黒の工房(英雄伝説)

登録日:2017/10/29 Sun 17:15:49
更新日:2022/12/15 Thu 10:18:02
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黒の工房とは、英雄伝説 軌跡シリーズに登場する登場する組織。
その存在が明らかにされたのはシリーズ6作目の閃の軌跡から。
組織の成り立ちや構成員といった詳細は、閃の軌跡IIIにて明らかにされた。

結社身喰らう蛇の技術部門である十三工房のひとつ。
卓越した技術力を誇り、作中の常識からはかけはなれた武器を始めとする発明品をいくつも制作している。

結社の一部門であるにも関わらず、帝国軍情報局や猟兵団、貴族勢力やテロリストといった様々な勢力とつながっている。
結社と比較しても同等、もしくはそれ以上の存在であることが示唆されており…。


以下創の軌跡まで、シリーズ全体の重要なネタバレを含む






















概要

その正体はエレボニア帝国に存在した、《大地の至宝》ロストゼウムを管理していた地精(グノーム)の生き残り。
地精は歴史上から完全に姿を消したかと思われていたが、1000年の間存続しており、現代においては「黒の工房」と名前を変えていた。

地精たちの成り立ちは大崩壊以前にさかのぼる。
もともとエレボニア帝国には、大地の至宝以外にも焔の至宝が存在していた。
二つの至宝はそれぞれ授かった勢力の人間を眷属として奇蹟と恩恵を与えていたが、やがて二つの眷属が対立する。
それぞれの眷属の願いを聞き届けた二つの至宝は、長きにわたる壮絶な争いを開始。
戦いの果てに至宝は相打ちとなり、その器は大地の最果てに飛ばされ、中身は融合して《巨イナル一》と呼ばれる「鋼」へと変貌してしまった。
人間にはすぎた力である「鋼」を封印するため、大地の眷属と焔の眷属のは協力。
幾度もの失敗のすえ地精のつくった「」に魔女が力を分散して封じることで、ようやく鋼を制御することに成功した。
この器をつくった大地の眷属こそが地精であり、焔の眷属は後に魔女と呼ばれることになる。

その後、調停者アルノールが荒廃した暗黒の大地においてエレボニア帝国を建国。
七耀教会を受け入れ帝国は目覚ましい発展をとげ、地精と魔女もそれに協力する。

しかし暗黒竜による帝都襲撃を境に、それらの関係は終わりを告げる。
ヘクトル帝による帝都奪還がなされた際、地精の長は魔女たちに決別を宣言。
歴史の表と裏から完全に姿を消した。

以降、彼らは黒の史書に記された《巨イナル黄昏》の成就を目的に活動を開始する。


構成員

  • 黒き終焉のアルベリヒ
「今の私は地精の長にして《黒の工房》の統括者――人としての生を捨て、使命を受け継ぎ、大いなる悲願を果たす存在。」

CV:安元洋貴
通称《黒のアルベリヒ》。地精の長にして黒の工房の統括者であり、《巨イナル黄昏》を主導する。
常に落ち着いた態度だが、どこか狂気をはらんだ様子も見受けられる。
永きにわたる宿願を成就させるためなら、非情な手段をとることも厭わない冷酷な人物。

その正体は、帝國学術院の教授としてリィンたち新Ⅶ組の前に姿を現していたルーグマン教授。
やっぱり主人公の行く先々で現れる教授なんて信用できなかった。
そして、本編開始前に事故死したとされていたアリサ・ラインフォルトの父親、フランツ・ラインフォルトでもある。
ルーグマンは旧姓で、婿入りして苗字が変わっていた。

フランツ・ルーグマンとしてはシュミット博士の一番弟子であり、優秀な技師であった。
そしてシュミット博士の腐れ縁であるグエン・ラインフォルトの娘、イリーナと大恋愛の末結婚し婿入り。
やがてアリサも生まれ順風満帆な生活を送っていたが、結社のノバルティス博士の命を受けた《死線》のクルーガーが《黒のアルベリヒ》としての彼に接触。
二人の交渉は決裂しクルーガーによって殺害されたということになっていた(実際には爆発の炎の中にアルベリヒが姿を消した)。
表向きには事故として処理されたが、イリーナは彼の生存に薄々気づいていた模様。

上記のフランツ・ルーグマンとしての彼の姿は、本人曰く仮初にすぎないとのこと。
というのも1000年以上前から、《黒のアルベリヒ》は地精の長として存在しているからである。
もっとも魔女の長曰く、不老不死というわけではないく、何らかの手段を用いて1000年を超す時を生きているとのこと。
他の発言から察するに姿を変えて生きているようで、現在のフランツ・ルーグマンとしての姿は銀髪の男性。

