仮面ライダーZO

登録日:2010/07/06 Tue 00:54:56
更新日:2025/02/10 Mon 23:19:57
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変身!!


不滅のヒーロー!!



『仮面ライダーZO』とは、1993年に劇場公開された仮面ライダー20周年記念作品。東映とバンダイが連携して製作した初の作品でもある。
公開時期は平成であったが平成ライダーにも昭和ライダーにも含まれず、『真』『J』と共にネオライダーと呼ばれることが多い。


【概要】

1992年発売のオリジナルビデオ『真・仮面ライダー 序章』の売り上げが好調だった事を受けて映画作品として制作される運びとなった経緯があり、
企画当初の段階では仮面ライダーシンがスーツを装着する『真』の続編や、仮面ライダー1号仮面ライダーBLACK RXまでの歴代昭和ライダー集合作品という案もあったが、最終的にはどちらとも異なる新作という形になったという。
主人公であるZOのデザインは『真』からの生物的なラインを踏襲しているが、より洗練されたヒロイックなものとなっている。
また、主人公が本郷猛をモデルにしているのと、「ブレイクトゥーサー」という同名の牙があるのは『真』の続編案の名残とも言える。

ZOの名前は20周年の20とかけてあり、その意味は「究極(Z)にして原点(0)」ということ。

ちなみに石ノ森章太郎が考えた初期プロットは「天空の騎士」という宇宙から来た仮面ライダー、また監督の雨宮慶太は本郷猛が宇宙人によって再改造されるというぶっ飛んだものだったらしい。

マフラーとベルトを装備したZOが登場する続編も構想されていたが実現されず、翌年に『仮面ライダーJ』が誕生することになる。
DVDには雨宮が描いたイメージイラストが収録されている。

仮面ライダーファンで知られる炎の漫画家・島本和彦が描いたコミカライズも存在するが、一部の設定と作品の雰囲気が異なる。
具体的に言うと島本作品らしいギャグ描写が多いのと、それと反比例するかのように勝の不幸さが増している。
単行本は『仮面ライダーBLACK PartX イミテーション・7』と同時収録されており、あちらは超絶ドシリアスでダーク。

てれびくんで連載された青木たかお版はなんと終盤に先輩ライダーとしてRXが参戦し、ZOと協力して復活したジャーク将軍と戦う。
残念ながらこちらはコミックスにはなっていない。

小学館スーパークエスト文庫から刊行されたノベライズ版『仮面ライダーZO 闇の少年』(著:射口巌)も存在。
劇場映画の尺では描き切れなかった本編補完(特にサブタイトルが指しているドラス周りの描写)に力が入った内容となっている。


【あらすじ】

遺伝子工学の権威、望月敏郎博士が作り出した不死身のネオ生命体ドラスはある理由から博士の息子の宏を誘拐しようとする。
時を同じくして望月博士にバッタの遺伝子を組み込まれ改造人間にされた麻生勝は謎の声により長い眠りから覚め、宏を守るためにドラスと戦う。


【登場人物】

麻生勝/仮面ライダーZO
演:土門廣
主人公。革ジャンとジーンズが似合う好青年で、元望月博士の助手。
実験の狂気に取り憑かれた望月博士により改造人間にされ逃亡するも落雷に遭い、4年間眠り続けていた。
しかし、謎の声により長い眠りから目覚め、「仮面ライダーZO」として、宏を誘拐しようとするドラスと戦う。
  • Zブリンガー
  バッタを模したZOのバイク。勝の愛車であるスズキ・バンディット400から変形する。

●望月宏
演:柴田翔平
望月博士の一人息子で、ドラスを倒す鍵を握る中心人物。
人質としてドラスに誘拐されそうになるも、ZOもとい麻生勝に助けられる。

●望月敏郎
演:ささきいさお
この物語の元凶。臨床遺伝子工学の権威。
当初は息子にも優しい父親であったが、研究に没頭するあまり自分の助手を実験台にする程の狂気に取りつかれ、ネオ生命体ドラスを開発しようとする。
途中でその脅威的な成長に恐れをなして開発を中止しようとするも、すでに自我を得ていたドラスにより廃工場の機械と融合させられ、身動きが取れない状態にされる。
余談だが、演じたささきは20年前に『仮面ライダー』でショッカーを脱走した科学者を、20年後の『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』ではライダーを助ける科学者を演じている。また歌手としても『仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王』で主題歌を担当していた。

●望月清吉
演:犬塚弘
宏の祖父。町内では珍発明を繰り返す物好きな老人として通っている。
宏を男手一つで育てながら、息子の敏郎の行方を追っていた。

●玲子、黒田、西村、宮崎
宏の通う武道道場の仲間であり、良き兄・姉のような人達。

島本コミカライズ版では玲子のポジションでナオミという女性が登場。ライダーとなって復活した勝に特訓をつける。おやっさんポジションなのか……?
「そう!ライダーキックを撃つのよ!」
「ライダーキック!?」

