カノン・メンフィス

登録日:2012/04/12(木) 22:42:14
更新日:2025/03/05 Wed 16:17:09
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カノン・メンフィス!機体コードJ-017!ベイバロンモデル専門だ!
(転入してきた中学の壇上での自己紹介にて)


蒼穹のファフナー』シリーズの登場人物。




  • 本編での活躍
アイルランドのダブリン(ドイツではない)出身。実は同世代パイロット組より一つ年下。
頑固、感情を表に出さない、軍務に忠実、生真面目と、どこかの某軍曹を彷彿とさせる少女。
その特徴的な前髪は視聴者から風車やら手裏剣ヘアーなどと評される。
本編の6年前、アイルランドにフェストゥムが襲来した際、家族や友人を失い、難民となったところを、日野道生に救われた。
それ以来、日野道生の指揮下でファフナーパイロットとなり各地を転戦する。
親しい人たちを失ったショックから感情を表に出すことが極端に減ってしまっており彼女が放った

「前はいたが、今はもういない」

という言葉は彼女の喪失感や抜け殻となってしまった内面を端的に表している。

また、命令に忠実ということは裏を返せば自己否定が強く自分の意志を持とうしないということであり、この時点では自分で物事を決められないという状態に陥っていた。
それもあってかファフナー搭乗時には変性意識の発現もあまり無かった様子である。

一騎がダイナミック家出をした先に道生と共にファフナーで現れたのが初登場。
一騎を捕獲した後は道生共々人類軍の竜宮島侵攻に同行する。
その後フェトゥムの襲来など色々あった末に人類軍は島から撤退するが自身は島に残って上官の指示の元、人類軍の潜水艦ごと自爆しようとする。
しかし、一騎の説得もあって自爆を思いとどまって投降。その後は竜宮島に残された人類軍人と共に島に帰属、島の中学校に編入する。

始めは島の環境、文化の違いにとまどうこともあったが養母となった羽佐間容子をはじめ、温かい島の人たちと関わるにつれて、次第に感情が豊かになっていく。
亡き翔子の服を着たことが、同化された甲洋がスレイブ型に覚醒するきっかけにもなった。

自分がノートゥングモデルに乗れないことを気にしてフェストゥム因子の移植を要求するなど、いつしかカノン自身も竜宮島の一員になりたいと思うようになる。
EXODUSで「皆と同じ言葉を話したい」という願いから咲良日本語の読み書きを教わっていた事が咲良自身から語られている為、詳細な時期は不明ではあるが、恐らくこの時期に教わったものと思われる。

咲良が同化現象で昏睡状態に陥ってしまった後にマークドライのパイロットとなり、容子に帰ってきたら「母さん」と呼ぶことを約束して蒼穹作戦にも参加。同作戦を戦い抜いた。
決戦の最中、カノンはフェストゥムの「あなたは…そこにいますか?」という問いかけに対し、

「前はどこにもいなかった」

「…だが今は、ここにいる!!」

と返す。
彼女の成長がうかがえる変化である。ついでに死亡フラグをへし折った。

  • 搭乗機
ベイバロンモデル
人類軍の量産型ファフナー。
11話の初登場から、23話で大破するまでカノンの愛機として活躍。
武装は主にルガーランスを使用する。
外部のファフナー故か、時には修復が不完全な状態で出撃することもあった。

マークドライ
元咲良の機体。
咲良が同化現象に倒れた後、蒼穹作戦にて搭乗し最後まで戦い抜いた。



  • 劇中での活躍
高校の生徒会副会長となっている。また、名前を「羽佐間カノン」と改めており、容子に対してはちゃんと「母さん」呼びに。
生徒会長の代わりに会議を仕切っており、その際本編の、とくに初登場時からは考えられないほど感情豊かになっている。
また、手裏剣ヘアーから髪を伸ばし、女性らしくなっていた。
(ファフナー搭乗時の描写は意識の変化もあってむしろ漢らしくなったが)
自己否定が無くなったためか変性意識が発生、内容は「居場所が失われることへの激しい怒り」となっている。

中盤にスカラベJ型種と交戦するも敵わず同化され、全身が結晶に覆われる「いなくなる」寸前の状態にまで達してしまったが、
一騎がマークザインの力で同化を肩代わりしたために事なきを得た。
第二次蒼穹作戦では、島の防衛を担当。
来栖操とマークニヒト相手に臆せず勇敢に仕掛けるも返り討ちにされ、見事な乳揺れを披露した。
……あんまり戦闘じゃ良いとこ無かったって? うるせぇルガーランスぶつけんぞ。

