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隣の芝刈り(遊戯王OCG)

登録日:2017/01/13 Fri 17:40:55
更新日:2026/06/28 Sun 15:00:37
所要時間:約 5 分で読めます





《隣の芝刈り》とは、『遊戯王OCG』に存在するカード。

《隣の芝刈り/That Grass Looks Greener》

通常魔法(制限カード
(1):自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動できる。
デッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。



概要

第9期第11弾パック「レイジング・テンペスト」で登場した通常魔法。
レアリティはスーパーレア(シークレットレアもあり)。

「自分のデッキが相手のデッキよりも多い場合に、デッキの枚数が同じになるように自分のデッキの上からカードを墓地へ送る」効果を持つ。

一見するとあまり意味のない自爆のように聞こえるが、このカードは遊戯王のデッキ構築におけるセオリーを大きく覆したカードである。


解説の前に、まず他のメジャーなカードゲームのデッキ枚数について見てみよう。
…と、このように「指定枚数ぴったりor上限なし」のパターンが多い。

一方で遊戯王の場合、(マスタールール以降では)デッキ枚数が「40枚以上60枚以下」と定められている。


この《隣の芝刈り》は、発動時に「相手のデッキ枚数」と「自分のデッキ枚数」の両方を参照しなければならない面倒な側面があり、なおかつ状況に左右されやすいカードではあるが、上手くいけばこれ1枚で大量の墓地肥やしが行える。
遊戯王においては“墓地にあった方が都合の良いカード”がたくさんある為、「墓地は第二の手札」「基地」とも言われるゲームである。
つまり、このカードは「コンボの起点」として非常に優秀な能力を持つと言える。

実際、大量墓地肥やしができるカードは遊戯王の歴史の数々で活躍しており、
を見てわかる通り、特定のカードを5枚前後落とすだけで勝敗の決着がほぼついてしまうのだから、ランダムとはいえ20枚前後落とせる可能性を秘めたこのカードの性能はまさに破格。

墓地を利用するカードや墓地から効果を利用できるカード(それも質より量を問うタイプ)と相性が良く、特に墓地のカードを積極的に使用する【インフェルノイド】にこのカードを投入して作られた【芝刈りノイド】は大会でも結果を残している*1
……厳密には同じパックで登場したデッキの上から5枚墓地へ送り手札をすべて捨て2枚ドローしフリーチェーンの除去を行えるカテゴリの影響も大きいが。


運用方法

このカードで墓地を肥やしたいのであれば、なるべく相手と自分のデッキの枚数に差があるときに発動したい。
つまり、相手と自分のデッキ間で意図的に枚数差を作れるようにするのが、このカードを効率的に使用する上で必要になってくる要素となる。

その方法は大雑把に分けると、「相手のデッキを減らす」か「自分のデッキを増やす」の2択。

前者は相手が積極的にデッキ圧縮するデッキであれば自然と枚数差は生じるが、逆に言うと「自分の墓地を肥やす前に相手の情勢を優位にさせてしまう」状況の為、あまり有効とは言えない。
それ以外で相手のデッキを減らす場合としてはデッキ破壊などが挙がるが、基本的にデッキ破壊は自身の墓地には依存せず、デッキ構成の上でのベクトルが違ってくるので相性はあまり良くない。

このような理由から、相手のデッキを減らすよりも自身のデッキを増やす方が、このカードを有効に使いやすいと言える。


例えば、相手が40枚デッキ・自身が60枚デッキの場合、先攻1ターン目にこのカードを発動すると、いきなり+20枚という破格の墓地肥やしを行うことが出来、(デッキの枚数は同じ40枚だが)墓地のアドバンテージで大きく上回った状況でゲームを始められる。
1ターン目で引くことが出来なくても《左腕の代償》でサーチしたり、少々アド損だが《おろかな副葬》で墓地に送り《魔法石の採掘》で回収すれば同様の状況が作れる。

このカードがデッキ構築のセオリーを壊したと言われる所以はそこ

従来のデッキ構築における考え方は、

必要なカードを引く確率を上げるため、なるべくデッキの枚数を40枚に近くする(出来るだけデッキ枚数を少なくする)

