登録日:2024/02/11 Sun 00:17:00
更新日:2025/04/21 Mon 20:18:29
所要時間:約 118 分で読めます
私の中にあなたはいます。
あなたの中に私はいますか?
機動戦士ガンダムSFREEDOM
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』とは、2024年1月26日に公開された劇場アニメ作品。
制作はサンライズ、配給はバンダイナムコフィルムワークス、松竹。
【その前に、TVシリーズ終了から本作公開までの『SEED』シリーズをめぐる状況について】
長くなるが、何故ファンがこんなにも歓喜に沸いたのかについては本項の説明抜きには語れないのでご容赦を。
「21世紀のファーストガンダム」として製作された『
機動戦士ガンダムSEED』とその続編『
機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に続く、コズミック・イラ世界の本家シリーズの最新弾、『
"X" plosion GUNDAM SEED』が発表されたのは、『SEED DESTINY』終了から約半年後の
2006年5月の事だった。
多くの新規ファンを獲得し商業的にも大成功を収めた事で一度は終了したガンダムというブランドは未だ健在と示した『SEED』の新たな企画、
『
劇場版機動戦士ガンダムSEED(仮)』の始動をガンダムエースやニュータイプ、アニメージュといったアニメ雑誌は大々的に報じ、『SEED』シリーズのファンは沸き立った。
……しかし、『"X" plosion GUNDAM SEED』の続報は程なく途絶え、スタッフから「劇場版の製作は続いてはいる」事を示唆するような情報が断片的に漏れ出るだけの、事実上の製作休止状況となる。
番外編に当たる『ASTRAY』シリーズは未だシリーズ展開が続いているにもかかわらず『劇場版SEED』の情報は無く、そればかりかまた新たな『ガンダム』シリーズである『
00』、『
AGE』、『
Gレコ』、『
鉄血』が登場し、更にはその『00』や『Gレコ』の劇場版まで先に製作・公開され、おまけに2016年には『SEED』の脚本を執筆していた両澤千晶氏の病死が報じられる。
一部の熱心なファンや
『SEED』シリーズと関わりの深い西川貴教氏らは、いつか報われると信じて待つものの、多くの視聴者はともかく演者間でさえ『劇場版SEED』の企画は凍結されたか立ち消えになったという諦観が支配的となっていた。だが、公式から『劇場版SEED』の製作進行状況の最後の発表があった2009年から10年が経過した
2019年後半、『SEED』メインシリーズのノベライズを手掛けていた後藤リウ氏に福田監督から話がかかった事で、事態は秘密裏に進行していたのだった。
転機となったのは2019年9月に行われた『ガンダム』シリーズ40周年記念イベント『GUNDAM 40th FES.“LIVE-BEYOND”』である。
西川氏はこのイベントの1日目の大トリとして登場、そのトークの中で同氏は『SEED』スタッフに状況がどうなっているのかを粘り強く訊ねた末、「動いています」というコメントを引き出した事を報告。
更に、イベント終了後の西川氏のツイートを引用する形で福田監督も「その想いに応えられるように、頑張ります。」とツイートし、『劇場版SEED』への期待が俄かに再燃して行く。
とはいえ、10年間何の音沙汰も無かったとあってこの時点ではファンの間でも「西川が言うなら」と「西川が言ってるだけだし」に分かれ、「期待せずに待っていよう」というような論調も少なからず見られるなど未だ半信半疑といった調子だった。
だが、2021年5月、上海に建った実物大フリーダム像の完成記念イベントの中で、SEEDシリーズの新企画『GUNDAM SEED PROJECT ignited』が発表され、
その中で本編テレビシリーズの続編として劇場版が製作中であると正式に発表され、いよいよファンは「その時」が来た事に歓喜した。
そして時は下り
2023年7月、盛況の内に完結した『
水星の魔女』最終回の直後、『劇場版SEED』は『
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』と名を変え、翌年1月に公開される事とPV第一弾が発表された。
翌月には登場人物の設定画が公開されると共に主要登場人物の一人であるカガリの担当声優が変更される事が報じられたことでファン間には動揺が広がるも、同年12月には予告編が公開された。
そして
2024年1月26日、遂に前年7月に発表された予定通りに劇場公開された。
『"X" plosion GUNDAM SEED』の発表から数えて実に
約18年後の事であった。
西川氏を始めSEEDのファンはデラーズ・フリートの6倍も待ったのである。
「許せ!」
【概要】
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の続編となる劇場作品。2024年1月26日に公開された。
監督は引き続き福田己津央が担当、脚本は故・両澤千晶と、その遺稿に手を加える形でSEEDシリーズの小説版を執筆していた後藤リウが担当する。
福田監督が得意とする
敢えて具体的には語らず見せない描き方やダイナミックな画、両澤氏の
容赦なく人の心を抉るドロドロの人物模様描写、各キャラの心情の補完に定評のあった後藤氏の作風、
そして前2作を通して描かれている
「良かれ悪しかれ、言わなければ伝わらないし、言ったら伝わる」という普遍的テーマは20年近い時を経てなお健在しそれらが上手いこと組み合わさっている。
『
機甲戦記ドラグナー』などの過去作へのオマージュも張り巡らされつつも、後半の
圧倒的なパワーでぶん殴って来るかのような、
そして
真面目にやっているのか笑わせに来ているのか、真面目である事自体が変な笑いを生んでいるのかという作風は最近の福田作品である
『クロスアンジュ』の影響も強く窺わせる。
また
過去に福田監督は「主役はキラとラクス」「テーマは『愛』」とする予定だったが一旦それを白紙にしたとも語っている。
しかし、本作は実際には
当初の予定通りの作品となっており、デスティニープランを否定した後の時代の二人や、戦うキラとラクスを支え、対するファウンデーションに無いものとして
「愛」は本作の重要なキーワードとなっている。
前作から20年近い時間が経って公開された本作だが、正式に映画の製作が再始動したことが報じられてもなお、
長い時間の中で再評価や再考察が進んで行ったとはいえ賛否の分かれがちな『SEED DESTINY』の続編である事や、カガリ役の進藤尚美氏の降板、テレビシリーズから変化した映像の質感及び画風や、またアスランが裏切ったりしないか、またニコルや桑島ボイスキャラが死ぬのかなど、期待と同時に不安の声も上がっていたが、
いざ公開されてみればSEEDシリーズらしさが本作でも健在であったり、懐かしい名前や物やSE、見覚えのあるカットシーン、意外な機体の再登場及び活躍などといった20年来の視聴者へのファンサービスに溢れ、各キャラクターやコズミック・イラ世界の更なる深掘り、後半から終盤にかけての非常に熱い怒涛の展開(と、映画館でなければ噴き出してしまいそうなワンシーン)は非常に好評を博しており、一種のお祭り作品として大きな話題になった。
特にリアルタイム世代の視聴者からは、「SEEDシリーズの作品がネットで話題になっているのに叩きコメントで荒れている様子が無い」「何の気兼ねもせず『SEED』に肯定的なコメントができる」事を感慨深く見る声も多い。
そして本作、世界観としては間違いなくドロドロなことに定評のあるC.E.ワールドなのだが、根底のテーマが普遍的なものである事を濁したりはぐらかしたりすることなく真正面から描ききっており、ストーリーの焦点もかなり絞られているためシリーズを深く履修していなくても楽しめるという意見も多くみられる。
結果的に、大衆向けでありつつも20年待っていたファンを唸らせる作品に仕上がっていると言える。
また、ガンダム作品らしく物販には通常のアクスタなどのキャラクターグッズの他にも本編にも登場する最新作や限定クリアカラーバージョンの
ガンプラも発売。
更に入場者特典として、第一週は脚本の後藤リウ書き下ろしの短編二種『月光のワルキューレ』or『二人の逃避行』とアーケードゲーム『アーセナルベース』用のカードが配布。
(僅か1日で品切れになった)
+
|
以降週が下るごとに以下の特典が配布された。 |
- 第二週:キャラ&メカデザインの小冊子
- 第三週:コマフィルム
- 第四週:キャラ&メカスタンド、
- 第五週:原画イラストカード
- 第六週:たねきゃらステッカー
- 第七週:特製ボールペン
- 第八週:原画缶バッジ
- 第九週:キャラクターIDカード
- 第十週:描き下ろしスペシャルイラストカード/「二人の逃避行」(再配布)
- 第十一週:原画イラストカード/「月光のワルキューレ」(再配布)
- 第十二週:コマフィルム
- 第十三週:コマフィルム(復刻ver)
- 第十四週:セカンドキービジュアルイラストカード
- 第十五週:47都道府県ご当地ビジュアルポストカード
- 第十六週:特製フォトカードセット(キラのデスクに飾られた写真)
- 第十七週:本作の後日談を描いたポストカード
|
更に公開から暫く経過した8月26日、Blu-ray対応の作画修正やエピローグカットを追加したバージョンアップ版が特別上映された。
≪第1弾≫9/20(金)-10/3(木)
≪第2弾≫11/1(金)-11/14(木)
Blu-ray発売後、サブスクによってNetflixのように修正前のものかAmazonプライムビデオのようにバージョンアップ版を扱っている場合がある。
興行収入・評価
上映館数はシリーズでは異例の全国約350館規模となり、公開日0時からの最速上映や朝上映などに観客が殺到。
公開日から最初の3日間で動員人数63万人、興行収入10.6億円を記録、更に10日後には2024年最速で100万人を突破し動員人数121万人・収入19億円、2週間後には動員人数130万人と収入20億円を突破という大記録を打ち立てた。
そしてそれを記念してCGチームが途轍もなくカオスなお祝いミニムービーを制作した。
そして公開から18日後には動員人数163万人と収入26.8億円を突破し、特に興行収入は「
機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」(1982年公開)の約23億円を約42年ぶりに更新して、
歴代劇場版ガンダムシリーズの過去最高額を記録した。
公開3週目明けとなる2月19日には興行収入が
31億を突破。奇しくもこの日は両澤氏の命日であった。
さらに公開から丁度1ヵ月後の2月26日、興行収入が
34.8億を突破。ちなみにこの記録により『
ラブライブ!The School Idol Movie』の28.6億円を抜いて本作が
松竹アニメ映画の興行収入第1位に輝く結果となった。
3月3日には応援上映が実施され、翌日には興行収入が37億円、観客動員が220万人を突破したことが発表された。更に3月1日~3月3日の週末興行収入ランキングで第3位に再浮上。
3月11日には興行収入が38.8億円、観客動員が230万人を突破。週末興行収入ランキングも引き続き3位を維持した。
公開から2か月目には観客動員が243万人、興行収入が41億円を突破した。
それを記念してCGチームがまたもやアスランをオモチャにした。
全国公開が終了間近になった5月22日の時点で観客動員が288万人、興行収入が48.2億円を突破。松竹映画全体でもおくりびとに次ぐ歴代2位の記録となり、ガンダムシリーズとしても歴代最高額を記録したまま、有終の美を飾った。
それから約2週間後の6月8日にはNetflixとAmazonプライムビデオで配信が開始された。
サブスクでの配信後も本作の人気が根強かったのか、全国公開終了後から約4ヶ月経った9月に上映された特別版第1弾の数字も合わせると、観客動員300万人、興収50億円を記録した。
最終的な興行収入は53.8億円を記録し、2024年度のネット流行語100では年間大賞に選出された他関連単語が12個もランクインし、
第48回日本アカデミー賞ではガンダムシリーズでは初となる優秀アニメーション作品賞を受賞するという快挙を成し遂げた。
小説版
同名のノベライズ版も発売されており、著者は本作の脚本担当であり、かつて『SEED』『SEED DESTINY』のノベライズ版も担当した後藤リウ、表紙や挿絵は『SEED』などのノベライズで挿絵を担当し後に『
敗栄』などのガンダム漫画も手掛けた小笠原智史。
基本的に映画に準拠しているのだが、これまでの『SEED』『SEED DESTINY』ノベライズ版と同じくアニメと小説で描写が異なる部分もある。
劇場公開から間もない1月30日に上巻が、下巻は同年3月26日に発売された。
上巻では映画では描かれていないアグネスとシュラのダンスシーンがあったり、下巻では映画ではモブとしての出番しかないカズイ・バスカークのモノローグ他、小説版独自の要素もある。
【テーマソング】
「FREEDOM」
西川貴教 with t.komuro(小室哲哉)
SEEDシリーズのOPや挿入歌を多く担当し、劇場版SEEDを熱望していた西川兄貴が本作のOPを担当する極めて自然な流れ。
……だが、今回はT.M.Revolutionではなく、初となる小室哲哉氏とのタッグが組まれた。
小室哲哉氏と言えばSEED放送期である90年末~2000年代前半に爆発的なヒットを連発した作曲家&音楽プロデューサーであると同時に、あの
BEYOND THE TIMEを提供したという点では劇場版ガンダムシリーズとの関わりがある。
目標を見失い迷走しながらも希望を探すキラの心情をなぞるようなバラード調の楽曲になっており、これまでのSEEDシリーズの楽曲と大きく雰囲気が異なるため、公開当初は戸惑う声もあったが、劇中での使われ方は非常にスタイリッシュなものであったため現在では評価が高い。
後に本編の映像を使ったスペシャルMVも公開された。
あの感動をもう一度観たい人に。ただし終盤のシーンも使われており、実質的には
4分前後のスペシャルダイジェストと化しているのでできれば鑑賞後に見ることをお勧めする。
曲は聞いてみたいがネタバレはちょっと…という人は
THE FIRST TAKE版も公開されているのでそちらをどうぞ。
「去り際のロマンティクス」See-Saw
こちらも「
あんなに一緒だったのに」などSEEDシリーズのEDを多く手掛けたSee-Sawが担当。
実はユニットとしてのSee-Sawは2006年から活動休止(メンバーはそれぞれソロで活躍している)しており、本作はSee-Saw名義としては実に19年振りの新曲となる。
2019年、つまり劇場版SEEDのプロジェクトが極秘裏に再起動していたタイミングでライブ限定でSee-Sawが復活しており、もしかしたら伏線だったのかもしれない。
キラとアスランにフォーカスした「あんなに一緒だったのに」や、様々な組み合わせが想起される「君は僕に似ている」と比べ今回はラクスの心情に沿ったキラへのラブソングとなっているが、
本編終盤の展開の結果一部で「ロマンティクス」が
そういう隠語扱いされていたり……
こいつらロマンティクスしたんだ!
「望郷」中島美嘉
シリーズファンならお馴染みの名曲。
本作ではかつての名BGMがアレンジして怒涛の如く流れる局面があるのだが、その〆として出てくるのがこれ。
なんと原曲そのままで流れるため、名義も「T.M.Revolution」となっている。
「Reborn」玉置成実
劇場版のプロモーションとして公開された新曲。ガンダム的には『
F91』における「君を見つめて」的なポジションと考えればだいたいあってる。
これまで玉置氏がSEEDシリーズで手掛けてきた楽曲へのオマージュが散りばめられており、TVシリーズ本放送時からの「Believe」「Reason」「Realize」は勿論、スペシャルエディション初出の「Result」までも抑えた歌詞はファン必聴である。
【あらすじ】
二度目の大戦が終結し、当時のプラント議長ギルバート・デュランダルが提示した「
デスティニープラン」が中止されてから1年が経ったC.E.75年。
大西洋連邦、プラント、オーブは共同で
世界平和監視機構コンパスを設立、その初代総裁となったラクス・クラインの下、コンパスの一員となったキラやアークエンジェル、シンや元ミネルバクルー達は、未だブルーコスモスなどのテロが続く世界の治安維持に努めていた。
しかし、戦えど戦えど世界からは火種も憎しみの連鎖も絶えない事にキラはやりきれなさを覚え、その部下となったシンもキラは自分を信頼していないのではないかと思い悩む。
そんな中、ユーラシア連邦から独立した新興国家
ファウンデーション王国が、ブルーコスモス系テロ組織のリーダー、ミケール大佐の逮捕に協力を申し出る。
ユーラシア連邦はコンパスに批准していないためその領内での活動はできないが、ファウンデーション首脳を交えた交渉の末にユーラシア連邦領内に決して進入しないという取り決めの上、
ユーラシア、ファウンデーション、コンパスの三者共同によるユーラシアとの国境間際の地域にてミケール逮捕作戦が開始される。
だが、全てはファウンデーションの罠だった……。
ファウンデーションの近衛部隊
ブラックナイツによる精神干渉で心を乱されたキラは事前の協定を破ってユーラシア領内に進入してしまい、
「ユーラシアへの侵攻ではなくキラの独断行動である」という証明に向かうファウンデーション軍と防衛行動を取ったユーラシア軍の両方から集中攻撃を受けてしまう。
遂にはブラックナイツの別動隊がユーラシアの基地から戦術核ミサイルをファウンデーション首都に向けて発射させ、それを見たコンパスの仲間たちも口封じのために襲撃を受ける。
首都に残っていたルナマリアの懸命の迎撃も間に合わず、ファウンデーションは壊滅、キラ達も行方不明となった事で、
「キラ・ヤマトの突然の暴走が核の発射とファウンデーション壊滅を招いた」として大西洋連邦はコンパスを見限り離脱、ザフトもそれを匂わせる発言をして会談は打ち切られたことでそれに伴いコンパスの信用は失墜・活動も凍結してしまう。
ファウンデーションの真の目的……それは世界にデスティニープランを再施行させ、自分達がその世界を支配すること。
ラクスと共に宇宙に脱出したファウンデーション幹部達はユーラシア連邦に「核攻撃」の報復として甚大な被害を負わせると共に、5日以内の全世界でのデスティニープランの実行要求と、
それが受け入れられない場合の無差別攻撃、そしてラクスもまた自分達に賛同する同胞であると宣言する。
加えて、陰でプラントの過激派を煽ってクーデターを起こさせ、ファウンデーションの味方に付けていた。
命からがらオーブまで無事に逃げ延びたキラ達コンパスメンバーは、そこでようやくファウンデーションの正体とその陰謀を知る。
彼らの暴挙を止めるため、そしてラクスを取り戻すため、キラとコンパスは再び宇宙に上がる――。
【登場人物】
コンパス
CV:
保志総一朗
無印からお馴染みの本作の主人公。階級はオーブ軍時代から引き続き准将。母艦はアークエンジェル……ではなく今回はミレニアム。
以前までは一パイロットとしてひたすら戦っていただけだが、本作では(良くも悪くも)自分の隊を指揮する軍人らしい様になっており、部下を率いて指示を出す場面や軍帽を着用する様子も。
小説版によれば、コンパスの総指揮官も務めているという。
その一方でテロを潰しても潰しても一向に終わりの見えない戦いや、復讐の連鎖を断ち切れない現実を前に精神が疲弊しつつあり、
「自分は何も守れてなどいないのではないか」「これではデュランダルの言った通りではないか、デスティニープランを受け入れた方がマシだったのではないか」と思い悩んでいる。
前作終盤の
「覚悟はある……僕は戦う!」というデュランダルへの啖呵と決意は今や呪いと化して自分自身を蝕みつつあるのは想像に難くなく、
久々にラクスが待つ自宅に帰ってゆっくりできるという状況でも新兵器開発に勤しみ、艦長のコノエから帰らなくていいのかと声をかけるほど。
そうまでして戦っても変わらない現実と、急速にラクスに近付いて行くオルフェ、彼からの「キラではラクスに平和を与える事はできない」「その『血塗られた手』でラクスを抱けるのか」との言葉を前に、またしてもキラの精神は不安定になってゆく……。
前作ではそのあまりに泰然とし過ぎた様が「悟ったようになってしまった」と言われたキラだが、本作の描写と福田監督のコメントからあれは当時は精神的に壊れていたからだった事が判明、
あの当時の姿は枯れたのでも悟ったのでもなくそうせざるを得なかったからそう見えるように振舞っていただけだったのである。
なまじそこから回復してしまった事で、本作のキラは『SEED』の頃の様に悩んだり落ち込んだり感情を思い切り吐き出したりといった非常に人間的な様子となっている。
ブラックナイツから受けた精神汚染によって周りが見えなくなってしまったキラは、遥か遠方の進入してはならないユーラシア連邦内にミケール大佐の存在を感知、
協定違反にも気付かずユーラシア連邦領内に進入してしまい、汚染が解けた後は自分が破壊したユーラシア連邦軍の兵器の残骸と多数の敵に取り囲まれている状況だった。
