魔導計算機(ノレッジ)
[解説]
魔導計算機とは、旧人類の電子計算機を模して新人類の技術者たちが造り上げた、魔力駆動のコンピューターである。
これはメビウス・ネットワークのクライアント端末機として、学習机サイズの物がもっとも数が多く、三大国すべてに広まっている。
これはメビウス・ネットワークのクライアント端末機として、学習机サイズの物がもっとも数が多く、三大国すべてに広まっている。
形状としては、でかいスチール箱を積み重ねた様な学習机状の本体の上に、機兵操縦槽の映像盤と同様の画面が置かれ、その手前に入力用キーボードがあると言う物だ。
これがもっとも良く見られる、魔導計算機であろう。
ただし名称は『クライアント端末』として知られており、計算機機能を持っている事を知らないユーザーも多いらしい。
これがもっとも良く見られる、魔導計算機であろう。
ただし名称は『クライアント端末』として知られており、計算機機能を持っている事を知らないユーザーも多いらしい。
しかしながら機能的に最前線を突っ走っているのは、自由都市同盟の最新艦艇に、砲の弾道計算用として搭載されている魔導計算機であろう。
これは旧人類のパソコン黎明期の傑作『Ap○leⅡ』にも劣らない能力があるらしい。
これは旧人類のパソコン黎明期の傑作『Ap○leⅡ』にも劣らない能力があるらしい。
いずれの魔導計算機も『プログラム内蔵方式』のアーキテクチャで造られている。
同時にその開発初期の時代に呪紋原盤記述装置と統合された事から、呪紋原盤記述装置のプログラムがソフトウェアとして、必ずと言っていいほど付属しているのだ。
同時にその開発初期の時代に呪紋原盤記述装置と統合された事から、呪紋原盤記述装置のプログラムがソフトウェアとして、必ずと言っていいほど付属しているのだ。
つまりは軍艦の弾道計算用魔導計算機に、呪紋原盤プリンターを繋いでやれば、魔導制御回路を製作するための呪紋原盤を書く事も可能だったりする。軍人、特に大砲屋はこの事を知らない者も多いらしいが。
噂では、更なる強力な魔導計算機も存在しているとの話も聞かれるのだが……?
[開発史]
聖華暦792年:
自由都市同盟に於いて、最初期型の魔導計算機が開発される。
これは電子計算機が素子内での電位差による0、1の切り替えで1ビットの二進数を表現するのに対し、内部のエーテルの粗密で0、1を表す事で内部メモリへの記憶や演算処理装置による演算を行う仕組みであった。
自由都市同盟に於いて、最初期型の魔導計算機が開発される。
これは電子計算機が素子内での電位差による0、1の切り替えで1ビットの二進数を表現するのに対し、内部のエーテルの粗密で0、1を表す事で内部メモリへの記憶や演算処理装置による演算を行う仕組みであった。
またこの装置は最初から旧人類の電子計算機を模倣して造られていたため、最初から『プログラム内蔵方式』のアーキテクチャを採用している。
旧人類が電子計算機開発の黎明期に、様々なアーキテクチャを試して混乱した様な事は無かったのである。
旧人類が電子計算機開発の黎明期に、様々なアーキテクチャを試して混乱した様な事は無かったのである。
この装置は当時用いられていた、呪紋原盤記述装置と機構的に似ていた事から、双方を統合しようという発想が出たのは不自然では無かった。
ちなみに830年現在においては、呪紋原盤記述装置それ自体は存在していない。
ちなみに830年現在においては、呪紋原盤記述装置それ自体は存在していない。
基本的にはメビウス・ネットワークの端末機になっている小型魔導計算機に組み込まれているプログラムソフトを使って記述を作り、呪紋原盤プリンターに繋いで原盤を出力するのである。
これは旧人類の歴史に於いて、初期にはタイプライターやワープロ専用機が幅を利かせていたものの、後にはパソコンにワープロソフトが組み込まれて、タイプライターやワープロ専用機が姿を消して行ったのに似ている。
この装置の大きさは学習机1個分ほどであった。だが残念ながら振動に弱く、陸上艦に搭載する事は難しかった。
そのためこれは地上基地に置かれ、陸上艦を補佐するのに用いられる事になる。
ちなみに計算能力は、昔のワンボードマイコン程度であった。
そのためこれは地上基地に置かれ、陸上艦を補佐するのに用いられる事になる。
ちなみに計算能力は、昔のワンボードマイコン程度であった。
その後この装置はとある事情により、アルカディア帝国とカーライル王朝・聖王国にも売却されるのであるが……。
聖華暦799年:
アーク・スフィアの開発開始。
第七世代機兵に用いられるアーク・スフィアは、エーテリック・アクセラレーターを制御する都合上、それまでのコード・スフィア等の魔導制御回路とは比べ物にならない制御能力が必須であった。
アーク・スフィアの開発開始。
第七世代機兵に用いられるアーク・スフィアは、エーテリック・アクセラレーターを制御する都合上、それまでのコード・スフィア等の魔導制御回路とは比べ物にならない制御能力が必須であった。
当時エーテリック・アクセラレーターを制御するのに、アイオライト・プロダクションはあくまで実験的な処置として、複数のコード・スフィアを並列稼働させていた。
しかし実用の機体ではその様な真似はできるはずも無く、また複数のコード・スフィア並列稼働は不安定さの原因にもなる。