  • 搭乗機
マークドライ
TV版に引き続き。

マークドライツェン
新造された、カノンのための近接特化型で13番機。13番だけどゴルゴはしない。
カノン専用機であると同時に容子が彼女の為に設計・新造した機体なので、ノートゥングモデル系列の中で唯一同型機が存在しない。
ベイバロンを意識した赤い塗装がなされている。
機動力に優れ、低空飛行が可能。
天地本編中では、水面を滑空し、フェストゥムに突撃する。
装備したルガーランス(の正しい使い方)も相まって、その姿は正に勇敢の一言に尽きる。 



  • 劇中の活躍
搭乗機は再びマークドライツェン。後輩達にフェストゥム本隊を任せ、リミッター有りのザイン並の速度で陽動部隊の半数を壊滅させる活躍を見せた。

髪を少し短くしたが、身体はより女性らしく成長した姿で登場。
ファフナーからは降りた様子で、養母である容子と共にファフナーのシステムエンジニアとして働いている。
新しくファフナーに搭乗することになった後輩にシステム面の説明も担当する…が、KYな彗くんにその仕事をまるっと取られた。
カノンが便宜上付けていたアイルランドの神話に基づく機体名も反応は良くなく、面目躍如のために後輩が気に入る新しい名前を懸命に考えた結果まさかの日本神話に落ち着くなんてことも。
また、好物のあめが常備されていたり仲間やショコラの写真が貼ってある、なんとも女の子らしいデスクも描かれた。
HAEと合わせてやたらとメロンソーダを手に取る描写が目立つ。

一騎が働く喫茶「楽園」の常連客となっており、容子には「昼食はまた一騎くんのところがいい?」とからかわれていた。
一騎に抱いている恋心は変わらない様子で、マークザインに呼ばれているような一騎を必死で止めようとしている。
真矢たちとの仲の良さも変わらず、人類軍の話題の際に「おまえたち以上の仲間なんていない」ときっぱり言ったことも。

一騎達が島を発った後、第二指揮者としてジークフリードシステムを担当することになった剣司にやや遅れる形で、咲良と共に戦場に復帰。
咲良と同時期にSDPが発症しており、「不確定な未来予知(未来とのクロッシング?)」に翻弄される事になる。
義理の姉のような存在である翔子の墓参りに行った際、住民の墓が乱立し島のファフナー部隊が全滅しているという最悪の未来を見るが…。








以下、17話ネタバレ注意






















彼女のSDPはドライツェンのシステムと一体化することにより、起こり得る未来の可能性をいくつか観測し、
それを擬似的に体験・その可能性を呼び込む要因を排除することで可能性を更新、別の可能性を繋ぐ力である。
更に織姫が最も待ち望んでいた「滅びの未来を変える力」でもあるらしい。

当初は見えた未来に悩まされていたが、織姫との対話で制御のヒントを掴み、ドライツェンの起動実験を利用して擬似戦闘を繰り返す。
これにより新たな同化現象による死を近づけるのと引き換えに可能性を次々と更新し、
最終的にどのルートを辿っても滅亡という八方塞がりの状態に風穴を開けることに成功。

提示された可能性の中には願望が発露した「一騎と自分だけが生きている世界」というものがあったがカノンはこれを否定、「滅びの先の可能性」をSDPによって引き出すことに成功した。


しかし、未来とのクロッシング=同化の進行を強引に続けた代償は大きいものだった。
起動実験を介した擬似戦闘中はドライツェンのコックピット内部と外部で時間の流れに差が出ており、
その影響でSDPによる同化現象「質量の減少」が爆発的に進行してしまい、発現からたった1ヶ月で体重は21gまで減少。
更に「容子が自宅で1人、浴衣を抱き締めて号泣している」という光景を垣間見てしまい、精神的に不安定になってしまう。
当初は周囲にそれらを隠し続けていたが、執拗に繰り返される起動実験に周囲が疑問の眼差しを向け始めた矢先に先述の「一騎と自分しか生きていない世界」を垣間見てしまい、
機体とのクロッシングそのものが乱れる程に著しく動揺してしまう。

それをきっかけとして起動実験のモニタリングをしていたイアン達がモニター上の起動時間とドライツェンの起動時間に倍以上の差が出ている事に気付き、起動実験は強制中断。
「これが最後だから」とドライツェンに近づけさせようとしない容子を説得し、最後の起動実験に臨んだ。

「その時」はもはや目前に迫りつつあり、最期を悟ったカノンは灯篭祭りの日を容子やショコラと過ごした後、
容子が買い与えたものの袖を通す事がないままだった翔子のワンピースドレスに着替え、誰もいない喫茶「楽園」を訪れ、灯篭祭りの花火が打ち上げられる最中に幻の一騎と対面。
「一騎と自分しか生きていない世界」という可能性を、「お前と居られる未来があった、それだけでいいんだ」という言葉と共に涙ながらに否定。
一騎への想いを言葉にしたのを最後に完全に同化し、と共に消滅した。