ドラス
望月博士が開発したネオ生命体。グロテスクな外見ながら少年のような可愛らしい声で喋る。
本作スタッフから邪悪ライダーとして作り上げられた。
感情に左右されず、合理的かつ怜悧に強大な力を振るう存在。
完全な肉体を得る事で神にも等しい存在になろうと目論んでいたが、その成長を恐ろしく感じた博士により、定期的に生命プールに浸からなければ生命を維持できないようにされる。
博士の息子・宏を誘拐し、博士に更なる改造手術を促そうとした。その際、「でないと(自分を改造しないと)宏くんをバラバラにするよ?」などと何気にえげつないことを言い放っていた。

◆レッドドラス
ドラスが終盤でZOを取り込み、自らを強化した形態。通常赤ドラス。
より“ライダーらしい”姿になっている。
宏を殺そうとするも、自身が誕生して間もない頃に聴かされた懐中時計のオルゴールを聴き、精神に乱れが生じた隙を突かれZOの分離を許し、元のドラスの姿に戻ってしまった。
ぶっちゃけ出番は数分。

赤ドラスは撮影中に雨宮監督が思いついたアイデアらしく、竹谷隆之氏が緑ドラスのスーツを数日間の突貫作業で改造して仕上げたそうだ。

◆クモ女/クモモンスター
一時的に行動不能になったドラスにより生み出された怪人。みんなのトラウマ
コウモリ男と共に道場を襲い、宏と玲子を連れ去る。
ZOに脚を1本折られ、腹部に刺されたことで死亡。死体は小さな蜘蛛になった。
雨宮作品名物・ストップモーションで撮影されている。
コミカライズ版では勝の恋人が、小説版では宏の担任が改造された姿。

◆コウモリ男/コウモリモンスター
同じくドラスにより生み出された怪人。
人間に化ける事ができ、望月博士に変身して宏をおびき出し誘拐。救助に来たZOにも、宏に化けてだまし討ちを仕掛けた。
耐久力はゼロだったようで、至近距離とはいえZOパンチ一発で腹をぶち抜かれ、死亡した。
小説版ではドラスに殺害された不良少年が改造された姿。


【主題歌】

  • INFIX「愛が止まらない」「微笑みの行方」
INFIXは上記のニ曲と「Riders Forever」の計3曲を用意したが「Riders Forever」は採用されずに終わる。

しかし、そこに富野由悠季が「イメージにぴったり」と気に入ったらしく、一部歌詞(といっても仮面ライダーを連想させる歌詞を差し替えた程度とされる)を変更して「WINNERS FOREVER 〜勝利者よ〜」のタイトルで『機動戦士Vガンダム』の前期エンディングテーマに採用された。
実際、「WINNERS」を「RIDERS」に変えるとかなり仮面ライダーらしい歌詞になる。
Vガンの世界観や展開にもかなり合致してるので言われないと気付かない

この理由から、INFIXはライダーソングだけではなくガンダムソングも初担当となった。


【備考】

当時の仮面ライダーとしては斬新で完成度も高く、かっこよくも哀愁漂う主題歌共々、長年にわたって愛され続けている名作である。
自分を無理やり改造した博士への憎悪を背負いつつも、その子供を必死に救おうとする姿は、まさしくライダーの苦悩と正義そのもの。

印象的な演出として、これまで(BLACK RXまで)の仮面ライダーでは象徴ともいえた「変~~~身ッ!」の長いポーズは最後まで取らない。
以降の平成ライダーシリーズにおいても、変身ポーズを省略したり、戦いながら部位ごとにスーツを身に纏っていったりと、変身の演出が多様化。
仮面ライダークウガの高寺プロデューサーは、この点が昭和ライダーとの決定的な違いだと主演のオダギリジョーと共にラジオで対談している。

劇場での観客動員数は100万人。当時、劇場収入が低迷していた東映はZOの大成功で活気付き、子供向け路線を拡大。
続く『J』の他、石ノ森章太郎の手による最後にして大傑作の映画作品『人造人間ハカイダー』などが制作された。

本作の劇場用パンフレット(厳密には「東映スーパーヒーローフェア」のパンフレット)の表紙見開きのスチール写真(ZOとクモ女が相対している写真)の右端に男性らしき顔が不自然な位置に写っており(初版のみ確認できる。第2版以降は黒く塗りつぶされている)、
心霊写真なのではないか」とか「クモ女の操演スタッフや照明スタッフの顔が写ってしまっていただけなのではないか」とか言われているが、真相は不明。


宏「お兄ちゃん!」

勝「……」

宏「……ライダー!!






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画像出典:仮面ライダーZO
©1993 東映・東映ビデオ・石森プロ


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