マーベラー/レオパルドン

登録日: 2011/12/18 Sun 10:23:42
更新日:2024/01/08 Mon 16:45:22
所要時間:約 4 分で読めます






マーベラー!

マーベラー、チェンジ・レオパルドン!


マーベラー及びレオパルドンとは、『スパイダーマン(東映版)』に登場する巨大戦艦及びそれが変形した巨大ロボットのことである。
決してビッグボディチーム次峰ではない。あちらは瞬殺される側である。


マーベラー


全長:48m
重量:25000t
飛行速度:マッハ15
動力:スパニウム
武装:マーベラーカノン


スパイダー星で建造された宇宙戦艦。
元々スパイダー星の王子であるガリアの操る宇宙戦艦だったが、400年前にガリアがスパイダー星を滅ぼしたモンスター教授を地球で追い詰めた際に、罠にはまって洞窟に閉じ込められた為に宇宙へ逃がされていた。
しかし現代、ガリアのテレパシーを受け取れるただ一人の人物、すなわちスパイダーマンになれるただ一人の人物=山城拓也が現れたことで地球に呼び戻された。

レオパルド()とスフィンクスがモチーフであり、頭の部分は艦橋となっている。
また、艦橋後部にはスパイダーマシンGP-7を搭載していて、GP-7はスパイダーマンがマーベラーに搭乗する為の連絡挺としての役割を持つ。

普段は地底で待機しているが、スパイダーマンの呼びかけに応じて地割れを起こして発進する。

大気圏内をマッハ15、宇宙空間を光速に近いスピードで飛行することが可能。

殆どすぐにレオパルドンに変形してしまうのであまり使用されることはないものの、主砲マーベラーカノンの威力は凄まじく、魔女猿などレオパルドンに変形することなく倒されたマシーンベムも存在する。




レオパルドン


全長:60m
重量:25000t
飛行速度:マッハ5
走行速度:時速50km


マーベラーが変形した巨大ロボット。
スパイダーマンの操作により空中で変形を行い、変形が完了すると降下して大地に降り立って巨大化したマシーンベムとの一方的な戦闘を展開する。

ちなみにデザインを手掛けた村上克司氏によれば、名前の元ネタはドイツの戦車「レオパルド」に由来するという。



主な武器


◆ソードビッカー
情け無用の(文字通り)必殺武器。これさえあればぶっちゃけ勝てる。
右足に内蔵された剣で、これを投擲してマシーンベムに止めを刺すレオパルドン最強の必殺武器である。
下記の事情により剣を抜いてから速攻で投げる為、普通の剣として使ったことはない。
クロスオーバー並びに海外展開にあわせ、カタカナ語の設定しかなかったソードビッカーに英文のスペルとして「Sword Vigor」(ソードビガー ないしソードヴィガー)という
設定が加わった。 Vigorとは勢い・活力・あるいは力といった強く激しいさまを意味し、カタカナの音と近いスペルから美しい意味づけがされている。

◆アームロケット
普通のロケットパンチ。瞬殺出来ないのであまり使わない。
2015年、スパイダーバース客演時に強化スーツ着用のヴィランとはいえ生身の人間相手にまさかの使用。
搭乗者がなくともやはり情け無用の男であった。
後にスパイダーゲドンでも巨大モンスター相手に拓也が使用を試みたが、居合わせたスーペリア・スパイダーマンが
「そんな小技で時間稼ぎしてないでさっさとソードビッカー使って倒せ 戦いが長引いても何も良いことはない」と様式美への理解がまったく無いプラグマティズム溢れる発言を行い、
あわれアームロケットの出番は露と消えた。許せぬ!


◆アークターン
角飾りをブーメランのように飛ばす技。その際にブーメランが発光するのが特徴的。
玩具で無くす子供多数。


◆レオパルドンストリングス
胸部から発射する分銅付きのロープ。


◆スパイダープロテクター
蜘蛛の巣を模した。これを装備したスチールは存在するが劇中未使用……というか、盾を使う必要性が無い。
両脛のエネルギーパネルを合体させて使うらしい。




特撮史上最強秒殺ロボット伝説


ところでこのレオパルドン、劇中では鉄十字団が可哀想になる程の無双っぷりを披露してくれる。
最後の敵であるビッグモンスターでさえも為す術なくいつものバンクで倒されたのだから大したものである。

変形してから勝利までの時間は長くて1分30秒程度、最短で9秒50しかかからなかったことさえある。
遂にはDVD-BOXの公式サイトで東映直々に“特撮史上最強秒殺ロボット”の称号まで得てしまった。


実のところ当時はまだ特撮用の巨大ロボットはノウハウ的にはまだ未完成であり、撮影用のスーツは高下駄の為にマシーンベムのスーツに比べて大きくなり過ぎた上にスーツの構造上アクションもままならなかった。第4話のように物語初期こそ格闘戦などがあったものの、スケールが統一されておらずマシーンベムの方が背が低いなど出来栄えはよろしくない。次第に、マシーンベムとのプロレス的な取っ組み合いが避けられるようになり、離れた場所からたちんぼで攻撃する単調な映像が中心となった。このことがレオパルドンがあまり苦戦せずに勝利するようなイメージにつながっていく。

