イテル8,,イテル書  第8章
イテル8,*-*,善王オーメルの息子ジェレド、イキシと共に叛いて王の位を奪う。争闘と流血。殺人秘密結社。近代の
異邦人がこのような兼書をつくることを警める。
イテル8,1,シュールはオーメルを生み、オーメルは父のあとを受けて国を治めた。オーメルはジェレドを生み、ジェレ
ドはその息子や娘たちを生んだ。
イテル8,2,ジェレドはその父に叛いてヘツの地に移った。ジェレドは巧な言葉で多くの者にへつらい、国の半分まで
その味方にした。
イテル8,3,それから後その父と戦ってこれをとりことし、その自由を奪った。
イテル8,4,そこでオーメルはその生涯の半分をとらわれの身で送ったが、かれは息子や娘を生み、その中にエスロ
ムとコリアントメルと言う2人の息子があった。
イテル8,5,この2人はその兄弟のジェレドが悪事をしたことを非常に怒り、軍勢を集めてジェレドと戦った。2人は夜
戦って、
イテル8,6,ジェレドの兵を殺し、さらにジェレドもまさに殺そうとしたが、ジェレドはもし自分の命を許してくれたら父に
王の位をゆずり返すと言って命乞をした。それで2人はジェレドの命を許した。
イテル8,7,さてジェレドはその王国や世の中の栄華に執着していたから、王の位を失うことを非常に悲しんだ。
イテル8,8,ところが、ジェレドの娘は非常に賢く巧な者であったから、その父の悲しむのを見て再び父を王の位につ
かせる計ごとをめぐらそうとした。
イテル8,9,この娘は非常に美しかったが、その父に話して言った。父上はなぜこのように悲しみなさるか。あなたは、
私たちの先祖が大海のむこうから持ってきた歴史をお読みにならなかったか。昔の人たちがその秘密の計ごとで
国をとって大きな栄華を得たことが書いてあるでは
イテル8,10,それであるから父上よ。使をやってキムノルの息子のエキシを呼びたまえ。私は美しいのでエキシの前
で踊をおどり、エキシが私を妻にしたいと思うくらいエキシの心を喜ばせる。エキシがもし私を妻として与えたまえと
父上にねがったなら、エキシにわが父王の首を持
イテル8,10-1,きたなら私を妻として与えると約束をなしたまえ、と。
イテル8,11,オーメルはエキシの友であった。ジェレドが使をやってエキシを読んだので、ジェレドの娘はエキシの前
で踊をおどってエキシを喜ばせた。それでエキシはジェレドの娘を妻にしたいと思い、私の妻としてまらいたいとジ
ェレドに願った。
イテル8,12,するとジェレドは”お前がもしもわが父王の首を持ってきたなら娘を妻にやる”とエキシに答えた。
イテル8,13,そこでエキシはその親類をみなジェレドの家に集めてこれに言った”あなたたちは、今私があなたたち
にたのむことについて私に忠誠を誓ってくれるか”と。
イテル8,14,かれらはみな答えて、エキシの望む助けと相違する行いをする者はその首を切られる、またエキシが自
分らに示すことを何ごとでも洩す者は殺されるとエキシに誓った。この誓いをかれらは天の神と、天と地と、自分ら
の頭を指して誓ったのである。
イテル8,15,かれらはこのようにエキシに誓ったから、エキシは昔権力を貪る者共が用いた誓約、すなわち世の始め
に人殺しを企てたカインから伝わった誓約をかれらに立てさせた。
イテル8,16,このような誓約は、悪魔がこれを民に立てさせてひきつずき民を悪の中に居らせ、権力を貪る者を助け
てこれに権力を得させ、人に殺害、掠奪、虚言などをさせ、またあらゆる罪悪とみだらな行いとをさせるために、悪
魔の力で代々伝えたものである。
イテル8,17,ジェレドにこれらの昔の誓約の方法を探し求める心を起させたのはジェレドの娘である。そしてジェレド
は今エキシにも同じ心を起させたので、エキシはその親類と友だちとにこの誓約を立てさせて甘い言葉の約束で
かれらをまどわし、自分の心のままを行わせたのであ
イテル8,18,この者どもは昔の人々のように秘密結社をつくったが、このような結社は神の目から見て極めて憎むべ
きもので、ほかのどのようなものよりも悪い。
イテル8,19,なぜんらば神は何事も秘密結社を以て行いたまわず、また人殺しをするを良しとなしたまわず、かえっ
て人間が造られてからこのかた全くこれを禁じたもうからである。
イテル8,20,私モロナイはこのような誓約の方法と結社の組織とを書きしるさない。この同じ誓約と結社とが諸国の民
の中にあることを私は示された。またそれがレーマン人の中にあることも私は知っている。
イテル8,21,私が今記録する民であるジェレド人はこの誓約と結社があったので亡びた。ニーファイの民もまたそうで
ある。
イテル8,22,権力を奪い利益を得ようとして、このような秘密結社を助けて全国に拡がらせる国民は亡びる。それは
秘密結社のために殺される主の聖徒らの血が、土の中から裂けんでその結社に報いたまわんことをいつもねがう
のに、主がただこれを聞くだけで報いをせずにおきたも
イテル8,22-1,決してないからである。
イテル8,23,異邦人よ、これらのことをあなたたちに知らせるのは神のみこころにかなうことである。これを知るによっ
て、あなたたちはその罪を悔い改めることができ、また権力を奪い利益を得るために起こされるこのような殺人結社
を抑えて、あなたたちを支配させないようにす
イテル8,23-1,できる。これだけではなく、もしこの結社をあなたたちの中におく時にあなたたちが受ける滅亡、すな
わち永遠の神の正義の剣が頭の上へ落ちてきてあなたたちを亡ぼすところの滅亡をまぬがれることができる。
イテル8,24,従ってこのような秘密結社があなたたちの間にできるのを見るときには、この結社のためにあなたたちが
受ける境涯の恐ろしいことを思って自ら警めなくてはならない。これは主が仰せになる命令である。この命令を守ら
ないと、すでに殺された者たちの血が、土の中か
イテル8,24-1,秘密結社とこれを助ける者とに報いたまえと主にねがい求める。から、その結社とこれを助ける者とは
禍である。
イテル8,25,誰であってもこのような結社を弘める者は、すべての地とすべての民とすべての国の自由を奪い取ろう
とする者である。また結社そのものは悪魔が作ったものですべての民に滅亡を来すのである。悪魔は一切の偽りを
生む親であって私たちの始祖を誘ってまどわし、最初
イテル8,25-1,人殺しをさせ、人間の心をかたくなにして最初から人間に予言者らを殺させ、石でこれを撃たせ、こ
れを追い払わせたあのいつわり者である。
イテル8,26,私モロナイは以上のことを書き記せと言われたが、これを書くわけは悪がなくなるため、またサタンが世
の人々をまどわす力を失って、世の人々がすすめを受けてたえず善いことを行い、すべての義の源へきて救われ
る時がくるようにするためである。
最終更新:2008年07月05日 02:34