銀狼怪奇ファイル

登録日:2011/02/07 Mon 11:01:32
更新日:2025/09/15 Mon 10:23:16
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本作は日本テレビ系列で放送された堂本光一主演のテレビドラマ。サブタイトルは「二つの頭脳を持つ少年」。

【概要】
堂本光一の代表的なヒット作。
原作は金成陽三郎&越智辺昌義(担当編集&監修:樹林伸=後の天樹征丸。越智辺は後の朝基まさし)の「超頭脳シルバーウルフ」

原作はまんま手塚治虫の名作「三つ目がとおる」のパク(ry
……もとい、色々とぶっ飛んだ「三つ目オマージュとも言える作品であったが、
前番組である「金田一少年の事件簿」の影響で猟奇事件をテーマとした少年探偵物にアレンジされ、
二重人格という主人公の設定だけを除き全く原型を留めていない
……まあ、マガジン系のドラマ化ではよくある事だったが。

主人公である耕助と冴子の基本的な設定、そして「もう1人の耕助(銀狼)」が迎える結末以外は全く原作とは違う物語となっている。
というか、原作は実質2人で中東の某国の軍隊を殲滅したりUFO撃墜したりとどう考えても実写化不可能な内容なので、
ドラマ化に漕ぎ着けた理由の大半は「『金田一』と原作者や出版社が同じで権利関係の交渉がやりやすかったから」だと思われる。



  • 首なしライダー編
  • 人体発火編
  • 破壊の死神編
  • 呪われた天神学園編
  • 金狼編
の5章から構成される全10話。
特に首なしライダーと破壊の死神の恐怖はガチ。「天神学園編」でネズミに集られて死んでいた石塚英彦とかも地味にエグい。




耕助と銀狼が入れ替わるシーンで発生する激しいフラッシュ(いわゆるポケモンショックと同様の効果)や多くのエログロ描写などが規制に引っかかるらしく、
VHSは発売されているが残念ながらDVD化や再放送は今のところされていない。もっとも2016年時点で、1990年代に同じ枠で制作されたドラマでDVD化されたのは『金田一少年の事件簿』だけなのだが。




異なる人格を持つ少年が次々と発生する怪事件を天才的頭脳を駆使し科学的に解明してゆくという内容だが、
そのトリックはマグネシウムと立体映像のトリックも顔負けの小学生もびっくりな荒唐無稽な超科学(しかも穴だらけ*1)であるので、
本格モノの『金田一』と同じ心積もりで見ていた視聴者はしょっぱなから呆気にとられる結果に。
推理ドラマとしてではなく、エンターテイメントとして見るのが正しいかもしれない。
一応、ただの一般人がそんなトンデモ装置を使っていたのは全体を通して伏線になっていたのだが……。

堂本剛版『金田一少年の事件簿』とは同じ世界観で、耕助と一は親友という設定。
『金田一少年』の年末スペシャル「雪夜叉伝説殺人事件」のラストで共演を果たした。
『金田一少年』第2期「異人館ホテル殺人事件」にも天神学園新聞部員が登場するコラボレーションが行われ、
実現はしなかったが一と銀狼の最強タッグを期待していた当時のチビッ子も多かったと思われる。

また、『銀狼』の最終回には後番組『透明人間』の主人公・長谷川半蔵(香取慎吾)がカメオ出演した。ある意味、『金田一』の最終回ラストのオマージュである。
「俺花粉症でさ……ヘックシュン!」
「ブラック・マジック?」
(版権の問題のためかこのシーンはVHS版ではカットされた)

主題歌は同じジャニーズ事務所の先輩近藤真彦の『ミッドナイト・シャッフル』。
近藤はこの曲にてラフな長髪に黒いロングコートと言うロックなスタイルに初挑戦し、久々のヒットと紅白出演を達成。
ちなみにテレビ出演時には旧友野村義男や元「CCB」の渡辺英樹をバックバンドに従え、紅白時にはさらに本作の主演が属するKinKi Kidsが前座で踊っていた。
またそれまで(「愚か者」「アンダルシアに憧れて」等)の短髪スーツ姿からのマッチの大幅なビジュアルイメージの転換は、近藤がレースチーム運営にメインを移した00年代以降でもこの時のラフさが髪型に残る程に影響を与えている。


余談だが、『ミッドナイト・シャッフル』のCDを初代モンスターファームで使うと銀色の狼モンスター・ギンギライガーを入手できる(2で再生するとシロ)。
開発スタッフにファンがいたのだろうか。


あらすじ
父母を亡くし、父の友人・小早川順三郎に育てられた不破耕助は、順三郎の娘で姉同然の冴子と3人暮らしをしていた。
しかし、ある殺人事件に巻き込まれて命を失いかけて以降、『銀狼』と名乗る粗野にして冷酷な別人格が現れるようになる。
耕助の頭蓋骨内には、『耕助』と『銀狼』、2つの頭脳があり、危険が迫った時切り替わるようになっている事が分かった。
それ以降、耕助が通う天神学園で奇怪な殺人事件が起きるように。
もはや超常現象としか説明しようのない不可能犯罪に対し、銀狼はその天才的頭脳を駆使し、次々と科学的(?)に事件を解決していくが……。


