エーテリック・アクセラレーター
[解説]
エーテリック・アクセラレーターとは、基本的には機兵の魔導炉にブラッドグレイルのキューブを搭載するためのユニットである。
高品質のブラッドグレイルはオリハルコンに近い特性を持っており、それ自体がエーテル増幅装置として働くため、魔導炉に搭載できれば理論上は高出力の炉が造れるのである。
しかし実際のところは、魔導炉にブラッドグレイルを組み込むと制御不可能になって暴走し、爆発事故が相次いだ。
高品質のブラッドグレイルはオリハルコンに近い特性を持っており、それ自体がエーテル増幅装置として働くため、魔導炉に搭載できれば理論上は高出力の炉が造れるのである。
しかし実際のところは、魔導炉にブラッドグレイルを組み込むと制御不可能になって暴走し、爆発事故が相次いだ。
この装置の開発自体は、相当昔から連綿と行われていた事がわかっている。
ただし先に述べた通り、相次ぐ爆発事故により、三国のどの陣営でも何度も計画は立ち上げられ、しばらくして頓挫すると言った事を繰り返していた。
ただし先に述べた通り、相次ぐ爆発事故により、三国のどの陣営でも何度も計画は立ち上げられ、しばらくして頓挫すると言った事を繰り返していた。
かろうじて作動する自由都市同盟の実験的機体シルト・ランツェが(胴体のみではあるが)一応の完成を見たのは、聖華暦700年代末期である。
このエーテリック・アクセラレーターはそれこそ初期型であり、爆発的な出力の獲得には成功したものの操手の消耗が想定よりも激しく、乗り手を選ぶ欠陥品ともいえる代物だった。
操手の消耗が激しい理由は、ブラッドグレイルキューブから発する爆発的なエーテル流の制御を操手自身が行うという、制御上の問題点から来るものであった。
このエーテリック・アクセラレーターはそれこそ初期型であり、爆発的な出力の獲得には成功したものの操手の消耗が想定よりも激しく、乗り手を選ぶ欠陥品ともいえる代物だった。
操手の消耗が激しい理由は、ブラッドグレイルキューブから発する爆発的なエーテル流の制御を操手自身が行うという、制御上の問題点から来るものであった。
これを調整し、消耗率を抑えるよう改良はしたものの運用は難しいままであり、結果的には魔導炉とエーテリック・アクセラレーターはシステム同士が切り離され、外付け式と言う形に落ち着く。
だが結局はシステムの不安定さは残り、完全な完成には至らなかった。
だが結局はシステムの不安定さは残り、完全な完成には至らなかった。
一方アルカディア帝国においても、エーテリック・アクセラレーターの研究開発は進められていた。
帝国では、魔法≒エーテル流を反射という形で制御する御鏡装甲処理の技術があった。
帝国の中堅貴族にして技師、ディートフリート・フォン・ドレヴァンツ伯爵は、その御鏡装甲処理の技術をエーテリック・アクセラレーターに応用し、ブラッドグレイルキューブの周辺に回路状に加工したカルマートを配置することで、過剰なエーテル流を自動的に制御し、暴走爆発を防止する事を考案したのである。
帝国では、魔法≒エーテル流を反射という形で制御する御鏡装甲処理の技術があった。
帝国の中堅貴族にして技師、ディートフリート・フォン・ドレヴァンツ伯爵は、その御鏡装甲処理の技術をエーテリック・アクセラレーターに応用し、ブラッドグレイルキューブの周辺に回路状に加工したカルマートを配置することで、過剰なエーテル流を自動的に制御し、暴走爆発を防止する事を考案したのである。
このシステムの開発もまた、困難を極めた。
魔導炉内にエーテルの流れを大幅に遮断し、魔法現象の威力を減衰させる性質を持つカルマートを埋め込む事は、魔導炉自体の稼働を阻止する事に直結する。
