ヒラマ11,,
ヒラマン書 第11章
ヒラマ11,*-*,大飢饉起る。民が主に立ち帰り再び繁栄する。不和争闘が起る。ガデアントン強盗団再び起る。
ヒラマ11,1,判事治世の72年目に不和がいよいよ増大して全国いたる所ニーファイの全国民の中に戦が始まった。
ヒラマ11,2,このような戦争、破壊罪悪をひきつずき行わせたのは、まことにあの強盗秘密結社であったが、この戦
はその年の始めから73年目の終りにかけて2年間つずいた。
ヒラマ11,3,そこで73年目にニーファイは主に祈って言った。
ヒラマ11,4,”主よこの民が剣にて亡ぶることを許したもうな。むしろ民にその神なる主を思い起こさしむるために、こ
の地に飢饉が起したまえ。おそらく民は悔い改めて主に立ち返らん。”と。
ヒラマ11,5,そうすると本当にニーファイが祈った通りになった。その地に大飢饉があってニーファイ人の全国民は
みなこの飢饉に逢い、74年目にも飢饉がつずいて剣のために亡びるのは免かれたが飢饉のためにひどい滅亡を
受けた。
ヒラマ11,6,この滅亡は75年目の始めからその終りまでつずいて、土はのろわれて乾き、穀物は実るはずの時節が
きても実らず、ニーファイ人の国もレーマン人の国も全地ことごとくのろわれて、ひときわ悪い民の間には何千人と
言う死人があった。
ヒラマ11,7,人民は自分らが飢饉のためにまさに全滅をしようとするのを見ると、その神である主を思い起し、またニ
ーファイの言葉を思い返すようになった。
ヒラマ11,8,そこでとうとう民はその高等判事らと司たちとに次のようなことをニーファイに通じて欲しいと言った”私た
ちは汝が神の みこころにかなう人であることを知っている。それであるから、願わくはわれわれの滅亡について汝
が予言したことがみな起らないように、われ
ヒラマ11,8-1,神である主にこの飢饉を止めたまわんことを祈りたまえ”と。
ヒラマ11,9,判事たちは民が願った通りをニーファイに通じたが、ニーファイは民がすでに悔い改めて粗末な服を身
にまとってへり下っているのを見、再び主に祈って言った。
ヒラマ11,10,”主よ、見たまえ、この民は悔い改めたり。かれらはその中よりすでにガデアントン強盗団を追い払いた
れば、その結社はもはやなくなり、その秘密の計ごとは地の中に埋めて隠れたり。
ヒラマ11,11,主よ、この民はへりくだりたれば、主の御怒りを解きてすでに亡ぼしたもうたるあの悪人らの滅亡を以て
満足し主の怒りをなだめたまえ。
ヒラマ11,12,主よ、主の怒り、まことに主の激しき怒りを解きてこの地を悩すこの飢饉を止めたまえ。
ヒラマ11,13,主よ、わが祈りを聞きたもうて祈りの通り地上に雨を降らせ、実るべき時期には実をならせたまえ。
ヒラマ11,14,主よ、われが剣の禍が終るよう飢饉を生ぜしめたまえと祈りしとき、主はわが願いを聞き届けたまえり。
また主は’この民もし悔い改むるならばその命を助けん’と仰せたまえば、われは主が今もなおわが願いを聞き届け
たもうことを知る。
ヒラマ11,15,ああ主よ、民が自分に下りし飢饉、悪疫、破壊のために悔い改めたることは主がこれを見たもう。
ヒラマ11,16,今、主よ、主の怒りを解きて民がこれより主に事うるならば、主は御誓いの通りかれらを祝福することを
叶わせたもうべし”と。
ヒラマ11,17,そこで76年目に主はその怒りを解いて地上に雨を降らせたもうたから、木の実のなる時節には木の実
がなり、穀物の実る時節には穀物が実った。
ヒラマ11,18,それであるから民は喜び楽しんで神を崇め全地は喜びに満ちた。従って民はもうニーファイを殺そうと
はせず、かえってニーファイは偉大な予言者である、神から大きな権能と威勢とを授かった神のみこころにかなう人
