仮面ライダーセイバー


「物語の結末は、俺が決める!」

2020年9月からテレビ朝日系列で放送された東映の特撮ドラマ『仮面ライダーセイバー』に登場する仮面ライダー
当然ながらサーヴァントではないし、ガンダムでもない。
強化形態にアーサー王物語モチーフのものがあるので、前者の作品は意識しているかもしれないが。
また5年前にも似た名前の仮面ライダーが登場しているが、あちらは「セイヴァ」である。前述したガンダムの名前も意味はこっちの方だったりする。
ただ、OP曲「ALMIGHTY~仮面の約束」の冒頭に「Save」という歌詞があるため、こちらも掛詞として意識されてはいる模様。
無論セイハーセイヤーとも関係無い。一応前者の方はサブライダーの変身者(のそっくりさん)が『セイバー』の本編に登場していたりするが

なお本作のプロデューサーとメインの脚本家は、「英雄の幽霊を呼び出して憑依させる」という『仮面ライダーゴースト』と同じタッグであり、
スピンオフ作品にて直接のクロスオーバーも行われていたりする。

変身者は神山飛羽真。「かみやま とうま」と読む。演者は内藤秀一郎氏。
本作の仮面ライダーは、基本的に全員が「聖剣」に選ばれた資格者であり、
同時に世界を守る「ソードオブロゴス」という組織に所属しているが、
飛羽真はソードオブロゴスには所属しておらず、外部協力者の仮面ライダーという扱いである。

+ 変身者「神山飛羽真」の詳細

「確かに、本には世界を変える力がある。だけど、それは人々を幸せにする力だ!」

『ライダー』シリーズの主人公としては珍しく自営業で、小説家として活動しつつ、
同副業で書店「ファンタジック本屋かみやま」を経営している(副業までやっている主人公は初)。
小説家としては相当な売れっ子作家らしく、毎回衣装が違ったり書店も印税で購入したらしき描写があったりと経済的にかなり余裕がある様子を見せる
(基本的に作家というのはそれだけで生活する事はできず、本業が別にあって作家業は副業と言うケースが多い。
 作中ヒロインには本屋の方は作家がダメだった場合の保険とか言われてたが)。
後述の約束に関する信条から締め切りを破るような事はせず、
むしろ状況が複雑化した際には剣士としての活動に専念したいから2ヶ月分の原稿を先行して仕上げようとしたりと、かなりの速筆。
モデラーとしても名前が売れているらしく、本屋にある自作の巨大ジオラマは雑誌から取材を受ける程であるなど、
芸術方面においては非常にハイスペックな人物である。
ヒロインの須藤芽依が担当編集者でもあり、時に事件解決後に原稿を催促される事もある。
本に対して並々ならぬ愛着があり、特に「本の力を悪事に使う」事には強い否定の姿勢を示す。
こうした本への造詣の深さと、小説家として働く中で培ったであろう慧眼から、
ライダー作品の主人公としては珍しい参謀タイプであり、戦闘の際には文学の知識により敵のメギド魔人の能力を見抜いたり、
敵の言動や外見から由来を推し測り、攻略の糸口となる書籍を発見するなど、
その能力を遺憾なく発揮している。
逆に元来が小説家なので剣を使った直接戦闘に不慣れなのか、ワンダーライドブックの能力に頼ってしまう傾向にあったり、
その察しの良さが仇となり、ソードオブロゴスに裏切り者がいるという疑惑が出た際には、
真っ先にそれが事実だと悟ってしまったが故に、
疑惑を抱く事自体を裏切り行為とみなしたメンバー達と対立してしまった事も
(飛羽真自身は「話を聞いてくれ!」と説得しようとしていたが、他のメンバーが様々な事情でそれを拒んでしまった)。
また、「約束」に対しても非常に重く見ており、「約束は自分の人生、守るべきもの」が信条。
仲間に裏切られ妻子を失い悪に墜ちた相手に対して「人のせいにするな」「1000年間、勝手に絶望してただけ」と断じるなど、敵に対しては冷淡である。

