切法師

登録日:2012/01/07 Sat 23:04:01
更新日:2021/05/01 Sat 22:23:48
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我が名は倫太郎…

切法師、鼓倫太郎なり!


『切法師』とは、週刊少年ジャンプで連載されていた漫画である。
全18話で、単行本全2巻。
一度「金未来杯」にて、本編と殆ど内容は変わらない読切版が掲載されているが、そちらは単行本未収録。
作者はVジャンプでエレメントハンターやデジモンクロスウォーズのコミカライズを行っている、中島諭宇樹氏。
因みに、同期はタカヤとカイン。

戦国時代を舞台としているが、別に武将が出てくるわけでなく、人や獣に取り付いて化け物にする「業煤徒(ゴウスト)」と、それを使役して歴史の裏に暗躍する「魁鬼連(かいきれん)」を相手に、若き切法師「鼓倫太郎」が戦う姿を描いた作品である。

残念ながら18話にて「俺達の戦いはこれからだ!」エンドの打ち切りにあっているが、西洋風のモンスターを和風にアレンジした鬼の存在や、非常によく練られた設定は一見の価値がある。


【あらすじ】

むかし むかし…

まだこの国が「日本」と呼ばれておらず
各地の大名が天下の覇権をかけて相争っていた時代…

まだこの国に沢山の妖怪
天狗 河童 もの言う獣達が息づいていた時代…

人々は「鬼」と呼ばれる怪物達に脅かされていた


【登場人物】

○鼓倫太郎(つつみ りんたろう)
この物語の主人公で、切法師として業煤徒と戦う少年。
幼い頃は切法師のカッコよさにばかり憧れていたが、育ての親であり、師匠でもある「生駒狛一郎」の腕を奪ってしまったことにより、師匠の分まで戦う事を決意し、真剣に切法師を志すようになる。
体格は少年相応のものであるが、人並み外れた馬鹿力と山猿のような身軽さを持つ。
また、かなりの大食らいでもある。
切法師としての資質は非常に高く、並の切法師以上の法術を扱え、本来戦闘向きではない法術さえも工夫によって戦いに生かしている。
槍のような錫杖「如是我聞(にょぜがもん)」と、鬼を切り裂く切鬼剣「心霊魔破剣」、それに様々な法術を組み合わせて戦う。
性格は非常にまっすぐでお人好し、困っている物を放っておけないが、まだまだ精神的に幼く、感情に振り回されたり切法師としての自分のあり方に悩む部分も多く見られる。

○生駒狛一郎(いこま こまいちろう)
倫太郎の育ての親であり、その実の両親の師匠でもある。
非常に優れた切法師ではあるが、一話にて倫太郎を業煤徒から救う為、腕を失う。
このせいで某赤毛の海賊と被りすぎてしまう。

○命(みこと)
倫太郎の血の繋がらない姉。
血 の 繋 が ら な い 姉。(大事な事なので二回言いました)
彼女も切法師ではあるが、生まれつき視力が弱いらしく、倫太郎のように旅には出ていない。
倫太郎的にはまっ平ららしいが、よく見るとそうでもn(ry

○繭(まゆ)
倫太郎が鱗谷村で出会った幼女。
幼いが気丈な性格で、弟や他の子供達を引っ張る存在である。
膿泥児に捧げる生贄と決まってもその態度は崩さなかったが、倫太郎とのふれあいによって、本音を吐露する。
倫太郎には亡くなった兄の面影を重ねていたらしいが、別れの際には頬にキスまでした。


【登場する鬼】

○瘤狸(コブリ)
カエルに憑依した鬼。
ミコトを丸呑みした、けしからん奴。

○陰夫(インプ)
ネズミに憑依した鬼。
物をかじるのが好き。

○跨吠人(コボエド)
オオカミに憑依した鬼で、陰夫を従えている。
牙や爪の他、名前の通り、吠える事を得意とする。

○軽邏(ガルラ)
足軽に憑依した鬼。
連携が得意で、倫太郎にジェットストリームアタックを仕掛けた。

○剣頭吏(ケントウリ)
武者と騎馬の2体に憑依した、ケンタウロスのような鬼。
攻撃・防御・速さの全てに優れており、法術まで操る強敵。
また、ロボっぽい言葉を話すこともできる。