しかし実用の機体ではその様な真似はできるはずも無く、また複数のコード・スフィア並列稼働は不安定さの原因にもなる。
困りあぐねたアイオライト・プロダクションの開発陣は、会社上層部に意見具申して、都市同盟軍研究所(開発局)に助けを求める。
無論、エーテリック・アクセラレーターの事は秘して、新型の魔導制御回路の共同開発という名目で、だ。
無論、エーテリック・アクセラレーターの事は秘して、新型の魔導制御回路の共同開発という名目で、だ。
この時、妙案を出したのが若き日のエリベルト・エルナンド技術大佐……当時、技術中尉である。
彼は決まりきった記述を積み重ねて複雑化していた魔導制御回路のルーンを全廃し、魔導計算機の構造をルーンの記述で置換した物と入れ替える事を考案したのだ。
つまりは魔導制御回路の魔導計算機化だった。
彼は決まりきった記述を積み重ねて複雑化していた魔導制御回路のルーンを全廃し、魔導計算機の構造をルーンの記述で置換した物と入れ替える事を考案したのだ。
つまりは魔導制御回路の魔導計算機化だった。
聖華暦802年:
エリベルト師が造ったひな形を元に、アイオライト・プロダクション技術陣は秘匿電子計算機の力も借りて、最初のアーク・スフィアを創り出す。
これにより、エーテリック・アクセラレーター試験機アマ・デトワールは完成を見た。
エリベルト師が造ったひな形を元に、アイオライト・プロダクション技術陣は秘匿電子計算機の力も借りて、最初のアーク・スフィアを創り出す。
これにより、エーテリック・アクセラレーター試験機アマ・デトワールは完成を見た。
アイオライト・プロダクションではアーク・スフィアを帝国と聖王国にも大枚の資金と引き換えで開示した。
ただしあくまで機体とエーテリック・アクセラレーターの制御機能のカタマリとして、である。その気になれば魔導計算機として転用できる事は、秘匿された。
ただしあくまで機体とエーテリック・アクセラレーターの制御機能のカタマリとして、である。その気になれば魔導計算機として転用できる事は、秘匿された。
また二大国に情報開示した事で不満に思った自由都市同盟に対しては、大量のフォート用もしくはライト・フォート用のエーテリック・アクセラレーター搭載魔導炉や、各種新規設計フラタニティ・フレームなどを提供する事で矛を収めさせた。
聖華暦804年:
自由都市同盟にて新型魔導計算機の完成。
アーク・スフィアに使われるエーテライト球では無く、それよりも安価で小型のエーテライト立方体(キューブ)に、これまでになく緻密に構築された呪紋原盤を転写する事で、最新の魔導計算機用の素子が完成したのだ。
これでも旧人類のLSIなどには敵わないのであるが、まともに使える魔導計算機が誕生したのである。
自由都市同盟にて新型魔導計算機の完成。
アーク・スフィアに使われるエーテライト球では無く、それよりも安価で小型のエーテライト立方体(キューブ)に、これまでになく緻密に構築された呪紋原盤を転写する事で、最新の魔導計算機用の素子が完成したのだ。
これでも旧人類のLSIなどには敵わないのであるが、まともに使える魔導計算機が誕生したのである。
同時に自由都市同盟では、メビウス・ネットワークから軍事情報を切り離して、新たに魔導計算機を用いた軍用ネットワークを立ち上げている。
従来のメビウス・ネットワークと互換性の薄い新たなネットワークは、防諜の上でもかなり有利であった。
従来のメビウス・ネットワークと互換性の薄い新たなネットワークは、防諜の上でもかなり有利であった。
もっともそれに油断して、紙にプリントアウトした情報を盗まれるなどの事態は多く発生したのだが……。
聖華暦833年:
この年の末、自由都市同盟は冒険者組合にて、システム・ハンニバル(Hanni-Bal)が生まれる。
これには旧人類の第4期LEV残骸から回収した、人格型AIを走らせるための電子計算機を参考に、新規開発されたそのほぼ同等品の魔導計算機が搭載されている。
この年の末、自由都市同盟は冒険者組合にて、システム・ハンニバル(Hanni-Bal)が生まれる。
これには旧人類の第4期LEV残骸から回収した、人格型AIを走らせるための電子計算機を参考に、新規開発されたそのほぼ同等品の魔導計算機が搭載されている。
聖華暦835年:
自由都市同盟首都の中央都市アマルーナにて、ロココ設計所とホーリーアイ武器工房の共同出資で創設されたロココ・アイズ・アミューズメント社が機兵シミュレーターを転用した機兵対戦アクションゲームによるゲームセンターを出店する。
自由都市同盟首都の中央都市アマルーナにて、ロココ設計所とホーリーアイ武器工房の共同出資で創設されたロココ・アイズ・アミューズメント社が機兵シミュレーターを転用した機兵対戦アクションゲームによるゲームセンターを出店する。
このゲームおよび軍用シミュレーターに用いられている魔導計算機は、システム・ハンニバル及びBARCAの魔導計算機には及ばないものの、かなりの高性能機である。
量産性や、調達にかかる費用がそこまで高く無い事からも、これが次世代主力魔導計算機となる事は間違い無いだろう。
量産性や、調達にかかる費用がそこまで高く無い事からも、これが次世代主力魔導計算機となる事は間違い無いだろう。