「魔装兵 ダアク・ガロウド」
[解説]
おそらく聖華暦300年代、最強の魔装兵である。
本来魔装兵は脆弱なはずであり、機装兵から改造したり他の手段で造られた魔法戦士型魔装兵は、魔法戦士同様にどっちつかずの中途半端に終わるのが普通である。
しかしこの機体は、双方を極めて高い……いや、最高のレベルでバランスさせており、信じ難い性能を誇る。
無論、操手が暗黒騎士の中でも選ばれた12人と言う、超人たちだと言う事もあるのだろうが……。
本来魔装兵は脆弱なはずであり、機装兵から改造したり他の手段で造られた魔法戦士型魔装兵は、魔法戦士同様にどっちつかずの中途半端に終わるのが普通である。
しかしこの機体は、双方を極めて高い……いや、最高のレベルでバランスさせており、信じ難い性能を誇る。
無論、操手が暗黒騎士の中でも選ばれた12人と言う、超人たちだと言う事もあるのだろうが……。
更に言えば、この魔装兵は通常の魔法についても行使できるが、それだけでは無く暗黒魔法についてもその威力あるいは効果を増強し、行使する事ができる。
何故これほどまでに恐るべき性能を持った魔装兵を帝国が開発できたのか。
その秘密は厚い機密の壁に阻まれて、関係者以外は誰一人として知る事ができない……。
何故これほどまでに恐るべき性能を持った魔装兵を帝国が開発できたのか。
その秘密は厚い機密の壁に阻まれて、関係者以外は誰一人として知る事ができない……。
[裏話]
実はこの機体の原型となったのは、精霊機ゲインズ・ガロウド・クーロである。
帝国の工廠はゲインズ・ガロウド・クーロから得られた技術を、鹵獲した聖王国機装兵ラルグ・カリキュラから得られた技術と掛け合わせ、比較的通常の機兵に『見える』魔装兵を仕立て上げたのだ。
帝国の工廠はゲインズ・ガロウド・クーロから得られた技術を、鹵獲した聖王国機装兵ラルグ・カリキュラから得られた技術と掛け合わせ、比較的通常の機兵に『見える』魔装兵を仕立て上げたのだ。
この魔装兵ダアク・ガロウドは精霊機でこそないが、聖華暦187年のヴァース条約違反の機体である。
もともと原型機であるゲインズ・ガロウド・クーロは、精霊機だ。
その機体構造には、更なる原型である重機動人型戦闘機ゲイズ・ガロウドから得られた超科学技術が、大量に投入されていた。
もっともゲイズ・ガロウドの科学技術は、幻装兵などに用いられているソレとは系統が大きく違う物であったが。
もともと原型機であるゲインズ・ガロウド・クーロは、精霊機だ。
その機体構造には、更なる原型である重機動人型戦闘機ゲイズ・ガロウドから得られた超科学技術が、大量に投入されていた。
もっともゲイズ・ガロウドの科学技術は、幻装兵などに用いられているソレとは系統が大きく違う物であったが。
そしてこのダアク・ガロウドにも、ゲイズ・ガロウドに源流を持つ超科学技術が、数多く使われているのである。
まあ、そうでもなければ聖華暦300年代に、これほどの高い能力を持つ魔法戦士型魔装兵は、建造し得ないであろうが。
ただし鹵獲したラルグ・カリキュラから得られた技術も、この機体を通常の機兵に見せる様に纏め上げるのには、一役も二役も買っているのだ。
まあ、そうでもなければ聖華暦300年代に、これほどの高い能力を持つ魔法戦士型魔装兵は、建造し得ないであろうが。
ただし鹵獲したラルグ・カリキュラから得られた技術も、この機体を通常の機兵に見せる様に纏め上げるのには、一役も二役も買っているのだ。
ちなみにデザイン的には、ダアク・ガロウドは重量感溢れるゲインズ・ガロウド・クーロとは異なり、少々重厚な程度の機装兵に見える。
まあ、機装兵ではなく魔装兵ではあるのだが。
しかし張り出した肩、大きく威圧的な頭飾など、どことなくゲインズ・ガロウド・クーロを思わせる様な意匠も残っており、並べて見れば形状の共通性に気付く程度には類似点がある。
まあ、機装兵ではなく魔装兵ではあるのだが。
しかし張り出した肩、大きく威圧的な頭飾など、どことなくゲインズ・ガロウド・クーロを思わせる様な意匠も残っており、並べて見れば形状の共通性に気付く程度には類似点がある。
[武装]
[ショートストーリー]
旧コロラド州デンバー……現在ではデンバー遺跡群と呼ばれているそこに、帝国の要塞があった。
名をレスクヴァ要塞と言う。帝国の東を護る、要衝だ。
そしてそこは今、陥落間近であった。
聖王国軍側の将、藍鳳騎士団第五階梯聖騎士コンラッド・マクロフリンは、満足げに頷く。
名をレスクヴァ要塞と言う。帝国の東を護る、要衝だ。
そしてそこは今、陥落間近であった。
聖王国軍側の将、藍鳳騎士団第五階梯聖騎士コンラッド・マクロフリンは、満足げに頷く。
「よし、あと1歩だな」
「はっ!」
「だが気を抜いてはいかん。ここは念には念を入れるとしよう。前衛部隊に命じ、要塞外の敵防衛戦力を殲滅せしめよ」
「はっ!! 伝令を走らせます!」
「はっ!」
「だが気を抜いてはいかん。ここは念には念を入れるとしよう。前衛部隊に命じ、要塞外の敵防衛戦力を殲滅せしめよ」
「はっ!! 伝令を走らせます!」
数名の副官が、てきぱきと自分の命令を各部隊に割り振って命令して行く。