オルフェに掛けられた言葉や、気付かぬ内に協定を破ってしまった事とそんな自分を止める為に「ラクスが攻撃命令を出した」事実に激しく動揺する中では、ブラックナイツの連携を前にさしものキラも苦戦を
強いられ負傷、
更にはアグネスの裏切りも重なり窮地に追い込まれるも、駆け付けたアスランによって救出され、一帯を吹き飛ばした核攻撃からも辛くも逃げおおせる。
オーブの秘密ドックに戻ったキラだったが、これまでの戦いやオルフェの揺さぶりで蓄積されたいつまで経ってもラクスに平和な世界を与えられない現実への不安、それ故にラクスが自分を捨てて裏切りオルフェを選んだ(ように見えた)ショックが重なり、
ラクスを救出しようと提案するアスランに対して精神的に疲弊を極めていたキラは完全に自棄を起こしてしまい、「自分達が行っても無駄」「自分ではラクスを幸せにできない」とまで言い出す。
しかしアスランからの拳を交えた一喝により、「全てを自分が背負い、ラクスに平和な世界を与えなければならない」という強迫観念と「(仲間に頼らないのは)仕方ないだろ! 君らが弱いから!!」という弱音をぶちまける。
遂に「ラクスに……会いたい……」、「しかしラクスの望みを叶える為にどうすれば良いのかもう分からなくなってしまった」という本音を涙を溢れさせながら明かすが、
仲間たちの激励によりようやく奮起、「ラクスが求めているのは平和をくれる人ではなく一緒に平和を実現しようとしてくれる人」である事、仲間を頼って良い事、不安ならラクスと会って話せば良い事を思い出し立ち直る。
ミレニアムで出発後はファウンデーションとの決戦に向けて多分に挑発を込めてアウラに宣戦布告、
シンに対しても信頼を言葉で伝え、デスティニーとの再会によりやる気に満ち溢れていた彼の士気に拍車をかけた。おそらくこれが後のシンの大爆発の最大のトリガーである。
アルテミス到着後はストライクフリーダム弐式でシュラと対峙……したと見せかけてアルテミスに突入、イングリットの脅迫にも負けず「自分が愛しているのはラクスの価値ではなくラクスそのもの」と堂々と宣言、彼女を救出した。
その後はストライクフリーダムに乗り移り、月面での戦いにてオルフェ&シュラを前にまたも圧倒されるも、「自身の最大の武器はラクスの愛」と真に自覚したキラも負けじと反撃、
一時は追い詰められかけるがアスランの増援によって虎口を脱し、更にラクスと合流しマイティストライクフリーダムとなった後はカルラを撃破、見事勝利を収めた。
決着後は地球に降り、ラクスと口づけを交わすのだった。
なお、精神汚染を喰らったとはいえやらかしてしまった責任はどうするのかはきっとファウンデーションに(実際間違ってはいないので)全部押し付けるんだろう視聴者の間でも議論になっている。小説版ではこの後表面上はラクスと共に行方不明になっている。
本作に至るまでの18年の中でキラの内面についての再考察が広まっていたお陰か、オーブの秘密基地で弱気になっていた時の「君らが弱いから!」という発言は、テレビ版放送当時の
やめてよねなどとは異なり
非常に好意的に受け止められている。
文面だけなら一歩間違えれば「傲慢に振舞っている」「増長している」とかつてのように叩かれかねない発言だが、これは周囲を見下してではなく
「皆を守る為に自分『が』戦わねばならない=他人を頼ることは許されない」というプレッシャーと思い込みからの発言である。(あえて嫌われるためにわざとそういう言葉つかいをした可能性もある。どちらにせよ心優しいくせに割と口が悪いのもキラらしい)
この時点のキラの心が折れかけている様子と、一度は決めた戦う覚悟が重石となり何もかもを一人で抱え込もうとしている事や、それがためにいつかと違って今なら頼れる仲間がいる、
今はもう、自分『達が』戦えるのを忘れかけている事がここまでで丁寧に描かれていた事もあり、
久し振りに感情をストレートに表しているキラの姿には多くの視聴者が
ようやく本音を吐き出せた様にむしろ感慨深さを覚える程だった。
あとこの台詞はアスランに
完膚なきまでに一方的にボコられ続けている中で吐き出した言葉なので「弱い」アスランにすら全く歯が立たない状況も相まって、全部1人で背負おうとしていたキラのやるせなさを表現する名場面と言えるだろう。
ちなみに本作を含めてキラが乗機を乗り換えるきっかけが「近接戦闘で撃破されている事」ばかりである。(ストライク→イージスの自爆特攻、フリーダム→インパルスのエクスカリバー突撃、ストフリ→ブラックナイトのビームサーベルで一閃、ライフリ→アグネスの裏切り)
それを踏まえると最後の機体の追加武装も弱点をカバーする意味合いもあったのかもしれない。
CV:
田中理恵
本作のヒロインにしてもう一人の主人公。コンパスの総裁を務める。よく見るとリボンの色が『SEED DESTINY』の頃は赤色だったのが本作では青色。
キラ(フリーダム)の色に合わせたのだろうか。
その絶大なカリスマ性は本作でも健在であり、組織の代表として、平和の為に奔走する。
しかし互いに多忙の身故にキラとはすれ違い始めている事や、立場上キラを戦わせなければならない事に心を痛めている。
そんな状況でのアグネスからの(中傷同然の)非難やオルフェの猛烈なアプローチ攻撃とそれを悪く思えない事、そしてある理由でラクス自身が非情な決断をせざるを得なくなってしまった事に深く動揺するが……。
本作では離別した事が示唆されるだけで存在自体語られる機会が皆無だったラクスの母親があのヒビキ博士に伍するマッドサイエンティストである可能性が浮上、
彼女もまたキラ並みに出生に深い闇を抱えた存在だった事が判明するなど、そういった意味でも相当な災難に遭っている。とんだ似た者&お似合いカップルである。
実はブラックナイツらと同様、デスティニープラン施行後の世界を統べるために造られた特殊なコーディネイター「アコード」だった。
オルフェと接触する度に発生していた不可思議な現象や、オルフェに無意識に惹かれていたのも、同じアコード同士、オルフェと共に世界を支配するよう予め計画に組み込まれていたためだった模様。
キラが精神汚染を受けて暴走し協定違反を犯してしまい重大な国際問題となりかけてしまった際は、コンパス総裁という立場上やむを得ずキラを止めるよう命じるが、ファウンデーションが仕掛けた電波干渉と迫り来る核ミサイルを前に、キラやコンパスに事態を何も説明できないままアウラやオルフェらと共に脱出を余儀なくされてしまう。
宇宙に脱出後はアルテミスに軟禁され、そこで自身の正体と運命を知らされるが、その運命を拒む。
その後もアルテミスの一室に囚われ、キラ達が生き延びてこちらに向かって来る事に動揺したオルフェが「キラは死んだ」と吹き込み伴侶になれと改めて迫るも生存を信じるラクスは頑なに拒否、
焦りからオルフェはラクスを押し倒し
身体だけでも手に入れようとするも
「それでも心までは奪えない」と毅然と対応し、オルフェを退散させた。
キラ達によって救出された後はミレニアムに移り、そこで改めてファウンデーションの陰謀を白日の下に晒した後、「今回だけ」と無理を言ってプラウドディフェンダーでキラの元に出撃した。
プラウドディフェンダーが張った結界でキラの窮地を救いコクピットの彼の元に合流すると、この度初めてSEED能力を実戦で使用、放電攻撃やディスラプターの照準を補佐し勝利に貢献した。
全てが終わった後は、キラと共に地球に降りたラクスの独白あるいは語り掛けで物語は幕を閉じる。
また、ラストにはラクスの指輪が宇宙空間を漂う場面がある。
明言された事は無いがラクスの母の形見ないし昔贈られたものである事が示唆されているあの指輪を捨てたのだとしたら、自らの決められた運命ではなく、自分の意思で未来を生きていくという意思を示すものでもあるのだろう。
余談だが、前作までは非常に煽情的な際どい衣装を着ていたミーアと比較して体型について何かとネタにされていたラクスだが、
本作ではプラウドディフェンダーを届ける為に
ピッチピチの専用スーツを着用しており、
その凝った装飾もさることながら、スーツによって強調された
豊満なボディがファン界隈に周知される事となった。
その様相は完全に
ミーアの色々強調されたボディに鼻の下を伸ばしていたヨウランそのものである。
そしてDESTINY時の体重変化とミーアをラクスに化けさせるために自前の声を除く全身整形を施したデュランダルが胸だけ自前のまま残したのが「遺伝子的にはミーアクラス行くと考えて弄らなかっただけなのでは」と上記体型についてネタにしていたファン達からさらにネタにされた。
ラクスの正体を踏まえると、幼い頃に彼女が母から聞いたという
「世界はあなたのもので、そしてまたあなたは世界のもの。生れ出て、この世界にあるからには」という言葉も違った響きになる。
ラクス自身はこの言葉を、かつてメンデルで自身の出生の秘密を知り「生まれるべきではなかったのではないか」と悩むキラに対して
「どんな形であれ誰もが世界の一部。キラという「世界の一部」に会えて、自分という「世界の一部」が幸せになったのだから、キラは生まれて良かったに決まっている」という意味で引用しているが、
元々は幼い子供に世界観を説く観念的な話ではなく
いずれ世界と人類を支配することになる者に対する言葉通りの意味だったのでは?と考えられる。
そんなわけで、
指輪共々キラへの祈りだったはずのものがラクスへの呪いへと転化した事に視聴者は慄くしかなかった。
「イイハナシダッタノニナー」をここまで体現した展開もそうはない。
ちなみに監督は指輪をどうするか迷ったようで、社内の女性にアンケートをとって多数決で指輪を手放させることを決めたそうな。
それはそれとして指輪については視聴者からも「あんな呪いのアイテムはさっさと捨てて正解」とする意見が多い。
ただ、重要度は上がったもののラクスの母については本作では名前すら語られることは無く、アウラやオルフェの語った内容がどこまで本当だったのか、
晩年にナチュラル回帰論を唱えたりアスランとの婚約を取り決めた(=アコード構想を知らなかったか否定した)シーゲルとの関係性、何より彼女自身の思想など語られなかった点が多く、言葉の解釈もあくまで予想に留まる。
2月のラジオで監督は「ラクスがアコードってわかっちゃったら、たぶんこれからあいつ大変だよ。殺されかけるよ。とっとと地球帰っちゃったのは生死不明にしちゃおうとか思って」と話しており、キラ共々再び隠棲する可能性を示唆された。
ノベライズ版下巻ではキラと共に消息を絶つ結末になっている。
ただし監督が舞台挨拶の場では「落ち着いたら歌の仕事をするかも」「二人の処遇を決めるまで姿を隠してる」などと言い、ノベライズ版下巻発売後だと「少しだけ休ませてあげたいなとは思いました」などとも言及されているため、事後処理(キラは領空侵犯、ラクスはアコード)が終わるまでは身を隠すといった感じなのかもしれない。
なお、今回のアコード関係の設定により、ラクスは第一世代である事が判明したため、キラとの間に子供を作る事ができると明かされた。
スーパーコーディネイターとアコードの子供とか大変な事にしかならなさそうな出自である。
どちらも鳥型のペットロボ。
トリィはアスランが作ったものだが、ブルーはキラの作で、本編以前にラクスに贈られたものである。
かつてプラントのクライン家の邸宅に青い鳥が遊びに来ていたのに着想を得たのか、ブルーはトリィの色違いであり、名前通りの青色。
トリィが「トリィ」と鳴くのと同様にブルーも「ブルー」と鳴く。
実はトリィとブルーは互いに量子通信ネットワークで繋がっており、お互いの位置を感知できる機能がある。
ラクスがファウンデーションに攫われアルテミスに軟禁された際も、ブルーがラクスの髪の中に隠れていた事でキラはラクスの居場所を知ることができ、救出に貢献するのだった。
CV:三石琴乃
お馴染みガンダムシリーズの顔にして本作ではラクスのお友達。
本作でも相変わらず作中のキャラの気持ちの代弁や皮肉るようなセリフを発しながらやかましく飛び回っている。同じくアスラン作にしてキラのお友達であるトリィと戯れる場面も。
キラとラクスの邸宅には色違いが多数並んでいる他、一番のお気に入りのピンクちゃんはファウンデーション行きのミレニアム艦内にまで持ち込まれていた。
キラの為に細切りの海苔でラインを表現したハロ型おにぎりを作るなど、今でも変わらず気に入っている様子。
劇場作品向けの音響のパワーアップの影響か、それとも流石に時間が経ってガタが来始めたのか、今回はモーター音や駆動音がガシャガシャうるさくなった印象を受ける。
因みに、サンライズの上映前サウンドロゴは「転がって行き、飛び跳ねたアムロのハロがSUNRiSEの『i』の点になる」というものだが、
本作やその前に制作されたスペシャルエディションでは、SEEDに合わせてこのハロがピンクハロになっているという小ネタが仕込まれている。
ラクス救出作戦の折にはハロが
大量に投入され、アルテミス内の通風口内を
「アカンデー!」などとやかましくしながら飛び回った末に
ダクト内で催眠ガスを大量に噴出、
敵兵士やアウラ含む指令室要員のほとんどを眠らせキラ達のラクス救出の障害の多くを無力化する大活躍を果たしている。
逆に言うと、ラクスを救出する必要があったからこの程度で済ませてもらえたが、そうでなければ毒ガス撒いてアウラ達を抹殺する事も出来たという事でもある……。
このハロ達の中にはミーアが持っていた
赤ハロ(ちゃんと英語で喋っている)や、ヒゲを描かれた濃紺色のハロ(ネイビーちゃん)も含まれている。
なおネイビーちゃんの声は
子安武人。しかもガスを噴射しながら
「ゼッコーチョー!!」などと叫んでいた。
CV:
鈴村健一
前作『DESTINY』の主人公。キラ直属の部下の一人。階級は大尉。
前作の戦いでの敗北とキラとの和解を経た事で、オーブへの憎しみが解消され、前作のように不安定な精神状態の中で怒りと義務感で無理矢理闘志を奮い立たせる必要もなくなったためか、本作では憑き物が落ちたように快活で明るい性格になっている。
むしろこれが本来の彼の性根なのだろうと推察できるが、
あまりに明る過ぎて視聴者から若干退行しかけてないかと心配されたりした。
一方で
飛来するミサイルをビームライフル3連射で立て続けに撃墜したりと、そのエースパイロット振りは健在どころか磨きがかかっている。
加えてキラへのリスペクトか、なるべく急所を外す戦いを心がけていたり、しっかり市民をシールドで守りながら戦ったりと、その卓越した技量は十分にベテランばりの風格さえも伴っているほどで、精神的にも随分成長した事が覗える。
未だブルーコスモスの無法振りや自殺同然のテロ行為をいつまでも続ける姿勢に苛立ちつつも、以前の剥き身のナイフのような過剰な攻撃性や不遜な態度は見られない。
とはいえ、キラを面と向かって馬鹿にされた時は思い切り不機嫌になる、終盤の戦闘中は荒武者そのものと、そのキレ芸は健在。
以前から語られていた通り今ではキラをよく慕っているが、キラは頑なに自分一人で最前線に立ち続ける事から「キラから信頼されていないのではないか」と悩み始めている。
そんな訳で、「普段は天真爛漫、慕う者にはよく懐くが、敵には激しく噛み付く」という姿は多くの視聴者からわんこに例えられる事になる。
コンパスメンバーの中では一際明るい性格からコメディリリーフの役回りを与えられた感があり、
- 一人だけアウラ女王に礼をするタイミングが遅れる
- ファウンデーション王宮で開かれたパーティーで、一人だけ皿に山盛りにした料理を食いまくっている
- ルナマリアとアグネスが女の戦いを繰り広げてバチバチしている事にも全く気付かずケーキを両手に持って「何の話?」と無邪気に割り込んでしまう
- ルナマリアに手を出そうとしてうまくいかずギクシャクした結果、夜中にミレニアムの甲板で一人で体育座りして落ち込む(一方ルナマリアは部屋で軽く拗ねている)
- 2年振り2度目のラッキースケベ
- キラとアスランの喧嘩を止めようとしたらタイミングが悪く両者から吹っ飛ばされる
- ルナマリアに対して場違いな時に場違いな悪いジョークを仕掛けた結果危うく殺されかける
……と、全体的にギスギスした感の強い前半の貴重な清涼剤となっている。
特に体育座りの件は、「シンから手を出した」部分が描かれていなかったとはいえ、
「ルナマリアからの「お誘い」に盛大な鈍感ムーブをやらかした」という感想が出回って溢れるくらいには、視聴者からもそういう認識をされている。
これだけ見ると、まるで主人公の座を追われた挙句に三枚目にまで落とされたかのような印象を受けるかもしれないが、
終盤では
勇気凛凛・元気溌剌・意気揚々なシンが最高の愛機に乗ったらどれだけ恐ろしいかをこれでもかと見せ付け、
シン(とその愛機)についての従来の考察を非常に良い意味で大幅に改める必要が出る程の途轍もない、主役格の面目躍如という大活躍を果たしている。
間接的に、前作までの陰惨で酷い世界情勢と重圧がとんでもないデバフとなって本来のシンを強烈に苛んでいた事も証明される形となった。
かつての愛機との再会を果たした際には本当に心の底から嬉しそうにしており、横にいたアスランも悪そういい笑顔で見つめていた。
相手もこれまでのような「互いに言い分があり戦いにくい」連中ではなく、本人との因縁もある外道・オブ・外道のファウンデーション軍であるため何のしがらみも無く存分に戦える、まさに気炎万丈の状態。
そしてキラとアスラン達によるラクス救出の囮兼、敵旗艦への単独突撃を試みるミレニアムの護衛という超重要任務をキラ本人から任されたことで、彼から全面の信頼を得ていると確信し完全にリミッターブッチ切りの状態となり、
改修されたとはいえ今となっては旧型のデスティニーで、インパルス・ゲルググに乗り換えたルナマリア・ヒルダを率いてファウンデーション軍の艦隊を次々と撃沈する。
一度は敗北したオルフェ・イングリットとシュラを除くブラックナイツ4機+アグネスのギャンと対峙するも、
「この間はジャスティスだったから負けたんだ!!」と、以前とは違い「自分の為の愛機」の力を限りなく引き出す事で格上複数を相手に圧倒し、隙を見てエネルギーが低下したインパルスにデュートリオンビームで充電するなど大立ち回りを見せる。
SEEDを発動させ
考えるのを止めたシンにはブラックナイツの読心は通じず、今度は精神汚染で暴走させようとするも
途轍もなく深いシンの心の闇を迂闊に覗いてしまった事で恐るべき怪物の姿に変貌し襲い掛かって来るステラのイメージを見てしまい逆に戦慄させられてしまう。
読心も暴走も通じず、遂には半ば破れかぶれで得意の分身アタックを仕掛けるも、
C.E.世界に於ける分身攻撃の第一人者であるシンはそれを
寝ボケた分身と一蹴、
「分身は!! こうやるんだあぁぁぁあ!!!」
という咆哮と共に雲霞の如く無数に分身させたデスティニーを叩き付け、あまりの異常事態にブラックナイツと視聴者が混乱した隙にデスティニーの多彩かつ強力な武装群を巧みに使い分け次々に粉砕、
終わってみればブラックナイツ4機を相手に終始無双し、内3機を単独で、ほぼ無傷で撃墜するという大戦果を挙げる。
その後はムウから受け取った新装備『ゼウスシルエット』でレクイエムを破壊、今度こそ自らの手で生まれ故郷であるオーブを守り切り、事態解決に大きく貢献した。
キラやラクス、アスランと違い物語を直接動かすキャラクターとしては描かれていないが、全体的に殺伐としがちな物語(特に前半)の清涼剤として、そして終盤の大立ち回りからその評価は爆増。
20年来のシンやデスティニーガンダムのファンはまさに必見という内容に仕上がっている。
因みに、福田監督の蔵出し情報によるとステラが闇に吞み返すシーンは後藤リウ氏の発案で、構図は
ドズルから鬼のようなオーラが立ち上るシーンのオマージュとの事。
CV:
坂本真綾
キラ直属の部下の一人。階級は中尉。カタパルトで射出される直前にヘルメットのバイザーを下す癖は本作でも相変わらず。
前作ではシンとの関係は、「深く傷ついた者同士の傷の舐め合い」に近い不健全気味なものだったが、本作ではお互いに本当に惹かれ合っての恋人同士となっている。
ドラマCDによると前作の戦いの後
シンは方々でのろけまくっているとの事である。
一方で、シンが相変わらず子供っぽい所にやきもきさせられる事も(と言ってもシンは
まだ17歳、高校2~3年生相当なので、プラントでは成人年齢とはいえ老成しろという方が無理筋なのだが)。
ミケール大佐逮捕作戦ではファウンデーション首都に停泊するミレニアムで待機していたが、核ミサイル接近を受けて狙撃用装備を受け取り迎撃の為に出撃。
なんと核ミサイルの1本目を狙撃によって撃墜に成功する。しかし、遅れて到達し軌道を変更した2発目の迎撃は間に合わず、やむなく海中に退避し難を逃れた。
「ルナマリアは射撃がヘタ」というネタは有名だが、超高速で飛来する核ミサイルの内一本は確実に撃ち落としており、汚名返上を果たしたといっていいだろう。
また、2本目も1本目を囮にするように軌道変更したのと時間的な問題でハインラインが「迎撃はもう無理だから構わず逃げろ」と言ったのを無理に迎撃にかかり安定性の低い空中で咄嗟に射撃した末に外した格好なので、ルナマリアの株を下げるものではない。
というか核ミサイルをMSの射撃で落とすのはガンダムシリーズでは凄腕の証である。
その後はミレニアムで連絡のつかないシンの遺品整理をしていたものの、ハイジャック犯に扮したシンの戯れに気付かず締め上げてしまい、
正体が分かった後は泣いて再会を喜びながら心配させた不満を全力のハグとビンタ9発でぶつけるのだった。
