BHフォームを手札に戻し、怪人態のエボルトと入れ替える!
さらにマッドローグは『エボル』が手札から入れ替わった時、トラッシュからノーコストで召喚できる!」

「…ぶ、分離したブレイラウザーでアタック継続!」

「マッドローグでブロッ~ク。」

「…ターン、エンド…。」


[エボルト(怪人態)]
[仮面ライダーギャレン]
[仮面ライダーマッドローグ]


(キングフォームの煌臨条件はコスト5以上。ギャレンには煌臨できない。
アタックを仕掛けても、ギャレンをバウンスしてBHフォームが出てくるだけだ…。)


( 0w0)「オンドゥルルラギッタンディスカー!」

|M0)


ちなみにあんまり関係ないが。
  • 名前に「ブレイド」を含む、つまり「ブレイドラ」の戦闘もチラ見する。
  • BPマイナス補正効果を受けると面白い挙動をする。
    具体的には「ブレイド」のバトル時だけBPが元に戻り元気になる。
    が、自身がアタックすると再び弱体効果を受けてBPが下がる。シュルケストナー藻の効果が都合よく切れたのだろうか。
等々、プレイング次第で非常に面白いネタが出来上がる。
ぜひいろいろなパターンを試してほしい。


効果その3

Lv3『このスピリットのアタック時』
このターンの間、相手のスピリット1体をBP-10000する。
この効果でBP0になったスピリットを破壊する*6

黄色の得意とするBP下降補正効果とそれに付属する除去効果。
が、補正値がコスト3のスピリットが持つ効果とは思えないほどに高い
そして今まで触れてこなかったが、レベル3のBP自体もおかしいほど高い。

参考までにBP10000という数字はだいたい、コスト5~6くらいのスピリットが最高レベルの時のBPである。
それをアタックすれば単独で除去できるし、その上で自身もそのくらいの敵と戦える。
何よりジャックフォームの最大BPよりも高い。ジャックフォームはBP下降の値もレアリティも通常フォームより低い。やはり弱フォーム

除去効果のマイナス数値とレベル3のBPが同じなのも、ギャレンが分身するバーニングディバイドの再現だろう。
実質BP20000=レベル3のギャレン2体分と言う訳だ。

そしてBPの下降補正は除去ができなくても機能する。
すなわちバトル時に補正が入ることを考慮すればBP20000までのスピリットと戦うことが可能ということを意味している。
レベル2までならキングフォームですらギャレンとの戦闘は避けるくらいと言えばどれほどすごいかお分かりいただけるだろう。
本気を出せば格上相手ならでも負けないという原作の再現に他ならない。

ただしこの「本気を出す」というのが少々厄介。
このレベル3の維持コストにコアが5個も必要なため、この効果を狙おうとするとコアを他のスピリットの召喚に支払う分などへ回せなくなる。
まさにタイマン前提の設定と言える。
上で例に挙げたオンドゥル事件後にレベルを3まで挙げられればエボルトごときどうということはない
(エボルBHフォームはLv.3でBP13000、エボルト怪人態はLv.3でBP15000。ギャレンの前には余裕で消し飛ぶ。)し、
残ったマッドローグの攻撃にも1撃なら耐えられるが、その前に相手のターンが来てBP3000のLv.2ギャレンが消し飛ぶ
たしかに強敵相手には負けないが、エンジンがかかるまで時間がかかる点も橘さんらしい。

逆にギャレン単独に追い込まれても、相手の切り札を撃破することも不可能ではない。肝心な時にしか頼りにならない


以上、「1枚のカードにどこまでネタを詰め込めるか」の実験台のような効果をしているのがこの仮面ライダーギャレンである。
黄色はバトスピの実験場

余談

このカードは主人公の剣崎を差し置いて、仮面ライダー剣のカードで真っ先に公開された。タトバコンボともどもポスターに載っている。
コラボブースターではいつものことではあるのだが他のカードもネタ再現が多く、ブレイドは倒した敵の効果をコピーしたり
(アンデッドを封印してラウズカードを手に入れるのを再現)イラストが第3話の雪山(ドンドコ山)だったり、
レンゲルは1人だけコストが高いせいでジャックフォームにチェンジできないなど。



追記・修正はギャレンで他の仮面持ちスピリット全てを倒してから行ってください。

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最終更新:2025年03月28日 02:33

*1 ブレイドは通常形態・ジャックフォーム・キングフォームが識別番号で2種類ずつ、ギャレンは本項目のカードの他識別番号でもう一種類とジャックフォーム、カリスは通常形態とワイルドカリスに加えジョーカーも収録。別形態のないレンゲルは識別番号で複数シーンからカード化

*2 先行に配られるコアは4個、スピリットの維持に最低1個のコアが必要

*3 ちなみにここで例に挙げたビルドハザードフォーム、原作ではダメージを受けて変身を解除されない限り目に付くもの全てを破壊しようとする暴走フォームである。明らかにビルドの目に付く場所にいるのに1人だけ生き残れるあたりやっぱり一流だよなぁ橘さんは。

*4 相川始仮面ライダーカリスの正体。カードゲームなのでどうとでもなるが、ここで例に挙げるブレイドは剣崎ブレイドなので非常に戦わせづらい

*5 ちなみに原作ではマッドローグの初登場直前に内海の同僚のヘルブロスや上司の難波重三郎がエボルトの手で始末されている。 エボルトにとって邪魔な存在を消したらタダでマッドローグが降臨する という点で見れば原作再現といえよう。

*6 バトスピでは単にBPが0になっただけでは何も起きない。BPが0になった時に付随する効果があって初めて意味をなす。