【主な登場人物】
  • 不破耕助/銀狼(堂本光一)
天神学園高校1年生の新聞部員。
耕助は心優しく大人しい。何かと不器用であり、自転車に乗ると暴走してしまう。

銀狼は耕助の身体に潜むもう1つの人格であり、IQ220の天才。
銀狼の人格が表に出ると、髪型がパーマのかかったワイルドなものに変わり、目の色も水色っぽい青に変色する。
口癖は「俺に不可能はない!」

ただし、前編ラストで彼が自信満々に解説するトリックは100%外れている

銀狼「首なしライダーは黒いマスクをすっぽり被っていたんだよ。名付けてブラックマジック!(キリッ」
一同「な、なんだってー!?」
銀狼「閃光弾を喰らわせて正体を暴いてやるゼ!!」
アレ!?首ないゾ
銀狼「な、何故だ……何故なんだァー!!

こんな調子が中盤頃まで続く。
自信家だけに打たれ弱いのか、推理が外れたショックで大抵耕助に戻ってしまう。
(といっても実は推理そのものは的中しており、間違えているのではない。ある事情で銀狼の動向は黒幕の金狼に筒抜けで、銀狼が真相に近付いたのを察した金狼が途中でトリックなどの指示を変更するためである。銀狼の動向を知る事が出来る人物と言うのは黒幕の正体の伏線とも言える)

同じ「三つ目」オマージュで路線変更された遊戯王』とかと違ってもう一人の自分である耕助の事は終始見下している。しかし典型的なツンデレ
(最終的には、自分には金狼と同じ血が流れているが同時に耕助のお人好しの血も流れているから道を外さずに済んだ事をVHSディレクターズカット版で明かしている)
また、一見するといかにもなアウトローだが自室からフスマ一枚隔てただけの冴子に指一本触れないヘタレでもある。
まあ女に興味がなく不可解な事件に知的好奇心を刺激されるだけだったりするのだが。

ただの二重人格ではなく、一つの頭蓋骨に耕助と銀狼二人分の脳が詰まっている。
その様子を見た当時の視聴者は誰もが「窮屈そう」と思ったに違いない。
実際に終盤では脳への負担が命に関わる事態になっている。
原作だと人の脳(×2)が持つ潜在能力を限界まで引き出した結果、短時間ながらサイコキネシスまで使えるようになっているが
(敵の所業にキレた結果リミッターが外れた最終話では、核ミサイルの直撃にすら耐えられるはずの隔壁を一瞬でぶち破るという化け物じみた力を見せている)、
ドラマ版ではあくまで知能が高いだけで超常的な力は使えない。
(一応、運動音痴の耕助から運動神経抜群の銀狼に切り替わるので傍目には身体能力が上がったように見えるが)

  • 小早川冴子(宝生舞)
耕助の義姉で新聞部副部長。
耕助を「耕ちゃん」と呼び、可愛がっているが、銀狼の事は毛嫌いしており、耕助の為なら銀狼を攻撃する女傑。
アイロンすらかけられないツンデレねーちゃん。でもかわいい。
原作だと既に成人しており、耕助の担任教師でもあるのだが、ヒロインという事もあり、大幅に若返った。

  • 木ノ内太(松山幸次)
度々、デブ呼ばわりされる。まあ太ってんだけど。気のいい性格で鈍感。新聞部のカメラ係。他校で起こった事件の被害者にそっくりさんがいる。

  • 鏡遥(木村佳乃)
新聞部部長でピントのはずれた人であり、部内のマドンナ的存在。
冴子の方が断然かわいいと思った視聴者も多いと思われるが、作中ではブラコン&男勝りという点がマイナス要素として働いているようだ。
最終話で実は太と付き合っていたのが判明した。
なおリアルでは後に前番組『ザ・シェフ』主演なベテランジャニーズ系と結婚している。

後輩の耕助をよからぬ道に引き込もうとする。
何かと問題を押し付けようとするが実は結構、耕助をかわいがっている。

  • 土門竜太郎(秋山純)
メガネ。デブと仲が悪いのかよく喧嘩をする。頭が良さげであり、なにかと説明したがるが銀狼にはグゥの音も出ない。
叔父は異人館ホテルのオーナー。

いじめられっ子だが、ひょんな事から耕助に助けられ、新聞部へ。
以降同じ1年生という事もあり、耕助と仲良しになる。
意外と物知りであり、麗子に想いを寄せる。

  • 吉川麗子(中山エミリ)
破壊の死神編で転入してきた、高校新聞大賞を受賞した新聞部次代のエース。転入早々、モブから、ヒューヒュー言われる。
耕助には興味を示さなかったがワイルドな銀狼に助けられた事から恋心を抱くようになり、故にか冴子と度々衝突する。
この手のキャラにはよくある事とは言え、「取材活動」という名目で他人の会話を盗み聞きしたり、他人の家の塀を乗り越えて敷地に侵入する等、その手法は犯罪まがいだったりする。

