※フィンフェリ、地の文がフィンレイ視点のため下ネタ注意。
※何故かフィンレイの素性を知った上で付き合ってる謎時空
※顔カプ。トリ主が勝手に書いただけの二次創作だと思ってください。
※何故かフィンレイの素性を知った上で付き合ってる謎時空
※顔カプ。トリ主が勝手に書いただけの二次創作だと思ってください。
「今夜、図書館に来ていただけますか?」
昼間、図書館で本読んでたらいきなりフェリーチェがそれだけ言ってきた。アイツは真顔だったけど、俺にはその言葉の意図が手に取るようにわかる。
そりゃあ当然、アレだろう。アレのお誘いに決まってる。もしくはコレ?とにかくお子様も見るかもしれないこの場所で口に出すのは流石の俺もマズイかなァと思うわけで、ちょっと憚られるんだけど……まァなんだ。オトナならわざわざ言わなくても分かるだろ?
こんな時間に、わざわざ俺を呼びつけるなんざ、とうとうフェリーチェも俺様の色気に抗えなくなったってことだ。なァんだよ、素直に言やイイのによ……でも俺はフェリーチェのそういういじらしい所が好きだ。それについて詩を数篇したためられるぐらいには気に入ってる。
「…………よし」
実際今手帳にしたためてるし?
自分でも驚くぐらいはしゃいでる気がする。やべー、他人から見た今の俺ってめちゃくちゃ不審なんじゃねェ?まァ、こうやって浮かれちまうのも悪くねェかと思っちまうのが恋ってワケでありまして……女の為に詩を書くことはあっても、恋人の為にとなると、今までの人生じゃあ感じたことの無い喜びが駆け巡る。充実感ってこういうことか?
*
図書館特有の重い扉を開けると、フェリーチェが手に燭台を持って待っていた。入った途端にジッと睨まれる。ロウソクについた火ぐらいの灯りでも、フェリーチェは綺麗だった。むしろ、朝や昼なんかに見るコイツは夜の姿と比べるとあんまりカワイくない。下ネタじゃねェよ?まだ清いお付き合いだし。
「遅かったですね」
「悪ィな。酒場で会ったご婦人が中々離してくれなくてよォ」
「はぁ……そうですか」
「えー、妬かねェの?」
「チェフェリーさまは嫉妬など心に余裕のない者がする愚行だとおっしゃいました」
「ケッ、つまんねェ奴。ああ、チェフェリー様には不敬かコレ?」
「はい」
そんなくだらねェやり取りをしながら、フェリーチェの後ろを歩く。
「……そうそう、新しい詩ができたから後で読んでくれよ。アンタの声好きなんだ」
「はぁ、別にいいですけど」
さっき書いた詩を手帳ごと押し付けるように渡した。詩を普段読まない奴らの為に平たく言うと、フェリーチェの素直じゃないところがどれだけ俺の……じゃなくて、俺を狂わせるかっつー内容で……まァ、どうしても気になるヤツは俺様の第一詩集「紫蜘蛛」の出版を楽しみにしててくれ。(そんな予定全くないんだけど。)
「どう?イイ感じ?」
「内容以前の問題です。チェフェリーさまはあなたの字は何時になったら人が読むのに適した形になるのか、とおっしゃっています」
「はァ?読めねェの?お前図書館長だろ?」
「頑張って読みましたよ。でも、なんて言うか……あなたって、本当ろくでもない人ですね」
「ヘェ……そういうこと言うんだ?でもアンタはそのロクデナシが好きなんだろ?」
フェリーチェは返事の代わりにわざとらしく咳払いをひとつして、手帳を俺に押し付けるように返し、そのままスタスタと先を歩いて行ってしまった。照れてやんの。可愛いヤツ。
*
部屋には香が焚かれていた。フェリーチェの好きな菓子みたいに甘ったるくて重い匂いのヤツ。雰囲気作りって奴か。殊勝なこった。他に机に並べられているのは、ハーブに、キャンドルに、分厚い本、よくわかんねー絵が描かれた羊皮紙、黒いロープ、ナイフ。……ナイフ!?