物語開始時点では一般人として暮らしていたが、その時点で既にブレイブドラゴンワンダーライドブックを所持しており、
さらに普通のホモサピエンス人間では扱えない聖剣ソードライバーに選ばれるなど、
出自に何らかの謎がある事が示唆されている。
飛羽真自身、剣士が本の魔物と壮絶な戦いを繰り広げ「謎の少女」が助けを求めるという、
実体験のような夢を頻繁に見ており、自分の記憶に欠落があるのではないかと考えていたが、
ストーリーが進む中で、自分が15年前にメギドが引き起こした事件に巻き込まれていたという記憶を取り戻した。

中盤以降は、一般人だった自分と異なり元々剣士としての鍛錬を重ねてきた他の変身者を理解するために剣を交え続けた結果、
打ち込み稽古を繰り返した形になり、作家としてのみならず剣士としても成長する描写がある。
+ ネタバレ注意
上記の少女は「ルナ」という名前で、現実世界とワンダーワールドを繋ぐ能力を秘めており、
2000年前にワンダーワールドの存在を確認した「始まりの五人」を導いたとされる巫女の後継者のような存在。
先代の巫女もかつて始まりの五人の内の一人を「守護者」と認定し、ワンダーワールドの力全てを制御できる力を授けたのだが、
同等の力を秘めていたルナは無意識的に飛羽真をこの「守護者」に認定していたらしい。

+ 何故飛羽真は選ばれたのか?(終盤のネタバレ注意)
『セイバー』の世界は「全知全能の書」という一冊の本によって構成されており、
この本には文字通り世界の全ての事柄が既に記述されている。
それこそ「誰が何を発明した」「いつ戦争が起こる」どころか「世界の終焉」ということまで記載済みであり、
『セイバー』世界には本当の意味で人間が創造したものは存在しない。
飛羽真が選ばれたのも、
この「全知全能の書」に「神山飛羽真が仮面ライダーセイバーに選ばれる」ことが既に記載されていたからであった。
つまり、『仮面ライダーセイバー』とは、既に決まったセイバー坂運命のレールの上を登場人物達が全力疾走している物語なのである。

要するに、飛羽真はあくまでそういう星の元に生まれたのであり、身体的にはまったくもって普通のホモサピエンスである。
確かに歴代の平成ライダー達には普通のホモサピエンスではない(or)連中もいるけどさ
昭和ライダー?ビルド?そいつら全員改造人間だから論外

『ビヨンド・ジェネレーションズ』では、クローンライダーという形で仮面ライダーアクセル、スーパー1、1号にも変身した。
1号では鉄パイプ片手に頑張っていたが、武術家で「魔法無効」の噂もあるスーパー1は「剣と魔法のファンタジー世界」にはヤバ過ぎるような?

+ 作風
SF色の強かった前作『仮面ライダーゼロワン』との差別化のため、剣と魔法のファンタジーのような世界観となっている他、
放送時点のファンタジー小説の流行のトップである「異世界転移」要素もあり、
現実世界に加えて「ワンダーワールド」と呼ばれる本の中の異界も主な舞台となっている。
加えて前作がシリアスに寄り過ぎた反省点から低年齢層を意識した明るい作風を意識して作られており
平成以降のライダー作品としては珍しくEDも存在する(しかも踊るスーパー戦隊のそれより恋ダンスの系譜という意見もあるが)。
前作の敵組織である滅亡迅雷.netが勧善懲悪とは言い難い彼らなりの大義を持った敵であったのに対し、
本作の敵「黒い本棚」のメギドはそれに伴い、相互理解不能なスタンダードな悪役として描かれている
(「黒い本棚」は設定上の組織名で本編に名前が登場した事は無い)。

最大の特徴として、『セイバー』の番組の冒頭か最後において、
「タッセル」というケバい服装をした謎の男が前回のあらすじや今後の展開などに言及する演出があり、
『仮面ライダーセイバー』という番組自体が、幼稚園や保育園の絵本の読み聞かせのように、
タッセルが視聴者に向けてセイバーが描く物語を披露しているかのような番組構造となっている。