そのうえ、レオパルドンの撮影用スーツの劣化や盗難のせいで、番組中盤に差し掛かる頃にはレオパルドンが活躍するシーンの撮影自体が困難となってしまう。そこで制作側はドラマパートの尺を長くとってロボット戦のパートはバンク映像のみで乗り切るという思い切った手法を取るようになった。

つまり、マーベラーからレオパルドンへと変形するシーンとソードビッカーを投げるシーンだけが毎週使いまわされ、ソードビッカーが投げられる場面が映れば直後にマシーンベムは爆発して死ぬ。そういう話しか毎週作れなくなってしまったのだ。

これが最強伝説の理由である。



誕生の経緯と後の作品への影響

レオパルドンは、日本で『スパイダーマン』を放送するにあたり、日本でヒットさせる為の独自の要素として玩具デザインを担当していた村上克司氏と、東映のゼネラルプロデューサーの渡邊亮徳氏によって設定されたものである。

このことに関してマーベルコミックス側も商業的に成功させる為に必要なガジェットとして理解を示している。
日本版を絶賛していた原作者スタン・リー氏はレオパルドンに関してだけ否定的なコメントをしている…。


かと思いきや「とても格好いいロボットだった」と発言していた。


なお、前年の『大鉄人17』には劣るものの、DX超合金レオパルドンをはじめとする玩具は当時史上空前と言われる程の大ヒットを記録し、番組の人気を一手に受けるまでになった。

この成功を受け、マーベルコミックスとの提携作品第2号『バトルフィーバーJ』で設定されたのがバトルフィーバーロボという訳で、
その後もこのヒーロー路線がスーパー戦隊シリーズとして存続するにあたって巨大ロボットは主力商品となり、シリーズを支えていくこととなる事を考えると、レオパルドンはスーパー戦隊ロボの先祖と言える存在であろう。




スパイダーバースへの客演

2014年末からマーベルコミックスでスパイダーマンの一大イベント「スパイダーバース」が開始された。
生命エネルギーを食らうヴィラン「ソラス」とその一族「インヘリターズ」が蜘蛛の神の化身であるスパイダーマンを食らおうとあらゆる平行世界のスパイダーマンに襲撃をしかける。
それに対抗する為にスパイダーマン達も集結。

しかしその戦いの中でインヘリターズの長・ソラスの前に最強クラスのスパイダーマンであるキャプテンユニバース・スパイダーマンが破れ、
彼の力であるコズミックパワー*1を吸収されてしまう。
その力は凄まじく、このままでは全滅必至となったスパイダーマン軍団。
そんな絶体絶命の窮地に追い込まれたスパイダー軍団を助ける為、東映版スパイダーマンがレオパルドンに乗って駆け付けたのである!
ちなみに東映版スパイダーマンの代名詞であるあの決めポーズを取った上に名乗り口上も言ってくれた。実に分かっていると言わざるを得ない。
しかも名乗り口上については日本語からわざわざ英語に翻訳している愛に溢れたものとなっている。
さらに邦訳版では口上のシメの「スパイダーマン!」のンを小さいフォントにして一見「スパイダーマッ!」と誤認させるような書き方をしているほか
レオパルドンと対峙するソラスが「誰だ、お前は…」*2と問いかけるなど翻訳者のサービスが光る。

宇宙塩めいたエニグマ・フォースを存分に振るうソラスの前に必殺のソードビッカーを出す前に片腕を捥がれ「玩具」と罵られ破壊されてしまうも、ソラスもまた手にしたばかりのエニグマ・フォースを全放出・喪失してしまい追撃を断念。脱出装置で難を逃れた拓也もふくめスパイダー軍団は辛くも次元ポータルへのがれた*3
宇宙を律する神にも等しい力を持っていたソラスと戦い戦闘目的を果たすというこの行いがどのくらい凄い事なのかと言うと、マーベル主要ヒーロー達が力を結集し全力で挑んでもまともな手段じゃ勝てない相手に、レオパルドンは単機で挑んだ上に引き分けに等しい勝負を演じたのである*4
まさに無敵のロボにふさわしい大金星を公式で挙げたと言えるだろう。許せる!*5

スパイダー軍団離散後は戦場に撃ち捨てられていたレオパルドンだが、そこに遅参したスパイダーマン2099*6とレディ・スパイダー*7がこれを発見。
レディ・スパイダーの世界に飛んで応急修理を行うとともに、対インヘリターズ用の特効兵器として放射線装置を搭載された*8
なお、起動したついでに修理工場へ侵入してきた当時のヴィラン達をアームロケットで一撃KOしている。