どうやらフェリーチェはコバルト詩の読みすぎでついに頭がおかしくなっちまったらしい。確かにコイツは筋金入りのコバルト信者だし、鼓膜の裏が絶唱だって話は俺も何遍も聞かされてる。俺はコバルトなら猟奇的な詩より恋愛詩の方が好きなんだけどなァ。白の道標とか花に寄せてとか……それを言ったらフェリーチェに鼻で笑われたけど。
閑話休題。詩の話は置いておいて、だ。いくらコバルトの影響だろうが何だろうが、どこのカップルが初夜にこんなオカルティックなモン使うんだよ。これも大天使のお告げって奴なのか?俺もうアイツの話に乗るのやめようかな。
「……お前、大人しそうな顔して意外ととんでもねェ趣味してんだな。流石の俺もドン引きだわ」
「何の話ですか?」
「あーあーやだねェカマトトぶっちゃってさァ。だってこれからアレだろ?アレ。恋人同士のメイクラブ……」
俺がそう言うとフェリーチェは呆れたように目を閉じて、わざとらしくため息をついた。
「……これから行うのは交霊の儀式です」
「儀式ィ!?いや、え?マジで?」
「マジです」
「マジのマジで?」
「マジのマジです」
「大マジかよ……じゃあなんだよ。俺様は何のために呼ばれたんだ?生贄にするつもりじゃねェだろうなァ」
「近いですね」
「……はァ?」
「あなたの血を捧げるんです」
「俺の?」
「はい」
「……いやいやいや、待て待て待て」
「大丈夫です。少量でいいので」
「そういう問題じゃねェんだわ」
「チェフェリーさまが『貴方の血なら間違いない』と仰っているのに?」
「逆に俺以外だと何を間違うんだよ。つーか、それって俺なら贄にしても心が痛まないからだろ。なァ、こういうのって普通動物の血なんじゃねェの?俺詳しくねーけどさァ」
「チェフェリーさまのお告げもありますが……人道的にどうかと思いまして。ディヴィーナ姉様のところの子犬 と見つめあっていたらそう思いました。そもそも私が勝てる動物なんてこの世になかなか居ませんし。あなたなら、別にいいかなって」
さらっとフェリーチェはそんなことを言った。俺はパン屋の犬コロ以下か。
「おーおー、ひでェ言い草だな。俺に血を流させるのは人道に反しねェワケ?」
「……人道に反した人間が何を言ってるんですか」
「げっ、ぐうの音も出ねェ。あーあー、わかったよ。出処不明の俺様でよけりゃァ、オバケにちっとだけくれてやるよ」
「ありがとうございます。少量でいいですよ。あまり血が多いと悪い霊が引き寄せられるので。特にあなたみたいに沢山恨みを買ってそうな人は」
フェリーチェは平然とそう言いながら、鉱石を取り出し羊皮紙の上に並べていた。パワーストーンの類だろう。付き合い始めたその日にお守りとして押し付けられたことがある。効能はちっとも信じちゃいないが、いざ殺されそうになった時はコイツが守ってくれないかなァ。
何度も置き場所や角度を調整しているフェリーチェを横目に、俺は机の上のハーブを手に取って嗅いだ。手持ち無沙汰だったからな。いい匂いがする。記憶を辿るとフェリーチェからいつもほのかに香るのと同じ匂いだった。好きなハーブなのかなァ。
そうしてる間にフェリーチェは儀式の準備を終わらせたらしい。
「いいですか?この縄は霊界と人間界を繋げる役割を果たしてて、それで、この柘榴石はどこでもいいんですけど、こっちの水晶はここじゃないといけない理由があるんです。ここから少しでもズレると……」
聞いてもないのに儀式に関するこだわりやら何やらをノンストップで喋ってるが、全く頭に入ってこない。右耳から入って左耳から全部抜けてくカンジ。
「なァ、そもそもこれって何呼ぼうとしてんの?」
「2年前に亡くなった祖母です」
「それってぜーったい俺の血じゃ来てくれねーだろ……」
それでもやるんだけどさァ。俺は渋々フェリーチェに渡されたナイフで、左の小指を薄く傷つけた。
赤い雫が羊皮紙に一滴の赤い染みを作る。傷の痛みは大したことねェ。大したことねェが、なんか無性に悔しい。