一方で、平成以降のライダー作品ではお約束となったライダーバトルや内ゲバも存在し(特に中盤以降に顕著)、
善玉のはずの組織にきな臭い部分が見られるなど、過去のライダー作品のようなシリアス要素もきちんと用意されている。
加えて、前述のタッセルも中盤に至るまで語り部のような立ち位置に徹して本編には登場せず、
その正体など、様々な要素で視聴者の考察欲を掻き立てる作風となっている*1

余談だが、スタッフが狙ったのかは不明だが、
「主人公が赤き龍の力を使う」「異界が物語の根幹に関わる」など、『仮面ライダー龍騎』との共通点が多い。
「ドラゴニックナイト」は正に龍騎オマージュである。
前述の「セイバー」の初出作品何かと『龍騎』と比較されたこととは多分関係無い
また、「剣をメインモチーフにしたヒーロー」で「先代の剣士から名を受け継ぐ」といった点は、
前年のスーパー戦隊『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(こちらは竜は竜でも恐竜)とも共通しており、
そちらでは先代役にライダー俳優が出演していたのに対し、『セイバー』での先代役には戦隊レジェンド俳優が起用と対になっている。

+ 装備・能力
  • 聖剣ソードライバー
変身ベルト。「聖剣」というワードから察しが付く通り、武器にして変身ベルトと言う特殊なアイテムで、
鞘に納まった剣を思わせる見た目をしており、ワンダーライドブックを装填し、脇部分に収まっている剣を抜刀する事で変身する。

  • 火炎剣烈火
炎の剣士たる仮面ライダーセイバーの所持する聖剣。
「火炎剣」の名の通り刀身に炎を纏わせる事ができ、熱を帯びる程に力を増す性質を持つ。
2000年前にソードオブロゴスが組織された際、元から存在していた「光剛剣最光」と「闇黒剣月闇」を真似て、
人の手で造られた最初の人工聖剣であり、いわば組織の持つ聖剣のプロトタイプというべき存在。

厳密にいえば元から存在していた二振りの聖剣は大いなる本(後述)と共にあった、
「剣としての用途もある大いなる本の栞」のような存在だったらしく、これらが持つ超常的な能力は、「栞」を通じて本の特定のページを開帳するように、
現実世界から個々の聖剣に対応したワンダーワールド由来のエネルギーを引き出すというメカニズムで実現しており、
後世で複製された聖剣もそれに倣って作られた物らしい。

本作に登場する聖剣は、聖剣ソードライバーとそこに納刀された聖剣で構成される「抜刀型」、
聖剣とは別にワンダーライドブックを収める固有のドライバーが付属している「連動型」、
ドライバーが存在せず聖剣自体に変身機能が内蔵されている「単体型」という種別に分類されるが
(いずれも公式で正式に使用されている呼び方ではなくファン独自の呼称)、
火炎剣烈火は1番目の抜刀型であり、3タイプの中で最も拡張性に優れており*2
最大3冊までのワンダーライドブックの同時運用や、
使用する聖剣と同系色のワンダーライドブック3冊で変身する形態「ワンダーコンボ」などを実現できるが、
代わりに使用するワンダーライドブックが増えるほど剣士へかかる負担も相応に大きくなるデメリットがある。

  • ワンダーライドブック
本型のキーアイテム。
はるか昔、世界を創造し神話、物語、生物、科学技術の源など、ありとあらゆるものが刻まれ、
森羅万象を司ってきたという書物「大いなる本」が、
その書物を奪おうとする者達により起こされた戦乱の中で分離して散らばった断片。
いわば、個々のワンダーライドブック自体がアカシックレコードの欠片のようなものと考えて差し支えない。
聖剣ソードライバーの「必冊ホルダー」に装填して聖剣でリードする事で力を発揮する。

単体でも強力な力を持つが、別の本と組み合わせて連鎖的に強力になる場合もあり、
特にドラゴンヘッジホッグピーターの、
「戦う妖精さん」(顔は美人だが筋肉が妖精の一般的なイメージに反してムッキムキ)を召喚して、
ラリアットからのネックブリーカードロップに繋げる必殺技「火龍怒髪天」は視聴者にいろんな意味で印象を残した。

