トダカ(ガンダムSEED DESTINY)

登録日:2012/02/07 (火) 13:30:00
更新日:2025/04/15 Tue 14:27:39
所要時間:約 4 分で読めます






既に無い命と思うのなら、想いを同じくする者を集めて、アークエンジェルへ行け!

それがいつかきっと道を開く!



トダカとは、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の登場人物。
CV:一条和矢

概要

オーブ海軍に所属する空母、タケミカズチの艦長。海軍一佐*1という階級に似合わぬ人情家であり、ブレイク・ザ・ワールドの被害を最小限に食い止めようと努力していた。

人情家である上にオーブの理念に従っているため、劇中で総司令官となったユウナ・ロマ・セイランに対しては諸々の問題行動から軍人でありながら露骨に不快感を表していた。
しかし命令にはなるべく従っている。

動向

SEED

SEED時代のオーブ解放戦で一尉の頃、両親を亡くしたばかりのシン・アスカを保護し、後追いまで考えていた彼を優しく説得し、プラント移住の便宜を図った過去がある。
DESTINY本編ではオーブ嫌い全開だったシンもトダカに対してのみは強い恩義を感じており、ザフトアカデミー入学後も手紙のやり取りがしばらく続いたとのこと(小説版より)。
しかし、運命の悪戯か再会した時には、二人は敵同士だった…

ブレイク・ザ・ワールド事件後

ユニウスセブンを破壊し地球を滅亡から救い、カガリ・ユラ・アスハを本国に送り届けたミネルバには恩義を感じていた。

しかしオーブはセイラン家による支配と腐敗が進行していた。これが全ての悲劇の始まりである。

ユウナ・ロマ・セイランにより騙し討ちのような形でミネルバは地球軍とオーブ軍に挟み撃ちにされる。
地球軍とオーブ軍の正式な同盟条約締結前であり、ミネルバ艦長タリア・グラディスも苦い顔をしていた。
この恩知らず極まりない行為にカガリがユウナ・ロマ・セイランを非難するも、逆に「国は貴女のオモチャではない!いい加減感情でものを言うのは止めなさい!」と一喝される。さらに不味いことに、司令部にはカガリに味方するものは誰もいなかった。


国際常識的にも、国内外の法的にもアウトなのはユウナの方なのに、ユウナの根回しと印象操作で「実権もないお飾りの姫のカガリが感情論でものを言っているだけ」ということになってしまったのである。


悲しいことに、劇中この決定の不味さを明確に理解していたのは現場のトダカ一佐だけであった。

「以前国を焼いた軍に味方し、懸命に地球を救ってくれた艦を撃て…か…。こういうの、恩知らずっていうんじゃないかと思うんだがね、俺は」

「警告開始!砲はミネルバの艦首前方に向けろ!絶対に当てるなよ!」

と、交戦する際には攻撃が命中しない様、気を付けていた。

前述しているがユウナ・ロマ・セイランのやり方には快く思ってはいないらしく、カガリを拉致したアークエンジェル一派に向けて敬礼した事もあった。
後に自分達の指揮官になるユウナには、当初こそ「これも国を守る為」と割り切って従うも、最後は結局対立する事になった。

ダーダネルス沖

副官のアマギ一尉らと共に空母タケミカヅチで出兵。
見るからに怪しい風貌のネオ・ロアノーク大佐に被害が避けられない前衛を押し付けられてユウナに苦言を呈するが、煽てられた彼を止めることは出来なかった。

クレタ沖決戦

クレタ沖の決戦では、「オーブは最期まで連合と共に戦った」という形にしつつも、戦闘停止を呼び掛けるカガリに応える為、
ユウナを呼び捨てにしつつぶん投げて指示も無視して退鑑命令を出す。
それでも従わなかったアマギ達乗組員全員にアークエンジェルに行く様に命令した後はタケミカヅチに一人残り、自身は責任を取る為にもタケミカヅチで特攻。

そこへ、ソードインパルスガンダムを駆るシンの手に掛かり、炎の中へ消えて逝った。
あろう事か、戦場で互いに知らぬまま相まみえる事になり、嘗て保護した相手によって命を散らした…