今夜の俺はお堅いメガネちゃんに血を流させる側。どこからとは言わねェが、そのつもりだった。だが実際はどうだ?スピスピメガネチャンファッキンクソ儀式で俺が指から血を流している。
俺の血で呼べそうなもんって何だろうな。今まで殺してきた標的?復讐にフェリーチェが巻き込まれるのはヤだなァ。俺を育てた人間?でもずっと会ってねェしどっかでくたばってるかも。それかホントの俺の親……どいつが出ても微妙だな。……まァどれでもいいさ。そもそも俺は霊なんてハナから信じちゃいねェんだ。フェリーチェがこんなごっこ遊びで満足してくれるんなら、それで俺は十分シアワセさ……。
……そう思わないとやってらんねー。
*
儀式は滞りなく終了した。フェリーチェ的には大満足の結果らしい。つってもロウソクの火がちょっと揺らめいた程度で、俺には何が何だかサッパリ分からなかった。風じゃね〜の?って思ったけど、それ言ったらフェリーチェに嫌われるかもしれないから言わないでおいた。色々と期待外れだったせいで何事も記憶から抹消しようとしてたってのもあるんだけどさ。
俺が不貞腐れてる間も、フェリーチェは黙々と儀式に使った道具を片付けていた。
「なァ、フェリーチェ」
「………………」
「フェリーチェ?」
「………………」
「館長さーん」
「………………」
「……メガネちゃん♡」
「その呼び方やめてください」
即座に反応した。やっぱり聞こえてたんじゃねーか。
「無視してる方が悪い。そんなことよりさァ、もう遅いし泊めてくれよ。ちょっとぐらいイイだろ?ほら、礼のひとつやふたつ———」
「ええ、いいですよ」
「えっ」
「なんですか?言い出したのはあなたじゃないですか」
「いや、え?マジで?」
「マジです」
「マジのマジで?」
「マジのマジです」
「マジのマジのマジで?」
「しつこいですよ」
「あ、ゴメン……」
いや、確かに俺はそのつもりでここに来た。だとしてもこれは本棚から酒瓶、落として上げるなんてそんな高等テクニック、コイツはいつ習得しやがった?なんか急に脈が早くなってきた気がする。ドキドキドキドキうるせーったらありゃしねェ。初仕事のときでもこんなに緊張しなかったのに。
「……や……やっぱ帰る……」
「そうですか。では、お気をつけてお帰りください。チェフェリーさまの御加護がありますように」
あっさりと送り出されそうになり、俺は拍子抜けした。確かに帰るって言ったのは俺だけど、もう少しぐらい引き止めてくれてもイイじゃねェか。薄情者……
未練がましく振り返っても、フェリーチェは顔色ひとつ変えなかった。
「おい、本当に帰らせるのかよ」
「あなたが言ったんじゃないですか」
「…………」
「なんですか?」
「…………やっぱ泊めてくれ」
「どちらなんですか」
昼間、図書館で本読んでたらいきなりフェリーチェがそれだけ言ってきた。アイツは真顔だったけど、俺にはその言葉の意図が手に取るようにわかる。
そりゃあ当然、アレだろう。アレのお誘いに決まってる。もしくはコレ?とにかくお子様も見るかもしれないこの場所で口に出すのは流石の俺もマズイかなァと思うわけで、ちょっと憚られるんだけど……まァなんだ。オトナならわざわざ言わなくても分かるだろ?
こんな時間に、わざわざ俺を呼びつけるなんざ、とうとうフェリーチェも俺様の色気に抗えなくなったってことだ。なァんだよ、素直に言やイイのによ……でも俺はフェリーチェのそういういじらしい所が好きだ。それについて詩を数篇したためられるぐらいには気に入ってる。
「…………よし」
実際今手帳にしたためてるし?
自分でも驚くぐらいはしゃいでる気がする。やべー、他人から見た今の俺ってめちゃくちゃ不審なんじゃねェ?まァ、こうやって浮かれちまうのも悪くねェかと思っちまうのが恋ってワケでありまして……女の為に詩を書くことはあっても、恋人の為にとなると、今までの人生じゃあ感じたことの無い喜びが駆け巡る。充実感ってこういうことか?
