飯綱落とし

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飯綱落とし - (2017/12/02 (土) 09:24:00) のソース

//事実誤認を訂正し、記事の体裁を再構成。
#ref(o0381042911256547358.jpg,,right,height=300,title=忍者に再戦の文字はない)
#ref(o0401054411256547360.jpg,,left,height=480,title=この技を見た者には、死、あるのみ)

#clear

&font(20,b,i,#b94047){「&ruby(しゅく){夙}忍法 飯綱落とし。&br()&space(4)だれも破ることはできぬものを……」}

投げ技の一種。
格闘ゲームにおいては、相手をつかんで跳び上がり、きりもみ回転しながら頭から落とすのが主流。

なお本来は漢字(飯=いい、綱=つな)からして「い''づ''なおとし」と読むのだが、簡単さから「い''ず''なおとし」と書かれる事が多々ある。


**由来
元ネタは白土三平の代表作『カムイ外伝』の主人公・カムイの使うオリジナル忍法である。&link_anchor(*1){*1}
「夙」はカムイの生まれた部落の名で流派があるわけではなく、カムイ以外に使い手はいない。
忍者漫画の大家として知られる白土氏だが、この技は実在する格闘技としての「忍術」ではなく、
プロレスから着想したのであろう、とファンからは推測されている。

名前の由来は、修行中に新忍法の開発を試みていたカムイが、[[飯綱イタチ>いたち]]の観察から産み出したことによる。
//作中でカムイは地上戦用の必殺技「[[変移抜刀>梨花]][[霞斬り>如月影二]]」を、空中戦によって破った強敵のマシラを仕留める為、飯綱の姿を参考に新しく編み出した……。という経緯があるので
//そんな経緯は無い。森では霞斬りを使うメリットが無く使えなかっただけで破られてないし、開発したのは抜け忍になる前で、対マシラ用でもない。
『カムイ伝』の描写では、
+イタチ、地上で山鳥に襲いかかる。
+山鳥、苦し紛れに空中へ飛び立つ。
+山鳥、空中で力尽き落下。
+イタチ、''山鳥をクッションにして墜落時の衝撃を免れノーダメージで着地''、狩り成功。
という一連の流れに着想を得て、
「樹上戦時に相手を背後から捉え脳天から逆落としにし、自分は衝撃を免れる必殺技」
として完成した。
つまり「飯綱を落とす」技ではなく、「飯綱の着地のごとく相手だけを地に落とす」技である。
//では何故飯綱落としという名称なのかというと、カムイはイズナがジャンプして鳥を捕食した姿に着想を得たから。
//ダウト。「飯綱が(獲物を)落とす技」というのも不正確。

このため本来は、相手が空中にいる状況を作り出してから決める忍術であり、
カムイは格闘ゲームのようにジャンプで空中に持ちあげて落とすようなことはしない。
ついでにきりもみ回転もしない。
ここを考慮すると、格ゲー界で最も原点に近い飯綱落としは、並み居る忍者を差し置いて『龍虎2』の[[ユリ・サカザキ]]のものとなる。
後にKOFシリーズで技をパクリまくる彼女であるが、参戦時から既にその才能を萌芽させていたようだ。
%%抜かりは無いッチ!%%

|百聞は一見にしかず&nicovideo(sm88599)|

69年放送のアニメ『忍風カムイ外伝』OPより。飯綱落しは0:38~。敵忍者チビ過ぎね?とか言わない。
ちなみに、このアニメの後番組として始ったのが『[[サザエさん>磯野波平]]』。

なお原作漫画では「落とし」表記だが、アニメ版では「&b(){&ruby(おと){落}し}」表記で、送り仮名の「と」はいらない。
一応漫画版でも台詞中でたまに「落し」になることはあるが。


術の性質上、身体が密着してしまうため、自爆覚悟の敵には弱い。
わざとカムイに背後をとらせ、刀で自分ごと刺し貫く「飯綱返し」なる技を使ったくのいちがその一例だが、
カムイがあらかじめ刃物を通さない鎖帷子を着込んでいたため無効化された。
これについてカムイは
&font(b,#b94047){「術者はおのれの秘術をあみだした時 その術を破る方法も考えるものだ。」}
とコメントしている。
//&bold(){「コピー対策に返し技もセットで開発しておいた」}と言うオチがついている。
//元の台詞をねじ曲げすぎ。
しかし切られて絶命寸前の名も無き忍者が、傷口に火薬を隠して飯綱落としを誘い自爆した時は、
さしものカムイも火薬の臭いに気づくのが遅れたため逃げ損ね、一時的に失明状態となりピンチを招いている。
『カムイ伝』に登場する兄弟子「風のトエラ」にいたっては、火薬をちらつかせるだけでカムイに自ら技を解かせている。
そのほか他心通(読心術)でカムイの技を察知し変わり身の術で回避した黒雲斎なんてやつもいるのだが、
「エスパーに弱い」はさすがに弱点とは言わないだろう。
//しかしさしものカムイも「爆薬を仕込み密着したカムイ諸共[[自爆>自爆技]]する」捨て身の策は見抜けず、爆発によって目をやられ、黒雲斎([[雲黒斎%%(ウンコくさい)%%>野原しんのすけ]]ではない)を相手に不利な戦いを強いられることとなる。
//全然違う。見抜いたことは見抜いたし、爆発で目をやられ苦戦するのは黒雲斎撃破後の別エピソードで、黒雲斎戦時のカムイに負傷は無い。
また後述される「仲間に見せた際」には着物の襟元につっかえ棒を入れて置くことでダメージを防いでいたが、
カムイが信頼を得る為に手加減をしていたであろう事は明白なので、やはり弱点と言うのは難しいだろう。

