登録日:2010/10/01 Fri 00:52:16
更新日:2023/09/05 Tue 07:45:04
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富野『このDVDは、見られたものではないので買ってはいけません!』
消えゆく命があります。それは私の、そして全ての子供達の母の物でした
生まれくる命があります。大きな未来を宿した命が
子供達には、その輝きがとてもよくわかるのです
次回、
機動戦士Vガンダム
『消える命、咲く命』。 見て下さい!
〈概要〉
1993年から全51話が放送されたTVアニメ。
TVで放映されたガンダムシリーズとしては四作目で、
UCを舞台としたアニメ作品としては最も後の時代を描いている。
ガンダムシリーズの中でも一、二を争う程残酷なシーンが多く、新キャラが出てきたと思ったら名前を覚える前に死んだとかざらであり、
次回予告で名前を呼ばれたら死ぬとまで言われたほどの、セリフがあるキャラの死亡の多さである。
内容もかなり重苦しいものになっており、所謂「黒富野」「皆殺しの富野」と呼ばれる作風の作品の一つとしてファンからは認識されている。
その理由はサンライズがバンダイへの身売り前でとっちらかってたとか、馴染みのベテランアニメーターが引退して新人ばかりだったとか様々。
そのためか、富野はこの作品のDVDボックスが出た際に「この作品はとても見られた物ではないので買ってはいけません!」という前代未聞のコメントを出した。(尚これは購入者しか見れないDVDブックレットでのコメントであり、そう書けば売れるんでしょう。とも付け足してはいる)
Blu-ray化の際には「この作品は全否定したいと思っているものです」「購入者にはあら捜しをして欲しい(意訳)」とのコメントを寄せており、やはり否定したい作品のようだ。
いつものツンデレかもしれないが
その一方で何時インタビューやイベントに出ても『
バイク戦艦のデザイン』『ウッソをはじめとしたキャラクター』『作品を通じて一人前に成長したスタッフ』等は手放しで褒めたり愛着を持ってはいるのでその辺は色々と複雑なようだ。
内容も暗く敵側のMSデザインも万人受けするものではないためやや知名度が低く、比較的マイナーな作品である。
だが、富野の黒さが凝縮されたような作風は、ガンダムファンや当時観ていた人達も魅了。特に「リーンホース特攻」はガンダム屈指の名シーンとまで言われた。
また、戦争等の風景をよく描かれたシナリオもよくできており、ファンが少ないわけではない。むしろ多い方である。
下ネタの多さに関しては以前「自分の小説版はアニメで溜まったストレスの捌け口(意訳)」と富野は語っており、
富野小説にはエログロが満載なのだが、Vガンでは小説まで我慢できずアニメにまでその片鱗が見え隠れしている辺りフラストレーションは相当なものだったのだとうかがい知れる。
中には「ウッソがパンツ一丁(最後の方で奪われフリチン)で敵基地を脱走、敵兵に見つかるも皆硬直して一瞬見逃す。」という、本作で珍しく笑えるだけの話もあったりするのだが、
終盤でウッソが敵の最終兵器に乗り込んだら「裸(水着)のお姉さんがいて幻と思ったら、本物で先制攻撃される。」という立場逆のギャグ皆無の展開もあったりする。
〈ストーリー〉
宇宙世紀0153、サイド2に存在するザンスカール帝国は
ギロチンを用いた恐怖政治とマリア主義を掲げてベスパと呼ばれる軍隊を地球に派遣した。
堕落しきっていた
地球連邦軍に喝を入れるべく活動していたレジスタンス組織「
リガ・ミリティア」は抵抗のシンボルとして有名だったMS「
ガンダム」にあやかって
Vガンダムを開発。
ベスパに対して
徹底抗戦の構えを見せた。
ひょんな事からVガンダムに乗ることになってしまった少年ウッソ・エヴィンは、多くの人々の死を目の当たりにしながら、戦場を駆けていくのであった…
〈登場人物〉
CV:
阪口大助
今作の主人公。
13歳ながら抜群の操縦テクニックを持ち、本人に悪気はないものの大人達を不快な気分にさせることがある。
母親の姓がミゲルなため、
シャアとナナイ・ミゲルの子孫という説もあったがデマである。
ある意味ガンダムの中で大人のジャンルに入るキャラ。
「陰毛はまだ生えていない」と
劇中で確認できる珍しいガンダムキャラ。
CV:黒田由美(現:市原由美)/小林愛(「SDガンダム GGENERATIONシリーズ」一部作品)
ウッソの
幼なじみで今作の(多分)ヒロイン。
一部では
死神とよばれ恐れられている。
CV:
渡辺久美子
ガンダム史上最凶の女性で、担当声優に『どんなキャラか解らない』とまでいわしめた。
詳しくは項目で。
CV:白石文子/
木村亜希子(『SDガンダム GGENERATION SPIRITS』以降のシリーズ、
スーパーロボット大戦30)
ウッソ達のお姉さん的存在。何気に作中で最も背が高い。
CV:中田雅之/福島潤(『SDガンダム GGENERATION SPIRITS』以降のシリーズ、スーパーロボット大戦30)
リガ・ミリティア内ではウッソの先輩にあたる兄ちゃん。15歳。ウーイッグの子供達のボス。
