「『全知全能』は"未来を視る"力ではない。"未来を改変する"力だ」
漫画『
BLEACH』の登場人物にして、最終章『千年血戦篇』のラスボス。
担当声優は一護の斬魄刀・
斬月も演じている
菅生隆之
氏。
アルファベットの綴りは「YHWACH」と表記されており、神の聖名を表す神聖四文字「
YHVH」が名前の由来と推測されている
(聖四文字は「主の聖名はみだりに口にしてはならない」と普段はヘブライ語の頭文字のみを表記して代用していたら、
長い歴史の中で
密かに口伝していた筈の真の名を失伝してしまったという物で、通説だと「ヤーウェ」「ヤハウェ」などの説が有力だが、
実は本当に「ユーハバッハ」だった可能性も微粒子レベルで存在するかも知れない)。
余談だが、
朽木白哉、
藍染惣右介、銀城空吾など「歴代の一護が闘ってきたボスキャラは名前に色が入っている」という法則に彼のみ当てはまっていないが、
作者は作品完結後に「ごく初期の設定ではユーハバッハにはユーハバッハ・ベルツという仮名がついていた(BELTZはバスク語で「黒」)」と明かしている。
滅却師で構成された「見えざる帝国」の皇帝にして、現存する全ての滅却師の祖とされている。
「争いを好まない」と言いつつ敵どころか部下達も容赦なく殺す唯我独尊を絵に描いたような独裁者だが、
これは誕生時に視覚・聴覚・触覚や声帯の感覚が無く、所謂「四重苦」を持って生まれてきた事に由来している。
彼は霊子を奪う能力を持つのがデフォルトの滅却師でありながら他者に「魂を与える力」という真逆の力を持った最初の存在で、
他者に触れる、或いは触れられることで自らの魂の欠片を与え、その者の心身の欠陥を満たすことができる。
それと同時にその者が得た知識・才能・能力・経験などの全てはユーハバッハの魂に刻まれ、
さらにその人間が死ぬと与えた魂は自分に還り、その者の能力などを全て受け継ぎパワーアップする。
この能力によって人々は信仰していた神の名で自身を崇めたことで、その神の名を自ら名乗るようになった模様。
「滅却師の祖」とされるのは、彼の誕生以降の世代の滅却師が何らかの形でユーハバッハから力を与えられた者の血縁者のため。
これにより上記の四重苦を克服したのだが、他者を殺すなどして簒奪を続けなければいずれは四重苦に戻ってしまうため、
敵味方を問わず殺戮を続けているのである。
このため、因縁深い護廷十三隊の死神を殲滅すると同時に、霊王の力を取り込み、
現世・尸魂界・虚圏を一つにすることで、全ての人間を死の恐怖から開放することを画策した。
また、古参幹部らしきロバート・アキュトロン曰く「嘘が嫌い」とのことで、
それは単に嘘を付くのも付かれるのも嫌いという域を超えており、
存在意義が不要な(と自分が考えた)物が存在する事もユーハバッハにとって許し難い嘘らしい。
過去にも尸魂界に侵攻した事があったが、山本元柳斎重國に敗れている。
また、
石田雨竜の祖父である石田宗弦はかつての部下(それも大幹部クラスだった)らしいが何らかの理由で離反されている。
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考察(ネタバレあり) |
明らかに滅却師の範疇を逸脱した能力の持ち主だが、劇中では明確に公言されていないものの、
霊王を「父」と呼んでいた事や、霊王宮に来た時のユーグラム・ハッシュヴァルトの発言、
完結後のエピソードを描いた小説『Can't Fear Your Own World』で明かされた情報などから、
ファンの間ではユーハバッハは「霊王の欠片の所有者、もしくは霊王の欠片が人として転生した存在」という説が有力視されている。
そしてアニメでは原作で明かされなかった事実が補完され、明言こそされていないが「霊王の滅却師の力」が転生したと思しき場面が描かれた。
また、ユーハバッハの動機も原作より詳細に明かされることになった。
ユーハバッハは力を奪う際に力を奪った相手の死に際の絶望と苦悶の声を日頃から聞いており、その事に対して強い不満を抱いていた。
そのため、世界が生と死によって分たれていることを憂いており、一度尸魂界との不可侵条約を持ちかけられた際には激高して事実上の交渉決裂となったが、
その際後述のようにある方法で能力を封じられるも、これにより力を取り込んだ際の苦悶の声も止んだ。
ユーハバッハが強引に能力を取り戻さなかったのは、封印解除が無理だっただけでなく、一時とはいえ悩みの種が消えたためでもあるらしい。
また、もう一つの理由としてユーハバッハは「霊王が滅却師を見限った」と解釈していたためである。
滅却師はその霊子を消滅させてしまう特性上、三界という霊子を循環させる世界の枠組において居場所がない存在であり、
霊王アドナイェウスは自身の能力でその未来を視通していた……視通してなお三界成立を受け入れた、
つまり滅却師が冷遇の果てに駆除されると知ったうえで霊王アドナイェウスが甘んじてその未来を受け入れたことも、
ユーハバッハが現世・尸魂界・虚圏を一つにしようとした動機である。
……ただし、これについてはユーハバッハの主観も大きく、霊王アドナイェウスは「ユーハバッハには未来が見えない存在」を見ることができ、