コンラッドは深い満足を感じた。
これで圧倒的な勝利を収めれば、藍鳳騎士団がお飾りの騎士団だなどと言う陰口も、囁かれなくなるだろう。
無理をして、贈賄までしてレスクヴァ要塞攻めを銀狼騎士団から譲ってもらって良かった。彼がそう思った時である。
コンラッドは深い満足を感じた。
これで圧倒的な勝利を収めれば、藍鳳騎士団がお飾りの騎士団だなどと言う陰口も、囁かれなくなるだろう。
無理をして、贈賄までしてレスクヴァ要塞攻めを銀狼騎士団から譲ってもらって良かった。彼がそう思った時である。
「斥候部隊より伝令! 通常の3倍の速度でこちらへ向かう、敵増援を発見したとのこと!」
「敵増援!? 3倍の速度だと!? 色は『赤』か!? 規模は!?」
「いえ……。機数は12機、1個増強中隊。色は……『黒』です」
「は! 驚かすな。おおかた大恥をかいた『黒剣機兵団』の出がらしに、汚名返上の機会を与えるとでも言って、時間稼ぎの捨て駒にでも使ったのだろうよ。
だが12機とは言え、引っ掻き回されるのは厄介だ。3個中隊、30機を予備兵力から送れ」
「30機もですか!? りょ、了解!!」
「敵増援!? 3倍の速度だと!? 色は『赤』か!? 規模は!?」
「いえ……。機数は12機、1個増強中隊。色は……『黒』です」
「は! 驚かすな。おおかた大恥をかいた『黒剣機兵団』の出がらしに、汚名返上の機会を与えるとでも言って、時間稼ぎの捨て駒にでも使ったのだろうよ。
だが12機とは言え、引っ掻き回されるのは厄介だ。3個中隊、30機を予備兵力から送れ」
「30機もですか!? りょ、了解!!」
そしてしばし時が経つ。伝令が駆けこんで来た。報告を聞いた副官の1人が、焦った声で叫ぶ。
「で、で、伝令です!」
「どうした。ここから見る限り、前線の様子は落ち着いて……」
「敵増援阻止に出向いた30機、ぜ、ぜ、全滅です! 1機残らず、破壊されました! 敵に、損耗なしです! 敵は前線に向かわず、迂回して本陣を狙っています! 敵の速さから言って、既に……!」
「!? く、全員機乗! 敵襲に備えよ! 近隣の部隊を呼び戻せ! 敵はただ者じゃなさそうだ! もしや『黒』色に機体を塗ったのは、こちらを油断させる手やも知れぬ!」
「了解!!」
「どうした。ここから見る限り、前線の様子は落ち着いて……」
「敵増援阻止に出向いた30機、ぜ、ぜ、全滅です! 1機残らず、破壊されました! 敵に、損耗なしです! 敵は前線に向かわず、迂回して本陣を狙っています! 敵の速さから言って、既に……!」
「!? く、全員機乗! 敵襲に備えよ! 近隣の部隊を呼び戻せ! 敵はただ者じゃなさそうだ! もしや『黒』色に機体を塗ったのは、こちらを油断させる手やも知れぬ!」
「了解!!」
コンラッドは叫ぶ。
そして一瞬で、全機が『黒』い『魔装兵』の振るった大剣で、頭から真っ二つに、開きにされた。
唖然とするコンラッド以下、本陣の面々の前で、次はバルダ・サダン隊が全滅する。
こちらは立ち向かうとか言う話以前で、単に障害物だから片付けられた、と言う感じで全機逃げる事も叶わずに粉々にされた。
こちらは立ち向かうとか言う話以前で、単に障害物だから片付けられた、と言う感じで全機逃げる事も叶わずに粉々にされた。
『ま、まさか……。暗黒騎士? そんな、馬鹿な……。『黒』の出がらしにそんな化け物どもが……』
今現在、『黒』い『魔装兵』の群れは、その象徴たる暗黒剣技も、暗黒魔法も使っていない。
だが、おそらく間違いでは無かった。
だが、おそらく間違いでは無かった。
コンラッドは独り言つ。
『ふ、ははは。我らは暗黒剣技も、暗黒魔法も使う意味を見出せぬほどの雑魚であったか。どうやら最期の様だ。
……やあやあ、良き敵と見ゆ! 我は、我こそは! 藍鳳騎士団第五階梯聖騎士コンラッド・マクロフリン!! どうやら名高き暗黒騎士とお見受けする! いざや一騎打ち、お受けいただけるや否や!?』
『……』
……やあやあ、良き敵と見ゆ! 我は、我こそは! 藍鳳騎士団第五階梯聖騎士コンラッド・マクロフリン!! どうやら名高き暗黒騎士とお見受けする! いざや一騎打ち、お受けいただけるや否や!?』
『……』
「黒」い『魔装兵』全機が、両手剣を振りかぶった。
一糸乱れぬ動きだ。当然の事だ。アルカディア帝国軍の軍法では、全軍の行動に支障を生じかねないため、一騎打ちを禁じている。
だが、せめてもの礼儀か情けか、『黒』い『魔装兵』全機の剣より、漆黒の『力』で構成された『刀身』が生成されていた。
一糸乱れぬ動きだ。当然の事だ。アルカディア帝国軍の軍法では、全軍の行動に支障を生じかねないため、一騎打ちを禁じている。
だが、せめてもの礼儀か情けか、『黒』い『魔装兵』全機の剣より、漆黒の『力』で構成された『刀身』が生成されていた。
《ソウルイーター》……。暗黒騎士が用いる、暗黒剣技の1種である。その漆黒の刃からすれば機装兵の強靭な装甲板すらも、飴も同然。
『その技で送ってくださるか。感謝する』
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