精神生命体的な存在で、優秀な地精の血族に寄生する事で活動しており、身体が滅んでも優秀な子孫に寄生することで何度も復活していた。
フランツの前の代の肉体に寄生していた際にはD∴G教団の幹部で、エマ・ミルスティンの母・イソラとの対決で相討ちになり死亡したという。

その永きの時を《巨イナル黄昏》成就の核となる「Ozシリーズ」の開発に尽くし、様々な組織に接触し己の技術を高めていた。
あるときはクロスベルの錬金術師から人造人間の技術を強奪。
あるときは暗黒時代の魔導師に魔煌兵の技術を与え発展させ吸収。
あるときは超一流の猟兵団たちに武器を渡し戦闘データを取り込み。
あるときは結社の十三工房に参画。
あるときはエプスタインの三高弟に弟子入り。
そしてあるときは大陸最大の重工業メーカー、ラインフォルトに婿入りしその力を利用。
そうしてOzシリーズの最終型が完成したことで、900年のときを経て表舞台に姿を現した。


「――それでは始めるとしよう、世界を絶望で染め上げる、昏き終末の御伽噺を。」 

CV:中田譲治
《鉄血宰相》の異名をもつ、エレボニア帝国政府代表。黒の工房を支配下におき、アルベリヒと共に《巨イナル黄昏》を主導する。
アルベリヒからは「我が主」とよばれており、名目上は地精をしたがえている様子。
アルベリヒが「《黒の騎神》イシュメルガ」を指して主と言っているように見えるシーンがあるが、これはアルベリヒから見ればイシュメルガに支配されているため。アルベリヒとオズボーンの関係は従属という扱いの模様。

ハーメルの悲劇の前後に黒の工房と接触。
その頃よりオズボーンは心臓のない人外と化しており、黒の工房が何らかの処置を施したものと思われる。
詳細は項目を参照。


  • 銅のゲオルグ
CV:???
アルベリヒの右腕。
優秀な技師であり、黒の工房で様々な発明を行っていた。
一方で計画のために幾つもの汚れ仕事を行っている。
作中ではある人物の秘密に気づいた者を射殺、計画の障害となりうる人物たちを爆殺した。
その正体は…。


  • 蒼のジークフリード
「勝負の対価として情報を支払うだけのこと。……くれぐれも利子は求めるなよ?」

CV:???
地精の長の代理人として、様々な勢力を観察する仮面をつけた謎の男。
常に無感情であり、冷徹に任務を実行する。

どこからどう見てもにしか見えないが…。

+ その正体は
死亡したクロウ・アームブラストが、黒の工房の力によって仮初の命を与えられた姿。
クロウとしての記憶は全て失っており、生き返らせてくれた黒の工房に義理立てして行動する。
閃の軌跡Ⅲのラストで、《巨イナル黄昏》の始動と共にすべての記憶を取り戻す。



主な発明

騎神

正確には魔女の眷族と共同で作り上げたもの。
詳細は項目参照。


戦術殻

黒の工房が開発していた自律型の兵器。
同じ自律型の兵器である結社の人形兵器とは異なり、見た目は近いもので統一されている。
作中では結社のワイスマンが使役したほか、トールズ士官学院に貸し出され実技試験に使用された。


Ozシリーズ

黒の工房が開発していたた人造人間。
戦術殻と完全同期した人でもありながら武具でもある存在だが、遺伝子的には人間とほぼ同一である。
作中に登場した2人はいずれも10代前半の少女の姿だったが、ここに何かこだわりがあるのかどうかは謎。
2人とも自在に戦術殻を操ることで、外見年齢にそぐわない戦闘力や機動性を発揮できる。

Ozシリーズの目的は戦闘に優れた人造人間をつくることではなく、《巨イナル黄昏》の要である《根源たる虚無の剣》をつくること。
Ozも根源たる虚無(Originator Zero)の略である。
この開発のために黒のアルベリヒは、前述のような900年にも及ぶ下準備を行っていた。

《根源たる虚無の剣》は騎神用の武装であり、人造人間はそれを錬成するための素体。
十分に感情を育んだ人造人間が絶命したとき、それは《剣》へと昇華する。
言うなれば彼女たちは殺されるために生まれた存在であり、その過程で感情を育ませるというとんでもない鬼畜設定である。

作中では完成型として十分なスペックの2人が、感情を育むためトールズ士官学院で同級生たちと過ごすよう仕組まれていた。

「ボクだってみんなの――Ⅶ組の“仲間”だもん。」

CV:小岩井ことり
形式番号Oz73、コードネームは《白兎》。戦術殻は「アガートラム」。
オズボーンのもとに《鉄血の子供達》として差し出され、そこでクレアレクターから教育を受けた。
詳細は項目を参照。