トダカの行動に対する視聴者からの感想

当時はクレタ沖の決着シーンが原因で、視聴者から「恩知らず」とシンが叩かれる事も少なくなかった*2
しかし、実際にはシンはトダカが乗っているとは露知らず、特攻してくる敵戦艦を破壊しただけである。
この展開ではシンに良いイメージが付かない事も致し方ない事だが、「恩知らず」等の批判は的外れと言える。

そもそも、オーブのために命懸けでユニウスセブンを破壊してくれたミネルバに、騙し討ちという形で「恩知らず」な行為をしたのはユウナ・ロマ・セイランであり、それを止められなかったカガリ・ユラ・アスハにも責任はあり、「必要以上にミネルバの恨みを買う」危険性を誰も指摘しなかったオーブ司令部の問題である。

オーブ軍のミネルバに対する「恩知らず」な行為が、シン・アスカのオーブへの失望と恨みを増大され、シン・アスカの「恩人」のトダカ一佐が命を散らす悲劇に繋がったのである。

本編ではシンがこの事を知る事は無かったが、もしもシンがトダカのの顛末を知ったら、一体どんな反応を示すのだろうか?
戦後の事を考えたら、「恩人に手を掛けた」という事実と後悔の念に苛まれてしまう可能性は高いだろう…。
とにかく、トダカの「軍人らしくない」人柄は、良くも悪くも後のシンに大きな影響を与える事になったと言える人物である。


なお、部下達にアークエンジェルに行く様に勧めたのは、トダカが「オーブの理念」を方針とするオーブ(アマギの言葉を借りるならば、「真実のオーブ」)に忠誠を誓っているから。
方針が変わってしまったならばと、現在のオーブの指導者はセイラン家ならばセイランの意思が国の意思とミネルバに特攻したババとは対照的である。
ちなみにアークエンジェルはオーブ所属とは言えないが、国家元首のカガリが同乗していて意見も共にしていることは明らかだったため、一概に軍人として異常行動だとは言えない。

軍人の割に感情的で大局的な視点で状況を見れていない等と批判される事もあるが、一連のトダカの行動には
  • ユウナが戦場をゲーム感覚で捉えて指揮していたこと、
  • 軍人としてちゃんと自分達オーブにばかり損害が来るのを嫌って意見したにも関わらずネオに煽てられたせいで自分達にばかり損害が来る作戦をユウナが選択したこと、
  • 勝利しても敗北しても両陣営の争いに巻き込まれて泥沼にはまっていく事が目に見えている戦いだった(少なくとも、祖国の為に命を燃やすという状況じゃない)こと、
  • 現国家元首のカガリの意思になるべく従っており、アークエンジェルに敬礼までしている事
などなどの理由がある。

明らかにミネルバを落とせそうなところで落とせなかったこともよく批判されているが、
ミネルバ一隻を沈めたところで戦略的優位に立つわけでもオーブが得をするわけでもなく、それどころかザフトの脅威度はあまり変わらないのにオーブへの敵意がより大きく増すのでむしろデメリットが大きい。
一応連合に恩を売るというメリットはあるのだが、自分たちは損害を出したくないネオが煽ってきた*3件やそれに関連してオーブ軍主体で攻撃したという経緯そのものも約定として明文化されていないなど、各種リスクに見合うリターンが見込めるかというとかなり怪しい。
そのため実際の真意は不明だが(ミネルバを攻撃したくない心情は確かだが、だからと言ってわざと手を抜いたかどうかは分からないので)、結果としてはこれも失策とは言い難い。

そもそもタケミカヅチ特攻は「オーブは連合に殉じた」という形を自己犠牲で示すためだけに行ったものであり、
決して満身創痍のミネルバを倒すための行動ですらない。
「ミネルバには申し訳ないことをした」とさえ思っているくらいである。