***地上版飯綱落とし
空中戦用の技なので地上では使えないだろう、と開けた場所で戦おうとする相手にはこちらが炸裂する。
跳躍して相手の頭上を越えてから、
-そのまま胴に腕をまわし半回転、ランニングパワーボムの要領で立ち木などに叩きつける
-空中で旋回してから背後をとり、地に足をつけずにジャーマンスープレックスの要領で地面に叩きつける
の2パターンが存在する。
格ゲーでは前者を[[ガイ]]の「武神イズナ落とし」が、後者を[[バルログ]]の「イズナドロップ」が模倣している。
特にバルログの重力を無視したかのような不自然な投げ様は、漫画版の描写をきわめて忠実に[[原作再現]]したものである。
さすがスペイン忍者というほかない。

地上版はオリジナルと違ってまだ手加減がきくため、殺す気の無い場合や、わざと技を披露する場合にもよく使用される。&link_anchor(*2){*2}
このため、飯綱落としを見た者は死あるのみとか言ったり言われたりするわりに、見たどころか食らったうえで生きてる者もわりといる。&link_anchor(*3){*3}


**格ゲーでは
『[[ストリートファイターII]]』(1991年)のバルログによる地上版の模倣が最初期のものだが、
CPU専用キャラだったためか、元ネタが古かったためか、あまり認知度は高くない。
『II'』でプレイヤーキャラとなった際も、同状況で使うフライングバルセロナアタックに隠れた印象である。

格ゲー界でその名をあげたのは『[[餓狼伝説]]2』(92年)の[[山田十平衛]]の必殺技「大いずな落とし」・超必殺技の「ダイナマイトいずな落とし」だろう。
元ネタを「地上で相手をつかんで飛び上がり、落とす」という認識に変化させたのも十兵衛だということになる。
翌年『[[サムライスピリッツ]]』(93年)で忍者の[[服部半蔵]]が「モズ落とし」を使い始めたが、当時はこちらが十兵衛の真似という印象すらあった。
なお十平衛は、原作そのままの空対空投げとしての「いずな落とし」も使用可能。
……が、半蔵はシリーズ常連になったのに対し、
十兵衛は&s(){[[チビなエロジジイ>早乙女乱馬]]故に人気がなかった}『3』以降リストラされてしまった為、今日ではその功績を忘れ去られつつある。十平衛ェ……。

なお半蔵の技の名前はイタチ(イヅナ)ではなく鳥(モズ:百舌鳥)の方に成ってしまっているが、
これはモズに「捕らえた獲物を木の枝や棘に[[串刺し>シエル]]にする」「百舌の早贄」と言う習性があり、
これにちなんだ「忍法百舌」と言う技が実在した(と子供向けの忍者本に描かれていた)のが元ネタと思われる。
内容的には、相手に組みつき(折れて尖った)枝等に押し付けて[[串刺し>スコープドッグ]]にする技。
なので、実際は飯綱落としよりも(串こそ無いが)[[寄り切り>四条雛子]]や[[ゴッドプレス]]の方が近かったりする。

そんなわけで格闘ゲーム界においては
「地上で相手をつかみ、空中に運び上げて逆落としにする忍者の[[コマンド投げ]]」
が「いづな落とし」であるものと定着している次第。
忍者はもちろん、見た目の格好良さから忍者以外にも使用者は多い。

***使用する忍者
-[[ガイ]]……「武神イズナ落とし」、「回転イズナ落とし」
-[[ガルフォード]]……「ストライクヘッズ」、「ダブルメガストライクヘッズ」など
-[[このは]]……「このは落としの術」
-[[翔]](バトルマスター)……「スクリュー飯綱落とし」
-[[颯紅葉]]……「宇宙飯綱落とし」
-[[颯鳳葉]]……同上
-[[ナイル]]……「そっちは私の抱き枕よ!」
-[[ストライダー飛竜]]……名称不明(通常投げ)
-[[バイオスパーク]]……「イズナ落とし」([[カービィ]]も使用できる)
-[[服部半蔵]]……「モズ落とし」、「真・モズ落とし」など
-[[服部半蔵鮎香]]……「彩雲陸忠・百舌落とし」
-[[パピー]]……「ストライクドッグ」、「メガストライクドッグ」など
-[[バルログ]]……「イズナドロップ」、「ローリングイズナドロップ」など
-[[マキ]]……「戯天狗」
-[[増田千穂]]……「飯綱落とし」(空中投げと[[コマンド投げ]]「延落殺」からの派生の2種類)
-[[リュウ・ハヤブサ]](DOA版)……「飯綱落とし」
//順番はどうしたもんかね。
//50音順にしてみた。