*
図書館特有の重い扉を開けると、フェリーチェが手に燭台を持って待っていた。入った途端にジッと睨まれる。ロウソクについた火ぐらいの灯りでも、フェリーチェは綺麗だった。むしろ、朝や昼なんかに見るコイツは夜の姿と比べるとあんまりカワイくない。下ネタじゃねェよ?まだ清いお付き合いだし。
「遅かったですね」
「悪ィな。酒場で会ったご婦人が中々離してくれなくてよォ」
「はぁ……そうですか」
「えー、妬かねェの?」
「チェフェリーさまは嫉妬など心に余裕のない者がする愚行だとおっしゃいました」
「ケッ、つまんねェ奴。ああ、チェフェリー様には不敬かコレ?」
「はい」
そんなくだらねェやり取りをしながら、フェリーチェの後ろを歩く。
「……そうそう、新しい詩ができたから後で読んでくれよ。アンタの声好きなんだ」
「はぁ、別にいいですけど」
さっき書いた詩を手帳ごと押し付けるように渡した。詩を普段読まない奴らの為に平たく言うと、フェリーチェの素直じゃないところがどれだけ俺の……じゃなくて、俺を狂わせるかっつー内容で……まァ、どうしても気になるヤツは俺様の第一詩集「紫蜘蛛」の出版を楽しみにしててくれ。(そんな予定全くないんだけど。)
「どう?イイ感じ?」
「内容以前の問題です。チェフェリーさまはあなたの字は何時になったら人が読むのに適した形になるのか、とおっしゃっています」
「はァ?読めねェの?お前図書館長だろ?」
「頑張って読みましたよ。でも、なんて言うか……あなたって、本当ろくでもない人ですね」
「ヘェ……そういうこと言うんだ?でもアンタはそのロクデナシが好きなんだろ?」
フェリーチェは返事の代わりにわざとらしく咳払いをひとつして、手帳を俺に押し付けるように返し、そのままスタスタと先を歩いて行ってしまった。照れてやんの。可愛いヤツ。
*
部屋には香が焚かれていた。フェリーチェの好きな菓子みたいに甘ったるくて重い匂いのヤツ。雰囲気作りって奴か。殊勝なこった。他に机に並べられているのは、ハーブに、キャンドルに、分厚い本、よくわかんねー絵が描かれた羊皮紙、黒いロープ、ナイフ。……ナイフ!?
どうやらフェリーチェはコバルト詩の読みすぎでついに頭がおかしくなっちまったらしい。確かにコイツは筋金入りのコバルト信者だし、鼓膜の裏が絶唱だって話は俺も何遍も聞かされてる。俺はコバルトなら猟奇的な詩より恋愛詩の方が好きなんだけどなァ。白の道標とか花に寄せてとか……それを言ったらフェリーチェに鼻で笑われたけど。
閑話休題。詩の話は置いておいて、だ。いくらコバルトの影響だろうが何だろうが、どこのカップルが初夜にこんなオカルティックなモン使うんだよ。これも大天使のお告げって奴なのか?俺もうアイツの話に乗るのやめようかな。
「……お前、大人しそうな顔して意外ととんでもねェ趣味してんだな。流石の俺もドン引きだわ」
「何の話ですか?」
「あーあーやだねェカマトトぶっちゃってさァ。だってこれからアレだろ?アレ。恋人同士のメイクラブ……」
俺がそう言うとフェリーチェは呆れたように目を閉じて、わざとらしくため息をついた。
「……これから行うのは交霊の儀式です」
「儀式ィ!?いや、え?マジで?」
「マジです」
「マジのマジで?」
「マジのマジです」
「大マジかよ……じゃあなんだよ。俺様は何のために呼ばれたんだ?生贄にするつもりじゃねェだろうなァ」
「近いですね」
「……はァ?」
「あなたの血を捧げるんです」
「俺の?」
「はい」
「……いやいやいや、待て待て待て」
「大丈夫です。少量でいいので」
「そういう問題じゃねェんだわ」
「チェフェリーさまが『貴方の血なら間違いない』と仰っているのに?」
「逆に俺以外だと何を間違うんだよ。つーか、それって俺なら贄にしても心が痛まないからだろ。なァ、こういうのって普通動物の血なんじゃねェの?俺詳しくねーけどさァ」
「チェフェリーさまのお告げもありますが……人道的にどうかと思いまして。ディヴィーナ姉様のところの
さらっとフェリーチェはそんなことを言った。俺はパン屋の犬コロ以下か。
「おーおー、ひでェ言い草だな。俺に血を流させるのは人道に反しねェワケ?」
「……人道に反した人間が何を言ってるんですか」
「げっ、ぐうの音も出ねェ。あーあー、わかったよ。出処不明の俺様でよけりゃァ、オバケにちっとだけくれてやるよ」
「ありがとうございます。少量でいいですよ。あまり血が多いと悪い霊が引き寄せられるので。特にあなたみたいに沢山恨みを買ってそうな人は」
