ヒラマ1,,ヒラマン書  第1章
ヒラマ1,*-*,ペホーランの息子ら裁判職を得ようとして争う。2代目のペホーラン、キシクメンのために殺される。ニー
ファイ人の謀叛人、コリアントメル。ゼラヘムラ市、占領されて取り返される。
ヒラマ1,1,ニーファイの民を治める判事治世40年目の始め、ニーファイ人の中に重大な事件が起った。
ヒラマ1,2,ペホーランはすでに亡くなって世の人々が必ず行く道を行ったから、ペホーランの息子たちは誰が裁判
の職をつぐ権利を持つかについて兄弟の中で烈しく争いをした。
ヒラマ1,3,このように裁判の職を争って国民の中にもこのことについて争いを起こさせた兄弟の名はペホーラン、パ
アンカン、パクメナイと言った。
ヒラマ1,4,初代ペホーランの息子はこの3人だけではない(多くの息子があった)。しかし、裁判の職を争ったのはこ
の3人だけであって、この3人だけであって、この3人のために国民はついに分裂して3つの党ができた。
ヒラマ1,5,しかしながら、ペホーランは民の投票によってニーファイの民の大判事兼統治者にされた。
ヒラマ1,6,この時パクメナイは裁判の職が得られないことを知って国民の大多数と一致したが、
ヒラマ1,7,これは反してパアンカイと、パアンカイを自分らの統治者にしたいと願う連中とは非常に怒った。そこでパ
アンカイはこの機を捕えてその連中にへつらい同じ国の民に叛かせようとした。
ヒラマ1,8,しかし、パアンカイは捕らえられて国民の賛成同意を得た裁判の上、謀叛を起して国家の自由を破ろうと
した者であると認められて死刑に処せられた。
ヒラマ1,9,ところが、パアンカイを自分らの統治者にしたいと思った連中はパアンカイが死刑にされたことを知って非
常に怒り、キシクメンと言う男をペホーランの裁判所へやってペホーランが裁判をしている所をその場で殺させた。
ヒラマ1,10,ペホーランの家来たちはキシクメンを追いかけたが、キシクメンの逃げ足が早くて誰も追いつけなかっ
た。
ヒラマ1,11,キシクメンは自分を裁判所へやった者たちの所へ逃げたが、かれらは皆キシクメンがペホーランを暗殺
したことを誰にも知らせないと言う誓いを、その永遠の造り主によって立てた。
ヒラマ1,12,これによって、キシクメンはペホーランを殺す時に姿を変えていたからニーファイの民に知られなかっ
た。キシクメンとキシクメンに誓いを立てた連中は人に見つけられないように国民の中に雑っていたが、見つけられ
た者はみな殺された。
ヒラマ1,13,さてパクメナイは国民の投票で選ばれ、その兄弟ペホーランの後をついで国民の大判事兼統治者にな
った。これはパクメナイが当然受けるはずの任命であった。このような事件はみな判事治世の40年目に怒ったが、
これでこの年は終った。
ヒラマ1,14,判事治世の41年目、レーマン人はすでに大軍を集めて剣、太刀、弓矢をこれに持たせ、かぶとをかぶ
らせ、胸当とあらゆる楯とを持たせて武装をさせた。
ヒラマ1,15,やがて、かれらはニーファイ人と戦をするためにまたやってきた。その司令長官はコリアントメルと言って
ゼラヘムラの子孫であったが、かれはニーファイ人に叛いて国を去った者であって体力と勢いとに富んでいる男で
あった。
ヒラマ1,16,それであるから、アモロンの子でレーマン人の王であるツバロツはコリアントメルを見て、これは勢いのあ
る男だからその大きな勢力と智恵とによって充分ニーファイ人と戦えると思い、この男をやってニーファイ人に勝ち
たいものだと考えた。
ヒラマ1,17,そこでツバロツは、レーマン人に怒りの心を起させて兵隊をつのり、コリアントメルを司令長官としてニー