クレタ沖でユウナの一斉攻撃命令に反対した件だが、小説ではあえて一斉攻撃せず自然な形で戦線を誘導することで、連合を巻き込んでから全兵力投入する気だったと解説された。
小説版は大なり小なり違いがあるが、ここらは原作を補足したものと考えても良いだろう。
命令の範疇でなるべく自軍の損害を減らす戦い方をするつもりだったのだから、ユウナの一斉攻撃命令もおかしくはないのだが、トダカからすればそれを台無しにされる命令である。

部下からの信頼もかなり厚く、副官のアマギは最後を共にしようとした他、
総司令官のユウナと士官達に退艦命令を出した際には、命令通りに士官達も(どの道トダカに全責任を押し付ける気だったユウナを雑に扱いながら)退艦し、
前述の通りアマギと共に大半がカガリとアークエンジェルに合流、その後のオーブ戦やメサイア攻防戦で大いに活躍することになる。


以上をまとめると、軍人らしからぬところが強い事は確かだが、指揮官として恥ずべき行動は実のところ殆ど無い。
「現元首のカガリの命令だろうと国を守らねばならぬ」とするババ一尉とはスタンスが異なるだけの話であり、どちらもおかしくない。
国家や軍の指揮系統的に見ると統一しておかなければマズいのだが、これも元々は政治・外交・国防上の問題により混乱が続いている事が原因であり、単純にトダカ達が無能だとは言えない。
すなわち無能のセイラン親子がマジで最大の原因である





余談

  • 本来トダカはチョイ役で一条和矢氏も一話限りの出演だったが、シンの過去を描く際に再び呼ばれる様になったという。脚本に人の心が無いとか言わない。
  • スパロボシリーズでは生死が分かれる事がある。

スパロボZ
タケミカヅチが出ない為、ベン・ウッダーのガルダ級艦長として登場。
ベンとは互いに認め合っており、最期は一緒にユウナと反発して特攻した。

スパロボL
名前だけの登場。 オーブと地球連合軍が同盟を組んでからもオーブに残り、オーブ奪還後はカガリからキサカと共にオーブを任されている。
その為、シンに討たれる展開も無し。 もしかしたら戦後、ステラと結ばれたシンと再会出来たのかもしれない。
良かったねトダカさん!



追記・修正は真実のオーブに忠誠を誓ってからお願いします。

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最終更新:2025年04月15日 14:27

*1 海軍大佐相当。

*2 この悲劇を理解しているのは、「神の視点」を持つ視聴者のみである。

*3 余談だがこう見るとネオがとんでもない悪人に見えるが、指揮官として自軍の損害をなるべく減らすことは当然の判断であり、連合という組織の大きさを考えれば実際に言っても問題になりづらいので言うだけ言ってみることはおかしくないだろう。むしろ連合に尻尾を振ることが外交であると考えるユウナの愚かさが原因としか言いようがない

*4 将軍と准将の中間に位置する独立階級の「将」と推測される。仮にそうであれば「将軍」は代表首長または国防軍最高司令官の指定階級(この辺りの人事システムはルクセンブルク大公国に近い)であるため、実質的に軍人の最高位になるであろうが、オーブ軍の階級は自衛隊と違い少将相当階級である将補が無く、准将のすぐ上の階級となるため、役職に応じて少将から中将の対応階級になっていると思われる。なお、劇場の英語のテロップではVice Admiralとなっている。因みに将軍が陸式がGeneral、海式がAdmiralで大将相当、准将が陸式がBrigadier Generalなのに対し、海式は海軍少将を意味するRear Admiralとずれており、陸将や空将などの少将相当官がMajor Generalに対し海将がVice Admiralとなってしまうことになり、中将相当官の場合、Lieutenant generalに対し上級中将を意味するSquadron (Vice) Admiralを使用せねばならず、フランス式の階級システムに近いものになってしまう可能性がある。

*5 なお『SEED FREEDOM』以前の資料集や設定画にはオーブ軍の将官に当たる階級は「准将」と「将軍」しか見られない。資料に載っていない(本編に出ていない)だけで准将と将軍の間に「将」が実は存在したのか、『SEED DESTINY』の後で新設されたのか、「海将=海軍の将軍」なのか、2024年9月現在公式発表は無い。