デビル・フランケン

登録日:2015/02/10 (火) 21:44:55
更新日:2025/04/01 Tue 16:32:44
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《デビル・フランケン》を召喚!
そして効果発動!

これで俺のライフは風前の灯……
この盤面を突破されれば、すぐに残りライフは尽きるだろう。


お 前 が 凌 ぐ こ と が で き れ ば な





《デビル・フランケン》は、遊戯王OCGのカード。
略称として『デビフラ』と呼ばれたりもする。


テキスト

《デビル・フランケン》
効果モンスター
星2/闇属性/機械族/攻 700/守 500
(1):5000LPを払って発動できる。
エクストラデッキから融合モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。

解説

効果発動には5000ライフという、超莫大なライフコストが必要。
初期ライフが8000の遊戯王では、基本的に1回しか発動できない。
しかしその効果は、あらゆる融合モンスターを、正規融合せず直接呼び出すという、重いコストに見合った豪快なもの。

融合モンスターは普通、正規融合するには融合カード+2体以上の融合素材モンスターを必要とする。
それどころか、融合素材自体が重いモンスターだったり、3体以上を要求したりと、それ以上の凄まじいディスアドバンテージを伴うことも多い。

それを、《デビル・フランケン》は莫大なライフを払うとはいえ、それ以外になんの損失なしで大型モンスターをいきなり特殊召喚してくる。
自分のライフがほとんどなくなったとしても、0にならない限りは、出した大型モンスターで相手を殴り倒し、ねじ伏せることができるのである。

当時、というか現在でもカテゴリを指定する融合サポートを除けば正規融合の手間やカード消費の激しさは大きな課題であり、殆どの融合モンスターはこれか《突然変異》で出すのが前提という時代が長かった。

ちなみにこのカードから特殊召喚できる融合モンスターの中で最も攻撃力が高いのは、《青眼の究極竜》で4500。

融合モンスターには「融合召喚でなければ特殊召喚できない」という制約を持つ者がしばしばおり、そういったカードはこの効果で「特殊召喚」できない
そのため《F・G・D》や《究極竜騎士》なんかは出せない。
他の有力候補としては、
などがいる。

定番コンボとして、莫大なライフを払って相手よりライフが下回ることを利用し、《巨大化》を装備させ攻撃力を2倍に高めるというものがある。
例えば《青眼の究極竜》であれば、実に攻撃力9000
相手のライフが無傷であっても、ダイレクトアタックが通れば一撃で吹っ飛ぶ。

ゲーム作品においては、海馬がこのコンボを行ってくることがある。
場合によっては《ブラック・ホール》や《大嵐》を絡めてくる鬼畜さ。

ライフ激減というリスクがあるとはいえ序盤であれば手軽に融合モンスターを召喚可能、そのライフコストすら逆利用できるため、同じく融合モンスター召喚を目的に使われる《聖獣セルケト》や《幻想召喚師》は出番を奪われがち。

実は地味にテキストがエラッタされており、当初は特殊召喚するモンスターの表示形式に指定が無かった。


デメリット

  • 基本的にデュエル中1回しか使えず、3積みしても使った時点で残り2枚分は腐る
  • このカードを出す前にライフポイントが5000を下回るとどうしようもない
  • 呼び出した融合モンスターを除去されると、残るのは効果が使えない貧弱なステータスの《デビル・フランケン》とわずかなライフのみ
  • なんなら、《デビル・フランケン》をただ召喚しただけだと攻撃力700を晒してしまうため融合モンスターそっちのけで《デビル・フランケン》が殴られて即死しかねない
と、使用には大きなリスクを伴う。
確実にゲームエンドに持っていくには、伏せ除去をしっかりと行い、確殺できる状況で使う必要がある。