宇宙での決戦に向けてオーブに秘匿されていたインパルスに乗り換え、まずはブラストシルエットで雑魚の群れを掃除すると、続けてソード、フォースと換装して行き、最後はアグネスと対決する。
アグネスの言うような妥協でも自己欺瞞でもないシンへの確固たる愛の力でアグネスを打ち破ると、憧れのディアッカからミーティアを受け取りシンと共にレクイエムを破壊、コンパスを勝利に導いた。
「歩のない将棋は負け将棋」と言われるが、ファウンデーション軍の「歩」を蹴散らしてミレニアムの「玉」への道を切り拓いたルナ(とヒルダ)の功績は大きく、最終決戦の裏エースとも呼べる大活躍だった。
だからどうしたという話だが、作戦中にファウンデーションに寝返ったアグネスを除くとコンパスメンバーの中で唯一ブラックナイツと交戦していない。
前半の逮捕作戦では後方で待機、後半の決戦ではシンが単騎でブラックナイツ4人を相手取ったためアグネスを引き受け……と、一度もブラックナイツと戦闘する機会が無かった。
その後、嘗てアスランがジャスティスで月面に居たシンとルナマリアに手を差し伸べたように、今度はルナマリア自身が月面で一人うずくまっていたアグネスにインパルスで迎えに行き、その手を差し伸べた。
奇しくもその姿は、かつて月面でうずくまっていた自分とシンにジャスティスで手を差し伸べに来てくれたアスランにそっくりであった。
『月光のワルキューレ』や監督の蔵出し情報、及び『DESTINY』前半の描写からすると、彼女もかつてはアグネスのように「より高スペックな男」を求めていた節が見受けられる。
だからこそ何の打算もなく接してくる「ばかなガキ」であるシンに惹かれたのだろうか。
CV:
桑島法子
本作の新規キャラ。
キラ直属の部下の一人。階級は中尉。
ザフト時代は「月光のワルキューレ」の異名を持つエースで、アカデミー時代は同期のシンより成績が良かった。
一言で言えば
おそらくは狙ったキャスティングであろう同じ声のフレイと、前作までのシンの悪い所を凝縮・複合させたような人柄。優れた容姿と腕前を誇るが、人格に難があるといわざるを得ない。
上を見ての通りSEEDシリーズでは常連の
桑島法子氏担当のキャラである。
詳しくは項目を参照。
- ヒルダ・ハーケン CV:根谷美智子
- マーズ・シメオン CV:諏訪部順一
- ヘルベルト・フォン・ラインハルト CV:楠大典
元SEED版黒い三連星達。本作でもヒルダ率いる「ハーケン隊」として行動している。階級はヒルダは少佐、2人は大尉。
主要キャラとの関わりがほとんど無かった前作とは異なり、本作ではマーズとヘルベルトはシンに怪談を話してからかう、
ヒルダは
ルナマリアにセクハラを働く(ヒルダはレズである)、ピンチのシンを助け出すなどシン達とよく絡んでいた。
三人はシンの事は「坊主」と呼ぶが、シンはそれを特に気にする様子はない。
ミケール大佐逮捕作戦ではマーズ・ヘルベルトはアークエンジェルと共に行動、アークエンジェルの護衛に付いていた。
しかし核発射の様子を目撃していたアークエンジェルを口封じに来たブラックナイツの能力の前には敵わず敗北、戦死した。
ヒルダはジャスティスを撃墜され脱出したシンを救出、そのまま一緒に脱出しオーブまで逃げ延びた。この際、シンがパイロットスーツ越しとはいえ思いっ切り胸の上に手を置いていた事に眉を顰めている。ただ状況が状況だったため見逃した模様。
最終決戦ではルナマリアのゲルググを引き継ぎ、しばらくはミレニアムの直掩を務めた後にシンの分身攻撃を前に恐慌状態に陥っていたリデラードを撃墜、長らく連れ添った部下二人の雪辱を果たした。
厳密には直接的にマーズ、ヘルベルトを撃墜したのはリデラードではなくリュー、ダニエルの二人であるが、見方を変えれば敢えてリデラードを堕とす事で自分と同じ立場に追いやったとも言える。
本作のヒルダはキラとアスランの乱闘に介入しようとするシンを諫めようとするなど、面倒見の良い姉御肌的な側面が強調されており、本作で大きく株を上げたキャラの一人と言える。
CV:
大塚芳忠
本作の新規キャラ。
ミレニアム艦長。階級は大佐。志願してコンパスに参加した。
時々間違われるがココノエ艦長ではない
過去に様々な
ガンダム作品にて多くのキャラクターを演じた事もある芳忠氏のボイスが実に良く似合う温和な人物で、部下達からも信頼が篤い。以前は教師だったらしい。
疲弊気味ながら根を詰めすぎるキラを気遣う場面もあるなど、自身も部下をよく気にかける高潔な軍人である。
現プラント最高評議会議長であるラメントとは友人で、コンパスに参加したのは彼からの頼みによるところも大きい。
先の大戦では目立った戦果こそ挙げられてはいないものの、その的確な判断から自身の艦を損ねた事は一度も無く、
コノエ艦長に付いて行けば生き残れると部下から信頼されていたとのこと。
冒頭の作戦行動時にも、敵方の戦力は中隊規模という報告に対し「現場からの報告なので多く見積るに越したことはない」と即断しており、そのリスクヘッジ能力を窺がわせている。
よく似た事を言われているアイツや声が似てるフルメタのほうのゲイツのようなイカレ野郎では断じてない。
ミケール大佐逮捕作戦では後方で待機するが、突然のジャミングという異常事態を前に悪い予感を感じ取ったのか、
通信障害以外まだ何も起きていない内からルナマリアに狙撃用装備を持たせて待機させるという先見の明を発揮している。
判断が早い
結果としてそれは核ミサイル接近という形で的中し、2本の内1本の撃墜に成功させている。
アークエンジェルが核に巻き込まれ消滅した際も、「そう簡単に死ぬかな? あの連中が」と、マリューらが生存していた場合に備えて次なる準備を整えていた。
マリューが実際に戻って来た際は「今のコンパスは海賊のようなもの。海賊の戦いはマリューの方が慣れている」として艦長の椅子を譲り、そのマリューから任命される形で副長に代わった。そしてアーサーは副長を降ろされた。
CV:高橋広樹
ミレニアム副長。
かつて
ミネルバ副長を務めていた頃から引き続き黒服。階級は少佐。
相変わらず
無駄にリアクションが大きかったり、つまらないダジャレで滑ったり、あまり大きい声で言うべきでない事を口走って自分で慌てたりと、不動の三枚目ポジション。
彼の代名詞である
「えぇーっ!?」は今回も健在。というか顔が映る場面での第一声がそれだった。
コメディリリーフ的な役回りが目立つ残念な人。公式紹介文でも
「いささか頼りない」とまで書かれてしまうほど。
しかしながら、当時最新鋭艦だったミネルバの副長を経て、その後継艦でやはり最新鋭艦となるミレニアムの副長に任命されており、信頼されている事は間違いない。
かつて敵対した間柄であっても私情を持ち込まず、分け隔てなく接するあたりムードメーカーの人柄とも言えるし、そうした緩衝材としての役割も期待されていたかもしれない。
実力で見ても、前作でも計器類のモニタリングや兵装の取り扱いなどで失策を働くことはなく、艦長のタリア不在時に何度かその職務を代行した際も的確に指示を出している。
本作でも緊急時にあって艦やクルーを守る為の指示は冷静かつ的確に行っており、やたらとリアクションが大きい点を除けば軍人・指揮官としては十分に有能と言える。
外伝であるドラマCD『選んじゃった未来』では亡き
タリア・グラディスの遺児である
危うくグレかけていたウィリアム・グラディスの後見人となっているが、映画本編では特にその事には触れられていない。新作ドラマCD『ノイマンの航海日誌』ではメイリンがその事に付いて少し話していた。
旧アークエンジェルクルーたちとの合流およびマリューの艦長就任、そしてコノエの副長任命に伴い、玉突き事故か流れ作業のごとく降格人事でなし崩し的に副長を解任されてしまった。
その後はいちブリッジクルー兼リアクション要員として戦闘に参加。
コノエに向けて「艦長」と呼び掛けてしまう、どいつもこいつも覚悟ガンギマリなコンパスメンバー達の中で一人だけビビり気味など、コメディリリーフ的な場面も変わらず見られ、最後まで良き清涼剤であった。
ただしビビり気味とはいえそれで周囲に醜態を晒すような真似はしておらず、彼もまた自分にできる事で世界の為に戦っていたのである。
…そして新作ドラマCD『ノイマンの航海日誌』では彼本人の出番は無いのにシンとメイリンにあれやこれやの噂話を話されおもちゃにされていた。
CV:
福山潤
本作の新規キャラ。
ミレニアムクルーにしてコンパスの技術総責任者。階級は技術大尉。
スカウターのようなモノクル型デバイスを常に着用している。
口調こそ丁寧なものの
常に異常に早口で、しかもその早口で部下の無能振りを延々ブツブツ愚痴っていたり、「NJダズラー」なる研究中な筈のジャミング技術を敵が使って来た事態を前に納得の行かなさをこれまたブツブツ呟いたりする。
いかにもな「偏屈な技術者」だが、その卓越した技術力は「極めて優秀な技術者」との説明文に違わない。
「ハインライン」という名前で察せられるかもしれないが、実はフリーダム・ジャスティスの開発者の一人で、
自身の能力への自負故かプライドが高く、ラクスとコノエとキラを例外として、本心では他に誰も尊敬していないという人格に些か問題ありな人物だが、優秀過ぎて文句も言えないという扱いだったという。
しかし優秀である事は間違いなく、途轍もない新兵器をいくつも用意したりキラ達の行動を先読みしていたり敵の超兵器の弱点を正確に見抜いたりと大活躍している。
また説明から冷淡な性格なのかと思いきや、ルナマリアへの適切な指示などから分かる通り他人の命を軽んじているわけでもない。
そのあまりの頼り甲斐と馴染み振りから、
etc……と色々ネタにされており、早くも視聴者から人気を博していると共にスパロボでのルルーシュとの絡みが期待されている。
というか、登場して日が浅い上に劇中でほぼ名前を呼ばれないせいか本名が広まっておらず、
上映開始からしばらくはSNSの感想等でももっぱら「ルルーシュ」呼びされていた。そして完全に愛称として定着してしまっている。
実際、同じサンライズかつ時期の近いロボアニメという事で、ルルーシュが友情出演したかのようだという声もあり、彼の登場は概ね好評である。
ちなみに声を担当した福山氏は外伝である『
機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』のソル・リューネ・ランジュ、『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 ΔASTRAY』のアグニス・ブラーエの声をそれぞれ担当しており、本作でSEED本編シリーズへの登板となった。
ハインラインおよびコノエの声については、福田監督曰く「新キャラの説明に割く尺がないので、声だけで能力に説得力を持たせられる起用をした」とのこと。
つまり上記の視聴者からのリアクションは監督の想定通りということである。
そう考えるとSEED放映直後は
熱血もしくは
少し弱気な若者役が多かった福山氏のイメージがこの20年
ガラリと変わったことを感じさせる。
ミケール大佐逮捕作戦の途中の謎のジャミングに続いて核の発射という相次ぐ異常事態を前に、ファウンデーションの正体を知る前から全ては彼らの陰謀である事をほぼ見抜いており、
オーブで停泊中にハイジャック犯を装ってミレニアムに乗り込んで来たキラ達にも「僕の計算より2分遅かったですね」などと言い放った。
宇宙に上がりファウンデーション艦隊の正面に出た際は「大丈夫です! 我に新兵器あり!」と、自信満々に新作、おそらくはアークエンジェルなどが装備していた融除剤ジェルの発展型であろう「耐熱耐衝撃結晶装甲」を披露、
12連陽電子砲とかいう頭のおかしい兵器+艦砲射撃の直撃を防ぎ切り、あまつさえ防ぎ切れるか心配するコノエに「当然です!」と断言した(そして本当に無傷で耐え切った)。
戦闘開始後もミレニアムが放出したガンバレルの操作を担う、自らがプラウドディフェンダーをキラに届けると言い出したラクスを止めるどころか「(プラウドディフェンダー自体は)100%の性能で稼働できる」と付け加えた上でそれでもドッキングには手動操作が必要であるも「こちらで完璧に誘導しますのでご安心を」と言い切り、実際にパイロットとしては素人であるラクスの操縦でストライクフリーダムとの合体を成功させるなど、後方要員でありながら八面六臂の大活躍を残した。
CV:
三石琴乃
アークエンジェル艦長。階級は大佐。白服。
元々は技術者だったはずが今やすっかり艦長職が板に付いており、今回技術者としての活躍はない。
キラの理解者の一人でもあり、アークエンジェルとは別チームとなった今なお彼を支えている。
ミケール大佐逮捕作戦では前線で指揮を執るも、その最中にブラックナイツが工作を働いていた様子を目撃したのと謎のジャミングから、全ては罠だった事を一早く悟る勘の良さを見せる。
しかしあと一歩遅く、口封じとしてブラックナイツの襲撃を受ける。
アークエンジェルの全兵装を展開して迎撃に努めようとするも瞬く間にほぼ全ての武装を破壊されてしまい、それでも殺到するミサイルをフレアと回避運動で凌ぐなど機転を利かせるが遂にはエンジンを完全に損傷し艦を捨てる事を決意、他のクルー達を先に逃がし自身は最後まで艦橋に残る。
ブラックナイツが目前まで迫った所で自らも緊急脱出、艦橋を破壊される直前になんとか脱出するも負傷し動けなくなっていた所をムウに救助され共に脱出、長らく世話になったアークエンジェルの最期を見届けた。
(このシーンはあの「舞い降りる剣」のオマージュと言えるが、今回は誰も助けに来れず「舞い降りない剣」などと呼ばれている)
オーブの秘密基地に避難後、弱気になってしまったキラをアスランと共に励まし、メンバーのやる気は整ったとはいえまだ「足」が無いという状況になるも、
ハイジャック犯に扮してミレニアムを乗っ取る(様に装い、秘密裏に合流し出港する)事を提案。
合流に成功すると共にその手に出ると予想し既に準備を整えていたコノエに勧められ、
三隻同盟や『SEED DESTINY』序盤の頃のような「どこの所属でもない、海賊同然の艦」に相応しい戦い方を知る者として再び艦長となる。
そして「コノエ大佐には副長をお願いします」のマリューの一言でアーサー・トラインは副長を降ろされた。ひどい。
宇宙に上がった後は見事その期待に応え、
「戦術バジルール」や
耐熱耐衝撃結晶装甲とアンチビーム爆雷に任せた突撃、
ドリフト航行で敵の攻撃を迎撃しつつ反撃といった、
これまでの戦いで蓄積された技術をフル活用した
喧嘩殺法めいた戦術の数々でファウンデーション艦隊を次々に打ち破り、最後はグルヴェイグを撃沈し全ての元凶たるアウラを仕留めた。
戦いの後はミレニアムに戻ったムウに抱き付き、熱い抱擁とキスで迎えるのだった。こいつらロマンティクス…もうしてたわ。
総じて本作の彼女は
女傑の一言。
特に最後の艦隊戦における彼女の迫力は多くの視聴者を(良い意味で)震え上がらせている。声繋がりで
「若干ミサトさんがインストールされている」とも。
後方に座して唯々偉ぶり、突撃して来るミレニアムに慌てふためいていたアウラとは行動も態度も真逆であり、おそらくは意図してそのように描かれたと思われる。
CV:
子安武人
アークエンジェル艦載機パイロット。階級は大佐。青服。
その飄々とした姿勢とそれに似合わない鋭い勘、卓越した操縦技能は今なお健在。何気に髪型は無印SEEDの頃と同じになっている。
シンからしてみれば2年前に敵対したネオ・ロアノークその人であるが、前日談であるドラマCDや今作でのやりとりを見るとわだかまりはなくなっているようだ(ムウの性格上正体を隠している可能性は低いため、どこかでカミングアウトしたのかもしれない)。
シンがシュラ・サーペンタインに剣術試合を挑まれたときは諌めるキラを制止し「…やらせてみろ」と言うが、シュラのサーベルがシンの喉元に突きつけられた時には、ムウは
銃のホルスターに手をかけている。
本作ではムラサメ改を乗機としており(専用カラーの類も施されていない)、ネオ時代以来久し振り、ムウとしては実に
スカイグラスパー以来の量産機乗りとなっている。
ミケール大佐逮捕作戦の最中、ファウンデーションの陰謀工作を目撃したアークエンジェルを襲撃するブラックナイツに激昂して迎撃に向かうが、さしものムウも機体の性能差もありブラックナイツ相手では荷が重く撃墜されてしまう。
だが実際には墜落を装って逃げ延びており(とどめを刺される瞬間に腰部ミサイルの反動で直撃を逃れている。勿論、大破に近い状態でまだ変形できるムラサメ改のダメージコントロールの強さもあるのだろうが)、アークエンジェルから脱出しようとして力尽きかけていたマリューを救出し、共にオーブまで落ち延びる。
その後は、カガリから密命とともにアカツキを受領し、キラ達に先んじて宇宙に上がってレクイエムに先行。
発射直前に射線へ割込み、第一中継点を新装備ゼウスシルエットで破壊、直後にレクイエムの光に飲み込まれて行く。
……がこれをシールドとヤタノカガミ、そして気合いで反射、レクイエムの一部とステーション曳航船を破損させ、大幅な時間稼ぎに成功する。直後ミレニアムの艦橋からは「フラガ大佐ステキー!」などと黄色い歓声が上がっていた。
観客からは「『エンデュミオンの鷹』でも焼き鳥になりかねないのによく引き受けたな」「これはオーブの歴史の教科書に『ムウ・ラ・フラガ』の名が刻まれる」と言われるレベルの偉業を成し遂げてしまった。
流石に機体のダメージが大きく戦闘続行は不可能になったのか戦線から離脱していたようだが、決戦終盤にはシンからまたしてもおっさん呼ばわりされ、シンにアカツキで使用していた新装備を渡し、レクイエムの完全破壊を促した。
戦いの後はミレニアムの艦橋に行き、マリューとキスを交わした。
- アーノルド・ノイマン CV:千葉一伸
- ダリダ・ローラハ・チャンドラII世 CV:鳥海勝美
- コジロー・マードック CV:田中美央
お馴染みアークエンジェル操舵手&オペレーター&メカニック。階級はノイマンは大尉、チャンドラは中尉。
ガンダムシリーズ最高峰と名高いノイマンの超絶操艦は本作でも健在。
ファウンデーション入国時に着水するときに発生する水しぶきの量がミレニアムとアークエンジェルだとかなり違うなど、技量の違いはこう言った細かい描写からも窺える。
Blu-ray Mighty Editionおよび特装限定版に収録された新作ドラマCD『ノイマンの航海日誌』ではアーノルド・ノイマンが主役に抜擢され、コンパスメンバー集結までのあれやこれやがノイマン達の視点で描かれている。
アークエンジェル大破時にマリューに先んじて脱出、経緯は不明だがアスランのズゴックに回収されキャバリアーに乗り込み脱出に成功した。
因みに艦橋を破壊されたアークエンジェルにミサイルが降り注ぐシーンの画面右下をよく見るとアークエンジェルから離れて行くロケット噴射炎が一瞬描かれている。おそらくこれがアークエンジェルクルーを乗せて離脱するズゴックと思われる。
マリューらと共にミレニアムに合流後はノイマンは再び操舵手に、チャンドラは地上でルージュのキャバリアーのオペレーターとしてファウンデーションとの決戦に参加する。
操舵席にノイマンが座った瞬間、それまでシートベルトをしていなかったミレニアムクルーがこぞってシートベルトを付け始めるあたり、ノイマンの評価が透けて見える。
出港早々にオーブを狙ったレクイエムの狙いを引き付けるべく、ミレニアムはアウラを挑発し自身を撃たせるが、ノイマンはこれをプガチョフ・コブラで回避、無事にミレニアムを宇宙に上げた。
その後も宇宙空間でドリフト機動する、グルヴェイグの砲撃を避けつつ突撃し正確なラムアタックを決めるなどの巧みな操艦を見せ、コンパスの勝利に貢献した。
そりゃみんなシートベルトつけるよ…。
巷ではノイマンのミレニアムへの移乗は
「遂にノイマンにも乗り換えイベントが起きた」「実質ノイマンの新たなる剣」「ノイマン専用MA」などとネタにされた。
ついでに大気圏内でレクイエムを避けてみせたノイマンをして回避不能と言わしめる砲撃を一人で繰り出したアズラエルの株まで上がった。
なお彼自身の台詞は非常に少なく、千葉氏も後半の台詞が少なかったと自嘲していたほど。
だが台詞の少なさに対してその活躍は大活躍どころの騒ぎではなく、まさに不言実行のプロといったところか。
余談だがキラとアスランの殴り合いの際にも居合わせていながら一言もしゃべっていないが、よっぽどひどくなったら仲裁しようと思ってなのか軽く構えてだけはいた。
CV:白石晴香
ミリアリアに代わる新たなアークエンジェルのオペレーターの黒髪の女性。
なおヒメコ含め以下のアークエンジェルとミレニアムの新規クルーは公式サイトやパンフレットですら紹介されていない。
アークエンジェルの副操縦士の赤毛の男性。
何気にレアな役職に就いている。
ミレニアムの正操舵手。若い茶髪の男性。中尉。
映画本編では台詞も無いキャラクターだが、映画前半でミレニアムを操舵していたのは彼である。
歴戦の操舵手であるアーノルド・ノイマンと比べると着水一つとってもまだまだ技量に差があるが、ファウンデーション王国の魔の手から逃れミレニアムをオーブまで撤退されたのは彼の功績である。
なのにMX4Dで観賞した観客からは彼の着水時にすごく水しぶきを浴びたので「もっと精進しろ」と言われた。
- ヒカル・ハヤテ
- ドロシー・ブリストル
- ジム・ライアー
- オリビア・ラスカル
ミレニアムクルー。
上から順に、くすんだブロンドっぽい髪色の男性、黒人の女性、黒人の男性、栗毛の女性。