なお、劇中初期の解説では太古に大いなる本を守るために「聖剣」が生まれた後に、
大いなる本がワンダーライドブックと化し散らばった、とされていたが、
何故それ以前に誕生した聖剣に後発のワンダーライドブックをリード、
もしくは発動する機能が備わっているかは定かではなかった。
後にワンダーワールドの管理者であるビクトールが語ったところによれば、
実際には大いなる本がワンダーライドブックと化した後に彼が戦いを止めるために最初の聖剣を作り出したとのことで、
上記の昔話は長い年月を経て変質した話だったようである。後付け?気にするな!

+ 主要形態
  • ブレイブドラゴン
ソードライバーのライトシェルフにブレイブドラゴンワンダーライドブックを装填し、火炎剣烈火を引き抜く事で変身するセイバーの基本形態。
ワンダーブックには炎・水・雷・土・音など様々な色で属性分けがされており、異なる色であればワンダーライダー形態
(前述のドラゴンヘッジホッグピーターもワンダーライダー)。
同系統の色を読み込ませればそれだけ剣の属性が強まり(剣の属性+○冊とカウント)、強化される。
3冊まで読み込めるのは火炎剣烈火・水勢剣流水・雷鳴剣黄雷のライトシェルフのみ。

  • ドラゴンアーサー
ブレイブドラゴンワンダーライドブックとキングオブアーサーワンダーライドブックで変身する派生形態。
キングオブアーサーはワンダーライドブックの中でも特に強力な力を秘めており、
火炎剣烈火に加えて召喚した巨大剣「キングエクスカリバー」を用いて戦える他、
巨像キングオブアーサーを降臨させる事ができる。
キングオブアーサーが光臨すると、キングエクスカリバーだけではなくワンダーブックを読み込んだ変身者も武器として扱う。
カリバー相手に初抜刀した時に飛羽真は「アーサー王は仲間である円卓の騎士達を信じた」と言ってるけど、
原典からしてドロッドロの人間関係なのは触れてあげない方がいいか

  • ドラゴニックナイト
アヴァロンで入手したワンダーライドブック状のアイテムがセイバーの意思に同調し変化した
「ドラゴニックナイトワンダーライドブック」で変身した形態。
全身が光り輝く白銀の甲冑を纏った騎士のような外見へと変化しており、
龍の顔を模したガントレット型の武装速読器「ドラゴニックブースター」を備え、
右側の赤いボタンを押して口部分を展開し、ワンダーライドブックをリードする事で様々な能力を発揮できる。

この形態の覚醒には、上記のルナの干渉があった事が示唆されている。

  • プリミティブドラゴン
サウザンベースで秘匿されていた禁書「プリミティブドラゴンワンダーライドブック」と既存のワンダーライドブックを使用し変身する暴走フォーム。
禁書事態がファンタジー作品でよくある「呪いのアイテム」であり、アイテムそのものに自我が宿っている類で、
変身者は表紙の「スペルバインディング」の効果により、ライドブックに宿るプリミティブドラゴンの意思で意のままに操られてしまう。
プリミティブドラゴンワンダーライドブック自体が一部判読不能に陥っているため、ワンダーライドブックの力の解放が不完全な状態にあるが、
失われた伝承の空白域を補うように既存のワンダーライドブックの力を強制的に引き出す「プリミティブハンド」を利用し、
強引な変身を可能にしている。
不完全体とはいえ既存の形態を遥かに上回るスペックを持つが、火炎剣烈火を持ち手ではなく刀身を鷲掴みにして振るうなど、
その戦い方は剣士のそれとはかけ離れたケダモノ的なものである。

本来は敵幹部であるストリウスがサウザンベースに潜入した際に禁書を入手し、諸事情で鉢合わせた飛羽真を相手にその力を実験しようとしたが、
ストリウスには制御できず、禁書はその場にいた飛羽真を一方的に所有者に選び、
戦いの度にその身体を乗っ取っては敵味方の区別なく襲い掛かるようになる。

