登録日:2011/03/02 Wed 02:24:41
更新日:2024/12/24 Tue 10:24:28
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「D.D.T(ディーディーティー)」は
プロレスに於ける投げ技の一つ。
技名の由来は同名の殺虫剤から。(諸説ある)
「パワーボム」と共に80年代の立体型
プロレスが生み出した最大の流行技。
“相手の頭を小脇に抱え込み、真後ろに倒れ込む勢いを利用して脳天を叩き付ける”
と云う単純さ故に流行技となったが、元来は長身の大型選手向けの
必殺技であり、“一撃瞬殺”がウリの技だった。
【歴史】
元祖は80年代~90年代中頃に活躍したジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ。
ロバーツは2m近い長身のテクニシャンで、彼の元祖“D.D.T”は相手の頭を捉えたと思った次の瞬間には相手の頭がマットに突き刺さっていた程のスピードを誇っていたと言われる。
事実、当時の米マットで「“D.D.T”と云う新しい技がある」との情報が日本でも囁かれていたにもかかわらず、
取材状況が今程恵まれていなかった当時では、その概要を伝える写真すら用意出来なかった…と云う逸話を残す程だからである。
このロバーツ流“D.D.T”は他にもロバーツに似た痩せ型の長身選手に使い手が現れたが、
日本マットへの登場はだいぶ後となる。
【日本での展開】
日本人での元祖の使い手となったのは海外修行から帰国した
天龍源一郎である。
天龍はこの技を自らのオリジナル技“D.D.T”(デンジャラス・ドライバー・テンリュー)と称して公開……やや、由来に混乱を生じさせる結果になってしまった。
しかし、天龍のD.D.Tは今で言うジャンピング式に近く相手の顔面を押し潰す様な形になる為、元祖D.D.Tとは別の技とする記事もある。
…が、これは上背が足りないが故の苦肉の策と取るのが普通であり、事実日本人や小型化が進む現在の
プロレス界ではこのタイプのD.D.Tが主流となっている様である。
(この事で“D.D.T”がただの痛め技に落ちたとの声もある)
…この天龍が持ち込んだD.D.Tを完成させたのは
闘魂三銃士の
橋本真也である。
橋本はやはり海外修行後にD.D.Tを持ち帰ったが、上背が足りない分をガッチリと相手の頭を捉える事と自らの体重を利用した強烈な“引き”の力によりカバー。
“瞬殺”とは別の“必殺”の技として完成させた。
……さて、話を戻してロバーツ流の元祖D.D.Tが最初に持ち込まれたのは80年代の全日本プロレスで、テリー・ゴディやダニー・スパイビーが使い手として有名。
ゴディはパワーボムの元祖として知られるが、実は
ジャンボ鶴田を下し三冠ヘビー級王座を奪取した時の決め技がカウンター気味のD.D.Tであった。
しかし、前述の様に日本人の体格には合わず、後には全日マットでも日本型のD.D.Tを使う選手が増える様になったのである。
【バリエーション】
※以下に代表的なものを挙げる。
相手の頭を抱えると同時に落とす。
技の特徴から長身選手で無ければ使用は難しい。
相手の頭をガッチリとロックした後、更に腕を捉えてから引きずり込む様に落とす。
スピードが無い分は体重でカバーする。
現在の主流。
二種類が存在し、
相手の頭を捉えてからジャンプして落とす型
と、
ジャンプしながら相手の頭を捉えて落とす型
…がある。
米マットでは“トルネード”と呼ばれる。
元祖はスペル・デルフィンで、ルチャの技術を加えた立体技である。
元型は自らがコーナーに座った状態から相手の首を捉えて仕掛けるが、後に飛び付き式をデルフィン自らが考案……現在の主流となっている。
相手の背後から首をロックし、真後ろに倒れ込みながら後頭部を叩き付ける。
通常型と同様に、スイング式や垂直落下式のバリエーションも存在する。
D.D.Tの体勢から相手のタイツを掴み、相手をマットと水平もしくはそれ以上の角度になるよう持ち上げ、頭部を急角度でマットに突き刺す。中吊り式とも。
海外の選手を中心に、フィニッシャーとして愛用するレスラーが多い。
【主な使い手】
元祖D.D.Tの生みの親。
