ヴォルシ(理:volci)とは、多義的な単語であり、「シルシに基づく社会的なステロタイプ」(cilcien ranmiatniexi'el)を指す。日本語文献ではケートニアー性社会役割とも言う。
概要
ヴォルシは近代において提唱された社会的な概念である。その基盤は
ケートニアーであるか、
ネートニアーであるかを表すシルシという概念にあり、シルシに基づいて社会的に常識や前提とされているステレオタイプや
テンプレート的な考え方を指す。例えば、ケートニアーであれば軍人や警察官となって戦わなければならないといった先入観もヴォルシの一つである。
これを提唱したのは
レシェール・イスナシュテイユであり、その「ヴォルシの構造的差別の歴史学」の議論によりヴォルシ学を興隆したとも言われる。
ヴォルシと社会
近現代を通して特に
ユエスレオネではヴォルシに基づく差別的言動は能力差別(理:
volciera)と呼ばれ、タブーとなっていった。一般的に
大災害前世代と呼ばれる世代の人間は旧弊なヴォルシ差別を持ち合わせているとされており、それに対してユエスレオネ生まれの世代はヴォルシフリー(理:
nefvolciolera)の思想を持つものが多いとされる。この差はウェールフープの機械化によるケートニアーのネートニアー化が近代以降急激に進んだため、ユエスレオネがその特異点となったことにより起こったと考えられている。
歴史
スキュリオーティエ叙事詩の時代には、既にケートニアーとネートニアーに対するヴォルシ的構造が成立していたとされている。スキュリオーティエ叙事詩第四章34節にはケートニアー職の記述が存在する。中世においては、ケートニアーは武人として騎士の地位に付き外政を担い、ネートニアーは文化と内政を担うようなヴォルシが発達した。ネートニアー詩人がケートニアーの武人の活躍を詠うようになり、独特な相互構造を生むようになったが近代以降の
ウェールフープの機械化や国民軍の発達により、そのような封建的構造は崩れることになった。結果的に形骸化したヴォルシは差別的構造を残すようになり、近現代社会における重篤な問題となっていった。
シルシ表現のヴォルシ性
"Ci's yst ytus ler m'eskilst, faula ta liaxu."
「彼女が仮住まいから出ると、ファウラが立っていた」
――スキュリオーティエ叙事詩四章二十九節
ファイクレオネの言語のシルシ表現(ケートニアー・ネートニアーに関する表現)は、それぞれのヴォルシ性を帯びている。近代以前はこのため実際に対象のシルシとあっていなくても、シルシ表現が使われることがあった。上記の例では、外見だけでファウラ(ネートニアー女性)であると決めているが、すなわち「戦場に向かないような可憐な少女」というヴォルシ性からファウラと言っているだけで、彼女のシルシは問題になっていない。
現代においてこのような表現は時代遅れに成りつつあるが、ヴォルシ主義者によって用いられることもある。
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最終更新:2022年10月25日 02:43