東武日光線

登録日:2015/01/29 (木曜日) 14:50:08
更新日:2025/02/14 Fri 17:01:24
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東武日光線(とうぶにっこうせん)は、東武動物公園駅から東武日光駅を結ぶ東武鉄道の路線である。
ラインカラーはオレンジ、路線記号はTN


(出典:Wikipedia)

概要

東武スカイツリーラインに直通して東京と世界遺産でもある観光地・日光を結ぶだけでなく、鬼怒川温泉や福島県の南会津地方まで向かうルートとして重要な路線となっている。また、栃木県内の地域輸送や東京方面への通勤路線としての側面も持っている。
その為、全区間で複線電化されている。

かつては東京~日光間での輸送で旧国鉄と熾烈な争いが繰り返されていた。
国鉄が準急にキハ55系気動車、日光線電化後には157系という当時では破格の車両を導入すれば、東武は特急に5700系を導入するなど、どちらも一歩も譲らない状況だった。
しかし、東武側がDRC(デラックスロマンスカー)と呼ばれる1720系を導入し、国鉄がほぼ敗北モードとなった。
元々、国鉄日光線が東京駅直通のメリットこそあったものの単線な上に宇都宮駅でのスイッチバックが必要、さらには東京駅直通が東北新幹線建設の影響で廃止という事もあり、ほぼ直線でかつ全線複線という東武側が所要時間的にも有利な側面もあった。
その結果、1982年に国鉄が日光方面への定期優等列車を廃止してしまった。
そんな一人勝ちな状況ではあったものの、日光・鬼怒川方面への観光客の伸び悩みが見え始めた。
東武の東京側ターミナル駅が山手線と接続しない浅草駅という事もあり、観光客取り込みにも限界があった。そこで何をしたか…。


かつての敵であるJR東日本との直通運転


なんとライバルであったJRと手を取り、2006年から特急の相互直通運転を開始したのだ。
これはバブル崩壊や旅行先の多様化に伴い減った客を奪い合うより

JR東日本:日光の他、JRが乗り入れていない鬼怒川温泉への観光にも参入できる。宇都宮駅のスイッチバック解消、単線区間が減ることによる時間短縮。
東武鉄道:従来運転区間には山手線接続駅がない為、新宿や池袋へ乗り入れることで東京都心や多摩地域、神奈川県方面や埼玉県西部からの利用客確保ができる。

…との理由からも両者の利害が一致し、結果として栗橋駅を介して直通運転が行われることとなった。


【運行形態】

車両については東武鉄道の項目を参照。

日光線特急

  • スペーシアX
    • 浅草~東武日光・鬼怒川温泉(日光線・鬼怒川線直通)
  • きぬ/リバティきぬ
    • 浅草~鬼怒川温泉・新藤原(日光線・鬼怒川線直通)
  • けごん/リバティけごん
    • 浅草~東武日光(日光線直通)
  • リバティ会津
    • 浅草~会津田島(日光線・鬼怒川線・野岩鉄道・会津鉄道直通)
日光・鬼怒川方面に直通する列車と野岩鉄道・会津鉄道に直通する列車の2系統が運行されている。
会津鉄道直通列車は全て500系「リバティ」を使用する。
JR新宿駅からの直通列車もある。

JR線直通特急

  • きぬがわ/スペーシアきぬがわ
    • JR新宿~鬼怒川温泉(JR線・日光線・鬼怒川線直通)
  • 日光/スペーシア日光
    • JR新宿~東武日光(JR線・日光線直通)
JR東日本の車両を使用する場合は、「日光」と「きぬがわ」
東武100系「スペーシア」を使用する場合は、「スペーシア日光」と「スペーシアきぬがわ」
になっており区別されている。


急行準急区間急行区間準急

  • 南栗橋以南
急行と準急はスカイツリーライン経由で東京メトロ半蔵門線東急田園都市線に直通する系統で、日光線内は各駅停車。全列車が10両編成。
区間急行・区間準急は浅草発着で、日光線内は各駅停車。全列車南栗橋止まり。
旧準急の時代は浅草~東武日光まで全線通しの列車もあったが、末期は早朝・深夜の新栃木発着列車を除くと南栗橋以南のみの列車がほとんどであった。

  • 南栗橋~東武日光・新藤原間
2017年4月21日に廃止された快速区間快速に代わる形で急行・区間急行が新設された。
かつては急行が朝に南栗橋発東武日光行の下りのみ4本、区間急行は朝夕に東武日光発と新藤原発の上りのみ6本が運転されていたが、
2020年6月のダイヤ改正で南栗橋発の急行のうち1本が区間急行へ格下げされ、逆に東武日光発の区間急行のうち16時台のものが急行へと格上げされた。
2022年3月12日のダイヤ改正で区間急行は、全て普通に格下げされ廃止に、
残った急行も南栗橋発東武日光行の下りのみ2本に減便された。