事実、帝国で建造された試作品は、ことごとく魔導炉出力の立ち消え現象を起こし、稼働した機体は1騎とて無かった。ドレヴァンツ伯爵はこの失敗により蟄居を命じられ、失脚の憂き目に遭う。
魔導炉内にエーテルの流れを大幅に遮断し、魔法現象の威力を減衰させる性質を持つカルマートを埋め込む事は、魔導炉自体の稼働を阻止する事に直結する。
事実、帝国で建造された試作品は、ことごとく魔導炉出力の立ち消え現象を起こし、稼働した機体は1騎とて無かった。ドレヴァンツ伯爵はこの失敗により蟄居を命じられ、失脚の憂き目に遭う。
研究を諦めきれぬ失意のドレヴァンツ伯爵は、帝国と皇帝に対する恨みを募らせ、自由都市同盟への亡命を敢行する。
手土産として、御鏡装甲技術と帝国式エーテリック・アクセラレーターのアイディアを持って。
亡命は成功し、伯爵はアイオライト・プロダクションにて研究を続行した。
手土産として、御鏡装甲技術と帝国式エーテリック・アクセラレーターのアイディアを持って。
亡命は成功し、伯爵はアイオライト・プロダクションにて研究を続行した。
ここでドレヴァンツ伯爵は、幾つかの幸運に恵まれる。
アイオライト・プロダクションにはシルト・ランツェの初期型エーテリック・アクセラレーターのデータがあった。
そしてそれよりも重要な事はこの件に限り、アイオライト・プロダクションの持つ秘匿電子計算機の優先使用権が認められた事だ。
そして電子計算機による何度もの緻密なエーテル流制御のシミュレートを行った結果、最終的に3騎の試作機装兵が完成したのである。
アイオライト・プロダクションにはシルト・ランツェの初期型エーテリック・アクセラレーターのデータがあった。
そしてそれよりも重要な事はこの件に限り、アイオライト・プロダクションの持つ秘匿電子計算機の優先使用権が認められた事だ。
そして電子計算機による何度もの緻密なエーテル流制御のシミュレートを行った結果、最終的に3騎の試作機装兵が完成したのである。
1号機、2号機、3号機にはそれぞれ調整の異なるエーテリック・アクセラレーターのユニットが、魔導炉に搭載されていた。
1号機用は出力制御を緩め、パワー増幅に主眼を置いた物。
2号機用は全体的なバランスを重視。3号機用は安定性に主眼を置き、エーテル流制御を最大にした。
1号機用は出力制御を緩め、パワー増幅に主眼を置いた物。
2号機用は全体的なバランスを重視。3号機用は安定性に主眼を置き、エーテル流制御を最大にした。
結果は、次のようになった。
1号機は魔導炉エーテル出力の暴走を引き起こし、爆散。
3号機は魔導炉の立ち消え現象を起こして起動せず。
そしてバランス性を重視した調整の2号機のみが、予想通りのエーテル出力増幅性を見せて大成功を収めた。
1号機は魔導炉エーテル出力の暴走を引き起こし、爆散。
3号機は魔導炉の立ち消え現象を起こして起動せず。
そしてバランス性を重視した調整の2号機のみが、予想通りのエーテル出力増幅性を見せて大成功を収めた。
この成功作のエーテリック・アクセラレーターは、先に述べたシルト・ランツェ型に積まれた外付け式の初期型エーテリック・アクセラレーターに比すれば総エーテル出力……出力の増幅度は低い。
だが安定性、扱いやすさ、完成度では完全に凌駕どころか相手を周回遅れにして突き放しており、実用という面から見れば良い意味で比べ物にならなかった。
だが安定性、扱いやすさ、完成度では完全に凌駕どころか相手を周回遅れにして突き放しており、実用という面から見れば良い意味で比べ物にならなかった。
余談であるが、起動しなかったアマ・デトワールの3号機は後に改修され、アイオライト・プロダクションの実験機として使い倒される事になる。