しーつー/しーに
諸元
乗員 |
2~5名+110名 |
全長 |
43.9m |
全高 |
14.2m |
翼幅 |
44.4m |
貨物室 |
L15.7m×W4.0m×H4.0m、ランプ長5.5m |
空虚重量 |
60.8t |
積載量 |
32t(2.5G)、36t(2.25G) |
最大離陸重量 |
141t |
動力 |
GE・アビテーション CF6-80C2K1F ターボファンエンジン |
2基 |
推力 |
22,680kg (50,000lb)×2 |
性能
最大速度 |
M0.82(917km/h) |
巡航速度 |
M0.8(890km/h) |
航続距離 |
9,800km/0t 7,600km/20t 5,700km/30t 4,500km/36t |
実用上昇限度 |
12,200m |
最短離着陸滑走距離 |
500m |
装備
固定武装 |
なし |
アビオニクス |
航法・気象レーダー |
ミサイル警報装置 |
レーダー警報受信機 |
防衛省公式紹介動画
概要
C-2は、防衛省技術研究本部と川崎重工によって開発された双発輸送機である。
海上自衛隊の
P-3Cの後継機である
「次期哨戒機」(後の
P-1)との同時開発という世界的に見ても珍しい開発体制の元で開発された。
美保基地の第403飛行隊における愛称は、「
ブルーホエール」(シロナガスクジラ)。
開発
開発は2000年より開始され、2007年7月に試作1号機が完成、2010年1月に初飛行している。
開発においては、機体の強度不足が何度か問題になっている。
特に試作1号機は初飛行直前にアメリカ製のリベットに起因する強度不足が明らかになり、リベットの交換と補強工事が必要になったため、計画より遅れて初飛行が実施されている。
その後も地上での機内気圧上昇試験中に貨物扉が破損したため、2014年11月から量産機と同じ補強型胴体に交換している。
先述した通り、P-1と同時開発された関係で、風防、主翼外翼(全体の3分の1)、水平尾翼、
補助動力装置、コクピットの
統合表示装置等、機体重量に対して約15%、搭載システム品目数に対して約75%の部品が共通化されており、開発費を250億円程度削減できたとされている。
開発総額は
P-1も込みで約3,450億円。
特徴
機体
機体全体の構成は先代のC-1を踏襲しており、太めの胴体に高翼式の主翼とT字型尾翼を組み合わせ、主翼下にエンジンポットを配置している。
機体形状は類似しているものの、全長、全幅共に約1.5倍に大型化、機体重量に至っては2.5倍に増加している。
大きく異なるのが貨物扉の形式で、C-1の観音開き式から
C-130Hと同じ貨物扉がランプを兼ねる方式に変更されている。
貨物室の容積は251.2㎥で、C-1の74.356㎥の約3.3倍、C-130Hの100.87㎥の約2.5倍と言う大容積を誇る。
同時期に開発された輸送機と比較すると、C-2よりやや小型のC-130J-30が144.47㎥でC-2の6割以下、A400Mが274㎥でC-2とほぼ同じ。
操縦システムには
F-2以降に開発された国産機と同様、デジタル・フライ・バイ・ワイヤが採用されている。
P-1と同じフライ・バイ・ライトではないのは、将来の輸出を考慮してより信頼性の高いデジタル・フライ・バイ・ワイヤが選ばれたため。
操縦席は計器盤に多数のMFDSを配し、更に同時開発のP-1やボーイング787と同様
ヘッドアップディスプレイを設けたグラスコクピットになっている。
先述した通り、風防を哨戒機であるP-1と同じものを使っているため、操縦席からの視界が良好と言われている。
F-2以降の自衛隊機が青色を主体とした迷彩塗装を採用しているのと同様に、C-2もC-1の緑色を主体とした迷彩塗装ではなく濃淡三色の青灰色を用いた迷彩塗装が機体全体に施されている。
エンジン
エンジンは民間機に多数使用され、空自でも
E-767や
KC-767で使用しているCF6ターボファンエンジンを採用している。
海外での整備や将来の輸出において有利との判断から採用されたと考えられるが、調達数が少ないため調達価格高騰の一因になっており、2020年度予算ではCF6エンジンの一括調達による価格低減が試みられている。