“何もせずに試合を組み立てる(そう見える)名人”で、それだけに一撃瞬殺のD.D.Tの破壊力が際立って見えたと云う。
ニシキヘビ(名前はダミアン)を連れたギミックでも有名で、技の名前もギミックにちなんだダミアン・ディナー・タイムとのダブルミーニングとなっている。
「人間魚雷」の異名をとった80年代を代表するスター選手。
“スパイビー・スパイク”と称して使用。
日本人の元祖。
前述の様に日本人レスラー最大の使い手。
自らの体格に合わせてD.D.Tをアレンジしたのみならず、ジャンピング式や雪崩式、更には代名詞であった“垂直落下式”を考案……一撃必殺の破壊力を見せつけた。
以降の日本人レスラーのD.D.Tは全て橋本式の亜流と呼んでも良い程の影響力を与えている。
「
アメトーーク」でネタにされてた実力者。
「七色のD.D.T」と形容される多種多様な形式のD.D.Tを使いこなす。特に下述のスティングと並ぶリバースD.D.Tの第一人者として知られており、相手の攻撃をスルリと抜けて決める通常型の他、雪崩式、垂直落下式、スイング式を開発している。
スイング式の元祖で、飛び付き式の“それ”も考案した浪花のテクニシャン。
バク宙から真後ろにいる相手の首をつかんでリバースDDT、のムーブを開発した名選手。
どちらかと言えば中の人の彼の本名とされるのの名前を取った「アサイDDT」の名前の方が有名な技名か。
日本人ルチャドールの元祖的存在。
デルフィンと並ぶスイング式の第一人者。
かつての新日JRの外国人エースにしてBULLET CLUBの初代リーダーであり現在はWWEで活躍する彼はインプラント式D.D.Tを“ブラディ・サンデー”の名称で使用。
リバース式、雪崩式も存在する。
言わずと知れた制御不能なカリスマ。
必殺技の“デスティーノ”は、
首をロックした状態で相手の腕を逆上がりの要領で回転しその勢いで叩きつける変形のリバースD.D.T。
全日本からNOAHを経て鈴木軍きってのテクニシャンはコーナーダイブ式の飛び付き式D.D.T“ディープ・インパクト”を得意とする。
Jr.時代の大谷はスワンダイブ式の飛び付き式D.D.Tを隠し技としていた。
……エグいぞ!
御大・
ジャイアント馬場は骨折から
復活後の晩年にこの技を取り入れていた。
スピードは無いものの、鋭角に突き刺さる“ジャイアントD.D.T”はフィニッシュとしても利用された。曰く「簡単だけど有力な技」「この年齢になってもできるようなこんな技があるなんて知らなかったよ。いいね」。
…とは言うが、実は馬場さんの身長で真後ろに倒れ込むと云う動きは優れた運動神経が無ければ不可能なのだ。
かの
ダイナマイト・キッドの薫陶を受け、ランカシャースタイルの系譜を受け継いだ名手。
ボディスラムの体制から入る独創的なリバースD.D.T“ブリティッシュ・フォール”を
必殺技に、全日・ノアマットを中心に活躍した。
日米でも活躍した屈指のテクニシャンで、神業的な切り返しのスイング式(トルネード)D.D.Tが光る。
実は2代目ブラックタイガー時代のデルフィンとの戦いから取り入れられた技だったりする。
米WWEの象徴。
本物のジャンピング式の使い手。
ロープワークからD.D.Tまでの一連の流れは非常に美しい。
R指定スーパースターと云えば
スピアーだが、ギャングレルからいただいたインプラント式D.D.Tを“エッジキューション”の名で使用。
(後にインペーラーD.D.Tに名称変更)
80~90年代を代表するスーパースターはリバースD.D.Tを“S.D.D(スコーピオン・デス・ドロップ)”の名称で使用。
暗転したかと思うと突然背後に現れ相手の首根っこを捕まえて1発かましそして帰っていく姿はかなりインパクトがある。
90年代を代表する米インディーのカリスマ。
ロバーツ流D.D.Tの最後の継承者と呼ばれ本家に劣らない凄まじいキレを誇る。
現代
プロレスにおいて正調D.D.Tを
必殺技にする数少ないレスラー。
4ホースメンの一員、フレアーの相棒として名高い玄人肌の職人レスラー。
「AAばりのスパインバスター!」の実況でお馴染みの旋回式スパインバスターの名手として名高いが、フィニッシュには専ら高速DDTを使用していた。