名前でインターネット検索しても『SEED FREEDOM』のキャラが全くヒットしないくらい作中での扱いは地味。
ミレニアムのオペレーター。金髪ショートの女性。
宇宙での戦闘開始直後に「超高速対艦ミサイル」の接近を報告したり、ラストシーンで感極まって飛び跳ねていたりなど、新ブリッジクルー勢の中では一際目立っている。
CV:(台詞無し)
オレンジの差し色ヘアーのミレニアムの整備士。
元ミネルバクルーで、シンやルナマリアの同期。
本作ではアグネスの取り巻きになっていた模様。全国行脚にもシンと共に登場している。
なお本作ではヨウランは居ません。やはり彼は…。
CV:鎌倉有那
ラクスの秘書官。女性。
すっげぇ紛らわしいがスパロボの主人公ではない
前半は別段目立った活躍は無い。
後半、ファウンデーション首都への核ミサイル接近を受けてラクスと共に脱出シャトルに乗った描写はあったが、出番自体はこれが最後となっており、それ以降の去就は不明であった。
そのため一時は「特に用のない彼女は始末されてしまったのでは」との憶測も立っていたが、後に舞台挨拶にてラクスと一緒に救出されていると語られた。
ファウンデーション的には彼女はラクスに勝手について来たオマケであるため、適当に放っておかれていたのかもしれない……。
追加カットではキャバリアーアイフリッドのコックピット内にラクスと共にいることが確認されており、とりあえず無事ではある。
一方、ファウンデーションの司令部からの脱出時、よく見るとユーラシア連邦軍の高官2人はラクスらとは別方向に案内されている(ラクスらの乗ったシャトルにも姿は無い)が、
同舞台挨拶によると彼らは結局脱出シャトルに乗れず核ミサイルで死亡した事が示唆されている。
オーブ連合首長国
CV:森なな子
オーブ代表首長。本作ではあくまで一国の指導者として裏方に回り、方々との調整に徹している。
コンパス設立の主導者であり、またいずれ後任となるべきトーヤの育成も行うなど、こちらも日々忙しくしている。
主要登場人物としては唯一担当声優が変更されているが、その理由については詳しい説明が無く、視聴者目線でもコジローやアビーとは違い変更する理由が特に見当たらないため詳細不明。
ファウンデーションの陰謀により作られた「キラの突然の暴走が巡り巡ってユーラシア連邦が核を発射した」という構図と「そのキラもミケール大佐も行方不明で、誰一人立証も反証もできない」という状況を前に、
大西洋連邦代表とプラント代表との間で議論が紛糾、キラの人となりを知るが故に必要以上に強気に出てしまったのが災いして双方へのコンパスの信用を失墜させてしまい、事態へのそれ以上の手出しができなくなってしまう。
しかしファウンデーションのオーブへのレクイエム発射という緊急事態に際しては一国の指導者として即刻打てる手を打てる内に打てるだけ打ち、
オーブ国民の迅速な避難やレクイエム対策、そして自身もキャバリア―アイフリッドを装備したルージュで陣頭指揮を執るなど、オーブの指導者として逞しく成長した姿を見せる。
しかもいつレクイエムを撃たれても良いように、事前に対策を講じつつ対外的には「まだ何もしていない」とシラを切り通したり、乗っ取りに遭った体でこっそりミレニアムを出港させたり、その際もオーブ軍を出撃させるが、わざと攻撃を外させて偽装するなど、
序盤で本人も述べているような「物事には裏と表がある」を自ら実践し、「中立を維持する為には清濁併せ吞み、できる事は何でもやる」というウズミの後継者に相応しいお家芸腹芸まで身に着けた事を示している。
月面での最終決戦でも、オーブ上空へ飛び立った上で∞ジャスティス弐式の遠隔操作でアスランの戦闘をサポート、彼の勝利に貢献した。
しかしアスランが思い浮かべた「破廉恥な妄想」の内容を察して軽くキレる場面も。
後の福田監督の情報蔵出しによりアルテミス要塞内でのズゴックの大暴れもカガリの遠隔操縦だった事が明かされている。
戦いの後は地球に降りて来たアスランに、彼から貰った指輪を、未だ指には嵌められていないものの大切に持っている事を示し、互いに笑みを見せるのだった。
この後キラとラクスが表に出られるように各国との交渉を行うとの事。カガリ頑張れ超頑張れ。
CV:
石田彰
『SEED』、『DESTINY』ともう一人の主人公的な役割を張り続けてきたキラの親友にして元ザフト特務隊員、現オーブ軍一佐。
現在はキラ達とは別行動しており、オーブから秘密情報組織ターミナルに出向中で、メイリンと共に諜報活動を担っている。
初めて姿を現したのはファウンデーション王国郊外で、デモが鎮圧されるスラム街の様子を窺っている姿が見られたが……。
PVで見せた親父そっくりの異様に機嫌の悪そうな顔、というかアスランという存在そのものから、情報公開直後から本作では何を見せてくれるのか、また裏切るのかと主にネタ方向に期待が膨らんでいたが、
視聴者を待ち受けていたのは誰一人として予想だにしなかっただろう、あまりに驚きに満ちたものだった……。
本作の空気感は彼の登場を境に大きく変化する事となる。
ミケール大佐逮捕作戦の最中、ファウンデーションがその本性を現した事で行動を開始、脱出したアークエンジェルクルー達を回収した後、窮地に追い込まれていたキラを
ズゴックで助け出した。
この時のBGM「援軍」は
明らかに「颯爽たるシャア」のオマージュであり、その後の「ゆらりとした動き」も
ジムの腹を貫いた後に立ち上がるシャアズゴックの姿そのものであった。
そのままシュラと互角に渡り合うと、キラと共にファウンデーションを脱出、密かにオーブの地下秘密ドックまで送り届けた。
FREEDOMのMVを見てもらえばわかるがシュラとの初戦では、
- 足サーベルをリフターの右翼サーベルで受ける
- 返しのビームマントを左翼サーベルで防御
- 空中で死に体になった所をブレードで狙い撃ちされるが、スラスターで地上方向に加速して回避
という神業を披露。わずか二秒でこれ等をアスランはパイロットスーツなしでこなしたのだ。
こんだけやって逆に息切れだけで済んでるのおかしくないか?
自身の調べ上げたファウンデーションとアコード達の正体について皆に報告し、これからの行動について話し合っている中、
キラはショッキングな出来事が重なり過ぎて完全に弱気になってしまうが、アスランは拳で喝破、
「キラが全てを背負わねばならない訳ではない」「ラクスもそれができないくらいで愛想を尽かすような人間ではない」「どうしても不安なら直接会って話せば良い」と諭し、彼を奮起させた。
この時、キラも殴られっ放しではいられず逆にアスランに殴り返しているが全て避けられており、喧嘩というより一方的に殴り飛ばしていた。
軍人として正規の教育を受けているどころか主席卒業したアスランともなれば、全く訓練を受けていないキラをいなす事など容易いのだろう。
因みに、あまりに一方的な殴打の嵐を見かねてシンは止めに入ったが、流れ弾か狙ったのかシンにも一発直撃した。ついでにキラにも「邪魔だ」とばかりに顎に入れられた。
またアスランとラクスの関係を知らなかったのか知った上でか、アスランがラクスについて語った所で一同からぎょっとした目で見られるという一幕も。
ラクス救出の為のアルテミス潜入に当たり、キラがストライクフリーダム弐式で敵の目を引き付けている内にミラージュコロイドで姿を消したズゴックで密かに侵入……したと見せかけて彼こそがフリーダムに搭乗、
アコード達の目を欺くと共に、キラにしか使いこなせない筈のスーパードラグーンを操りシュラを足止めし、ラクス救出を成功に導く。
ラクスと潜入メンバーをミレニアムに届けた後はキラに加勢、フリーダムに浴びせられようとしたニードル弾を庇い、ズゴックの装甲が破壊されて行った事で遂にその真の姿
∞ジャスティス弐式が中から姿を現す。
シュラと対峙したアスランは、彼の読心に合わせて
キスを迫る一糸纏わぬ姿のカガリを思い浮かべるというまさかの手段で彼の心を乱し、更に今度こそ機動を見切られてしまうもカガリの遠隔操作によってこれも回避したついでに反撃、
古典的といえばあまりに古典的な読心対策で2回も凌がれたシュラをアスランは
「本当に使えないな」と挑発、遂にシュラを本気で怒らせ、その猛攻を前にジャスティスの片腕を失うも、
「強さは力じゃない! 生きる意志だ!」というアスランの信念と共に放たれた
頭部隠しビームサーベルでシヴァを一刀両断、撃破した。
この戦闘では最後の最後になるまでSEEDを発動しておらず、多彩な手段を用意したり相手の注意を逸らして奇襲を決めやすくしたりとこれまで以上に分かりやすいレベルで器用な立ち回りが目立っている。
本気を出さず舐めプで戦っていたというより、有利に立ち回るための策を幾重にも用意していたものだろう。
DESTINYの頃からアスランは一気に勝負を決めるとき以外はSEEDを発動しない傾向がある。
戦いの後は地上で警戒飛行を続けていたカガリの元に降り、互いに送り合ったハウメアの守り石と指輪を見せ合い微笑み合うのだった。
総合すると
「あまりに意外過ぎる搭乗機で参戦」「しかもそれでキラが(多分に状況不利だったとはいえ)勝てなかった相手に善戦」「キラを一方的に殴り飛ばす」「やたら敵を煽りまくる」「キラ前提の設計であるはずのストフリを使いこなし時間稼ぎを成功させる」「『ズゴック、出る!』した後、更にズゴックの中からジャスティスで出る」「読心をエロ妄想で撃退」「ドヒキョー隠しビームサーベル」……という活躍の数々は、
そのやりたい放題振りを
「公式が最も上手くアスランを玩具にできる」「ある意味一番FREEDOMだった奴」などとネタにされる事となった。
当然、
- 迷いを抱えたまま戦った結果、事態をいたずらに悪化させる→終始確固たる信念で戦い、事件解決に大きく貢献
- シンに抽象的な表現で叱責した事で必要以上の反発を買う→乱暴ながらも何が良くないのか、どうすれば良いのかを丁寧に説明。また「舌戦で敵を挑発」という方向にも応用
- かつてカガリに説かれた「死ぬよりも生きる方が戦い」という言葉が未だに根付いている
といったネタ抜きに良い変化も見られ、前作から本作までの時間の流れでアスランも成長している事が窺える描写となっている。同時に本編で迷いまくっていたのは『アスランが迷ってなかったら最強すぎて話が速攻で終わってしまう』という評価も。
諜報活動という形で事態を傍観することにより迷わされる要因から離れ、冷静な判断を下せたという部分も大きいが、
そもそもファウンデーションがアスランの地雷を悉く踏み抜いていたので迷う必要がないほどマジギレさせてしまったという視聴者からの意見もある。
因みに使えないなと言っていた一方、特典小説の二人の逃避行でカガリには使える奴だったな(大意)と言われていたのでのろけの可能性もある。
なお、ネタにされ続けていた裏切りはやらなかったもののカガリへの感情が重すぎる事が判明したため、「仮にカガリが変に殺されたらマジで逆襲のアスランをやりかねない」と視聴者からは慄かれた。
同時にパトリックのレノアへの激重感情はきっとこんな感じだったんだろうと評された。
それだけなら親子共々解像度が深まっただけだが、息子が恋人をエロ妄想したせいで「パトリックも嫁のエロ妄想してたんじゃ…」などと言うとんだ風評被害も喰らった。
CV:
折笠富美子
同じく元ザフト、現ターミナル出向中のオーブ軍三尉。
髪型が大きく変化しており、前作のツインテールから一転、オールバックになっている。
優れた情報処理能力は相変わらずで、キラやアスランの活動を後方から支える。
前作のラストではアスランと一緒に居た事、今作でもアスランとセットで紹介された事から、アスランとカガリの関係はどうなったのかと一部のファンはやきもきさせられていたが、
本作にて他ならぬメイリンこそアスカガを最前列で楽しん……もとい見守っているという所に落ち着いた。
ファウンデーション国内にてアスランと共に潜入調査をしていたが、彼らの陰謀劇の開始に伴い行動を開始、アスランのズゴックのキャバリアーアイフリッドで活動を支援する。
オーブに到着後はファウンデーションの進路を予測し、その根城が宇宙要塞アルテミスである事を割り出した。
尚ファウンデーションらのリアクションを見るに、アルテミスを拠点としている事がバレるとは露ほど思っていなかった模様である。
ミレニアムが宇宙に上がるとズゴックに乗ってアルテミス要塞に突入、キャバリアーアイフリッドの武装と彼女の本来の能力「ハッキング」を駆使してアルテミス要塞を物理的にも電子的にもボコボコにし、キラによるラクス救出の支援を行った。
ハッキング中のズゴックは誰が操縦していたのか明確にはされていない(カガリも一応遠隔操作可能だったと考えられるため)が、万が一メイリンだとしたらハッキング片手にキャバリアーの火器で要塞をボコボコにしていた事になる。
誰が呼んだか「SEED本編で1番ヤバい女」「CE世界で1番面白い男を特等席で楽しむ女」。
なお彼女のハッキングセンスは本作で突如生えてきたわけではなく、『DESTINY』時代から明確に描写はされていた(「雑誌を読む感覚で軍の機密にハッキングしていた」など)。
とは言え当時そこまでそのヤバさが知れ渡っていたわけではなく、20年越しの再評価といったところか。
余談ながら、再評価によって『DESTINY』でのアスラン脱走時に彼女を逃がすまいとしたレイの薄情者疑惑も間接的に払底される事となった。
レイや議長の判断はメイリンの「軍のホストコンピュータへのハッキング記録」「自らアスランの手を取りグフに乗り込んだ映像記録」「アスランの人質にされた訳ではなく自らミネルバを裏切った」等からもともと筋が通ってはいたのだが、
今回の手腕のヤバさに磨きがかかった結果、自軍のホストコンピュータへのハッキングを行える=あのヤベー手腕かつ機密満載の可能性が極めて高い人員がザフトから脱走したらとんでもない事になるというのが現実味を帯びてしまったのである。
実際本映画で相手の本拠地をハッキングして全隔壁を強制閉鎖して閉じ込めた上でバイオアタックてそれもうラスボスがやりそうな活躍なんよ。
CV:
佐倉綾音
カガリの秘書。いずれ国政を担う者として今は見習いの身である。
14歳という年齢ながら中々賢い少年。
監督曰く「トーヤが独り立ちできるようになれば、アスランとカガリの仲がより進む」とのこと。
CV:柳沢三千代
お馴染み地下に隠しているヤバいものを掘り起こしてくる事に定評のあるモルゲンレーテのエンジニア。
今回もやらかしてくれた。
本作でもまたもやオーブの地下秘密ドックでストライクフリーダム、デスティニー、インパルスを新技術のテストベッドとして保管していたことが判明、
ファウンデーションでの敗戦により戦えるMSをほぼ失ってしまっていたキラ達の為に戦う力を提供した。
彼女の見解としては、単純な性能では上記3機はブラックナイツとの戦いには心もとないということだったが……。
本作のサプライズ枠たち
本作のサプライズゲスト。
ミリアリアとサイはオーブ行政府で働いており、カガリを支えている模様。
カズイも一般市民としてオーブ国民が集まっているシーンで描かれている。
小説版ではカズイの内面描写が3ページに渡って描かれているが、凡人からの視点として興味深いものとなっている。
CV:千葉進歩
かつてタケミカヅチやクサナギで副長を務めていたオーブ軍人。階級は変わらず一尉。
本作は宇宙に居り、オーブ宇宙軍の旗艦クサナギの艦長に就任。オーブに攻撃を行ったファウンデーションに対し防衛行動として宇宙艦隊を率いて立ち向かった。
CV:千葉一伸
お馴染みのオーブ軍一佐。
ラクス救出作戦に参加しており、彼女が監禁されている部屋に突入するキラを支援した。
なお、ラクスを人質にしたイングリットを制圧する際に、アコードであるイングリッドに早撃ちで勝つという離れ技をやってのけた。
前作でムラサメに乗り、連携プレーで
カオスを撃墜した三人組。
今回は目立った活躍は無いもののカメオ出演的に登場しており、ラクス救出作戦にメンバーとして参加している。
なお、キラとキサカに同行して潜入したのが二人だけだったことから、当初は状況的におそらく残った一人はズゴックを動かして破壊活動をしていたのでは?とも考察されていた。
同行した二人はキラ達がラクスの部屋に突入した時にはいなかったが、どうやらリオを助けていた模様。
女王アウラ・マハ・ハイバルが治める独立国家。
関連する登場人物や兵器群は関連項目を参照。
プラント
CV:
関智一
ザフト参謀本部に勤務する、いわゆる情報将校。階級は中佐。
あくまでザフトとして活動しているため序盤は出番が無かったが、ジャガンナートの動きを知るや迅速に行動を起こしてラメント議長を脱出させ、自身はラクスが万が一の時にレジスタンスの為にボアズ跡地に隠しておいたデュエルブリッツを受け取り、ジャガンナートが率いる艦隊と対決、情報将校として説得を試みる。
しかしコーディネイター至上主義に凝り固まった彼は耳を貸さず、クーデターが既に失敗しているにも関わらず、コーディネイター優越論とナチュラル蔑視を叫びながらミレニアムに特攻を仕掛ける。
その姿を前に、兵の命を無駄遣いし、あまつさえ巨悪を討とうと向かっているミレニアムの足を引っ張ろうとするジャガンナートが「変わる事ができない過去に取り憑かれた愚か者」である事を残念に思いながら、彼の乗るナスカ級の艦橋にランサーダートを放ち引導を渡した。
CV:笹沼晃
相変わらずイザークの相棒的存在。階級は大尉。制服も変わらず黒服。
一早くクーデター派の動きを察知しイザークに状況を報告、彼と共にラメント議長を脱出させると、ラクスが用意していたライトニングバスターを受け取り、クーデター鎮圧に貢献した。
小説版ではバスターを気に入っていると言っていたが、本作でも今や骨董品と化したバスターを未だ気に入っていると話している。
ジャガンナートの怨嗟に対し彼とイザークが放った一言は必聴。
終盤にはルナマリアにミーティアを渡し、事件解決に協力した。
CV:
大本眞基子
本作でもイザークの部下を務めている。
台詞は
「……っ!」のような声にならない一言のみだが、
その一言の為に大本氏が呼ばれている。
番外編で主役を務めた事すらあるSEEDファンには馴染み深い名物モブだが、日の浅い女性イザークファンからは「ぽっと出の女がイザークのお隣に!」とざわつかれる事態に。
CV:藤真秀
プラント最高評議会議長。比較的穏健派寄り。
温和な壮年男性。
一方でジャガンナート中佐のような過激派の心情にも一定の理解と共感を示していた。
しかし中盤では……。
ファウンデーションの陰謀により、コンパスのせいでユーラシアがファウンデーションに核攻撃した事になってしまった際は大西洋連邦の大統領のフォスターと口論となり、カガリがキラが暴走したという話を否定したことで、状況に嫌気がさした大西洋連邦側はコンパスから手を引くと宣言、彼もまた「痛くもない腹を探られるくらいなら」と会談を打ち切ってコンパスを離脱した。
しかしその直後にジャガンナートのクーデターに遭い、ジュール隊の手引きによって脱出、鎮圧に伴いエターナルから声明を発表した。
CV:江頭宏哉
プラント国防委員長。ザフト軍中佐の地位を持つ。
二度の大戦を経ながらかなりの過激派で、コンパス総裁としてのラクスに対しても高圧的に接する。
序盤、シュラと極秘で面会している場面があるが、案の定クロである事が後に判明する。
ファウンデーションのレクイエムによる報復攻撃に呼応する形でクーデターを起こし、最高評議会を制圧してラメント議長以外の議員達を拘束。
艦隊を率いてファウンデーション艦隊と合流し、レクイエムの防衛に回った。
しかし結局クーデターは鎮圧され、ラクスからのファウンデーション不支持の声明も出されて後がなくなり、イザークによる降伏・原隊への復帰命令を無視して戦い続け、最期はミレニアムへの突撃を敢行したところでイザークとディアッカに自艦のナスカ級を撃沈されて戦死した。
また、小説版ではレクイエムの修復にも関わっていた事が判明している。
CV:三石琴乃
イザークの母。
『SEED』の頃はザラ派青服議員だったが、本作では紫服になっている(出世・降格した訳ではない)。
以前はナチュラルに徹底抗戦を叫ぶ過激派だったが、パトリック・ザラの所業を間近で見たことと、イザークの成長で感じることがあったのか本作では穏健派寄りになっている様子。
イザーク(もしくはその隣のシホ?)を見つめ、イザークも見つめ返すという意味深な場面があるが、その真意は視聴者の想像に委ねられている。
福田監督によれば「息子もそろそろ結婚してほしいのだけど、もしかしてこの方が…?」という視線で、
イザークは「同僚にそういう視線を向けるな失礼だろう」という返しだったそうな。
定期的に発生するクーデターよりも、同性愛者疑惑を持たれている息子が良さそうな子連れてきてる方が母親的には重要なのだろう。
何気に特筆すべきはその手腕で、SEED終盤のクライン派によるクーデターで失脚したにもかかわらず議員内外に高い影響力を持っており、
本劇中ではジャガンナートの突然のクーデターにありながら、冷静に、余裕をもってスムーズにプラント最高評議会議長を退避させており、
その上でのイザークとシホへのコレである。同時進行で仕事(?)をこなす様はクーデターされ慣れているまさに影の女傑。
本作のサプライズゲスト枠
CV:(台詞無し)
ターミナル所属の元「砂漠の虎」。
プラント議会の反乱の鎮圧を指揮していた。
尚、衣装はザフトで砂漠の虎をしていた頃の「黄色の軍服と紺のコート」姿である。復隊したのだろうか?
