Terragen 4.4.4.67がWindowsとLinuxのレンダーノードで利用可能になりました。
ターミネータ、ポリゴン、バンプマップについて語り合いましょう。
ターミネーターの滑らかなポリゴン
コンピュータグラフィックには長年抱えた問題があります。ポリゴンでモデル化された
オブジェクトは完全な滑らかさではないかもしれませんが、シェーディング法線を滑らかに補完する事で、滑らかに見せる事が出来ます。これはほとんどの個所でうまく機能しますが、
オブジェクトがターミネータ(明暗境界線)でセルフシャドウになってしまう個所では失敗し、所謂"ターミネータアーティファクト(明暗境界線でのセルフシャドウのドット汚れ)"が発生します。鋭いエッジは、サーフェスが照明の方に向いているとシェーディング法線が示す場合、シェーディング法線がトレースされた影と一致しない場合に、ポリゴンジオメトリが陰になる個所に現れます(例トレースされた影によって引き起こされます)。
鋭いエッジ: スムーズサーフェスに近似の三角形、所謂テッセレーション(ポリゴンメッシュを三角形に変換するためにレンダラーが行う処理を言い、別の呼び方で近似とも言う)の結果によるセルフシャドウ。これまでは
オブジェクトのディティールを細かく作り直すか、サブディビジョン数を増やすなどで対処していました(それでもすべての問題は解消されていません)。
この問題を回避するために、
レンダリング時にポリゴンを細分化して滑らかにするレンダラーがあります。これは見栄えが良くなりますが、より多くのメモリと
レンダリング時間を要します(すでに
ディスプレースメントのために、これを実行している可能性があります)。一部のレンダラーでは、シャドウレイをバイアスさせる設定を選択する事が出来ますが、
オブジェクトが近くにある他の
オブジェクトから影を受け取る必要がある場合、別の問題が発生する可能性があります。適切な値を見つけるには実験が必要な場合もあり、場合によってはこの方法で解決できず、高度な細分割が必要になる場合もあります。
Terragen 4.4.60以降では、ジオメトリを変更したり光線にバイアスをかけたりする事なく、新しい方法でこの問題を解決します。
オブジェクトリーダーの[Surface Shaders]タブに、"Smooth polygons at terminator"という新しいチェックボックスがあります。デフォルトでは有効になっています。不適切なシェーディング法線やバンプマップは、それが処理出来る範囲外に押しやる可能性がありますが、将来のバージョン向けて、これに対するより完全解決策を模索しています。
Darken Bumps at Terminator(バンプマップのセルフシャドウ近似)
ターミネーターの問題に取り組んでいる間に、私たちが解決しようとした別の問題があります。高振幅、高振動数のバンプマップでは、サーフェスが影に落ちる個所にくっきりとした線が発生していました。先ほど説明したポリゴンターミネーターの修正により、ターミネーターの周りでこの問題を解決する事が出来ますが、バンプマップが非常に強い場合は、見栄えがあまり良くありません。現実的に見えるようにするには、ターミネーターやその近くで発生するセルフシャドウを近似する必要があります。
極端な例: 高振幅のバンプマップ
Terragen 4.4.60以降では、これらのケースが"Darken bumps at terminator"によって大幅に改善されています。これは、
オブジェクトリーダーと非変位
オブジェクトジェネレータの[Surface Shaders]タブの新しいチェックボックスです。デフォルトでは有効になっています。ライティングターミネーターでバンプマップのセルフシャドウを近似し、サーフェスが影に落ちるくっきりとした線を見る機会を減らします。
私たちは、Matt Jen-Yuan Chiang、Yining Karl Li、Brent Burleyの仕事(
Taming the Shadow Terminator
)に触発されました。ただし、バンプのコントラストを維持し、ターミネーターを通過する一部の光を許容し(変位されたサーフェスの場合と同様に)、光源が
カメラの背後にある時に重要なビュー依存効果を導入するために、別のアプローチを採用しました。
上の
レンダリングでは、いくつかのくっきりとした明暗境界線がまだ見えています。これはバンプマップの振幅が非常に大きい極端な例で、幾何学的な明暗境界線の周りに光が僅かに回り込み、"Smooth Polygons at Terminator"で修正出来る範囲を超えてしまう事があります。この問題は、別のアップデートでより完全に解決できると考えています。また、このモデルには、特に台座部において、ソースオブジェクトファイルによって提供された法線が正しくありません。
徹底的に見直されたバンプマッピングとライティング
レイトレースされた
オブジェクトに使用されるバンプマッピングとライティングシステムを徹底的に見直して、画質と精度を向上させました。直近の4.4ビルドには、長期に渡るいくつかの問題に対処するための変更によって引き起こされたいくつかのバグがありました。4.4.67の新しいシステムでは、これらのバグが修正すると共に、いくつかの長期に渡る問題の解決策も維持しています。
これらの変更点は以下の通りです:
- 4.4.46で導入されたいくつかのバンプマッピングとライティングのバグを修正しました。誤ったライティング位置により、非常に湾曲していたり大層変位したサーフェス上の法線が正しくありませんでした。
- バンプマップは、ライティング位置に影響を与えなくなりました。これは影の非現実的な歪みの原因となっていたためです。
- バンプマップは、シェーダが非ライティングに使用するデータに影響を与えます。例えば、高度制約はバンプマップされたサーフェスで機能します。これは負のバンプでも機能します。
このバージョンは、v4.4.xビルドを含むメンテナンスを受けているユーザーなら誰でも利用する事が出来ます。つまり、2019年3月21日までに期限切れになった場合でも、
ダウンロードする事が出来るという事です。
ビルド4.4.67は、WindowsおよびLinux
Render Nodeで使用可能です。MacOS Catalinaの新しいセキュリティ要件に調整しているため、Mac版はできる限り早く対応しますので、今しばらくお待ちください。
新しいバージョンを
ダウンロードしたり、メンテナンス状況を確認するには、TerragenのHelp/アプリケーションメニューの"Check for Updates"オプションを使用して下さい。このオプションを使用するには、Terragenがインターネットにアクセス出来る必要があります。または、
Planetsideウェブサイト
のアカウントにログインし、最新のTerragenを購入した際の詳細と
ダウンロードをご覧下さい。
メンテナンスの有効期限は最初の購入から1年間で、その後はアップデートへのアクセスを維持するために毎年更新する必要があります。2019年3月21日より前にメンテナンスの有効期限が切れた場合、バージョン4.4以降のアップデートにアクセスするには、メンテナンスを更新する必要があります。
開発進行中: Terragen 4.5
Terragen 4.5は開発中です。近日中のリリースを楽しみにしている機能を一部を紹介します。
- 『Default Shader』によるメタルネス/ラフネスワークフロー。
- より現実的な大気のためのレイリー位相関数。
- OpenColorIO(これは、視覚効果やコンピュータアニメーションに重点を置いた映画制作向けの完全なカラーマネージメントソリューションです。OCIOは、サポートするすべてのアプリケーションにおいて、シンプルで一貫性のあるユーザー体験を提供すると同時に、ハイエンドのプロダクションでの使用に適した洗練されたバックエンド設定オプションを可能にしています。OCIOは、Academy Color Encoding Specification (ACES)と互換性があり、LUTフォーマットに依存せず、多くの一般的なフォーマットをサポートしています。)
- レンダリングの高速化。
最終更新:2020年05月22日 19:47