○膿泥児(ウンデイゴ)
山猿に憑依した鬼。
素早い動きと長い爪、大地に関わる法術を操る。

○覇奴万(ハヌマン)
「膿泥児」一族の母にして長。
母として膿泥児達を導き、戦士として倫太郎を追い詰めた、この漫画のラスボス
千年前の切法師と鬼の大戦では、鬼の王の片腕として戦った。
膿泥児の何倍もの巨体を誇るが、それに見合わぬ素早さと技を併せ持つ。
なお、覇奴万は種族名ではなく固有名詞であり、時を重ねて強大な力を持った彼女に対する尊号。

○長轡三毛右衛門(ながぐつ みけえもん)
魁鬼連の使いとして現れた「結党使(ケットウシ)」
見た目は長靴をはいた猫。
子猫の頃に烏枢沙摩に救われて以来、彼に仕えている。
ミケと呼ばれると怒る。
栗一(クリピン)の堡治左衛門(ぽちざえもん)というペットに乗ってあちこち飛び回っている。

○烏枢沙摩明王(ウスサマミョウオウ)
魁鬼連の長にして、現代の鬼の首領。
滅びたはずの鬼の王族の血を継いでいる。
キクリ婆に育てられた為か、大地の法術を操る事に長けているようだが、その実力は未知数。
元ネタはトイレの神様。

○キクリ婆
烏枢沙摩を育てた桐練人(トウレンド)の老人。
樹で作った式神、呉隷武(ゴレイム)を使役する。

○燻手(イブリデ)
魁鬼連の幹部。
生物ではなく、自然現象(恐らく炎)に憑依している、上位の鬼。

○春霧(ハルキリ)
魁鬼連の幹部。
燻手と同じく、自然現象(多分風)に憑依している。
エロい。


【用語】

○切法師
鬼を滅ぼす力を持った法師。
基本的には陰陽連という組織に属しており、各地の鬼を倒している。
元々は「七刀法師」という名であり、最初に鬼の王を倒した者の名前であった。

○魔奈(マナ)
火や水など法術を操るために必要なエネルギーのようなもの。
要するに魔法の属性みたいなもの。

○業煤徒
黒いモヤのような存在で、取りついたものの肉体を奪い、鬼に変貌させる。
これを倒せるのは切法師の切鬼剣のみである。

○鬼
業煤徒に取り付かれた生命体。
取りつく前より遥かに強力になっている上に、仮に鬼を倒せても業煤徒は一般人には切れない為、切法師以外では勝ち目はない。
人を食らう事で生きているが、人を襲わず植物や動物しか食べないでいると、知恵や能力は衰えていく。

○啓発紋
倫太郎の額にある紋章。
普段は鉢巻きで封じているが、鉢巻きを解いて力を解放することで、大気中に存在する魔奈を吸収し、倫太郎が得意とする火属性以外の高度な法術を自在に操れるようになる。

千年前の大戦で鬼の王を討った切法師も同じ紋章を持っており、七つの魔奈の力を持った七刀の力を結集できる存在らしいが、実際に結集した時に何が起こるのか、今となっては知る者はいない。


【余談】

○作者のその後の作品に受け継がれた設定
2巻に、「作者としてはいろいろ先の展開も考えていたので余ったページで(未練がましくも)ちょっと紹介しようと思います」というコーナー、つまり「打ち切られなければ出す予定だったキャラや設定」を載せるコーナーがあり。そのキャラ達の一人に「天瀬(あませ)」というキャラがいる。
後にドラゴンクエスト 蒼天のソウラに「アマセ」というキャラが登場し、服装や武器が殆ど全く同じ(頭身や顔つきは若干変わっている)。
また、「瞬華(しゅんか)」という万輩亜(バンパイア)の剣士は、同じく蒼天のソウラの「かげろう」という女剣士の操る高速剣術の名前として利用されている。
理想の切られ死に方を求めるという生き方も、戦闘狂のかげろうに受け継がれているようだ。

「いつか他の漫画で活躍させられるといいなあ…」「残念ながら仲間が登場する前に話が終わっちゃいましたが… いつかこの連載の経験を活かして次回以降の漫画で… 彼らの遺伝子を受け継いだキャラクターを活躍させることができればと思います」とのことだが、その願いはちゃんと現実になっている。


追記・修正は単行本を揃えてからお願いします。

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最終更新:2021年05月01日 22:23