それに希望を見出して三界成立の道を選んだ可能性もゼロではないのだが。
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戦闘能力 |
上記の通り「略奪」と「譲渡」の力を持ち、特に譲渡の力を発展させたのが「聖文字」であり、
これにより他者に自分の魂の一部を与えて強大な能力を獲得させることが可能で、
これを授けられた幹部達が「星十字騎士団」のメンバーである。
作者曰く、ユーハバッハには単語が本人の身体に刻印されたような形で見えており、
英単語に応じた能力を与えているのではなく、星十字騎士団の26人に中に欠員が出た際に、
欠けた文字を持つ者を選んで聖文字を与えていたらしい。
このため、文字を与えて力を外付けしていたというよりは、
聖文字を持つ者が元々持つ素質を発現させる類の能力らしい。
また、自身が不要と判断した滅却師から強制的に力を奪う「聖別」という能力もあり、
過去に起きた 一護の母・黒崎真咲の死と雨竜の母の死の遠因となっている。
ただし純粋な滅却師には必ず通用するらしいが、理由は不明ながら雨竜には効かなかった。
ユーハバッハが自身に与えた聖文字。
未来を見通し、未来を意のままに改変するというチートな能力で、
これから起こりうる未来をその場で自分にとって都合のいい様に書き換えることができる。
この能力で完全虚化を制御した一護の天鎖斬月も卍解した瞬間にへし折り一切の反撃を許さず敗北させており、
さらに、未来すべてに対して力を行使することで井上織姫による事象の拒絶による斬月の修復も無効化している。
この力のため他人による予測に価値を感じておらず、前述の事情もあって、
現状報告を命じた部下が予測を述べたので処刑という暴挙に出て新章開始早々読者の度肝を抜いた。
ほぼ打つ手が無いように見える能力だが、霊王関連の事象には能力が及ばない。
また、あくまで干渉できるのは未来だけであり、過去改変能力は阻害することができず、
上記の斬月修復を阻害した際も、過去改編能力を持つ月島秀九郎により、
「ユーハバッハによって改変されなかった」という過去を後から挟み込むことで対処されている他、
過去改編を前提とした「月島が過去改編するという」未来を予知できていなかった。
この他、未来予知は視覚を通じて行うため、 藍染惣右介は相性最悪の天敵で、
予知した光景も鏡花水月が起こす視覚も含めた五感に作用する完全催眠の効果対象であり、
誤認した未来に干渉しても改変は正常に機能しないため、「全知全能」を封殺されてしまう。
そして視覚に頼るということは、登場人物が突如過去の姿に戻るなどの事態が起きた場合に時系列を見誤るなど、
見えた光景の解釈をユーハバッハ自身が誤ることもあり得る。
また、劇中では機会が無かったが雨竜の「完全反立(アンチサーシス)」も、
既に起きて確定した物事を入れ替えるという性質上、戦いになれば対抗できる芽があるかもしれないとされている。
過去にある方法で封印されており、最初に尸魂界に侵攻した際は使用自体ができなかった。
アニメでは原作で描かれなかったその経緯が描写されている。
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ネタバレ注意 |
劇中で大きな決め手となったのは「静止の銀」と呼ばれる金属で作り出された鏃。
この金属は聖別で死亡した滅却師達の体内にごく少量発生する物質であり、
それ故に聖別の発動者即ちユーハバッハの血と鏃を混ぜることで、
ユーハバッハの能力を一瞬のみ停止、無効化にする効果を備えているのである。
ユーハバッハ達もその存在を知らず、そもそも1人の人間に発生する静止の銀はごく少量で武器など作れないはずだが、
石田竜弦は愛する妻も含めた聖別の犠牲者達を片っ端から解剖して金属を集め、この武器の生成に成功していた
(雨竜が父と不仲なのはこの事情を知らないまま母の死骸を解剖した父を糾弾したため)。
竜弦がどこでこの物質の特性を知ったのかは不明だが、見えざる帝国の古参幹部の口から、
宗弦が聖別と同じく滅却師の力が消えるリスクがある滅却師最終形態の研究に固執していたと発言が出ていたため、
前の展開を振り返ると、上記の特性を発見したのは宗弦でかなり昔からユーハバッハの打倒を画策して、
滅却師最終形態にて静止の銀の人工的生成を試みていた可能性が高い。
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MUGENにおけるユーハバッハ
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雑魚氏製作 EXユーハバッハ |
2019年のクリスマス記念に公開されたユーハバッハ。
記念日公開に合わせたとのことで、まだ未完成とのこと。
AIは未搭載だが、2023年3月にはFおとこ氏による外部AIが公開された。
攻撃レベルと防御レベルが存在し、 永久を狙うように立ち回らせたりバリアの使用頻度を上げることが出来る。
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最終更新:2025年04月11日 23:30