永久コンボ(格闘ゲーム)

登録日:2011/12/14 Wed 02:09:24
更新日:2025/03/15 Sat 17:00:39
所要時間:約 4 分で読めます




永久コンボとは、対戦型格闘ゲームにおいて『片方のプレイヤーが一方的かつ永久に継続可能なコンボ』の事である。
略称として「永久」と呼ばれることが多い。


概要

内容としては「特定の攻撃やコンボのパーツ、もしくはコンボ全体をループして繰り返し当てる」ものが主流。
一旦成立すると、基本的に実行側が中止しない限りは受け手側は何も行動できなくなり、ラウンド終了まで一切の自由を奪われる。

ほぼ例外なく、開発者が想定していない調整ミスによって発生する(もしくは実現可能となる)ものである。

気絶に持ち込むことが可能な一定の連続技を繰り返し当て続けて「気絶→気絶(複数回)→KO」と繋げるもの(「星星」「星星○段」「ピヨループ」などと称される)や、
コンボのループを挟まずに連続技で体力を全て奪いきるもの(10割)は「即死コンボ」として分けて分類される傾向が多い。


なお「永久パターン(永パ)」は永久コンボとはやや異なる概念を指し示す言葉である。
元々はゲーセンのゲームはインカムのために本来どこかで強制的にゲームオーバーになるものだが、
プログラムの盲点を突いてゲームオーバーの発生を阻害する動きなどをパターン化し、延々とゲームをプレイ出来る状態を指す。

格ゲーの場合は基本的に上記とは性質が異なり、主にループコンボを延々と続けられる状況を指す。
通常のループコンボ・即死コンボとは区別して使われている。
そのため一見永パに見えるほど長いループコンボでも、実は永パではないことはざらにある。

ただし、実態はどうあれ混同して呼ばれることも非常に多い。


永久コンボの是非

基本的にはタブー視されているが、永久コンボが一つ存在するからといって該当作品が全否定されることはあまり無い。
問題は『その実現性が平易であるものはキャラクター間のバランス崩壊に直結し、対戦型の作品としての競技性を損なわせる』ということであり、内容が非常に重要なウェイトを占める。

対戦型格闘ゲームにおいて、複数存在するキャラクターのうち一人に「どのキャラクターに対しても確実に、極めて簡単かつ完遂の確実性が高く、実戦的に決めることの出来る永久コンボが存在する」という実情が発覚した場合、そのキャラクター以外を対戦で使用するメリットがなくなってしまうためである。
現実的に言えば、そこに「Aのキャラクターは全キャラに対するお手軽永久を持つが、Bのキャラクターは立ち回りの平易さで圧倒的優位、Cのキャラクターは待ちが非常に強い……」といった細かな事情が係ってくるが、この場合『Aのキャラクターは永久コンボの始動技がヒットした時点でラウンド勝利獲得』に直結すると言って差し支えなくなる。

またキャラクターバランスの崩壊とともにゲーム性が失われるのも事実で、結局勝つのは似たりよったりなキャラクターとなったり、同じ行動を延々と繰り返すだけという絵面についてもしばしば指摘される。

つまり「お手軽に出来て、画面の変化が乏しく、特定のキャラや戦法以外の使用を妨げる存在」が敬遠される、ということである。


永久コンボ発覚後の作品のその後

もともと完璧なキャラクターバランスを誇る対戦型格闘ゲームというものはほぼ存在しないと言って良く、永久コンボ抜きにしても「強いキャラ・弱いキャラ」の差は少なからず発生する。*1
そのため対戦型格闘ゲームにおいては「キャラクターの戦力差はテクニックや立ち回りでカバーして勝利を得る」というそもそもの下地が出来上がっており、この下地がその後に大きく影響してくる。

永久コンボの実現性が誰にでも完遂できるほど平易な場合や、極度に大きくキャラクターバランスが崩壊したものでなければ、公平性を欠いていることが承知でプレイがされることが多い傾向がある。*2
キャラクターバランス向上のためにプレイ時にレギュレーションを設けるといった場合も珍しくない。