大容量の貨物室を備え、大出力のCF6エンジンを採用した事により、C-1はおろかC-130Hでも輸送不可能で、海上輸送せざるを得なかった
16式機動戦闘車や
UH-60JAの様な大型重量物を空輸する事が可能になり、水陸機動団の様な即応対応部隊の迅速な展開を可能にしている。
また巡航速度が民間旅客機と同水準まで向上したことで、燃費の良い高度に設定されている民間航空路の利用が可能になり、より遠隔地まで大量の物資を短時間で輸送することが可能になっている。
どれほどかと言うと、巡航速度はC-1やC-130Hの約1.5倍、最大搭載量に当たる36t搭載時の航続距離はC-130Hの5t搭載時の航続距離より500km長く、C-1の最大積載量8t搭載時の航続距離の3倍にあたる4,500kmにも及ぶ。
参考までに、C-130J-30の航続距離は16t搭載時3,150km、A400Mの航続距離は37t搭載(最大)時3,300km。また両機ともターボプロップ機であるため、巡航速度はC-2より遅い。
大型化したにも関わらず、スラストリバーサー付きの大出力エンジンのおかげでC-1と大差ない距離での離着陸が可能。
防衛省からの要求に含まれていなかったため、不整地への着陸能力は有していない。
しかし、2020年8月に輸出交渉を進めているUAEから確認を求められたため、同年11月12日に試作1号機を用いた不整地離着陸試験が行われて問題無く終了している。
その他
C-1では未装備だった自己防御システムとして、機首の左右横側面と機体後部にミサイル警報装置とレーダー警報受信機を備え、これらのセンサーと連動したチャフ・フレアディスペンサーを搭載している。
長距離飛行に備えた装備として、操縦席後方の機体上部にC-1では未装備だった空中給油受油装置が設けられている他、操縦席後部に仮眠用2段ベッド、冷蔵庫や電子レンジを備えたギャレー、更に民間旅客機と同型のラバトリーが2カ所用意されている。
本格的なラバトリーの設置は空自輸送機ではC-2が初めてで、隊員の長距離輸送時のみならず、民間人の便乗時や避難民の空輸時にも役立つと考えられる。
配備
トラブルの影響もあって配備開始は当初計画より3年遅れ、2017年3月に開発が終了すると同時に美保基地の第403飛行隊への配備が開始されている。
なお、2021年2月17日から入間基地の第402飛行隊への配備が開始されている。
2024年3月時点での保有機数は14機で、2023年度までに19機分の調達予算が計上済。
1機あたりの平均調達価格は約202億円。当初は185億円前後だったが、2018年調達分から200億円を大きく超える様になっている。
これは各種部品の納入価格上昇のためで、対策として先述した様に価格上昇の影響が大きいCF6エンジンの一括購入が行われている。
このため財務省から目の敵にされて調達数削減の圧力がかけられた結果、2018年末に調達数を25機から22機へ削減することが決定されている。
しかし、2022年12月16日制定の「防衛力整備計画」で風向きが大きく変わる。
同計画では2023〜2027年に島嶼防衛用陸上部隊の機動展開等に必要な輸送力としてC-2を6機、更にRC-2(後述)を4機、C-2が原型と考えられるスタンド・オフ電子戦機(同)を1機調達する計画になっている。
計画通りに進むのなら、RC-2とスタンド・オフ電子戦機を含めると生産機数は約30機に達する事になる。
邦人救出のための海外派遣任務
2021年8月23日には、タリバンに占領されたアフガニスタンの首都カブールからの邦人及び現地スタッフ退避任務のために第403飛行隊所属の212号機が入間基地を出発、中継地の美保基地を24日未明に出発し、25日には拠点となるパキスタンの首都イスラマバードに到着している。
到着時点で空港まで移動すること自体が難しくなっていたこともあり、最終的に邦人1人とアメリカから依頼されたアフガニスタン人スタッフ14人を退避させるに留まっている。
