ヒラマ10,,
ヒラマン書 第10章
ヒラマ10,*-*,ニーファイ、大きな能力を与えると言う約束を賜わって主に慰められる。ニーファイ、悔改めを宣べ伝
え、今にも来る裁きを告げて罪人を戒める。
ヒラマ10,1,これで群衆はついに分離し、人々は互に別れてここかしこへそれぞれの帰り道を帰って行ったが、かれ
らの中に立っていたニーファイは今やただ1人のこった。
ヒラマ10,2,そこでニーファイも自分の家を指して歩きながら、主が自分に示したもうたことをつくづくと考えた。
ヒラマ10,3,すなわち、ニーファイ人と言う国民の罪悪、その秘密の悪事、人殺し掠奪そのほかあらゆる悪事を考え
てかれは非常に心が重くなった。そこで道を歩きながら考えている中に1つの声がかれに聞えて言った。
ヒラマ10,4,”ニーファイよ、汝はその為したることのためにさいわいなり。われが汝に授けし言葉を汝がうまずたゆま
ずこお民に宣べ伝えたることをわれは知れり。汝はこの民をおそれず自分の命を惜しまずにわがこころの通り行わ
んとし、わが命令を守らんとせり。
ヒラマ10,5,汝はこのように強き忍耐を以てこれを為したるにより、われはいつまでも汝を祝福し、言葉と行いと信仰
と働きとに於て汝を強くして偉大なる者となさん。また汝の望み通り何事にてもわれは汝のためにこれをかなえん。
そは、汝はわがこころにかなわざることを願わざ
ヒラマ10,6,見よ、汝はニーファイなり、われは神なり、汝はこの民の間に働く権能を持ち、この民の罪悪の大小に応
じてあるいは飢饉、あるいは疫病、あるいは破壊をこの地に及ぼすことを得。われはわが使たちの前にてこれを汝
に誓う。
ヒラマ10,7,われは汝に権能を与う。この権能によりて、汝が地に於て結ぶことは何ごとにても天に於て結ばれ、地
に於て解くことは何ごとにても天に於て解かる。かくのごとく汝はこの民の中にて働く権威と能力とを有すべし。
ヒラマ10,8,されば、汝もしもこの神殿に向いて2つに裂けよと言わば、その通りとなる。
ヒラマ10,9,この山に向いて崩れて平になれと言わば、その通りとなる。
ヒラマ10,10,神この民を打ちたもうと言わば、その通りとなる。
ヒラマ10,11,今われは汝に行きてこの民に告げよと命ず。すなわち全能の主なる神は’汝ら悔い改めずば全滅する
まで打たるべし’と宣えりと”。
ヒラマ10,12,主がこれらのことをニーファイに告げたもうと、ニーファイは立ち止まって自分の家へ帰らずに、国のこ
こかしこに集っている大勢の人々の所へ行き、民が悔い改めないと受けなくてはならない滅亡について主が自分
に仰せになった言葉を伝え始めた。
ヒラマ10,13,ニーファイが大判事の暗殺を民に示したあの大きな奇跡があったにも関らず、民はその心をかたくな
にして主の道に聞き従わなかった。
ヒラマ10,14,そこでニーファイは主の御言葉を民に宣べ伝えて”主は宣う。汝ら悔い改めずば全滅するまで打たる
べし”と言った。
ヒラマ10,15,しかし、ニーファイがこの言葉を宣べ伝えてからも、民はまだその心をかたくなにしてニーファイの言葉
に聞き従わず、かえってニーファイをののしり、その上に牢屋へ入れるためにニーファイを捕えようとした。
ヒラマ10,16,しかし見よ、神の力がニーファイと共にあったから、ニーファイは”みたま”に引かれて悪意のある人々
の所からほかへ連れて行かれたので、民はニーファイを捕えて牢屋に入れることができなかった。
ヒラマ10,17,ニーファイはこのように”みたま”に満たされ、出て行って群衆から群衆へと神の言葉を宣べ伝えた。そ
してこの働きはニーファイ自身がすべてのものに神の言葉をのべ国民全体に伝えられるまでつずけられた。
ヒラマ10,18,ところが民はニーファイの言葉に聞き従わず、不和がその間に起ったから、人民は分裂して剣を以て
殺し合うようになった。
ヒラマ10,19,これでニーファイの民を治める判事治世の71年目は過ぎ去った。