そして牢獄へ…

基本的に使われるとそのターンにあっさり相手を1ターンキルしてしまうため、2007年3月に禁止カードとなった。

まだGXをやっていた頃の昔の話であり、多くのデュエリストはずっと投獄されたまま出てこないだろうと思っていた。
思っていたのだが……。










「よう、またよろしくな」



長い月日が流れた2014年2月、まさかの釈放。
この時には制限カードだったが、2014年7月から無制限になった。


というのも、《デビル・フランケン》が活躍していた時代と比べ、現代の環境は様変わりしており、
  • 召喚権の重みが増し、このカードへの召喚権の使用や特殊召喚の準備が決して軽いものとみなせなくなった
  • テーマ(カテゴリ)デッキでの運用が基本となり、デッキ構築のセオリーが様変わりしたこと。
  • EXデッキの上限が15枚になり、ほとんどのデッキのEX枠はカツカツ。このカードのために融合モンスターを気軽に採用するわけにもいかない
  • 優先権のルール変更及び手札から発動して効果を無効にする《エフェクト・ヴェーラー》を筆頭に環境に溢れかえっている無効化&除去カードが致命的に刺さる
  • そもそも攻撃力の高い融合モンスター1体だけでデュエルを決するのが難しくなった
  • あらゆるデッキの展開力が上がり、5000のライフコストがかなり痛い物となった
といった欠点が目立ち、徐々に「強いが禁止するほどではない」という見方をされるようになっていた
この改訂はそれを証明したと言える。

しかし、融合モンスターの種類の増加で選択肢が増えたことや、低レベル・低攻撃力・闇属性・機械族と対応するサポートカードも増えており、専用構築や相性のいい特定デッキにおける使い勝手はむしろ向上していた


相性の良いカード

釈放後に注目された召喚相手は、まず《ナチュル・エクストリオ》。
相手の魔法・罠の発動をほぼ無制限に無効にできるという凄まじい妨害効果を持つ。
現環境で最も比重が大きいモンスターに全く対処できない弱点を持つが、一方で魔法カードを展開に絡めないデッキも少ないため、それを完封する拘束力は大きい。
《異星の最終戦士》とは対照的だが、こちらは自分の動きを阻害しないため、モンスターへの妨害手段を併用することで守りを完全なものにできる。
そして相手に対処できるカードを引かれる前に攻め手も展開し、速やかに決着をつけられる。

《異星の最終戦士》もお払い箱になったわけではなく、《ナチュル・エクストリオ》と逆の理由で単体での制圧力が際立ち、カードプールの増大によって弱点である「他のモンスターと並べられない」という部分をすり抜ける選択肢がそれなりに増えているため、実現可能なら狙うだけの魅力はある。


L召喚の登場後は、召喚した《デビル・フランケン》を《転生炎獣アルミラージ》に替え、手軽に攻撃表示の《デビル・フランケン》を退けつつ融合モンスターに破壊耐性もつけられる一石二鳥の対応もできるようになった。
最終戦士の場合はこれはできないが、そもそも最終戦士は《デビル・フランケン》も自身の効果で破壊してしまうため問題ない。


手札にドローして通常召喚する以外にも、機械族サポートでデッキからサーチ・リクルートする方法もある。

一つは《ギアギガントX》。
機械族モンスターを素材とするXモンスターであり、デッキからレベル4以下の機械族モンスターを手札に加える効果を持つ。
大抵はX召喚するのに召喚権を使ってしまうため、サーチしても召喚できるのは次のターンまで待つことになるが、
二重召喚を積んでいるガジェットデッキならば、召喚権を増やし即座に出せることも。


もう一つは《ロード・ウォリアー》。
こちらはレベル2以下の機械族をデッキから特殊召喚するので、直接呼び出せる上に攻撃表示で晒す心配もない。
専用チューナー+素材2体のシンクロ召喚と多少出すのは面倒だが、《クイック・シンクロン》を使えばジャンドデッキなら出すのは容易。

シンクロン・エクストリームで強化された展開力で、場合によっては《ナチュル・エクストリオ》の横に《シューティング・クェーサー・ドラゴン》が並ぶという悪夢のような布陣になることも。