であるとしてかれを尊んだ。
ヒラマ11,19,見よ、ニーファイの兄弟であるリーハイは義を行うことについては少しもニーファイに劣らなかった。
ヒラマ11,20,それでニーファイの民はこのようにしてまた地上に栄え、荒れ果てた所をみな恢復し、人口がふえて北
の地方にも南の地方にも西の海から東の海に至るまで全地の面を覆うようになった。
ヒラマ11,21,さて76年目はおだやかに終り、77年目もおだやかに始まった。そして教会は全地にひろがって、ニー
ファイ人もレーマン人もその大部分が教会に属して国中まことにおだやかであった。これで77年目は暮れて行っ
た。
ヒラマ11,22,78年目は予言者らの宣べた教義の中で23の点について僅ばかりの論争があっただけで、そのほか
みなおだやかであった。
ヒラマ11,23,79年目には多くの争闘が起ったが、ニーファイ、リーハイおよびその同僚である多くの人々が毎日多
くの啓示を受けて教義の本当の意味を悟っていたから、民に教えを説いてその年の内に民の争いをしずめた。
ヒラマ11,24,ニーファイの民を治める判事治世の80年目には、数年前にニーファイの民から別れてレーマン人と一
しょになり、自分からレーマン人と呼んだ数人の謀叛人が居り、またレーマン人の正統の子孫であってこの謀叛人
に扇動せれてニーファイ人を怒るようになった幾人か
ヒラマ11,24-1,居ったが、これらの者は共になって同胞である兄弟を攻め始めた。
ヒラマ11,25,この者共は人殺しと掠奪を行って山の奥、荒野の中そのほか秘密の場所へ逃げて捕えられないように
隠れるのを常としていたが、日々この仲間に加わる謀叛人があったから毎日その数がふえ、
ヒラマ11,26,多くの年もたたないのに極めて強大な強盗団になったが、ついにガデアントンの陰謀をことごとく探り
求めてこれを見破り、ガデアントン流の強盗となった。
ヒラマ11,27,この強盗はニーファイ人とレーマン人とをさんざんに荒しまわった。
ヒラマ11,28,そこでこのような暴行を止めさせることがぜひ必要であったから、この強盗団を探し出してこれを亡ぼ
すために、強い兵士から成る1軍隊を野と山とに送り出した。
ヒラマ11,29,ところが、この軍隊は同じ年の内に自国へ追い返された。このような有様でニーファイの民を治める判
事治世の80年目は過ぎて行った。
ヒラマ11,30,81年目の始めに、兵はあの強盗団と戦うために再び出て行ってこれを多く殺したが兵もまた大損害を
受けた。
ヒラマ11,31,こう言うわけで、山野にはびこる強盗の数がまことに多かったから、兵は野山を出て再び帰国するほか
はなかった。
ヒラマ11,32,これでこの年は暮れて行ったが、強盗はいよいよその数がふえて強大となり、ニーファイ人の全軍とレ
ーマン人の全軍とが聯合した大軍を物ともせずに全地の住民を非常に恐れさせた。
ヒラマ11,33,それはこの強盗が国のここかしこに侵入して甚しい破壊を行い、多くの民を殺し、あるいは多くの者な
かんずく女子供をとりこにして荒野へつれ去ったからである。
ヒラマ11,34,そこで民は自分らの罪悪のために受けたこの大きな災難にはげまされて、その神である主を再び思う
ようになった。
ヒラマ11,35,このような有様で判事治世の81年目は過ぎて行った。
ヒラマ11,36,82年目になると、民はまたその神である主を忘れ始めて、83年目にはますますその罪悪に耽り、84
年目になってもその行いを改めなかった。
ヒラマ11,37,そして85年目には民の慢心がますます甚しくなり、悪事に悪事を重ねて再び滅亡に陥ろうとしてい
た。
ヒラマ11,38,このようにして85年目が終った。