ゴーム&ミール

登録日:2014/04/02 Wed 17:09:32
更新日:2025/07/15 Tue 19:50:28NEW!
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ゴ━━━━━━━━!!



金色のガッシュ!!」の登場人物。
現代の魔界の王を決める戦いに参加している百人の魔物の一人。
パートナーはミールで、本の色はエボニー。

概要

言葉は「ゴー!」としか喋れないが感情は豊かな方。
見た目の割に性格は子供っぽく、自分の意思に正直である。
ミール曰く「難しい話ってわかんないんじゃないかな?」らしく、話しかけられてもあまり反応を見せない。

その能力の有用性と物心ついた頃から孤独なゴームを見出したクリア・ノート「ゴームだけは消さない」ことを約束に結託している。

シュモクザメの頭のような両手に口があり、コミックス31巻裏表紙にはそこからラーメンを吸い上げる姿が描かれている。
作者の雷句誠曰く、デザインの元ネタはゼットン
初代ウルトラマンラスボスとして名高い怪獣であるが、ゴームもまた元ネタに劣らぬ強さと衝撃を見せつけた。

突然変異で生まれたらしく、親も兄弟もいない。
それどころか同族もいないし近しい種族もおらず、多様な魔物がいる魔界ですらあまりにも異質な容貌と能力を持つ。

能力

術ではなく元から持っていた固有能力として、空間に黒い穴(以下ゲート)を開けて長距離を移動するワープ能力を使う。
カブトムシに似た外見通り、羽根による飛行能力を持つ他、魔物の気配を半径5kmの範囲内までなら探知することが可能*1

この空間移動と感知能力故に1度ゴームに捕捉されたら最後、5km以上離れる事が出来ない限り逃げ出すことは不可能*2
長距離ワープは地球の裏側まで移動できる。ただしゲートの出入りは瞬時ではなく潜り抜ける感じなので、多少隙が生まれる。
またゲートの生成も瞬時ではなく、掌の口から黒い霧のようなものを放出して作り出すため多少時間が掛かる。
一方で単純な移動手段だけではなく異空間を作り出す能力らしく、その中に避難する事も可能。
空間自体は作った後どこかの異空間に繫げているだけなのか、数ヵ月単位でも維持して篭っていられる。
この空間には自分が開いたゲートから以外に外部干渉はできず、魔物から攻撃を受けないどころか感知すらされない。
しかも見たところリスクらしいリスクすらもない……と、異常なまでチート臭い能力を素で持っている。*3
ただしこの能力を使っている間はゴーム自身も術を使ったり戦ったりはできなくなるという制約がある。*4
また維持している異空間は座標軸で固定されているらしく、「某国某所にある異空間」と説明されている。

単純な戦闘能力も高く、後述の通りアースを(エリーの体調というハンデがあったとはいえ)一方的に倒せる実力者。
アースの「ゴウ・ソルド」で強化した剣の連撃を何発も受け止めても掠り傷すら負わない程の装甲を誇る*5
生命力もクリアほどではないにしろ、頭部と片腕を残して袈裟斬りに肉体を消滅させられた状態でもしばらく生きていられる*6
パピプリオの「ダレイド」でコンクリートの地面に貼り付けられても強引に地面ごと引っこ抜き、事も無げにハンマー状の手で粉砕する。
ただし、クリアの評価や劇中の描写からブラゴやアシュロンといった実力者には地力で劣る模様。
幼さ故の知能や認識力が低い事も否めない。


【術一覧】

○使用術:???系
謎に包まれた術で命名法則も他に類を見ない。「ディオボロス」が系統となると思われるが能力自体への一切の説明はない。
強いて言うならば「カビの如く侵食し、空間ごと塵と化す闇のエネルギー」。特に魔物の術を粉砕する性質が強い。
魔物や生物も侵食するが、地形などへの影響は術を粉砕する性質と比較すると少ない。

  • ディオボロス
両腕の先(口)から黒い粒子状の何かを放って攻撃する術。
恐らく基本術レベルと思われるが、ギガノ級の術「ギガノ・ジョボイド」でも完全に相殺しきれないあたり威力はかなり高いと思われる。
人間ではかすりでもしただけで大量出血・行動不能に陥るレベル。

  • ギガノ・ディオボロス
「ディオボロス」の強化版。両腕から膨大な量の黒い粒子を放出する。
町中の小道を埋め尽くすぐらいの量を放出する一方で、地形自体には放出方向に沿うように広がり、破壊などは起きない。
これでもミール曰く弱い術らしい。また術の放出がやや遅いのか、不意打ちを含めて一度もクリーンヒットしていない。

  • ボージルド・ディオボロス
術を粉砕する系統のゴームの呪文の中で唯一の純粋な防御術。
両腕から目の前に十数mの大きな多重円状エネルギーの盾を展開して敵の攻撃を防ぐ。
パピプリオの「ディオガ・ジョボイド」をあっさり防いでおり、防御術としてはかなり強力な部類。
ただし同じディオボロス系統を防ぐことはできないのか、キャンチョメがコピーした術を防ぐ為に使用したりはしなかった。