ファイ人と戦うためにゼラヘムラの地へ進軍させた。
ヒラマ1,18,ニーファイ人は、このように政府部内に不和と困難があったために、またレーマン人が大きな都のゼラヘ
ムラ市を攻めるために思い切って組の中央まで侵入してくることはないだろうと思っていたから、ゼラヘムラの地に
充分の兵を置かなかった。
ヒラマ1,19,コリアントメルの大軍を率いてゼラヘムラ市の人々を攻めたが、レーマン人の進軍が非常に速かったか
らニーファイ人は兵を集めるひまがなかった。
ヒラマ1,20,それでコリアントメルは都の門に居った番兵を切り倒して全軍が市内に侵入し、手むかう者をみな殺して
都の全体を占領した。
ヒラマ1,21,大判事パクメナイはコリアントメルから逃げて都の石垣まで行ったが、そこでコリアントメルに撃たれて死
んだ。これがパクメナイの最后であった。
ヒラマ1,22,コリアントメルは、ゼラヘムラ市をすでに占領したことと、ニーファイ人があるいは逃げ、あるいは殺され、
あるいは捕えられ、あるいは牢屋に入れられたことと、自分がもはや国中で1番堅固な所を落しいれたこととを見
て、大いに勇み立ってこんどは全国を統一する
ヒラマ1,22-1,出かけようとした。
ヒラマ1,23,それで、かれはゼラヘムラの地に長くは留らずに、大軍を率いてバウンテフル市の方へ進んだが、これ
は剣を以て道を切り開き北の地方を占領するためであった。
ヒラマ1,24,コリアントメルは、ニーファイ人の軍の主力が国の中央に居ると思ったので、ニーファイ人が小さな隊に
集るひまがないように急いで道を進み、ニーファイ人の小さな隊を襲ってはこれを倒した。
ヒラマ1,25,しかしコリアントメルがこのように国の中央部を通ったから、ニーファイ人の死者が非常に多かったがこれ
はかえってモロナイハにとって利益となった。
ヒラマ1,26,なぜならば、モロナイハはレーマン人が国の中央まで思い切って侵入してくる勇気はなく、このたびも前
のように国境の都市を攻めるで4あろうと思って、国境の方に強い軍隊を置いて固く守らせておいた。
ヒラマ1,27,ところがレーマン人はモロナイハの望み通には恐れず、すでに国の中央部まで侵入して大きな都ゼラ
ヘムラ市を占領し、国の最も繁華な所を過ぎて行きながら、男、女、子供の差別なく残酷に民を殺し、しきりに多く
の都市と多くのとりでを占領した。
ヒラマ1,28,モロナイハはこの状況を見る否や、直ちに敵がバウンテフルの地へ達する前にその進路を断ち切ろうと
して、リーハイに1つの軍隊をつけてこれをつかわした。
ヒラマ1,29,リーハイの軍は進んで敵がバウンテフルの地へ行かない中にその進路を断ち切ってこれと戦ったから、
敵は逃げてゼラヘムラの地を指して引き返した。
ヒラマ1,30,しかし、モロナイハは敵の退路を立ってこれと戦ったところ、非常に残酷な戦となり、多くの兵が殺されて
コリアントメルもその市街を戦死者の中に横えた。
ヒラマ1,31,レーマン人は4方からニーファイ人にかこまれて、北へも南へも東へも逃げることができなかった。
ヒラマ1,32,このように懲り案と目るはレーマン人をニーファイ人とニーファイ人との間にはさまれたから、レーマン人
はニーファイ人の手に落ちコリアントメルは殺されてしまったのである。そこでレーマン人はニーファイ人に降参し
た。
ヒラマ1,33,モロナイハはゼラヘムラ市を取り返し、とりこになっていたレーマン人を無事に何ごともなく国の外へ出し
てやった。
ヒラマ1,34,これで判事治世の41年目は終った。
最終更新:2008年07月05日 01:32