MVC2、北斗の拳戦国BASARA Xなどはその代表例である。
これらは永久コンボを前提としたゲーム性がプレイヤーの手により発展・確立しており、それに併せたプレイが行われることとなった。

しかし何かを前提とする以上敷居は必ず高くなり、対戦ツールの形としては誉められる代物ではないだろう。
ただでさえ初心者が取っ付きづらい格ゲーでこのような風潮が加速することはあまり喜ばしくなく、叩かれる場合もしばしば。

なお、「ゲーセンでは使用できないが、家庭用に移植された際に追加されたキャラが永久が使えた」なんてケースも存在する。
例えば、KOF2003のラスボスである無界というキャラクターは、家庭用移植されてプレイヤーが触ったら永久10割コンボが簡単に出来る。


永久の存在する代表的な格ゲー

何故か格ゲープレイヤー以外にも永久コンボの内容が知られている珍しいゲーム
「バランスが壊れすぎて逆にバランスが取れている」という衝撃の概念を生み出したことで有名。

このゲームはヒット数を稼ぐと自分へのノックバックや相手の落下速度が速くなってコンボを繋げにくくなるのだが、
「ヒット数が増えるほど、相手の落下速度が加速する」仕様と「落下した時のバウンドの高さは一定の処理をして逆方向に跳ね返すだけ」という仕様が組み合わさり、
高度や速度に応じてバウンドも高くなる&バウンド時も追撃可能なため、ある程度ヒットを稼ぐとそのうちどんどん高く跳ね上がるようになるという現象が起きる。
これを利用した永久がかの有名なバスケである。
世間に広まった理由として、相手が無抵抗で画面を上下に高速バウンドするシーンのシュールさ、有り得なさが1つ挙げられるだろう。
どんなキャラもほんの小さなワンチャンスから倒し倒される可能性が常にあるというシビアなゲーム性は、他の格ゲーでは替えが利かないとして熱心なプレイヤーを生み出すきっかけにもなっている。

実のところバスケを決める条件はかなり厳しいのだが、
技をキャンセルし前方に高速移動するブーストシステムを十全に使いこなすことにより、
数々のキャラが相手をボールにすることが可能になった。
また、バスケそのものにも種類があり、百裂・ドリブル・トラベリングの三種類が存在する。
更にバスケ以外にもバグ昇龍や田植えと称される永久もある。バグ昇龍は使うと両者操作不能になるため、ゲームそのものに対する永久コンボにもなってしまっている。

宇宙旅行、戦国反復横跳び、戦国フルマラソン、壁コン永パ(お市、謙信、半兵衛)、戦国走り幅跳び、戦国ゴールイン、灰塵乱渦永パ
合わせて7種類もの永久が確認されている。

援軍が使える状況なら10キャラ中7キャラは永久可能になる永久だらけなゲーム

更に残る3キャラの内の2キャラも、どんな状況でもとは言えないが余裕の永久所持と言う有様。
(最後の1人のみ永久はないが凶悪なループ起き攻めがある上位キャラ)。

しかしこの手のゲームには珍しくコンボカット手段も存在する。
そのためコンボカットのペナルティによる相手の弱体化を狙うのを大前提とし、
それらと複雑な援軍システムを巡る駆け引きを楽しむ、と言う全く新しいゲーム性がもたらされている。

永久が基本コンボなのに、メインはあくまでそれらの駆け引きであり、永久は試合を形成する一要素にすぎないという奇妙奇天烈な作品。

また、体力と補正の関係で10HIT以降はほとんどダメージがない為、永久コンボを当て続けていると逆にタイムアップで負けてしまう事も珍しくないなど、極めて特殊でイレギュラーなゲームだと言えよう。

なお本作は元々「女性人気のある戦国BASARAとのコラボによって格ゲージャンルに新規層を取り込む」という意図のもと作られたようだが、
結局上記のようなぶっ飛んだバランスにより北斗以上にニッチなゲームに仕上がってしまっている。