鎮圧部隊の中には副官であるマーチン・ダコスタの姿もあった。
劇場版では台詞無しだったが、小説版ではダコスタ共々台詞が用意されている。
なお、置鮎氏はバリアフリー音声ガイドのナレーションを担当するという形で本作も参加されている。(出演と言っていいのか微妙なラインだが)
CV:(台詞無し)
ザフト議員の一人。エザリアは紫服になっていたが、こちらはかつてと同じく青服のままである。
後ろ姿と右腕しか画面に映っていないが、エザリアと共にラメント議長をエターナルで迎え、共に逃亡を手助けしている。
第1次大戦の頃はクーデターを仕掛けた穏健派と、仕掛けられ拘束された過激派という関係だったカナーバとエザリアが、
今は共に穏健派として現議長を手助けしているのは中々に感慨深いと言える。
因みにCVは前作までのカガリと同じ進藤氏。台詞が無かったのはある意味仕方ない事である。
CV:(台詞無し)
『SEED DESTINY』時のプラント評議会メンバーの一人。
クーデター鎮圧時に彼女らしき人物がダコスタに救助されている様子が描かれている。
地球連合
CV:日野由利加
C.E.75年時における大西洋連邦の大統領を務める女性。
ブルーコスモス
今や地球連合軍ですらなくなり、完全にテロ組織に堕した地球軍内ブルーコスモス過激派のリーダー。
その場に居らずとも名前を出すだけでザフト兵士を釣り出させ、味方兵士達にもスーサイドアタック同然のテロを起こさせるなどカリスマ性は高いことが窺える。
その危険性から国際指名手配を受けており、コンパスは彼の逮捕を目下の目標としている。
上映開始時点では公式サイトで紹介されておらず、スタッフロールにも名前が無い事から察せられるかもしれないが、実のところ彼~~とフォスター~~は直接的には物語にほとんど関わって来ない。
その名前で各地のテロ組織が動き、コンパスも逮捕に動き、ファウンデーションも陰謀に利用し……と間接的には深く関わっている人物ではあるものの本人の出番らしい出番はほとんどなく、
最終的に脱出しようと輸送機に乗り込もうとした所にファウンデーションが発射させた核に巻き込まれ、何が起きたのか理解する間もないまま蒸発するという呆気ない最期を迎える事になる。
自らは姿を現さずに潜伏し自爆テロを扇動し続けるというあまりに都合の良すぎる存在であることから、視聴者からは
ブルーコスモス(またはファウンデーション)がプロパガンダとしてでっち上げた架空の人物であると疑う向きもあったが、小説版にて実在の人物であることが示された。前後して公式サイトの紹介にネタバレ情報が追加され、恐らくこの際に彼やフォスターの紹介も追加された。
一方、一介の軍人がアズラエルやジブリールのように潤沢な資金やコネ、戦力を持てる理由は不明瞭なので、そもそもミケールの蜂起自体がファウンデーションによる仕込みであった可能性も高い。実際、小説版においてファウンデーションがブルーコスモスの暴発を誘うために何らかの工作員を送り込んだことが明言されている。
過去の人物
CV:
池田秀一
かつてのプラント最高評議会議長で、デスティニープランの提唱者。
直接的な登場はないが、冒頭のナレーションは彼の語りから始まる。
デュランダルの提唱したデスティニープランを否定したキラであったが、彼の言葉は今でもキラの脳裏に蘇り、戦争が続く現状と共にキラの心身を追い詰める存在となっている。
また、本作で起こった事件の遠因にもなっている。
人材獲得や人心掌握については
今作の人物がアレすぎるのもあって彼の手腕が再評価されることに。
なお冒頭で彼の死亡により「彼の」デスティニープランの野望は潰えた旨が語られているが、タリア・グラディスとの心中事件が世間からどう思われているかは一切語られていない。
メサイアでキラと対峙した際の台詞は池田氏による再録が行われている。
過去(ラクスやオルフェ誕生の頃からなら当時13,4歳!)にアウラやラクスの母と共にアコードの誕生に関わっていたらしく、デスティニープランの構想も当時からある程度持っていた模様。
詳しい過去や真意は予想するしかないが、かつて彼がミーアという代役を立てたりラクス暗殺を試みたこと、アウラたちがデスティニープラン表明に伴う戦いに参加せず今回もほとんど言及しないことから、どこかで袂を分かったことがうかがえる。
CV:桑島法子
ブラックナイツに意識を乗っ取られそうになったシンの深層意識に登場。
なんと、意識内に侵入してきたブラックナイツたちを悪霊化して襲い掛かることで圧倒し、「こいつの闇は深すぎる!」と恐れおののかせた。
明らかにシンがステラに抱くイメージではないため、視聴者からも「妄想の類でなくまぎれもないステラ本人」と恐れられる。
その他、死亡シーンのフラッシュバックにも登場。
キラの「闇」のイメージとして登場。キラにとって根深いトラウマになっていることがうかがえる。
……しかしイメージの中にはデスクの引き出しに並ぶ予備の仮面という謎の映像(これを見たのは本人とフレイぐらい)も流れていた。さすがに公式もおかしいと思っていたのだろう、特別版上映(Blu-rayやDVDなどに収録される)で修正されていた。
やはりというか、ファンの予想通りというか、死亡シーンがフラッシュバックで登場。しかも2回も。これにより、めでたく?本編中で流れた死亡シーンが総計34回流れたことになった。誰が言ったか「34ニコル」
しかし今回はそれだけではなく、キラたちが要塞アルテミスに侵入する作戦でミラージュコロイドを使用する際、
アスランはこれを「ニコルの戦術だな……」と亡き戦友を懐かしむような発言をしている他、
クーデター軍鎮圧の為にイザークが乗り込んだデュエルがブリッツの特徴を組み込んだデュエルブリッツであったりと、彼の魂が後世に受け継がれている事が窺える描写も盛り込まれている。
外見から分かるあのランサーダート、グレイプニールを装備したその姿はファンには感慨深いものがあるはず。
回想シーンのほか、彼女がドミニオンに搭乗した際に対アークエンジェル戦で使用したミサイルの戦術が、マリューによって「戦術バジルール」の名前で登場した。
回想シーンやキラの所持していた写真の中に後ろ姿で登場。
キラ達を乗せたミレニアムを、オーブは表向き「賊に乗っ取られた」事になっている為放置する訳にも行かず、
実際には全ての事情を把握していながらも出港したミレニアムの静止の為にオーブ艦隊が出動する事を余儀なくされるオーブ軍が彼らに砲撃を向ける際に、軍人達が「百発百外しはトダカ海将仕込みです!」という台詞で彼の名前が出た。SEEDの時点で「第二護衛艦軍の砲手は優秀だ(=絶対に当てないから気にせず突っ込め)」というキサカの言葉もあり、百発百外しは専守防衛を国是とするオーブ海軍の伝統とも言えよう。
トダカ海将と言っていることから一佐から死後特進していることも確認できる。
回想シーンにのみ登場。
キラ達がファウンデーションに来た際に、街頭テレビにラクスの映像が流れているシーンではその映像の中に交じってミーアが映っている。
小説版では、ミーアの様な悲劇をまた生まないために「ラクス・クライン」の座を空席にしてはならないという責任感もラクスはコンパスの総裁を務める事を決めた理由の一つとしている心情が書かれている。
物語の最終盤オルフェ・ラム・タオがキラとラクスに敗れる直前に「何度も過ちを繰り返す人間の愚かさ」をなじる幾つかのイメージシーンにて、タリアがレイを抱きしめてデュランダルと共に心中する事を選ぶシーンが大写しになる。
『運命に定められた女性』に拒絶されたオルフェにとって、その母なる愛を実の子ではなくレイに向けたタリアの行動は唾棄すべきものだったのだろうか…?
【用語】
舞台関連
『SEEDシリーズ』の世界で使われている年号。
西暦の21世紀末に起こった再構築戦争を経て移行した。
『SEED』から本作までの舞台となるC.E.70年代にはプラントと地球連合による大戦が2度起こっている。
本作は前作から2年後のC.E.75が舞台となる。
遺伝子操作によって優れた能力を付与され生まれた人類の総称。
逆に遺伝子操作を受けていない人類は「ナチュラル」と呼ばれる。
C.E.の歴史の中で両者は衝突と混乱を繰り返しており、本作の時点でも未だその火種は燻っている。
国家関連
L5宙域に建設された天秤型スペースコロニー群によって構成されている国家。首都はアプリリウス1。
コーディネイターを中心とし、高い技術力と工業力を持つ。
嘗ては「
ナチュラル滅ぶべし」のような過激派がトップにいた時期もあったが、
2度に渡る地球連合との大戦を経て、現在の最高評議会は中立・穏健派が主流となり、コンパスの設立で大西洋連邦やオーブと足並みを揃えるなど地球との協調路線に向かっている。
しかし、事実上の国軍である
ザフト軍部内では戦後も度重なるブルーコスモスによる攻撃などで被害を受けていることなどから急進派の不満が高まっている。
地球の国家。南太平洋に位置し、首都はオロファト。
公にナチュラル・コーディネイターを問わず受け入れており、その技術力や大戦中の活動もあって小国ながら地球国家の中でも強い存在感を放っている。
前作までは中立という立場ながら何かと姿勢が中途半端な感が否めなかったが、本作では過去2度の大戦で蓄積されたノウハウを解放してトンデモメカを次々と繰り出し、いよいよ武装中立国としての本気度が発揮され始めている。オーブ驚異のメカニズム。
現在はコンパス、ターミナルの活動を支援している。
地球の国家。北アメリカ大陸を中心とし、首都はワシントン。
地球連合の中心的な存在としてプラントとの2度の大戦を繰り広げた末に停戦。
大戦を主導していたブルーコスモス≒軍産複合体ロゴスも排斥されており、現在はプラントやオーブとの協調路線でコンパスの支援を行いブルーコスモス勢力への対処を委ねている。
ただし、プラントやオーブと違いMSや人員の提供はできておらず、コンパス内での存在感は薄め。
地球の国家。ユーラシア大陸北側からヨーロッパ地域で構成される。現在の首都はモスクワ。
地球連合に参加したが2度の大戦で国土に被害を受け、国力は疲弊。
更にファウンデーション王国の独立宣言をきっかけに領土内の他地域でも独立に向けた動きが活発になる「ファウンデーション・ショック」もあり苦しい状況に置かれている。
コンパスには参加しておらず、その活動にも非協力的。
それも無理からぬ事で、親プラントだった時代からサイクロプスでの捨て駒やデストロイによる大虐殺など被害と混迷は作中随一。
大西洋連邦への深い怨恨と猜疑に加え、ブルーコスモスのせいだから~と今頃になってプラントやオーブと仲良くする大西洋連邦とその協力者の姿はユーラシア連邦からすれば気持ち悪さが尋常ではない。
未だにブルコス残党の潜伏やテロが間近で起きている事も考えれば殺気立っているのも納得であろう。そりゃお前らいい加減にしろやこっちにくるんじゃねぇと言いたくもなる。
……だが、その結果毎作とばっちりを受けてきたユーラシア連邦にとって誇張抜きで最大級の被害を受けることとなってしまう…………。
ちなみにユーラシア連邦が深く関与する物語前半の脚本は両澤氏が生前書き上げたものであり、現実世界の公開年度である2024年で起こっているあれやこれやは無関係なはずである。
ユーラシア連邦から最近独立し、目覚ましい発展を遂げている新興国家。女王の声のせいで通称「ゆかり王国」。
国際的にはまだ認められておらず、ユーラシア連邦とも休戦状態と表立って喧嘩はしていないが、ファウンデーションに起因して各地で独立運動が頻発する「ファウンデーション・ショック」の対応に追われているため良くもない関係。
コンパスに対し、コンパス参加とそれによる国家としての国際的な承認を求めてミケール大佐の逮捕に協力を申し出たため、ミレニアムとアークエンジェルがかの地に降り立った事で物語は動き出す。
人種も年齢もナチュラルもコーディネイターも関係無く、優秀な人間を登用する方針を国策として取り入れており、短期間で国が豊かになったのもこのため。
女王アウラや宰相オルフェは「誰もが相応しい役割を果たせる、万人に平等で幸福な理想国家」の様に言っているが、一方で首都の近郊にはスラム街もあり、人心の荒んだ様子やそれを乱暴に鎮圧するなどキナ臭い一面も。
その実情については個別記事を参照。
組織・勢力
Compulsory
Observational
Making
Peace
Service.