上位互換のエレメンタルプリミティブドラゴン入手以降は出番が無かったが、
最終回で孤立無援の状態で奈落に叩き落された飛羽真を自発的に救出。
それまで暴走扱いだった変身者の意思にかかわらず身体を操作する特性がまさかの形で飛羽真を救うことになり、
世界の崩壊に伴うワンダーライドブックの消失現象からは逃れる事は出来なかったが、
この際に飛羽真を生き永らえさせた事が後の逆転劇に繋がる一手となった。

  • エレメンタルプリミティブドラゴン
本作の中間形態。
「プリミティブドラゴンワンダーライドブック」に加えて、飛羽真が即興で創作したプリミティブドラゴンの伝承の続編から誕生した、
「エレメンタルドラゴンワンダーライドブック」を併用する事で変身する。
プリミティブドラゴンのもたらす圧倒的な物理的スペックはそのままに、エレメンタルドラゴンの四元素の力が追加され制御を可能にしただけでなく、
「エレメンタル」の名の通り聖剣が元々持つ炎を操る力が大幅に強化された他、水、風、土属性の攻撃を放つ事が可能になり、
さらに自身の身体をエレメント化して自動で攻撃を回避する事も可能となっている。

  • エモーショナルドラゴン
映画『不死鳥の剣士と破滅の本』に登場。
バハト/仮面ライダーファルシオンが所持する「破滅の本」から出現した2匹の白と黒のドラゴンと、
ブレイブドラゴンがクロスしたことで融合変化して形成された「エモーショナルドラゴンワンダーライドブック」で変身する形態。
劇中の描写から2匹のドラゴンは破滅の本を悪用する者へのセーフティ的な存在であることが示唆されており、
破滅の本を利用しようとした仮面ライダーファルシオンに対して絶大な特攻効果のある形態となっている。
劇場版限定形態かと思われたが、本編でバハトが登場したことに伴い、この形態も作中で使用された。
特徴的な黒い盾は『仮面ライダーフォーゼ』に登場したシールドモジュールの流用で、
塗装のリペイント以外は当時のプロップがほぼそのまま使われている模様。

  • 仮面ライダークロスセイバー
最強形態。
火炎剣烈火を中心に11の聖剣全ての力を集約することで誕生した新たな聖剣「刃王剣十聖刃(ハオウケンクロスセイバー)」を用いて変身した形態で、
カラーリングが夜空のような色模様になっている以外は、ブレイブドラゴンとそっくりな容姿をしており、
前作の最強形態である仮面ライダーゼロツー同様シンプル方向のデザインとなっている。

刃王剣十聖刃は聖剣の力を引き出す事に特化している為、ワンダーライドブックを読み込む「シンガンリーダー」は備わっていないが、
代わりに聖剣や属性の力を無効化してしまう無銘剣虚無を除く、10本の聖剣の力を全て行使可能であり、
さらに創造力豊かな変身者であれば全知全能の書を制御する力を発揮することができ、
これにより因果律に干渉して、万物に宿る無限の可能性や、新たな物語の創造へと繋がる因果を自在に手繰り寄せることも可能。
劇中では敵の攻撃で破壊された街を、世界規模で破壊が起きなかった事象へ書き換える所業をいとも簡単に実行している。

また、ドライバー自体は聖剣ソードライバーを使用しているため、
ブレイブドラゴンに他のワンダーライドブックを組み合わせて更なる派生形態となることも可能。
劇中ではストームイーグル、西遊ジャーニーのブックを用いた「クリムゾンセイバー(コンボは特装版)」や、
ブレイズのライオン戦記、エスパーダのランプドアランジーナと組み合わせた「フィーチャリングセイバー(コンボは豪華三冊)」を披露した。
ただしブレイズとエスパーダは変身に必要なワンダーブックを貸している為、変身しているのが飛羽真だけというやや残念な状態に。

カラーリングを除けばゼロツー以上に初期形態のコンパチに見える容姿だが、
その特徴的な模様は機械的な塗装ができず、全身の模様を職人が手描きで描いたとのことで、
美術班はこのスーツを作るのに相当な労力を強いられたらしい。

