アルマ57,,
アルマ書 第57章
アルマ57,*-*,ヒラマンの手紙(ツズキ)。アンテパラ市をとり返す。クメナイ市降服する。レーマン人、マンタイ市へ追
い返される。奇跡的の護り。レーマン人のとりこ逃げる。
アルマ57,1,われはアモロン王から手紙をもらったが、その中にわれらが捕えたとりこを返したならばかれもまたアン
テパラ市をわれにゆずりわたすと書いてあった。
アルマ57,2,しかしわれは手紙を王に送って、わが軍隊はアンテパラ市を占領するに足る力をもっているから、アン
テパラ市ととりことを交換するのは愚なことであると思う。従って相互にとりこを交換するのでなければとりこを返さな
いと言ってやった。
アルマ57,3,ところがアモロンはとりこを交換したくないのでわが手紙に言ってあることを拒んだ。それであるから、わ
れらはアンテパラ市を攻める準備をした。
アルマ57,4,しかしその時アンテパラ市の人々は同市を立ち退き、その所有しているほかの都市へ逃げて行ってこ
れを固めた。こうしてアンテパラ市はわれらの手に落ちた。
アルマ57,5,このような有様で判事治世の28年目は過ぎ去った。
アルマ57,6,29年目の始め、ゼラヘムラの地とその近所の地から食料と6、000人の援兵とを送って来、またアンモ
ンの子である60人の者たちがきて、その兄弟であるが2、000人の隊に加わった。今やわれらは実に強くなり、ま
た充分の食料を送ってもらった。
アルマ57,7,それで、われらはクメナイ市を守るために置いてあった敵軍と戦いたいと思ったが、
アルマ57,8,やがてこの望を遂げたことをこれから汝に話そう。敵が食糧を受け取ることになっていた少し前から、わ
れらは強い軍隊の1部を以て夜クメナイ市を包囲し、
アルマ57,9,そしてこのまま数夜を過したが、レーマン人が遣る襲って来てわれらを殺さないように剣を着けたまま眠
りまた番兵を置いた。レーマン人はたびたび夜われらを襲って来て殺そうとしたがその度毎にかれらは損害を受け
た。
アルマ57,10,その中、ついに敵の食糧が到着した。そしてこれを運ぶ者たちが夜市内に入ろうとするときに、われら
はレーマン人でなくてニーファイ人であったからかれらを捕えてその食糧を奪った。
アルマ57,11,レーマン人はこのように食糧を運ぶ道を断ち切られながらも、なおこの市を意地しようと決心した。そこ
でわれらは奪い取った食糧をユダヤ市へ送り、またとりこをゼラヘムラの地へ送る必要があった。
アルマ57,12,そして多くの日がたたない中に敵は救いを得る望を全く失い、われらはクメナイ市を明けわたした。
われらはこのようにしてクメナイ市を手に入れる企をなし遂げた。
アルマ57,13,しかしこのときわれらの捕えたとりこはその数を非常に多かったから、これを殺さなければ見張りのため
にわが全軍を用いねばならなかった。
アルマ57,14,そしてそのとりこたちは時々大勢であばれ騒ぎ、石や棒を手当り次第にとって戦ったから、かれらが降
服してとりこになってからも、われらはその中の2、000人以上を殺した。
アルマ57,15,実際、剣を手に持って見張りながらとりこをゼラヘムラの地へ送らないならば、これを殺すよりほかに仕
方がなかったのである。また、われらにはレーマン人から取った食糧があったけれども、これはただわが軍を養うに
足りただけであった。
アルマ57,16,それであるから、この危険な際に当ってこのとりこの処分を決するのは非常に重大なことであったが、
ついにこれをゼラヘムラの地へ送ることにきめ、わが軍の中から兵をえらんでとりこをゼラヘムラへ送ることを受け持
たせた。
アルマ57,17,その翌日、この兵たちは帰ってきたがとりこがどうなったか聞くひまがなかった。それは、レーマン人が
すでにわれらを攻めていて、この兵たちはわれらがレーマン人の手に落ちようとする危ないところを助ける好い時
に帰ってきたからである。アモロンはすでに食糧を
