イテル15,,イテル書  第15章
イテル15,*-*,ラマの丘、すなわちクモラの丘。大戦争の準備。何百人が死ぬ。コリアントメル、シズを殺す。イテル
の結びの言。ジェレド人の記録終る。
イテル15,1,コリアントメルはその傷がなおった時にイテルが自分に言った言葉を思い出した。
イテル15,2,そしてすでに剣にかかって命を落とした同じ国の人の数がほとんど2百万人に及び、2百万人の力があ
る男ばかりでなくその妻子もまた一しょに命を落した有様を見て歎き悲しみ、
イテル15,3,自分の悪い行いを悔い改めまたすべての予言者が告げた事を思い出して、これまでその予言が全く当
っているのを認めて心に悲しみ、慰めを得ることができなかった。
イテル15,4,そこでコリアントメルはシズに手紙を書いて人民の命を助けてほしい、もし助けるならば自分は人民の命
を助けるために王の位をシズに譲ると言った。
イテル15,5,シズはこの手紙を受け取り、コリアントメルに返事を書いて言った。もしもコリアントメルが自分から公算し
てきてわが剣のために殺されてもよいならば、人民の命は助けてやろうと。
イテル15,6,ところで民はその悪事を悔い改めなかった。コリアントメルの味方は扇動されてシズの味方に対し怒りを
抱き、またもシズの民はコリアントメルの民と戦った。
イテル15,7,コリアントメルあさに敗けようとする形勢を見て、またシズの味方から逃げ、
イテル15,8,リップリアンクムの湖へ行った。リップリアンクムと言う名は大と言う意味がある。もしくはすべてに優ると
言う意義がある。かれはそこへ着いて陣を張った。シズもコリアントメルの陣の近くに屯していたから、両者は翌日
にまた戦を交えた。
イテル15,9,そして烈しく打ち合ってコリアントメルはまたも負傷をし血を失って気絶した。
イテル15,10,しかしコリアントメルの軍はシズの軍に迫ってこれをうち破り退却させた。シズの軍は南の方へ逃げて
オーガツと言う所に陣を取った。
イテル15,11,コリアントメルの軍はラマの丘に近い所にその天幕を八田。ラマの丘は私の父のモルモンがあの神聖
なもろもろの記録を隠して主の御手に託した所である。
イテル15,12,この2箇所でコリアントメルとシズとは、イテル1人を除いてまだ殺されない民を全部集めた。
イテル15,13,さてイテルが国民のすることをすべて見ると、コリアントメルの方を善いと思う者はコリアントメルの軍へ
集り、シズの方を善いと思う者はシズの軍へ集った。
イテル15,14,そこでこの2人は全国のあらゆる人を集めて、誘いよせられるだけの人々を自分の方へ誘いよせ、なる
べく自分の軍勢を強くする仕事に4年を費した。
イテル15,15,やがて国民はことごとくみなその妻子を伴って自分で善いと思う軍へ入った。ここに於て男も女も子供
もみな武器を持ち、楯と胸当とかぶととを身に着け、完全な武装を整え相対して出陣した。そして1日中互いに戦
ったが勝敗はなかった。
イテル15,16,その夜になるとかれらは疲れて各々その陣に帰り、その味方の死者を非常に悲しみ歎き、甚しく泣き
叫ぶ声の大きいことは空を引き裂いて響きわたるほどであった。
イテル15,17,両軍は翌日また出て戦、その日は非常に残酷な有様で過ぎたが勝敗はなかった。そして夜になると
死んだ味方をまた悲しみ悼む歎きの声が空を裂いて響きわたった。
イテル15,18,ここに於てコリアントメルはまたシズに手紙を書いて、シズが再び戦に出てこず、コリアントメルのゆず
る王の位を受けて民の命を助けてほしいと言った。
イテル15,19,しかし主の”みたま”はもはや国民を導き励まさないようになり、また人民はもはや亡びるに足るほどの
その性質をかたくなにしその心を暗くしたのでサタンは全く民の心を支配する力を得た。それで民はまたも出て行
って戦った。
イテル15,20,かれらは1日中打ち合って夜になると武装のまま眠った。
イテル15,21,翌日になるとまた夜になるまで戦った。
イテル15,22,夜その有様を見るに怒りに酔っていることはあたかも葡萄酒に酔っている人のようであって、また武装
をつけたまま眠った。
イテル15,23,その翌日も両軍相戦ったが、このたびは日暮れになってコリアントメルの味方で52人とシズの味方で
69人とを除くほかは、みなもはや剣にかかって命を落した。
イテル15,24,そしてその夜も武装したまま眠って夜が明けるとまた戦い、剣と楯とを以て一日中力かぎりに撃ち合っ
た。
イテル15,25,その夜になって数えるとシズの方には32人、コリアントメルの法には27人の者が残り、
イテル15,26,食事をすまして明日は死ぬ用意に眠りについた。この残りの兵はみな身体が大きく力の強い者たちで
あった。
イテル15,27,さてそれから、かれらは3時間相戦ったがあまり多く血を失ってついに気絶した。
イテル15,28,この時コリアントメルの味方は起って歩く力を回復するや、命が惜しくて逃げ出そうとしたが、シズはそ
の味方と共に起ってコリアントメルを必ず殺す、この志が遂げられなかったなら、自分の剣で死のうと怒りながら誓
った。
イテル15,29,それで、シズはコリアントメルの味方を追いかけて翌日これに追いつきまた剣で打ち合った。その結果
コリアントメルとシズとの2人を除いてそのほかの者はみな剣にかかって命を落した。見よ、シズはあまり多く血を失
ったから気絶してしまっていた。
イテル15,30,そこでコリアントメルはその剣によりかかってしばらく休んでからシズの首を打ち落した。
イテル15,31,この時シズはその首を打ち落されながらも1度は手をついて身をもたげたがまた倒れて、息をつこうと
身をもがきながら最后を遂げた。
イテル15,32,コリアントメルもまた地に倒れてまるで死んだ者のようであった。
イテル15,33,ここに於て主は出て行けとイテルに命じたもうたから、イテルは出て行き主の御言葉がみな事実になっ
ているのを見てその記録(私モロナイはその100分の1さえも書いていない)を書き終り、これを隠しておいて。その
隠し方がよかったので後になってリムハイの民
イテル15,33-1,見出したのである。
イテル15,34,イテルの書いた最后の言葉は次の通りである。すなわち”主がわが体を変えて死の味を知らしめずに
天に移したもうとも、またわれにこの肉体のまま世に生き永らえて主のみこころをなさせたもうとも、もしわれが神の
王国に救わるることだにあらばあえて心にかくるに
イテル15,34-1,アーメン”と。
最終更新:2008年07月05日 02:33