……好きだよ……一騎………


その後、遠征中の一騎の夢の中に現れ、竜宮島のゴルディアス結晶へと「還った」。
そして消滅の間際、かつて一騎が差し入れた飴の包み紙に第3アルヴィス「海神島」への逃避行を続けるナレイン一行の行き着く座標を書き残し、
島のミールが剣司と彗にクロッシングした際はメッセンジャーとして現れ、マークレゾンとの決戦の最中に島のミールとのクロッシングを解除されかけた一騎を翔子と共に守った。

なお、カノンは消滅の少し前、SDPと自身の体験から導き出した新型機「ファフナー・エインヘリアル・モデル」のデータを残している。
新型機、といっても既存の竜宮島製ファフナーに対する改修プランであり、研究段階のものを含めたありとあらゆる同化現象対策を盛り込み、
機体性能とSDPの出力を増幅される「カノン式アクセラレーター」を搭載しており、「一秒でも長くファフナーに乗せる」事をコンセプトとしている。
この改修プランは第三次蒼穹作戦前に実行され、後に帰還したジーベンを含めた残存ファフナー全機がエインヘリアル・モデルとなっている。

なお、17話のラスト、エンディングテーマとして流れる「愛すること」はカノンの最期を飾る彼女のための曲である。
「パッヘルベルのカノン」が盛り込まれ、歌詞そのものもカノンの短い生涯、一騎への想いが綴られており、
蒼穹のファフナー』シリーズに携わってきたangelaだからこそ作られた曲と評されている。




【関連人物】

人類軍時代の上官。
命令にこだわらない彼の態度に違和感を覚えることもあったが、そんな彼を好ましく思っていた。

フェンリルによる自爆を止めてくれた若きファフナーパイロット。
接していくうちに彼に淡い恋心を抱くようになったが、「一騎にしてあげられることがない」と感じ、身を引いている。
そして、最期の時に幻の一騎(恐らく一騎とカノン以外の仲間が全滅した未来の象徴)と対面し、島の未来を切り開くために「みんなの分も一騎と生きる」という未来を否定。
その選択を祝福するように、幻の一騎は微笑んでいた。

  • 羽佐間容子
愛娘であった翔子を失いながらも、人類軍に捨て駒同然に見捨てられ居場所をなくしてしまったカノンを家族として受け入れてくれた女性。
不器用なカノンを暖かく包み込む優しさはカノンの心を解し、「羽佐間カノン」となってからも変わらずカノンに愛情を注ぐ。
カノンが「いなくなった」時は彼女が最期に身に着けた浴衣を抱き締めて泣き疲れて眠るまで号泣するなど、注いでいた愛情と優しさは本物だった。
その場面は夜だったのだが、彼女の消滅が発覚したのは翌日の朝~昼間の事であり、「先に帰っている」と告げたカノンが自宅におらず、更に彼女の浴衣が残されていた一方で翔子のワンピースドレスと帽子が無くなっている事で察したのだろうか……。
第三次蒼穹作戦に際して被曝症状の悪化と闘いながら、カノンが遺したデータを元に残存のノートゥングモデルをエインヘリヤルモデルへ突貫工事で改装し、操にドライツェンを託した。

同じ相手を想う恋敵ではあるが、その洞察力の高さゆえにあまり言葉に出さずともカノンの心情を理解してくれる友人。
真矢が一騎を想っていることに気付いており、真矢の優しさを理解しているがために一騎との仲の進展を応援している。

  • ショコラ
かつて春日井甲洋から羽佐間家に託された子犬。
HAE以降はリードも要らないほどすっかりカノンになついているようで、喫茶店内やアルヴィス内など多くの場所で彼女に付き従っている様子が見られる。

容子の義理の娘にして、カノンの「姉」にあたる少女。だが容子の翔子への愛は実の親子同然であった。
本編では会うことはなかったが、『EXODUS』では彼女が終ぞ袖を通せなかったワンピースドレスと愛用していた帽子を身につけて自身の最期の場所となった「楽園」へ向かい、彼女の帽子の中に甲洋へメッセージを遺す。
その後幾度と無く姉妹で現れ、グレゴリ型によってミールとのクロッシングを絶たれかけた一騎の窮地を翔子と共に救った。
スーパーロボット大戦UX』では生還した彼女と姉妹になり、良好な関係を築く。
エピローグでは妹として、なかなか一騎にアプローチできない姉の背を後押しした。
(前に踏み出せ、翔子。自分で選ばなければ、道は何も変わらない)




忘れないでと伝えきれずに 二度と朝陽を見ることもなく


ひとつ ありがとう


ふたつ さようなら



これが私のすべて




追記・修正は絶望の未来を変え、仲間達に希望を託してから。

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最終更新:2025年03月05日 16:17