○普通

主に東武動物公園~南栗橋間、南栗橋~新栃木~東武宇都宮間、栃木・新栃木~東武日光間の3系統が設定されている。
東武動物公園~南栗橋間の列車は殆どの列車がスカイツリーラインから東京メトロ日比谷線あるいは半蔵門線に直通し、東武動物公園発着列車は平日朝の1往復のみ(下りは新栃木行、上りは南栗橋始発)。
日比谷線直通は7両編成、半蔵門線直通は10両編成が使用される。
南栗橋~東武宇都宮間の列車は日中毎時2本の設定で、4両編成が使用される。
2006年までは新栃木発着の準急が同区間の各駅停車の役割を果たしており、日中に運行されない時期があった。
栃木・新栃木~東武日光間は1時間に1本の運行だが、一部時間帯の上り列車は普通の代わりに各駅に停車する区間急行が運行される。
また、下今市~東武日光のみ運行の特急接続列車が加わるため、該当区間は本数が増える。
この他、南栗橋~新栃木間の列車が夜間帯を中心に設定され、南栗橋~東武日光・新藤原間を通しで走る列車も少数設定されている。

○SL大樹「ふたら」

2020年10月より運転開始。蒸気機関車を用いて下今市~東武日光間を17~23分で結ぶ。
当初は月1回程度の不定期運転で団体専用列車となっていたが、2021年10月から一般列車として運行を開始し、月10日程度の運行。

快速区間快速

無料優等列車の最上位種別系統で、全列車が伊勢崎線浅草発着。ただし、快速については2013年以降は下り列車しか設定がなかった。
東武日光行きの他、鬼怒川線野岩鉄道会津鬼怒川線経由で会津鉄道会津田島駅まで直通する列車がある。特に会津田島行きの列車は4時間にも及ぶロングラン。
区間快速は新栃木~東武日光間の普通列車補間の役割も果たしていた。
全列車が6050系での運転で、下今市で鬼怒川線直通列車との分割・併合を行っていた。
2017年のダイヤ改正で廃止。


【駅解説】

()内は駅番号
○東武動物公園(TS-30)
伊勢崎線(スカイツリーライン)乗り換え。
元は杉戸駅だったが、ホワイトタイガーで御馴染みの東武動物公園の開園に合わせ1981年に改名。
急行以下は全列車停車するが、特急は伊勢崎線系統のみ停車で日光線系統は通過。
起点駅だがほとんどの列車が浅草・北千住方面へ直通するため、どちらか言うと通過駅にも見える。
宮代町の代表駅。

○杉戸高野台(TN-01)
杉戸町唯一の駅だが中心市街は隣の東武動物公園駅が最寄り。

○幸手(TN-02)
らき☆すた」の泉こなた一家が住まう町であり、作者・美水かがみの旧居の最寄駅。
旧居は2009年3月から2011年1月まで「きまぐれスタジオ 美水かがみギャラリー幸手」として開館していた。
その近くにある「権現堂堤」の長大な桜並木と菜の花畑が名所で、桜まつりの時期のみ特急が停車する。
(アニメのOPをよく見ると、権現堂堤らしき景色がちらりと見える)
南栗橋とともに、茨城県にある五霞町方面からの数少ない玄関口となっている。
幸手市唯一の駅。

○南栗橋(TN-03)
車両工場があり、毎年鉄道イベントが開催されている。
特急以外の列車系統境界駅でもあり基幹駅のひとつだが、開業は1986年と比較的新しい。
2020年6月のダイヤ改正で東武宇都宮線への直通列車が新設された。
車両基地以外は周囲に何もないため、ニュース番組などで「終電の寝過ごし先」として登場することも多く、誰が呼んだか「絶望の駅」。
鉄道むすめ「栗橋みなみ」の元ネタ。

○栗橋(TN-04)
JR宇都宮線乗り換え。
特急「(スペーシア)日光」と「(スペーシア)きぬがわ」はここから直通。乗務員交代も行われる。

○新古河(TN-05)
古河とついてるが埼玉県加須市内の駅。花火大会の時には混雑する。

○柳生(TN-06)
三県境の最寄り駅。

○板倉東洋大前(TN-07)
群馬県最東端の駅。
1997年に開業した日光線内では一番新しい駅。
当路線唯一の群馬県の駅(板倉町)で、伊勢崎線館林駅方面の路線バスが出ている。
駅名になっている東洋大学のキャンパスは2024年4月に全て移転してしまった。