最終決戦においてはスパイダーマン(ベン・ライリー)*9の死因となったインヘリターズ三男・ジェニクスとの戦闘に乱入。
ジェニクスを握り潰して拘束した*10

その後は拓也ともども故郷であるアース51788へ帰還した模様。

登場コマ数は決して多くないが、スパイダー軍団からは終始奥の手・秘密兵器として扱われており、
ソラスとの戦いでこれを失った際はリーダーであるピーターに非難の声も上がった*11
拓也はちょっと空気だが、米国外の作品から来たキャラの起用という前提を思えば大大健闘である。

アニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』には東映版スパイダーマンは参戦していないが、主人公マイルス・モラレスの描いた絵としてレオパルドンが登場している。


なお、スパイダーバースの続編となる「スパイダーゲドン」ではソードビッカーの瞬殺ネタに関してマーベル側が独自の解釈で設定をしており…

「剣にコズミックエネルギーが蓄えられており、抜刀と同時に特殊なフィールドが発生。敵を完全に束縛し、確実に命中させる。そして剣に触れた相手はどんな存在であろうが例外なく確実に死ぬ」

というトンデモない設定となってしまった。
コズミックパワーを使用した兵器はマーヴル世界でも片手で数える程度しかなく(大抵は知的生命体に宿る)、希少度でいえばギャラクタスの持つアルティメット・ヌリファーに匹敵する大業物となったため、とうとうスパイダーゲドンの広告に『スパイダーアーミー勝利の鍵とは...あの大剣!?』とまで書かれる始末。
結果、ソードビッカーはもはや因果兵器とも言える域に突入してしまった…
なお、そんな技を毎週ぶち込まれてた気の毒な悪の組織があった模様*12

またソードビッカーのTCGの特殊勝利めいた成立条件が現代風に肉付けされ、①:「ソードビッカー!」と詠唱を行う ②刀身を投擲する*13 ③悪は滅ぶ という効果に対してダダ甘い2アクションが必要と定義されると共に、一応の弱点として発動後はコズミックパワーの充填を待つためのクールタイムが必要という設定が加わった。(多分一週間に一回くらいのペースで発動できるのだろう)
もちろんこれらのギミックは東映版スパイダーマン41話の中で繰り返された演出が元。

ここでスパイダーバース冒頭の対ソラス戦を思い返してみよう。
腕がもがれたカットにおいて拓也は既に抜刀と詠唱までは完了した状態であり、
上体を反らせたレオパルドンの体勢はまさに投擲シーケンスに入ろうとしているようにも見える。
日本語版冊子に書かれたように、あと一瞬何かが違っていればソラスはマシーンデブのように討ち取られ、物語は特殊エンディングに突入し早々に終了していたのだ。





追記・修正は、ソードビッカーでマシーンベムにトドメを刺してからお願いします。



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最終更新:2024年01月08日 16:45

*1 テッカーメンとかシルバーサーフィンとかが使っている、宇宙の生命力そのもの的ななにか。キャプテンユニバースが使用していたのはその一つであるエニグマ・フォースというエネルギー。人類守護のためにどこからともなくあらわれる、エネルギー自体がスーパーヒーロー的なもの。

*2 東映版第一話におけるアマゾネスの台詞のオマージュである。

*3 邦訳版付録の小冊子ではこのときソラスがエニグマ・フォースで強化されていなければそのままソードビッカーが炸裂し、物語は早々に終結したかもしれないとまで書かれている。…実際にはこの時点のインヘリターズはいわゆる無限残機状態となっているので倒せたとしてもまた次々と復活してくるのだが。

*4 コズミックパワーおよびそれに迫る能力者との戦いにおいて、主な戦術は身内の泣き落とし・当人の武器を強奪しての脅迫・ゾンビなどである。

*5 ここでソラスのエニグマ・フォースを奪ったことが後々怒りに燃えるスカーレット・スパイダー(二代目)が本拠地に特攻をしかけてソラスを討ち取る流れに繋がっていったと見れば、なお意義深い一戦であったともいえる。

*6 名前の通り2099年の未来人、ミゲル・オハラ。未来の巨大企業に勤務していた遺伝子科学者。

*7 スチームパンク的異世界のメイおばさん。貴族令嬢だが科学・工学を学びヴィジランテ活動を行う。

*8 つまり、レオパルドンは修理可能なレベルのダメージで済んでいたわけである。

*9 ピーター・パーカーのクローンの一人でスカーレット・スパイダーと名乗っていたが、のちにスパイダーマンを襲名……したが、大人の事情で再びピーターがスパイダーマンに。前述した2代目スカーレット・スパイダーはベンの兄貴分であるケイン。こちらもピーターのクローンである。

*10 ピーター・パーカーの意向により、スパイダー軍団は基本的に不殺を貫いている。基本的には。

*11 ただし、非難したスーペリア・スパイダーマンはヴィランのDrオクトパスがピーターの肉体を奪った存在であり、ピーターに対して最初からあたりが強かった事は念頭に置く必要がある。

*12 まあ日本の特撮史の中でもわりと上位に入るド外道集団だったので自業自得と言えば自業自得だが

*13 作中の描写を見るかぎり1,2ともに実行者は拓也でなくてもよいようだが、何らかの可否チェックがなされている可能性は高い