高田馬場大学医学部教授で冴子の父。
親友の忘れ形見である耕助を引き取り、我が子のように育てている。
超常現象にも詳しく優秀な人物だが、ボサボサ髪にズレ眼鏡と間の抜けた風貌をしている。
冴子や耕助とは友達親子みたいな関係を築いており、大変仲が良い。
また、ポルターガイストの説明で湯飲みに集中させて、人為的に机を揺らす等、茶目っ気も併せ持っている。
耕助からは「おじさん」、銀狼からは「おっさん」と呼ばれ、彼自身は耕助、銀狼をそれぞれ「○○君」と呼ぶ。

  • 金狼
一連の怪事件の裏で暗躍する謎の人物。
類い稀な知謀の持ち主であり、殺人動機を持つ者に人知れず接触し殺害方法や武器を与える(まあ、要するに『金田一』で言う高遠のポジ)が、
銀狼にトリックを看破された不出来な者は次々と容赦なく殺害していく。
その正体は……。
あるバラエティ番組ではその正体を探る特集が組まれた(結局明かされなかったけど)。
後年、同時間帯に放送された『蘇る金狼』のタイトルで思い出した(あるいは関連作品と思った)当時のチビッ子がいたとかいないとか。

  • 不破俊助
耕助の父で順三郎の大学時代の研究仲間。
大学では表向き生物学を専攻していたが、人知れず行っていた遺伝子操作の独自研究により、超天才児の金狼と銀狼を作った。
邪魔と見なした人間は躊躇なく排除するという金狼の考え方に危機感を覚えていた事もあり、愛情を注いでいたのは完全体の金狼より、失敗作の銀狼に対してであった。
その為に金狼の怒りを買い、耕助が5歳の時に耕助と銀狼の目の前で金狼に殺されてしまう*2
ある意味今作において全ての事が起こる元凶となった人物とも言える。


【舞台】
  • 天神学園高等学校
耕助(銀狼)らの通う高校で、理事長がいる事から、恐らく私立校と思われる。
冴子のナレーションでは「平和な学園」とされているが、作中ほとんどの殺人事件が校内で発生しており、校内の危険度や事件の残虐性の面ではかの不動高校を上回る。
死亡者数で言うと、全10話で生徒が約20人、教師が5人というハイペース。
作中の生徒の様子を見る限り、あまり偏差値は良くないが、野球部は甲子園に出場できるほどのレベルである*3
(現実でもありがちだが)不祥事を揉み消す傾向も。
まあ、大半の事件は金狼の仕業なのだが……。









【以下、一連の事件の真相。さらなるネタバレに注意。】











【金狼の正体】
その正体は薬師寺力
金狼編前編でミイラにされて殺されたと思われていたが、実はそのミイラ死体は替え玉で、行きずりの学生であった*4

実は銀狼の異母弟であり、父である不破俊助の研究によって遺伝子操作され人工的に生み出された天才児であり、銀狼と違って脳は1つ。
金狼として振る舞う際には髪型がオールバックになり、目の色は青い目の銀狼に対応するように赤みの強い茶色へと変わっている。
銀狼を目の敵にしていたのは、簡単に言うと「完璧な自分が周りに可愛がられないのに、脳が2つあったり精神が分裂していたりと不完全な銀狼が周りに愛されていたから」。
幼少期の頃から「役に立たない者は殺せばいい」と発言したり、父から「人間の心を持っていない」等と言われていた事から、恐らく生まれつきのサイコパスであるものと思われる。
ただし、父の死後(殺害後)に預けられた施設で一緒だった「二宮ゆりこ」という女の子とは仲良くしていたようであるが、後にそのゆりこも階段転落により亡くなってしまう。

TV放送ではゆりこの死因に金狼が関わっていたのかは推測に過ぎず、容姿も不明だったが、後のVHS版のディレクターズカットにて、自身の異常な知能を知られた結果、敬遠されるようになり、結局は金狼がゆりこを殺害した事と、ゆりこの容姿は吉川麗子に瓜二つであった事が判明し、それ故に麗子に好意を持っていたものと思われる。

冴子を銀狼の目の前で殺害しようと策を巡らすが、結局銀狼に返り討ちに遭い自滅に近い形で死亡した。


{俺の追記に修正はない…

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最終更新:2025年09月15日 10:23

*1 例えば、人体発火のトリックは「超強力なマイクロ波を照射する」というものなのだが、同じことを実際にやった場合、服などの可燃物が発火する前に人体に含まれる水分が沸騰して違う意味でとんでもないことが起きると思われる(少なくとも作中のように本人が気付かないうちに発火するということはまずない)。どれだけとんでもないかと言うと、もしエレベーター等のマイクロ波を反射する素材に囲まれた場所でマイクロ波を照射しようものなら人体はレンジに放り込まれた生卵状態になる

*2 ただ、一方の銀狼もいつも俊助から実験の対象にされる為に、彼を嫌っていた

*3 ただし部員に対するしごきで死亡事故を起こしたり、部室で部員が堂々と喫煙している等、内部はよろしくない

*4 「1万円のバイト」として雇われ、何の罪もないのに殺された