2023年4月21日深夜から22日未明にかけて、政情不安に陥ったスーダンの首都ハルツームから邦人退避任務のため、前日出発したC-130H(074号機)に続いて第403飛行隊所属の216号機がKC-767と共にジブチに派遣されている。
その後、ハルツームから約700km北東にあるポートスーダンまで陸路退避してきた邦人45人を216号機がジブチまで空輸している。
派生型
電子測定型
YS-11EBの後継として、電子測定型の「RC-2」の開発が進められ、C-2試作2号機から改修されたRC-2試作1号機が2018年2月8日に初飛行、2020年10月1日に入間基地の電子作戦群に配備されている。
また、2021年度から量産機用搭載装置取得費の計上が開始されている。
上記の通り、RC-2は2022年12月16日制定の「防衛力整備計画」において2027年度までに4機調達する計画になっており、2024年度からは機体の調達も開始され、2025年度までに2機分の調達予算が計上されている。
電子攻撃型
2019年1月にP-1と共に電子攻撃機型を開発し、2027年度の導入を計画していると報道され、令和2年度予算において「スタンド・オフ電子戦機」の開発予算が計上されている。
EC-1、YS-11EA及びUP-3Dの後継機と考えられる。
スタンド・オフ・ミサイル発射プラットフォーム型
2022年12月16日制定の「防衛力整備計画」ではスタンド・オフ・ミサイルの発射プラットフォームの更なる多様化のため、同ミサイルの輸送機搭載システムを開発・整備すると明記されている。
これはアメリカ空軍が開発中の輸送機搭載空中投下型巡航ミサイル発射システム「ラピッド・ドラゴン」の導入または類似システムの開発を想定していると推定される。
ラピッド・ドラゴンはJASSM-ERを搭載したパレットを空中投下、パラシュート降下中のパレットから多数のJASSM-ERを空中発射するシステム。
その特徴は輸送機自体に改修することなく搭載・運用が可能で、輸送機の能力に合わせて搭載数を変えることができること。
具体的にはC-130ならJASSM-ER6発入りのパレットを2つ(=12発)、C-17ならJASSM-ER9発入りのパレットを4つ(=36発)で、C-2の場合はその間になると推定される。
令和6年12月時点では、輸入ではなく国産で作ることを計画しており、搭載するミサイルは
12式地対艦誘導弾(能力向上型)だということが判明している。
作中での活躍
外伝:忘れられた世界及びその改訂書籍版である「新世界異譚II 孤独の戦士たち」に登場。
飛行中に大規模太陽風による磁気嵐に見舞われ、高度を下げたところでバードストライクによってエンジンが故障し、機体は煙を上げながら
エスペラント王国南部へ墜落する事となる……。
但し、飛行していた理由は、忘れられた世界では陸上自衛隊の訓練のため、孤独の戦士たちでは
グラメウス大陸先遣調査隊派遣のためと大きく異なる。
これは活躍と呼んでいいのだろうか……
強いて挙げるとするなら、墜落しながらも主人公である
岡 真司を生き長らえさせたことだろうか。
機長と副機長の卓越な手腕もさる事ながら、計器故障・エンジン大破という状態にも関わらず最後まで操縦系統を生かし、墜落の瞬間までもがき続けた点は立派。
また、大量に搭載されていた武器弾薬や
偵察用オートバイは、誤作動や不良を起こさない程度には保持されており、魔獣退治に問題なく使用できたのも大きい。
因みに、孤独の戦士たちでは
不整地離着陸対応改修キットが開発されており、運用試験を兼ねて納入されたばかりの量産初号機に組み込まれている。
現状数少ない機体生産設備を有する機種であることや、現実でも各種派生型の研究が行われている事から、輸送にとどまらない多方面での活躍の機会が期待される。
なお、本機は初飛行からも間もない最新鋭機であるが、作中ではこれと別に
新型輸送機の開発が決定している。話の流れから推測するに、C-2よりも大型の戦略輸送機と思われる。
随時加筆願います。
※既存の[[コメント]]に返信する場合、返信したいコメントの左側にチェックを入れて下さい。
最終更新:2025年02月09日 10:47