エンブレムにも描かれている通り、「世界を平和に導く
方位磁針」という事なのだろう。
カガリ主導の下、大西洋連邦とプラントとオーブの三国共同で設立され、スカンジナビア王国もオブザーバーとして参加する国際組織。
初代総裁はラクス・クライン。本部はプラントのアプリリウスに置かれている。
参加国から提供された最新鋭兵器を持ち階級制も敷かれている軍事組織であり、テロ事件発生に際してはすぐさま現地に駆け付け、テロ鎮圧と市民の守護の為に行動するいわゆる対テロ特殊部隊の類。
あるいは
21世紀のロンド・べル、または国連公認のソレスタルビーイングといったところか。
以前にベルリンを襲ったデストロイにアークエンジェルが義勇兵として立ち向かったのを合法的に行えるようにした組織とも言える。
ただしあくまでコンパス批准国の同意によって活動が許された存在なので、コンパスに参加していない国家への無断の出動や活動は禁止されている。
こんな胡散臭そうな名前の組織が全然腐敗していないどころか、世界に無くてはならない存在な辺りにコズミック・イラ世界の荒み具合が分かるとの声も。
主要メンバーはかつての三隻同盟とミネルバのクルーを始めとした各国の軍人で構成されており、他にも志願して参加する事もできる模様。
制服はザフトのものに似たデザインで、指揮官クラスは白、ザフトの赤服だった者は紅(ザフトレッドより更に深い色味)、一般メンバーは青と制服の色による区分も引き継がれている。
また指揮官クラス(ムウも着用しているので正確には佐官?)は白の軍帽、一般兵士は青のベレー帽を着用する(赤服メンバーも青ベレー帽である)。
構成員と保有兵器はオーブとザフトのものが目立っており、画面に登場したものに限っても大西洋連邦から供出されたと見られる兵器は確認できない。
ユーラシア連邦がコンパスを認めていないため、大西洋連邦だけでは「地球連合軍」の兵器を外部に提供できなかったのだろうか。
Zodiac Alliance of Freedom Treaty
『自由条約黄道同盟』の略称。
プラントで一党独裁を敷く政権与党にして事実上の国軍に類する役割を担う組織。事実上の国軍ではあるものの、メンバーは基本的に志願兵で構成されるので、あくまでも義勇軍の体を取っている。
シン、ルナマリア、アグネス、メイリン、アスラン、アーサーらが所属していた。
なお、従来階級が存在しなかったが、コンパスへの参加に際して階級制度が取り入れられている。
例外を除いてコーディネイターで構成されており、その能力からくる技術力は地球側と比べても抜きん出ており、作中で最も早くMSを実戦投入した組織。
オマージュ元の
ジオン軍よろしく開発した機体は実弾が主体のモノアイ型が占めていたが、終盤からはGATシリーズの活躍に肖って積極的にガンダムタイプも開発し始めた。
大西洋連邦やユーラシア連邦を主軸として結成された集団安全保障機構「地球連合」が擁する常備軍。『SEED』における
地球連邦軍に相当する。
一部除いてナチュラルで構成され、個人能力や技術面はザフトには劣るが、地球全土の勢力に等しい故に余りある物量や資源、そしてバックのロゴス等の勢力による豊富な資金援助により、戦いは数ということを如実に示している。
キラ、ムウ、マリュー、アークエンジェルクルーらが所属していたが、諸事情あってオーブへと鞍替えしている。
成り立ち自体がザフト憎しで集まった呉越同舟的な集まりだったためか、嘗てはブルーコスモスの過激思想が浸透しており、「
コーディネイター滅ぶべし」のような中々に極端な差別意識を持った兵士や将校が多く、軍属ではないブルーコスモスの盟主が軍内で強力な発言力を持つほどであった。
時にはコーディネイターよりもアウトな
肉体改造を施した強化人間で構成された特殊部隊を運用した経歴もある。
映画本編では二度の戦争でこれら過激派が軒並み追い出されたことにより穏健寄りとなり、ザフトとの協調路線を取っている。
兵器面では『SEED』序盤までは殆ど戦闘機に等しい小型MA『
メビウス』くらいしか保有しておらず、シリーズ序盤はザフトに良いようにボコられ、折角開発したガンダムもパクられと散々だったが、何とかジムに相当する
ダガー・
ストライクダガー系列の開発に成功、拮抗情態にまで持ち込んだ。
『DESTINY』期は大型MS/MAの開発・運用も目立つようになっている。
各国の情報伝達を行う隠密組織。
マルキオ導師や亡きシーゲル・クライン、ウズミ・ナラ・アスハらの活動から生まれたという。
オーブを中心にプラントやスカンジナビア王国などにネットワークを持ち、かつてクライン派の秘密拠点となっていたファクトリーも元々はここに属している。
過去二度の大戦で三隻同盟を陰で支え続けたが一応三隻同盟とは別の組織であり、MSパイロットが慢性的に不足しているため情報やMSを提供する見返りにキラ達MSパイロットを借りている関係。
本作ではコンパスから数名が「出向」という形で所属しており、主にファウンデーションに関する潜入調査を行っている。
元々は環境保護団体だったのが次第に極端な反コーディネイター思想を掲げる過激派団体と化した集団、或いは掲げる思想そのもの。
第1次大戦の頃の盟主アズラエル、その後継の
ジブリール、そしてブルーコスモスの支持母体であるロゴスの尽くが滅んだ事で一時は地球連合軍を自らの手先にする程の権勢を誇ったが今ではユーラシア連邦や最大の支持母体であった大西洋連邦からも完全に切り離され、政治的な立ち位置は失い、今やコーディネーター・ナチュラル問わず民間人を虐殺する
テロリストと多くの勢力から見做され、「ブルーコスモス残存勢力」と称される程に弱体化している。
それでも未だにこの時代に於いても未だ活動は続いており、ミケール大佐率いる
完全にテロ集団と化した元地球連合軍部隊が未だに各地で自殺的なテロを、本作冒頭までに少なくとも3回は起こしており、作中冒頭の戦いで出た428名の死者をもってミケール大佐時代のブルーコスモスのテロによる犠牲者は
5000名を超えた。
因みに実在のテロ組織「アル・カイーダ」が16年かけて生んだ犠牲者数は約4400人。
アルカイダの16倍以上の勢いで民間人に被害を出していると言えばミケール一派が如何に危険か分かるだろう。
連合とコンパスの足並みが揃わないこともあって、本作における「地球連合軍」の兵器はほとんどテロ組織の彼らに使われている始末。
元が巨大かつ根強い思想なだけに、C.E.73年当時の最新鋭機であるウィンダムに、果ては巨大MSデストロイまで持っており、テロ組織としては破格の規模を有している。
しかし流石にかつてと比較すると弱体化しつつあるようで、ウィンダムを保有してはいるもののダガーLは確認できず、それより前の105ダガーなどの旧型機も多く、損傷されたデストロイを修復することもできず簡易的な補修を行ったのみで投入するシーンも見られた。
技術・兵器関連
ザフトが開発し、C.E.70に勃発した第一次大戦を経て各国に普及した人型機動兵器。
二度の大戦を経て急速過ぎる進化を遂げており、本作の時点でも次々に新技術が投入されている。
その技術進歩の早さは、特定の個人用超ウルトラハイエンド機クラスが約1年後には旧式扱いされるほど。
一方で技術が進んでいるとはいえ現場では未だ旧型機も数多く投入されており、ファンには懐かしのあの機体やあんな機体も出てくる。
C.E.の量産機は基本的に
バッテリーで稼働しているのが特徴。これはMSサイズに搭載できるほどの核融合炉の開発がなされていないことと、核分裂を阻害する「
ニュートロンジャマー(Nジャマー)」の動作環境下でも活動できるようにするため。
また一部高級機は高火力と高機動を両立する等の理由で、Nジャマーの効果を打ち消す「ニュートロンジャマーキャンセラー」も併せて搭載することでNジャマー環境下でも使用可能となった核分裂炉を搭載、潤沢なエネルギーとパワーを持つ機体も存在する。
1度目の大戦初期と違いバッテリーの性能が飛躍的に向上しているらしく、それもあってか本作では動力源の違いがそれほど意識されておらずバッテリーなのか核動力なのか不明なMSも多い
(とある2機はバッテリーと核動力の違いによる影響が明確に表現されてはいる)。
『ヴァリアブルフェイズシフト装甲』の略称。
前々作の『SEED』で実用化された【
フェイズシフト装甲(PS装甲)】の発展型。
PS装甲は電気を流すと強度が変化し、ミサイルや刀剣などの実体兵器に対して高い剛性を発揮、オプション無しで単独での大気圏突入すらも可能になる特殊装甲。
それを発展させた【VPS装甲】は、各部に配分する電圧を装備や状況に応じて調整・最適化することで、PS装甲の欠点の一つだったエネルギー消費量を抑える事が可能。
通電時に装甲色が色付くのが特徴で、冒頭でフリーダムやジャスティスが発進時に表面がグレーからカラフルに変化するのはこのため。
インパルスはVPS装甲の特性を活用して装備ごとに電圧配分を調整しているため、バックパックを換装する度に色が変わる。
通電していない灰色の状態は「ディアクティブモード」、起動中のPS装甲がエネルギー切れなどでディアクティブモードになることを「フェイズシフトダウン」と言い、この状態では実弾でもダメージが通る状態となる。
強力な反面コストが高く、常時装甲に電力を割くのでエネルギー消費が激しい為、所謂『ガンダムタイプ』のようなエース向けのハイエンド機にしか搭載されず、ゲルググやギャンのような量産機への搭載は見送られている。
また、実体弾についても無敵というわけではなく、被弾すればエネルギー消費は加速し、関節や武装、装甲の隙間などPS装甲でカバーできない部分に攻撃を喰らうと貫通してしまう。
劇中後半で一部の機体が背中から発生させている光の翼のようなエフェクト。
単なる演出ではなく、
エネルギーを変換して生み出した光圧を加速に利用するスラスターの一種。
通常の推進システムを凌駕する圧倒的な加速力を発揮するが、莫大なエネルギー消費量がネックであり、核動力機でないと常用は出来ない。
元々は
惑星間探査用の長距離航行システムで、光の翼は応用発展系の技術にあたる。
機体から分離された小型端末を遠隔操作する無線誘導兵器で、ガンダムシリーズ恒例である
ファンネル系のオールレンジ攻撃端末。
劇中で機体の背中から展開して鋭敏な動きで飛び回って色んな方向からビームが飛んでいたら十中八九コレ。
死角から矢継ぎ早にビームを浴びせ、時にバリアを展開したりと非常に強力な兵器だが、無線誘導の為の量子通信に相当な電力消費を強いられる上、特殊な空間認識能力が無いと使えないものもあり、搭載する機体は限られる。
この手の遠隔兵器祭りは演出的にも単調になりがちというのは古くから(それこそ40年近く前から)指摘されており、本作ではそれについても色々工夫が講じられていることがうかがえる。
ちなみにSEEDシリーズと言えばMSがビームブーメランを投げることでも有名(?)で、本作でもイモータルジャスティスなどがブーメランを使う。
これについては『DESTINY』以降の機体では簡易ドラグーンという、ドラグーン・システムを応用・改良した制御システムが用いられており、それによって正確な軌道を実現させているという設定がある。
C.E.71の大戦中、地球連合が実用化した特殊装備。
コロイド状粒子を装甲表面に定着させることでMSや戦艦サイズの物体を光学的・電子的にほぼ完璧に隠蔽可能なステルス機能。
分かりやすく言えば透明になる機能・技術。
C.E.71の大戦で使用され、戦後のユニウス条約で軍事利用が禁止されるもC.E.73には条約を無視して使用された挙句、再び起きた大戦でユニウス条約が事実上形骸化した。
その為か今作では関連技術含め敵味方陣営関係なく使われまくっている。
ちなみにコロイド定着技術はビームサーベルの刀身の収束にも使われていた。
その他
C.E.73~74年のプラント議長、
ギルバート・デュランダルが「唯一の人類救済策」と題して発表した政策。
「人類を全て遺伝子的な適性を基準によって管理する」というもので、「誰もが自分の力を役立てる事ができ、誰もが失敗しない世界」「戦争が起こる事は最早無くなる」と喧伝していた。
しかし、それは個々人の意思も何もない、唯々冷たい管理社会であり、あくまで傷付きながらも自由に進む事を望んだキラ達によって阻止され頓挫、中止された。
本作ではもし歪んだ意思を持った者がデスティニープランを実行・管理すれば
ディストピアでさえない恐ろしい世界になりかねない事が描かれ、視聴者間でもデスティニープランというものに対する認識が大きく変化することに。
本編序盤でカガリが言及した事件。
『SEED』で起こったラクスとキラによる
フリーダムガンダムの強奪事件ではなく、本作の半年前に起こったという事件。
詳細は不明だが小説版も踏まえると「アークエンジェルに引き渡されるはずのストライクフリーダムがテロリストに奪取され、地上の施設を破壊して回るが、その鎮圧にファウンデーションのブラックナイツが協力した」という顛末らしい。
しかしブラックナイツの介入のタイミングがあまりにも良すぎることから、カガリとラクスは(一応事件の解決に感謝しつつも)ファウンデーションの自作自演ではないかと疑い、警戒心を募らせている。
一方この事件で損傷したストライクフリーダムはオーブに回収され、キラの様子を見るとその後どうなったかは不明だったらしいのだが…。
福田監督曰く、元々『DESTINY』と映画を繋ぐためのエピソードとしてOVA化が予定されていたが、ただでさえ遅れまくっていた映画本編の完成を優先させるため製作が凍結され、設定だけが残ったとのこと。
なお「映画の興行収入次第では映像化したい」とちゃっかり願望を述べている。
ただ元々テレビは00、それ以外はSEEDでOVA→映画の2面作戦を予定されていたため物語中盤で絶筆となった映画と異なり脚本自体は完成している。
興行収入からOVA再始動の可能性はあり得るため、もし脚本変更がなく日の目を見ることになればこの作品が両澤千晶氏の遺作になる可能性が高い。
「ケルピー」の噂を聞いたシンが「ブラックナイツに切り付けられるストライクフリーダムの姿」を回想するシーンもこの事件のエピソードである様子。
一部のキャラクターが保有している覚醒能力。
Superior Evolutionary Element Destined-factor
「優れた種への進化の要素であることを運命付けられた因子」の頭文字の略称。
遺伝子的な因子によるものなので、素質があれば人種問わず発動する。
発動時に深層意識内でキャラクターごとに対応した色の種が弾け、瞳のハイライトが消失するのが特徴。これにより『種割れ』とも称される。
発動した際は平時以上に判断力、反射神経等が研ぎ澄まされ、モビルスーツの操縦技術が劇的に向上するなどの現象が見られる。
【登場兵器】
世界平和監視機構コンパス
型式番号:STTS-909
全高:17.80m
重量:67.80t
型式番号:STTS-808
全高:18.50m
重量:71.62t
コンパスの最新鋭機で、共通フレームを用いた可変機。
上記の2機の詳細については
こちらを参照。
型式番号:ZGMF-2025/F
全高:19.50m
重量:73.51t
81.74t(ボレロA装備時)
82.09t(ボレロS装備時)
遂に登場したコズミック・イラ世界のゲルググ。
ザクの後継機に位置付けられる、コンパス向けに開発したザフトの最新鋭機。「メナース」とは
「脅威」「威嚇」「危険なもの」といった意味。
組織の活動内容に対して名前が物騒過ぎる。
なお、劇場公開時点ではまだ明かされていないが、設定担当の森田氏によるとゲルググとギャンも
ザク等と同様に正式名称はアクロニムだそうである。
やはりゲルググをオマージュした形状であるが、ジン系特有の大型ウイングやトサカ状センサーが復活しており、ザク系と比べて「ザフト系MSらしさ」がより強く出ている。
コックピットはザク系と共通。ジン→ザク→ゲルググというザフトのMSの進化が分かりやすい。
武装としてビームライフルとビームナギナタ、折り畳み機構を持つビームシールド、バックパックにはバビかアッシュと同系列と思われるミサイルランチャーを備える。
バックパックはウィザードシステムと同規格の「ボレロ」を採用し、部品や製造工程の共通化によって低コストを実現した。
ジャスティス系列に似た空力重視のウィングと多数のエンジンを用いた地上用の「ボレロA」、
ジン系列に回帰したようなスラスターを持つ宇宙用の「ボレロS」の2種類が存在し、活動場所に応じてそれぞれ選択して装備する。
ルナマリアとマーズ、ヘルベルトが搭乗しており、一般機は青系、ルナマリア機はザクウォーリア時代と同様の赤系のカラーリングが施されている。
またルナマリア機のみ左側のランチャーに代わってリニアガンが装備されている。
後半の戦いではレールガン(ハンドレールガンとも表現できる手持ち式のレールガン)を装備しておりガンプラでも再現されている……のだが、このレールガンは劇中後半でコンパス陣営が装備する全てのMSが装備しておりながら、
当該ガンプラには一切付属しておらず、劇中再現するには(HGとしてはやや高額な部類に入る)ゲルググを大人買いするか、バンダイ公式の部品通販や中古ホビーを扱うショップでのパーツのばら売り等に頼る必要がある。
全体的な品薄が続く2024年現在のガンプラ界隈においては中々に厳しい。
しかもプラモ開発サイドがこの事実を知らされていなかったからなのかレールガンはやたらデカく、HGフリーダムなどに持たせるのはかなりキツイ(1/100ならちょうどいいという報告もある)。
ただ、遅れてリリースされるRGブラストインパルスspecIIでも大振りサイズだった事から、むしろ
劇中のサイズの方こそ見栄えの関係で小さめに描かれたのではないかという可能性も。
さすがに不評だったか、2025年2月に発売予定のオプションパーツセット15にキャバリアーアイフリッド共々レールガンが付属するようにはなった。
ゲルググが居るならギャンも居る。
同じくコンパス向けの最新鋭機で、こちらは
グフの後継機に当たる。「シュトローム」とは
「(気体や液体の)流れ・奔流」といった意味。
アグネスとヒルダが搭乗しており、アグネス機はイザーク専用グフに似た白系のパーソナルカラー、ヒルダ機は青系の量産機カラーとなっている。
またアグネス機の頭部は彼女のメイクに似た赤色の差し色が入っている。実際に設定上は元イザーク機で、彼女が譲り受けた際に色を足したらしい。
序盤の戦闘ではイモータルジャスティスやゲルググメナースよりも目立っているが、それ自体が伏線だったりする。
詳細は
アグネス・ギーベンラートの項目を参照。
オーブ軍の可変MSの改修型。
一部の装甲が角ばった形状に変更されており、変形状態も前進翼だった以前とは異なり後退翼となった。
ムウを始めとしたアークエンジェル艦載機はムラサメ改が中心である。
半壊状態でも変形飛行が出来る程に可変機としては意外に堅牢。
設定画では肩アーマーがかなり小さいが、本編用CGやガンプラではむしろムラサメから少し大きくなっているように見える。
- LHM-BB03S スーパーミネルバ級MS惑星強襲揚陸艦ミレニアム
全長:約430m
ザフトがコンパスに提供した新造艦。ナンバリングは「SCC-1 02」。
その名の通り、全体的なシルエットや武装、艦橋を装甲区画に収納できる構造などには
ミネルバの名残が見て取れるが、背負い式配置の主砲や艦首下部がバルバス・バウを延長し、尖らせたような張り出した形状などは前ド級戦艦をSF的にアレンジしたようにも見える。またシルエットとしては宇宙世紀世界の
ムサイ級軽巡洋艦にも近い。
MSカタパルトはコズミック・イラ世界では初となる露天式で、MS発進時はカタパルトレールの両側面に肋骨の様にパーツが展開されリニアフィールドを形成する。
武装については基本的にミネルバのものを踏襲しているが、火薬式だった副砲はリニア砲となり、艦首に装備されている陽電子砲タンホイザーは構造が大きく変化し四方向に同時に射撃できるようになっている。
また、足自慢と謳われたミネルバの後継に相応しく運動性も非常に高く、もはや巨大な戦闘機かMAといって差し支えないほど。
普段は宇宙に配備されているが、ポジトロニック・インターフェアランスによる単独での大気圏離脱能力を備え、ミネルバにはなかった潜水性能も搭載と、アークエンジェルと同等の多用途性を獲得している。
総じて「超ミネルバ級」の名に恥じない高性能艦であり、コンパスの任務の特殊性と相まって重要な戦力となっている。
ハインラインが開発した秘密兵器。
ジェル状の物質でミレニアムの艦表面をコーティングすることで艦の防御力を高める装備。
グルヴェイグの12連陽電子砲を無傷で防ぎきることに成功している。
本艦の迎撃用装備。
弾種はミネルバと同様に宇宙用のナイトハルト、地上用のパルジファル、迎撃用のディスパール、魚雷のウォルフラムM25が用意されている。
ミネルバに搭載されていた陽電子砲。
艦首上部に内蔵されているが4発のビームを発射できるようになっているのが最大の特徴。これにより前方の敵を広範囲に攻撃可能。
- 2連装高エネルギー収束火線砲 XM47/D トリスタン
ミネルバから引き続き本艦でも主砲として搭載。艦橋前方に縦列で2基、後方に1基配置されている。
イゾルデに代わる超電導式の副砲。トリスタンの前方に1基を内蔵し、使用時にリフトアップして射撃体勢を取る。
本艦が大型MAなどとネタにされた元凶その1。
有線式のガンバレルであり、戦艦の癖に単艦でオールレンジ攻撃が可能になった。
本編では4基確認されており、コントロールはハインラインが担当する。
本艦がノイマン専用大型MAなどとネタにされた元凶その2。
艦首下部に内蔵された隠し玉の
艦首ヒートラム。普段はカバーで保護されているが、起動すると発熱によって剥離する。
性質上
特攻紛いの体当たりを仕掛ける必要があり、ミレニアムの猛スピードによる突貫と突撃後に超至近距離からぶちかまされるミレニアムの艦砲一斉射撃は、一撃でミレニアム以上のサイズの大型戦艦を撃沈させる威力を誇る。
本来であればコロニーの外壁を突き破って強襲揚陸を敢行するための装備。
因みに、メカニックの中には元ミネルバクルーであるヴィーノやマッドの姿もある。
ミケール大佐捕獲作戦ではファウンデーション首都にて待機していたが、核ミサイル発射に際してルナマリア機に狙撃用装備を取り付けて迎撃に当たらせるも、
二発目の核ミサイルまでは防げずルナマリアのゲルググと共に水中に避難、難を逃れた後はオーブに入港するもコンパス自体の活動が凍結させられた事で行動不能になってしまう。
しかし、行方不明になっていたマリューらの生存を信じ、生存していた場合に取るであろう行動を予見していたコノエとハインラインらによって出撃準備が整えられており、