アルマ57,17-1,レーマン人に送って居り、また多数の援兵もこれに送っていた。
アルマ57,18,われらがとりこにつけて送った兵士たちは、レーマン人が正に勝とうとするときに帰ってきてレーマン人
を防いだ。
アルマ57,19,しかしわが2、060人の兵は必死になって奮戦市、勇敢に1歩もレーマン人にゆずらず、向ってくるす
べての敵を殺した。
アルマ57,20,わが軍の他の部が退却しようとするとき、わが2、060人は勇敢に1歩も退かず、
アルマ57,21,一々の号令をみな正しく守って戦ったが、ついにその信じた通りになった。ここに於てわれは、かれら
が自分の母に教えられたことであると言って、われに話した言葉を思い浮べた。
アルマ57,22,われらがこの大勝利を獲たのはひとえにわが子であるこの青年たちと、とりこをゼラヘムラへ送るため
に選ばれた兵士たちによる。レーマン人を負かしたのはまことにこの兵士たちである。このようにしてレーマン人は
マンタイ市へ追い返された。
アルマ57,23,われらはクメナイ市を守り通した。わが軍がみな剣に倒されたと言うわけではないが、その損害は大き
かった。
アルマ57,24,さて、レーマン人が逃げてからわれはすぐに命令を下して負傷したわが兵を死者の中から救い出し、
その傷に繃帯を施させた。
アルマ57,25,見ると、わが2、060人の青年の中、200人ばかりは血を失って気絶し、また1人のこらず多くの傷を受
けていたが神の恵みによって1人も死んだ者がなかったのには、敵味方共に非常に驚いた。
アルマ57,26,わが軍の中1、000人も殺されたのに、この2、060人の青年がことごとく死をまぬかれたのはわが全
軍が驚き怪しんだことである。しかしこの2、060人の青年が正義の神がましますことと、疑わない者は誰でも皆神
の驚嘆すべき能力で助けられることとを教わ
アルマ57,26-1,これを信じて疑わなかったのであるから、その命が助かったのは神の驚くべき力によると認めざるを
得ない。
アルマ57,27,わが話した2、060人の信仰は右の通りである。かれらは年は若いがその心は堅固であってたえず神
に頼っている。
アルマ57,28,さてわれらは負傷者に手当を加え、わが兵の死者もまた多くのレーマン人の死者もこれを葬ってか
ら、ゼラヘムラの地へ送るために出立したあのとりこのことをギドにたずねた。
アルマ57,29,ギドはゼラヘムラの地までとりこを見張って行く任を受けた兵を指揮する大士官であった。
アルマ57,30,このときギドは答えて言った。見よ、われはとりこをゼラヘムラへ送ろうとして出立したが、レーマン人の
陣営をうかがうためにつかわされたわが軍の間者らに出逢った。
アルマ57,31,するとかれらは、レーマン人の軍が今正にクメナイ市の方へ進んで居る。かれらはクメナイ市を攻めて
わが軍を亡ぼすであろうと大声で言った。
アルマ57,32,これを聞くや、われらが見張っているとりこたちは勇み立ち、あばれ沢井でわれらと戦い出した。
アルマ57,33,このようにとりこたちが謀叛したのでわれらは剣をふるってかれらを殺し始めたが、かれらは一団となっ
てわれらの剣に向って走りかかってきたから、その大部分は殺され、殺されなかった者たちはわが兵をおしわけて
逃げて行った。
アルマ57,34,かれらが逃げるやわれらはそのあとを追いかけたが、これに追い着くことができなかったので、急いで
クメナイ市の法へ進んできたが、クメナイ市を守り防いでいる味方を助けるちょうど好い時期に到着した。
アルマ57,35,見よ、われらは再び敵の手から救われた。わが神の御名に感謝し奉る。われらのためにこの大きな御
業を行ってわれらを助けたもうたのはこの神である、と。
アルマ57,36,われヒラマンは、ギドの言葉を聞き終り、われらが全く亡びてしまわないよう守りたもうた神の恩恵を思
って非常な喜びが胸に満ちた。われは、ころされた人々の霊がすでにその神の安息の中へ入っていることを信ず
る。