それ以外のデッキでも、
  1. 《クイック・シンクロン》を特殊召喚
  2. 《マスマティシャン》を召喚し、効果で《レベル・スティーラー》を墓地へ送る
  3. クイックのレベルを下げスティーラーを特殊召喚
これでクイック+レベル3非チューナー+スティーラーが揃い、《ロード・ウォリアー》をS召喚できてしまう。
これらのカードを無理なく使用できるデッキなら、ジャンドデッキ以外でも飛んでくる。

また、《ロード・ウォリアー》は光属性で《デビル・フランケン》は闇属性、そしてレベル合計が10なので《カオス・アンヘル-混沌の双翼-》を完全体で出せる。
味方モンスター全てに戦闘破壊耐性・味方シンクロモンスターに相手の効果を受けない耐性を付与できるため盤面をより強固にできる。



ライフコストさえどうにかできれば複数回の効果の使用も可能ではある。
ライフ回復ギミックを入れていればもう一発くらいは使うことができるだろう。
しかも1ターンの発動回数制限がないため、ライフさえ確保できれば一気に複数の融合モンスターを並べられる。

さらに、手間のかかるコンボではあるが、DNA改造手術などで《デビル・フランケン》をサイキック族に変更し、サイキック族のライフコストを肩代わりする《脳開発研究所》などを使うことで、融合モンスターを可能な限り特殊召喚できる。
リンク召喚のある今では
  1. 何らかの方法で場に戦士族を2体並べて《聖騎士の追想 イゾルデ》をL召喚。
  2. 《聖騎士の追想 イゾルデ》の効果で《念動増幅装置》を墓地に送って《焔聖騎士-リナルド》をリクルートし、リナルドの効果で装置を即回収。
  3. 《聖騎士の追想 イゾルデ》と《焔聖騎士-リナルド》で《リプロドクス》をL召喚。
  4. 何らかの方法で《リプロドクス》のリンク先に《デビル・フランケン》を出し、《リプロドクス》の効果で種族をサイキック族に変更した《デビル・フランケン》に装置を装備。
  5. 装置でライフコストを踏み倒して大量展開。
の流れが一般的。
超大型モンスターが一斉に並ぶのは圧巻であり、ロマン溢れるコンボと言えよう。
このコンボは融合モンスターを好きに展開できる関係で先攻ワンキルも狙えてしまうのもポイント。
代表的な物として、
  • パターン1
  1. 《デビル・フランケン》で《LL-インディペンデント・ナイチンゲール》《WW-クリスタル・ベル》《聖菓使クーベル》などの闇属性融合Pモンスター2体を特殊召喚。
  2. 闇属性融合Pモンスター2体で《覇王眷竜スターヴ・ヴェノム》を特殊召喚。
  3. 《LL-インディペンデント・ナイチンゲール》をL召喚の素材などで墓地に送る。
  4. 《WW-クリスタル・ベル》で《LL-インディペンデント・ナイチンゲール》をコピーして4000バーン。
  5. 《覇王眷竜スターヴ・ヴェノム》で《LL-インディペンデント・ナイチンゲール》をコピーして4000バーン。
最もスタンダードなパターン。EXの消費は大きいものの確実に8000バーンを叩き込める。

  • パターン2
  1. 《デビル・フランケン》で《重爆撃禽 ボム・フェネクス》《LL-インディペンデント・ナイチンゲール》《WW-クリスタル・ベル》を特殊召喚。
  2. 《LL-インディペンデント・ナイチンゲール》で500バーン、《重爆撃禽 ボム・フェネクス》でバーン。
  3. 《LL-インディペンデント・ナイチンゲール》と《リプロドクス》で《トロイメア・ユニコーン》をL召喚、手札を捨てて《重爆撃禽 ボム・フェネクス》をバウンス。
  4. 《デビル・フランケン》で再び《重爆撃禽 ボム・フェネクス》を出してバーン。
  5. 《WW-クリスタル・ベル》で墓地の《LL-インディペンデント・ナイチンゲール》をコピーして4000バーン。
最低でも場に6枚(《リプロドクス》、《デビル・フランケン》、《念動増幅装置》、融合モンスター3体)ある状態からスタートするため、残り1枚を場に用意すれば《重爆撃禽 ボム・フェネクス》のバーンがそれぞれ2100・1800となり、合計ダメージ8400でワンキルが成立する。
パターン1と比べると手札コストを要求したり場の状況に左右されるが、EXの消費を抑えられてるのが特徴。
なのでデッキによってはワンキルコンボに入る前に《フルール・ド・バロネス》を立てておくなんて事も。