というのが定石であり、当時の上級者が60枚デッキを使う事は殆ど無かった。
単純に40枚と60枚では、母数の少ない40枚の方が、必要なカードを引く確率が上がるからである*2
これは公式ルールブックやアニメ『5D's』のデュエルワンポイントレッスンなどでも書かれている程基本的な考え方。
当時のOCGにはバベル(MtG)みたいなタイプのデッキはないのである……。

そんな中で、デッキ枚数を増やす構築に大きな意義を与えたこのカードの存在は、まさに画期的と言えるだろう。

このカードを使用した60枚デッキは状況によっては凄まじい墓地アドバンテージを以て相手と決闘が出来る為、墓地を手札のように扱えるデッキなら、かなり有利に立ち回る事が可能である。

相手が《強欲で貪欲な壺》を使用するデッキの場合、《強欲で貪欲な壺》1枚の効果で合計12枚もデッキが減るため、大幅な墓地肥やしのチャンス。
ただし、このカードを使う前に相手がキーカードを引き当ててしまったら厳しいが。

また、墓地アドバンテージ以外にも、《ワイトキング》や《毒蛇神ヴェノミナーガ》のように墓地に特定の種族、名称を扱うモンスターが一定数居ると攻撃力が跳ね上がる永続効果を持ったモンスターを活かすのにも使える。


短所

ここまではこのカードの意義やメリットについて触れてきたが、このカードのデメリットについて触れておくと、やはり「デッキの枚数を増やす事」にある。


  • デッキ枚数を増やすことで生じるジレンマ
上述の通り、このカードの効果を最大限に発揮するには「デッキ枚数を増やす」必要があるが、「デッキ枚数を増やすことでこのカード自身を引きにくくしている」という側面もある。
このカードを引くことを前提としたデッキ構成は危険なので、このカードをなるべく早く引き込む為のサーチカードやドローソースも投入しておくなど、他の初動札も用意しておきたい。
デッキ枚数が増えるという事は、入れられる初動札の数も増やせるという事である。

  • 2枚目以降は基本的に腐る
1度使ってしまえば相手と自分のデッキ枚数は横並びになる為、基本的に2枚目以降は腐る。
なので、複数枚投入する場合は2枚目の《隣の芝刈り》が腐るのを覚悟で投入する必要がある。

とはいえ、1回だけでも発動すれば2~3枚分のディスアドを帳消しにする大幅なアドバンテージを獲得しそのまま押し切れることも多く、そもそも60枚デッキで2枚同時に引くという事もあまりないためそんなに気にしなくても良い。
更に、このカードは2025年4月以降制限カードとなっているので、現在このデメリットは事実上無くなっている。

  • 状況・相手のデッキ構築に左右されやすい
このカードの効果を十全に生かせないような状況、例えばデュエル後半に引いた場合等ではこのカードは役に立たず、デッキ枚数を増やした意味がなくなってしまう。

それ以上にして最大の欠点は、質より量を重視するその性質上、相手も60枚ないしそれに近いデッキだとほとんど使用する意味が無くなること。
例え多少なりとも肥やせるとしても、このカードの効果を活かすためにわざわざ決して小さくないリスクを呑んでデッキを増やした見返りが《針虫の巣窟》1~2枚分ではとても割に合わない。
特に《隣の芝刈り》を採用しないタイプの60枚デッキだと《隣の芝刈り》ばかりか、それをサーチ・ドローするためのカードも軒並み一線級以下の物になり下がるので、根本的なデッキパワーで押し負けやすくなってしまう。
幸い、《隣の芝刈り》を入れていない60枚付近のデッキは滅多に無いが、《隣の芝刈り》の性質に近い《強欲で貪欲な壺》の存在から、9ガジェのような高い安定性を持つカテゴリでデッキ枚数をあえて水増しするデッキも無くはないため、当たったらほぼ負け確定である。