***忍者以外
-[[カービィ]]……『SDX』のコピー能力「[[ニンジャ>バイオスパーク]]」の技「イズナおとし」。[[スマブラ>大乱闘スマッシュブラザーズ]]シリーズでも投げ技の1つとして使用。(スマブラXでは何故か[[メタナイト]]も似た技を使える)
-[[キャプテンアメリカ]]……超必殺技「ファイナルジャスティス」の〆
-[[グリフォンマスク]]……「ジャスティスハリケーン」(必殺技)「イカロスクラッシュ」(空中投げ必殺技)「ビッグフォールグリフォン」(超必殺技)
-[[豪鬼]]……名称不明(X-MENでの空中投げ。非常にマイナーな技)、「百鬼豪墜」(ZEROシリーズでの百鬼襲からの派生投げ)
-[[デミトリ・マキシモフ]]……「バットダイブ」(Pボタン版通常投げ)、「デモンフライ」(空中投げ)、「ネガティブストーレン」(必殺技)
-[[戸川めぐみ]]……「スパイラルボンバー」
-[[モリガン・アーンスランド]]……「ベクタードレイン」
-[[山田十平衛]]……「いずな落とし」(空中投げ)、「大いずな落とし」(必殺技)、「ダイナマイトいずな落とし」(超必殺技)
-[[ユリ・サカザキ]]……「いづな落とし」(龍虎2とCVSでの空中投げ。KOFでは「燕落とし」になるが、モーションはほぼ同じ)


***その他
[[藤林すず]]……同じ名前の技を使うが''投げ技ではない''。
[[天馬星座の星矢]]……「ペガサスローリングクラッシュ」(原作漫画やアニメなら服部半蔵どころかバルログよりも古い。)
//縦に回転する →しません。
[[アマテラス]]……(原作では神器・鏡を裏装備にすると裏攻撃がガードになるのだが、これを[[タイミング良く出すと>ジャストディフェンス]][[投げ技へ派生する>当て身投げ]]。MUGENにおいてもリアス式海岸氏製の擬人化アマテラスに、当て身技『天落とし』として搭載されている。)



***関連項目:[[コマンド投げ]]

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&aname(*1,option=nolink){*1}
カムイは『カムイ伝』の主人公でもあるのだが、差別の打破や階級闘争が作品のテーマとして打ち出されたことで、
やはり主人公の一人である農民の正助が物語の主軸となり、立場上カムイは傍観者でしかなくなってしまう。
%%終盤だと正直カムイに出番がないことすら忘れるほど存在感がない%%
そもそも『カムイ伝』の「カムイ」は忍者カムイの個人名ではなく、
自然や人間の美しさ・強さへの賛美を表す言葉としての「カムイ」であるため、これはこれで間違いではない。
しかし忍者漫画の大家たる白土氏の創造した魅力ある忍者キャラを活躍させないのはあまりに惜しいということで、
別の出版社にて、カムイを主人公に据え本編に入れられない忍術合戦が描かれたのが『カムイ外伝』である。

&aname(*2,option=nolink){*2}
たとえば抜け忍仲間の信用を得るため、互いに自分の得意技を見せ合う場合など。
だがしかし、二人組の姉弟忍者が仕掛けてきた際、弟に地上版をかけ、隠れている姉に力の差を見せつけ追撃を諦めさせようとしたら、
加減を間違って弟がぱっぱらぱーになってしまい、かえって姉が復讐に燃えてしまった、なんてこともある。
ちなみにアニメ版では、弟の面倒を看るためカムイを諦めようとした姉に、
忍小頭が「やつ(弟)は一人で生きていく。キチガイはキチガイなりに生きていくものだ。」と暴言を吐いて追撃を強要、
姉はカムイに飯綱返しを無効化され死ぬが、ばかになった弟は死体を姉と気づかず「おまえ誰?」と関心を示さない、
という原作を凌ぐ血も涙もないエピソードになり、当然ながらあんまりすぎて現在では放送できなくなっている。

&aname(*3,option=nolink){*3}
余談ながらこの飯綱落とし、『カムイ伝』ではいまいち扱いがよろしくない。
そのうち飯綱落としの開発秘話描くよ、と予告されてから実際に描かれるまで空白期間が約2年、
その本編初お披露目も風のトエラによっていきなり破られてしまう。
しかもカムイ自身、トエラにはきかないんだろうなあ → やっぱりきかなかったな、とまるで期待していない。
そのほか強敵・搦の手風にも通用せず、名のある相手に決めたのは、忍者ではない松林蝙也斎に対する地上版くらい。
これも手加減していたので蝙也斎はその後も生存しており、あれ?飯綱落としで死んだ奴なんていたっけ?状態。
まあ格ゲーの必殺技だって必ず殺すわけでもないし、
『カムイ伝』では飯綱落とし以前にカムイの扱いが扱いなので、些細と言えば些細なことであるが。