  • バークレイド・ディオボロス
両腕から放ったエネルギー波で敵の攻撃を捉えて歪め、ゆっくりと捻じ曲げながら粉々に粉砕する。
ブラゴが習得した「ディボルド・ジー・グラビドン」にも習性が似ているが、こちらは空間ごとねじ曲げる感じ。
ディオガ級の威力を誇るアースの「ギャン・バギャム・ソルドン」をいともたやすく打ち砕いた。
モロモロモロモロ 「ショック!!」

  • ウィー・ムー・ウォー・ジンガムル・ディオボロス
ミールの顔芸とゴームの特徴的なポーズから、刺々しい超巨大な球状のエネルギー弾を放つ。
「ウィー・ムー・ウォー」が別の吹き出しにあるため一見紛らわしいがこれも呪文の一部である。*7
「ウィー」でヴェオンッと腕で円を描き、「ムー」で直径2mほどの黒い球体をギャボッと発射、「ウォー」で球体が内部からギュパッと一気に膨れ上がる。
膨れ上がった後のエネルギー球体は他のディオボロス系と違い、建物や地形といった物も容赦なく巻き込み破壊して突き進む。
この球体に飲み込まれると「ドゴォォォオオ!」と凄まじい轟音と共に全身を吹き飛ばす程の強烈なダメージを与える。ただしスピードは遅め。
ギガノ・ディオボロスとは比較にならないほど強い術だが、キャンチョメが「フォウ・スプポルク」で消滅させ「ミリアラル・ポルク」でコピーした。
その威力はアースの攻撃でも無傷だったゴームの全身をズタボロにしたほど。

  • ディオボロス・ザ・ランダミート
ミール曰く「全てを闇へと誘う、深くて恐ろしい黒い部屋(ブラック・ルーム)」。
謎の黒い立方体を作り出し、そこから球体状や三角状の謎のエネルギー体を無数に放出。
これに触れた術や物体をカビのように闇が侵食し、瞬く間に腐敗・風化するかの如く朽ち滅ぶ。
それぞれのエネルギー体が操作可能で、防御だけでなく攻撃術としても使用可能。
これが無数にオールレンジで四方八方から襲いかかるため、簡単には防ぐ事さえできない。
アースの最大術「ヴァルセレ・オズ・マール・ソルドン」を一方的に粉砕した上、そのまま動けないエリーを庇ったアースごと飲み込んだ*8
ちなみに作者がブログでアースのヴァルセレ・オズ・マール・ソルドンはゴームと戦った時点ではディオガ級3~4発の威力はあったと語っている。
リスクらしいリスクもない実質ゴームの最大呪文であり、魔物もパートナーも消滅させる。



ミール

ゴームのパートナー。
やけにボリュームのある髪型や「ぴょん」という語尾の表情豊かなおてんば女性(年齢不明だが描写からすると10代~20代とそう高くはないと思われる)
一方で、パートナーのエリーが病の発作を起こしたため停戦を申し出たアースの頼みを「マヌケな奴が大っ嫌い」と一蹴する冷酷な面も持つ。

本人の過去やゴームとの出会いは詳しく描かれていないが、単行本31巻の扉絵を見る限りでは裏組織からの拉致誘拐にしか見えない。
彼女の背中に見える痛々しい傷跡、協力関係にあるはずのクリアの視線への過剰なまでの強烈な怯え、ある出来事を経てクリアに逆らおうとしたゴームには、
「でかすぎる悪にからまれちまった時点でお前の運は尽きてるんだよ!!!」
「関わっちまったら最後、あーいうバカにたてついても、痛い目見るのはいつもこっちなんだ!!」
「『痛い』ってことがどーいうことか、徹底的に思い知らされんだ!!!」(背中の痛々しい傷痕が映される。顔や体の表側は無事そうなのがまた色々察せられる)
などの言葉を泣き叫ぶようにぶつけており、これらの激しくも切ない言葉の数々から、壮絶な暴力に屈し、悪の片棒を担いで生きてきたことがうかがえる。
これを踏まえると、先の「マヌケな奴が大っ嫌い」も「強い奴悪い奴は相手にお構いなしに力を振るう」という過去の経験からの諦めによる発言とも解釈できよう。
またゴームの反逆を止めようとする際には「返り討ちにあって消されるだけだ」と心配する言葉もあり、魔物とパートナーの絆はしっかり育まれていたようだ。


以下、ネタバレを含みます







最終章であるクリア・ノート編より登場。
残りの魔物の数が10人となり、王の特権が明かされた279話(LEVEL279)のラストでその姿を見せる。
フィンランドのアース&エリーペアと空間を割ってエリーの部屋に侵入する形で対面し*9、「ウルソルト」で急ぎ離れるアースに対し空間移動で先回りの形で向かい合う。
アースのディオガ級の大技「ギャン・バギャム・ソルドン」をあっさり砕きつつ接近戦では互角の戦いを繰り広げていたが、エリーが発作を起こしたことで優勢に。
アースの一時休戦の申し出にも聞く耳を持たず、今が好機とばかりに大技を放つも、アースが「ボルセン」の術で作った幻を囮にされ撤退を許してしまう。
だがワープ能力ですぐに追いつき再戦。ミールが語るクリアの目的に奮起したエリーが決死の思いで唱えたアースの最大術すらも余裕で破り、そのまま彼の本を燃やして勝利を収めた。