○藤岡(TN-08)
これより栃木県栃木市。藤岡地区の中心駅。

○静和(TN-09)
藤岡からの駅間距離は東武一長い7.8km。

○新大平下(TN-10)
2面4線の待避可能駅。折り返しも可能。

○栃木(TN-11)
JR両毛線乗り換え。
県名と同じ栃木市の代表駅だが、同市の規模は県内3位。県庁所在地でもない。
2020年6月のダイヤ改正まで、東武宇都宮線の列車は殆どがここから始発となっていた。

○新栃木(TN-12)
東武宇都宮線との分岐駅。
車両基地があり、普通列車の系統境界駅ともなっている。
東武日光線の中間地点。

○合戦場(TN-13)
ここから3桁台の利用客の駅が続く。
駅名の由来は町名から。
その町名は駅近くの白地沼(標茅ケ原)で皆川宗成と宇都宮忠綱の戦が行われたことが由来となっている。

○家中(TN-14)
栃木市都賀地区の中心駅。

○東武金崎(TN-15)
栃木市の駅はここまで。西方地区の中心駅。
近くに道の駅と日帰り温泉施設あり。

○楡木(TN-16)
「にれぎ」と読む。

○樅山(TN-17)
「もみやま」と読む。近くの生子神社で毎年行われる泣き相撲が有名。

○新鹿沼(TN-18)
特急含む全列車停車駅。利用者も4桁。
JR日光線鹿沼駅とは徒歩30分ほどの距離で結構離れている。
利用者はコチラの方が多く、鹿沼市の中心駅として機能している模様。

○北鹿沼(TN-19)
ここからだんだん山岳路線っぽくなる。

○板荷(TN-20)
日光線で一番乗車人員が少ない駅。昔からの駅舎が残っている。

○下小代(TN-21)
これより日光市の駅。旧駅舎が駅前に移設保存されている。

○明神(TN-22)
杉並木を抜ける電車の見られるスポット。

○下今市(TN-23)
鬼怒川線乗り換え。
日光方面と鬼怒川方面の分岐駅で、特急「リバティ」の一部は当駅で分割・併合を行う。
意外にも駅弁の立ち売りが現在でも行われている。
蒸気機関車の運転開始に伴い「下今市機関区」が創設され、蒸気機関車を留置する機関庫の他、転車台広場やSL展示館が併設されている。
JR今市駅は徒歩10分ほど。日光市の中心駅を今市駅と共に担う。

○上今市(TN-24)
利用客は板荷に次ぐ少なさだが、駅舎はギャラリーや水車があって立派。

○東武日光(TN-25)
終点駅。世界遺産の観光地・日光の最寄り駅。
ホームが3面5線という東武線内でも大きい設備を持つ。山小屋風の駅舎も特徴。
隣接するJR日光駅よりも終着駅らしさが見られる。

【停車駅一覧】

●:停車
|:通過
▲:一部停車
△:期間停車
=:運転なし


















備考
TS30 東武動物公園 東武スカイツリーラインと直通運転・特急は伊勢崎線系統のみ停車・日光線系統は通過
東武伊勢崎線 伊勢崎方面乗り換え
TN01 杉戸高野台 浅草駅を17時59分以降に発車する特急のみ停車
TN02 幸手 幸手桜祭り開催時期のみ一部特急が停車
TN03 南栗橋 系統分割駅
浅草駅を17時59分以降に発車・浅草駅に9時33分以前に到着する特急のみ停車
東武日光方面・浅草方面相互間を乗車の場合特急以外全列車乗換が必要
TN04 栗橋 JR直通特急は乗務員交代のため運転停車
JR東北本線のりかえ
TN05 新古河
TN06 柳生 「栃木・群馬・埼玉の三県境」最寄駅
TN07 板倉東洋大前 特急は上下1本のみ停車
TN08 藤岡
TN09 静和
TN10 新大平下
TN11 栃木 JR両毛線乗り換え
TN12 新栃木 特急は当駅始発・終着の「リバティけごん」のみ停車
東武宇都宮線乗り換え
TN13 合戦場
TN14 家中
TN15 東武金崎
TN16 楡木
TN17 樅山
TN18 新鹿沼
TN19 北鹿沼
TN20 板荷
TN21 下小代
TN22 明神
TN23 下今市 東武鬼怒川線乗り換え
TN24 上今市
TN25 東武日光


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最終更新:2025年02月14日 17:01