ややDQN臭がする台詞を連発するが基本的には良い奴。
特技は投げナイフ。
トマーシュとコンビを組み
ガンブラスターを駆る。
中盤でパイロットとして戦場に出るが…。
何故殺したし。
ファンの嘆きが届いたのか、この件に関しては富野は後にイベントで謝っていた。
漫画版では「タンカー投げ」が最強技。
CV:
松本梨香
ヘタレ。パイロットにはならなかったので最後まで生き残ったが、恋愛では負け組。
CV:こおろぎさとみ
オデロ、ウォレンの妹分。とあるシーンで幾多のロリコン共を興奮させた。
ビームローターの音を聞くと身動きが取れなくなるという
トラウマ持ちだったが、克服したのか徐々に見られなくなっていった。
CV:檀臣幸
今作の
ライバルキャラで
仮面…なのだが、変に
常識人な所が狂気に染まった濃いキャラ達に喰われ、
一部では「カテジナのファンネル」だの「クロノクル・アチャー」だの散々なあだ名を付けられている。
悪役にしては良識的であり半端に良い人すぎた。
彼の死亡シーンはかなり生々しく、小さい子が見たらトラウマ物だろう。
「アシャー」を並びかえると…
CV:
関智一
オデロと同じくウッソの兄貴分。基本的に慎重な性格。
オデロと共にホワイト・アークにてガンブラスターを駆る。
結構空気が読めるイイ人。実はリガ・ミリティアの子供キャラ最年長。17歳。褐色の美形。
最終決戦後は戦死していないにも関わらず一度も登場しないが、
これは担当声優が
次の番組の
主役であるため、視聴者が声を聴いてトマーシュと混同しないようにした配慮である。
CV:柳沢三千代
美人。オデロに好意を寄せられ、後に相思相愛となるが…
「
あっ、おちんちん
」
CV:吉田小南美
エリシャの妹。ウォレンに好意を寄せられるが、姉とは違い全く相手にしなかった。
CV:中田和宏
キャーイクサーンではない、どっか行く
金髪におヒゲ、ハーレーが似合うナイスなおじ様。
バイクに命を賭けており、初登場時の第一声が
「バイク乗りの魂を見せてやる!」
「
地球をバイク乗りの楽園にしてやる!」
視聴者をドン引きさせたヒゲ、しかし熱い男、そして頭が時々ロココ調になるのはご愛嬌。
CV:加藤治
リーンホース及びリーンホースjrの艦長。決して夜天の書の主ではない。
無精髭にメタボなおっさんだが、この人の台詞は一々カッコいい。
終盤での名言連発はカッコいいの一言に尽きる。
ただし上述のリーンホース特攻は富野曰く『
特攻はお手軽に感動的な画になってしまう』と反省材料になっている。
〈余談〉
この陰鬱さに耐えられない人には
『コミックボンボン』連載の漫画版がおすすめ。
基地外のボルテージは漫画の方が上かもしれないが。
ウッソ「貴様は電子レンジにいれられたダイナマイトだ メガ粒子の閉鎖空間の中で分解されるがいい」
シリーズの中でもマイナーなせいか、主役機以外の機体が
プラモデルなどで立体化される機会に乏しかったが、MSアンサンブルではV2ガンダム以外にもザンネックやらゲドラフやら
アインラッドが商品化されファンを驚かせた。
また、宇宙世紀の中では後の時代かつ内容を大真面目に再現しようものならCERO爆上がり確実なためか、
スパロボなどでの参戦の機会も少ない。
スパロボの方も2003年の『
D』から2021年の『
30』まで
18年間も本家シリーズへの参戦が空くこととなった。
宇宙世紀作品といえば
無節操に増える外伝漫画が定番となっているが、本作にはそういった類はあまり存在せず、
『機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス』と『
機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』くらいしか同時代を描いた作品は存在しない。
- この頃から全天周モニター廃止した機体がぽつぽつ出てきてたんだっけ -- 名無しさん (2017-02-13 17:21:12)
- Vガンダムがマイナーとかちょっとなに言ってるんですかね……(呆れ) -- 名無しさん (2017-03-26 17:10:18)
- それにしても、どうしてウッソはシャアの子孫だって設定にしなかったんだろうなぁ……。やはり、アムロと同じく、「シャアには家庭をもってほしくないなぁ」という視聴者からの意向があったんだろうか? -- 名無しさん (2017-03-26 17:17:57)
- Vガンのキャラでゴズだけは許さねぇ -- 名無しさん (2017-04-16 09:12:25)
- ↑3 実際マイナーじゃね。てかこれに限らずU.C.0100以降の作品はどれもこれも基本的に不遇。 -- 名無しさん (2017-04-16 11:04:00)
- ↑3 むしろなんでシャアの子孫って設定にする必要があるの? -- 名無しさん (2017-04-16 11:14:24)
- そっちの方がドラマチックだと思う人もいるんだろう。個人的にはそんなに世界を狭く扱われたら興醒め以外の何物でもないが -- 名無しさん (2017-04-16 15:43:02)