続いてフランスのブラゴシェリーペアをクリアと共に襲撃。
ミールはゴーム一人で十分だと主張するが、クリアにひとにらみで威圧され恐怖に怯える。
アシュロンの登場により、彼にはゴームでは勝てないというクリアの判断で一時撤退。
アシュロンの角で串刺しにされたクリアを救出するため再び現れ、彼を回収して逃走した。

その後は失った肉体を再生させるクリアを守るため、自身の能力で作り出した異空間にクリアを隠し、そこで復活の時を待ち続けていたが、7ヶ月が経過した時点でゴームのストレスが限界に到達。
クリアを放置して勝手に異空間を抜け出し、察知した魔物の気配を追ってミールと共にミラノの街へ繰り出す。
ストレス発散のためパピプリオとルーパーを襲撃、術を駆使して逃げる彼らをワープ能力で執拗に追跡する。
だがデュフォーの特訓で新たな術を覚えたキャンチョメの加勢で形勢は逆転。
キャンチョメの新術の数々に圧倒され、「シン・ポルク」で最大術はおろか飛行能力もワープ能力までも封じられ徹底的に追い詰められていき、ゴームだけでなく人間であるミールまでいたぶる彼の姿に遂には精神崩壊寸前にまで陥ってしまう。
だがフォルゴレの言葉でキャンチョメが我を取り戻したことで「シン・ポルク」の効果が消え、彼の謝罪を受ける。
キャンチョメが「シン・ポルク」の力で作り出したお花畑と小鳥達に囲まれたゴームは素直な感情を顕にした。
キャンチョメから小鳥の絵が描かれた石を受け取ったゴームは、彼と「魔界に帰ったら友達になる」約束を交わす。
しかしその直後、クリアの奇襲を受けたキャンチョメとパピプリオは本を燃やされ消されてしまった…

この経験から「独りは寂しい」ということに気付いたゴーム。
ゴームはクリアに「キャンチョメも消さないでほしい」と懇願するが拒否され、ミールの反対も押し切って彼と決別。
クリアと戦うも圧倒され、胸から上と左腕のみの状態で日本のガッシュ清麿の前に現れる。
ガッシュにキャンチョメから貰った石を見せながらミールがいきさつを語り、アメリカのロッキー山脈にクリアを置き去りにしてきたことを二人に伝えた。
ゴームが死にそうだったので本を燃やしてもらい、ガッシュが復活を約束してゴームは魔界へと帰っていった。

完全体となったクリアとの最終決戦でもガッシュに力を貸した。(仲間達と違い術は登場していない)
ガッシュが新たな王となり平和が戻った魔界では、キャンチョメとパピプリオを肩に乗せ仲良く学校へ通う姿が描かれている。
また魔物からの一度きりの手紙はゴームも送っており、ミールがメッセージを横目で見て涙を流しながらニヤリと笑う姿が映った。




追記・修正はキャンチョメと友達になってから。

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最終更新:2025年07月15日 19:50

*1 もっともこの感知能力は魔物としては精度も範囲も高くなく、強者であればもっと遥かに広い範囲を高精度で割り出せる。序盤に登場したフェインですら四国からモチノキ町にいるガッシュを感知している。ゴームは感知範囲が狭いため、ミールもガッシュ達を探すのに日本中あちこち探し回ってやっと発見した。

*2 まあゲートの作成から出入りには結構時間が必要なので、相当な速度で移動し続ける事ができるなら逃げる事も可能だろう。

*3 極端に言えば異空間に籠っていれば「王を決める戦い」の最後まで残っていられるし、異空間に誘い込んでゲートを閉じてしまえば衰弱死を待てばいい。ただしクリアとヴィノーを異空間に置いていけば、少なくともヴィノーの衰弱死で勝てるはずなのをミールが気付かないとも思えないため、恐らくは空間側から強引に開く事は可能か、異空間に誰かを残したまま外部から空間を閉じる事は出来ないと思われる(もしくはクリアもその策を見越してゴームが外出する際は必ず異空間から出させてたのかもしれない)

*4 そのためイタリアでパピプリオを襲撃した際は異空間を閉じ、クリアを山奥の洞窟内に隠していた。

*5 ただしヴァルセーレの剣によるエネルギー吸収自体は効いており、体力を失って体勢を崩していた。

*6 少なくともこの状態でも空間移動能力は使用可能で、ミール曰く日本中を探し回ったという程度にはその状態で瀕死ながらも生きていた。逆説的にこの空間能力自体はゴームにとって特に消耗しない可能性が高い。

*7 雷句先生のブログより

*8 エリーはアースの咄嗟の判断か地中に一瞬早く逃れた為、何とか助かっている。またアースも本が燃え始めたので、恐らく死ぬ前に魔界に転送されたと思われる。

*9 その直前にはアシュロンがガッシュと清麿に正々堂々と呼びかけ移動の猶予も与えた上で戦っており、両者の姿勢の違いが強調されている。