  • スーパーヒーロー戦記
『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』で登場したフォーム。
『ゼンカイジャー』のゼンカイザーと合体した奇跡のフォームであり、容姿もゼンカイザーを彷彿とさせるものになっている。
過去にスーパー戦隊の力を使った事例はあれど、スーパー戦隊に関連するフォームは史上初。
こちらは経緯的に正真正銘の劇場版限定フォームである。
ちなみに、最終決戦で出現した多くのヒーロー達は謎の少年の描いた絵と、
ゼンカイザーと融合してワンダーライドブックになる前の飛羽真が書き上げた本により出現している。
乱戦時に似てない声で決め台詞としては微妙なセリフを一部のヒーロー(特にスーパー戦隊側)は言っていたが、
その原因の半分は飛羽真由来ということになる…。

  • 仮面ライダーオールマィティセイバー
最終回に登場した形態。
名前の由来は主題歌『ALMIGHTY〜仮面の約束』から。
ゼロワンのリアライジングホッパーと同じく基本形態のブレイブドラゴンと同じ姿をしており、
ルナを媒介に炎・水・雷・風・土・音の聖剣の力を集結させて飛羽真が紡ぎ出した新たなる全知全能の書、
「ワンダーオールマイティワンダーライドブック」で変身する。
その力はクロスセイバーをも上回り、
全ての物語系のライドブックの力を宿し、必要に応じてそれらのブックの力を自在に引き出す事が可能なだけでなく、
ソードライバーを介して仲間に全知全能の力を伝播させて強大なバフを与えることができる。

ワンダーオールマイティワンダーライドブックは世界の終わりまで記された既存の全知全能の書と異なり、
作り手である飛羽真の手により新たな物語が綴られた場合を想定した余白が存在しており、
これにより「無限の可能性」を人間の想いから生み出す特性を備えている。
既存の全知全能の書に書かれた内容を追記・改変することは絶対にできず、
そこに書かれた「世界の滅亡」という不可避の結末を止める事も不可能なはずであったが、
世界を書き換える力で滅亡を水際で阻止して繋ぎ止めた刃王剣十聖刃と、新たな全知全能の書であるワンダーオールマイティライドブックの力を合わせて、
未完の続編を執筆して新しいワンダーワールドを構築することでまず世界の安定を実現。
さらに旧ワンダーワールドの消滅やアルターライドブック生成によって消された人々の物語も一つ残らず書き直すことで、
戦いの末に犠牲になったユーリなども含めて、一度滅亡した世界を文字通り全て「元に戻した」のである。
結末の決まった物語を「自分が続きを書く」という文豪ならではの形で覆した存在である。

なお、この紹介だけ見るとさらっと作ったように見えるが、
  • 聖剣が全てでなくてもある程度揃えば全知全能の書の目次録にアクセスできると二代目仮面ライダーカリバーが証明していた
  • プリミティブドラゴンの一件で飛羽真が新たなワンダーライドブックを作る術を得ていた
  • 既存の全知全能の書と直結する刃王剣十聖刃を使用したことで飛羽真がその力に触れていた
  • ワンダーワールドの力を制御できるルナが自らの意思で飛羽真に力を貸した
という、序盤から終盤までの過程で積み重ねた出来事で得た知識と経験のどれが欠けても誕生しなかった奇跡の形態で、
セイバーの物語の集大成に相応しい存在である。


MUGENにおける仮面ライダーセイバー

仮面ライダーキャラでお馴染みのqzak氏率いる「仮面ライダー制作Wiki」で製作されたキャラと、
それをななび氏が改変したキャラが公開中。
後者のななび氏版には仮AIが搭載されている。

4ボタン形式のキャラで、スプライトは手描きで製作されている。
必殺技は火炎剣による斬撃技が中心となっており、リーチも優秀。
超必殺技では、1ゲージ技の「火炎十字斬」に加えて、1ゲージ技に「クリムゾンドラゴン」、
2ゲージ技に「ドラゴニックナイト」「エレメンタルプリミティブドラゴン」など、強化形態となって攻撃する技が搭載されている
(なお、初期公開時はエレメンタルプリミティブに該当する技がプリミティブドラゴンだった)。