  • 餓狼伝説3
主人公のテリー・ボガードのみ非常に簡単な永久コンボが存在する。
前作の餓狼伝説スペシャルの時のコンボと同じ構成なのだが…クラックシュート(大)の後に普通に通常技が繋がってしまう。
結果、ラスボスを除いた全ての相手を瞬殺出来るクソキャラと化した。
ただ、このコンボはあくまで攻撃ヒット時限定であり、更に相手がしゃがんでいる場合は殆ど入らないし、ガード時は連携の途中でライン移動からの反撃や割り込みも可能な場合も有る。そのため、勘違いされやすいが対戦においてはテリー1強という訳でも無い。

稼働当初から複数キャラに永久コンボが確認されていた。さらにその後も研究が続けられた結果、一部を除くほぼ全てのキャラで永久コンボの存在が判明する。
相手の背後をとった時限定とか、2Pでかつ自キャラが左にいる場合のみとか、1フレームのミスも許されない正確な入力が必要とか、キャラごとに内容も様々。
ただ、総じてどれも難度が高く、やれるもんならやってみろ、なんて言われてしまうレベルのコンボもあるため、ゲームそのものが破綻している訳ではなかったり。

  • ウィンディ×ウィンダム
一部で有名な格ゲー界屈指のクソゲー
なんとこのゲーム、適当過ぎる判定のせいで全てのキャラがボタン連打するだけで永久コンボが成立するのだ。
他の格ゲーは永久コンボに何かしらのテクニックが必要だが、このゲームに関してはそんなものほとんど必要無い
もはやボタン連打永久ゲーであり根本的に格ゲーとして破綻しているため、格ゲーでは非常に珍しいクソゲーオブザイヤー入りを果たした、ある意味伝説の作品である。
ちなみに永久コンボ以外にも様々な問題点を抱えている。
キャラは可愛らしいだけにちゃんと作り込まれていれば…。

  • 幕末浪漫第二幕 月華の剣士 〜月に咲く華、散りゆく花〜
これも複数キャラに複数の永久がある。北斗の拳の「世紀末」になぞらえ「幕末」と称される。
画面端に追い込んでジャンプA+C連打という誰でも出来そうな物まである。
基本的には永久禁止ルールが暗黙の了解だが、一部のゲーセンでは永久解禁としているところもある模様。
実はシステム上、1コンボで与えられるダメージに上限値が設定されている。
完全な10割は存在していないため、体力差によっては制限時間いっぱい永久コンボを繰り返したのに判定負けするという珍しい現象が発生する事も…

最初に4キャラを選び、そのうち好きなキャラ・人数をストライカーとして設定できる。ストライカーは戦闘中にゲージを消費して呼び出すことができ、キャラによって様々な攻撃をしてくれる。
…のだが、一部のストライカーはダウンしている相手を追撃可能な状態にできるため、これを利用することで全キャラで永久コンボが可能に。*3
クーラや雛子、バグキャラと悪名高いフォクシーなど、ストライカーもゲージもなくても永久コンボ可能なキャラもおり、ゲームバランスは非常に大味なものとなってしまった。
そもそもラスボスのイグニスが普通に永久コンボまがいの行動をしてくるという異質さも兼ね備えている*4

  • THE KING OF FIGHTERS 2002(無印版)
アンヘルに永久コンボが存在する。
ただし難易度が恐ろしく高いので、実戦で決める事が出来ればギャラリーからブーイングどころか逆に拍手喝采を浴びるレベル。
UMでは流石に調整されて出来なくなった。

バランス崩壊もの世紀末格闘ゲーム。
本シリーズはほぼ全ての作品において永久コンボが多数見つかるが、本作はキャラが多い事もあって余計に目立っている。
例えばキャラクターの一人「アイアンマン」が単身+ノーゲージで敵をKO出来る永久コンボを持っている。
…のだが、そもそもすべてのキャラクターがアシスト込みでワンコンボでKOできたり、
ワンボタンで画面半分を制圧したり、1ゲージで画面を弾幕で埋め尽くしたりなどアイアンマン以上にヤバいキャラクターがわんさか居たり、
3対3の団体戦なので一人やられたくらいなら逆転が可能だったり。
上記のゲームたち以上に大雑把でぶっ飛んだバランスになっていながら、アメリカでは稼働から20年以上経った今なお高い人気を誇る格闘ゲームとなっている。