- エヴァンゲリオンの後に見たせいか、そんなに重々しくは感じなかった。 -- 名無しさん (2017-05-02 23:10:20)
- メチャクチャ暗いしエグい。けど、描き方が凄く丁寧だから、単なる暗くて胸糞の悪い展開にとどまらない、視聴者の胸を打つ「悲劇」としてしっかり完成してるから、精神ダメージ以上の感動を与えてくれる作品だと思う。 -- 名無しさん (2017-06-19 00:34:01)
- 酷い状態で作った割には普通に出来がいい話なんだよね、残酷ではあるけどさ。初視聴時はシャクティにイラつかされたが、子供に何が出来るかと考えれば納得できるし、本当に御大は登場人物一人一人の思考を想像させるような話作るなあ、と感心。 -- 名無しさん (2018-05-06 11:20:55)
- ↑6自分もそう思ってたが、ガンダム総選挙でF91だけ異様に人気なの分かったから一概に侮れないよな -- 名無しさん (2018-05-24 07:31:50)
- 元々富野監督としては逆襲のシャアでガンダムは終わりのつもりだったのに会社に無理やり続編を造らされたのが相当不満だったらしい -- 名無しさん (2019-02-25 01:39:23)
- 時代的にファーストの頃のキャラも年寄りにはなってもまだ生きていておかしくない年代だから想像しておもしろい -- 名無しさん (2019-03-15 12:07:32)
- ↑2 ましてやF91の続編の構想潰てんだから鬱も怨念も相当なもんだっだろうな -- 名無しさん (2019-03-15 12:21:28)
- ↑×2カツレツキッカやミネバ様がおじいちゃん・おばあちゃんになってるからな~。どのくらい生きてるかな。 -- 名無しさん (2019-03-15 12:32:52)
- あ、カツはZで死んだんだった -- 名無しさん (2019-03-15 12:34:01)
- 相談所に報告があった荒らしコメントを削除しました。 -- 名無しさん (2019-05-18 10:26:34)
- バレンタイン前日にまさかガンチャンでリーンホース特攻回を見ることになるとは -- 名無しさん (2020-02-14 01:37:36)
- リーンホース特攻は感動シーンに仕立て上げられてるけど、実際は子供や若者を巻き込んでいった老人達が後処理なんて考えないで自己満足を満たして特攻したと言う見方もできるのよね -- 名無しさん (2020-09-06 10:47:07)
- ↑子供巻き込んだ老人達が後の時代に残されなかったという好意的な見方も…後処理はウッソの親父がするだろうし -- 名無しさん (2020-09-06 11:12:35)
- 個人的にシンエヴァをより楽しみたいなら旧世紀版より優先して観てもらいたい作品。配信に恵まれてないから視聴難易度高めだけども。 -- 名無しさん (2021-03-12 15:04:56)
- 久しぶりにスパロボ参戦するけど、どうなる事やら… -- 名無しさん (2021-07-12 09:09:56)
- 典型的なガンダムで(黒)富野節だなァとは思ったが世間で言われるほどドギツイとは一度も思ったことがない。昭和黒富野作品群の記憶や衝撃ってそんなにあっさり薄れるものだったろうか? -- 名無しさん (2021-10-15 16:38:40)
- キャラデザが柔らかだったのはハードさを緩和したのかそれとも逆に一層強調したのかどっちだろう -- 名無しさん (2021-10-15 16:42:58)
- キャラデザに関しちゃ元々子供向け作品として作られてた頃の名残かと。 -- 名無しさん (2021-10-15 16:45:12)
- ↑11 スパロボ30ではミネバが真のジン・ジャハナムということになっていたな。原作時空で考えても73,4歳だから真のジン・ジャハナムではないにしろあり得ない話でもない(その一方で世界観の兼ね合いとか関係なくマジの偽物のジン・ジャハナムにされてしまうハンゲルグ…) -- 名無しさん (2022-05-02 09:40:03)
- ログ化を提案します -- 名無しさん (2022-07-18 20:13:13)
- コメントをログ化しました。 -- (名無しさん) 2022-12-05 17:20:21
- 富野御大は元々自作に辛口な人だけど、Vガンには特に厳しいのって、多分「子供にもウケるガンダムで新規ファン層開拓」ってコンセプトに真っ向から背くような作品にしてしまったことに対する反省や後悔の念が大きいんじゃないかと思ってる -- (名無しさん) 2023-05-15 19:13:47
- 「監督に否定されている」という印象が一人歩きしすぎている感のある当作だけど、当時演出家として携わった方のインタビューを読むに監督はいつも楽しそうに作っていたそうなんだよね。否定の言葉もあの人なりの強がりなんじゃないかと述べている。これって救いだと思うし、今後作品を語るならちょい頭に入れとくべきかもね。 -- (名無しさん) 2023-06-15 10:24:41
最終更新:2023年09月05日 07:45