実際にアークエンジェル組と合流した後はマリューを艦長に、ノイマンを操舵手に迎え、オーブ軍の形ばかりの警告射撃に見送られながら出港、
更にはオーブを狙ったレクイエムの照準を自らに向けさせる事でオーブの被害を回避しつつ、自身もコブラ機動めいた動きでレクイエムを回避、そのまま宇宙に上がった。
なおこの時一部のクルーが艦を降りており、残ったのはコノエ達一部の志願者とアークエンジェルの乗組員となった。
宇宙に上がった後はキラ達の母艦として後方に控えるかと思いきや、護衛としてシン達を引き連れつつ
ガンガン前方に出てファウンデーション艦隊をほぼ単独で引き受け、船体からは
大型ガンバレルを展開して二次創作垂涎のオールレンジ攻撃を披露し、
グルヴェイグの12連陽電子砲は
こんなこともあろうかとハインラインが用意した新作「
耐熱耐衝撃結晶装甲」で、ミサイル攻撃は
ドリフト機動で凌ぎ切り、
終いにはマリューの艦首ヒートラムによる体当たりと至近距離からの一斉砲撃でグルヴェイグを撃沈する大活躍を果たし、歴代ガンダムシリーズ最強戦艦候補に文句なく入り込む戦果を残したのだった。
この獅子奮迅の大活躍から誰が言ったか、一部で付いた渾名は「ノイマン専用大型MA」、「ガンダム界の宇宙戦艦ヤマト」。
無論、Gジェネやスパロボに参戦したらば最強戦艦として活躍するのは間違いない。
なおミネルバ級の後継ではあるが、量産化が凍結されているインパルスの運用は前提としていない事がうかがえるシーンがある。
地球連合軍時代からマリュー達の母艦として二度の大戦を戦い抜いて来た歴戦の艦。ナンバリングは「SCC-1 01」。
CGが作り直されディティールが細かくなっている以外、外観面にこれといった変化は無い。
艦載機としてムウを始めとしたムラサメ小隊を最低でも二個搭載している。
ミケール大佐確保作戦に参加すべくファウンデーション入りするが、作戦の最中にブラックナイツのジャミング工作と敵対行為に遭遇、撤退のため信号弾を発射しキラを始めとしたパイロットとMSの回収に向かう。
しかしその矢先にブラックナイツが不自然な位置に居る事と核ミサイルの発射を目撃してしまう。ブラックナイツが見られた事に気付くと口封じの為に襲撃され、マーズ、ヘルベルトが迎撃に挑むも敵わず敗北。船体各部にも重度の損傷を受け全ての武装が使用不能となり、弾薬庫に迫る火災から誘爆防止のためエンジンをも切り離して不時着するがブラックナイツはなおも追撃。
ブリッジクルーが先行して脱出し、マリューも緊急脱出したものの艦橋はビームライフルの直撃を受け
舞い降りない剣、さらに船体全体に大量のミサイル爆撃を受け大被。
クルーはメイリンに拾われ(よく見るとミサイル爆撃される直前に脱出ポッドのようなものが射出されている描写がある。)、負傷し身動きが取れなくなっていたマリューも撃墜を装っていたムウに救出されるが、
最終的に大破状態で擱座した船体は三発目の核ミサイルによって完全に崩壊、「不沈艦」と謳われ二度の大戦を生き抜いたアークエンジェルも遂に沈んだのだった。
なお、あまりにもアークエンジェルに不利な条件が揃っていたため、「これぐらい徹底して追い詰めないと沈みそうになかった」とこの状況下でギムリー・グライダーを決めたノイマン共々ネタにされる事に。
乗り換えた先のミレニアムが前述の通りの大立ち回りだったせいで「ノイマンの操舵に追いつけなくなった(から沈められた)」とか「ノイマンの乗り換えイベント」とまで言われる始末。
しかし、アークエンジェルが守り抜いたクルー達は脱出に成功し密かにオーブへと渡り、その意思と魂はミレニアムに引き継がれて行く。
二度に渡って地球の危機を救ったアークエンジェルは、その身が尽きる最後の瞬間さえ、世界の希望を次代に託したのである。
小説版においては本艦の存在自体もキラを無意識のうちに縛る枷となっていたことが示唆されている。
地球連合軍/ブルーコスモス残党
前の大戦で主要な出資者であるロゴスを失った上に主要軍事拠点を落とされたこと、本作でキラ達が対峙する「地球連合軍」は軍とは名ばかりのテロリスト集団であることからか、
コンパス、ザフト、オーブと違い唯一新型MSや新兵器が全く出てこない。
連合主要国のユーラシア連邦がコンパスに非協力的な姿勢を出しているのも大きい。
第2次大戦後半に地球連合軍が投入した巨大MS。
操縦には専用の調整を施した生体CPUが必要になるという劣悪な運用性をしているが、ブルーコスモス系テロ組織と化した地球軍部隊が未だ装備しており、オルドリン市への侵攻ではその火力と防御力で市民と現地ザフト部隊を圧倒した。
中盤には整備が追い付かなくなったか破損したものを応急修理したものか、バックパックと左腕を失い、胸部の3連スキュラも右胸の1門が使用不能な半壊状態のデストロイも現れている。
過去の戦闘の経験から対処法を知り尽くされており、一機目はシールドで頭部破壊と同時にフルバーストで正面砲口とバックパックの(装甲が比較的薄い)ホバーユニット噴射口を撃ち抜かれて瞬殺され、二機目は接近戦に弱い点を突かれ、
シンとキラによる急接近からの刺突でアッサリと処理されている。
とは言えこれはライジングフリーダムとイモータルジャスティスの高性能さの表れでもあるようで、キラは最初の戦闘ではデストロイを単騎で相手取っており、
半壊したデストロイについては確認するとすぐさま付近のムラサメ隊に緊急退避を命じるも、一体撃墜していることや、シンも即座に加勢するなど総合的に見れば非常に脅威度の高い存在として未だに認識していることがわかる。
地球連合軍の主力MS。
105ダガーの方はウィンダムの登場で幾分旧式化しているが、標準搭載されたビーム兵器はジンなどの旧式相手には明確なアドバンテージがあり、テロ組織と化した地球軍部隊やユーラシア連邦等では未だ現役。
特徴的なあの
甲高い歩行音も健在。一方でビームライフルの発射音は
これに変わった。
前作ではインパルスやデスティニーにボトボト落とされるだけのやられ役だったが、本作ではオルドリン市のザフトMSを次々に落とす、頭部機関砲でジンを蜂の巣にした上に市民に迫るなど、その脅威が描かれた。
また、105ダガーはライジングフリーダムのフルバーストを防いだり、ムラサメ改を近距離戦で倒すなど、猛者が乗っていると思わしき描写も。
特にウィンダムの頭部機関砲であるトーデスシュレッケンはストライクなどのイーゲルシュテルンの1/6の口径しかなく設定上は威力が下がっているにもかかわらず、ジンの装甲を貫いて蜂の巣にするというのは異常としか言えない威力であり、何らかの強化改修が入っていた可能性がある。
なお、前作ではかなりの数が登場していたダガーLは何故か一機も登場していない。
お馴染み地球連合軍のミサイル車両と戦車。
ブルーコスモス軍でも引き続き使用されている。
相変わらず可能な限り命を取らない戦法を心がけるキラは、リニアガンタンクに対してはシールドのビームサーベルで砲身を切り裂くという形で無力化させていた。
お馴染み地球連合軍の宇宙用戦闘艦艇。
劇中に登場するのはいずれも『DESTINY』で初登場した、MS運用能力付与などの近代化改修を行った後期型。
『DESTINY』の時から2年が経ったC.E.75年では更なる改修が施されており、アガメムノン級は対空火器を増設、ネルソン級は主砲や対空砲などをアークエンジェルと同じものに換装した上でレーダー・センサー類を最新型に換装、ドレイク級に至ってはイーゲルシュテルンを廃止してリニア砲らしき単装砲を搭載した上で対空砲やアンテナを増設、ミサイルランチャーや魚雷発射管の形状変更などと多くの相違点がある。
アガメムノン級は「ベオウルフ」という固有艦名を有する艦が登場。中盤におけるファウンデーションの蜂起に際して連合軍宇宙艦隊を指揮し、プラントクーデター軍艦隊などと交戦するが、レクイエムの砲撃で他艦共々撃沈されてしまった。
それでもなお終盤の最終決戦では残存戦力が多数が登場し、オーブ軍と協同してクーデター軍艦隊並びにファウンデーション艦隊と交戦していた。
因みに月面から発進した宇宙艦隊の基地はエンデュミオン基地。
第1次大戦序盤に自爆したはずの基地であるが、プトレマイオス、アルザッヘル、ダイダロスと立て続けに月面基地を失った事を受けて再建したのだろうか。
予告編の時点で話題と注目を集めていた
遂に75年振りに地上で使われてしまった核ミサイル。何だかんだ言って映像化されているSEEDシリーズにおいて地球上で核が炸裂したのはこれが初。
宇宙用の
Mk5とは異なり地上用なので、安定翼も備わった巡航ミサイルらしい姿をしている。
他作品なら最終目標になれる筈の核兵器が前座にしかならないというC.E.の魔境振りが窺える兵器。
ファウンデーションの外道っぷりを強調する兵器だが、こんなやべーもんを少ない護衛で最前線に近いところに置いているユーラシア連邦も大概である。
前線指揮官の
「誤射!? 誤射で済まされるか! 核だぞ! 一体どこの間抜けが!」という台詞があるように、使えばシャレにならない代物という意識はある模様。
恐らくは国家としての発展著しいファウンデーションに対して、
本来の意味での抑止力として配備していたのだろう。
なお、発射パスワードは
0214だったとされる事が多いが、実際の画面では特にそのようには見えない。
ザフト
今や旧式化し更新が進められているザフトの制式採用MS。
プラントの特別経済区であるオルドリン市では警備に配置されている他、ジンは本国でも未だ運用されている。
目立った活躍は無いが、反攻に出たジンの一機がダガーを重斬刀で滅多切りにするという、本編では専ら一太刀で真っ二つにしていた中で珍しい運用法を見る事ができる。
ブルーコスモスへの怒りがよく表れた、ダイナミックながらも少し恐ろしさも感じる一幕である。
また20年近い歳月を経てハイクオリティのCGで映像化されることに感慨を抱くファンも多い……かもしれない。
ザフトの現行主力機とその上位機種であり、ジャガンナート率いるプラントクーデター軍の主力MS。
最終決戦ではファウンデーションに加勢した。
お馴染みザフトの宇宙用戦闘艦艇。
ジャガンナート率いるプラントクーデター軍の主力艦隊として登場し、ファウンデーションに加勢してオーブ軍や連合軍、ジュール隊、ミレニアムなどと交戦した。
なお、艦隊のうち1隻のナスカ級ブルクハルトにはジャガンナートが座乗して指揮を行っている。
ローラシア級は売却されたと思しきものがファウンデーションでも運用されている。
本作のサプライズ枠
プラント評議会のクーデター軍を鎮圧したレジスタンス部隊のMS。いずれも3Dモデルではなく作画で描かれている。
指揮したのはもちろん砂漠の虎である。
コロニー内でバクゥがたむろする様子はなかなかシュールである。
バクゥはこの度初めて主翼を艦載機の様に折り畳めることが判明した。
ちなみに当初はグフイグナイテッドも登場する予定だったそうだが、残念ながら見送られた。
オーブ
オーブの量産型MS。こちらも作画のみ。
本作ではオーブが戦場にはならなかったため、直接の戦闘シーンはなかったが、市民の避難誘導や迎撃に備えて多数の機体が出撃している。
なお、避難誘導に当たっていた一部の機体は自動車を運搬したり子供を掌に乗せて飛行しているシーンも。
そして……
本作のサプライズ枠たち
ゲルググとギャンが登場したならこれも登場するだろうと思ったファンの予想通りになったのは
まさかまさかのC.E.版ズゴック。しかもパイロットはアスラン。
型番は明らかに元祖ズゴックの「MSM-07」を意識している。
型番が示す通りザフト系と思われるが、名称は「ズゴック」で、ザクなどとは違い後ろには何も付けられていない。
そして「ZGMF」とある通り
全領域対応型(正確には地上でも運用可能な宇宙型)なので宇宙でも全く問題なく活動可能。
先行するザクやグフはC.E.らしいアレンジが為されているが、こちらのデザインは頭部に一本のツノが飛び出ている以外は
ほぼ元のまんまである。というか見た目が思いっきりシャア専用。
前腕側面にシールドが取り付けられている事もあり、見た目の印象はどちらかと言えばラムズゴックに近いかもしれない。
他には
ミラージュコロイドまで装備しており、非常に高い隠密性を持っている。
第2次大戦以降の(推定)ザフトMSというだけあってバックパックの換装機構も持ち、キャバリアーや大推力のウイングパーツといった追加装備も装備可能。
あの世界にハロを爆誕させたのはアスランなので、このズゴックの外装もアスランが自作した可能性がある。
武装はヒートクロー、ミサイル、そして
メガ粒子砲。
C.E.世界にも粒子ビーム兵器は存在する(特にC.E.のビームライフルは多くが荷電粒子砲とされる)ので、「メガ粒子の砲」ではなく
メガキャノンのような「メガな粒子砲」なのだろう。
映画の4週目特典であるスタンドにはキラとシンとアスランがそれぞれ乗機のイラストと共に描かれているのだが、アスランはズゴックと共に描かれている。しかもこいつだけ書き下ろしではなく設定画のまま。
ファンからはズゴック&アスランが「アタリ」だと言われたのは言うまでもない。
嘗てザフトに強奪され、最初のアスランの機体となった第一期GAT-Xシリーズの一機。
『SEED』でのストライクガンダムとの激戦の末、道連れに自爆。その後は足や頭などの残骸が残るのみとなったが、今作では頭の残骸が登場。
四年以上も放置されていることが判明したイージスガンダムだが、カガリの意向であえてそのままにしてある模様。
当然戦闘シーンは無かったが、数年も放置されてる本機を見て懐かしさを感じるファンも多かった模様。
元々は地球連合軍の、後にザフトが接収した戦略巨大ビーム砲。
月の裏面のダイダロス基地に設置されており、複数の中継器によってビームの軌道を自在に曲げ、地球を含む射程内のどこでも砲撃する事ができる。
第2次大戦の後に動力炉の再利用が検討されていたらしいが、ファウンデーションが秘密裏に接収・修復し、デスティニープランを実行させるべく地球国家をこれで脅迫した。
差し当たり、ファウンデーションへの「核攻撃」に対する報復と称してユーラシア連邦首都モスクワを砲撃、無数の罪のない一般市民を一瞬で炭化させた。
その後はレクイエムを攻撃しようとした地球軍艦隊にも砲撃し艦隊を全滅させ、次は抵抗の意思を見せたオーブにも未遂含め3発を放った。
前作では実質2発しか放たれていないが、今作ではレクイエム祭りと言わんばかりに撃ちまくる。
中継ステーションは、前作までは巨大な廃棄コロニーを使用していたのに対して今回はリング状になっている。しかも発射直前以外はミラージュコロイドで姿を消すことができるようになっており、隠密性が大きく向上している。
その代わりに自航できなくなり、移動させる際は別の宇宙艦で曳航する必要が出た他、大幅に小型化した分強度も落ちている。
第1次大戦中にザフトがジャスティス&フリーダムの専用運用艦として建造され、ラクスが座乗艦として運用した宇宙戦艦。
今作ではターミナルの所属となっており、プラントでのクーデターの際にイザークらがラメント議長らを保護しプラントを脱出する際に使用された。
そのため、ラクスは今回は乗艦していない。
劇中の表示と公式サイトの説明に齟齬が生じており、劇中ではターミナル所属とあったが公式サイトでは「ザフトに復帰」とある。
アスランらのように「大戦後にザフトに復帰し、現在はエターナルに出向中」なら矛盾は無い事になるが公式からの説明は特に無い。
まさかの復活参戦。
全体的にカラーリングの彩度が落ちており、水色だった部分も白っぽい色味になっている。
この事から「
レジェンドの色合いになった」との声もあるが、実際にはレジェンドのカラーリングは更に濃いグレーと紺に近い青であるため、実際には近付いてはいるもののレジェンドの色になったと言えるような色味ではない。
また、スタッフの射尾卓弥氏によると色が変わったように見えるのは印象でしかなく、
そもそも色は変わっていない(最初からグレーがかった白基調の機体)とのこと。
実の所公式サイトの画像を見比べた範囲では色味は間違いなく変わっているのだが、「色味」とはその場の明るさや光の色によって感じ方が変わるものなのと、20年近い空白による描き方の違いを加味すれば「設定上は同一色」もあり得ない事ではない。
巷で言われるような「血涙」が無くなったというのも
『SEED DESTINY』時代と同様に設定画だとそう見えるというだけである。
ただし
アンテナは間違いなく黄色からグレーに変化している。
後述のインパルスSpecIIやストライクフリーダム弐式と同様、オーブの地下ドックにて新技術のテストベッドとして密かに使用されていた機体。
動力炉の改良やコクピット・ソフトウェアは最新にアップデートされているものの、駆動系や武装など機体そのものはかつてからほぼ変わっておらず、
シモンズはアコードとの全面対決に使うには「旧式機のマイナーチェンジ機」に過ぎないデスティニーSpecIIでは心許ないのではと心配したが、シンは「デスティニーさえあれば百人力」と言わんばかりにかつての愛機を頼もしく見上げていた。
凄くわっるい笑顔を浮かべていたし、それを隣で見ていたアスランも笑っていた。シンのことはお前が一番理解してるよ。
この十数分後、多くの視聴者はシンの技量とデスティニーというMSに対する認識を大きく改める必要に迫られる事になる……。
同じくインパルスの改修機。こちらは当初から情報が公開されていたが便宜上ここに記載。
こちらも同じくバッテリーを最新のものに換装した関係で色合いが変化。
フォース形態ではデスティニー同様水色部分が白っぽい色になっていた程度だが、ソードおよびブラスト装備時は機体全体が赤ないし緑に変化するようになった。
ブラストとソードは印象と呼ぶには明らかに色が変わっており、新型バッテリーの影響がうかがえる。
なお、今回は本体の合体・分離の概念は描かれておらず、最初から(発進時から)1機のMSとして登場している。
相変わらず手持ちレールガンは後腰部にマウントしているがブラストシルエット分離時のみ明らかに位置が下にズレている
当初はデスティニーの情報は秘匿されていた事もあって誰が乗るのか議論になっていたが、実際にはルナマリアが決戦に際してゲルググに代わって搭乗した。
コンパスのマーキングがないのも、元々コンパスで運用していない機体だったためというオチであった。
余談だが当初はデスティニーシルエットの投入、つまり
デスティニーインパルスとして登場する予定もあったらしい。
だがデスティニーと戦闘方法が丸かぶりしてしまうので、見栄えのことを考えてこちらはシルエットを目まぐるしく換装するという戦い方を見せる方向になったのだそうな。
同じくストライクフリーダムの改修機。およびその支援ユニットと派生機。
先の強奪事件の後に修復・改修されていた。
腕部と肩部の形状が変更されている他、クスィフィアス3の基部がフリーダムに近いものに差し戻され、ビームサーベルラックも基部の上部に変更されている。
詳細はストライクフリーダムガンダムの項目を参照。
なお、公式サイトでは腹部のビーム砲を「アグニ」と紹介されている(本来は「カリドゥス」)。
本機に限らず、公式サイトでは大出力ビーム砲が大体「アグニ砲」表記。日本語字幕版だとデストロイの胸部ビームもアグニ扱い
これらは公開後しばらく理由の説明がされていなかったがマイティーストライクフリーダムのHGキットの武装一覧紹介により弐式への改修でビームライフル以外の武装が一新されていることが判明している。
デスティニー共々劇中においてはあくまで新装備や新機能の実証試験用に修復保管されていた機体なので旧型機である(もちろんその基礎ポテンシャルは決して下がったわけではない)と明言されている。
これは両澤氏の「新型機に乗り換えて勝つというのではなく、あえて旧型機でリベンジした方がいい」(意訳)という発案に福田監督が乗ったためとのこと。
この、旧型機で云々というのはデスティニーとフリーダムに限らず、本作後半の展開において様々な場面で見ることができる。
お馴染みカガリ専用機。
前作ではエターナルの危機を救うためにキラが借り受け、左腕と両足が損傷した状態でエターナルに収容された所で出番を終えていたが、どうやら地上に戻され修復された模様。
本作では警戒・管制ユニット「キャバリアーアイフリッド-2」を装備した状態で運用され、ファウンデーションとの交戦に備えて厳戒態勢を敷く中でカガリが搭乗、
軍の陣頭指揮を担った他、アスランとシュラの対決を支援するといった形で活躍した。
また飛行中は護衛機としてムラサメ改が3機随伴していたが、EDでアスランがカガリと合流するシーンではオオトリストライカーがルージュの後ろを飛行しているところが描かれており、事と次第によっては直接戦闘を行うつもりもあったと考えられる。
監督のツイートによるとキャバリアーは「オーブの行政府と軍司令室の機能を統合したエアフォース・ワンです。アカツキ以上の超極秘兵器。」とのこと。
このツイートが指し示す通り、キャバリアー内には数人が詰める管制室が作られており、劇中でも行政官としてサイが、AWACS要員としてミリアリアと、ミレニアムの管制はアビー達に任せ地上に残ったチャンドラが担当している。
また、ズゴックが背負っていた方にはメイリンが詰めている。
地球から月のモビルスーツをラグなくコントロール出来る管制・通信能力、そしてキャバリアーを中継地点にしてMSのリモート操作が可能……と、悪用しようと思えばテロすら簡単にできる凶悪兵器である。
ズゴックがオーブ内ですらミラコロを使用していたのも納得である。
なお、キャバリアーアイフリッドの元ネタは
ドラグナー1型の
キャバリアー0で、許可をもらって出したらしい。
これを装備した形態を「
アメイジングストライクルージュ」と称している。なのでキャバリアーアイフリッド装備形態のズゴックは
アメイジングズゴックということになる(小説版にて言及あり)。
お馴染みオーブの象徴たる黄金のMS。
オーブ艦隊ともにマスドライバーで密かに打ち上げられ、現地に先行していたムウが使用。
ミラージュコロイド搭載のコンテナで発射直前のレクイエムに接近し、偽装を解いて新装備のゼウスシルエットでレクイエムの偏向リングとリング曳航艦を破壊。
直後に自身に直撃したレクイエムのビームをヤタノカガミで反射して、逆にレクイエムの一部システムと砲の周辺にいた防衛艦隊に甚大な被害を与えるというある意味今回の裏MVPとも言える活躍を見せた。
誰が呼んだか、サプライズアカツキ理論。
なお、流石にレクイエム程のエネルギーを反射するのは無理があったのか、シールドで防ぎ切れなかった部分は赤熱化しており、計器類もアラートが鳴りまくっている。逆に言えばその程度で済んでいる。