フェリーチェは平然とそう言いながら、鉱石を取り出し羊皮紙の上に並べていた。パワーストーンの類だろう。付き合い始めたその日にお守りとして押し付けられたことがある。効能はちっとも信じちゃいないが、いざ殺されそうになった時はコイツが守ってくれないかなァ。
何度も置き場所や角度を調整しているフェリーチェを横目に、俺は机の上のハーブを手に取って嗅いだ。手持ち無沙汰だったからな。いい匂いがする。記憶を辿るとフェリーチェからいつもほのかに香るのと同じ匂いだった。好きなハーブなのかなァ。
そうしてる間にフェリーチェは儀式の準備を終わらせたらしい。
「いいですか?この縄は霊界と人間界を繋げる役割を果たしてて、それで、この柘榴石はどこでもいいんですけど、こっちの水晶はここじゃないといけない理由があるんです。ここから少しでもズレると……」
聞いてもないのに儀式に関するこだわりやら何やらをノンストップで喋ってるが、全く頭に入ってこない。右耳から入って左耳から全部抜けてくカンジ。
「なァ、そもそもこれって何呼ぼうとしてんの?」
「2年前に亡くなった祖母です」
「それってぜーったい俺の血じゃ来てくれねーだろ……」
それでもやるんだけどさァ。俺は渋々フェリーチェに渡されたナイフで、左の小指を薄く傷つけた。
赤い雫が羊皮紙に一滴の赤い染みを作る。傷の痛みは大したことねェ。大したことねェが、なんか無性に悔しい。
今夜の俺はお堅いメガネちゃんに血を流させる側。どこからとは言わねェが、そのつもりだった。だが実際はどうだ?スピスピメガネチャンファッキンクソ儀式で俺が指から血を流している。
俺の血で呼べそうなもんって何だろうな。今まで殺してきた標的?復讐にフェリーチェが巻き込まれるのはヤだなァ。俺を育てた人間?でもずっと会ってねェしどっかでくたばってるかも。それかホントの俺の親……どいつが出ても微妙だな。……まァどれでもいいさ。そもそも俺は霊なんてハナから信じちゃいねェんだ。フェリーチェがこんなごっこ遊びで満足してくれるんなら、それで俺は十分シアワセさ……。
……そう思わないとやってらんねー。
*
儀式は滞りなく終了した。フェリーチェ的には大満足の結果らしい。つってもロウソクの火がちょっと揺らめいた程度で、俺には何が何だかサッパリ分からなかった。風じゃね〜の?って思ったけど、それ言ったらフェリーチェに嫌われるかもしれないから言わないでおいた。色々と期待外れだったせいで何事も記憶から抹消しようとしてたってのもあるんだけどさ。
俺が不貞腐れてる間も、フェリーチェは黙々と儀式に使った道具を片付けていた。
「なァ、フェリーチェ」
「………………」
「フェリーチェ?」
「………………」
「館長さーん」
「………………」
「……メガネちゃん♡」
「その呼び方やめてください」
即座に反応した。やっぱり聞こえてたんじゃねーか。
「無視してる方が悪い。そんなことよりさァ、もう遅いし泊めてくれよ。ちょっとぐらいイイだろ?ほら、礼のひとつやふたつ———」
「ええ、いいですよ」
「えっ」
「なんですか?言い出したのはあなたじゃないですか」
「いや、え?マジで?」
「マジです」
「マジのマジで?」
「マジのマジです」
「マジのマジのマジで?」
「しつこいですよ」
「あ、ゴメン……」
いや、確かに俺はそのつもりでここに来た。だとしてもこれは本棚から酒瓶、落として上げるなんてそんな高等テクニック、コイツはいつ習得しやがった?なんか急に脈が早くなってきた気がする。ドキドキドキドキうるせーったらありゃしねェ。初仕事のときでもこんなに緊張しなかったのに。
「……や……やっぱ帰る……」
「そうですか。では、お気をつけてお帰りください。チェフェリーさまの御加護がありますように」
あっさりと送り出されそうになり、俺は拍子抜けした。確かに帰るって言ったのは俺だけど、もう少しぐらい引き止めてくれてもイイじゃねェか。薄情者……
未練がましく振り返っても、フェリーチェは顔色ひとつ変えなかった。
「おい、本当に帰らせるのかよ」
「あなたが言ったんじゃないですか」
「…………」
「なんですか?」
「…………やっぱ泊めてくれ」
「どちらなんですか」
おわり
互いの逆鱗触れまくり!大白熱徹夜コバルト詩激論会編に続く(続かない。)
互いの逆鱗触れまくり!大白熱徹夜コバルト詩激論会編に続く(続かない。)