「これ以上のやりとりは無意味と判断します。」

CV:種田梨沙(閃の軌跡II) 水瀬いのり(閃の軌跡III)
形式番号Oz74、コードネームは《黒兎》。戦術殻は「クラウ=ソラス」
Ozシリーズの最終完成型。
オズボーンの腹心であるルーファスのもとに差し出され、そこで基礎的な知識を学んだ。
詳細は項目を参照。

武器

  • Sウェポン
赤い星座や西風の旅団などに流した武装。
ランディの使うベルゼルガ―などがそれにあたる。

  • 《C》の大型ライフル
帝国解放戦線のリーダー、《C》が使用していた大型ライフル。
常識離れした射程距離をもつ。

建造物

  • 精霊窟
地脈の上に作り上げた洞窟。ゼムリアストーンの生成を行う。

  • 本拠地
帝国北西部、ラマール州の東外れに位置する地点、グレイボーン連邦と呼ばれる不毛なる山岳地帯の大深度地下にある。
およそ地下1000アージュにあり、転移ゲートでのみ行き来できるとされる。
創の軌跡ではアルベリヒの支配の目を盗みつつフランツが作った隠し区画があり、そこに秘密裏に復活再生したアガートラムがある。

  • 幻想機動要塞《トゥアハ=デ=ダナーン》
1200年前に地精の祖先が築いた巨大な建造物。
古代ゼムリア文明時代の空中要塞で、巨神達の激突で巨イナル一が誕生した際、発生した時空の歪みに隠され続けてきた。
黒の工房はこの幻想要塞に1000年に及ぶ大規模な改修を施していた。
を通して大陸全土と結びつくことで相克の最終舞台とした。
帝国人全てに強力な呪いを施し、無制限の戦争へと駆り立てる強力な精神汚染能力がある。

作中での動向

閃の軌跡

この時点では名前は登場しておらず、存在をにおわせる程度。
帝国軍情報局による士官学院の戦術殻の提供など、随所でオズボーンとのつながりが示唆されていた。
一方でオズボーンに敵対する帝国解放戦線が黒の工房製のライフルを使用していたりと、不可解な行動が見られた。

閃の軌跡Ⅱ

帝国解放戦線のバックにいた貴族連合の協力者として登場。
協力者の中には結社もいたのだが、黒の工房は十三工房の一角として結社経由ではなく、総参謀ルーファスの個人的なツテということで協力していた。
内戦終盤に当初の計画通り主であるオズボーンの帰還と共に、ルーファスともども貴族連合を裏切った。
なお結社のクロチルダはルーファスがアルティナを連れていることに疑問を感じていたが、オズボーンとのつながりまで見抜けなかったため敗走する羽目になっている。

閃の軌跡Ⅲ

結社が1年半ぶりに帝国での活動を再開したことに合わせ、地精としての活動を開始。
いよいよ物語の表舞台に登場していく。

当初は結社が行っている実験を蒼のジークフリードや西風の旅団を派遣して観察。
必要ならば実験のために直接対決を行う予定だったが、第Ⅱ分校の介入のため特に手出しはせずに撤退している。

終盤、結社がクロチルダの反対を黙殺して黒の工房への協力を決定。
黒の工房は帝国にいた結社構成員、オズボーン配下の鉄血の子供達と共にオズボーンとセドリック皇太子に率いられ、《巨イナル黄昏》を始動する。

閃の軌跡Ⅳ

《巨イナル黄昏》の中で七つに分かれた力を一つに戻す儀式《七の相克》を進める。

また、イシュメルガが暗黒竜の時に地精を眷属化していたことが判明する。

創の軌跡

閃の軌跡Ⅳでアルベリヒが消滅したため、地精は登場せず、記録映像のみ。

武器と自律型兵器は闇ルートに流れたままで、それを狙って各地の工房跡を漁る可能性が出てくるし、後々の禍根になりかねないとギルドも警戒していた。
帝国政府からの要請でZCFを代表してエリカが帝国に入国し、 黒の工房が残した問題を解決するための対策チームを結成。
シュミット博士とエリカ・ラッセルを中心にジョルジュとギルド、RF社の協力の下、工房が生産した流出品の処理と各地にある跡地の調査を4ヶ月かけて行われた。

各地の跡地はこれ以上何かが流出する心配はないが、既に闇ルートを通して流出した武器と自律型兵器は回収しきれなかった模様。
メタ的に見るといずれ再登場しそうでもある。



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最終更新:2022年12月15日 10:18