遭遇率は高くないが、大量墓地肥やしを逆手に取られ、墓地送り1枚につき300ダメージを受ける《死霊の誘い》を発動されると一挙に致死級のダメージを受けてしまう可能性がある点にも注意。
単純に計算してもデッキが20枚差として6000ダメージ、60枚デッキの時点で《隣の芝刈り》採用型であることはバレバレのため、自身のデッキを削っておくことで枚数差を広げられ、8000ダメージ(1ターンキル)に届く可能性も高い。

また、墓地に送られるカードにランダム要素が絡む以上、狙ったカードを墓地に送れなかったという状況も考えられる。
このカードを使う以上、大きな問題にならないように構築されることが多いと思われるが、意識しておきたい。


性能以外の弱点としては、使用の際に互いのデッキの枚数をカウントするというちょっと面倒くさい作業が入ることも挙げられる。
まぁこのぐらいは大した手間ではないが、故意でも事故でも、枚数のカウントミスが起きると後々面倒なことになるので、カジュアル対戦でも第三者のチェックを入れてもらった方が無難かもしれない。


環境での活躍・制限動向

ミラーマッチや2枚目以降が腐るという欠点こそあれど、それ以上に大量の墓地肥やしができるメリットは大きく、上述の通り環境でも【芝刈りノイド】として活躍。
その影響もあってか、OCGでは2018年10月1日に準制限カードへと指定された。
通常の環境デッキではある程度の抑制としてよく使われる準制限だが、《隣の芝刈り》の場合は「可能な限り早めに引き込みたい」&「元々が60枚デッキ」のため、枚数が減る影響はより大きいものとなっている。

その後は【60GS】のようなデッキで採用されつつも環境では下火気味だったが、2025年4月1日に制限カードに指定。
今後の影響を考慮したのだろうか?


ゲーム作品では

マスターデュエル』では長らく無制限だったが、2023年2月6日に準制限カードに。
その後【イシズティアラメンツ】関連の実装の影響からか、2023年9月1日に制限カードに強化された。
準制限は遅かった一方で制限になったのはOCGよりも先であり、BO1独特の事情が垣間見える。


デュエルリンクス』ではカードトレーダー産として登場。出た時期が2018年なので結構リンクスでは古いカードだったりする。
当初はカードプールがそこまでなかったので活躍はしなかったが、カードプールの増加に伴い活躍の場は増えていき、主に【武神】・【不知火】・【ジェムナイト】などで使われていた。

2020年3月24日にLIMIT1に指定されたが、最終的にはこのカードを握った時点で勝ちが確定という状態になり、2020年10月1日をもって《デビル・フランケン》と共に、リンクス初の禁止カードに指定された。


余談

カードの名前の由来は、ことわざ「隣の芝生は青い」からだろう。
「他人のものは例え実際には同じようなものでもいいものに見える」という意味を持っているが、(墓地アドを度外視すれば)確かに相手より自分のデッキ枚数が多いという状況はデッキ圧縮度で言うと「相手の方が良いように見える」状態と言える。

このカードはさらに「芝刈り」の要素を付け加えている。

遊戯王カードWiki』内では、
このカードは自分のデッキが多いことを「自宅の芝が伸びている」、相手のデッキが少ないことを「隣家の芝がよく刈り込まれている」事にたとえ、隣と同程度に芝を刈り込む効果となっている。
と表記しており、最終的に「実質的に同じようなもの」という状況を作り出そうとしている事が分かる。

諺の状態になぞらえた良いネーミングと言えるだろう。
ひょっとしてこのカードを見越して《現世と冥界の逆転》をエラッタしたのだろうか?




追記・修正は、驚異的な墓地肥やしが出来る状況を作った上でお願いします。

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最終更新:2026年06月28日 15:00

*1 更に言えば、このカードが収録された「レイジング・テンペスト」の発売と同時期である2016年10月の制限改訂にて、相性の良い《モンスターゲート》が準制限カードに緩和されたこともあり、勢いを失っていた【インフェルノイド】は再び息を吹き返す程であった。

*2 ちなみに、デッキにあった方が都合が良いカードを使う場合やドローソース及びサーチカードが豊富なデッキ等は、デッキ枚数を増やすこともある。