また、藤山氏によりタッセルの部屋やノーザンベースのステージが公開されている。

出場大会



*1
『セイバー』に近い年代の作品では、伏線を提示すれば視聴者の間でSNS等を通じて早々に考察が拡散する事が多かったため、
エグゼイド』の永夢の過去や、『ビルド』のブラッドスタークの正体のように、
視聴者のストレスにならないよう、伏線の提示後さほど間を空けず答えを提示する作風が主流となっていた。
そのため『セイバー』のように謎を引っ張るスタイルは実は久々だったりする。
まぁ歴代の作品でも瞬瞬必生で投げっぱなしな謎は数多くあるけどな!

その反面、メインスタッフが歴代の中でも怪作である『仮面ライダーゴースト』のチームだったことから最悪に近い下馬評の中始まり、
序盤~中盤は「専門用語が多いのに解説が足りないor詰め込み過ぎ」「組織名すら無い敵幹部連中の印象が薄くて顔と名前が覚えられない」
「作家・本屋である主人公の戦う動機と必然性が薄い」「敵と味方のそれぞれの目的がいまいちよく分からない」「なんだこのオッサン!?
など、よく理解できないまま展開が進み、登場人物間だけで盛り上がっていて話に入り込めないという視聴者の意見が頻出した。
一応予習・復習回を兼ねた総集編や番外編が作られるなど工夫もされているが、
重要な補間エピソードを有料配信サービス限定放送やDVD特典などに回しているので、
本編しか試聴していない人はさらに置いてきぼりを喰らう羽目になっており、その点から批判する声も多い。
通称「セイバー坂」(名前の元ネタはおそらく打ち切り漫画の代名詞男坂』)は絵面のシュールさから特にネタとして有名である。

尤も、本編だけでも各キャラクターの動機や性質は十分分かるように作られており、終盤までの展開を理解した上で改めて見返すと色々と気が付く点が多く、
上記の批判点が「主人公は作家だからこそ出来た展開」「敵幹部の背景が余りにもやるせない」「あのオッサン、最短で世界を守ろうとしてた」
と悉く翻る事になる。
そうした点も含め「リアルタイムで追いかけるよりも纏めて一気見する方が向いている作品」という評価で現在はある程度落ち着きを見せている。

なお後のスタッフインタビューなどでは、(特に初期において)説明不足だったり不自然な描写が多かったのは、前作『ゼロワン』終盤と同様、
世界的な新型コロナウィルス蔓延によってロケや撮影時間の制約が厳しくなった影響で当初の構想を大幅に変更しなければならず、
本編においても撮影短縮に伴う尺の都合で説明できなかったり、ボツにせざるを得なかった設定が多かった……といった事情が言及されている。
平成以降のライダー作品では珍しいバンク映像によるEDも、尺を埋めるための苦肉の策だったとか。

*2
仮面ライダーカリバーや仮面ライダーファルシオンの聖剣に該当する連動型は、
一度に使用できるワンダーライドブックは基本的に一冊のみで、
戦闘中にワンダーライドブックの交換によるフォームチェンジは行えない代わりに、
変身態の基本スペックが桁違いに高いという特徴がある。
このため、ワンダーライドブックを選ばず高い戦闘力を発揮できる反面、
スペック頼りかつ拡張性の乏しさから基礎能力で勝る相手には原則劣勢となる。
あと変身者が1人を除いて敵?ばっかり

仮面ライダーバスターや仮面ライダースラッシュの聖剣に該当する単体型は、
フォームチェンジは聖剣に相性の良いワンダーライドブック限定という制約があるが、
同ジャンルのワンダーライドブックの力を重ね掛けして強化できるというメリットがあり、
抜刀型のそれよりも負担を抑えつつ複数のワンダーライドブックの力を行使できる。


最終更新:2024年11月19日 13:19