この活躍にはヤタノカガミだけで量産機20機分以上という莫大なコストですら安いと言わざるを得ない。もしこの活躍をオーブ国民が知ったら怒るどころか自分の血税が世界を救ったと万歳三唱するだろう。
イザークとディアッカのかつての愛機を秘密裏に改修した上で、ラクスがレジスタンスの為に要塞ボアズの残骸の中に秘匿していたもの。完全にザフトでの運用が前提なためか型番はGAT-XからZGMFになっている。
以前の設定では、デュエルとバスターは地球軍に返還され博物館入りしたとの事だったが、この辺りは設定が変更された、或いは正式にザフトに讓渡されたと思われる。
核動力化やコクピットがザクのものに変更されている他、全身各部にも改修が施されているため、以前とは出で立ちが若干様変わりしている。
核動力化した事もあってミーティアが使用可能となっており、その圧倒的パワーによりクーデター軍の鎮圧に活躍した。
デュエルはその名の通り、
ブリッツとよく似た兵装が追加されており、外観や武装もブリッツに近い鋭角的なものになった。
あくまでブリッツではなくデュエルの改修機であるが名前は「ブリッツデュエル」ではなく「デュエルブリッツ」。語呂の問題だろうか。
プラモデルでは外装はアサルトシュラウド同様パージ可能で脱ぐと完全に無印デュエルガンダムになるのだが劇中では最初から最後まで外装を付けたまま。まぁこれは「HGCEデュエルガンダム」を出したかったということなのだろう。
バスターは更なる重武装化が施されているがビーム系兵器の追加が主で、レールガンとエネルギー補給能力が特徴の「ライトニングストライカー」を意識した訳ではなさそうである。
「ライトニング=電光・稲妻」でブリッツ(稲妻)と合わせたネーミングだろうか。
イザークは改修されたとはいえ古い機体を未だに保管していた事に半ば呆れていたが、ディアッカは小説版でも言及していた通り未だにバスターを気に入っている事を明かしている。
上述したズゴックの真の姿。
ズゴックの内部に格納される形で本当に隠者していた秘匿されていたが、シヴァのニードル弾からフリーダムを庇い、外装をパージしたことで中からその姿を現した。
デスティニーSpecIIなどと同様、∞ジャスティスの改修機。詳細は項目を参照。
【余談】
事前に公開されたPVや予告を見たファンの反応は長らく待ち続けた新作に対する期待、そして
それ以上の不安であった。
PVが公開されてからは、かねてからのネタ予想では一種の定番だった「アスランがまた裏切ってネオザフトを結成して反乱を起こす
そしてネオザフトに疑問を感じ裏切ってキラと共に立ち向かう『逆襲のアスラン』」ならぬ
『逆襲のキラ』の可能性が浮上してしまい、
この数年でキラが実際には深い闇を抱えたまま戦っていた事が視聴者間に周知されつつあった事もあって、キラがどうなってしまうのかは非常に心配されていた。
シンが懸念した通りまたしても吹き飛ばされる花、
自分が何も守れていない事に落ち込み、遂には声を荒げながら赤色に変色した目で無数の敵をロックオンするキラ、
それを必死に諫めるムウとマリュー、
火を噴くアークエンジェルや撃墜されるムウ、
悲痛な面持ちでキラを止めるよう訴えるラクス、
そのような事態を裏付けるような「闇に落ちろ、キラ・ヤマト」との言葉、
遂に地上で炸裂してしまった核、
エンディングテーマの題名が「去り際のロマンティクス」……と、公開を楽しみにしつつも
世界の敵となってしまった末に残酷な最期を迎えるキラを看取る事になる可能性を覚悟で観に行くつもりだったというファンも散見される。
実際にどうだったかは……実際に映画を見た方にはご存じの通りである。
公開時点では具体的な作中時系列の設定はまだ無いが、3月29日が誕生日のディアッカと5月18日が誕生日のキラの年齢から逆算するに、おそらくはC.E.75年4月上旬~5月中旬の出来事と推測できる。
劇中でも丁度桜の花が見頃になっている様子があるので4月上旬のようでもあるが気候の調整自由自在&日本の関東地方基準とは限らないプラントの中なので日付の根拠にしては弱いか。
なおヤマト隊を拾ったミレニアムからプラントまでの移動に(推定)3日、中盤のユーラシアからオーブへの移動に4日、オーブから最終決戦までに(推定)3日かかっているので冒頭から決着までの劇中経過時間はおよそ二週間弱といったところ。
後のエピローグカット追加版にてラストシーン直後の時期がC.E.75年5月30日と明記されたため、やはり劇中冒頭の戦いは早くて4月、遅くとも5月中旬ごろの出来事と思われる。
約18年振りの新作という事で、本作には前作、前々作のセルフオマージュ的な要素が多数仕込まれている。
以下はその一例である。
- 『舞い降りる剣』のフリーダム登場直前のシーンとほぼ同一の構図でアークエンジェルのブリッジに迫るブラックナイツ
- オーブから宇宙に向けて出港するミレニアムに対して「制止の為に攻撃はした」というポーズをするためのトダカ海将仕込みの百発百外し
- この攻撃を行ったのが砲手が優秀なことに定評のある第二護衛艦隊
- 『SEED』終盤に核攻撃で崩壊して以来全く出番が無かった宇宙要塞ボアズの残骸のまさか過ぎる活用
- ファウンデーションが根城とする宇宙要塞アルテミスとそこにミラージュコロイドで潜入するニコルの戦術
- 以前にメンデルでの戦いで用いられた、一定パターンにセットしたミサイルを予め発射しておき、知らずにそこに誘い込まれた敵艦に「置きミサイル」攻撃を見舞う戦術バジルール
- 「おっさん!」「おっさんじゃないッ!」
- フリーダムのマルチロックオンと同じ構図で敵軍を殲滅するブラストインパルス
- 見覚えのある構図で咆哮するシン
- アロンダイトを正面に構えてVLを展開し、一呼吸置いて突撃するバンクをCGではなく敢えて手書き作画で再現。
ブラックナイツを粉砕した後、HDリマスター版『SEED DESTINY』のキービジュアルと同一の構図で残心するデスティニー
- フリーダムシリーズ伝統の光を放ちながら突撃するマイティーストライクフリーダム
- 運命を守る力から、歪んだ運命を断ち切る力として生まれ変わるデスティニー(『スーパーロボット大戦Z』『スーパーロボット大戦L』)
- デュランダル亡き後に主人公側が治安維持組織を結成(『スーパーロボット大戦K』)
- 密かにザフトに引き渡されていたデュエルとバスターを戦力として再利用(『スーパーロボット大戦L』)
- 「ちゃんとラクスに好きとか愛しているとか言っているのか」とシンに指摘されるキラと、それに対して「シンはルナマリアにそういう事言ってるの?」と聞かれてしまうシン。なお、ルナマリアからシンはそんな事言わない事を暴露され、キラはそれを受けて「それでうまくいってるなら問題ないよね」と言ってない事を認めた上で開き直った(『第2次スーパーロボット大戦Z再世篇』)
- デュランダル亡き後に外部からの要因でプラントの主戦派がまたしても暴走するが最終的に制圧される。(『第3次スーパーロボット大戦Z』)
- 読心能力を持つ敵と対峙するマークデスティニー。そして読心能力にSEEDで対抗するシン(『スーパーロボット大戦UX』)
スフィンクス型「そんな寝惚けた読心がマークデスティニーに通用するか!読心はこうやるんだ!!(読心Lv4)」
- また、そのシンと対峙した敵はメンバー間で精神をリンクしていた。そして、一人の脱落者も出さずに戦い抜いたあちらとは違い、一人欠けたために総崩れになった(『スーパーロボット大戦K』『スーパーロボット大戦UX』)
- 型落ち機とされるMSで暴れ回るシン。なお「型落ちしていようとパイロットがシン」である時点で危険と判断出来たかどうかで綺麗に敵対側の結末が変わっている(『スーパーロボット大戦UX』)
- 修復された上で使用されるレクイエム。ただし使用用途が真逆(『スーパーロボット大戦UX』)
- 極端な思想の元で施行されたデスティニー・プラン(『スーパーロボット大戦V』)
これらはあくまでファンの推察ではあるが、福田監督自体はスパロボについてちょいちょい言及しており、あながち的外れとも言い難いのが面白いところ。
公開後に福田監督が明かした話によると、中盤にラクスが作っていた大量の料理は実に一人3人前という大ボリュームである。
これは忙し過ぎてほっとかれ気味なラクスがキラに仕掛けたちょっとした意趣返しとの事。
尤も、嫌がらせ100%ではなく、宇宙船勤務で食の楽しみが無いキラの為に半ビュッフェスタイルで食事して貰えればというつもりでもあるらしい。
結局キラが夜中に帰宅するまでにラクスは寝落ちしてしまったが、よく見るとテーブルにはコーヒーが置かれている。
あくまでキラと一緒に食べたくて手を付けずに待ち続け、いろいろ頑張ったものの結局力尽きてしまったことが窺える。
この時のメニューは全てキラの好物とのことでありその内訳は以下の通り。
- きのこのオニオンスープ
- ゴマ風味の海鮮サラダ
- ヤマト家直伝だし巻き玉子
- 黒まめ
- ローストビーフわさびソース
- かぼちゃレンコンの煮物
- ロールキャベツ
- 100%ビーフのグリルハンバーグきのこソース(右側)
- コロッケ(やまもり)
- えびフライ
- ポテトフライ
……到底2人で食べるボリュームではない。あと揚げ物が多い。
「ヤマト家直伝だし巻き玉子」と「ロールキャベツ」が含まれている、ちょこちょこキノコが入っているのも色々な想像を働かせてくれる。
尚、翌日のピクニックのお弁当は、この時の食べ切れなかった残りを流用したものだそうである。
しかも少し前のジャガンナートの高圧的な態度を夕飯に何を作るか考えてスルーしていた事も同時に判明、
これらの設定開示のお陰で嫌な事があるとキラに凄まじい量の揚げ物を食わせるラクス、そのお陰で胃もたれを起こしたりシンや周囲の人にお裾分けするキラ、喜んで食いまくるシンという新たなネタが生まれる事となった。
公開後はプロモーションの一環として、『水星の魔女』でもあった全国各地を巡る
『日本全国SEEDFREEDOM行きます』が行われた。
やはり
真面目にやっているだけなのに変な面白さが滲み出るアスラン、
「視察」という名目のはずなのに完全に沖縄旅行を満喫しているイザーク&ディアッカ、
クラーク像の前で同じポーズを取っているアウラと手元の資料にある「INVOKE-インヴォーク-」でアスランがしていたポーズを見比べるオルフェ、
「それアリなの!?」と思わずにはいられない秋田編、
スパロボUXプレイヤーをニヤリとさせる広島編、
令和にディアミリを公式供給した長崎編など、
(おそらくは)本編とは別時空なのを良いことにかなりのやりたい放題空間となっている。
『SEED』の最初の特集を組んだ時、『SEED』映画化決定を報じた時、そして『SEED FREEDOM』公開直後の24年3月号、
月刊ニュータイプのそれぞれの表紙は全て同じ構図になっている。
本作のプロモーションとして、無印及びDESTINYの内容をそれぞれ30分程度にまとめた「スペシャルダイジェスト」動画が配信されている。ナレーターはSEEDシリーズの功労者である西川貴教氏である。
SEEDシリーズの要点はしっかりまとめられているものの、
前例に違わずネタ要素も満載。
特に自分の演じたキャラが散っていく様子をノリノリで実況したり、キラとフレイの情事でしどろもどろになったりする兄貴は必見である。
さらに、アニメ本編だけでは分かり辛い世界観設定の補足動画も上げられているが、こちらは
「信じるか信じないかは『あなた"SEEDaい"です』」と銘打ち、
「やりすぎ都市伝説」でお馴染みの
関暁夫がC.E.世界の怪しい噂を聞かせる体裁となっている。特にキラの過去を掘り下げた第3回に至っては、サムネをよくある解説動画のそれに似せてくる徹底ぶりである。
お祝いミニムービーといいSEEDFREEDOM行きますといい、公式がフリーダムすぎる。
ちなみに第1回の動画は2023年末にYouTubeのガンダムチャンネルで生配信された「ガンチャンNEW YEAR'S EVE 2023」内で先行配信され、加えて一緒に配信された「ガンダムシリーズ ゆく年くる年2023」では「水星の魔女」の
スレッタ・マーキュリーと
ミオリネ・レンブランがキラと共演を果たしている。
さらにさらに、映画公開後には冒頭6分(丁度『FREEDOM』が使われている部分)のYoutubeでの無料公開も行われた。
本作における様々な設定の開示、特にTVシリーズと比べてチートがかった強さのメカ描写(特に終盤に出てくるあの機体)もあり、「
どこかであのジャンク屋が関わっているのでは?」と考察するファンも見られており、結果として「言われるほどやりたい放題でも無かったのかもしれない」と『ASTRAY』シリーズへの再評価意見も見られるようになっている。
もっとも、映像の演出という面では20年の歳月を経てガンダムシリーズでも着実にチートロボ化……もとい演出のインフレーションが進んでおり、特にそういう印象の強い後半部分は比較的近年になって製作されているため単純に時代の流れによるものとも考えられなくはない。
本作以前に『SEED DESTINY』後のコズミック・イラを描いた作品として『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 天空の皇女』が存在するが、ガンダムエース2024年3月号の読み切りではロウたちが「天空の皇女」までの登場人物をおさらいしつつTV中継ではエルドアの戦いを取材していたジェスが核爆発に巻き込まれかけた描写があったため「天空の皇女」直後の話となっている。
上記の通り本作の制作を誰よりも心待ちにしていたであろう西川氏だが、スケジュールの都合か前2作とは異なり、残念ながら今作で声優として参加することは叶わなかった。その分スペシャルダイジェストではっちゃけてるので、みんなで見よう。
本作のテーマが「愛」な事は生前の両澤氏が残したプロットの時点で決まっていた事だが、本作の後半の脚本を担当した後藤氏が手掛けたノベル版『SEED』4巻(劇場版製作決定の3年前!)でフリーダムで帰還したキラとサイが本音をぶつけ合った場面にて、
人の価値など付けようがない。誰が死んでも誰かが悲しむし、それは美しいからでも頭がいいからでもなく、その人がその人だから。(要約)との一節がある。
これは本作の終盤でキラとラクスが語った話とほぼ同じであり、何等かの繋がりかセルフオマージュな可能性が考えられる。
ガンプラはHGCEとRGで商品化が進行。主要機体がMSが多かったのもあってか多数の新登場MSの商品化が決定し第62回全日本模型ホビーショーで公開されたソードインパルスSpecⅡを以て登場ネームド機全てのキット化が実現した。
また映画に登場した機体ということでデストロイやストライクルージュ、アカツキなどの前作登場機体も次々にキット化している。
本作の公開により、
『ガンダムビルドファイターズ』の設定や描写にも新たな想像や考察の余地が生まれている。
ビルドファイターズの時代設定は公式では「近未来」としか語られていないが、視聴者間では2030年代と推定されており、すると中学一年生である
イオリ・セイの生年は10年代末ということになる。
よってセイが物心ついて最初に触れるガンダムは2023年公開の『
水星の魔女』(推定年齢「幼稚園年長~小学校低学年」相当)になる可能性が高いのだが、「何故最も世代の近い作品を差し置いてまで生まれる10年以上前の作品の主役機を愛機にしたのか?」という疑問に対し、
「当時は『水星の魔女』の製作前である」「ストライクは商品やシナリオの展開と相性が良い」という製作上の都合を別として、
本作がその回答と成り得ることがネタ・ガチ、両面で話題になった。
というのも、セイの父が
第2回世界大会で準優勝したのは本編の5年前(2025年頃?)と思われるので、
「父の影響でガンダムに興味を持ち始めたと推定できる時期」と『SEED FREEDOM』の公開(及び大ブームとなった)時期が非常に近いのである。
しかも仮にセイが本作に多大な影響を受けていると仮定した場合、ストライクが愛機なことに加えて
ビルドバーニングをドムの中に隠したのも本作から着想を得たと考えれば納得できるとの声も上がっている。
ついでに、セイ以外のキャラについても、サザキが「バルカンを装備したギャンを製作した理由」「メイジンカワグチが『サングラスにロングコートという出で立ち』だったり、『アメイジングズゴック』と題した赤ズゴックや『バラエーナに相当するビーム砲を追加装備したストフリベースのガンプラ』を製作した理由」まで本作の影響だとすれば辻褄が合うとの意見も。
『ビルドファイターズ』公開から10年後、まさか現実の方がこんな形で追い付いて来るとは誰が想像しただろうか……。
追記・修正が必要だから愛するのではありません!
愛しているから追記・修正が必要なのです!
僕は自分の手で、追記・修正を選ぶ!
- ↑やるだろうなとは思ってたの俺だけではないはず -- (名無しさん) 2024-11-01 20:54:27
- ↑1,2 小説版FREEDOMみたいに、えげつない迄の『答え合わせ』が有るかもしれんのか… -- (名無しさん) 2024-11-01 23:43:33
- FREEDOM ZEROで西川ボイスのキャラが出てくれるのかが気になる -- (名無しさん) 2024-11-02 00:20:23
- 今気づいたんだけど新作のZEROを上映するという事はニコルの死亡回数がまた増えるという事では? -- (名無しさん) 2024-11-07 08:26:44
- ↑戦争屋「そうよ、そのまさかよ!(まだ不明です)」 -- (名無しさん) 2024-11-09 20:14:27
- 第1弾のエピローグカットでラクスいわく「カガリとアスランが関係国を上手くまとめたりコノエ艦長とハインラインが策を練ってる」とのことなので領海侵犯とアコードの件が解決したら2人とも復帰するんじゃないかな。監督も2人の復帰についてツイートしてたし -- (名無しさん) 2024-11-10 01:14:45
- ZEROは将来別記事として作ったほうがいいでしょうか? -- (名無しさん) 2024-11-10 01:37:39
- 再編集上映組で続編が決まってないのこれでゲ謎だけ? -- (名無しさん) 2024-11-10 07:50:17
- ↑3 個人的な意見だが、アウラ一味の所為で二人の潰し方が地球圏全土に知れ渡っているから、外伝のジャンク屋組合の様に弱体化させられた上で…ということになりそうな感じがする。 -- (名無しさん) 2024-11-10 08:32:20
- クライン派大勝利エンドじゃねーかコレ -- (名無しさん) 2024-11-10 08:47:13
- ストフリがどういう経緯で強奪されるか明らかになるZEROで他に明らかになるか個人的に気になるのは、シンとカガリの明確な和解やガイアガンダムの所在やまたやりそうなニコルの死亡シーンくらいかな。またメンデルのなんやかんやが描かれたらいよいよメンデルの項目が作成されそう -- (名無しさん) 2024-11-10 08:48:07
- 最期を看取るつもりで映画館に行ったらお祭りと同窓会と結婚式だったな。キラとラクスは結ばれてアスランやシンたち主要キャラも無事に生還して大団円で清々しい気持ちになれた -- (名無しさん) 2024-11-10 09:29:39
- デスティニー好きだから、あの終盤の活躍は最高だった。 -- (名無しさん) 2024-11-24 15:19:44
- シンエヴァくらいシリーズの総決算みたいな感じがめっちゃ良かった。室井さんの映画といい最近はこういうのが多い。。 -- (名無しさん) 2024-12-11 23:47:55
- ネット流行語大賞一位受賞おめでとう!今年はSEEDの年になりましたねぇ。 -- (名無しさん) 2024-12-19 12:18:04
- アマプラで配信してた劇場版が特別版仕様に変更になったんだな -- (名無しさん) 2024-12-28 09:53:00
- SEEDではオセッセシーンまであってOPで飽きる位裸シーンがあるのにあの程度で破廉恥と形容するのが面白いよね -- (名無しさん) 2024-12-28 17:22:53
- 現実だって多くの人がえっちしてるけど街中にちょっと色気のあるポスター貼ってあるとハレンチだって騒ぐ人いるじゃん -- (名無しさん) 2024-12-28 23:27:35
- キャバリアーって戦術戦略情報統合指揮管制機という名称なんだな -- (名無しさん) 2025-01-05 15:58:34
- TSUTAYAでレンタルしてないだと! -- (名無しさん) 2025-01-13 13:24:46
- レイの子供時代の隔離施設とか見るにコロニーメンデル壊滅後もフツーにクローンの密売に手を染めてんだよなメンデル閥…こんな連中が国とか作って、そいつらの思想に染まったアコードがああなるのも納得 -- (名無しさん) 2025-01-18 11:21:01
- 日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞おめでとう! -- (名無しさん) 2025-01-22 08:26:19
- 今更だが本作が上映してから1年が経過したのか。時の流れは早いな。 -- (名無しさん) 2025-01-28 09:09:54
- ↑本当に今さら観ましたけどやっぱり面白かったです。キラとラクスの心の繋がりとキャラ全般に見せ場があって良かった(キラに懐いてるシンの活躍が特に)。あとアスランが一番《自由》だと思いました....。 -- (名無しさん) 2025-01-29 18:42:09
- ライジングフリーダムとイモータルジャスティスは別記事があるので、こちらでの詳細を除去しました。 -- (名無しさん) 2025-02-14 00:17:28
- 登場人物欄でネタバレ隠ししてるのにあらすじでミケール捕獲作戦の詳細を堂々とネタバレしてるのはどうなの -- (名無しさん) 2025-02-14 00:41:06
- ↑ネタバレ禁止は公開から一週間なのでルール的には問題ない -- (名無しさん) 2025-02-14 16:45:43
- ジム「またしても出られなかった」ゴッグ「後輩がいい役もらったから、まあいいか」 -- (名無しさん) 2025-04-21 20:50:38
- ミケール大佐見てるとブルーコスモスの歴代盟主たちは人格と精神は終ってるくせに軍事面だけ見れば有能と言える人材ばかりそろってて頭痛い。ジブリですら軍事的成果に関しては大黒星上げてるという -- (名無しさん) 2025-04-21 21:01:29
- ↑金星でしたすまん盟主… -- (意味は通じそうだけど) 2025-04-21 21:08:24
最終更新:2025年04月21日 20:18