FC末期に登場した、同ハードではほぼ唯一と言ってもいい正統派格闘ゲーム。
複雑なコマンドやコンボを排したとっつきやすいシステムだが、実のところバランスに関しては先に挙げた数々のゲームに負けず劣らず……
というか下手するとそれら以上に荒削りであることも知られている。
単純なキャラ性能差はもちろんのことハメの手段が非常に多く、
  • 投げが1フレーム発生、かつガード硬直中にも決まるため当て投げの回避手段がない
  • 所謂「めくり」を起き上がりに重ねると完全にガード不可
  • 起き上がりと同時に出せるのは投げとガードのみ
といった仕様から「起き上がりに重ねて突進やジャンプ攻撃→ヒットしたら再度攻撃orガードされたら当て投げ」「後方に攻撃判定のある技で起き上がりに合わせてひたすらめくり続ける」等のシンプルな永久コンボが多数存在する。
3強と呼ばれるキャラのうち2体があらゆる状況から繋がる凶悪な永パを持っていたり*5、永パの発見によって弱キャラから最上位一歩手前の強キャラまで一気に出世したキャラがいたりする。
そもそもが格ゲー黎明期の作品、かつ家庭用機(当然ながらネット対戦などというものは存在していない)でのプレイを前提とした作品なので致し方のないところはあるが、
今に至るまで本作を愛し続けているガチ勢からは「そういうところも含めて『ジョイメカ』というゲーム」と受け入れられている面もあり、対戦においては永久コンボやハメの使用もある程度は許容されることが多い。
そういう意味ではいわゆる「世紀末」なゲームの草分けとも呼べる存在、ではあるかもしれない。

  • ファムトムブレイカー(無印、エクストラ)
発売直後のバージョンにおいて、無印では紅莉栖に、エクストラでは閑に永久コンボが存在していた。
ただしどちらもアプデ後は不可能になっている。
とはいえ閑に関しては「人間の入力精度で決め続けるのは不可能」とまで言われる程の代物であり、全く問題にならなかったのだが。


補足

永久コンボ(連続技)は、キャラ全員に実装されていると、逆に一つのゲーム性として認められる場合もある。
しかし大抵のゲームは1人か2人しか永久コンボがないので、基本的には永久が発覚すると続編やバージョンアップなどで修正される場合が多い。

それ以外にも、ゲーム全体に永久コンボがあると続編が非常に作りづらい*6など欠点も多い。



追記・修正は始動技を食らわないようにお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 格闘ゲーム
  • 永パ
  • 永久
  • 無限コンボ
  • チート
  • テクニック
  • EX.R『リアルファイト』突入
  • バスケ部
  • 陸上部
  • 戦国陸上
  • 北斗の拳
  • トベウリャ
  • ピザマヨッ
  • A級
  • Unco
  • 永久コンボ
  • コンボ
  • ゲーム用語
  • ぶっ壊れ
  • 調整ミス
  • 戦国BASARA X
  • バランスブレイカー
  • 仕様の穴
  • ハメ技
最終更新:2025年03月15日 17:00

*1 完璧なキャラクターバランスには、すべてのキャラクターを同一の性能にするしかない。それでゲームとして面白くなるのかどうかは言うまでもない。

*2 もちろん単純に作品としての人気も大きく関与する。

*3 一部はループ不可だが、コンボが途切れる前に相手の体力が尽きる

*4 一部の必殺技を繰り返すだけで永久コンボになる。この仕様は後に発売されたKOF2002UMにも引き継がれている。

*5 残る1体ももう少しチャンスは少ないながら実戦的な永パを持っている

*6 永久コンボがなくなってしまうと今までのプレイヤーが離れてしまい、かといって永久を残したままでも批判される