オールドファンからは、レイヴェンとAAのみが元祖ロバーツの他に“D.D.T”を名乗ることを許された使い手とまで評価されている。
ECWの象徴「暴力の改革者」はゴミ缶や道路標識(!)の上にキメる多彩なアイディアが売り物。
溜めを効かせて繰り出すフォームの美しさは白眉。
ジャイアント馬場最後の弟子である方舟の天才。
代名詞技の“
不知火”はコーナーポストを駆け上がり、後方回転しながら相手の放つ、いわば変形のリバースD.D.T。
世界のプロレス界に与えた影響は計り知れない。
元LinQ出身のクビドルから今や全米インディーマットを熱狂するCuteist in the worldに成り上がった東京女子プロレスが誇る新時代のカリスマ。
愚乱・浪花をリスペクトし、スイングDDTほか数多くのDDTで試合を構築する。
トゥ-キック、ジェイルキックカウンターヒット時の派生技、通常投げではスイング式を使用。
コマンド投げで普通、右横投げで垂直落下式、背後投げでリバースD.D.Tを使用。
この
ゲームでは登場する5戦士全員に投げ技・掴み技が用意されているが、マーキュリーの場合は背負い投げとD.D.Tである。
マーキュリーは全体的に攻撃力の低いキャラであるが、このD.D.Tは例外で、投げ技の中では
ジュピターのジャイアントスイングと並ぶ最強の攻撃力を誇る。
対デブ時の追い打ち技「毒針スペシャル」にて、連続膝蹴り後の〆にD.D.Tを使用。
超人の神同士のタッグチーム「マイティハーキュリーズ」のツープラトンでリアルツインD.D.Tを使う。
イデアマンが低空タックルで相手タッグの足を抱え、空中に投げ上げると同時にノトーリアスもジャンプ。
イデアマンが空中でダブルD.D.Tの体勢に入った所で、上から降ってきたノトーリアスが相手タッグの足を自らの足と腕で固め、キン肉ドライバーを思わせる真っ逆さまの体勢に拘束すると共に、脳天を急角度で叩きつけていくという大技。
※追記は落とすスピード重視でお願いします
- ロックのDDTも綺麗だったな。引き倒すというよりはロバーツみたいにストンと落とす感じだった。 -- 名無しさん (2014-06-04 18:39:33)
- オートンのDDTは汎用性高すぎだよな。基本は相手の足をロープ中段に掛けてから繰り出すけど、トップロープやコーナーポスト、更には場外のバリケードなどあらゆる場面で重宝してる。 -- 名無しさん (2014-06-04 19:29:23)
- 最近だとオートンの相手の足をサードロープに乗っけてのやつとかだな -- 名無しさん (2014-10-19 16:27:54)
- 身長はそこまで高くないけどアーン・アンダーソンのDDT(ロバーツ式に近いフォーム)も美しい。 -- 名無しさん (2015-10-24 18:05:49)
- ↑充分デカいとも思うけどAAのは、流石に必殺技認定されてるだけはあるなぁって技だね(ホースメンのDVDでハマった)。タメを作らない分、元祖のロバーツに近い感じ。 -- 名無しさん (2017-02-09 09:43:29)
- 動作自体は単純だから、子供同士のプロレスごっこでも人気の技だったな。 -- 名無しさん (2018-03-08 12:22:35)
- ウルティモドラゴンも入れて欲しいね。 -- 名無しさん (2020-03-30 21:18:52)
- 佐山タイガーがスピーディーに決めるフロントネックチャンスリードロップ(幻の初代タイガードライバー、遡れば東京プロレス時代の猪木のアントニオドライバー)は似て非なる技なんかね -- 名無しさん (2022-03-23 14:55:30)
- デッドライジングのチャックさんとニックさんも -- 名無しさん (2022-03-23 15:03:54)
- SFCのセーラームーンの掴み技はヘッドバット、DDT、Fシュタイナー、ブレーンバスター、ジャイアントスイング、地獄車とやたら荒々しい -- 名無しさん (2022-12-16 19:08:06)
- LIVE A LIVEの現代編ボスのオブライトもこれを意識したであろう「アクロDDO」を使う -- 名無しさん (2023-06-08 20:39:42)
最終更新:2024年12月24日 10:24