再逮捕

……と、こんな風にカードプールの変化に伴いより危険なモンスターが出せるようになったため2016年10月に再び制限カード化。
新マスタールールによる召喚制限で再び準制限→無制限になるも、マスタールール改訂で召喚制限が緩和されると同時にまたもや制限カードに逆戻り……と、KONAMIからも危険なカードとして警戒されるようになった。

遊戯王デュエルリンクスにも登場していたのだが、このゲームの初期ライフは4000ということもあり少しデッキを捻らないと効果が使えない環境だった。
しかしリンクス次元のカードプール増加により、効果が使いやすくなったほか、相性のいい融合モンスターも実装。
特に《おジャマ・キング》との相性は最高で、モンスターゾーン3箇所を封じる効果により相手の場がガラ空きの状態で出せば相手は《おジャマ・キング》を除去しない限り一生モンスターが出せないという悪魔の布陣が完成する。
ここに対象を取る効果を無効にし、さらに3000近い打点を得られる《超魔導騎士-ブラック・キャバルリー》を加えれば相手はほぼ何もできなくなる。
先手で引けさえすればほぼ確定で先攻制圧という激ヤバカードになったため、2020年5月21日付けでLIMIT1指定を受けた。
確定先攻制圧もそうだが、決まらないと即サレンダーとなるケースが多く、マナー的によろしくないこともありプレイヤーからも大変嫌われていたため、嘆く声はほぼなかった

しかしピン刺しでもリクルートなどを駆使して結局先攻制圧してくるのは変わらずプレイヤーのヘイトを買ったばかりか、今後の融合モンスターの追加に明らかに邪魔なカードになっていたためか、2020年10月14日付けで同じく「引き勝ち」同然のカードだった《隣の芝刈り》と共にリンクス初の禁止カードとなる。

海外では日本より早い2006年12月に禁止指定され、日本より遅れて2019年1月に制限復帰したものの、上述する様なカードを呼び出して暴れ回ったせいか2023年6月5日に再度の禁止指定を受けた。

遊戯王マスターデュエルにおいてもレベル2であることを活かし、墓地肥やしに巻き込まれた所を《スプライト・エルフ》で釣り上げて封殺するという形で環境トップの【ティアラメンツ】が使用した*2事がトドメとなってか2023年6月8日に禁止指定を受けた。

その影響か「そろそろOCGでもまた規制されるんじゃないか?」という雰囲気が漂い始める中、
  • 【ティアラメンツ】が墓地肥やしに巻き込んだ所を《スプライト・エルフ》で釣り上げて利用
  • 【超重武者】が《ギアギガントX》でサーチした後ペンデュラム召喚で展開
  • 【マナドゥム】が《クロシープ》のリンク先に《ヴィシャス=アストラウド》を出して墓地から釣り上げてからライフコスト踏み倒し型の先攻ワンキルを達成
といった具合に現代の環境デッキでも暴れるようになり、マナドゥムの先攻1キルがトドメとなってか2023/7/1に再び禁止指定を受け再収監。
結果現在唯一*3OCG・TCG・リンクス・MDの禁止指定4冠という不名誉な称号を獲得。さらに、エラッタでもされない限り二度と制限復帰できないとされる永世禁止カードとまでされてしまった。






追記・修正は5000LP払ってお願いします。

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最終更新:2025年04月01日 16:32

*1 裏側守備表示でのセットは可能。

*2 他にも《デビル・フランケン》以前に禁止になった《簡易融合》のリペアパーツとして、初動札の1枚としても運用できたので、簡易融合を禁止にした意味が実質なくなっていたのも大きい。

*3 かつてはトロイメア・マーメイドも禁止四冠だったがマスターデュエルで禁止解除された。